田原千瑞さんの2017年9月分奨学生レポート

初めまして。東京大学教養学部3年の田原千瑞です。今年度、JIC奨学生としてイリノイ大学に留学させて頂いております。先輩方の奨学生レポートを熟読していたので、今回初めての奨学生レポートを書いているのが感慨深いです。

 

8月末にキャンパスに到着し、早くも9月が終わろうとしています。こちらのキャンパスは非常に美しいです。クワッドの芝生と樹々の緑、レンガ造りの校舎、そして大きく青い空が広がっています。ビルに覆われて空がなくなりそうな東京とは違い、ここでは季節と時間の移り変わりが、自分の体で感じられます。既に一ヶ月を過ごしましたが、樹々と空の色があっという間に変わっていきます。授業と課題に追われつつも、そんな自然を感じては、ほっとするような日々です。

 

写真1

晴れの日のメインクワッド

 

 

  1. 授業の履修

 

◆ITAL103 Intermediate Italian 1

◆GEOG204 Cities of the World

◆GLBL220 Governance

◆ECON303 Intermediate Macroeconomics

 

今学期は上記4科目を履修することにしました。最終的な履修に絞るまでかなり悩んだので、履修を組むだけでも一苦労という感じですが、試行錯誤した結果今の形に落ち着き、満足しています。

 

 

◆ITAL103 Intermediate Italian 1

 

 大学一年生の頃から第二外国語としてイタリア語を勉強しているので、こちらでもイタリア語を履修することにしました。授業は週4コマで、8人の少人数クラスなので、自然と先生との距離も近くなり、クラスに愛着が芽生えてきたところです。毎日オンラインテストの課題があり大変な部分もありますが、1日に一定時間は必ずイタリア語に触れることになるので、生活のリズムを作る上で良い要素になっています。また、私は軽やかなイタリア語の音が好きで、イタリア語を毎日聞けることはちょっとした癒しなので、趣味としてゆっくり続けていこうと思います。

 

 

◆GEOG204 Cities of the World

 

 この授業はかなり前から履修することを決めていて、一番楽しみにしていた授業です。世界中の都市の構造や歴史、地形や文化に至るまで、それぞれの都市に特徴的な地理を講義形式で学んでいきます。私は日本で地理学を副専攻にしており、その中でも都市地理学は特に興味のある分野です。東大の授業は日本の都市にフォーカスした内容になっていたのですが、こちらは世界中の都市を扱っているので、授業に出るたびに新たな知識を得られ、とても刺激的です。これまでの一ヶ月間は、北米、中米、南米の都市について学んだのですが、これから中東、アフリカ、ヨーローッパと進んでいくのが待ち遠しいです。

 

 

◆GLBL220 Governance

 

 私が履修している授業の中で、唯一のディスカッションの授業です。グローバルガバナンスの意義、歴史、問題について議論していきます。日本で国際関係論を勉強する中で国際社会のガバナンスに興味が湧いてきたこと、また留学前にワシントンDCの国際機関を訪問したこともあって、授業の扱うテーマに惹かれ履修を決めました。しかしながら、この授業は課題文献が多いので、リーディングが苦手な私にとってはかなりハードです。加えて先生や学生の英語もぼんやりしていて聞き取りづらいので、ディスカッションの流れを追うだけでも大変です。次の奨学生レポートまでに少しは成長できるよう、力を入れて臨んでいきたいと思います。

 

 

◆ECON303 Intermediate Macroeconomics

 

 中級マクロ経済学の授業です。私は経済学初心者で、以前に少し触れたことがある程度だったのですが、専門が国際関係論だと何かと経済学の知識が必要になるので、思い切って挑戦してみることにしました。授業自体は講義ですが、授業中にクイズがあったり問題が与えられたりと慌ただしい印象です。週課題やオンラインクイズもあり、当初はその盛りだくさんの内容に圧倒されました。今は授業開始から一ヶ月が経ち、少しは課題をこなしていくペースが掴めてきたかなという感じですが、授業ペースが早いので、置いていかれないように注意したいです。

 

写真2

フレッシュマンと一緒に参加した入学式の様子

 

 

  1. 日本館と「Matsuri」

 

 日本にいる頃から日本館については伺っていたのですが、実際に日本館を目にした時には、その施設の充実ぶりに感動しました。大きな池とその周りに広がる芝生と柳、また砂利や灯籠が美しく並べられた日本庭園まで整備されているのです。館内に入ってみても、床の間と障子を完備した和室や、日本にいるときすら目にしないようなお茶室などが設えられています。世界中から何千人もの学生が集まっているこのイリノイ大学において、日本という一つの国とその文化のために、ここまで広い土地と綺麗な施設が準備されていることが、私にとって大きな驚きでした。

 

 「Matsuri」は8月末に行われた日本文化を発信するイベントで、今年は日本館の20周年ということで、例年よりも盛大な催しとなったようです。日本館の敷地の至るところで屋台やパフォーマンスが繰り広げられ、小さな子供からお年寄りまで多くの人々が来場しました。既に日本文化に対する知識を持っている人、高いお金を払ってでも日本の品々を買い求める人、毎年「Matsuri」に参加している人も多く、みんな尊敬の気持ちを持って日本文化に向き合い、理解している印象です。現在の日本では、日本文化が海外の人々に喜ばれるということは周知され、当たり前のようにクールジャパンと唱えられていますが、それが単なる物珍しさやブームではなく、私が思っている以上に日本文化が海外に浸透していることを知りました。

 

 また、「Matsuri」では、書道家の千葉清藍さんの通訳者を担当させていただきました。日本とは何の関係もない地で、突然そこに日本文化を体現することは、とても不思議です。自分が発信することが、それを見た現地の人々にとっての「日本」として認知されることになるからです。そこには一定の責任とプレッシャーを伴うと思いますが、日本文化に誇りを持ち、日本と地元・福島のために書道を仕事にする清藍さんにはパワーがありました。その力強い書と筆使いには本当に圧倒されます。一方で、出会った人々とのご縁を大切にする、清藍さんの温かな優しさにもまた虜になりました。拙い英語で通訳を十分に出来たとは言えませんが、清藍さんの近くで半日過ごせたことは幸運でした。私もこの出会いに感謝し、「一期一会」大切にしたいと感じます。

 

写真3

清藍さんと書の前で

 

 

本当は、他にも書きたいことがたくさんあるのですが、自分の中で整理することもできず、もう少し時間が必要なようです。今ぼんやりと考えていることについては、もっと明確に磨いてから、次回の奨学生レポートに書かせて頂こうと思います。それでは、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

2017年9月30日 

第42期小山八郎記念奨学生 田原千瑞

南部俊人さんの2017年9月分奨学生レポート

皆様こんにちは。第42期小山八郎記念奨学生として現在留学中の、国際基督教大学教養学部3年の南部俊人と申します。心理学を専攻しており、こちらでも心理学を中心に勉強しています。

 

     到着までのいきさつ

     授業について

     その他課外活動や生活について

という三つの内容について書いていきたいと思います。

① 到着までのいきさつ

 8月16日の朝にシカゴに到着しました。入国というと、過去に初めての海外でロストバゲージしたり、前回の訪米で長時間並んだ上に入国審査官と一悶着あったりと、あまり良いイメージがなくて初の一人海外で不安で仕方なかったのですが、今回はちょうど国際線の到着便が少ない時間帯だったため空いており、見た目の恐い入国審査官にイジワルな質問をされることもなく、荷物の受け取りもスムーズで、税関も良い加減で、過去最速でゲートを抜けることができました。

 私は昨年、所属する団体の中高生対象の一ヶ月ホームステイプログラムの引率でイリノイ州を訪れており、滞在中私自身も二軒にホームステイをしておりました。学期が始まる前に少しでもアメリカの生活に慣れるために、去年のホストファミリー宅でお世話になります。一軒目のホストファミリーの住んでいるBloomingtonという街までは、オヘア空港から国内線を乗り継ぎます。過去最速で入国したものの、かなり余裕を持って国内線を予約していたので、五時間近く暇を潰さなければいけませんでした。睡魔で待ちぼうけて乗った国内線は、小さなオンボロ飛行機、座席の足元から蒸気(?)のようなものが出てきます。「まさか外気が入って来ている?」と思いましたが、それはどうやら冷たすぎるエアコンの風だったようです。それにしても小さな飛行機は風に舞う木の葉のように揺れて、目的地に着くまでの一時間はドキドキの体験でした。

 去年の1軒目のホストファミリー宅では二泊しました。一人異国の地ですが、知り合いに温かいハグで迎え入れられるとホッとします。私が泊まった時はちょうど家の内装を丸ごと自分で直している最中で、さすがアメリカ、DIYの本場なだけあるなと感じました。私はここ一年、大学の劇団で大道具をやっていたので負けるわけにはいかんと、本場のDIYを体験するべく、早速戦力となりました。二泊はあっという間に過ぎ、続いて二軒目のホストファミリー宅に移動します。二軒目のホストファミリー宅では四泊しましたが、そのうち一泊は隣の州の州都、インディアナポリスにあるホストファミリーの友人の家に泊まりました。二軒目のお宅はキャンパスから三十分ほどのところにあり、コーン畑に囲まれた田舎町です。田舎町でたっぷりくつろいだ後、キャンパスに入りました。

② 授業について

 アメリカの大学は日本の大学に比べ(私の大学の規模が小さいため特になのかもしれません)授業の種類がとてつもなく多いです。また、授業を追加したり落としたりできる変更期間も長いため、どの授業を取ろうかかなり迷うのが正直な所です。オンラインで履修変更を行うのですが、定員に達している授業を取るのはなかなか大変です。数分毎にパソコンを見て、空きがでていないかをチェックします。空きが出た瞬間に履修登録して滑り込みます。私はこの方法で3クラスほど登録しましたが、なかなかスリリングで楽しいです。アドバイザーにも履修科目を相談し、追加したり落としたりというプロセスを経て、最終的に今学期履修することになったのは以下の四つのクラスです。

PSY336 Stress and Resilience in Childhood

 授業のタイトルの通り、子供のストレスについて、そしてそれに伴う心理的症状について学んでいます。ストレスの原因として今までの授業で取り上げられているのは、虐待、貧困、トラウマ体験などです。貧困については、かなり細かい定義から学び、アメリカ国内での貧困状況と貧困で育った子供の心理的問題について学んでいます。今まで日本ではここまでしっかりと貧困にフォーカスしたことがなかったため、いかに自分が恵まれているのかに気付かされます。また、授業でも出てきたのですが、日本と比べてアメリカの方が貧富の格差が大きいということもあり、国内では深刻な問題であるため、こういった授業が積極的に行われているのかなと感じました。

PSY324 Developmental Psychopathology

 最初にこの授業の名前を知った時は「ん?サイコパス?」と思いましたが、Psychopathologyは日本語にすると精神病理学、すなわち精神疾患のメカニズムを理解し、経過を調べる学問です。この授業も主に子供に焦点を当て、発達の観点から学びます。最初の約一ヶ月は、精神疾患が起こるメカニズムの概要や、それについて調べるための研究方法について学び、その後の期間は、自閉スペクトラム症、不安障害、ADHDといったそれぞれの症状をさらに深めていきます。PSY336の授業内容とは多少重複する部分があるのでが、精神疾患のメカニズムのところで、物事の因果関係について深く考えるように教えられました。例えばA:「貧困家庭で育つこと」とB:「子供のうつ病になる」に因果関係がある場合、その二つの要素の間には、どんな力学が働いているのかを深く考えます。どのような要素がAからBへの流れを加速させ、または食い止めようとするのか、また、どういった細かい理由でAはBに向かっていくのかを意識します。

写真1:カフェでテスト勉強

GRM101 Beginning German

 こちらに来てから新たにドイツ語を始めました。日本の大学では、フランス語を少しだけやっていたのですが、こちらで上のレベルに行くほどでもないし、同じレベルをやっても日本で単位認定されない可能性もあるので、フランス語は履修しませんでした。卒業後に自動車産業に関わりたいと考えているため、多くの企業の開発拠点であるドイツについて少しでも理解できたらという思いがあり、寮の友達数人が、「ドイツ語はもっと英語に近くて似ている単語もあるし、フランス語や他の言語よりずっと簡単」と言われたことで背中を押され、ドイツ語を履修するに至りました。授業が始まって約一ヶ月経った現状では、フランス語より手応えがいいです。発音は少し難しく、他のヨーロッパの言語と同様に男性名詞女性名詞などを考えるのは厄介ですが、地道に頑張っています。

ART151 Black and White Film Photography

 アート系の授業も履修しています。七人の小さいクラスで、デジタルではなくフィルムカメラ、それもカラーではなくモノクロフィルムを使う授業です。今の時代、スマホを取り出してボタンを押すだけで綺麗な写真をいくらでも撮れますが、フィルムであるが故の限られた枚数で何を撮るか、シャッターの速さとレンズの開き具合を調節していかに適切な明るさで撮るか、手動のピントをいかにぴったり合わせるかなど様々なことを考えながら写真を撮っていくのはとても複雑です。しかしその分、綺麗に撮れた時の喜びが大きいです。撮影を終えたフィルムは薬品につけて現像し、ネガの状態にします。次に印画紙にネガを通した光を当てて、印画紙を薬品につけることで、いわゆる「写真」の状態がやっと出来上がります。今は家庭でも簡単に写真プリントができますが、かつてはこの手法で写真屋さんがひたすら焼いていたのかと思うと、その手間は計り知れません。

写真2:現像した写真と使っているフィルムカメラ

 アメリカの授業は、日本と比べると学生がどんどん発言しています。教授が話している英語は理解できるのですが、発言する学生が早口だったり、もごもごしゃべったりするので聞き取るのが大変です。最近はだいぶ慣れてきましたが、先週は多くの授業で中間試験や課題提出があり、ハードな週でした。

  その他課外活動や生活について

Japan House Matsuri

 キャンパスに到着してから数日で、Japan Houseの最大のイベントであるMatsuriがありました。一日で数千人が訪れる大規模なイベントで、茶道、着物、折り紙、鎧兜などの体験や、書道や太鼓のパフォーマンス、そして日本食の露店が立ち並びます。私たち小山八郎奨学生も浴衣を着てお手伝いさせていただいたきました。主に折り紙のコーナーを担当し、子供達に大人気でしたが大人にも人気で、五時間以上折り紙をひたすら折っていました。用意していたのは、紙風船、兜、鶴、蝶などで六種類ほどだったのですが、子供達みんな一番難しい鶴に挑戦したがるので教えるのが大変でした。最初に角を揃えるのが肝心なのに、最初から折り目がずれていて、言っても直してくれません…ですから完成したものは必然的にぐちゃぐちゃになってしまいます。そんな状況でしたが、たくさんの人と折り紙を通じて交流でき、とても充実した一日となりました。一緒に折り紙を折ったボランティアの方々や、飛び入りで手伝ってくれた他の交換留学生たち、運営してくださるJapan Houseの方々、そしてなにより当日来場してくれた方々に感謝しています。

写真3:Matsuri終了後、第42期奨学生集合

Tea Ceremony Class

 Japan Houseで毎週木曜に開講されている、茶道の授業を受けています。私がどのように本留学制度を知ったかという話をすると、昨年、前述したホームステイプログラムの引率中に、日本館の郡司先生と知り合いだったホストファミリーが私を日本館に連れいってくれたことが始まりです。そこで先生がお茶を点てくださり、本留学制度を紹介してくださいました。日本館を訪れた際、イリノイ大学にはこんな施設があるのか!と心を動かされ、日本館の活動に積極的に関わりたいと思い、こちらでお茶を習うにも至りました。週に一度、畳に座ってキャンパスの喧騒から離れて過ごすのはとても心地の良い時間です。こちらに到着して数週間は、様々な団体が主催するイベントが盛りだくさんでしたが、最初の日本館での茶道のクラスでいただいたお茶ほど、心がこもってwelcomeされているなと感じるものはありませんでした。私は、中学高校時代に少し茶道を習っていましたが、こちらは裏千家なのに対して表千家だったことと、一からあらためて学びたいということでビギーナーとしてお稽古に参加させていただいています。大学生になってから再び習ってみると、かつては気づかなかった自分の作法の癖や新たな発見が多くあります。また、クラスの時には美味しいお菓子が食べられるというのも私にとっての大きな魅力です。私は和菓子、餡子の類が大好きなのですが、アメリカで美味しい和菓子が食べられるとは予想していなかったので、とても幸せです。

写真4:茶道の授業

写真5:茶道の授業後に友達とインドカレー

サークルなど

 勉強がかなり忙しいのでサークル活動には少ししか関わっていませんが、Illini Automotive Clubというサークルに顔を出しています。クルマ好きが集まるサークルで、週に一回学内の駐車場にクルマを持ち寄ってクルマ談義に花を咲かせたり、ドライブに行ったりと、割とゆるゆるとしたサークルです。まだ私はドライブについて行ったことはないのですが、クルマを持っている人が多いため、持っていなくても乗せて行ってくれます。また、今まであまりしたことがないのですが、クルマいじりをするチャンスもあるかもしれないので、それに期待しています。

 Japanese Conversation Tableという団体にも少し顔を出しています。日本語を学んでいる人たちが集まるサークルで、よく一緒にご飯に行ったり、アイススケートに行ったりしています。日本語が堪能な人が多く驚き、私も英語で負けていられないなと感じました。時には日本語のレポート課題の添削を頼まれ、原発の功罪について英語と日本語混ぜこぜで二時間近く議論を交わし、その後は頭の中が二つの言語で混乱してしまうなんていうこともありました。やはり日本に興味がある人が集まっているので、私たち日本からの留学生にとても親切にしてくれます。

その他生活のこと

 私たち42期奨学生は二つの寮に分かれているのですが、なんと私の住んでいる寮はエアコンがついていないのです。そのことを知り入寮前には少し憂鬱になったり、寮に着いた初日は、入った瞬間にモワッとした空気に体を包み込まれて、これでやっていけるのか?と心配になったりしましたが、人間意外と環境に適応するようで、すぐに慣れました。アメリカの室内は、エアコンがガンガン効いていて凍えるような部屋も多いため、窓を開ければ風が入ってくるこの寮はかえって居心地がよく、体にも負担がかからない気がします。ひとたび他のエアコンの効いた建物に入ると逆に寒さに嫌気がさし、「これだから地球温暖化が進むんだ…」とエアコンを心の中で悪者扱いすることもしばしばです。エアコンはないですが私の寮は食事がおいしいと評判です。「アメリカに来たら肉とピザしかないのかな…」という私の予想に反し、料理のバリエーションが多く、野菜も毎日食べられます。しかし、だんだんと日本食が恋しくなるもの。そんな時は持ち前のアイデアを使い、ダイニングで即席日本食を生み出して乗り切っています。タコスの具と白米でタコライスを作ったり、ポン酢があったのでオリーブオイルと和えて和風ドレシングを作ったり、麺と具材を炒めてくれるコーナーがあるのですが、醤油とうどんで焼うどんを作ってもらったりと、日本食らしきものを食べて生き延びています。

 私のルームメイトのMoonは韓国人で日本語も少し話せます。年上で面倒見が良く、面白いことに巻き込んでくれます。私たちの部屋は当初、ベッドが両側の壁に並んでいて狭い印象だったのですが、「ベッドを動かしてもっと広くしよう!」との彼のアイデアでベッドを部屋の隅に移動したところ、部屋に広いスペースができ、テレビも置くことができました。彼は今後、ソファを置くことも考えているようです。彼のような行動力が欲しいです。

番外編、ツッコミどころの多さ

 アメリカにきて思うことは、別に私は関西出身ではないのですが、ツッコミどころがかなり多いなということです。効率を重視するアメリカ、という印象でしたが、混雑時の飲食店などは非効率そのものです。また、中まで人が立って満員になる学内を走るバスは、車両中央のドアが満員の車内の内側に向かって開きます。運が悪いと挟まれそうになります。「なんでそれを考えないのかな…」と感じることが多いです。バスはかなりツッコミどころが多いです。人が降りる前に我先に乗り込む人々、毎日のように曲がり角で後輪を乗り上げる運転手などなど、日本と違うことを発見するのは楽しいです。講義中に私の後ろで、ご飯をむしゃむしゃと食べているくせに、突然賢そうな質問を教授にする奴、金曜夜に路上でクスリをやっている奴、いろいろな人間がいます。少し汚い話で申し訳ないのですが、トイレの使い方も適当な人が多いと感じます。流れていない確率が日本より高く、一番困ったのは、no.1用の便器が二つあるのに、一つしかない個室でno.1を足す男…それもドアを全開にした状態です。これにはさすがに困りましたが笑いそうになり、アメリカに来てから一番のツッコミどころでした。これからまたどんなツッコミどころのあるシーンが私を待ち受けているのかと思うと、さらに今後の生活が楽しみになります。

最後になりましたが、私たちを支援してくださる皆様、この場をお借りしてお礼申し上げます。今後とも全力でこの留学を充実させて参りますので、よろしくお願いいたします。

2017年9月30日

第42期小山八郎記念奨学生 南部 俊人

福田健太さんの2017年9月分奨学生レポート

Japan Illinois Clubの皆様、ご無沙汰しております。42期奨学生の福田健太と申します。イリノイ大学では、Liberal Arts and Sciences学部の、Economics Departmentに所属し、経済の勉強を中心にしています。9月に入り授業が始まってから、目の前の授業や課題に追われるうちに、あっという間に1か月が過ぎてしまいました。先日大半のMidtermが終了し、ひと段落したところで、この一ヶ月を振り返ってみようと思います。

 

大きく分けて、オリエンテーション期間、授業、授業外の生活について書こうと思います。

 

オリエンテーション期間

 8月下旬にイリノイ大学へ到着してから、9月に入り授業が始まるまでの一週間ほどは、オリエンテーション期間であり、新しく入学する学生同士の交流イベントや、学生生活に必要な情報に関する講義に参加しました。

この時期に、キャンパスからバスに乗って20分ほどのところにある、アーバナダウンタウンで行われたUrbana Sweetcorn Festival (いわゆるトウモロコシ祭り) に友達と参加しました。

イリノイ州はコーンベルトという、アメリカ有数のコーン産地の一部であり、シカゴからバスでキャンパスへ向かう道の両側に延々とコーン畑が地平線まで続くような場所であり、美味しいトウモロコシが安く食べれたら良いなと思って遊びに行ったのですが、予想していたより楽しいものでした。

アーバナダウンタウンの一部に、多くの出店が出店されており、日本のお祭りと似たような雰囲気のものでしたが、チームで取り組む謎解きゲームのようなものがあり、お祭り会場にのあちこちに仕掛けられた様々な問題に答えることで得られるキーワードを伝えると景品がもらえるというので、ルームメイトたちと参加することにしました。

この謎解きゲームが意外と難易度が高く、お祭り会場を早足で回りながら、問題の前で解き方をみんなで議論し、なんとか終了時間ギリギリで全ての問題を解き終えると「君たちで最後だよ!」滑り込みで景品をもらうことができました。景品は小さなトロフィーとオリジナルTシャツとそんなに豪華なものではありませんが、思い出の品となりました。

写真1

全ての問題を解き終えてルームメイトたちととった記念写真。(トウモロコシを食べているのが筆者)

また、授業が始まる前にJapan Houceが主催するMATSURIがあり、JICの学生4人で運営のお手伝いを行いました。私は浴衣をきて、お客さんに折り紙を教える役割につきました。まだ英語にも慣れない中、鶴などの折り方を英語で説明するのは大変でしたが、5時間ほどの間なんども繰り返し折り方を説明するうちに、最後の方は注意すべきポイントに重点を置いて説明するなど、成長を実感することができました。

写真2

MATSURIで折り紙の折り方を確認しているところ

授業について

 こちらで受ける授業は、総じて「教育」を強く意識した設計がなされていることを感じます。日本では、講義形式で知識を伝えられる授業が多いのに比べ、イリノイ大学では、講義に加えてディスカッションや、エッセイ、クイズなど様々な方法を組み合わせて行われる授業が多いように思います。

特に面白いと感じたのが、大学内のBookstoreで購入できる、i Clickerというリモコンのようなものを使い、授業中にリアルタイムでクイズや投票などを行うものです。これにより大教室の授業でも、教授と学生がインタラクティブなやりとりを行うことができます。何人がどの選択肢に投票したのかがわかるため、自分以外の学生がどのようなことを考えているか知ることができます。

写真3

授業で使うi Clicker。オンラインで番号を登録し、授業中にスライドに表示される選択肢に対応したA~Eのボタンを押す。

また授業前のオリエンテーションでも念を押され、多くの教授も行っていたことが、ただ教室にきて黙って座っているだけでは高い参加点を得ることは難しい、というものでした。アメリカの大学といえば、授業内で盛んにディスカッションが行われるようなイメージを抱いていたので、もとより覚悟はしていたつもりでしたが、この点に関して最初の数週間は本当に苦労しました。

みんな次々と発言していき、それを元に次のディスカッションが行われることもよくあるため、一度聞き取れないとその後の流れが全くわからず、今何を話しているかわからないためもっと発言する自信がなくなる、という繰り返しでしたが、1ヶ月授業を受けているうちに少し慣れてきて、だんだんと発言できる機会も増えてきました。

 1学期間に10科目ほど取れる日本の大学とは異なり、こちらでは1学期に最大でも6科目ほどしか履修できません。また一つの授業が週に2~3コマあり、課題や予習の量も膨大なため、はじめは5科目履修しようとしていましたが、一つ一つの授業を中途半端にしないよう途中から一つ削り、計4科目の授業を履修しています。

私は日本では法学部に在籍しているものの、経済学に興味があったため、今回の留学を利用して経済学を勉強しようと考えています。そのため、今学期に履修している4つの授業のうち、半分は経済学に関する授業であり、残りの半分は、関心のある社会政策に関係する別分野の授業をとっています。

またせっかくの留学なので、よりアメリカらしい授業を受けたいと思い、ほぼ全ての科目が、授業内でディスカッションを行うものとなっています。

 

以下に、それぞれの授業の概要を記していこうと思います。

 

◆ECON303 Intermediate Macroeconomics

こちらは、学部生向けの中級マクロ経済学の授業です。どうやら日本の標準的な学部レベルの授業と大学院レベルの授業の中間くらいのテーマを扱っているらしく、経済成長やビジネスサイクルについて、代表的なマクロ経済の理論を学んでいきます。授業で学んだことに関する毎週のオンラインクイズと、計算問題をとくHomework、一つの分野が終わるごとに実施される計3回のMidterm ExamとFinal Examで成績が評価されます。

授業は週に2回の講義と1回のTA Sessionから成ります。理論の説明を行う講義は100人以上が参加し、日本の大学の授業と似たような雰囲気で進められます。対してTA Sessionは、授業で扱った理論を元にした、問題の解き方をPh.Dに在籍するTAから

経済学を初めて勉強する私にとっては、授業の進むペースも早くついていくのが少し大変ですが、数学の問題と実社会の動きが結びつくことがとても楽しく、今学期もっとも力を入れて取り組んでいる授業です。来学期には、マクロ経済に関するさらに発展した授業を履修したいので、この授業はAの評価をもらえるように頑張っていきたいと思います。

 

◆ECON490 History of Modern Economic Thought

こちらも経済学部が開講している授業ですが、数学を使う代表的な経済学の授業とは異なり、過去の経済学者が記した古典を読み、現在当たり前のように使われている考え方や概念の成り立ちを学び、理解を深めることを目的とした授業です。そのため、毎週の授業で課される予習課題が膨大で、今学期もっとも苦労している授業です。

授業は週2回の講義とディスカッションを合わせたようなコマから成り、一つの授業につき50~100ページほどの古典を読んで望みます。重商主義、アダムスミス、ケインズなど、社会科学を勉強したことのある人ならば誰しも一度は耳にしたことのある思想家・経済学者の作品を扱うのですが、なんとなく名前を知っている彼らが、実際にどんな問題意識に基づき、どんなことを主張しているのかを自分が知らなかったことに気付かされます。

 

◆PHIL106 Ethics and Social Policy

この授業は、哲学科により開講されている授業で、実社会で起きている様々な問題を倫理学的に分析するというものです。これまでに、表現の自由からみる大学でのヘイトスピーチ規制や、アファーマティブアクションの是非などをテーマとして扱いました。

特定のテーマに関する、代表的な倫理学者の主張がリーディング課題として課され、授業では、それらの主張を全員で確認した後に、著者への反論をディスカッションします。授業が始まってすぐの頃は特に、教授の話す内容は聞き取れても、ディスカッションで他の学生が話す内容を聞き取ることが難しく、今何について話しているのかわからなくなってしまうこともあり、とても苦労しました。今でも抽象的な哲学の理論について議論することは苦労することも多いですが、なるべく自分で一番最初に発言をして議論の流れを作るなど、授業が追えなくならないような工夫をしながら、少しづつ積極的に参加できるようになってきています。

 

◆PS270 Introduction to Political Theory

一時期日本でも話題になったマイケル・サンデル教授の「ハーバード白熱教室」のような、政治哲学をテーマとした授業です。「あなたが運転手をしているトロッコのブレーキが壊れ、このままだと線路で作業をしてる5人を轢き殺してしまうが、車線を変更すると5人は助かる代わりに別の1人の作業員を殺してしまうことになる」という状況で、どう行動することが正解か?という、有名なトロッコ問題についてのディスカッションも行いました。授業では、政治学の古典を読みながら、「自由」や「平等」、「正義」と行った抽象的な概念について自分なりの考えを作り上げるというものです。

この授業は、教授が特に教育熱心であり、毎授業後のオンラインクイズ、毎週のエッセイ、隔週毎に課される課題と、とにかく取り組むことが多く大変な授業なのですが、アウトプットの機会が多く、自分の考えをまとめることができるため、ただ単に知識を習得するだけではなく、自分なりにそれを消化することのできる良い授業だと感じています。

先日の課題では、「自由」と「平等」の定義と、両者の関係についてワンセンテンスで自分の考えを書く、というもので、たった3行の文章を書くだけの課題にもかかわらず、一週間近くずっと考え続けることになり、とても苦労しました。友達と議論をしたり、提出時間の直前まで粘って考え続けた結果、自分なりに満足のいくものが書けたので、教授からのフィードバックがとても楽しみです。

 

授業外の生活

留学開始前は、何かしらのクラブに参加し、有意義な生活を送ろう!と意気込み、Quad Day (全クラブ・サークルが大学のメイン広場にブースを出店し新歓活動を行う日)では色々な団体の話を聞いたのですが、いざ授業が始まってみると、想像以上に余裕がなく、恒常的に顔を出している団体が特にない状態となってしまいました。

しかし、都合の合う日は、毎週木曜日にJapan Houceで行われる茶道のクラスに参加しています。留学前は、まさかアメリカに行って茶道をやるとは思ってもいなかったのですが、初回のクラスにご招待いただいて参加してみると、出身国の文化であるにも関わらず何も茶道について知識がないため、もっとよく知りたいと思うようになり、参加することに決めました。取ろうと決めた時には想定していませんでしたが、茶道の時間はとても静かで、ゆっくりと過ぎるため、慌ただしい日々の合間に一息ついて自分と向き合う良い機会となっています。

 

所感

留学開始直後の1~2週間は全てが新しく、毎日が刺激に満ちており、毎日がめまぐるしく変化してあっという間に時間が経ってしまうように感じていました。しかしだんだんと日々のサイクルに慣れていく中で、授業で思うように発言できないもどかしさや、膨大なリーディングが上手くこなせずに夜遅くまで眠れない日が続くなど、辛さを感じることもありました。寝不足が続き、日々の気温差で風邪を引いたりもしましたが、先日どうにかこうにか1度目のMidtermラッシュを終えて、どうにか生活のリズムを掴みつつあります。

毎日に少しづつ余裕が生まれてきて、その時間を何に使っていこうか、と考えています。

今までコツコツ地道に勉強する、ということを苦手としていて、また時間が出来次第新たなことに手を伸ばしては色々なことが中途半端になる、ということが多かったため、ひとまずは新しいことを始めるよりも、日々の課題や予習の質を上げていこうと思っています。

岩永陸さんの2017年9月分奨学生レポート

こんにちは。Japan Illini Club 42期生の岩永陸です。慶應義塾大学法学部に4年生として在籍しています。

 

8月下旬にイリノイ大学に到着し、すでに1ヶ月が経ちました。9月末には寒くなるとJICの先輩方から教えられましたが、今年は珍しく真夏のような気候が続いています。すぐに冷え込むだろうと思い、冬用のコートも持ってきたのですが、あと1ヶ月は使う出番がなさそうです。さて、現地では2週間前にようやく履修登録が完了し、授業を含め現地での生活に大分慣れてきました。イリノイ大学では日本で学んでいた法学・政治学とは全く異なる、工学部の計算幾何学(以下:CS)をこちらでは専攻しています。元々高校2年生までは理系だったのですが、いざ4年生の時点で理転すると、脳が時々止まってしまうような場面にも直面します。そんな新鮮な経験も含め、これから現地での大学生活についてつらつらと書かせていただきます。

写真①:友人の紹介で出会ったインド人のロハン

 

①現地での授業について

こちらの大学では主に4つの授業を履修しています。一つ目はCS101: Introduction to Computer Science(3単位)という、CSを最初の基礎から学ぶ授業です。主な内容としては、CSに関する理論やコンピューターの仕組みを学び、後にPythonというプログラミング言語に取り組みます。Pythonという言語は近年話題のデータサイエンスでも活用される機会が多く、数年前にCS101でもカリキュラムに取り入れたとのことです。週に2回の講義、1回のラボに参加する必要があり、且つ毎週2つの小テストと隔週の試験が待ち受けています。主に1・2年生が参加する授業ですが、CSに少し興味を持つ学生が、この授業を受けて急に専攻を変えることも珍しくないと先日担当の教授が話していました。米国の教育メディアで有名なU.S. Newsは、”Best Undergraduate Computer Engineering Programs(Doctorate)”という全米ランキングでイリノイ大学(アーバナシャンペン校)を4位と評価しているだけあり、学生に対する期待値がとても高いと感じます。また、ランキングで高く評価されていることもあり、多くの学生が最初はこの授業を受けることから、この授業は「(途中で挫折する)CSに興味ある学生」と「CSを本気で学びたい学生」を判別する振り子的な役割を担っているそうです。

 

二つ目の授業はCS125: Intro Computing – Engineering & Science(4単位)という、Javaというプログラミング言語を中心に学ぶ現地の名物授業です。CS101よりさらにパワーアップして、毎週3回の講義と1回のラボ、1つの小テスト、1つのMachine Problems(以下MP)が待ち構えています。このMPというものが非常に厄介で、毎週3つの応用レベルのプログラミング問題が課され、それを毎週他の課題と共にこなしていく必要があります。CS専攻でも案外時間があるんじゃないのか、と最初に来た時は思っていましたが、見事このMPの存在によってその甘い期待は打ち砕かれました。他の課題や授業を受けつつやっていると、睡眠時間を削るという選択肢以外がありません。1つ目のMPはなんとか徹夜せず終わらせることができましたが、先週提出した2つ目のMPでは、徹夜する羽目になってしまい、せっかくのFriday Nightは爆睡する結末に至りました。イリノイ大学ではCSが一番難関な専攻といわれていますが、今それを痛感しています。ただ、この授業時間以外にTeaching Assistant(以下: TA)がたくさんのオフィスアワーを設けているため、わからないことがあれば直ぐにTAに聞ける体制が整っています。「厳しく教えるけど、ちゃんと学習支援は行うよ!」という姿勢がひしひしと伝わってくる授業です。辛い時もありますが、本当にこの大学にきてよかったと思うことができるようになった授業でした。

 

三つ目の授業はCS196: Freshmen Honours(1単位)です。この授業は毎週講義と分科会が1回ずつ行われます。この授業はたったの1単位しかありませんが、非常に特殊で且つ人気を誇っています。まず、この授業に担当教授はいません。授業は全てCS196で優秀な成績を残した2・3年生が担当します。次に、学生が取りまとめる授業であるため、授業は全て19時以降に開催されます。日中の授業や課題でクタクタな状況でも、この授業のために遠い工学部キャンパスに戻ります。3つ目は分科会です。この分科会も夜に開催されるのですが、こちらでは自分が興味を持つ分野について学ぶことができます。米国では、データサイエンティストが今最も熱い職業といわれているのと、ちょうどデータサイエンスで活用されているPythonを学んでいたこともあったため、私はデータサイエンス分科会に入りました。講師は2つ下の20歳ですが、すでに大学の米国立スーパーコンピュータ応用研究所にリサーチに携わっており、改めてこの世界で年齢は関係ないと実感した次第です。そしてこの授業はプロジェクトベースとなっています。先週は立候補した学生が取り組みたいプロジェクトをピッチし、今週ついに私もそのプロジェクトの一つにアサインされました。まだアイデア段階ではじまったばかりですが、これからどんなものがつくれるのか、とても楽しみです(寝たい)。

写真②:CS196の授業風景

 

四つ目の授業ではIS590 Data Visualization(4単位)というものを履修しています。こちらは情報科学という専攻の授業になっていますが、内容は非常にCSに近いものとなっています。インターネットで公開されている様々なデータを用い、Pythonでそれを図式化する手法を学んでいます。これは院生の授業なのですが、先生はとても面倒見がよく、非常に取り組みやすい授業です。また、授業ではテクニカルなことについて教えてくれるだけでなく、データとは一体なんなのか、このデータにどう向き合えば良いのかという抽象度が高い議論も行うので、自分がなぜこの領域を学んでいるのかを考えさせてくれるきっかけとなります。こちらの授業はCS125に比べ、課題量は少ないのですが、Pythonに関する事前知識が必要とされるため、独学でさらに学ばないといけません。なんにせよ、自分で選んだ道なので、これからも頑張って取り組んでいきます(寝たい)。

 

また、正式に履修はしていないのですが、CS 126: Software Design Studio(3単位)という授業を聴講しています。元々この授業は留学生が取れないものとなっているのですが、担当教授と話し、アドミッション担当者に直談判した結果取れることができました。最初は正式に履修登録を行いましたが、CS125の知識を前提とした授業であったため、「このままの状態では十分に学べない」と判断し、聴講という形式に変更しました。この授業では、プログラミング言語を学ぶのではなく、「いかにコードを綺麗にかけるか」ということが求められます。まだ十分なプログラミング知識はないのですが、授業を聴講するのと、課題図書の『The Art of Readable Code』を読んで、コードを書くときにこんな点に注意をおくのか!、とたくさんの気づきを提供してくれます。また、講義のみならず、少人数で開催されるコーディングセッションでは、5人の学生がお互いにつくった課題コードを見せ合い、それぞれのコードの内容や構成について改善点や疑問点を指摘しあいます。このセッションを通じて、コードは第三者に見られるものであり、仮に一人のプロジェクトでも常に構成は気にすべきだと感じました。また、コードはその人の論理的思考が直接反映されるものなので、その人の経験値や論理構成能力が露わになります。日本でエンジニアの方と話したとき、「コードでその人の性格がわかる」と言われたことがありましたが、ようやくイリノイで理解することができました。

 

②CSを勉強しながら感じたこと

一通り授業について述べましたので、授業や現地での生活についてこちらで話させていただきます。まず、CSを専攻している学生はThomas M. Siebel Center for Computer Science(以下: Siebels)という施設で講義やラボに参加します。私はキャンパス南側のBousfieldというところに住んでいるのですが、Siebelsは北側にあります。バスで十分、歩いて30分ほどの距離です。遠いのが少し難ですが、施設は新しく綺麗で、大学が理系分野に注力していることが露骨に表れています。そして、このSiebelsという施設では理系の学生が溜まっているのですが、8割りがインド人と東アジア人で構成されているといっても過言ではありません。海外から飛び立った留学生も多いですが、2世や3世も多く、この施設の空間はアメリカは移民の国であることを強く立証しているように感じられます。ただ、日系の留学生や2世は一桁台しかおらず、やはり日本は豊かな国であると実感したと同時に、トビタテや留学支援プログラムが他国に比べとても充実しているのにも関わらずこの数は異常だと、ある種の焦燥感も得ました。異国に旅行するのが大好きな日本人は、異国に住み着くことは選びません。それは日本が住みやすい国であることの裏付けでもありますが、米国では日本の存在感は全くありません。複雑な国際社会で、ここまで影が薄いと、日本国籍を持つ自分はこれからどんな生き方を選べばいいのか、などというぼんやりとしたことについても考えてしまいます。

 

また、CSの勉強を通じて、集団で学ぶ環境の大切さを感じました。CSに関するほとんどの教材やナレッジはすでにインターネット上に無料で載っていて、独学することが可能です。つまり、日本の四国にある小さな町の家の一室に引きこもっていても、インターネットさえあれば専門知識を得ることができます。故にCSはどこでも学べるし、インターネットがあればどこでもソフトウェアエンジニアは作業できるという風に言われています。しかし、一人で一から学ぶのは相当根性がないと難しいと今回の留学で改めて痛感しました。わからない問題に直面したとき、インターネットで解決方法を探すことはしょっちゅうありますが、集団で勉強する方が圧倒的に効率が良く、学びがあります。自分が理解していない点や直面する課題について、隣に誰かがいるだけですぐに質問することができます。Siebelsは、全米最高峰のCSナレッジが密に集中している空間です。この空間にいることが、この留学の醍醐味だと私は思います。そして、人に自分が問題に直面していることを説明するのは、思考の整理に繋がります。「自分は今この課題を解くアルゴリズムをつくる必要があって、このコードの行にはこんな意図がある。ただ、次のコードを書くときにこんな風に書いたらエラーが出てしまう。どうすればこのエラーは無くなるのだろうか。このコードはどのコードと繋がっているけど、このコードにも影響しているかもしれない。」と、言語化して声に出すだけで、少し脳内がスッキリする感覚が得られます。泥臭い作業が殆どですが、「誰かと一緒に」向き合うというだけでモチベーションは保たれますし、コミュニケーションしながら助け合う姿勢は、CSのみならず、生活の様々な面で役立つのではないのでしょうか。

 

過去に一年間、イギリスのエジンバラ大学に交換留学生として国際政治について学んでいたのですが、こちらでの授業生活とは全く異なるので驚いています。取り組んでいる学問領域が異なるというのもありますが、こちらでCSを学ぶとなると一時的な暗記や「力技」が全く効きません。CSでは論理に対して本質的な理解が常に求められます。国際政治では、論文構成についての議論や学者が提唱する概念についての理解が求められますが、暗記を求められるケースが多いという所感です。異なる学問でも、学ぶ姿勢という観点では多くの共通項がありますが、試験期間でよく垣間見られる一夜漬けはあくまで暗記ベースでしか応用できません。政治学では、「この年度に、この人物が、こんな外交事件を起こした」ということを暗記で覚えられますが、CSは「考え方」を教えます。つまり、その考え方を一度でも理解すれば類似問題はいくらでも解けますが、その考え方を理解しなければ一生解けません。もちろん、一夜漬けで「考え方」を理解できる人もいるとは思いますが、私は毎日地道にコードに触れて理解していこうと思います。先日、教授との面談が行われたのですが、その際「プログラミングは楽器を練習するのと同じ。毎日触れて、毎日勉強する習慣が鍵です。」とアドバイスをいただきました。今はわからないことだらけですが、来年の夏には全く違う学問に頑張って取り組んでよかったと思えるように、精進してまいります。

写真③:ほぼ毎日通う工学部の図書館。24時間運営しています。

 

元々日本の大学では法学・政治学という非常に定性的な学問に触れ合ってきましたが、イリノイ大学ではCSの学生として、異なる手法で自身の「考え方」を磨いていきます。また、留学期間に自分で一つ何かプログラミングを作ってみたいと思いますので、乞うご期待ください!拙い文章ですが、年末の時期にまた近況報告をさせていただきます。お読みいただきありがとうございました!