甲田小百合さんの奨学生レポート

05年度の奨学生の甲田さんから奨学生レポートが届きました!!

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ICの皆様、大変ご無沙汰しております。4月中旬から帰国前日までレポートや学期末試験に追われる毎日が続き、本来帰国前に送るべきレポートが帰国後に なってしまい、本当に大変申し訳ありません。(無事16日に日本に帰国いたしました。)このように大変レポートを書くのが遅くなってしまったため、今回と 次回のレポートで、恐縮ながら私の留学生活の総括をお伝えできればと考えております。次回のレポートでは、クラスメイトとのシカゴ旅行やカナダへの一人 旅、そして中学校でのボランティア等、授業以外のことをテーマにお話できればと考えておりますが、今回のレポートでは、様々な機会を通じて、アメリカに来 て改めて感じさせられた「日本」「日本人」について触れたいと思います。

授業を通じて
① Political Science 355日本政治
この授業では、主に明治維新後の政治を、日本の経済・社会の視点と絡ませながら勉強しました。なぜアメリカに来て日本政治を勉強するのか?と、正直自分自身履修する前に自問していましたが、最終的にこの授業をとろうと決めた大きな理由は、客観的に日本の政治について概観してみたいと思ったからです。また、アメリカ人が日本
に対してどんなイメージを持っているのかを感じ取るいい機会になるのではないかとも思いました。そして今この授業の履修を終えて、これら二つのどちらも達成できたように思います。

まず後者につきましては、授業中、教授の質問に対してある学生が答えた言葉が印象的でした。「世界第二位の経済大国は?」「(即座に)中国。」・・・中国の飛躍的経済成長を考慮に入れたとしても、正直即座にそう答えられたときは、きっと日本という答えが出るだろうと無意識に期待していた私はかなりの衝撃を受けました。勿論この生徒がアメリカ人全員を代表しているわけではありませんし、また確かにニュースを見ていると中国の情報がとても盛んに流れているのでこういった答えが出るのもうなずけなくはないのですが、しかしこの時、常識というレベルの曖昧さを強く理解しました。また、その回答を聞いてショックを受けた自分自身に驚いたのも事実です。実はなぜショックを受けたのか最初はよくわかりませんでした。でも違う国にいることで気づかない間に日本のことを誇りに思っていたことがなんとなくわかってきました。

そして前者につきましては、ずっと与党がかわらない日本政治をはたして民主主義と呼べるのか、なぜ日本経済は戦後飛躍的に成長しそしてその後長い不況から抜け出せずにいるのか、また日本の戦後政治に一貫して影響を与えている文化的側面は何か、等非常に面白い切り口から授業を聞き、参考文献を読み、本当にとても勉強になりま
した。この授業を通じて、日本の政治について全体像をつかめるようになり、今まで断片的だった知識がまとまり、自分の意見をある程度持てるようになったように思います。そして早速それを実践の場で生かせるときがありました。4月上旬友達と車でアイオワに行った時のことです。道中、友達の韓国人と、ひょんなことから政治問題・戦後補償問題・教育問題などを話すことになりました。おそらく今までの私だったらあの時相手の話をだまって聞くことしかできなかったように思います。しかし、この授業を通じて得た知識を使って、自分なりの意見をはっきり言えるようになっていました。もちろん他の国から来た友達の意見も尊重すべきですが、それには自分はそうした問題についてどう思うのかという基盤が大切であるように思います。その基盤がある程度確立できたという意味で、この授業をとった意義は非常に大きいと感じています。

また、この授業を通じて本当にとても仲のいい友達ができました。アメリカ人の男性とシンガポール人の女性です。学期中3回レポートを提出する機会があったのですが、その度に一緒に勉強し切磋琢磨しあえた友達です。(あとからわかったのですが、アメリカ人の男の子は政府の奨学金を得て今年日本に留学する予定で、またシンガポール人の女の子は大学の上位3%の成績をもっているなど、とても優秀な友達と一緒に勉強することができ、本当にいろいろなことを学びました。)実はこの友達と春休み中シカゴに遊びに行き、アメリカ人の友達の自宅にお邪魔することができましたので、次回はこのことについてお話できたらと思っております。

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② East Asian Language and Culture 135 中国・韓国・日本の文化と歴史
この授業は、新石器時代から近世あ たりまでの東アジアの国々の歴史と文化の交流・影響を概観するといったものでした。この授業は東アジアについてほとんど学んだことがない生徒を主な対象と しているので、一つ一つの内容を見れば私はどれも高校で基本は習ったことのあるものばかりです。しかし、それぞれ別々に勉強したためそれらのつながりはど うなのかといった意識は薄く、この授業を通じて新しい視点を得ることができ、その意義はとても大きかったです。例えば、この授業では朝鮮半島から渡ってき た人たちを日本人の祖先としてとらえていましたが、はたして日本でこのように教わるものなのでしょうか。渡来人という用語や、その日本に与えた影響等は勉 強するにしても、少なくとも私の中で渡来人が日本人の祖先だととらえたことはありませんでした。同じ内容であっても視点が変わるとこうも意識が変わるもの なのかと実感しました。

また、この授業の中で何より勉強になったのが神道についてです。私はアメリカで生活している間、「Do you believe in any religion? 宗教は何か信じていますか?」と聞かれると、決まって「No, I don’t believe in any religion.」と答えていました。そして「宗教」という言葉にどことなく抵抗感があるためのこのような回答は、私だけではなく、多くの日本人が好むようです。しかし、海外では広く「Shinto」という言葉が知れ渡っており、それは日本特有の「宗教」と理解されています。私は最初この話を聞いたとき、ものすごく抵抗を受けました。別に私は特別な宗教を信じてるわけではないのに・・・と。しかしこれは日本人の「religion宗教」の概念が外国からみた概念と若干異なることによる結果なのだそうです。つまり、英語では神道を分類するいい言葉がないようで、「religion」というしかないということでした。確かによくよく考えてみれば、たとえば教会のように、どこでも徒歩10分以内のところに大抵神社はありますし、何か不運が続けばちょっとお参りにでも行こうかなという気にもなります。そして相撲や折り紙も皆神道と関係しているということです。こうした事実を客観的に見れば、海外で神道は日本の宗教だと言われるのも納得できます。ただ、その授業で強調していたのは、神道は文化と深くつながっているため、日本人にとって神道は宗教というふうにはとらえられていない、ということでした。まさにその通りで、神道についてはあまりに身近すぎて今まで考えたこともなかったため、客観的に学ぶことで非常に有意義な視点を得られたように思います。

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Japanese Coffee Hourを通じて

さて最後になりますが、川崎さんが少しお伝えしてくれたJapanese Coffee Hourについて私からより詳しく皆さんにご紹介できればと思います。(写真はその時の模様です。)2月16日木曜日。毎週木曜は私の住んでいたコスモで Coffee Hourが行われていますが、この日は私達にとっては特別でした。去年の10月からJICの留学生私達4人とICU(国際基督教大学)から同じく1年留学で来ていた日本人留学生を中心に着々と準備を進め、ついにやってきた日だったからです。川崎さんと中根さんは主に日本の文化を紹介するプレゼン担当、白水さんとICUの留学生は食事を担当、そして私は、コスモに住んでいたということもあり一番場所の勝手がわかっている(はずな)ので、準備・当日を含め、全体をとりしきる仕事を担当しました。どういった食事を作れば日本の味を伝えつつ皆が喜んでもらえるか、日本の文化を紹介するには何を取り上げればいいか等、いざ考え始めると簡単そうに思えたことが意外と奥が深いことに気づきました。あまり自分達の意見を重視しすぎるととても偏った日本を紹介しかねませんし、しかし、かといっていかにもどこでも聞ける・食べられるようなありきたりの日本文化の紹介もしたくない・・・。数ヶ月間、時間をうまくやりくりして定期的に皆で集まり相談していましたが、本番になるまで不安でいっぱいでした。

しかし、当日は宣伝効果もあってかコスモはいつもの倍以上(軽く100人はいたと思います。)のお客さんで埋まり、文字通り歩くのも息をするのもままならない状態でした。昨年9月からほぼ毎週Coffee Hourに参加してきましたが、このときが今までで一番混雑しており、熱気にあふれていたように思います!提供したものは、おに
ぎり・ほうれん草のごまあえ・豚肉のしょうが焼き・肉じゃが・お好み焼き・水羊羹です。お好み焼きは作り方の実演もしました。通常のCoffee Hourよりも品数・分量ともにかなり多かったのですが、それを上回る参加者のため、1時間もしないうちになくなってしまいました。また、プレゼンでは日本に関する基本知識、日本人の有名人等の紹介に加えて、中根さん・川崎さんがカタカナ英語講座を開き、これがまた大好評でした。準備を地道に続け、練りに練った上での当日であっただけに、5人ともパーティーが終わったあとはやり遂げた充実感とその成功に大満足でした。

なお、私は準備期間中、当日の人手の手配と材料の寄付集めを担当していました。特に寄付をもらいに何件もお店を回ったことはとても良い経験になりました。どのような内容・話し方をすれば寄付をもらえるのか、といったことを身をもって体験できたからです。これは語学力の問題だけではなく、コミュニケーション能力、説得力等がむしろ大いに必要となります。日本語でも寄付を募るというのはなかなか難しいと思うのですが、それを英語でなんとかやり切れたことで一つの自信となりました。

このように、今学期は様々な機会を通じて日本のことを改めて感じなおすことができ、本当に貴重な経験ができました。改めてこのような機会を与えてくださったJICの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。これから就職活動が始まり、また忙しい毎日が待っていますが、この留学中に得た新しい視点・考え方・経験を生かして頑張っていきたいと思っています。

近日中にお送りします次回のレポートで最後となりますが、次回は旅行やボランティアを通じて感じたことを中心にお伝えしようと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

一橋大学
甲田小百合