奥谷聡子さんの2013年2月分奨学生レポート

JICの皆様、ブログを読んでくださっている皆様、お久しぶりです。
Spring Semesterが始まり、留学生活も折り返し地点をすぎたところで第二回のレポートをお送り致します。

渡米前に先輩方から忠告されたイリノイの冬を逃避すべく、冬休みは南米ペルーに行ったはずなのですが、シャンペーンは先週、外気温13℃の日が続き、1月にTシャツでキャンパスを歩き回るほどでした。今週に入ってからは寒い日が続き、少し雪も積もりましたが、こんな絵がFacebookで出回るほどでした。

さて、今回のレポートではⅠFall Semesterの総括、ⅡWinter Break、ⅢSpring Semester授業内容 、Ⅳ. 課外活動の4項目についてご報告いたします。

Ⅰ.Fall Semester 総括

•    Homecoming Game
10月27日はイリノイ大学vsインディアナ大学のHomecoming  Gameでした。Homecoming Gameとは大学のアラムナイたちを年に1度母校に迎え、アメフトの試合を学生と一丸となり 応援する伝統的、且つ秋学期最大のイベントです。日本でいう、早慶戦のようなイメージでしょうか。試合前のスタジアム周辺はTailgateといって、バーベキューやお酒、Cornhole(輪投げのようなもの)などのゲームを楽しむ大勢の人で賑わい、試合開始までには6万人のスタジアムが満面オレンジ一色に染まりました。 神宮球場の2倍の大きさのメモリアルスタジアム内はアラムナイと学生一同、大学のプライドと声援で溢れ、もの凄い迫力でした。

Fighting Illini vs Indiana、メモリアルスタジアムにて。

•    期末試験
秋学期の期末試験は筆記試験が1つ、プレゼンテーションが2つ、そしてペーパーが2つありました。期末試験の1週間前からGrainger Libraryに引き籠ってはひたすら試験勉強をしました。期末期間中は朝一に図書館に行かないと満席で座れないほど混みます。”No judgment during finals”とは学生たちがよく口にする言葉ですが、試験前になると窶れた顔とスウェットやパジャマ姿でキャンパスを道行く学生が激増します 。(笑)

期末期間中のGrainger Library内の様子。中央のテーブルに座る筆者。

睡眠不足の学生で陰鬱な雰囲気がキャンパスを漂う中、大学の学長からは学生たちに向けて応援のビデオメッセージが送られたり、FacebookではAlma Materが勉強に勤しむ学生の写真をフィードで流したり、University Housingにより全ての寮とIllini Unionで無料のコーヒーとクッキーが24時間支給されるなどしました。大規模な大学でも、 こうした大学の学生に対する小さな思いやりやサポートに感激しました。前回のレポートでも触れましたが、アメリカの大学では日々の課題や中間試験が多いため、期末試験一つにかかるウエイトとプレッシャーは日本より少なく感じました。

Ⅱ. Winter Break
今年の冬休みは絶え間なく旅をして回りました。
期末直後はリンカーンの地として縁あるSpringfieldに住むクラスメイトの家を訪ね、リンカーン博物館や数フィートの厚さの棺とコンクリートに囲まれたリンカーンの地下墓所なども巡りました。クリスマスにはニューヨークへ友人と行き、27日にオヘア空港へ戻った翌朝からは南米ペルーへ向けて出発しました。以下にペルーの海外研修について詳しく報告します。

•    GLBL298 International Development and Role of NGOs [Urubamba, Peru Prof. Laura Hastings]
12月28日から約2週間、南米ペルーへGlobal Studiesの授業で海外研修へ行ってきました。滞在したのは、Urubambaという標高2870メートル、人口2700とイリノイ大学の14分の1しかない大きさの町でした。ガイドブックの片隅にある日常会話ほどのスペイン語しか話せない私でしたが、現地に到着してから早速スペイン語しか話せないホストファミリーとの2週間の生活が始まりました。
この授業は国際開発と発展におけるNGOの役割を学ぶことが目的であり、2週間ProPeruという国際NGOでボランティアをしました。ペルーでは衛生的な水道が発達しておらず、飲料水も歯を磨く水も購入するか、家でお湯を沸かして使うしかありませんでした。衛生的な水にアクセスがないので、多くの子どもはInka Kolaというソーダばかり毎日飲み、歯が溶けてなくなっていました。また、衛生的なストーブが家庭にないため、呼吸障害や盲目に苦しむ女性と子どもも多くいました。初めて発展途上国へ行き、こうした現実に直面したことは もの凄い衝撃でした。
私たちのクラスはProPeruと共に毎朝山奥にあるTambbococchaという村へ登り、衛生的なストーブや水道フィルター、棚などを造りました。セメントや高度な機械はないので、レンガと泥(Barro)に全身まみれながら建築作業に励みました。

ストーブ完成後の作業チームとの写真

朝8時から夕方5時の仕事が終わった後は、Urubambaへ戻り、ホストファミリーと時間を過ごし、夜の7時からは授業です。作業に取り組む傍らで、私たちのプロジェクトの意義について自分自身の中で葛藤もありました。現地の人たちは開発や経済発展に対して受け身姿勢で、我々のプロジェクトは持続的なのか、西洋の価値観を押し付けているだけなのではないかとも度々悩みました。
この他に、生活面、文化面でも困難が多く待ち受けていました。到着して早々、高山病にかかり、2日ほどフラフラになりながら山を登っては仕事に行き、ようやく体が標高に調節してきたところで今度は水が原因で下痢に見舞われました。(笑)健康面では散々な目に遭いましたが、だからこそ発展途上国が抱える深刻な問題を身を以て実感しました。
ホストファミリーの家では、私の部屋は屋外の小さな小屋にあり、シャワーもトイレも屋外にありました。しかし、お湯が出ないので2週間凍える寒さのシャワーを浴びていました。携帯やインターネットもないため、最初は不便でしたが、次第に時間の流れがゆっくり感じられ、気付けば日本やアメリカにいたときより遥かに多くの時間を誰かと共に過ごし、会話を楽しむようになっていました。ペルーの家庭で昼食を食べるとなると最低2時間は必要だというのはよく言われることなのですが、お昼になると、父親も職場からわざわざ家に戻り、家族団欒食事をするのが文化的習慣です。当初は全くスペイン語が話せない私でしたが、身振り手振りで言いたいことが伝わったときは家族全員テーブルを囲んで「オー!!!」との歓声で大盛り上がりでした。
インターネットも、熱いシャワーも、洗濯機もない生活かもしれないけれど、私のホストファミリーは皆幸せで、ペルーは人を大切にする文化の国だと感じました。彼らとの生活を通して、開発や発展について自身の定義を見直すようになりました。研修最後は涙を流しながら家族と抱き合い、別れを惜しみました。

最終日、ホストファミリーと家族写真

Ⅲ.Spring Semester 授業
さて、今学期は以下の授業を履修しています。
PS343 Government & Politics of China
PS283 International Security
PS282 Governing Globalization
GLBL250 International Development
PS199 Undergraduate Open Seminar: US State & Local Politics

今学期は専攻分野を中心に、ディズカッションやプレゼンテーションが多い少人数制の授業を履修しています。特に、PS199のState and Local Politics は興味深く、昨年12月にコネチカット州で起きた銃乱射事件を機に再燃している銃規制や、麻薬(マリワナ)の合法化などを巡って、連邦政府と州政府の法律の違いや権限や役割について学んでいます。詳しい科目内容については、試験等と併せて、次回の奨学生レポートにて報告させていただきます。

Ⅳ.課外活動
•    Habitat For Humanity
Habitat For Humanityとは、貧しい家庭や被災した家族の住まいを再建する活動をしているNGOです。私はイリノイ大学の学生チャプターのボランティアとして週末に活動しています。2年前にニューオーリンズでハリケーンカトリーナの復興ボランティアに携わったのが参加のきっかけになりました。このボランティアを通して、アメリカ国内の至る所にも人種格差や貧困問題が存在することを再認識させられました。釘とトンカチを両手に週末は地域の人と協力しながら建築作業に励んでいます。

•    Illini Women’s Ice Hockey
春学期も毎週月木の二日間、夜11時から深夜1時までキャンパスのアイスアリーナでアイスホッケーの練習に励んでいます。練習は厳しく、 コーチに何度も怒られたり、チームメイトとのコミュニケーションに思い悩むことも度々ありましたが、昨年最後のホーム試合で嬉しい出来事がありました。最終ピリオドで私が初ゴールを決め、試合終了後にロッカールームに戻ったらチームメイトたちが勢揃いし、コーチが全員のサイン入りのホッケーパックを私に贈呈してくれました。あの時の気持ちとホッケーパックは一生忘れられない宝物です。私たちのチームは秋学期のリーグを4位で勝ち抜いたため、春学期の決勝プレイオフに進めることがつい先日決まりました。残すところわずかな部活動、悔いのないよう全力で突き進みたいと思います。

シカゴの遠征試合でチーム集合写真

イリノイ大学での留学生活も残すところ3か月半になってしまいましたが、 勉強に運動に遊びに悔いのないよう、全力で臨みたいと思っています。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。