奥谷聡子さんの2012年11月分奨学生レポート

イリノイ大学日本同窓会の皆様、ブログを読んでくださっている方、こんにちは。2012年度小山八郎記念奨学生の奥谷聡子です。
こちらに来てから早2ヶ月が経ちました。到着直後の真夏日和から一変して、シャンペーンは日に日に秋が深まり、落ち葉舞う肌寒い季節に入って参りました。
今回のレポートでは、
Ⅰ 到着
Ⅱ 授業
Ⅲ 課外活動

の3点についてご報告いたします。

Ⅰ. 到着
8月21日に日本を出発し、シカゴ経由でシャンペーンへ向かいました。ウィラード空港行きの飛行機は30人乗りくらいの超小型飛行機で、 CAもアメリカンクオリティーこと、まったりしたおばさんで、離陸前の安全確認デモで、ライフジャケットをあちこちの棚を開け閉めしては探し回っているうちに上空にいました。こんな調子で半信半疑にシャンペーン上空を飛んでいると、見渡す限りトウモロコシ畑と平地が続き、 まるで絵に描いたように緑が広がっていました。到着すると、驚いたことに空港は大学の敷地の一部で、学生たちが案内係として待ち構えていてくれていました。到着直後は留学生オリエンテーションや新歓イベントなどが27日の授業開始までぎっしり詰まっていました。初日から昼は中庭でアウトドアゲームやキャンパスツアー、Scavenger Huntなどがあり、夜はMovie NightやIce Cream Social、Catch The Flag, Illinightというパーティーが催されていたり深夜までイベントが盛りだくさんでした。時差ぼけに負けじとふらふらになりながらオリエンに全参したので、体力的に疲れましたが、何より学校の楽しいイベントにたくさん足を運べましたし、寮のメンバーと親しくなるとても良い機会でした。
Quad Day(新入生歓迎イベント)では大学の300を超える団体が1日でクラブやサークルの勧誘活動を行うため、もの凄い人たちでキャンパス中心部は賑わい、無料のシャツやペン、食べ物で学生たちを自分たちのブースに釣っていました。私も寮の友人と無料のものを求めて得体の知れないブースもたくさん回ったので、帰って鞄を開けたら、ペンやサングラス、コップ2つと聖書までまじっていました。オリエン期のキャンパスは一年間で最もイベントで盛り上がる時期と言えるでしょう。

Ⅱ授業
今学期は以下の授業を履修しています。
CMN101 Public Speaking
GEOG110 Geography of International Conflicts
PS280 Intro to International Relations
GLBL 298 International Development and Economic Growth

CMN101 Public Speaking
こちらの大学に来て驚いたのが、幅広いコースが専攻分野以外にもオファーされているということです。私は国際政治専攻ですが、このパブリックスピーキングのコース以外にシネマスタディーズ、生け花、ブラックコーラスなど様々な授業を履修することができます。
留学先では日本の大学にはない参加型の授業を履修したかったので今学期はこの授業を選びました。この授業はTA(Teaching Assistant)という大学院生が教えており、20人の小規模クラスです。この二ヶ月の間に既に3つのスピーチを行いましたが、毎回決められた形式にそって、小道具やパワーポイントを用意してクラスで発表します。今のところ 最も面白かったのがDemonstration Speechでした。スピーチの条件は聴衆参加型、6分以内ということで、私は日本文化の紹介を兼ねて巻き寿司(Californian Roll)を作りました。他の学生は、紙飛行機、折り紙、サルサ、ケーキの作り方、ヨガのやり方、椅子の座り方(笑)、などと幅広いトピックについて披露しました。
しかし、やっぱり食べ物系は盛り上がりますね。寿司を作るというと、周りの学生は皆”I’m so excited!”と楽しみにしてくれて、前夜に予め全員分作って当日はスピーチの後で皆にまわしました。
日本でも一人で寿司を作ったことがない私が外国人に食べさせるとなったら、もちろん特訓の日々ですよ。 授業課題や課外活動の傍らで、深夜、寮のキッチンで寿司を作る(創る)私の姿が健気だこと。イリノイの地に来てこんなことにも挑戦してます。
ちなみに巻き簾 は”SUSHI KIT”という胡散臭いのをアマゾンで注文し、どんな変梃な巻き簾が届くのかとドキドキして待っていましたが開けたら意外とちゃんとした巻き簾でした。ということで、当日は調理アシスタントのボランティアを募り、クラスの皆にもスピーチを喜んでもらえました。

PS280 Intro to International Relations(Prof. Laura Hastings)
私は現在Global CrossroadsというLiving-Learning Community(LLC)に住んでいますが、LLCの学生限定にオファーされているPS280のコースを履修しています。このコースは特に将来外交官や国際機関を目指す人や、国際交流に興味を持っている学生たちが集まっています。したがって人数も20名と小規模で、寮の小さい教室で授業を行っています。この授業はもの凄く課題が多く今学期最も大変な授業です。宿題は毎週ペーパー課題2つと毎授業リーディング課題が100ページ相当出ます。この授業のおかげで月々の印刷代が15ドルかかっていたので、ついにプリンターを買いました。ペーパーもリーディング課題のリスポンスで、授業も参加型なのでリーディングをこなさないと授業についていけません。最初はリーディング課題を読むだけでも必死でしたが、今は大分速く読めるようになり、ペーパーもUndergraduate Library(UGL)のWriters Workshopで添削してもらって効率よくこなせるようになってきました。Writers WorkshopとはEnglish Majorの院生が図書館で論文のアドバイスや添削をしてくれて、留学生だけでなくたくさんの学生が活用している便利なコーナーです。
この授業ではMarxism, Realism, Liberalism, Constructivism など国際政治の理論を色々な文献を扱って学び、ディスカッションを通して国連、ルワンダ紛争、尖閣問題、多国籍企業の役割などを様々な理論的視点から分析しています。この他に、グループに別れて模擬国際会議を行うという面白いアクティビティも行っています。リビア紛争において国際政治の主体がどのように行動したか分析すべく、私と一人のクラスメイトはAfrican Union、他はNATO、UN、USA、Libya、EUに別れて、それぞれの立場から会議で交渉を行います。大学のクラスルームでも、交渉のスイッチが入ると、学生たちに熱が入り、実際に国際政治の舞台で起きた交渉過程が見事に再現され、実に面白かったです。課題は大変ですが、国際政治における力関係や国家と国際機関の役割を実践的に学ぶことができ、教授も非常に熱心な方なのでおススメの授業です。

GEOG 110 Geography Of International Conflicts (Prof. Colin Flint)
この授業は週3回あり、うち1回はレシテーションの構成になっています。今日起きている国際紛争を取り上げ、それを個人、国家、グローバルなスケールから分析し、対象地域の位置や歴史、人種、宗教、政治団体、国境形成が地域のアイデンティティと紛争にどう関連するかを学んでいます。この授業のレシテーションも実に面白い授業の一つで、戦争の大義名分というトピックの回では、アメリカが過去に介入した戦争や、一般的にタブーとされている戦争のトピックについて話し合いました。その中にはベトナム戦争やグアンタナモ収容所の人権侵害、第二次世界大戦における日系人の収容、9.11後のイスラム教徒への人種差別、真珠湾攻撃と広島原爆のトピックなどがありました。Pearl Harborの議論になったときは教室内の日本人として少し肩身の狭い気持ちになりました。アメリカでは、真珠湾は本土に仕掛けられた屈辱的な攻撃で原爆投下は戦争を早期終結させるための正当な行為だったという認識が一般的だからです。
しかし、この授業で印象的だったのは、偏った歴史認識だけでなく、アメリカの原爆投下の人道に対する罪としての認識が普段取り上げられないことにも着目したことでした。軍隊の批判を公で議論することがタブーな風土があるなかで、この授業ではアメリカ人を含め世界中の学生と多様な歴史認識について議論できたのが興味深かったです。

GLBL 298 International Development and Economic Growth; Peru, Urubamba
この授業はUIUCのStudy Abroad Officeが開講しているFaculty-Led Programの一つで、冬期休暇中の海外研修プログラムです。10月半ばから授業が始まり、毎週レポートとペルーでの現地研修、帰国後のレポートとプロジェクト提出で3単位受けることができます。このプログラムを選んだ理由は、国際開発に関心があり、南米の発展途上国で現地のNGOと連携し、草の根から開発という問題に取り組みたかったためです。 このコースでは、発展はどのような過程で起きるのか、先進国の援助は現地の発展にどのような影響があるのか、発展の過程における女性の社会的役割などについてコミュニティワークを通して包括的に学びます。今年の冬休み期間を利用して、ペルーでの現地研修では、ローカルなNGOと連携し、衛生的な水道フィルターの製造や、安全な家庭用ストーブの製造に実際に携わり、加えてホストファミリーと共に生活します。授業は15人と小規模で、毎週の授業もキャンパス周辺の喫茶店で夜8時半から集まり、円卓を囲んでディスカッションを行っており、アットホームな雰囲気があります。

Ⅲ課外活動

・Illini Women’s Ice Hockey Team
こちらに来る前から運動系のクラブチームに入ることを決めていましたが、イリノイ州はアイスホッケーが盛んなことで有名なので、アイスホッケー部に入部しました。Quad Dayにスポーツクラブのメーリングリストに登録すると、トライアウトの連絡がくるので、アイスホッケー部のトライアウトに参加し、初心者ですが無事合格しました。練習は毎週2回、夜の11時から大学のアイスアリーナで1時間半やります。どんなに勉強が忙しくても、練習に間に合うように課題を終わらせ、運動するとストレスの発散にもなるのでとてもメリハリのある生活をしています。また、チームメイトの家でApartment Crawlや パーティーなどのTeam bondingもあるので現地の学生と仲良くなれますし、スポーツ特有のチームワークや団結も生まれ、とても楽しんでいます。これまで二回ホーム試合があり、寮のメンバーが横断幕を作って全員で応援に駆けつけてくれたのが非常に嬉しかったです。

           アイスホッケーチーム集合写真(筆者は白側3列目中央から2人目)

・Volunteer at Eastern Illinois Food bank
9月29日にEastern Illinois Food bankの “Food for Families”という募金活動の有志ボランティアに参加しました。U of I vs Penn Stateのフットボール試合の日程に合わせて、メモリアルスタジアムの前で午前8時から12時までイリノイ大の学生たちと募金活動に励みました。募金のコンセプトは、「1ドルで4食分の食事を」ということで、寄付金はイリノイ州に暮らす貧しい子どもや家族に分け与えられます。募金活動では同じチームのメンバーで面白い掛け声を練りだしては、大声で歌いながら試合を観戦しにきたファンたちの募金を募ります。 “1,2,3,4, donate change or donate more, 5,6,7,8 Donate to the food bank!” と道行く人たちに声をかけては、募金してくれた人にはチーム一同で”WOOOOOOO!! Who’s awesome, YOU’RE awesome!!!” とかハイテンションに声援をかけました!日本の募金活動とはテンションが違って、アメリカの募金カルチャーというものに触れたような気がします。ジュースのお釣りでも、20ドル札でも、自分が稼いだお金を他の人のために捧げてくれたのだから、募金してくれたその一時くらい道行く全ての人がわかるようにその人の行為を称え、感謝の気持ちを精一杯見せるという精神でしょう。「ありがとう!最高だよ!」なんて声をかけてもらった人たちも皆嬉しそうな笑顔で、「掛け声頑張ってるね!」なんて言ってくれました。そういうcharityの精神に共感できました。私たちのこの活動は現地のニュース番組にも取り上げられました。

           メモリアルスタジアム前の募金活動の模様、筆者は左から3番目

・日本語教室
毎週火曜日の夕方30分間、寮のメンバーに日本語を教えています。
日本語を教えながら、文化の違いの発見があったりして私も学ぶことが多いです 。たとえば、先日教えた「こんにちは」Konnichiwaでは文化によって時間の感覚の違いがあることを実感じました。外国人は「こんにちは」を英語でいうHi!という感覚だと思っています。なので、朝でも昼でも夜でも全部Konnnichiwa!だと思っています。でも、実はこんにちはを夕方6時くらいに使ったらおかしくて、6時以降は「こんばんは」なんだと言うと”Oooooooooooo!!!”と歓声が(笑)
自分でも言いながら、普段無意識にやっている習慣が文化的なものであって、他の文化からすると驚くようなことなのだと改めて自覚させられました。
こんな調子で楽しくやっています。ちっぽけな日本語教室ですが自分なりに日本を魅力的に、面白く、且つ興味が湧くように世界の学生に伝えたいと日々奮闘しております。

              日本語教室の授業模様、寮の共同ラウンジにて

長文になってしまいましたが、二ヶ月間学業に課外活動にメリハリよく生活しています。航空会社が荷物を紛失し、一週間届かないなど色々なトラブルにも直面していますが、その都度冷静に考え、行動力をもつことの重要性を日々学んでいます。
最後になりましたが、JICの皆様をはじめ、応援してくれている家族や友人、先輩や後輩にこの場をお借りして感謝申し上げ、第1回レポートを終えさせて頂きます。いつも温かいご支援を頂き、本当にありがとうございます。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

    イリノイ大の体育会Barn Danceへ向かう満員バスの中。ホッケーのチームメイトたちと

奥谷聡子