湊麻理子さんの2007年10月分奨学生レポート

JIC奨学生の湊 麻理子さんからの2007年10月分の奨学生レポートをお届けします。

湊さんは、ドイツ語の授業を履修したり、Krannert Centerでボランティア活動をしたり、と楽しみながら様々なことに挑戦しているようです。そんな湊さんのアクティブな奨学生レポートをお楽しみ下さい。


JICの皆様初めまして!いかがお過ごしでしょうか。
2007年度奨学生の湊麻理子です。日本では一橋大学法学部に所属し国際政治を専攻し ております。こちらでは、国際紛争を社会学やジャーナリズムの視点から学ぶこと、そしてアメリカでの生活そのものを通して人間としての視野を広げ、成長す ることを目標としています。89年から91年までシカゴに住んでいたこともあり、もう一度、今度は留学生としてイリノイにこられたことをうれしく思ってい ます。夕焼け
アーバナシャンぺーンで、日に日に冬に近づくのを感じています。Main Quadも、こちらに到着したばかりのころは夏本番という風情でしたが、木々が美しく紅葉して秋の表情を見せています。八月中旬にイリノイに到着してから2ヶ月あまりが経過しました。正直なところ無我夢中で日々を乗り越えているうちに2ヶ月がたってしまったというのが本音 です。ですが、この2ヶ月のなかで想像以上にたくさんの人に会い、たくさんの新しい経験をしました。皆様にレポートすることを通して反省の機会とし、今後 の成長につなげたいと思います。私は8月13日にO’hare空港を経由してWillard空港に到着しました。寮が開いてい なかったので、臨時の宿泊場所として割り当てられたFARという寮で一晩過ごし、翌日現在の部屋に移りました。渡米の翌朝に、一人でJimmy John’sに行って朝食をとっていたときに、完全に日本から離れて、一人外国で生活を始める不安さをかみ締めたことをいまでも覚えています。最初の2週 間は、こちらに知人友人がほとんどいない中で、買い物や引越し、銀行口座の開設や各種手続きをしなければならないということで、がむしゃらに過ごしていま した。とにかくわからなければわかる人に聞くしかないということで、今考えるとかなりアグレッシブに過ごしていたと思います。生活に慣れるにしたがって、 会話の能力も少しずつのび、落ち着いた生活ができるようになったと思いますが、逆に当時の一生懸命さが薄れてしまったかなとも思い、アンテナだけは常に磨 いて、がむしゃらさを忘れないようにしなければ、と言い聞かせています。

●寮生活

私は現在、Pennsylvania Avenue Residential hall(以下PAR)という学部生用の寮で生活しています。PARの中のSaunders棟の中にはGlobal Crossroadという国際交流を目的としたLiving Learning Communityがあり、そのメンバーとして生活しています。東京ではアパートで一人暮らしをしていた私にとって、寮生活そのものが新しい経験であり、 こちらに来てからの生活の大きな部分を占めています。

寮生活の初日にアメリカの文化を感じさせる出来事がありました。こちらでは寮生活の 初日をMove-In Dayとして、大きく位置づけています。私にも事前にメールなどで知らされていたのですが、どのようなものかわからないままその日を迎えました。いざその 日を迎えてみると、各寮の前には車が長い列をなし、家族総出で学生の引越しを手伝う風景が見られました。平日だったにもかかわらず、ほぼすべての家庭で父 親が先頭にたち、小さな弟妹までが一緒になって学生の新生活を調える様子を見て、アメリカの家庭の文化を垣間見ました。スーツケース2つだけもって身軽に 引越しを済ませてしまった自分からみると、その様子はうらやましく思われました。

GC Chicago TripPARは寮の構造上ラウンジなどの公共スペースが多く、 居住者もドアを開放していることが多いなど、かなりオープンな寮だと感じます。今までの奨学生の中でPAR、あるいはGCに住んでいらっしゃった方もおっ しゃっていましたが、生活の中で他の学生と顔をあわせ言葉を交わす機会が多く、たくさんの学生と知り合い、接触する機会を持ちたいと考えていた自分にとっ てはありがたい環境です。その一方で、自分の英語の拙さ、人と話す能力の低さを感じることも多い日々です。一時期、寮の友人とコミュニケーションをとるこ とを難しく感じるあまり、人と顔をあわせる機会が多いことを負担に感じてしまったこともありました。しかし今では少し開き直って、まず一人一人名前を呼ん で挨拶を交わすという基本的なことを大切にしながらコミュニケーションを楽しもうとしています。その成果もあってか、自分が前向きに接するごとに打ち解け ていくのを感じることも多くなり、自分をオープンにして積極性を持つことの重要性を感じました。

in PAR 私のフロアには、海外からの留学生と、1年生を中心としたアメリカ人の学生がほぼ半々ですんでいます。留学生とは、英語や留学生活の大変さ、それぞれの国 の文化について語り合い、アメリカ人の学生からはアメリカの学生文化を学ぶことが多い毎日です。ルームメイトは地元シャンぺーン出身の2年生のEmily で、とても真面目で親切な学生です。アーバナシャンぺーン生活の最初から、彼女にはすべての面で助けてもらっています。2人で部屋をシェアするということ は、今までは考えられないことでありましたが、今のところ楽しんですごせています。以下の写真はEmilyと、同じフロアの友人1Jiyounとのもので す。

同じフロアの友人の「新しい人と知り合って友達になるのはとてもexcitingなことだ」という言葉にはっとさせられたことがあります。寮は留学生活の中で長い時間をすごす場でもあるので、今後も楽しみながら多くのことを吸収したいと思います。

今学期は自分の専攻に関連する Race and Ethnicity, Introduction to Comparetive Politics, Geography of Intl Conflicts,そしてGermanとESLのライティングのコー寮の友人とスを履修しています。今回はこの中でもっとも印象的で刺激的なRace and Ethnicityの授業の様子を中心に、勉強の様子について報告させていただきたいと思います。

もともと民族紛争に 興味があった私は、紛争のもとになる民族や人種といった概念をどのように考えればいいのかということを学びたいと思い、社会学部のRace and Ethnicityを履修しました。実際にはこの授業はアメリカ国内の問題を取り上げる授業であり、自分の関心にはあまり沿わないかなと不安に思っていた のですが、想像以上に面白い授業で、今学期一番力を入れて勉強しています。授業は毎回大量のリーディングが出され、それをもとに教授が講義をし、そのなか で自然に学生の議論が生まれていくという形がメインです。時折、その日のテーマに基づいた課題が与えられグループワークをすることや、抜き打ちのクラス内 エッセイを課されることもあり、授業のスタイルが変化に富んでいます。この授業でもっともすばらしいと思う点は、宿題のリーディング、授業、参加している 生徒、そしてイリノイやアメリカの社会そのものがつながっていることを常に感じられることです。人種や民族が持つ問題点について学んだ後、自分の実体験を 交えて議論を行い、また教室の外に目を向けて授業で学んだことを還元して考えられることはとても刺激的なことだと感じます。たとえば教室のなかに白人、黒 人、ヒスパニック、そして自分のようなアジア人がいるなかで、アメリカにおけるマイノリティ差別の歴史について議論を戦わせるという経験は、日本にいては 絶対にできることではなく、またタブー視されていることでもあると思うので、貴重な経験をさせてもらっていると感謝しています。現在は受講している生徒の バランスもあってか、黒人差別の実態について考えさせられることが多いです。日々の生活の中でも、白人の学生は白人の学生と、黒人の学生は黒人の学生と行 動をともにしているのを目にすることが多く、テーマが生活の中にあふれているのを感じます。そのような中、初めのころは宿題をこなし授業中に教授や学生が 話すことを理解するのに必死だったのですが、少しずつ日本人としての視点を発信したいと思うようになりました。初めて授業の中で、たった数秒ではあります が発言したときの興奮は今でも覚えています。この授業以外にも、比較政治や、紛争地理学の授業では日本人としてアメリカの学生とは違う考え方をしている自 分に気づくことが良くあります。そのような発見を、少しずつでも、もっと授業に反映させていくことが今後の目標でもあり、課題でもあります。

「ドイツ語の授業をとっているの」と私が言うと、ほぼ100%の人が”Are you Serious?”と答えてくれます。もともと、すべて専門の授業にしてしまうのは難しいかもしれないし、語学も履修してみようという軽い気持ちで履修し たのですが、ドイツ語(中級)の授業は今学期の勉強の中でかなりのウェイトを占めています。日本の大学でも週1-2回の割合で2年間勉強していたのです が、こちらの外国語教育は日本の、少なくとも一橋の教育とはかなり違った形をとっています。授業は週4回あり、毎回の授業でウェブ上で課される宿題をこな していかねばなりません。結果的に、ほぼ毎日一定期間ドイツ語に触れていることになり、この2ヶ月間だけで、日本で2年間勉強したよりも多く、深くドイツ 語に触れていると感じます。こちらに来て驚いたことが、日本語を含め、英語以外の言語を話すことができる学生が多いことです。みな真剣に外国語を勉強し、 ネイティブスピーカーと話す機会をのがさず練習し、実際にその言語が話されている国に1セメスターか2セメスター行って勉強しようとする学生も少なくあり ません。これは言語に限らないことですが、アメリカの学生は目標とするスキルを得るために勉強する、というスタンスをしっかりと持っていることが多いと感 じます。当たり前のことかもしれませんが、日本の大学生活に慣れきっていた自分には新鮮に感じました。ドイツ語を勉強するより英語をもっとがんばるべきで は・・・と思うことも多少ないではありませんが、せっかくの機会なので、きちんと勉強して、能力として考えられる程度まで、勉強を続けたいと考えていま す。

実際はコミュニケーションと紛争の関係を勉強することが留学の大きな目的のひとつだったのですが、履修の手続き上の問題や、自分の英語力の問題によってまだ達成できずにいます。来学期こそは、そのような分野についても勉強したいと思っています。

●その他

授業についていくこと、生活することそのものに必死になってしまっている状態なので、他の活動を楽しむことがなかなかできないでいるのですが、少しずつ挑戦しています。

先 月は学校の中にあるKrannert Center で座席案内係のボランティアをしましたた。もともと演劇や劇場が好きな自分にとっては夢のようなボランティアで、なれない英語で緊張しつつも座席案内を し、客席の様子に気を配りました。仕事は開演前と開演後のみだったので、上演中は自分も観客と一緒に演劇を楽しみました。同じ劇場でも、日本とアメリカで は、かなりの違いを感じます。アメリカでは自分の感情を素直に表現する観客が多く、演じる側と客席の近さを感じます。一方で、開演前の客席の高揚感や、パ ンフレットの香りなど、日本の劇場と同じ部分も見つけてなつかしく思いました。Krannert Centerでは、演劇以外にも、ダンス、音楽などの演目が常に上演されており、舞台芸術に気軽に触れることができるすばらしい環境だと感じます。また、 アメリカに到着してから、常に誰かに面倒を見てもらう立場であった自分が、些細なことではありますが、責任をもって、人のお役にたてたことをうれしく思い ました。

GC Chicago Trip 今週までで中間試験もひと段落つき、最初の学期が折り返し地点にはいってしまいました。矢のように過ぎる時間のなかで、どれだけのものを身につけられてい るのか不安に思うことも多くあります。JICの方々、そして応援してくださっているすべての方々のおかげで機会をいただいて勉強していることを心にとめつ つ、これからもがんばりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

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