2007年度奨学生レポート(湊 麻理子)

JIC会員の皆様ごぶさたしております。少しは涼しくなってきましたがお元気でおすごしでしょうか。JIC32期奨学生の湊麻理子です。5月に約1年の留学を終えて日本に帰国いたしました。報告が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。その後就職活動に専念しておりましたが、10月からは再び一橋大学法学部に復学し、3月に卒業する予定です。

この1年間の留学は自分の生きてきた中でも最も衝撃的な体験の一つでした。新しく出会った人々、困難を乗り越えた経験、今まで知らなかった価値観、社会に出る前にこのようにたくさんの新しいものに出会えた経験は自分にとって大変大きな財産となりました。このような機会を与えてくださったJICの皆様に心から感謝すると同時に、今後は会の運営に微力ながら協力させていただきたいと思います。自分の衝撃体験を、つたないながら少しでもお伝えして、最後の報告とさせていただきます。

スペインからアメリカに帰国し、数日間冬休みを寮で満喫した後新たな気持ちで新学期を始めることができました。とりあえずスペインにいる間軽くアメリカシックになっていたので、先学期できた友達と一同に会したいと思い、パーティを開いて楽しく新学期をスタートさせました。お部屋を貸してくれた友達、買い物に付き合ってくれた友達、料理を手伝ってくれた友達、そして何より来てくれた友達に感謝です。知らないもの同士が出席するアメリカのパーティのやり方が面白いなと思い、その様にしてみたのですが、後日、「あのときのMariko のパーティで友達増えたよー」と何気なく言われたことがあり、大変うれしかったです。

●学業●

春学期は秋学期を通しての反省を踏まえて、メディア研究に関する授業を多く履修しました。具体的にはSPCM277 Media and Public Discourse, COMM321Irony in Film, COMM389 International Communication,を履修することができました。また、1学期に履修したRace and Ethnicityの授業や、5ヶ月間アメリカに暮らした経験から非常に興味を持っていた、アメリカの人種問題にも少しかかわるかなと思い、Black Chorus を、自分の趣味からTHEA101Introduction to the Theaterを、そして諸先輩方が強く勧められていたSPCM101 Public Speakingを履修しました。じつはスペインから帰国した時点でほとんど履修ができておらず、あわやアメリカ追放かと危惧していたのですが、さまざまなオフィスを訪問し、先生方に交渉することで、自分として満足のいく時間割を組むことができました。秋学期に訪問した際にはしゅんとうなだれて帰るしかなかったオフィスにおいても、納得できるまで説明しろと強く迫れるようになり、自分が強くなれたと実感できました。

中でも特に印象深かったのは、COMM321COMM389です。メディア研究がほぼ初めての自分にとって、300番台のこれらの授業は大変大きな試練でもありましたが、それと同時にとても刺激的で、先生方もすばらしかったです。ここで少し授業内容を紹介させていただきたいと思います。

COMM321 Irony in Filmの授業においては,毎週一本ずつ映画が課題として出され、それを見た上で”Ironical”なシーンを細かく分析していきます。課題となった映画は水曜日の夜間に特別に映画タイムが設けられ、クラスメイトと学校内の教室で見ることができました。当時映画館でまだ上映されていた”JUNO”もその期間中に見ることができ、驚いたことを覚えています。最初はその時間中に見ていたのですが、せりふなど、字幕入りでじっくり見たほうが分析しやすいと感じたため、毎週図書館や町のビデオ屋さん(Rentertainment)でレンタルしてみていました。(おかげで図書館のDVDコーナーとレンターテイメントの配列は完全に把握しました。笑)課題の映画は教授によってあらかじめ選択されていたのですが、授業の性質上「名作」とは呼ばれないような映画が多かったのですが、それはそれで楽しめました。特に”Annie Hall”,そして “The Namesake”(邦題は「その何ちなんで」)はすばらしい作品だとおもいましたので、もし機会があったらぜひお勧めしたい作品です。

              毎週の授業では、「商業主義」、「人種」、「犯罪」、などのテーマにそって分析を行います。この授業で学んだのは、上記のような一つ一つのテーマを文献によってしっかりと組み立てて映画に応用する手法と、映像(映画に限らず)を分析する視点です。特に後者については、イリノイに来てこの授業を取らなければ学べなかったことですし、大変貴重な経験でした。授業とグループワーク、そして2度のレポートを通して、何度も上記2つの行程を繰り返させられました。グループワークを例に挙げますと、もう一人の学生とペアで、映画ハリーポッターのパロディ映像を分析しました。(URL:)ハリーポッターの世界観とヒップホップを融合させてパロディとしているこの動画においては、(映画での外見と酷似している)ハリーポッターがラップを歌うことがなぜ笑いを誘うのかを、人種、セクシュアリティなどの面から分析し、発表しました。秋学期にはかなりグループワークを負担に思っていたのですが、このグループワークにおいては、「自分の得意分野(あるいは根気でカバーできる部分)で貢献する」という目標に近づけたのではないかと考えます。

COMM 389 International Communicationは、電信にはじまるCommunicationの歴史を総括したのち、主に現代における越境メディアとその影響について学びました。例を挙げると、アルジャジーラやCNNニュースなどの通信社、MTVがアジア諸国に与える影響、ハリウッド映画、Bollywood映画などです。自分が特に興味をもったのは”Cultural Hegemony” という考え方で、シンプルに言うと、「覇権を持ちうるほど普遍的な文化(たとえばハリウッド映画など)は軍事力の覇権と同様に他の文化に侵入し、それに影響する」という論理です。中間レポートにおいては、映画「パールハーバー」の日米のPR方法の違いをもとに、Cultural Hegemonyの限界を論じて、Aをいただくことができました。

この授業は教授が特に講義の双方向性に重きをおいており、積極的な授業参加を要求されました。クラスの学生の討議、そしてクラスのHPの掲示板での議論ですすんでいく授業は大変刺激的であり、じぶんのモチベーションもあげられました。また、先生には学期初めの履修登録の時点で留学生の身分であることから許可書の発行などの面でお世話になっていたこともあり、日本での事柄においてなど、常に発表の機会を与えていただきました。また、授業の理解が足りずメールで質問すると、自分の質問したメールの3倍もの長く丁寧な指導を頂き感激しました。

  

●コーヒー アワー●

諸先輩方のレポートを読む中で、コスモポリタンハウスで開催されるコーヒーアワーのことを知り、是非自分達でもやりたいと留学前から考えていました。日常生活に追われて、気づけば最初の学期が終わってしまい、「もう無理かなー」と思ってだめもとで責任者の方に聞いたところ、開催できるとのことでしたので、今年も無事に日本のコーヒーアワーを開催することができました。ほかの奨学生レポートのなかでも報告があるかもしれませんが、今年はプレゼンテーションをクイズ形式にし、景品も用意したことで、大変盛り上がったと感じます。景品については、日本館の郡司先生には当日アトラクションできる浴衣やその着付けまで含めてお世話になりましたし、シカゴの領事館の方々、鎌倉からはなんとペアでお食事券をいただくなど、多くの方々の協力を得ました。特に鎌倉は日本人以外の学生にも人気のレストランであり、粘り強い交渉により、自分たちの試みに理解を示してくださり、このような形で協力していただいて、クイズ大会にも真剣みが増し、大変よい試みだったと思います。

クイズ大会と同時に食事のサーブも行いました。(今年度のメニューはから揚げ、おにぎり、カレー、焼きそばなど)200人分の食事を用意することは想像以上に大変で、前日はほぼ徹夜でごぼうのささがきをしたりもしましたが、田辺さんがうまくリーダーシップを取ってくれたおかげで、無事にやる遂げることができました。当日になっていきなり手伝いを頼んだ方々も応援にきてくださり申し訳ないほど協力していただきました。食べ物に関しては、予算の面でも、調理や片付けの面でも本当にたくさんの方々に協力していただき、あらためて感謝したいと思います。

Facebookなどで友達に呼びかけてはいたのですが、当日は思った以上にたくさんの友達が駆けつけてくれて感激しました。誰もが日本料理に夢中になり、アトラクションや衣装の浴衣をたのしんでくれて、”You did a great job!”と声をかけてくれるのを聞いて、涙が出るくらいうれしかったです。先学期から人間関係について考えることが多く、今学期は絶対に積極的に関わろうと必死になってしまっている部分が多かったのですが、こんなにたくさんの友人がいてくれているんだと再確認させてもらいました。

●春学期あれこれ●

アメリカのバレンタインデーは日本でのクリスマスに近い気がします。カップルで過ごすものであり、相手がいなければ同姓同士のパーティで楽しみます。その日は町中ピンクと赤で染まります。その数日前から寮のイベントでデコレーションをしたりバレンタイン気分が高まっていたのですが、当日は朝から寮の友人とチョコレートを交換したり、チョコレートをもらったり、バラをもらったり、寮の女の子の部屋でパーティをしたり、終始幸せな感じですごしました。

Unofficial(聖パトリックの日に町中が飲みまくる行事。キャンパスタウンは春休みとかぶってしまうため、別の日=Officialではない日,に行うためUnofficial)は危ないと聞いていたのですが、本当に危ない感じでした。みながクレイジーになることを見越して自分の授業はすべてキャンセルされていたのですが、あいにく上記のCOMM321のレポートについて教授と話し合わなければいけなかったため、夕方から参加しましたが、話によると朝からクレイジーだったそうです。

春休みは渡米してきてくれた母と、シカゴやミネソタで思い出の地をめぐりました。母と過ごすだけで大変リラックスし、残りの学期をがんばるための充電ができたと思います。

春学期になってから火曜日は友達と夕食をとって図書館で勉強して、スイーツが最も充実していると評判のBuseyLate Night(夜間購買)でケーキでしめる、というのが定番になりました。うっかり話し込んで勉強にならないことも多かったですが、気温マイナス20度のなかでも決行するほど楽しかったです。

Black Chorusの授業は大変刺激的でした。まず楽譜を使わない授業方法に度肝をぬかれ、(歌詞がわからず常に作詞してました)熱くソウルフルなDavis先生に驚きました。地域の教会で歌い、たくさんの人々がスタンディングしてくれたこと、Mother’s day weekendで大好きなKrannertの舞台に立てたことなど、よい経験をたくさんさせてもらいました。一方で他人の文化を理解するには努力が必要だということも実感しました。自分はこの授業を、主に「歌うのがすきだから」という理由で受講しました。しかし、Black Chorusである以上その歴史や存在に敬意をはらわなければならないし、それを理解しようとしなければいけないなとも感じました。はっきり言って授業の運営に納得がいかなかったり、他の生徒がやっていることが理解できないと思うことも多くあったのですが、それでも歌によってたくさんの人とまとまれるのはすばらしいと思いましたし、よい経験だったと感じます。

この学期は最後の学期ということで、時が過ぎるにつれて残り時間を強く意識するようになりました。その分多くの友達とたくさんのことを語り合えたことはよかったと思います。時には寮の床にすわりこんで、留学生友達と、「この留学をどう生かしていけばいいんだろうね」と話したり、あるいはラウンジで、他愛無い雑談をしたりした時間は、とても愛おしいものでした。人見知りが激しい自分が、他者を理解しようとする姿勢において、少しは成長できたかとおもいますし、このことは帰国後も忘れないようにしたいと思っています。

●     学期終了後●

期末テストやすべてのレポートを提出し終えた満足感に浸るまもなく、荷物のパッキング、寮の部屋の掃除に終われながら、友人との別れを惜しみました。自分が寮を離れる前日には、仲のよかった友人で最後にMurphy’s に集まり、しめっぽくなる間もなく大騒ぎしながら終わりました。それでも、翌日車が1年間慣れ親しんだPARを離れる際には思わず涙が出そうになりました。

私たちは学期終了後10日ほど、留学生の友人とアメリカ南西部を回るロードトリップにでかけました。この旅行は寮で仲のよかったRachelと、「テキサス行ってみたい。」「グランドキャニオンを見てから国に帰りたい」といった思いつきから始まった旅行だったのですが、最終的には参加者10人、期間3週間という大規模な旅行に発展しました。(結果的に旅行が前半と後半に分けられ、自分は前半のみ参加となりました。)春学期の後半はだいたい週に1度集まって計画を練っていたのですが、計画段階から楽しくてたまりませんでした。参加者が全員留学生だったということもあり、グループ全体に「お互いをもっと知りたい。分かり合いたい」という前向きな空気が満ちていて、とても居心地がよかったです。シャンペ-ンを出発した後、セントルイスを通りオクラホマ、テキサス、ニューメキシコ、アリゾナ、ユタ、コロラドと、たくさんの 町をまわりました。節約のために5日連続でテントにとまったこと、地元の協会の方と仲良くなったこと、グランドキャニオンで朝目覚めたら雪にうずもれていたこと、モニュメントバレーの景色に息をのんだことなど、かなりアクティブな旅の中みんなで大笑いしながら過ごしたことは忘れられません。個性豊かなメンバーで、車中でも話題が尽きず、本当に楽しかったです。また、南西部の景色、人々の様子は1年間慣れ親しんだ中西部とはまた違っていて、アメリカの多様性、大きさを再確認しました。ユタからイリノイへ一度戻り、そこから帰国しましたが、アメリカ最後にまたよい経験ができました。

長々とかいてしまいましたが、世界中にたくさんの友達ができ、彼らの積極的で活発な様子から、今後の自分の課題が少しはっきりしたこと、少しの自信がついたことが最もおおきな収穫であったと思います。今回の留学で得たたくさんのことを、かならず今後に生かせるよう、努力していきたいと思います。

温かい応援をいただき、本当にありがとうございました。

一橋大学 法学部4年 湊 麻理子

2007年度奨学生レポート(八尾泰洋)

JICの皆様、こんにちは。2007年度小山八郎記念イリノイ大学奨学生として留学をさせて頂いた東京大学工学系研究科システム量子工学専攻の八尾泰洋です。去る5月に約一年にわたった留学を終え、帰国いたしました。帰国後はすぐに大学院での研究を開始し、毎日大学に通う日々を過ごしてまいりました。今回レポートを書くに当たって、久々に留学を振り返り、本当に素晴らしい一年間を過ごすことができたことを実感いたしました。留学では、英語能力の向上だけではなく、人生を豊かにする様々なものを得ることができました。本当にこのような留学を支援してくださった皆様には感謝しています。それとともにこれからこの奨学金がいつまでも続くように、自分ができることで支援していきたいと感じています。

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・授業

僕は専門性を高めたいという意識から、Spring SemesterもComputer Scienceの授業を中心に履修をいたしました。しかしこの選択は、意外にも人の輪を広げる助けとなってくれました。2学期連続でSiebel Centerにこもる生活をした結果、同じような生活をしている同専攻の学生たちの顔見知りも増えました。地下のLaboratoryでは誰かと話をしながら課題に取り組み、Engineering専攻の学生たちの一員になれたような気がしました。Spring Semesterでの一番の進歩は、授業中の発言回数が多くなったことだと思います。授業の理解度も高まり、学生が発言をする雰囲気にも押されて、自然と気になったことを授業中に言えるようになっていきました。Spring SemesterもGPA 4.0で終えることができ、その中で培ったプログラミング能力も僕が留学で得たものの一つです。

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・寮

Spring Semesterの開始時に、それまで住んでいたISRから院生寮のSherman Hallへと引っ越しました。主な理由は、留学生の友人が多く住んでいたので、楽しく過ごせるかなと感じた事でした。その考えは正解で、寮で友人たちと映画を見たり、ビリヤードをしたり、キッチンで料理を作ったり、お酒を飲んだり、本当に楽しい日々を過ごすことができました。授業や課題に関して、Siebel Centerや図書館に引きこもりがちだったので、寮に多くの友人がいることは本当に助けになったように思います。

Semesterが終了してから、同じ寮の友人たちとワシントンとニューヨークに旅行をしたこともよい思い出の一つです。

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・最後に

留学から帰ってきたのち、何人かの友人たちが日本に来てくれ、再開を果たすことができました。(一人のアメリカ人の友人とはともに富士山登頂まで果たしました。)留学して最も良かったことは世界中に友人ができたことだと感じています。その人とのつながりをこれからも大切にしていき、育んでいきたいと思います。皆様、本当にこのような留学を経験させていただいてありがとうございました。

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