西村崇さんの7月分奨学生レポート

2006年度奨学生の7月レポート第3弾は西村さんです。春休み前の忙しいファイナルや、Krannert Centerでのコンサートなど、シャンペーンの風景が懐かしく思い出されるAllumniの方々も多いではないでしょうか。

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JICの皆様、ご無沙汰しております。先日の総会では久しぶりに皆様とお話させていただき、大変嬉しく思いました。私は5月の半ばに帰国し、現在は大学院 進学を念頭において日々の生活を送っています。シャンペーンでの夢のような生活を終えてから2ヶ月、留学生活への不安を感じながら日々を過ごしていた去年 の夏ももはや1年前のことであると思うと、時の流れの早さを感じずにはいられません。最後のレポートでは、留学生活最後の1ヶ月の日々と留学生活全体の総 括についてお伝えしたいと思います。

<最後の1ヶ月>

(学期編)

私が今学期に登録した全ての授業 は、Final Weekの1週間前に全ての課題が終わるようにスケジュールが組まれていました。そのため、春休みが過ぎてからは一般的な学生より早く準備をしなければな らず、学業以外の活動との折り合いをつけるのが大変な日々を過ごしました。2007年度以降の奨学生の方々への参考の意味も含めて、ある1日の生活をここ で披露したいと思います。

4月14日(土)

朝の8時30分に起床。週末のためPARの住人はまだ誰も起きていないようだが、ラウンジで次週に期限の課題に関連した文献を読み込む。

11時30分頃、この時間ぐらいになるとフロアメイトも起き出して来るので、友人を誘って昼食へ。お喋りをしながらの食事だと、1、2時間はあっという間に過ぎていく。

午後は再び課題に取り組む。パソコンに向かって、ひたすらレポートの打ち込み。日常生活を詳細に描写した調査報告書を書くのに苦労しっぱなし・・・

夕食後は、奨学生同期の佐藤さんも参加しているBlack Chorusが7時30分からあったので、フロアメイトとKrannert Centerへ。今まで見たことのあるコンサート・演劇の中でもベストテンに入るくらいの、パワフルなステージに圧倒される。

コンサート終了後、佐藤さんや他の友人も交えてGreen St.沿いのカフェでお喋り。午前1時に店が閉まった後も、Sherman Hall、次いでPARに移動してひたすら話し込む。

結局は徹夜。朝の7時45分には、Illini Union前で別のグループと集合して人生初のSkydivingへ。

寮に戻ってきたのは夕方頃。夕食を手短に切り上げて、宿題を再開。必死の思いでパソコンにレポートの続きを打ち込み続ける・・・

さ すがに春学期最後の1週間はほとんどの時間を勉強に割いていましたが、そのことも含めてイリノイ大学では1年間を通して本当に密度の濃い生活を送ることが 出来ました。4月末には髪に白髪が数本混じっているのを発見したので、体には結構な負担をかけていたようですが(笑)

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旅行編)

全ての課題が終わり、授業からも日々の大量の宿題から解放されて晴れて自由の身になった後は、Boston、 Washington、Niagara Fallsをめぐる約1週間の旅に出かけました。Bostonでは幸運にも入手できたボストン・レッドソックスVSシアトル・マリナーズの試合を観戦して 日本人メジャーリガーの活躍に勇気付けられ、Washingtonではアーリントン国立墓地や連邦議会議事堂の厳粛さに心を打たれ、Niagara Fallsでは自然の雄大さに改めて感嘆し…と旅行中に訪れた場所一つ一つについて語り始めたらいくらスペースがあっても足りないのではないかと思うぐら いに、どこも素晴らしい場所でした。Final Weekに向けた勉強で忙しくしている友人達に多少の申し訳なさを感じましたが、1年間頑張った自分へのご褒美ということで、日々を思い切り満喫していま した。

また、単に観光地巡りとして楽しんだというだけでなくアメリカの社会に住んでいるということ実感する上でいくつか貴重な経験も ありました。例えば、Niagara Fallsを訪れた時には、国境がもつ意味の重さを痛感させられました。Niagara Fallsはアメリカとカナダの国境沿いに位置しており、どちらの国側からも滝を見ることが出来ますが、滝の全体を見渡すことが出来るカナダ側からの眺め のほうがよいとされています。私もその眺めを楽しみにしていましたが、結局カナダ側には渡りませんでした。なぜなら留学生用のVisaの一部を寮に置いて きてしまったために、短時間といえどもカナダ側に越境すればアメリカ国内に戻れない可能性があったからです。たった一枚の紙を忘れてきたがために、徒歩で 10分もかからない距離を進むことが出来ない。自分がこの国では外国人であることを改めて思い知らされる出来事でした。(留学生活最後の1週間)

旅 行から帰ってくると寮の友人の一人が既に帰国しており、他のフロアメイトも退寮に向けて荷物の整理を始めているなど、UIUCでの生活が終わりに近づいて いることを実感しました。それからの数日間は、キャンパス中の写真をとったり友人達との雑談に時間をあてたりして、ここでの生活に思い残しが無いように日 々を過ごしました。そのおかげで部屋の整理はズルズルと先延ばしになり、退寮期限の最終日にはまだ半数ほど残っていたフロアメイトの一人として徹夜明けの 体で部屋の整理をしていました(笑)全ての荷物の整理が終わりガランとした部屋―PARに自分が入居した時とまったく変わらない姿を見せているその部屋を 見たときには、過ぎ去った時間が二度と戻ってこないことを思い、非常に寂しいものがありました。

退寮後は友人の院生寮に一晩泊めさせ てもらい、翌朝オヘア空港に出発しました。空港でクリスマスの時にもお世話になった寮の友人Coryとその家族に大きな荷物を預かってもらい、冬休みの短 期留学中に仲良くなったDerekの家を訪ねるため、コロラド州Grand Junctionという町に必要最低限の荷物を持って向かいました。そして、そこでもまた素晴らしい日々を過ごしました。アメリカを発つ前にGrand Canyonのような内陸の自然美に恵まれた地に一度は行きたいと考えていた自分にとっては、東側を緑豊かなロッキー山脈に、西側をMonument Valleyを中心とした砂漠地帯に囲まれたGrand Junctionはまさにうってつけの街でした。ドライバー兼ガイドとして滞在中ずっと付き添ってくれた友人の助力もあり、帰国前にいい思い出をつくるこ とができました。

Grand Junctionを離れてシカゴに戻った帰国前日は、再びCoryの家に一晩泊めてもらい、彼と散歩をしたり夜遅くまで語り合ったりして過ごしました。寮 の一番の友人であった彼とUIUCの一年間を振り返りながら過ごしたその時間は、心地よい感覚と同時に、明日帰国するのだなということを実感させる時間で もありました。翌日は彼の父親にオヘア空港まで送ってもらい、私の留学生活はようやく終わることとなりました

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<留学の総括>

一言で言えば、今までの人生で最高の10ヶ月でした。その理由は沢山ありますが、以下の3つに集約されると思います。

(出会い)

留学中は様々な人々、特に日本で過ごしていたらまず会うことのなかっただろう人々に沢山出会いました。特に、人種も国籍も多様な多くの友人達に恵まれたことを嬉しく思います。

Freshman ながら分厚い歴史書を愛読するなど熱心な勉強家であったCory、多少皮肉屋ながらRA(寮のフロア長)としてフロアメイトの尊敬を集めていたJin、物 理学と国際開発学のどちらでも才能を発揮したDerek、敬虔なイスラム教徒で様々な社会問題に対して常に真剣に憂いていたShazani、日本文化を深 く愛し誰よりも誠実であったNik、日本の一流大学を中退して単身渡米し、将来の夢を実現すべく頑張っているNao…、お互いに助け合い刺激しあった奨学 生同期のみんな…スペースの都合上全ての友人達を紹介することができないことを残念に思うくらいに、みな魅力に溢れた友人達でした。この中の友人達の幾人 かとは、残念ながらもう二度と会うことがないかもしれません。しかし、今もアメリカで、あるいは地球のどこかで彼らが自分の夢に向かって頑張っていると思 うと、それだけで十分に励まされるし、自分も負けていられないなと思います。

(「広さ」を知る)

精神的な面でも空間的な面でも、世の中の「広さ」を知る。これが二つ目の貴重な経験でした。

精神的な面としては、上に述べた多様な人々と交流していくなかで自分のものの見方・考え方が一面的なものでしかないことを知らされました。このことに関して、10月のある週末にJinと話した時の内容を今でも覚えています。

そ の日は珍しく彼にサシ飲みに誘われ、二人でキャンパス街の中では比較的静かなBarで飲んでいました。私が日本人、彼が韓国人というであったせいか、東ア ジアの国々の現状や将来といった話に自然とトピックが移っていったのですが、そこで日本の話が出てきた時のことです。社会学という学問を専攻している者の 性質上、私は日本の現状に対して批判的な意見を披露しました。しかし、彼はその意見に対して「それでも日本は大国じゃないか」ということを言ったのです。 彼が言うには、機会とお金さえあればさっさと海外に出て行きたいと多くの人々が願っている韓国は、世界に通用する大学や企業がいくつもあり、貧富の格差も まだ小さい日本には到底かなわず、これからのアジアを率いる可能性があるのは中国ではなく日本だろうとさえ述べたのでした。日本に対してこれ程までに肯定 的な見方が日本人の口から出たのではなく、日本をライバル視することの多い国から来た友人から発せられたことに大変衝撃を受けました。寮に帰った後で彼の 発言を改めて振り返り、そしてあることに気がつきました。それは、日本に対してネガティブな印象を抱きがちだった自分にとっては、世界から見た場合の日本 の姿という視点が欠けていたことでした。彼の意見が韓国人一般の意見だとは思いませんが、自分の考えが内向きであったことに気がつかせてくれた友人に今で も感謝しています。

この他にもキリスト教徒やイスラム教徒の世の中の見方、繁栄を享受する一方で多くの人が貧困に苦しむという先進国 アメリカの現実、母国のため・自身の成功のため雪崩を打って海外に進出するアジア人達の現状など、自分の世界観を広げる上で文字通り「体感」する機会を多 く得られたことを嬉しく思います。

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空間的な面とは、単純に、「世界はまだまだ広い!!」と実感したことでした。Derekと共に登ったMt.Garfieldの頂上では、それまで見たこと も想像したこともない光景が広がっていました。何も遮るものがない澄み渡った青空の下、眼前には広大な砂漠と赤茶色の地肌をむき出しにした険しい山々が、 そのすぐ脇には青々とした畑が広がり、後方には雄大なロッキー山脈がひかえている…言葉で言い尽くせないほどのその雄大さは、無論自分の人生で一番見事な 景色でした。この景色を目にするまでは、休暇の時間の多くを割いてアメリカ国内を出来る限り周遊してきたつもりだったので、まだまだ引き出しの多いアメリ カという国の広大さを帰国直前にして改めて思い知らされました。加えて、今まで滞在してきたアメリカという国も、更に自分がこれまで旅してきた地域を加算 しても、世界の中ではたった一部分にしか過ぎないことを、Mt.Garfieldの頂上から遥かに広がる地平線を眺めながら実感していました。「自分は、 これからの人生で一体どれだけの地域を訪れることが出来るのだろうか?」そう自問自答したうえで、まだまだ多くの可能性があることを思うとわくわくしま す。

(自分を再発見する)

今回の留学生活は、自分の特徴や可能性を知る上で最適な機会でした。

留 学中は「一分一秒たりとも無駄にしない」をモットーに活動していました。そうした生活を10ヶ月続けていくなかで、「自分」という人間に対しての再発見が 何度もありました。例えば、睡眠時間に関して。留学前は、健康維持に必要な睡眠時間は最低でも一日平均6時間で、徹夜なんて滅多にするものではないと思っ ていました。ですが、今では平均5時間以下でも何とかなると思っています(笑)大量の課題の処理と課外活動を両立させるために留学中は徐々に睡眠時間を 削っていったのですが、その内に好奇心さえ満たされていれば自分の体が動くということに気がつきました。このように、今まで限界だと思っていた事柄のいく つかに関しては、実際の自分は思っていた以上にタフだということに気がつきました。更に、多くの多様な経験をすることで、自分がどういう人間であるかとい うことが以前以上にはっきり分かるようになりました。このことが、帰国後にどんな進路に進んでいくかを真剣に再考していくなかで大いに役立っています。

<最後に>

現在では、多くの時間を自宅での勉強に費やす生活しています。刺激的な出来事にほぼ毎日遭遇していたイリノイ大学での生活に比べれば、単調な生活の中で全ての予定を自律的に立てなければならない分、精神的負担が少なくない日々を送っています。

し かし一方で、留学生活によって自分という人間に対して自信をー本当にささやかな自信ですがー得られたことで、留学前は夢のままで終わらせようと思っていた 大きな目標に対して実際にアプローチする方法を考えるようになりました。これから苦しい日々が続くと予想していますが、前途に対してあまり悲観視はしてい ません。イリノイでの留学生活を『人生最高の2年間』ではなく『人生を最高にする「ための」2年間』にすべく、これからも勉強にその他の活動に励んでいき たいと思います。

最後に、奨学生選考合格後から留学生活終了までに関わった全ての人々に、特に2006年度JIC奨学生に多大な支援 をくださったJICの方々に感謝の意を込めて最後の奨学生レポートを終えたいと思います。今まで本当にありがとうございました!そして、これからもよろし くお願いいたします。

2007年7月21日

西村崇
東京大学文学部
行動文化学科社会学専修課程4年

<写真>

1、Illinois Japanese Association(IJA)のポットラックパーティーにて
2、ロッキー山脈にて
3、全ての片づけが終わった後の寮の自室
4、Mt.Garfieldにて

西村崇さんの2007年4月奨学生レポート

006年度奨学生4月レポートの第4弾は西村崇さんです。西村さんは日常の出来事からアメリカという社会について深く考えたり、アメリカの特徴ある場所を訪れたりしています。とても興味深い西村さんのレポートを、どうぞお楽しみください。

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陽春の候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。JICの皆様はいかがお過ごしでしょうか。ここアーバナ・シャンペーンでもようやく春が訪れ・・・ と言いたいところですが、3月中旬~下旬に2週間ほど暖かくて天気のいい日々があったのを最後に、どんよりとした雲空と最高気温10度以下の日々が続いて 冬に逆戻りしたような気分です。この帰国までの短い日々の中で、ここの澄み渡った青空を見る機会があまりないのだなと考えるのは少々憂鬱です。しかし、そ の寒空の下では先学期にも増して充実した日々が過ごせているという自信があります。

今回のレポートでは、春学期の日々の生活から、春休みのアメリカ国内旅行についてお話していきたいと思います。

<授業>

今 学期は、SOC226 Political Sociology, SOC367 Globalization Dynamics Debates, SOC 380 Social Research Method, SPCM323 Argumentationの4つのクラスをとっています。今学期は授業以外の活動に時間を使いたいと思い、クラスのレベルを上げる代わりに授業数を減ら して金曜日を完全休日にしました。先学期に勉強に集中して取り組んだ分だけ、同じ時間で処理できる課題の量が以前に比べて大幅にアップした感覚があり、少 ない勉強時間で成績を維持することが出来ています。もっとも勉強以外に費やす時間が大幅に増えているので、相変わらず睡眠不足の日々は続いています が・・・さて、上の授業の中からお気に入りの授業2つについて紹介したいと思います。

・SOC367 Globalization Dynamics Debates

冬 休み中に参加したドミニカ共和国での短期プログラムの影響で、Globalizationという現象が世界各地にどういう影響を与えているのだろうかとい うことに興味を持ち始めていたので、またせっかく留学しているのだからアメリカ人や海外の大学生とひとつのテーマについて討論する機会を持ちたいと思い、 今までほとんど縁の無かった分野の授業をとってみることにしました。そして結果的に、この一年で一番面白い授業に幸運にもめぐり合うことが出来ました。教 官はイラン革命に参加したこともある中東出身の方で、せいぜい20世紀後半ぐらいから、あるいは先進国の視点から語られがちなGlobalization という現象やそれが及ぼした影響を、歴史的な観点からあるいは発展途上国などの視点から批判的に捉えなおしていくという講義をしてくださいます。授業のタ イトルの”Debate”の意味は「研究者・識者間の論争」というもので、残念ながら授業中に学生同士が議論するという機会があるわけではないのですが、 それでもなお、これからの世界を考えていくうえで、あるいは日本国内の問題(例えば、フィリピン人看護士受け入れ問題)を考察していくうえでも貴重な視点 が得られているという心地よさがあります。また、単に講義の内容だけでなく教官が授業中にしばしば発するジョークも冴え渡っていることも、この授業をより 魅力的なものしてくれています。ちなみに一番の私のお気に入りのジョークは、多国籍企業や先進国がどういう場所に投資するかというトピックについて講義し ていた時に、イラク問題に関連させて教官がおっしゃったものです;”You know, people do not want invest their money in unstable places because of the fear of losing money. Or, you should be Dick Cheney”

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・SPCM323 Argumentation

先学期に履修したSPCM101 Public Speakingの授業が、英語のスピーチの練習をするうえでもどのようにスピーチを書いていくかを学ぶ上でも役にたったことから、今学期も何かしら Speech Communicationの授業をとりたいと思いましたそこで自分がどちらかといえば苦手としている議論のやり方などを学べればよいと思い、上記の授業 を履修しました。授業が始まる前は、ディベートなどの口頭での議論を練習していく授業を想定していたのですが、実際に始まってみると、媒体を問わずいかに して有意味な議論をつくりだしていくかということに主眼が置かれ、課題の内容も、新聞への投書作成から巷で論議を呼んでいる話題について紹介するプレゼン テーション、「トールミンモデル」と呼ばれる議論の形式に関する理論を用いて先日アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画『不都合な真 実』(“Inconvenient Truth”)を批評する課題、ディベートなど多岐にわたり、様々な切り口から議論の深め方について学んでいけてとても楽しいです。人生で初めて出した投 書がシカゴ・トリビューン紙のWebサイトに掲載されたことは、ちょっとした記念になりました(笑)

また、この授業を履修していて印象深 い点は、決して単なるスキルの修得に終始していないことです。文献課題の大半は修辞学などの分野での主要な論文で、”Argumentation”の定 義・適用範囲や過去と現在を比較して議論画タイプ別に社会に対してどのような影響を与えうるのかといったトピックを扱っています。これらの文献課題を読ん でも、上手な議論の進め方が分かったり説得力のある文章を書くためのヒントを得られたりというように直接的な利益があるわけではありません。ただ、このよ うな作業を通していくことで、表面的なスキルを修得するだけでなく良質な議論の受容者、発信者になることを目指していくという授業の方針は、アメリカの大 学での授業はとにかく実践的なものが多いというステレオタイプを持っていた私には少なからず衝撃的なものでした。それと同時に、日本の現状に対しても若干 危機感を覚えるものでした。単純に言ってしまえば、日本の風潮として、実践的なことを学ぶことばかりが奨励されて、理論的なものが軽視されていると個人的 に感じています。しかし、もし理論と実践の両方をこなしてきた者が競争相手となったのなら―そして振り返ってみれば、UIUCで受けた授業の大半は両方こ なすことを求められていましたが―、(大げさに言って)日本人は果たしてこれからも立ち向かうことが出来るのだろうかと疑問に感じています。この点につい ては、できれば最終レポートで考察を深めたいと思います。

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<課外活動>

上の方でも述べましたが、今学期はなるべく授業以外のことにも時間を割こうと思い、時間を見つけては外に出て何らかのプログ ラムに参加したり、寮の友人達と様々なトピックで話をしたりしています。今回のレポートでは、その中からIllinois Leadership Center主催の”Insight”というプログラムについてご紹介したいと思います。

・”Insight”プログラム

イ リノイ大学では、”Illinois Leadership”というなるものを大学の一つの誇りとしていて、学部の授業としてはアメリカでもこの大学独自の授業といわれている ”Introduction to Leadership”という授業もあるなど、Leadership教育を充実させています。その教育の中心にあるのがIllinois Leadership Centerという機関で、学生に対して様々なプログラムやインターンシップの機会などを提供しています。メインプログラムとしては全部で5つあるのです が、その全てが大学の卒業生や民間企業による寄付金で賄われているため、驚くべきことにホテルへの宿泊を含むプログラムですら参加費用は全て無料です。そ のため学生の間での人気も非常に高く、参加者の募集が始まるとすぐにFullになってしまうほどです。このプログラムの存在を知って以来、自分も参加する 機会を伺っていましたが、先日ようやくその願いを実現することができました。

私の参加したプログラム”Insight”は、グループワー クやワークシートへの作業を通じていわゆる自己分析を1泊2日かけて行うものです。JICの奨学生に選出されるまで就職活動をしていた者としては、残念な がらプログラムの内容自体には目新しいものを感じませんでしたが、プログラムの充実度には感心しました。会場までは高速バスをチャーターして、一泊数十ド ルはするだろう中級ホテルを何十室も借り切って宿泊し、食事・軽食なども無料、性格診断なども受けさせてもらえて、最終的には参加者全員がプログラム参加 記念の写真立てをプレゼントされるというように、いったいどれほどのお金と時間が準備と実行に費やされているのだろうと思います。これだけのプログラムな のに参加費用は無料ということに、イリノイ大学の学生はいかにめぐまれた環境で生活を送っているのだろうということを改めて知らされました(もちろん、そ の分学費も高いわけですが…)

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<春休み>

春休みは、一緒に旅行を計画していた相手が直前になって遠出ができなくなってしまったために、残念ながら一人でコロラド州とネ バダ州を旅行していました。いかにもアメリカらしい場所を回りたいという単純な理由から、ロッキー山脈があるデンバーと世界最大の歓楽街のひとつであるラ スベガスにそれぞれ2日間ずつ滞在し、今は寂れてしまった町で金鉱山の歴史を誇らしげに説明する元鉱山労働者がいる一方で、途上国数ヶ国に相当するエネル ギーを消費しているのではないかと思われる街が共存しているという現実を前に、この国の幅広さを体感しました。

ただ、この旅行で一番興味 深かった時間を過ごせたのは、ある日本人女性の方と話した時のことでした。デンバーには、「さくらやスクエア」というデンバーに住む日本人コミュニティに よって運営されている共同施設や小売店が集まっている地域があるのですが、そこにある中古書店兼レンタルビデオ屋を興味本位で訪ねたところアルバイトをし ている中年女性の方とたまたま出会い、しばしお話させていただきました。その方は70年代前半にアメリカ人男性と結婚して渡米して以来、現在に至るまでの ほとんどの時間をアメリカ人で過ごされてきた方で、デンバーには80年代半ばから住んでいるそうです。長期滞在者から見た日本、バブル期に絶頂を迎えたデ ンバーの日本人コミュニティ、それに関連して日本人が起こした不名誉な事件と東洋人への偏見、そして近年の韓国人・中国人コミュニティの進出と日本人コ ミュニティの衰退、デンバーで深刻化する富裕層と貧困層の棲み分け問題・・・淡々な彼女の口調とは逆に、語られる話はどれも生々しくかつ刺激に富むもので した。お話しした時間はたった1時間ぐらいだったと思いますが、この1時間があっただけでも旅行した甲斐があったと感じさせてくれる時間でした。

以 上、春学期の生活とアメリカ国内旅行についてお伝えいたしました。奨学生の先輩方からは、春学期は時間が過ぎていくのが早く感じるとお聞きしていました が、本当にそのように思います。残り1ヶ月、授業だけならば2週間を切りましたが、アメリカを離れる最後の瞬間まで最大限に満喫して留学生活を終えたいと 思います。次回のレポートを書く頃には、既にこの留学を終えて日本に帰国している頃でしょう。次回には、留学の総括についてお送りしたいと思います。

最後になりましたが、私達の留学を支援してくださっているJICの皆様方、東京大学関係者各位、日本にいる家族や友人、そしてここで出会った全ての友人達に、この場を借りて心から感謝いたします。
2007年4月20日

西村崇

東京大学文学部
行動文化学科社会学専修課程4年

<写真>
1、気温が氷点下だった日の深夜にもかかわらず雪と戯れた後、友人達と
2、ロッキー山脈
3、ラスベガス
4、ドミニカプログラムの友人達とバーにて

2006年度奨学生レポート 特別編「奨学生座談会」

「JIC留学生による座談会」

2006年度奨学生の方から座談会を行ったというお知らせが届きました。これから留学なさる方などは是非参考にしてみてください。

昨 年の12月9日にJIC奨学生4人(佐藤茉莉子、河手賢太郎、西村崇、川島今日子)で集まり座談会を開きました。アメリカへの到着時のエピソードや寮での 生活を中心に話しました。私たちの生活ぶりが少しでも皆様に伝えられれば幸いです。また、今後留学する人たちが役立てくれればと思います。

質問:渡米後最初のご飯はどこで食べましたか?

佐藤:夜ご飯をスキップして寝ちゃったの。夕方についてすぐに買い物に連れていってもらったんだけど。最初の日ですでにコスモ の人の良さに感動したかな。でも夜ご飯食べる元気はなくてそのまま寝ちゃった。

川島・西村:初日から買い物に連れて行ってもらえるなんて、さすがコスモ(笑)

西村:僕 は、みんなよりかなり早くシャンペーンに到着したよね。8月12日の夕方には着いていて、ISRという寮にしばらく滞在していました。最初の夕食は、グ リーンストリート沿いの、Zorbasというお店でギリシャ式のサンドイッチを食べました。最初に食べた時からそのお店は気に入っていて、今でもちょく ちょく通ってます。

河手:ユニオンに泊まろうとしたけれども部屋がいっぱいで、とりあえず途方に暮れました(笑)。
結局深夜0時ころタクシーを使って郊外にあるホテルに行き、45ドルも払って1泊しました。翌日はホテルの近くにあるレストランでご飯を食べました。目玉焼きとベーコンエッグとコーヒーおかわり付き。シンプルなアメリカン・ブレクファストでした。

川島:私はウィラード空港で韓国人のミンさんという女性に話しかけられて、車でキャンパスへ連れてきてもらい、グリーンストリートの韓国料理ドルカスでお喋りしながら食べたのが初めての食事です。

川島:ところで西村君、学部寮には到着した日から入れるの?

西村:ISRと言う寮にはtemoprary housingという制度があって、学期休み中でも予約すると泊まれます。

川島:いつ頃自分の寮に移動できたの?

西村:8月15日のオリエンテーションの日に移動しました。

佐藤:私は部屋を探すのが面倒くさかったから、コスモにしたのも結構あるかも。去年の人が大変だったって言ってたから。しかも私ドームフード食べたくない、太りたくないって思ってたし。

川島:コスモは住みやすそうね。

佐藤:本当にびっくりするくらい古いけどね(笑)

川島:創設約100周年だね。一階の壁に飾ってある写真も相当古い。

佐藤:部屋が広いのはいい。授業でバレエを取ってるから、毎日部屋でストレッチしている。

西村:寮の部屋だとストレッチする程のスペースがないよね・・・

河手:寮だと、ラウンジがあるじゃん。そこでストレッチしなよ。

川島:西村君がラウンジで黙々とストレッチねぇ…(想像してみる)。近づきたくないよね。

佐藤:ひどーい(笑)

河手:ブリッジなんてしていたらさらにひきますね。

佐藤:ところで河手君や西村君も最初コスモに入ろうとしてなかった?

河手:うん、考えていたよ。「昨年度はJIC奨学生4人がなかなか学部寮に入れずにいて、住まい探しに苦労した」って聞いていたからね。

西村:僕も河手君と同じ事を思っていました。ただ、コスモに入ろうか入るまいか躊躇しているうちに、佐藤さんに先んじられてしまって・・・(笑)

川島:私もコスモは良さそうだと思ったけれど、他のオプションも考えて迷っていたな。

西村:ただ、コスモに住むとなると自炊しないといけなかったからね。あんまり料理や食材の買出しに時間をとられたくないと思っていたので、正直僕も迷っていました。

佐藤:私にとっては自炊できるのが一番の理由で、とりあえずアメリカへ来て太りたくないと思ってたから(笑)。自炊できるところで、すごい安くて、しかも部屋が広いって前の年の奨学生の方が言っていたし、ついてすぐテンポラリーハウジングを探すのが嫌だったんだよね。

河手:なるほどね。それに昨年のJIC奨学生の甲田さんが強調していたけど、コスモに住むといろんな国の人と知り合いになれるよね。

佐藤:で もね、最初の頃全然人と出会わなくて・・・15人いるはずだったのに全然で出会わなくて、すごく寂しかったんだよ。基本みんなGradStudentだか ら生活の時間帯が合わなくて、みんな何してるの?どこにいるの?って思ってた。最近はみんなと仲良くなっていっしょにぶらぶらしてるけど。そうそう今は学 部生はミシェルと私の二人だけだよ。

西村:それにしても、3人が躊躇してる間に、佐藤さんにはいっと手を挙げられたから(笑)。僕ら3人はコスモはあきらめざるを得なかったよ。

川島:うん、誰かが手を挙げるかな、と思っていた。

河手:僕は「誰か住みたいだろうなぁ」と思って、結局、いちばん最後に残った選択肢でいいや、と思っていた(笑)

1: コスモとは「コスモポリタン・クラブ」の略で、毎年JIC奨学生から1人はお世話になっているアパートです。世界各国からの留学生と一緒に暮らせ、かつ校舎からも近いという点からJIC留学生から根強い人気を得ています。

佐藤:河手君が今住んでいるFARは最初から希望していたんじゃないの?

河手:FARに決めたのは、もともとJIC奨学生が作成したアドバイス集にFARが紹介されていたから、じゃFARにしようということで決めたんだ。すごくシンプル。結局、住居についてはこだわらなかったなぁ。とにかく住めればいいや、って(笑)。

佐藤:それにしても西村君はすごいよね。いつも下調べをして。

西村:住 む場所は特に大事だと思っていたので。寮に住むことはすぐに決めたんだけど、学部寮にするか院生寮にするかで散々悩みました。ここに来る前は、アメリカの Freshmanに対して、全員がparty好きでとにかくやかましいというように、今から考えれば偏見に満ちたイメージを持っていたので、自分の性格を 考えた時に、そういうところに混じってやっていけるのかどうか、ということが不安だったので。かといって、院生寮だと部屋に閉じこもってしまいそうだとも 思ってもいました。学部寮の中でも、特にLiving Learinig Communityというのは特殊なプログラムがあるということで色々見ていて、過去の奨学生の古川さんという人のレポートを読んでみても、開放的な雰囲 気で一番いいかなと思い、結果的にGlobal Crossroad(以下 “GC”)に決めました。

川島:Living Learinig Communityではどういうことをするの?

西村:ニュー スレターにも書いたけれども、要は文字通り「住みながら学ぶ」ということです。それぞれのコミュニティにはテーマがあって、Global Crossroadは国際交流がテーマです。他には例えば、Six packのGregoryにはLeadsというコミュニティがあって、そこにはリーダーシップを学びたい学生が集まってきます。また、コミュニティの人だ けが受講できる特別なプログラムもあって、例えばGlobal Crossroad(以下、GC)の学生が優先的に受けられる国際関係論入門があったり、あとは寮のSocial Eventが多かったりと、一般的な寮よりも充実した生活が送れていると思いますね。

佐藤:アパートに住んでいる川島さんは、どうしてアパートシェアをしようと思ったの?

川島:寮ではなくアパートを選んだ理由は、自炊がしたかったのと、去年の奨学生が秋学期は希望した寮に入れなかったと聞いて大学寮に対して不安があったから。キャンパスから遠いOrchard Downに住むことになったら、車が無いので困ると思って。

西村:それはやっぱり懸念したよね。去年のJIC奨学生の白水さんの場合は、最初Orchardを割り当てられたらしいし。それはないだろうということで、Illini Towerに変えたらしいので。

川島:一 人の空間も欲しかったから院生寮のSherman Hallも考えたけれど、部屋がとても狭いと聞いていたので躊躇。学部寮に関しては、年の若いFreshmanが多く賑やかでもあり騒々しくもあると聞い て、自分に合うかな?と考えて。アパートシェアは日本ではあまりやらないし、アメリカらしい経験ができると思ってアパートを選択しました。

佐藤:コスモは一人部屋だからいいなー、って思ってたよ。

川島:ア パート探しは、UIUCのStudy Abroad Officeウェブサイトの掲示板を利用したよ。これは部屋を貸したい人と借りたい人が連絡をとるための掲示板。「一年間のルームシェアを探しています」 というメッセージを出し、何人かとe-mailで交渉して決めました。今はグリーンストリートの少し北のアパートを3人でシェアしていて、個人のベッド ルームがあり、キッチン・バス・トイレが共同。大学寮もイベントがあって楽しそうなので、来学期に移ることも考えたけれど、アパートをサブリースする相手 を探すタイミングを逃してしまって。でも、「住めば都」で落ち着いてきたので、この選択も良かったかなと思っています。

佐藤:それにしてもイリノイ大学に来るまでどの寮がいいかとかイメージが全く分からなかったよね。どの寮がどこにあるかとかも、地図を見ても見当が付かないよね。

川島:私 は、ハウジングについて、事前にもう少し詳しい情報を集めるべきだったと思う。例えば各大学寮の特徴や利点、おおまかな地理関係など。工学部の授業は Quadの北、自然科学系ではQuadの東や南、人文系ではQuadの南が多いよね。もちろん必ずしもそうでないこともあるけれど、授業のある建物や自分 がよく利用する建物と住まいが近いと、特に寒い冬は助かる。私は最近CRCEをよく利用するので、目の前にある学部寮のAllen Hallが羨ましい!そういう情報は過去のJIC奨学生に聞けば快く教えてくれるはず。

質問:みなさんは来年住むならどこに住みたいですか?

佐藤:次に住むとしたら、やっぱりコスモだな。インド料理食べたし、タイ人とタイカレーを作ったし、アメリカ人に教えてもらいながら、キャロットケーキを作ったり、インド人と一緒に映画を見たりとか。コーヒーアワー もあるし。

西村:GCの場合は時間帯にもよるけれども、会話をせずにどこかに行くことが不可能というくらい、誰かと顔をあわせるかな。

佐藤:そういうところがいいよね。コスモはみんな自立してるから。喋ろうと思えば喋れるけど。

西村:英 語の練習という点から言うと、瞬発性が鍛えられるのは、GCかな。もしこの一年間を経た後でまた住みたいかと聞かれたら、多少考えるけれども、(英語の運 用能力などが)去年と同じ状態で部屋探しをしろと言われたら、やはりGC になるだろうね。と言うのも、今学期とった社会学のAdvacnced Classでは毎週2,3本の論文を読まなければならなくて、他の授業でももちろん大量の宿題があったから、どちらかといえば部屋に閉じこもる時間が多 かったわけです。でもそういう中でも、誰かと話すちょっとしたきっかけが作れる環境に住んでいたのは、とてもありがたいことだと思ったから。 Sherman Hallの廊下を見たことがあるけれども、気軽に人と交流していくのは少し難しいかなと思ったし。学部寮には食堂もあるから、誰かを誘って食事にいくこと もできるしね。ちなみに、ダイニングホールのご飯はすごくおいしいと思います。ただ、さすがに朝食は飽きてきたけど(笑)。

河手:食堂はバイキング形式なので、「肉料理はあまり食べないようにしよう」とか「野菜中心の献立にしよう」とか自分で決めることができる。つまり自分の体を自分でケアできる。そこがいい!

西村:そうだね。アメリカへ来て思ったことのひとつとしては、こちらではベジタリアンが多いということ。だから、食堂では野菜がしっかり揃っているよね。

河手:寮での食事の利点は、食事を作る手間が省けることと友人と一緒にご飯を食べられることに尽きる。買い物に行かなくてもいいし。時間が節約できれば、その分はアサインメントをこなしたり、ソーシャルライフを楽しめるよね。

佐藤:コスモでは住んでいる人の国籍が違うから、一緒に買い物に行くときはみんな違うものを買ってそれがおもしろい。インド人の棚にはいろんなスパイスがあるんだよ。アフリカ人の人とかも結構ご飯を作っていてびっくりした。ご飯はアジアのものだと思ってたから。

西村:川島さんは来年住むとしたら、どこに住む?

川島:コ スモやGCで住みながら知り合いを増やせるのは魅力的。アパートではネットワークが広がらないので。または仲の良い友達と4・5人でアパートをシェアする のも楽しいと思う。同じアパートの4階に住む友達は、女の子5人で住んでいて、遊びに行ったら賑やかですごく楽しそうだった。

佐藤:私は、グレゴリードライブにあるアパートに1回行ったことがあるんだけど、すごくきれいで、住みたいと思った。だから1年いて、来年も住むんだったら、仲が良い子ときれいなアパートに住みたいな。

川島:こ ちらに住んでいればきれいでリーズナブルなアパートを見つけるのは可能だけど、私のように日本からインターネットに頼ってそれを探すのはとても難しい。実 際に部屋を見ないと様子が分からないから。私のアパートは入居当初は掃除が必要な状態で、日本から持ってきた雑巾が活躍しました。

佐藤:私は甲田さんが残していってくれた掃除道具を使ったよ。でもあとから親に掃除機買ってもらったけど(笑)。来年来る人にコスモポリタンなら薦めるけど空きがあるか分からない。

河手:僕 はFARを薦めるね。FARは共通のロビーをもつ二つ大きなビルで構成されていて、一つの階に約40部屋。一つの部屋に二人は入っているから、一つの階に 80人前後はいる。そして二つの建物にはそれぞれ12フロアあるから、合計でFARだけで約1920人の学生が住んでいる。朝授業へ行くとき、夕方寮に 戻ってくるとき、1階にある食堂に行くときなど、一日のうちで何度も通るロビーでは毎日一人か二人の友人とは顔を合わせるよね。そして知り合いが知り合い を生んでいくから、ロビーに行けば話し相手が必ずいるよね。待ち合わせ場所にもぴったりだし。
他の寮見れば分かるんだけれども、例えばSix Pack。1500人~2000人は住んでいると思うけど、共通のロビーがなくて、2階建てくらいの一つ一つの建物の廊下が直接外に通じているから、FARのようにはいかないだろうね。

佐藤:自炊もすごい楽しいよ。

2: コーヒーアワーとは、コスモで毎週木曜夜に催されるソーシャルイベントのことです。ある国をテーマにその国に関するプレゼンや料理を楽しむことができます。

質問:ルームメイトとの関係は?

河手:人によると思うけれども、僕の場合はルームメイト以上に、同じフロアの友人と一緒に過ごすことが多いよ。

西村:僕 の場合も、(ルームメイトはただの)共同生活者という感じですね。僕のルームメイトはオランダからの交換留学生でEelcoという名前なのだけど、 Outgoingなタイプの人間なので、そもそも一緒にいる時間もないので会話もあまりありません。最近は、特に感謝祭休みが終わってからは、彼女をほぼ 毎日連れてきては一緒に映画を見たりいちゃいちゃしてたので、さすがにこの前に堪忍袋の緒が切れて、散々文句を言いました。まあ、半ば予想していた通り、 彼はI did not know you were frustratedと言ってくれましたが。文化の違いを感じて、いい経験でした(苦笑)。

佐藤:そ うそう、関係ないけどさ笑、あたしブラックコーラスでできた友達とfacebookでけっこうつながってるのね。そしたら一緒に住んでるドイツ人の女の子 から「まりこはすごいね」って言われたの。珍しいのかなぁ、これって。でも確かに、黒人の子とは、ブラックコーラスを取ってなかったら友達にならなかった かもしれない。

西村:僕も黒人の友達はあまりない。

河手:黒人の友人なら授業や課外活動を通して知り合う機会が多いね。意識的に作った方がいいと思うよ。黒人はお互いbrotherhoodとも呼べるような固い紐帯でむすばれているみたいで、一人と友達になればどんどんネットワークが広がっていく。

川島:私は、履修した授業のせいか、比較的黒人の学生と出会う機会が少ないかもしれない。

佐藤:分かんないけど、なんとなくアジア人との方が交流しやすくない?

西村:アジア人かどうかではなくて、要は気が合うかどうか、という気がする。アジア人はアジア人で固まってるけど、黒人は黒人で固まっている。一人と友達になれば広がっていく気がする。

西村崇さんの2007年1月奨学生レポート

2007年度1月奨学生レポートの最後を飾るのは西村崇さんです。西村さんは学生ならではのバックパック東海岸旅行や、貴重なドミニカ共和国での体験をし てきたようです。どこか緊張感と楽しみの混じった懐かしい気持ちが沸いてきます。どうぞ西村さんのレポートをお楽しみください。

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寒中お見舞い申し上げます。日本でも厳しい寒さが続いていることと思いますが、JICの皆様はいかがお過ごしでしょうか。ここアーバナ・シャンペーンでは 昼間から連日零下を軽く下回る気温が続いていますが、今のところ予想していたほどの寒さではなく、元気に日々を過ごしております。2週間ほど前に新学期も 始まり、今ではすっかり日常生活を取り戻しています。

今回のレポートでは、サンクスギビング休暇から、学期末試験と友人の家でのクリスマス、そして冬休み最大の目玉であったドミニカ共和国での短期留学プログラムにお話していきたいと思います。

(サンクスギビング休暇)

サ ンクスギビング休暇期間は、寮の友人3人(韓国人2人、中国人1人の混成グループ)とともにボストン・ニューヨークを一週間かけて旅行いたしました。約2 週間にわたって課題の締め切りや中間試験への準備に連日終われる日々から解放された後での旅行は、中間試験期間で荒みきった(?)心を癒す上でも好奇心を 満たす上でも格別なものでした。ボストンではアメリカ独立戦争に関わる史跡を辿りながらの市内散策や、MITやハーバード大学といった名門大学のキャンパ スを巡り、ニューヨークではエンパイアステートビルからの夜景を満喫したのを始めとして、自由の女神の見学ツアーへの参加、ウォールストリートやブロード ウェイといった名所巡り、美術館見学、ジャズコンサートの鑑賞、そしてグラウンド・ゼロ訪問…時間と体力の許す限り歩き回り、両都市とも観光ガイドにのっ ているぐらいの名所ならほぼ制覇しました。

そしてこの旅行では、アメリカの大学生がどのように旅行するかということを体験するうえで も面白い日々でした。どこの国でも大抵の大学生というのは旅行するだけのお金がありません(笑)そのため、余計なところの出費を削って価値のあることに資 金を使うというスタイルで私達は旅行しました。例えば、ホテルではさほど広くもないツインベッドを男4人で共有したり、鉄道や高速バスをなるべく利用した りして節約し、その分のお金でボストンの老舗のシーフード店でロブスターを注文するというようにです。おかげで初めて鉄道の中で一晩過ごすなど、様々な貴 重な経験が出来ました。また、一日の終わりにはその日を振り返って観光名所やレストランの質についてレビューをしたり、旅行プランを変更するさいには考え られる選択肢をできる限り挙げてその場でディスカッションをして決めたりするなど、旅行の際にも何かにつけて議論をしたがる彼らの性格を垣間見た気がしま した。

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(学期末試験とクリスマス)

サンクスギビング休暇が終わると、息をつく暇もなく期末試験期間へと突入していきました。大抵のアメリカ人学 生が自宅でのんびりしている期間を旅行に費やしていたわけですから、疲れと1週間近く何も勉強していなかったことによる精神の緩みで、授業再開後の数日は なかなか勉強に集中しない日々が続きました。しかし調子を取り戻してからは中間試験時よりスムーズに課題や試験をこなしていくことができ、最終的に GPA4.0の成績で秋学期を終えることができました。厳しいことで有名なアメリカの大学の授業で好成績を残せたことを嬉しく思う反面、授業中や中間・期 末試験期間中の寮の雰囲気、イリノイ大学の平均GPAが2点台という事実を鑑みると、一般に言われているほどにはアメリカ人の大学生(少なくともイリノイ 大学の学生は)はGPAを気にしておらず、バランスよく遊んだり勉強したりしているのかなと思いました。もっとも、それでも日本の大学生よりははるかに勉 強していますが。

16日に学期末試験を終えてからは、1週間だけ日本に帰って24日にまたシカゴに舞い戻ってくるという忙しい日々を 過ごしました。それもこれもアメリカの一般家庭でのクリスマスを体験するためです。24日、25日は寮の友人の一人であるCory君の家に泊めてもらい、 アメリカのクリスマスを体験させてもらいました(偶然にも、同じJIC奨学生である佐藤さんも一緒に泊まりました)。シカゴ郊外にある広々とした家では、 彼の家族全員が温かく迎えてくれたばかりか、25日のクリスマスの日には私や佐藤さんの分まで沢山のプレゼントを用意してくれていて、知り合って間もない 友人を丁寧にもてなすアメリカ人の懐の深さを感じました。国際線の運行乗務員である私の父が「アメリカ人は、一人一人は非常に気のいい連中だ」としばしば 語ってくれたのですが、その言葉を実感した2日間でした。

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(ドミニカ共和国での日々)

12月26日からは、この冬休み一番のイベントであるドミニカ共和国での短期留学プログラムがスタートしまし た。早朝にオヘア空港を出発し、プエルトリコを経由して夕方頃に首都サント・ドミンゴに到着しました。出発地のシカゴの気温が零下であったのとは裏腹に、 現地の気温は夕方にもかかわらず25度近くあり、高い湿度も相まって到着時には僕を含め参加者達はみなへとへとになっていました(笑)

以 前のレポートでもお伝えしましたが、私のコースのテーマは「Diversity & Integration in the Dominican Republic」で、グローバリゼーションがドミニカ共和国にどんな影響を与えたのか、具体的なトピックとしては、観光産業、移民問題、経済のグローバ ル化と産業・労働環境の変化、文化と人々の関わりなどを学んでいきました。他の国でのコースと比べて、現地の人々の視点からドミニカ共和国を捉えていける よう実体験に重きをおいた活動が多数取り入れられていたのがこのコースの特徴で、しばらくこの地を訪れる必要がないのではないかと思ってしまうほどに、3 週間でまわれる限りの場所をまわりました。サーファーの間では世界10大名所のひとつとして知られるCabarete Beach、モノカルチャー経済からの脱却を図って山間部での農業振興が計られているJarabacoa、観光者相手のセックス産業で悪名高く、夜のバー には売春夫・売春婦がたむろするSosua、過去の独裁者の威光がいまだに残るドミニカ第2の都市Santiago、そして昼夜を問わず町中に響き渡る音 楽にあわせて暇さえあれば踊り始める人々...この三週間の日々で見たこと・感じたことを詳細に書くにはいったいどれくらいのページ数が必要なのだろうか と思うぐらいに貴重な体験の連続でした。

また、アメリカ人の学生達と3週間も寝食をともにした日々も貴重な経験でした。スペイン出身 の教官に率いられた合計20名の学生達は、人種的にも出身地としても多様性に富んでいてまさにアメリカの人種・国籍の多様性を象徴するようなグループでし た。また一人一人にも癖があるのが面白く、例えば、経済学の原理を応用することで世の中の問題を全て解決できると信じているマリオ、ダンスの達人でみんな に踊り方を教えてくれたバネッサ、そして私の一番の友人で物理学専攻ながら社会科学的な議論においても、鋭い洞察力と批判的思考を兼ね備えたデレックな ど、このような彼らと出会えたことを大変幸運に思います。前回のレポートでお伝えしたように、このメンバーで行うディスカッションは時折 ”I totally disagree with your idea!” という言葉が飛び交うほどに激しいもので、最初は慣れるのが大変でしたが、最後の1週間ほどは普通に発言するようになり、やっと自分も一員になれたのかな という思いがいたしました。(ちなみに新学期が始まりましたが、先学期も今学期もこのプログラムに匹敵するだけでの激しいディスカッションを行う授業には 出会っていません。)

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そして、ドミニカでの日々は、彼らの習慣や考え方の特徴を理解するヒントを得るうえで大変意義深いものでした。例えば、こんな事件がありました。プログラ ムが終わりに近づいた頃、何人かの学生がある日の自由時間に滞在場所から少し離れた海岸でのスキューバダイビングを計画したのですが、別の日に予定されて いた果物プランテーション見学の日時が天候の都合で延期となり、その自由時間に見学に行くことになったのです。スキューバダイビングに参加するつもりだっ た学生の一人がその事を告げられると教官に対して猛然と抗議を始め、最終的にはスキューバダイビング組の別行動を承諾させてしまいました。アメリカでは、 自分の要求を実現するために粘り強い交渉が必要な場面に多々遭遇しましたが、まさか余暇の楽しみのために教官相手に真っ向から反論する学生までいるとは思 いませんでした。改めてアメリカ人の押しの強さを印象付けられた出来事でした。

ドミニカ共和国での最後の夜は、みんなで ダンスバーに繰り出してひとしきり踊った後、バーの近くにあった、この国ではポピュラーな雑貨屋券居酒屋のようなお店にてみんなでテーブルを並べ、お酒を 飲みながら歓談したり、店から流れる音楽にあわせて道端でダンスを踊ったりしました。そして、楽しくダンスを踊る友人達を横目にしながら星空をふと見上げ た時に、あることに気がつきました。いま、自分は何て幸せな時間を過ごしているのだろうと。人生はまだまだ先が長いのでいつがピークになるかは分かりませ んが、少なくとも一年前の自分よりは今の自分は遥かに素晴らしい日々を過ごしている自信はある。そう思わせてくれる程に、このドミニカ共和国のプログラム は、更に言えばUIUCで過ごした数ヶ月は充実したものでした。

まるで最後のニュースレターのように締め方になってしまいましたが(笑)、UIUCでの生活はあと4ヶ月残っています。今学期は先学期よりも更に充実させるべく、頑張っていきたいと思います。

最後になりましたが、私達の留学を支援してくださっているJICの皆様方、東京大学関係者各位、そして日本に戻った時に暖かく迎えてくれた家族や友人達に、この場を借りて心から感謝いたします。

2007年1月31日
西村崇
東京大学文学部
行動文化学科社会学専修課程4年

西村崇さんの2006年11月奨学生レポート

西村さんから11月分レポートが届きました。Global Crossroadsでの賑やかな寮生活と、ドミニカ共和国へのフィールド調査など、興味深いレポートをぜひお楽しみください。

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JICの皆様、お久しぶりです。皆様、いかがお過ごしでしょうか。シャンペーンでは綺麗に色づいていた紅葉も既に散ってしまい、日本より一足先に冬の訪れ を感じています。ここ2,3年は暖冬が続いていたため、これまでの奨学生の方々からも地元のアメリカ人の友達からも「今年の冬は普段以上に寒くなるだろ う」と忠告を頂きましたが、時折気温が10度以下になる日々が2,3日続くぐらいで、幸いにして今のところは快適な気候の中で過ごしています。シャンペー ンに到着してから既に3ヶ月が経過しましたが、私の中ではいまだに「もう」3ヶ月と言うべきなのか、「まだ」3ヶ月というべきなのか悩んでいます。なぜな らこれまでの3ヶ月は、「まだ」3ヶ月と言えるほどに勉強面でも日常生活の面でも密度の濃い日々を送ってきたからです。今回のレポートでは、日々の生活に 焦点を絞って奨学生生活を報告していきたいと思います。

(日常生活)

私は、学部生の寮であるPARの中にある Global Crossroads(GC)というコミュニティに住んでいます。このコミュニティはLiving Learning Communityというイリノイ大学の学部寮のプログラムのひとつで、勉強面での関心が似通った学生に共同生活の場やコミュニティ専用の授業を提供する ことで、文字通り生活しながら各コミュニティに沿ったテーマを学んでいくための場です。GCは国際交流の場を提供するためのコミュニティで、異文化に関心 をもつアメリカ人学生と留学生が半数ずつ、男女に分かれて二つのフロアに住んでいます。オープンラウンジを設けてあるなど通常の寮のフロアより開放的な造 りになっているために、部屋を出て少し歩いただけでも必ずフロアメイトの誰かと出会わないことはなく、毎月開かれるBirthday PartyやChicago へのOne day tripなど寮生間の交流を深めるプログラムも盛りだくさんで、フロアメイトとは「同じフロアの住人の顔を全員知っているフロアなんてGCぐらいじゃな い?」とよく言い合っています。留学生活のスタートを切る場をGCにするか院生用のSherman Hallにするかで、渡米前に散々悩んだのですが、GCでの住人間の交流の活発さと、友人を訪ねた際に入ったSherman Hallの閉鎖的な感じ(住んでないので実際にどうなのかは分かりませんが)と比較して、心からGCに住んでよかったと思いました。

普段 の生活は、今のところ良くも悪くも勉強中心にしています。私の留学生活での目標の一つは、ネイティブの学生や各国からの留学生と十分に議論できるだけの能 力を身につけることです。日本人の中ではいくらか英語ができるほうだとはみなされていても、ネイティブや英語圏での生活が長い留学生達に十分に対抗しうる にはまだ力不足であることを、こちらに来てから残念ながら実感いたしました。そこで、今学期は来学期に飛躍するための準備期間と位置づけて、日々懸命に勉 強に励んでいます。留学生活最初の1~2ヶ月ほどは、課題の多さに慣れるのが大変で生活のサイクルを確立するのが大変でしたが、最近では生活に慣れたこと もあって順調に過ごしています。

ただ、勉強に励んでいるだけでは学部生の身分で来ているのにもったいないと思い、課外活動も充実させるよ うにしています。1つの学生組織に専念して活動しているわけではありませんが、掲示板のフライヤーなり、友人に教えてもらうなり、あるいはQuad Dayで登録したメーリングリストから流れてきたメールなりで知ったイベントの中で興味があるものには積極的に出かけていき、例えばPumpkin Patchなど日本ではなかなか経験できないような活動を楽しんでいます。奨学生選考の際に留学への意気込みを問われて、「睡眠時間以外は1分1秒たりと も無駄にせずに活動したい!」と言ったのですが、実際は睡眠時間を削ってまで何事にも精を出しているというのが現状です(笑)

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(授業)

今 学期は、Public Speaking, Intro to International Relationshipと自分の専門である社会学からIntro to Social StatisticsとTechnology and Society、またESLの発音クラスを履修しました。最近では冬休み中に参加するドミニカ共和国での短期留学プログラムのミーティングも始まり、日々 課題との格闘の日々が続いています。

こちらでの授業の全体的な印象を一言で言えば、学生を一定の水準に育てようという意志を教官達から強 く感じます。資料の調べ方や文献の読み方を教えるといった方法論から初めて、大量の文献課題や何度も課される大小のレポート、あるいは数度にわたるテスト やスピーチを乗り越えさせることで、どんな生徒でも必ず何らかの知識やスキルを身につけられるようにカリキュラムが組まれているように思われます。一言で 言えば、「生徒を手取り足取り教えている」といった感じで、その反面ある授業の中で何を勉強するかの自由度は低いように感じます。よく「アメリカの大学の 授業ではディスカッション形式が多くて積極性が求められるが、日本の大学の授業は講義が中心だから受身のままでも何とかなる」といいます。しかし課題の量 の多さゆえに、むしろ授業の内容に対して積極性を発揮しにくいアメリカの大学の授業のほうなのではないかと思います。典型的なアメリカ人への見方に「アメ リカ人は個人の自由を最大限に重んじる」というのもありますが、日本の大学、少なくとも東京大学のほうが何を勉強するかに関して個人の自由度が各段に大き いというところに妙なおかしさを感じます(もっとも、自由というよりも放任といったほうが正しいですが・・・)。

もっとも、教育機関とし ての責任を果たしているのがどちらなのかは言うまでもありません。更に言えば、イリノイ大学は勉強へのサポート体制も非常に充実していて、生徒に意思さえ あればいくらでも勉強を深めることができる点はとても魅力的です。教官はオフィスアワーを設けているばかりだけでなく、事前にメールを出せば大抵の日時で アポイントが取れますので、ほぼいつでも勉強内容に関して質問が出来ます。また、全米3位と自慢する図書館も素晴らしく、今年出版された本ですら大量に見 つかるほどの蔵書の充実振りには溜息すら出ます。単に蔵書の充実振りだけではなく、文献調査の都合でこれまでいくつかまわった分野別図書館では、各分野の 趣向を反映しているのかそれぞれの図書館の装飾などに独自の「色」があって面白いです。文献調査に関しては、図書館のHP上にある各種オンラインジャーナ ルから学問分野を問わずあらゆる種類の論文をダウンロードすることも可能で、方向性をしっかり定めて課題の下調べをしないと、逆に文献情報の渦に飲み込ま れてしまいそうになる程です。要求水準が高い授業が多いだけに、それぞれの課題に対してきちんと準備をするのが大変ですが、それだけにやり遂げた時の充実 感もまた大きいです。勉強していて充実感を味わうのは大学に入って以来久々なのではないかと思います。

今 学期の授業で出席していて一番楽しいのは、ドミニカ共和国での短期留学プログラムです。この短期留学プログラムは去年度の奨学生であった白水さんが発見し たもので、各国ごとに設定されたテーマに沿いながら、文献調査や現地でのフィールドワークを通してGlobalizationが社会に与えている影響を集 中的に学んでいくというものです。(余談ながら、今年は私や川島さん、佐藤さんと奨学生4人中3人も参加する人気振りです)。私の参加するドミニカ共和国 でのプログラムでは、Globalizationがドミニカ共和国へ与えた影響を、政治・経済・社会の面から分析していきます。既に事前ミーティングが二 度開かれ、専攻も学年も多様な約20人が交じり合って、活発に議論を戦わせました。前回のミーティングは、アメリカとメキシコの国境地帯にある多国籍企業 の工場での過酷な労働がテーマでしたが、議論の内容がアメリカの現ブッシュ政権の正当性にまで及び、教官が仲裁に入るほどでした(笑)この授業に限らず、 アメリカ人学生の議論はしばしば方向性がずれていくのが玉に瑕ですが、自分の意見をとにかく発していく積極性は見習わなければならないなぁと思います。白 熱した議論に割り込んでいくのはまだ難しいのですが、このプログラムが終わるまでには堂々と意見を表明できるだけのレベルに自分を高めていきたいと思いま す。

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今回のレポートでは生活面での話題に絞って報告させていただきました。新たに出来た友人たちとの交流や、こちらで接した日本観あるいは日本文化への視線な ど書きたいことは山ほどありますが、まだまだ考えを整理するのに時間がかかりますので、次回以降のレポートで報告していきたいと思います。

冒 頭では、「まだ」3ヶ月というべきか「もう」3ヶ月というべきかについて悩んでいると書きましたが、正直なところを申しますと「まだ」3ヶ月という感覚が 若干強いです。日々の生活が決して楽しいことばかりではなく、着いた当初はむしろ大変に感じることのほうが多かったからというのもありますが、今はむし ろ、来学期は今学期よりも更に活動の範囲を広げられるという予感がするからです。この予感を予感のまま終わらせないよう、来学期はこれまで以上に頑張って いきたいと思います。

最後になりましたが、渡米以前から私達奨学生のサポートをしてくださっているJICの皆様方、UIUCと東京大学の関係者の方々、昔からの日本の友人達、イリノイで新たに出来た友人達、そして両親と家族にこの場を借りて心から感謝いたします。

2006年11月30日
西村崇
東京大学文学部4年
行動文化学科社会学専修課程

2006年度奨学生 西村崇さんの自己紹介

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JIC のみなさま、はじめまして。2006年度小山八郎記念奨学金留学生に採用していただきました、西村崇と申します。現在、東京大学文学部行動文化学科の3年 であり、社会学という、日本ではあまり実態が知られていない学問を専攻しています。簡単に定義をすれば、「人間の生のあらゆる領域を研究する学問」といっ たところでしょうか。実際には個々の研究者ごとに研究領域を絞っていて、今のところの私の関心は「産業・労働」「科学技術と社会」「集合行動」にありま す。

 

世 界で最も社会学が盛んなアメリカで、その中でも留学先のイリノイ大学やシカゴ大学をはじめ、数々の優秀な社会学者を輩出した大学を多数擁するイリノイの地 で学ぶ機会を得ることができて嬉しく思います。今から授業への期待と、内容についていけるかという不安で一杯です。もっとも、就職活動を中断してまで留学 に挑戦するほど好奇心が強いため(笑)、自分の専門の勉強だけでなく、元々興味のあった心理学や経済学、国際関係論など他分野の授業、可能であればイン ターンなどの大学外の活動にもチャレンジしていきたいと思っています。自分の体力と精神力が持ちこたえる限り、全力で疾走していきます。

社会学や英語の勉強、住居探しなど、日本出発までに取り組まなければならないことは山ほどありますが、イリノイ大学での生活を充実したものにするために今から頑張り、かの地で、友人にせよ学問的素養にせよ、かけがえのない財産を手に入れて帰国したいと思います。