小俣日登美さんの2001年10月分レポート

jicmlメンバ各位,

古市 (’92-94 MS in Computer Science)です.

秋学期からJIC奨学生としてUIUCへ留学中の小俣日登美さんからのレポートが届きましたので,皆さんにフォワードします.小俣さんが取っているESLは授業としてつまらないようですが,私が92年の秋学期に取ったELSは,とても楽しくてためになる授業でした.授業の内容自体より,中米や中近東やアジア各国から来ている留学生と友達になることができた,というのが一番
良かった点だったのかもしれませんが...

これで2001年度の奨学生4名全員からの10月分レポートをお送りしました.
次回のレポートは年明けを予定してます.お楽しみに.

以上

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2001年度10月分レポート
小俣 日登美
東京大学 文学部美術史専攻 4年
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JIC奨学生の小俣です。

奨学生レポートが大幅に遅れてしまって本当に申し訳なく思っております。先週、ミッドタームが終わった後、風邪を引いて熱が出た上に、コンピューターのソフトウェアがおかしくなって、修理するのに一週間かかってしまいました。

レポート、どこから報告してよいのか分からないくらい、3ヶ月たたないうちに色々な事が起こりました。来る前は、英語の勉強を中心に、語学フリークなギークになるつもりでしたが、今は、勉強以外の経験で身をもって学んでいる事の方が多い気がします。犬も歩けば棒に、などと言いますが、毎日いい事・悪い事なにかしら想像していない事が起こります。

突然のテロに、炭疽菌事件。IDカードを無くしたこと。再発行してもらった後、古いのを再発見した事。きて早々に火傷してマッキンリーに行ってわけも分からないうちに注射されて痛かったこと。マウンテンバイクを飛ばしすぎて車にぶつかった事。でも無傷だった事。台湾人の女の子と仲良くなって、彼女に誘われて寮の中でも一番いい部屋に移れた事。コンピュータが故障した事。

きて早々は、日に日に英語力が退化していくような錯覚を覚えながら(そんな事は無いはずなのに)手続きに奔走して、毎朝ベッドから出るたびに、今日は一体どんな事が起こるのだろうと戦戦恐恐としていましたが、今は何でも来いと言う気分ですごしています。どんなに不快な事でも、いい事でも、とにかく初めてのことに毎日出会えると言うのは、新鮮で素晴らしい事です。新しい事に留めが無いので、日々ショックを受けて、感受性がどんどん研ぎ澄まされていくようです。

悶々としていても、自転車でキャンパスを走っていると、木も建物も皆美しくて不快な気分も晴れていくような気がします。遮るものが無くて360度広がっていくような青空を見ると、地平線の存在をひしひしと感じて、私、今大陸にいるんだな、と改めて実感します。アメリカ人の真似をして、クオッドで昼寝することも覚えました。今は少し寒いですが。

ここでは、本当に人間関係に恵まれて、充実した生活を送っています。美術史の教授は、私がクラネート美術館で働けるように取り計らってくれて、毎週金曜日には広重の浮世絵を生で見る機会を得て至福のときを過ごしています。彼女は、私がテストで奮闘していると、テストを家に持って帰らせてくれました。“ヒトミ、アナタガフラストレイトシテイルノハヨクワカルワ”のような親切な言葉をかけられると、ほろりとしてしまいます。来学期は、彼女についてIndividual Studyをして卒論の準備をするつもりです。

郡司先生には、週に一回お茶の授業でお会いして、毎回美味しい和菓子をご馳走になっています。私はお行儀が悪いので、たくさん注意されて躾直されている感じです。アメリカの母ですね。

新しいルームメートは、私より年下なのですが、私よりもずっと大人で、夜中に彼女と話し込んで、色々悩みを聞いてもらったりして、彼女の方が私の先輩のようです。せめてもの恩返しに、私はおかゆを作ってあげたりしています。

クラスでは、顔見知りも出来て、授業の後にはつかまえて、分からなかったところを説明してもらったりしています。

寮の中でも特にアジア人の留学生とは一緒にご飯を食べたり、プールに行ったりしています。

何よりも、一緒にきた奨学生仲間にはかなり助けられています。やっぱり一週間に一回くらいは、愚痴を日本語で言いたくなるものなのです。(おもに私が愚痴るのですが。) どうせアメリカ人に分からないだろうと高を括って、かなりえげつない話を声高に寮のカフェテリアでしたりしています。きっと、彼らが居なかったら、もっと孤独感に苛まれていたと思います。彼らと一緒でよかった。

基本的に、こちらの人間は反応が豊かで直接的なので、周りの人間の反応が、そのまま今の自分の態度の反映だったりします。だから精一杯微笑して、相手に“How are you? / What’s up?”と聞かれるまえに自分の方から聞いてやります。そうしたら、人が急に自分に親切になってきた気がして、自分で生活を良く出来るんだなと最近気づきました。当然のことなんですけれど、それまでかなり私が仏頂面で暮らしていたと言う事です。

英語が、まだまだコミュニケーションは出来ても、ニュアンスが伝えられないと思うと歯がゆい思いがします。3ヶ月でそんな事出来ないのは分かっていますが、Writer’s Workshopで自分が熟考して書いた文章の一文一文に、自分の伝えたい事と実際のニュアンスとのギャップを確かめると、口頭でのコミュニケーションでいかに感覚のすれ違い起こっているか、想像するも恐ろしい気がします。だからせめて、にこにこして態度でも精一杯表現しなくちゃいけないんですね。表現が不自由になった分、コミュニケーションを大切にするようになった気がします。

最後になりましたが、私の勉強の進み具合は、以下の通りです。

・中国美術の授業・・・300番大は読み物のレベルも量もきついですが、
先生の熱心さと授業の面白さで何とかやっています。日本では、偉い先生の論文の批判、絵画の批判、恐れ多くて出来なかったけれど、ここではそれが当然です。まだ戸惑っていますが、自分で考えさせて、一人一人の異なる意見が大切にされる授業にいると、今までとは違う頭の使いようをしなくてはいけないんだなと実感します。英語とは別にそれが意外に大変なので、改めて自分は日本人だなと思います。

・フランス語・・・グループワークがしょっちゅうあるので、人と仲良くなれるのがいいです。特にAdvanceとかだと、かなりの語学フリークばかりになるので、いろんな分野の変な人・面白い人に会えて楽しいです。フランス語でSkitを演じるのですが、かなり面白おかしくやっています。
今度のSkitはLuc Bessonと彼の批評家の対話です。私はクラスで一番フランス語が下手ですが、なんとかついていこうとしています。

・文語中国語・・・漢文を白文で読む授業ですが、英語で意味を取っていこうとすると、書き下しにする手間が要らないので、意味を直接取る事が出来て却っていいです。“ヒトミ”(私の名前)がちゃんと発音できないくらい訛りのひどい中国人の先生なのですが、そんなアクセントにもなれました。現代中国語を知らないのに、無謀にも中国語喋れる人ばかりの授業に来てしまって、当然分からない事だらけで、いつも授業の進行を妨害するくらい質問しているので、質問しないと、“ヒタゥメゥ(=ヒトミ)、アナタツカレテイマスカ”と逆に質問されます。

・お茶の授業・・・週に一回、日本館で和める授業。美味しいお抹茶が毎週飲めるのは幸せです。

そして、ESLは授業に入りません!本当につまらなくて辟易しています。

以上、大変まとまらないですが、留学生レポートでした。
ここに居る一瞬一瞬が恩恵だと思うので、精一杯生きたいです。