川崎藍さんの最終奨学生レポート

1年間の留学生活を終え、無事帰国された川崎藍さんから最終の奨学生レポートが届きましたので紹介します。

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JICの皆様、お久しぶりです。日本に帰り、早一ヶ月が経ちました。
帰ってきた直後は、人ごみの中で飛び交う日本語がとても不思議に感じましたが、何も考えずに電車に乗ったり、買い物が出来ることの素晴らしさを実感する毎日です。
私は四年生を休学して留学していたのですが、来年の卒業後は日本で大学院に行こうと決め、最近は専ら研究室訪問や試験勉強などをしています。

さて、今回は学期後の旅行について少しと、一年間を通して考えたことをお伝えし、最終レポートとさせていただきます。

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*旅行*
ナイアガラの滝~トロント、シカゴの旅

学期後は、イリノイで一番仲のよかった韓国人の友達と、女二人旅をしてきました。行き先は、トロント、ナイアガラの滝、そしてシカゴです。
連日雨という天気予報にもかかわらず、ほぼ晴天に恵まれ、留学生活をしめくくる最高の旅行となりました。そして感じたのは「この一年間で随分たくましくなった。」ということです。
トロントのユースホステルでは、予約時の3倍(!)の値段を請求されたり(結局払わずにすみましたが)、飛行機出発の30分前に空港に着いたり(バスが何時間も遅れ)もしましたが、もうそんなハプニングでは動じなくなりました(笑)。
そ して最後にシカゴに戻り、去年の八月Chicago Weekendで来たのと同じ場所にもいくつか立ち寄ると、「あぁ、留学生活が終わったんだな」と、とても感慨深くなりました。まだまだ観光気分で歩いた 一年前。英語も、この先何が起こるかも、ほとんどわからなかったあの頃。一年間で本当にいろんなことを経験し、成長できたことの幸せを実感したひと時でし た。
ちなみに、今回もChicago Weekendのときと同じHi Chicagoというホステルに泊まったのですが、そのときと同じ部屋に割り当てられたときは(数十部屋あるにもかかわらず!)、なにか運命のようなものを感じてしまいました。

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*一年間を振り返り、自分が学んできたこと*

日本人であるということ

甲田さんが前回のレポートで書いたのと少し似ますが、他の国に来て自分が日本人だということを意識するようになるというのは、多くの方が経験することだと思います。
私 の場合、Champaignに多くいた韓国人たちとの出会いが、自分のNationalityについて考えるきっかけとなりました。両親よりも年上の世代 の方々と仲良くなると、「教科書問題、竹島問題、靖国参拝」についてどう思うか、と聞かれることがしばしばあったのです。たとえば、「日本の歴史の授業で は、韓国に対してしたことを隠しているというのは本当か」など。中には意見を聞くだけでなく、日本に対する憎悪をあからさまにぶつけてくる人もいました。 韓国産のお菓子の袋にまで「竹島は韓国のものだ!」と書かれていたのには正直びっくりです。そしてなによりもショックだったのは、むこうで一番仲良くして いた韓国人の友達に、”I like you, but I hate Japan.” と言われたこと。専攻Political Scienceである彼女は日韓問題に対してもとても強い主張を持っていて、「二ュースで見てなんとなく知っていた」くらいの私には、その場できちんと返 答できず、とても悔しい思いをしました。
そんなことが何度かあって、自分でもネットでこの問題について調べるなどして、少しはまともに意見を返せ るようになりました。また、それからというもののニュースを見ていても、あぁこの問題は他人事ではない、自分の国の問題であり、自分も考えなくてはいけな い、と意識するようになりました。
日本人だからといって、日本がしていること、してきたこと責任をとらなくてはいけないとは思いません。しかし、 自分の国がどのようなことをしてきたのか、どんな対応をしているのかを把握し、それに対しての自分なりの意見を持つことは、国民としての義務ではないかと 感じています。

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そしてこれから

留学をすると、自分の国の外の世界を見ると同時に、自分の国を外から見ることもできます。その結果、自分の国に対する見方 が変わることもあると思います。私の場合、留学前は漠然と、日本ではなく海外で働きたいと考えていました。でもそこには大して特別な理由があったわけでは なく、日本という狭いところに留まっているより、アメリカみたいに、いろんな人の集まるところのほうが面白そうだ、といったぐらいのものでした。しかし、 中国やフィリピンからきた留学生との会話の中で、彼らは国の政治を変えるため、科学を発展させるために、母国では学べないことをアメリカで学んでいる、と いうのを聞いて、私は「はっ」とさせられました。
いままでは「日本のこんなところがよくない」と考えるばかりで、「自分がそこを変えたい!」と思 うことはなかったと、気づいたのです。いま、まさに発展期にある国からきた学生には、「自分たちが国を変えるのだ」という意識が日本の学生に比べて非常に 高いという印象をうけましました。
日本もかつて、そういう人たちの力によってここまで発展してきたのでしょう。日本のように、便利で自由な生活が 当たり前になっている中では、「自分たちでよりよい生活に」と考えるのが難しいのもかもしれません。しかし、それが当たり前でないということに気づかず に、この状況に甘んじていては、日本はどんどん他の国に追い抜かれてしまうのではないかなと思います。「そんなのは、とても悔しい!」と思った私は、まず は自国である日本で活躍したい、日本をもっとよくする力になりたい、と考えています。

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結局この一年間で私が学んだのは、学問そのものよりも、人生勉強のようなものの方が大きかったように思います。そしてそれは、なによりこのプログラムがと ても“自由”であったことのおかげです。自分が好きなことを勉強し、面白そうなことに参加し、やろうと思えば何でも挑戦できる、という自由。
この 先も、大学院留学、会社に入ってからの留学など機会はあるかもしれませんが、それには資格取得や研究という目的があり、結果を出すという責任が伴うため、 ここまで自由にというわけには行かないでしょう。最初はその自由さに戸惑いもました。自分が本当にしたいことは何か、もっと英語の勉強をしてから来るべき だったのではないか、などなど。
しかしこうして一年を振り返ってみると、そういうことに悩んだことも含め、今しか出来ない、そして将来へ向けて決断を始める今だからこそ意味のある、たくさんの経験をすることが出来ました。これぞ、JIC奨学金留学の魅力だと思います。
これ見ている、この先留学する皆さんには、「留学とは、こういうことを体験するものだ」といった枠にとらわれず、面白そうなことにはどんどんチャレンジして、自分だけの留学生活を築いてほしいと思います。

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最 後に、このような制度を支えてくださるJIC関係者の皆様、留学中に何度も支えてくれた家族や友達には、一言では表せないほど感謝の気持ちでいっぱいで す。この経験を自分の将来のため最大限活用すると共に、より多くの人にこのような体験味わってもらえるよう、還元していけるよう頑張りますので、今後とも よろしくお願いします。

2006年7月3日
川崎藍

写真

 

1、2:ナイアガラの滝
3:シカゴ(Sears Towerの展望台より)
4:学校にて
5:HousematesとのFarewell Party

6:一緒に頑張った仲間と