池谷香子さん2010年10月分レポート

JICの皆さま、ご無沙汰しております。2010年度奨学生の池谷香子です。

アメリカに到着してから今日でちょうど3カ月目だということに気付き、時間の流れの速さに驚くとともに、この3カ 月で私は何かしら成長できたのだろうかという焦りを感じはじめました。この奨学生レポートを書くことで、皆さまに近況をご報告するだけでなく、私の今まで の留学生活を振り返り、残すところ半年近くなったこれからの留学生活をどのように過ごすか考える機会にしたいと思います。
1.シカゴからの帰り、長距離バスが道中で原因不明のトラブルで2時間止まった際に。
3カ月の留学生活の中で、日本に帰りたいと唯一思ったのはアメリカに到着した日だけでした。デトロイトで乗り換えてシャンぺーンへ入る予定でしたが、飛行機の遅延と入国審査の長蛇の列のせいで、シャンぺーン行きの飛行機を逃してしまったのです。スーツケースを2つ抱え、係員に聞きに行けば「私は関係ない!」と怒鳴られ、次の飛行機が現れるまでの3時間はアメリカに来たことを心底後悔したことを覚えています。結局無事に到着できたのですが、夜遅くなったためにシャンぺーンでも「Taxi?」と声を掛けてくる運転手に付いていかざるをえず、初日は生きた心地がしませんでした。しかし、この経験を初日にしたことで、それ以降は大抵のことは驚かずにやり過ごせるようになったと思っております。そして、来年以降の奨学生の皆さま。デトロイトでの乗り換えは1時間半では無理だということを覚えておいて下さい。

このようにショックから始まった留学生活でしたが、その後は友人たちの優しさに毎日助けられながら過ごしています。JICの先輩方も何名か所属されていた、Global CrossroadsというLiving-Learning Communityに私も住んでいるのですが、寮の友人たちの助けなしでは私の新生活は始めることさえできませんでした。1人では5往復でやっとのほどの荷物を、一度で部屋へ運び入れてくれたResidential Advisor(フ ロアの管理をするボランティアの学生)。なかなか英語に自信が持てないでいた私に、積極的に声を掛けてくれるフロアメイトたち。一緒に旅行にも行き、何時 間でも話していられる各国からの交換留学生の友人たち。困ったときには必ず助けてくれる日本人の友人たち。そして、落ち着きのない私の生活を温かく見守っ てくれるルームメイトのGrace。今まで彼ら、彼女たちに助けてもらった分を返していきたいというのは、これからの留学生活の目標の一つです。

Labor Dayを利用してシカゴを、ボストンキャリアフォーラムのためにボストンを訪れる機会がありました。シカゴへは中国、台湾、香港、オーストラリア、そして日本からの交換留学生の友人たちと一緒に行ったのですが、総勢16人 という大所帯でアクシデントも多く、とても楽しい旅行になりました。日本にいた頃は、中国や韓国など、日本とあまり良い関係にない国々出身の学生と仲良く なることができるのかと疑問に思っておりました。しかし、実際にこちらに来てみると、やはりアジア系の学生と一緒にいるときの方が居心地の良さを感じま す。また、現地の学生もやはり、白人は白人、黒人は黒人、アジア系はアジア系で固まっているというのが実際です。多民族が混在してはいるものの、完全に混 ざり合うことはない、アメリカの人種のサラダボウルとしての現実を目にし、多民族国家はどうあるべきか考えさせられる毎日です。

ボストンは2時 間ほどしか観光する時間が作れなかったのですが、ボストンで最も古い教会や、独立以前に議論を戦わせた集会場などを回ることができ、世界史好きにはたまら ない街でとても楽しむことができました。また同時に、アーバナ・シャンぺーンに留学していることの意義を考えるきっかけにもなりました。多くの日本人留学 生は東西の海岸沿いに集中しているため、車がなくてはどこにも行けず、主食は肉、基本的にTシャツ とジーンズしか着ないというとても「アメリカ的」な土地で学ぶことができる、そのこと自体がとても貴重なのではないでしょうか。平日は授業の課題に、週末 は遊びに追われる日々で、大学の中で生活が完結してしまいがちですが、ようやくこちらの学生生活にも慣れてきた頃なので、大学を超えたことにも目を向けて いかなければと思っております。

11月に入ってから急に課題に追われはじめ、レポートというよりは日記のような取りとめのない内容になってしまいましたが、少しでもイリノイ大学での生活の楽しさが伝わっていれば幸いです。3カ月間を振り返って、このような機会を与えて下さったJICの皆さまに改めて感謝の気持ちでいっぱいです。せっかくの機会をますます有意義なものにできるように、今一度気を引き締めなくてはと思っております。次回はもっと成長した姿を皆さまに伝えられればと思っておりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
フットボールの試合にて。
一橋大学社会学部4年 池谷香子

田中豪さんの2010年10月分レポート

JICの皆様、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。田中豪です。

こちらアーバナ・シャンペーンでは、紅葉を通り越して、徐々に木々から葉が落ち始めました。朝晩は、氷点下まで冷え込む日もあるので、東京の秋より気温が低いと思います。分厚いコートも買って、寒い冬にむけて覚悟を決めたところです。

時が経つのは早いもので、アメリカに着てから3ヶ月が過ぎました。この3ヶ月の活動報告ということで、キャンパスでの生活を中心に、第一回のレポートをお届けいたします。

7月30日に日本を出発し、ワシントンD.C.での2週間のインターンを経て、8月15日 にキャンパスに到着しました。いざ寮の自分の部屋に入ってみると、家具以外は何もなく、初日はマットレスに直接寝たこともずいぶん前の思い出になりまし た。翌日にバスに乗ってウォルマートまで行き、布団や枕から冷蔵庫、ノートなどの文房具にいたるまで、生活に必要だと思ったものをすべて買い揃えた記憶が あります。

その中でも一番のお買い物は、マウンテンバイクです。税抜き88ドルという安さにひかれ、雪が積もる冬には乗れなくなるという友人の忠告も耳に入れず、躊躇なく購入してしまいました。それでも、広いキャンパス内を、バスのルートや時刻表を気にせず好きに移動できるので、バイクを買って大正解だったかなと思っています。

9月19日には、大学のトライアスロンチームが開催したTri the Illiniというレースに参加し、水泳300メートル→自転車14.5マイル→ランニング3.1マイルをフィニッシュしました。アメリカに来て初めて提出するレポートの締め切りとレースが重なって直前にトレーニングができなかっただけでなく、睡眠不足でレースに臨むことになってしまったため、レースの終盤でスタミナが切れ、満足のいくタイムではありませんでしたが、(特に自転車のセクションで)キャンパスの周りの風景を見ながら走ることができて、気持ちが良かったです。来年の春に、まったく同じコースでレースがあるので、しっかりトレーニングしてタイムをあげたいと思います。今後のトレーニングのいいモチベーションになりそうです。

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………と自転車ライフを楽しんでいた矢先、10月上旬にGreen Streetというキャンパスのメインストリートの歩道のわずかな距離を自転車を漕いでいたことを理由に、警察に反則切符を切られました。不運なことに、ちょうど集中取締期間だったようです。距離にしてわずか20mあまりだったのが、非常に悔しいところ。ただ驚いたのが、その罰金額で、なんと165ドル。大学周辺では、信号無視の歩行者に100ドルの罰金が課されることもあるらしく、日本との取締りの基準や金額の違いを感じました。また、ニューヨークやワシントンD.C.などの大都市では、逆に歩行者信号を守っている人を見かけないくらいだったので、アメリカの地方分権-各自治体に行政の運営が委ねられている姿-を肌で感じているところです。

こちらの大学で受講している授業は、以下の5つです。

1. CMN111: Oral and Written Communication I
2. HIST 274: The United States and the World Since 1917
3. PS 202: Religion and Politics in the U.S.
4. PS 222: Ethics and Public Policy
5. DANC 120: Tap Dance I

1. CMN111: Oral and Written Communication I
Public SpeakingとWritingが組み合わされた授業で、1時間の授業が月・水・金とあります。20人前後のクラスで、留学生は僕1人で、 (もちろんEthnicityは多様ですが)基 本的にはアメリカで生まれ育った学生しか教室にいないので、最初はどうなることかと心配していましたが、スピーチは事前に原稿を準備できるし、発表自体は そこまで苦ではありません。それでも、提出した課題が、文法や表現の点で減点されることが続き、悔しい思いをしています。
この授業を受講してよかったと思ったのは、ネイティブのスピーチを何度も聞くことで、上手なスピーチと下手なスピーチの違いが分かってきて、自分が気に入った彼らの表現を学べることができる点です。逆に不満な点は、生徒のほとんどがネイティブのためか、(ESLの非ネイティブ向け授業を受講している友達の話と比べると)原稿やペーパーをあまり細かく添削してもらえない点です。それでも授業の中でスピーチすることによって、定期的に話す機会が与えられるので、来学期も似たようなコースを受講することを考えています。授業で英語を学ぶにしても、ESLの手厚いサポートと、CMNのネイティブの生きた表現を学べる機会のどちらを選択するか、が今の悩みどころです。

2. HIST 274: The United States and the World Since 1917
教授による1時間の授業が月・水に、TAによる1時 間のディスカッションセッションが金曜日にあります。授業は、第一次世界大戦からのアメリカの外交史を扱っています。歴史の概要が時代順に説明されている 「教科書」と、さまざまな一次資料がまとめられた「資料集」が、毎回のリーディングアサインメントとして指定されていますが、加えて、学期中に”The Ugly American”と”Fordlandia”という2冊のBook reviewを書くことになっているので、かなりの論文や本を読まされる印象です。
授業で分からなかったり、教授の説明が足りなかっりした点は、TAが少人数のセッションの場で説明してくれるので、かなり助かっています。またBook reviewについては、事前にTAに見せれば、フィードバックがもらうことができるので、課題の方向性の間違いや考えの不足している部分を事前に指摘してもらうことができています。
授 業の内容については、戦争のプロパガンダビデオを見たり、風刺画の解釈をしてみたり、と視覚的な教材を積極的に取り入れているのが印象的でした。また、た とえば第二次世界大戦について、現地の学生のアジアの知識は予想通り浅かった一方で、教科書の中で日本を扱ったページは意外に多かったのが新たな発見でし た。

3. PS 202: Religion and Politics in the U.S.
80分の授業が火・水の週2回です。アメリカにおける政治と宗教の関係に焦点を当て、憲法における政教分離の解釈や判例の変遷など法的な観点から学んだり、宗教団体が果たしている役割を社会学的な観点から捉えなおしてみたりと、さまざまな角度から分析しています。
教科書として4冊が指定され、学期中に分厚い本を4冊 読まないといけないと考えると心が折れそうになりますが、授業の内容や課題が面白いのが救いです。たとえば、学期末の課題は、大学周辺の宗教組織を実際に 訪問して、信者に対してどのように政治参加を促しているを確かめるというリサーチペーパーです。昨日に中間選挙が行われたばかり(11月3日にこの段落をタイプ中)なので、実際にフィールドワークに取り組むのが楽しみです。自転車に乗って、いろんな教会を訪問し、おもしろいペーパーが書けたらと考えています。

4. PS 222: Ethics and Public Policy
80分の授業が火・水の週2回です。内容は政治哲学。Aristotle, John Locke, John Rawls, Immanuel Kant, etc. などの本を読みながら、順に思想を比較していきます。授業のベースは、最近日本でも話題を読んでいる、HarvardのMichael Sandel教授のJusticeと いう授業のようです。およそ週に1人の哲学者を扱うので、かなりの量を読む必要があることに加え、テキストが難しいので、一番苦労している授業と言えるか もしれません。ただ、日本にいると、政治哲学の古典の原著を読むモチベーションが湧きにくいので、いい機会かもしれません。
成績評価はPaperですが、テキストの理解が不十分なので、鋭い論点を提示することができずに苦労しています。歴史の教科書など、Factを拾い読みするスキミングにはだいぶ慣れてきましたが、哲学的なテキストのように熟読が求められたときに、読みの早さを深さを両立させていくことが、今後の課題といえそうです。

5. DANC 120: Tap Dance I
月・水に80分ずつタップダンスを練習しています。大学のダンス学部が、ダンスを専攻していない学生向けに開講したクラスで、定員が20名前後と非常に少なかったものの、運良く受講することができました。シャンペーンのダウンダウンにあるダンスシューズのお店で30ドル程度のタップシューズを購入し、練習に励んでいます。リズム感覚がないうえに、過去にダンスをした経験もないので、授業に早くも落ちこぼれそうですが、必死にくらいついています…。笑

こうして全体を見てみると、今学期だけで10冊以上の教科書を読む計算になるので、結果的にリーディングが多い授業ばかりを選択したようです。どの授業も筆記試験とPaperで成績評価がされるので、今学期はもっぱら、読み書き、が鍛えられている印象です。来学期は、300-400番台の授業、また、グループワークのある授業を取ろうと考えています。

授業以外では、Krannert Center for the Performing and Artsというホールに通っています。
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先週は、Chicago Symphony Orchestraのコンサートが開催されました。学生チケットだと10ドルで、空席であれば)好きな座席を予約できるのでかなり恵まれていると思います。CSOは二年に一度しか来ないようで、わずか10ドルで聞けたのは本当にラッキーでした。1月にはロシアのバレエ団によるロミオとジュリエットの公演があるようです。今から楽しみにしています。

自転車と授業でいっぱいになってしまいましたが、以上が、3ヶ月の大学生活のまとめです。

最後に、今後の目標です。
アメリカのローカルな政治を勉強したいと思ってイリノイに留学しましたが、” PS 202: Religion and Politics in the U.S. ”の 勉強時間以外では、他の授業の課題にも追われて、あまり知識を増やせていないのが実情です。受講した授業の手を抜かないことはもちろんですが、リーディン グやレポートを書くスピードを上げることで、もっと自由な時間を作り、自分が一番関心を持っている分野の勉強にしっかり時間を注げるようにしたいと思いま す。日本でアメリカ政治のゼミに入っていたので、この1年間でのイリノイ大学での勉強を通じて、日本帰国後に書く卒業論文のいい素材を見つけれらたらと思っています。

Thanksgivingの休暇では、アジア人比率0.5%という白人社会アラバマに住む友人を訪れる予定です。ターキー、パイ、クランベリーソースをご馳走になりながら、アメリカの食事が、フライドポテトとハンバーガーだけじゃない、ということを実感してきたいと思います。

秋学期ももう半ばです。留学生活の4分の1が過ぎました。時間を無駄にせず、引き続き、充実した生活を送っていくつもりです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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シカゴの夜景

2010年11月12日
東京大学 法学部 4年
田中 豪