野村友香さんの2016年7月分奨学生レポート

こんにちは、小山八郎奨学生第40期の野村友香です。と言って留学の報告レポートを書くのもこれが最後と思うと寂しさがこみあげてきますが、同時にイリノイで過ごした時間が私の中で一つの思い出としてしまわれていく感覚に捉われます。

 

5月20日に帰国してから、東京での新居探しや引っ越しの準備に追われており、ゆっくりと振り返る時間をとれていませんでした。帰ってしばらくはまだ心はアメリカにいるようなふわふわした感覚で、もう今はアメリカにいないんだという感情的な寂しさにまみれた日々を過ごしていました。実家から東京に引っ越して大学の授業が始まるとやっと元の生活に戻ったというような感覚になりました。

 

10ヶ月を振り返ると、本当にたくさんの貴重な体験をすることができました。日常はキャンパス内での勉強や週末のハングアウトがほとんどですが、その他にも休みごとには様々な場所を訪れ、留学前は行くだろうとも予想していなかったような大陸を超えた場所へ行き、本や映像の中だけで知っていた世界を実際に目の前にすることができました。とりあえずずっと日本にいたくない!留学行きたい!!という思いから決心して切符を手に入れた小山八郎奨学金でしたが、イリノイに来て大切なことにたくさん気づきました。

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(写真1 日本館の桜)

 

将来何をするか。もともと大学に入るときも、進学後に学部を決めるときも人生をかけてやりたいことや達成したい目標というものはなく、なんとなくこっちに行っとけばうまくいくかなー、なんてノリであらゆる決断を乗り切ってきました。ですから3年生になって今後に対する漠然とした焦りは少しありました。ここで一回足踏みといいますか、留学期間をはさむことでゆっくり将来について考えることができて、新しい目標を見つけることができました。アメリカでは卒業後すぐに働いたり大学院へ行くのではなく少し時間をとってその間に仕事を見つけたりする人も結構いました。いい意味でのんびりしているというか、自分が成し遂げたいことをするためなら時間をかけてでも最終的に達成できればいいやと考えている人が多いように感じました。だけれどそうした人も決して歩みを止めている訳ではなく、目標の下で必要な時間をとっているようにみえて、私も大して焦る必要はないなと思いました。達成するための努力は必要ですが。

 

アメリカという、多様性を受け入れる国。特にイリノイ大学は留学生の数が多いこともあり、日本・アジアから来たからといって差別されることは決してありませんでした。一つの家族の中でもたくさん国にルーツがあることも多いので、多様性が身近に当たり前にあるのでしょう。ある時友達の家族とごはんを食べに行く機会があったのですがそこで家族の話題が、我が家にどこどこの国の血は流れているのか、実はおばあさんのおばあさんはどこどこの国にいたからこの国にもルーツがある、というような話になりました。私は完全に親類は全員日本だしたぶん元をたどっても全部日本人だろうし、そもそもあまり人種を気にしたことがありませんでした。こうした話題が小さい頃から日常にあるから、自然と外の国にも目が向くようになるのだろうなと思いました。しかし多様性があるからと言って全員が完全に混ざり合っているとは言い難く、たとえば大学内でときどきBlack peopleによる抗議のようなものが行われていました。それに対してfacebook上でイリノイ白人会なるものが結成されていて(すぐに削除されましたが)、大学が介入してこの騒動を止めていました。人種によるグループは顕在化していなくともそこらじゅうにあり、完全な人種のサラダボウルと呼ぶにはまだ疑問が残る部分もありました。

 

勉強に集中する環境。田舎にあるイリノイ大学はとても落ち着いた雰囲気で、勉強に最適の環境だと思います(平日は特にでかける場所もないし。)図書館はもちろん24時間空いていて、個人用の仕切られたスペースの他にもグループワーク用のスペース、大きなスクリーンやホワイトボードが設置された個室など、議論しながら学びを深めていく環境が作り上げられていました。春学期の遺伝の授業で、最終課題はinfographicをグループで一つ作るといったものだったのですが、授業が終わってからもこの縁をつなげていきたい、もっといろんなことを知りたいという声があがってウェブサイトを作ってその授業メンバーによるstudent organizationまで立ち上げてしまいました。(現在進行中なのでウェブサイトが公開できるようになったらシェアしたいと思います。)こうした自由な雰囲気の中で、なんでもやってみよう!それいいね!とアイディアがすぐ形になる勢いとエネルギーをたくさん感じられたのがよかったです。

写真2

(写真2 制作したinfographic)

 

素敵な人に本当にたくさん出会いました。春学期特にお気に入りだった教授(遺伝学)は、私が遺伝に興味があると伝えたら役に立つサイトや論文をたくさん(消化しきれないほど)教えてくださいました。教授のお兄さんもどこかの大学で教授をしているみたいで、一度授業に来たこともありました。JICの生徒であるという理由だけで、たくさんの方にお会いしてお話を聞かせていただける機会もありました。日本館設立に大きく関わった、日本文化を代表する人であるような佐藤先生からは私が知らないディープな日本のことについてたくさん学ばさせていただきました。何度かお家へ伺い、貴重な資料を拝見させていただきました。ほとんど毎日のように一緒に図書館で勉強してくれた友人、私のグルメ開拓に付き合ってくれた友人、頻繁に家に呼んでくれてどうでもいい話から真面目な将来の話までたくさんのことを話した友人。よくわからない不安で心が影ってきたときは周りの人に頼ることでいつでも元気でいることができました。ここでの縁はいつまでも大切にしたいですし、今後も大変なことがあったときはアメリカでがんばっている友達を思い出せば自分もがんばれる気がします。

写真3

(写真3 いい友達に恵まれました)

 

実のところはアメリカに渡るまでずっと休学してまで行く必要があるのかよくわからないけれど、とりあえず行ってみようと思って一歩を踏み出しましたが、今は心から行ってきてよかったと言えます。のんびりした場所で長い期間好きなことをして贅沢に時間を使ってきたので東京の忙しさに慣れてしまうのはもったいないですが、また次のステップに向けていろいろな経験をしていきたいです。最後になりますがJICの奨学金制度のおかげで本当に充実した留学を実現することができました、このような素敵なチャンスを与えてくださりありがとうございました。JIC40期の素敵なメンバーにも感謝しています。また特に何も口をはさまずにいつも見守ってくれている家族に本当に感謝しています。この経験を糧にまた新しい道を切り開いていきたいです。

 

2016年6月

小山八郎40期奨学生 野村友香