榊原侑利さんの2014年2月分奨学生レポート

JICの皆様、そして奨学生レポートを読んで下さっている皆様、ご無沙汰しております。前回の奨学生レポートの時期から早くも3ヶ月が経ち、留学生活もいよいよ後半戦となりました。残り4ヶ月、最大限実りあるものにしようと意気込んでいるところです。

さて、今回は授業や休暇などについて前回の奨学生レポートから今までの近況報告をさせて頂きたいと思います。

<授業について>

秋学期の授業の総括と、春学期履修している授業の簡単な紹介をしたいと思います。 秋学期は後述する通り少々悔いの残る結果になってしまいましたが、その教訓は今学期の授業選択に活かすことができたと思います。

先学期履修した講義は以下の通りです。 CEEはCivil and Environmental Engineering、ENGはEngineering、GEOLはGeology、 ( )内は単位数を表します。

・GEOL 118 Natural Hazards (3 hours)

「アメリカの授業は厳しい、一つくらいは100番台を取った方がいい」という安易な考えで履修した授業ですが、結局最も苦労し成績も振るわぬ結果となってしまいました。初めの方は地学の基礎知識も学べたものの、後は様々な自然災害の簡単な説明が中心だったため、教養の幅が少し広がった程度で終わってしまいました。所謂マスプロ授業だったため少人数講義と比べて得るものが少なく、試験対策も教科書を数百ページ単位で読んで覚えるものだったのでかなり辛かったのを覚えています。アメリカ人にとっては常識的な知識(アメリカの自然災害にしても、地学の知識にしても…)ばかりの簡単な授業でも、日本でそういった知識に触れることもなく、かつ英語のボキャブラリーで劣る私にとっては単に暗記量が膨大になるだけで、平均点が異様に高い中自分だけ成績が振るわない状況になってしまい辛かったです。ただ悪いことばかりでもなく、大教室でもたまに質問が飛んだり、逆に先生が生徒に質問を投げかけたりする辺りはアメリカらしさを感じられました。取りあえず、100番台の授業を無理して履修する必要はなさそうです。

・ENG 315 Learning in Community – DOT (3 hours)

授業内容は前回のレポートで述べた通りなので省略しますが、自分の英語力の課題や、授業の受け方の反省点が浮き彫りになった授業でした。 ENG 315では講義はなく、授業時間は全てディスカッションで構成されています。初めは履修人数が5人程度で、多少ディスカッションについていけなくても後で聞き返すなどして対応できたのですが、後半で新たに10人以上グループに加わってからはそうはいかなくなりました。ディスカッションの流れが把握できず自分が何をすれば良いか分からなくなり、チームに貢献出来なくなってしまったのは残念です。一度ディスカッションについていけなくなると、次からますます分からなくなって泥沼に嵌まってしまうので、授業が終わってからでも何を話していたのか、勇気を出して確認する作業をしておけば良かったと反省しています。今後は特に、ネイティブスピードの英語ディスカッションについていけるだけのリスニング力を身に付けるよう精進したいと思います。

・CEE 398 Engineering in Global Environment (3 hours)

前回のレポートでも述べた通り専門性の面ではやや不足があったものの、秋学期中最も充実した授業ではあったと思います。製造過程を通じて様々な材料の中にどれくらいの水やエネルギーが投入されているか計算したりと、新鮮な視点もありました。 Final Projectでは4人のチームで、ChicagoからSt. Louisまで高速鉄道を開通させるのと在来線をそのまま利用するのとどちらがベターか、費用便益分析により検証しました。私は高速鉄道の建設コストを計算したのですが、環境への影響や使用電力、騒音被害など全ての観点を考慮してコスト計算し、かつ英語でレポートを書くのは大変な作業でした。ですが最後は自分でも満足いくレポートを書くことができ、評価の悪かったテストの結果を補える程の好評価を得ることができました。

・CEE 498 Transportation Safety and Risk (3 hours)

秋学期の授業の中では最も刺激になり、身に付くものも多い授業でした。こちらは主にArcGISを用いたチームプロジェクトと、交通リスクに関して各自リサーチする個人プロジェクトで評価されます。受講している学生はRailTECと呼ばれる、イリノイ大学の鉄道工学の研究室から来た院生が大半を占めていました。 チームプロジェクトでは初めArcGISの使い方が全く理解できず、チームリーダーの院生に呆れられ、単位も落としてしまうのではないかという危機的な状況に陥りました。ですが、締切一日前に徹夜して必死にマニュアルを読みながら作業を続けた結果チームに貢献することができ、人間追いつめられた時に一番成長するのだと実感しました(笑) 一つ驚いたのが、この授業に学生として参加していた一人が実はCivil Engineeringの先生(日本で言う講師くらいのポジションでしょうか)でもあったことです。イリノイに来る前は鉄道会社に11年勤めた経験もあるそうで、そんな先生が生徒として授業を受けることは日本では考えられず、驚きを隠せませんでした。またRailTECの院生の中にはそんな彼に負けず劣らず優秀な院生もいて、そんな院生とチームを組んで課題に取り組んだことは貴重な経験になったと思います。

さて、春学期は以下の5科目、計18単位を履修しています。

・CEE 598 Visual Sensing for Civil Infrastructure Engineering and Management (4 hours)

・ENG 571 Theory Energy and Sustainability Engineering (3 hours)

・CEE 528 Construction Data Modeling (4 hours)

・CEE 498 High-Speed Rail Planning (4 hours)

・CEE 491 Decision and Risk Analysis (3 hours)

先学期の授業では専門性が足りなかったという反省と、アメリカの大学院の授業を体験したいという思いから今学期は大幅にレベルを上げ、500番台の授業と400番台の中でもほぼ大学院生のみの授業を履修することにしました。CEE 498は本来は3単位ですが、アメリカで高速鉄道を普及させるために各自researchをし、30分のプレゼンをするというIndependent Studyを付けたため4単位となっています。Civil Engineeringでは他専攻と比べ、院生のみに制限されている授業でも教授との交渉次第で履修できるケースが多いです。先学期のTransportation Safety and Riskの授業で特に感じましたが、大学院生は学部生よりも一段とレベルが上がるので、チームプロジェクトやディスカッションなどで彼らと切磋琢磨することは非常に刺激になります。特にCEE 598では博士課程の学生も多いので、遅れを取らないよう精進しなくてはと思っています。詳しい授業内容は次回の奨学生レポートで述べさせて頂きたいと思いますが、今学期は数値解析ソフトのMATLABを使ったり統計学を学んだりと専門性も充実したものとなっています。大学院の授業では何らかのスキルを身に付けられることも多いので、履修した意義が感じられて嬉しいです。また、ENG 571では資源・エネルギー分野に関して各自リサーチをして論文(Paper)を書く機会があります。詳しいテーマは未定ですが、エネルギー収支分析により再生可能エネルギーの経済性や環境性を分析したいと考えています。 こちらは授業ではありませんが、先日ENG 571の教授の紹介を受けクラスメイトの友人と共にArchitecture専攻の教授の研究のお手伝いをさせて頂くことが決まりました。テーマはBuilding Energy Modelingで、ZEROSというソフトを使って建築物のエネルギー収支やLCC(Life Cycle Costing)を計算していきます。これまで資源探査の研究や環境工学の授業などで大きな枠組みでしかエネルギーを考えてきませんでしたが、家や建物一つ一つの中でどうエネルギーが利用されているのか、ミクロな視点で見るのもまた面白いです。先日からSolar Decathlonという、太陽光を利用した住宅を建設し、デザイン性や省エネ性を競う国際大会に使用された建物のエネルギー利用を検討する作業が始まりました。今後どういった形になるのかは未定ですが、上手くいけばresearch paperを書く機会もあるそうなので、もし何か成果があれば次回の奨学生レポートにて触れさせて頂きたいと思います。

秋学期を終え、そして春学期の授業を数週間受けて感じましたが、ある程度要領良くこなしさえすれば、イリノイの授業もさほど大変な訳ではないと思います。課題は確かに多いですが、その分日本の授業よりも普段の努力が重視されるので、日頃からこつこつ勉強すればついて行けなくなったり睡眠時間が削られたりすることもありません。難易度も(英語であることを除けば)日本と比べてさほど高くないので、秋学期からでも学年に応じて、3年生なら300-400番台、4年生なら400-500番台の授業を履修して全く問題ないと考えています。むしろ1、2年生向けの講義の方が専門性が低い分英語力勝負になる側面があるので、手間でも成績面でも不利なのではと思います。400-500番台というと過剰に「難しい」イメージが先行しがちですが、そんなイメージに怯えて興味のある授業を取らなかった後悔は計り知れぬものがあります(現に私が秋学期にやってしまったので。)

<休暇について>

私の住むIllini Towerは学部生向けの寮なので、長期休暇中は原則追い出されてしまいます(追加で175ドル払えば滞在できるのですが)。この留学期間を逃したらアメリカ本土を訪れる機会もなかなかないかも知れませんし、折角なので旅行することにしました。Thanksgiving Breakでは同期の織田君とラスベガスとグランドキャニオンを訪れ、冬休みでは最初の1週間でニューヨークを旅行し、残り3週間は日本に一時帰国しました。日本では、久しぶりに友人と再開して食事をしたり大学院の研究室訪問をしたりと忙しい日々が続きました。一日中家にいた日などなかったと思います(笑) 休暇中ではありませんが、11月初めには有名なボストンキャリアフォーラムに参加しました。日本人留学生が一気に集結するので、別の大学に留学中の友人とも偶然会うことができ、充実した時間を過ごすことができました。

ラスベガスの夜景
ラスベガスの夜景
街中カジノだらけです
街中カジノだらけです
有名なベラージオの噴水
有名なベラージオの噴水
グランドキャニオン。壮大です。
グランドキャニオン。壮大です。
ニューヨーク・タイムズスクエア
ニューヨーク・タイムズスクエア
ウォール街にて
ウォール街にて

簡単ではありますが、以上にて1月分のレポートとさせていただきます。残り4ヶ月、応援して下さっているJICの皆様や友人、そして家族への感謝の気持ちを忘れずにこれからも精進していきたいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。

第38期小山八郎記念奨学生 榊原 侑利