吉川慶彦さんの2014年9月分奨学生レポート

昨年12月に奨学生に選んでいただいてから早10ヶ月、実際にこちらに来てからも既に1ヶ月以上が経ち、この奨学生レポートを書いていると思うと不思議な気がします。自己紹介・留学の志望動機等については、本奨学制度のクラウドファンディングのページに既に投稿させていただいたので、ここでは重複を避けて割愛したいと思います。

https://www.countdown-x.com/ja/project/K6880260/updates/881

 

さて、この度は第1回目のレポートということで、以下のテーマで書きたいと思います。

1.履修している授業・課外活動

2.いま思っていること

3.奨学生として留学するということ

 

自分自身、過去の奨学生の方のレポートを大変参考にしたということもあり、1.では具体的に今学期履修している授業や、その他授業外で行っている活動について記します。

一方で2.では、やや抽象度を高めて、いま自分が考えていることを書きます。僕のことに余り興味のない人は読み飛ばしていただいて構いません。

最後に、本レポートが次期奨学生の申込締切の前に公開されることを念頭に置いて、3.では改めて本奨学生として留学することの意味を考えてみたいと思います。有り体にいうと、奨学制度の宣伝です。特に今まさに留学を検討している/興味のある方にはご覧頂きたい内容です。

 

 

1.履修している授業・課外活動

さて、まずはこちらでの活動について報告したいと思います。僕はこちらではCollege of LAS(教養学部)に所属し、日本と同じくClassics(西洋古典学)を専攻しています。以下、今学期履修している4つの授業を順に紹介します。

 

・GRK 101 Elementary Greek 1 (4 hours)

古典ギリシャ語の初級の授業です。日本で既に履修していたということもあり、今のところ内容は簡単ですが、週3回の授業に加えて、週2回の小テスト・日々の宿題・プラスもう1時間分の課題と盛りだくさんで、日本で疎かにしていた基礎的な文法の確認・語彙力の強化を実感しています。こちらの外国語のプログラムは(もちろん現代語も含めて!)週に3〜5回の授業があるのが通常で、大変な分、身に付くことも多いと思います。余談ですが、先日ドラマを観ていた際に、出てきた英単語の意味がギリシャ語から推測できたのには自分でも驚きました。

 

・CLCV 221 The Heroic Tradition (3 hours)

『イリアス』や『オデュッセイア』といった代表的な叙事詩を、英訳で読み進めていくという授業で、1学期の間に合計6作品を読みます。履修人数が多い(25人くらい)ことに甘えてしまい、発言をさぼっているのですが、勿体ないと思うので、今後はもっと積極的に参加したいと思います。

 

・PS 371 Classical Political Theory (3 hours)

プラトンやアリストテレスといった古典的な作品を題材に、政治理論について学ぶクラスです、履修人数が7人しかおらず、また課題図書も多く一番大変な授業です。特に体系だった教科書に沿って学ぶのではなく、先生の気分次第、クラスの発言次第で、内容が変わっていくことも難易度を高めている一つの要因に思います。

 

・CMN 101 Public Speaking (3 hours)

過去の奨学生の方のレポートを見て履修を決めました。人前で効果的なスピーチをする方法を学ぶ授業で、実際に授業中に即興スピーチがあったり、また学期中に5回、こちらは事前準備ありのスピーチがあったり、と実践的に学ぶことが出来ます。ただ、ギリギリに履修登録をしたので、朝の8時開始のスロットしか空いておらず、毎回起きるのに苦しんでいます。

 

全体的に、課題の量や授業のレベルは、ついていけないほど大変ではないのですが、それでもディスカッションになかなか参加しづらかったり、予習のReadingに何時間も費やしたり、とまだまだ「のびしろ」しかない状況です。今後どう成長していけるか自分自身でも楽しみです。

(吉川)写真1

(写真1:ギリシャ語の授業のポスター)

 

次に、授業外で行っている活動について簡単に紹介します。

・アルバイト

留学前は全く想定していなかったのですが、知人の紹介で仕事をいただけることになりました。通訳者養成のクラスのアシスタントとして、日本語と英語の通訳を訓練する学生に対して、課題となるスピーチを探したり、フィードバックを加えたりしています。

とはいえ、自分の英語レベルでどこまで役に立てているのかは不明で、むしろ10カ国語を操る先生から、アルバイトである私の方が学ぶことが多いです。また、学部学生や留学生であることがネックとなり、実際に仕事をするまでの手続きもかなり煩雑で、部署をたらい回しにされたり、留学生に優しくあるべき留学生課にかなり冷たくあしらわれたりと、ある意味で良い経験もしました。今はアメリカで仕事をする為に必須の(?)Social Security Number(社会保障番号)を申請しようとしているのですが、これまた上手く行きません。また機会があればお伝えしたいと思います。あと、給料日は心躍ります。

 

・クラブ活動

何かの活動にどっぷりと浸かっているという訳ではないのですが、それでもQuad Day(全クラブ・サークルがキャンパスのメインの広場に集まり新歓活動を繰り広げる日)に登録したクラブのいくつかに顔を出しています。特に面白いのはHellenic American Student Organization(ギリシャ系アメリカ人会)で、僕以外のほとんど皆がギリシャ人かアメリカで生まれ育ったギリシャ人で(当然!)、なかなかの疎外感を感じつつも何とか友達を作って参加しています。全ては将来ギリシャに旅行に行くときのためです(半分冗談、半分本気です)。

また、学期の最初に、古典学科の先生たちに順に挨拶回りをしていたときに(ちなみに学科の先生との顔合わせのイベントに古典学の先生は何故か一人も来なかったので、こちらからメールを送ってアポを取って挨拶に行きました・・・)、古典学を学ぶ学生の団体がないということで、これまた突然自分が作ることになりました。偶然、高校のときにClassics Clubをやっていたという学生が見付かったので、彼女に代表の座を譲り、今は最初のイベントに向けて活動しています。

最後に、毎日ピザを食べていながら全く運動をしていないことを懸念しており、また身体を動かさないとストレスも溜まるので何か運動系のサークルを探しています。良いのが一つ見付かったので、もし参加することになればレポートで報告したいと思います。

 

2.いま思っていること

こちらに来てから、ひとりでじっくり考える時間が多くなりました。まだまだ毎日の生活に余裕がある証拠なのですが、それでも今まで過ごしてきたのとは違う環境に身を置いて、鈍感な自分なりに色々と感じるところがあるようです。

留学生活のスタートは比較的しんどいものでした。「留学」というマジックワードだけで浮かれて、ともすればチヤホヤされるのは日本に居る間だけで、一旦留学先に来てからはその「留学」というものは自分で内容を作らなければ何にもなりません。授業を取るのも、イベントに参加するのも、イベントで隣の人に話しかけるのも、全ての一瞬が自分の選択に委ねられます。

 

しかし、僕が当初苦しんだのは、あまりにこのことに敏感になりすぎたからでした。義務感から毎日のパーティに参加している感じを覚えたり、必要以上に日本人を避けようとしてしまったりと、まるで留学を「修行」のように過ごそうとしていました。もちろん、人それぞれタイプが違うので、修行感覚で自分を追い込むことでベストなパフォーマンスを出せる人もいると思います。もしかしたら、その方法が一番英語力も伸ばすことができ、勉強にも身が入るのかもしれません。けれど、やっぱり自分はそのタイプじゃない、楽しまないと毎日生きていくことができない、ということに気がつきました。

何がキッカケで気持ちを切り替えられたのかはよく覚えていませんが、その日以降、授業に出席する際の意識や、毎日すれ違う人に挨拶するときの表情が変わったように思います。「自分は楽しんでこれをやっているか?」ということを問いかけながら、と書くとなかなか恥ずかしいですが、自分なりの一つの軸を大切にして、「留学生活」を送っています。

(吉川)写真2

(写真2:寮から一歩出たところの景色。遠くに見えているのが食堂です・・・。)

 

3.奨学生として留学するということ

さて、ここまで既に長々と書いてしまいましたが、最後に奨学生として留学することの意味を考えたいと思います。

40年近く続く奨学制度の一員として留学することの意味、それは一言でいえば「人のつながり」です。奨学制度の中では最年少、まだ自分の留学を始めたばかりのヒヨッコですが、それでもこのつながりを特にこちらに来てから強く意識します。中でも日本館の館長であるジェニファー先生は、来たばかりで居場所のない僕たち奨学生をものすごく気にかけてくださり、様々なイベントや現地の学生を紹介してくださいました。

(吉川)写真3

(写真3:日本館での浴衣イベント。インターンの学生たちと。)

 

奨学制度を通じて、シカゴで働かれている先輩たちやキャンパスにいらっしゃる縁のある方々にもお会いしました。そしてこのつながりは一生続くのだと思います。普通の交換留学とはひと味違った留学生活、応援してくださっている沢山の方々のサポートに改めて感謝申し上げるとともに、今まで以上に毎日を意識して有意義な一年間にします。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

第39期小山八郎記念奨学制度奨学生

吉川慶彦