勝田梨聖さんの2014年12月分奨学生レポート

JICの皆さま、そしてレポートを読んでくださっている皆さま、ご無沙汰しています。第39期奨学生の勝田梨聖です。日本では厳しい寒さが続いていると伺っていますが、いかがお過ごしでしょうか。こちらシャンペーンでは、午後5時頃にはすでに日が落ちているものの、気構えしていた程の極寒にはまだ達していないので心なしかほっとしています。

 

さて今回のレポートでは、Fall Semesterの総括として

  1. 授業
  2. 課外活動

III. 全体を通しての所感

に大別して振り返ろうと思います。

 

  1. 秋学期の授業について

早いことに留学生活も4か月が経過し、秋学期も期末試験を締めくくりにあっという間に終了してしまいました。

当初は慣れない授業形式や課題量に狼狽することも多々ありましたが、この半期でその環境にも馴染み、期末試験も大きな問題もなく乗り越えられたのは少しばかりの成長かと感じています。

 

今学期は以下の授業を受講しました。

CMN101: Public Speaking (Prof. Laura Gallant)

PS241: Introduction to Comparative Politics (Prof. José Antonio Cheibub)

PS240: Comparative Politics in Developing Nations (Prof. Matthew S. Winters)

GLBL250: Development (Prof. Kate Grim-Feinberg)

 

CMN101: Public Speaking (Prof. Laura Gallant)

このコースでは計5回のスピーチ、プレゼンテーションを行いました。前回のレポートではRound 1,2の紹介をしましたが、だんだんとハードルも上がり、Round 3ではinformative speech、Round 4ではproblem/solution speechを発表しました。トピックこそ好きなものを選べますが、Sourceであったり、Audience Adaption(大きな数字などを聴衆の身近なものに例示すること)を必ず三度は盛り込まないといけなかったりと課せられる数多のルールには悩まされました。しかし、Round 3ではコンゴの鉱物紛争と米国のドッド=フランク法について、Round 4では人身取引とマイクロファイナンスについてのプレゼンをしましたが、この(正直本当に面倒な)ルールがあったからこそ、よりプロフェッショナルなプレゼンスキルを磨けたのだと感じます。また、最後のクラスで、The Most Exciting Round 4 Awardとして賞をいただけたのは苦労が報われて非常に嬉しかったです。ファイナルのRound 5は昇進、結婚式などのcelebratory speechで、各々録画してきたスピーチを皆でドーナツを食べながらフィードバックし合いました。

Round 5だけでなく、このコース全般を通して、形容詞などの言葉の選択により着目するようになりました。クラスメートのスピーチには、自分では思いつかない英語独特の言い回しなどが多く含まれており、また授業中のジョークや友人同士のやり取りの中の目新しい表現にふれることができたのも、予期せぬ収穫です。

 

PS241: Introduction to Comparative Politics (Prof. José Antonio Cheibub)

民主主義や独裁主義と経済成長の関係などを扱った後、中間試験以降はより手続き的な分野、つまり選挙制度や政治体制そのものを学びました。こちらに関しては、もともと日本でも学んでいたため、特に大きな苦労をすることはありませんでしたが、クラスの友人もこの類の授業は受けたことがあると言っていたので、徐々に出席人数が減っていったのもそこに理由があるのではと感じました。しかし、例えばインドやイタリアなど個別のケースに当てはめて選挙や政権交代についてより具体的に考察したからこそ、もともとの知識を生きたものに変えられたと感じます。そして個人的には、ちょうど授業内容と同時に安倍政権の解散・総選挙が行われていたので、日本の状況と照らし合わせて応用することができたのは良いチャンスでした。

 

PS240: Comparative Politics in Developing Nations (Prof. Matthew S. Winters)

さて、冬の凍えるような夜空のもと夜七時に始まるこの授業は、教室と寮の往来こそ憎いものの、途上国の政治経済システムを多角的に考察し、自分の興味をより深めることができました。この講義の特徴は、一度扱った理論や考え方を、後にまた別の(一見関連のなさそうな)事象に当てはめて応用することで、新たな視点を加え、二つの事柄を繋げられる機会に富んでいることです。例えばコースの初めにcounter-factual(反実仮想)について考えましたが、今期の最後の最後まで幾度もこの考え方で、マイクロファイナンスや海外援助の効果についてアプローチしました。また、教授が海外援助、特に政府の開発援助であるODAが本当にマイクロレベルのdevelopmentに繋がっているという証拠はないし、逆に草の根レベルのマイクロファイナンスがマクロレベルの経済成長に繋がっているかは疑問だという意見は印象的でした。

 

GLBL250: Development (Prof. Kate Grim-Feinberg)

前回のレポートで苦戦ぶりをお伝えしましたが、相変わらずの活発な議論と大量のリーディングノートにも以前より余裕をもって臨めるようになりました。Module 1では経済学の理論や人間開発論をFirst World, Third Worldの両方の観点から考察し、Module 2ではそれをベースに各々、開発アクターを研究し、発表しました。クラスメートはUSAIDやSave the Childrenなどを調べていましたが、私はもともと日本政府の開発援助に興味を持っていたので、政府のODAについて、特に東南アジアの経済成長とインフラ拡充政策とともに発表しました。そしてModule 3では人権や環境など、世界の直面する問題を一つピックアップし、同アクターになりきって、それに対するアプローチを提案するケーススタディを行いました。私は日本政府とASEAN地域における人身取引について扱いましたが、言葉の使い方や、国益も考慮しなければいけなった点には特に苦労しました。

このコースでは、私の興味分野である開発について掘り下げられただけでなく、新たな興味も得られました。新自由主義的なIMF, World Bankや大国の介入政策が途上国の「開発」にどのような影響を与えているのか、何故未だに貧困がなくならないのか、オープンエンドでしたが、それらの大きな疑問について考えるために必要な道具を得ることができたと感じます。そして、新たに女性のエンパワメントについて興味を持つとは当初は予期していませんでした。途上国の女性のエンパワメントがどのようにdevelopmentを促進していくか、また女性と環境問題の繋がりについて、教授、クラスメートと議論しあったのは非常に刺激的でした。

 

  1. 課外活動

・Intersection

LLC(Living Learning Community)のひとつであるIntersectionでは、同じ建物、同じフロアに住みながら、ジェンダー・宗教・人種・貧困に関する問題を考え深める機会を提供してくれます。この四か月間で多くのイベントがありましたが、なかでも最も大きなイベントである10月末の一泊二日旅行についてお話します。

この旅行自体はRacismがテーマで、オハイオ州のNational Underground Railroad Freedom Centerにて、過去の奴隷制度やthe modern day of slaveryと呼ばれる人身取引について学びました。また旅行2日目にはインディアナ州のEiteljorg Museumにて、ネイティブアメリカンの歴史や芸術文化、生活にふれることもできました。

Freedom Centerの名前にあるUnderground Railroadとは、かつて自由を求めて逃げてきた黒人奴隷を北部へと逃がすために作られた通路を表します。そして、奴隷制を支持していたケンタッキー州と、奴隷制を禁止していた自由州であるオハイオとを分けていたのが施設に面するオハイオ川です。Freedom Centerではスタッフの方が常に解説をしてくれたのですが、南北戦争以前、南部からの黒人奴隷にとってこの川を渡って北へ行くことは自由を意味していたと、実際のオハイオ川を目の前にして聞いた時にはその川が当時の奴隷と自由の世界を体現しているように感じました。また、奴隷となった人々の録音された声を聞くことができるブースにて、ある時Freedom Centerを訪問していたあるガーナ人女性が、自分の地方の方言が聞こえたと言って激しく泣き始めたという話も伺いました。今回の訪問やスタッフの解説でアメリカの歴史を身近に感じたとともに、人種という概念とその歴史をより強く意識するようになりました。

写真1(オハイオ川)

(写真1  Freedom Centerから臨むオハイオ川)

・Trip to Chicago

センクスギビング前の金曜日から日曜日にかけて、授業が一緒の友達と隣の寮に住む友人らとでシカゴへ遊びにいきました。実は初めてのシカゴ観光であり、高層ビルやsubwayの複雑さになんせ混乱してしまいましたが、多くのショッピングモールを回ったり、名物のイタリアンビーフバーガーやチャイナタウンの本格中華料理を食べたりと、シカゴを充分満喫することができました。特にディズニーストアにて、あまり詳しくないキャラクターに囲まれて隣のキッズたちと一緒にテンションが上がってしまったのが思いの外、自分でも驚きです。唯一、深さ5センチ以上の「ディープディッシュピザ」を食べそびれたことが心残りなので、また次回の楽しみに置いておこうと思います。

写真2(Chicago)

(写真2 イタリアンバーガーのお店にて)

 

・Alternative Spring Break

Fall Break, Winter Breakなどの休暇ごとに寮から無理やりkick outされるので、休暇中のプランは必ず決めておかなければなりません。Fall Breakには、過去の奨学生が数名参加されていたYMCAのAlternative Spring Breakというcommunity developmentを促進するボランティアに応募し、インディアナ州にある家庭内暴力の被害を受けた家族の保護施設と子どものデイケアセンターであるMiddleway Houseを学生13人で4日間訪れました。

初日の研修以外は、3日間正午から夜8時まで子どもとただひたすら遊びます。研修ではDVに関する根本的な知識や、施設概要、またDVによって大切な人やモノを失っていくことをリアルに感じられるようなゲームをしました。一日目に、DVを受けた子どもの心の傷や、それに伴う感情の起伏の激しさなどを聞かされていたので、子ども達にどう接すればいいのかと少し気構えして二日目を迎えましたが、いざ子ども達に会うと、まぁとにかく元気なこと。いきなり始まる強制参加のアメフトゲームでボールを持った男の子が私のお腹に直撃してきたり、かと思えば警察ごっこが始まって手錠をかけられ監禁されたりと、一日中子ども達と遊んだ後の夜は疲れ切って、ただの床でさえも良い睡眠がとれました。また中には、施設内や公園で遊んでいる時、常に私たちにひっついていないと泣き出してしまう子どももいれば、いつも一人で、なかなかこちらに近づこうとしない子どももいます。彼らとの適切な距離感こそ難しかったものの、どの子どもでも「気にかける」という姿勢は常に意識しました。

(余談ですが、一世を風靡したDisney映画のFrozen, “Let it Go”が流れた時は子どもが手をとめて一斉に大声で歌いだし、「アナ雪」の影響力を再び実感せざるを得ませんでした。)

この四日間は学生の完全な自炊生活ですが、施設から宿泊所へ帰った後に晩御飯を一緒に作ったり、映画『ハンガーゲーム』を鑑賞したり、皆で踊ったりと共同生活も楽しめました。彼らとは旅行後も時々集まって一緒にご飯を食べることもあり、施設での貴重な経験だけでなく、UIUCでの大切な仲間に出会えたことにも感謝です。

写真3(YMCA集合写真)

(写真3  最終日の集合写真)

 

III. 全体を通しての所感

つい数日前、ルームメイトとこの半期を振り返っていました。彼女曰く、今期が始まった当初、私があまり元気のなかったのを見抜いていたそうです。(時差ぼけのせいだと思っていたそうですが。)「今は仲のいい新しい友達もできて、授業も生活も楽しんでいるようで良かった」と言ってくれた時、たった四カ月ですが自分の得たものの大きさを改めて実感しました。

ある時、Champaignの住所のはずが、正反対のUrbanaの同じ住所に向かってしまい、ドアベルを鳴らして出てきた家主と子どもにあれほど訝しげな眼で警戒されたことはありませんが、そのあとChampaignの住所まで歩いた計3時間の旅も今では良い思い出です。

 

さて一年ももう終わりに差し掛かっていますが、来年の目標を先日友人とそれぞれ紙に書きました。それをお互いに交換し合って、ちょうど一年後の12月に本人の住んでいる場所へ郵送し、達成できたか確認することになり、一年後の楽しみがまた新たに増えたところです。

写真4(New_Year_Resolution)

(写真4   2015のNew Year’s Resolution作成!)

 

 

最後になりましたが、この四か月間たくさんの学びや気付き、経験の機会を与えてくださったJICの皆さまにこの場をお借りして感謝申し上げます。皆さまも、穏やかな新年を迎えられますようお祈り申し上げます。