田辺夕佳さんの2007年10月分奨学生レポート

JIC奨学生の田辺夕佳さんからの、2007年10月分のレポートをお届けします。

田辺さんは、課外活動としてアイススケートを楽しんで いるとのことです。イリノイ時代に、大学内にスケートリンクがあることに驚かれた方も多いのではないのでしょうか。Illini Towerでのアメリカンな寮生活、授業、そしてスケートと、盛りだくさんな田辺さんのレポートをお楽しみ下さい。


JICの皆様、お久しぶりです。2007年度奨学生の田辺夕佳です。田辺夕佳ですJICの総会で多くの方に激励していただいたことがつい最近のことのように感じますが、イリノイ大学に来て早くも2ヶ月が経ちました。こちらはトウモロコシの収穫も終わり、木々が紅葉し、周りの景色はすっかり秋らしくなってきました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。第1回奨学生レポートということで緊張していますが、改めて自己紹介させていただくと共に、こちらに来てから自分が見たもの、体験したこと、感じたこと、などを少しでも多く皆様にお伝えできたらと思っております。***********
自己紹介
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6月の総会のときに多くの方にお会いできましたが、まだ自己紹介ができていない方も多くいらっしゃると思うので、改めて自己紹介させていただきます。

はじめまして、この度2007年度奨学生として8月からイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に留学させていただいています田辺夕佳(たなべゆうか)と申します。

日 本では東京大学文学部言語文化学科の4年生で英語学とアメリカ・イギリス文学を専攻しています。小学生のころに2年半カナダに住んでいたことがあり、それ 以来ずっと「もう一度英語圏に住んで学びたい」と思っていたので、奨学生として選ばれたときは涙が出るほど嬉しかったです。このような機会をJICの皆様 からいただけたことをありがたく思っております。

2セメスターという限られた時間の中で、自分の専門分野の勉強に限らず、自分がやりた いことを思いっきりやろうと思います。日本では体験できないこと、アメリカでしかできないこと、イリノイ大学にいるからこそ積極的にチャレンジしていきた いと思っています。どうぞよろしくお願い致します。

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イリノイでの生活

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ルームメイトたちと 期末試験などを終えた数日後には日本を出発するというバタバタしたスケジュー ルの中、一人シャンペーンの空港に降り立ちました。他の3人の奨学生とは今年の初めから「イリノイ大学に行く準備」という名目で頻繁に会っていて、一緒に 行こうという話になっていましたが、なんだかんだスケジュールが合わず、結局全員ばらばらでこちらに向かいました。私は、その中でも最後に到着したのです が、空港に降り立った瞬間、「よし、この1年頑張ろう」というやる気に満ちた思いと「今、ここに一人でやってきたんだ」という少し不安な気持ちが混じって いたことを思い出します。12月に奨学生として決まったときから、ずっと楽しみにしていた瞬間がついにやってきたことで非常にワクワクしていた部分が大き いと思います。空港には、自分の大学の学科の先輩で、現在はイリノイの大学院で研究なさっている方が迎えに来てくださり、その方のご好意で当日は御宅に泊 めていただきました。着いて早々、人に親切にしてもらえることの幸せを感じました。

翌日には、自分の部屋に入ることができたのでスーツ ケース一つを手にしてチェックインを済ませました。私が住んでいるところは、Illini Towerという大学寮とは別の4人部屋Private Apartmentです。頭文字をとって通称ITという名前で知られている、こちらでは珍しい高層の建物です。ITの隣にはアイスアリーナがあって、こち らでフィギュアスケートをやりたいと思っていた自分はロケーションの良さからこのアパートに決めたのですが、他の寮に比べて料金が高いためか、比較的裕福 なFreshmanやSophomoreが多く住んでいます。人種としては白人やJewishの子がメインでアジア系・黒人は圧倒的にマイノリティです。 それに加えて留学生はほとんど、というか私一人?くらいの勢いなので、ここでの生活は映画やドラマで観るような“The America”というような雰囲気です。ルームメイト同士以外の交流はあまりないので、外からはunsociableな寮というイメージが強いですが、 木曜の夜くらいから週末の夜にかけてはそれぞれの部屋でパーティーが催されていたり、バッチリメイクとオシャレをしてSororityや Fraternityのパーティーに繰り出す女の子達に出会ったり、とかなり賑やかです。私も、出かける前のルームメイトの髪をセットしてあげたり、一緒 にドレス選びをしたりとその雰囲気を楽しんでいます。

しかし、留学生が多く住む学部寮とは異なり、私のように他の国から来て英語があま りスムーズに話せない学生にはあまり興味を持っていない人がほとんどなので初めはコミュニケーションをあまりとれないことに苦労した、というのが正直なと ころです。会話の多くがスラングで成り立っていることが多いため、日本で今まで訓練してきたリスニング力が全く役に立たないくらい話している内容がわから なかったのです。ルームメイトとも単純な会話を一言二言交わす程度で、せっかく一緒に住んでいるのに寂しいなと思いつつ、自分の英語力がもっとあれば、と ばかり思っていました。部屋がキッチン付きなので日本食を作っていると居間にいたルームメイトが部屋に戻ってしまうこともあり、この子たちとは仲良くなれ ないのかな、と思ったこともありました。ただ、勇気をふりしぼって自分から話しかけてみると長く話せる回数が次第に増えてきました。自分がもう少し頑張れ ば、もっとルームメイトのことがわかるんだということに気づきました。先日はルームメイトのうちの一人の誕生日だったので、その子のバースディカードをあ げたら「夕佳、ありがとう!すごくうれしいよ」といって抱きしめてくれました。普段は割りとサバサバした感じの彼女がその日はとてもうれしそうだったのが 印象的で、それ以降他のルームメイトともおしゃべりする頻度がぐっと増えました。一緒にテレビの前に座りながら友達の話、家族の話、そして恋の話・・など 赤裸々なトークを繰り広げる辺りはさすがアメリカという感じです。ニヒルなサム、末っ子気質でおしゃべりなベッキー、買い物と彼氏が大好きなマリアナ、と いう個性豊かなメンバーでの共同生活はまだまだこれからです!!

手作りディナーパーティーにて 寮生活以外でも毎日の生活はかなり充実しています。生まれて初めて家族と離れて住むので掃除・洗濯など初めは不慣れなことが多かったのですが、実際キャン パス内に住むということの利点として、友人と過ごす時間をたくさん持てるということが挙げられます。恒例イベントとなっているのは、シャーマンホール(隣 にある院生寮)に住む交換留学生との手づくりディナーパーティーです。こちらでは大規模な集まりでなくても、「パーティー」と呼んでワイワイ楽しんでいま す。この企画はキッチンが付いているうちのアパートを何とか活用したいと思ってなんとなく自分から提案してみたのですが、韓国や香港からの留学生たちもす ぐにやろう!と乗り気になってくれて、韓国料理→中華料理→日本食のローテーションを組むことにしました。この前はコリアン・ガールズたちがトッポギとい う屋台でよくある韓国餅を使った辛い料理を作ってくれました。山のように唐辛子を入れていたので、辛いだろうとは予想がついていましたが、案の定!!とい う感じでした。ただ、韓国ではこれが辛ければ辛いほど、おいしいとされるようで、確かに食べ始めたらおいしくて止まりませんでした(笑)そんな彼女たちと 話していると、自然と多くの韓国語を学んだり、お互いの文化が意外と近いものだと気づかされたりすることが多々あります。やはりアジア人なんだな、と彼女 達に癒されるのもここ最近の楽しみです。

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授業
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今学期とった授業は以下の4つです。

  • LING250:Diversity of American Language
  • SPCM101:Public Speaking
  • CS105:Computer science for non majors
  • GEOG110:International Conflicts

来 る前に、金融について興味がありFinanceの授業もとりたいと思っていたのですが、いざ学校が始まってみると、Financeの授業は Business専攻の学生しか受講が認められず、留学生事務所のJeromeに頼んでもBusinessオフィスにお願いに行っても、どうあがいても履 修はできなかったので、今学期はひとまず諦めて(笑)とれる範囲のなかでやりたい授業を分野に関係なく選んで履修することにしました。

そ の中でもLING250は自分の日本での専門で、まさに卒業論文のテーマにしたいと思っていた講義だったのですごく楽しみにしていた授業のうちの一つでし た。この授業は30人くらいのクラスで週3回の授業があります。日本で勉強していたSyntaxの分野は文法構造についてですが、この授業で扱う分野は Sociolinguisticsといってアメリカで話されている英語にはどのような方言があって、それらがどのような歴史背景から発展したのか、あるい はどのような人たちによって話されているかなどについて学んでいます。アメリカはやはり国土の広さと移民の歴史があることから各地域での話し方は多様で、 発音や語彙、表現にも違いが現れていることをビデオで観て学びましたが、同じ地域でも人種や社会的地位によって話し方が異なり、そのような多様性の中でス タンダードとされるのは都会の上流階級の白人が話す英語だ、ということを考えると改めてアメリカの人種問題について考えさせられます。ほとんどが日本人で みんなが日本語を話していた日本とはむしろ逆の状況で、アメリカには多くの移民がいて英語以外の言語もそこらじゅうで飛び交っています。それは、渡米する 前から抱いていたイメージでしたが、それに加えて強く思うのは、アメリカはmelting potではなくsalad bowlということです。多くの人種がアメリカという国に移住してきて、同じ地域に住みながらも、話す言語によってコミュニティが形成されていて、棲み分 けがされているという現実がこの国にはあります。GEOG110の授業でもナショナリティについて学んだ際にも、似たような議論になりました。こちらでは 小学校から国歌や国旗が身近な存在であり、歴史でも独立戦争について多く学ぶそうです。その代わり、ベトナム戦争や第二次世界大戦の原爆についてはあまり 触れないということには衝撃を受けましたが、自分達の祖先がアメリカという国を作り、それに対して国民が自信と誇りを持っていることで、帰属意識が生ま れ、多くの人種が共存しながら国としてまとまっているのだと感じました。

スタジアムにて 話はそれますが、国というレベルに限らずアメリカの人は帰属意識を大切にする人が多いと思います。大学構内にはイリノイTシャツにイリノイショートパンツ を穿いて、まさに全身イリノイ状態の学生が溢れかえっています。特に、フットボールの試合の応援にいくとスタジアムはUIUCのカラーであるオレンジ一色 に染まり、“I-L-L”“I-N-I”の掛け声で応援席が一つになったときの一体感には圧倒されました。私は、今まで自分の学校に対してそこまで特別な 意識を抱いたことがなかったので、ここに来てUIUCが自分の母校になるのだという喜びを早くも感じています。

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スケート
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スケート仲間とリンクにて先ほど、寮の話でも触れましたが、勉強以外 の活動として力を入れているものとしてスケートがあります。日本の大学とは異なり、こちらの大学では毎回大量のリーディングやペーパーが課せられます。授 業によっては週100ページ近く教科書を読まなければならず、日本から持参した電子辞書との二人三脚でなんとかこなしている状況なので、意識的に何かをや ろう!という決意なしでは勉強だけで一日が終わってしまいます。ただ、せっかくイリノイ大学で1年間過ごすのだから、なるべく多くの課外活動にも参加した いと思っています。

スケートは中学の頃から部活でやっていて大学に入って中断してしまったのですが、せっかくこんなに近くにリンクが あって、しかも学生はタダで滑れるという非常に恵まれた環境にいるので、もう少し本格的に取り組んでいます。日本では滑走料も高く、リンクの数自体が少な いために込んでいるのですが、昼間に練習に行ったりすると、ほぼ貸し切り状態です!そんな日には、スケートに興味がある留学生の友達を連れて滑りに行って います。人に教えられるほど上手くは決してないのですが、数少ない人の役に立てることの一つとして時々教えています。自分としては先生失格でなかなか上達 させてあげられないのですが、”You are a great teacher! Thank you!!”と言ってもらえると、こんな自分でもできることはあるんだという気がしてとても嬉しいです。

スケートは学校の授業でもあるの ですが、私はスケート・コミュニティに参加してそこで週2回レッスンをとっています。先月は中学生から50代のおじちゃんまでが一緒になってシンクロナイ ズド・スケーティングの練習をしました。全員バックグラウンドも様々ですが、みんなスケートが好きという気持ちでつながっていて、そんなメンバーで一つの パフォーマンスを作り上げるというのはとても面白かったです。好きなスポーツで人とつながれるというのは言葉がそこまで通じなくても、不思議と仲良くなれ るもので、そのメンバーとは毎週会って練習することがかなり大きな楽しみになっています。

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まとめ
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UIUCでの生活が始まって2ヶ月。毎日、誰 か新しい人と出会い、毎日、何か新しい発見があります。その発見ひとつひとつを大切にして、当たり前に思わず感動する心を持ち続けられることが、この1年 を充実させる秘訣なのではないかと思います。留学生のみならず、こっちのアメリカ人の友達とどれだけわかりあえるか、それはこの10ヶ月の間の目標です。 言語の壁はまだまだ高いですが、文法だけではない、だからといってスラングばかりでもなく、相手に伝えたいという思いを大切にして、多くの人と交流してい きたいと思います。イリノイに来る前から仲が良かった奨学生のメンバーがいざというときに頼りになる存在で、こっちに着てからも大きな支えになっていま す。これから5月の帰国まで、なるべく多くのことを経験し幅広い視野で物事を捉えることができるように、少しでも自分の成長につながるように、頑張ってい きたいと思います。JICの皆様にも温かい目で見守っていただけたら、と思っています。

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