中根純香さんの奨学生レポート

現在イリノイ大学に留学中の中根純香さんから奨学生レポートがとどきました!!

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JICの皆様、いかがお過ごしでしょうか。シャンペーンはすっかり新緑に覆われて、Quadで読書をするのがとても気持ちのいい季節になりました。つい 1ヶ月ほど前はキャンパス中が文字通り花で溢れていて、Quadの近くではJICから寄贈されたソメイヨシノも見つけることができました。さて、今回のレ ポートでは今学期を振り返り、授業・春休み・そして課外活動のBlack Chorusについてお伝えしたいと思います。

~授業~

今学期、私は結局4つの授業を履修しました。こちらでの専攻である環境学の授業を2つに、興味のあったcomputer scienceとfinanceの授業です。取りたい授業を全部とることができた結果、4つの授業中3つが100番台・200番台という結果になり先学期 とは一味違う苦労を味わうことになりました。レポートの多い授業が重なり一週間に十枚以上のペーパーを毎週書き続けていた先学期とは対照的に、今学期は毎 週課題はあるものの書く量は多くなく、その代わりにマークシート式の定期試験に備えてテキストや講義を満遍なく細かいところまで理解することが要求されま した。マークシート試験だと、交換留学生だといっても情状酌量の余地はなくアメリカ人の学生と全く同じ土俵で勝負することになり最初は苦労しましたが、結 果的に速読やポイントを見極める力がついたように思います。また、今学期に以前からチェックしていたEnvironmental Economicsの授業を受けて、今まで漠然としていた「社会科学面から環境問題にアプローチしたい」という考えが、「自分は経済の分野からアプローチ していきたい」というように具体的になり、教授との会話から自分がこれから進む道も見えてきました。今まで抽象的な理想はあったものの、それに向けての第 一歩を見つけられずにいた私にとっては勉強面でも意義のある学期になったように思います。

こちらで2学期の間授業を受けて感じたことの 1つとして、アメリカの授業は双方向であるということがあります。先学期私が履修した授業は少人数なものが主だったので自ら学生の発言も多くなるのも当然 なのかなと考えていたのですが、大人数なものが主だった今学期の授業でも教授が絶えず学生に語りかけるように授業を進行し、学生の側もそれに応えて発言す るというスタイルは新鮮でした。教授が講義のためのメモを読みながら、または黒板に何かを書きながら、一方的に話続けることが多い日本の授業とは対照的で す。先学期は発言するのにもすごく緊張して一大決心をするような気分で手を挙げていた私ですが、今学期はだいぶ英語力に自信がついたこともあり以前より気 軽に発言できるようになりました。また、授業中に発言・質問する機会があることによって予習にもより力が入ったり、講義中もただ聞き流すのではなく教授の 話を頭を回転させて理解して疑問点や自分なりの意見を導き出したりする習慣ができたように思います。この習慣は日本に帰っても忘れないようにしたいと思い ます。

~春休み~

三月末の春休みには、私は川崎さんもレポートで触れていたAlternative Spring Break(ASB)というボランティア旅行に参加してきました。この旅行では10個近くの選択肢から行き先や目的を選ぶことができ、私は Environmental Issueをテーマにしたバージニア州にあるHungry Mother State Parkという州立公園への旅行に参加しました。

シャンペーンからバージニアまで車で10時間以上かけて移動し、現地では木の剪定をした り、植林をしたり、地元の小学校訪問をして日本について話すことになったり、と1週間充実した時間を過ごしました。特に、何も無かった山中のゼロからグ ループの皆で協力してハイキングの為の小道を作ったのは達成感に溢れるいい思い出です。

アメリカには州立公園や国立公園が数多くあり、そ れらを訪れるのは人気のある休暇の過ごし方だと環境学の授業の教授との雑談で知り、またHungry Mother State Parkのある町の人々も公園のことをとても誇りに思っているようです。しかし、公園の管理をしている方から、実は予算も人手も不足している(その公園で は3人の常駐の職員で広大な管理をしているそうです)ために整備するのがとても大変だという話を伺いました。このように気軽に出かけてキャンプをしながら 自然に親しむことができる公営の公園が州のあちこち、国のあちこちにあるというのはアメリカの素晴らしいところだと思うので、ぜひ打開策を見つけてこれら の公園が存続していって欲しいと願っています。

また、この旅ではアメリカ人の地域による気質の違いについて観察するちょっとした機会に恵 まれました。川崎さんも書いているように、ASBはアメリカでは全国規模の組織です。そして、今回Hungry State Parkには私たちイリノイからのグループの他にマイアミにある大学からのグループも来ていて、2グループで共同作業をすることになりました。開放的で底 抜けに明るいマイアミからのグループ、イリノイグループが黙々と作業をする一方で、歌いながら・踊りながら作業をします。そして休憩時間になると、イリノ イグループが静かに体を休める一方で、マイアミからのグループは車のオーディオを大音量にして、音楽にあわせて踊り始めます。2つのグループの性格の違い にあまりにも驚いていた私ですが、州立大学に通うためにほとんどイリノイ州以外の人と(特に西海岸の人達と)接したことのなかったイリノイグループのアメ リカ人メンバー達もかなりカルチャーショックを感じたようで、毎晩夜にロッジに帰ってからイリノイグループでは延々とフロリダからのグループについての分 析が繰り広げられていました。そして、私たちイリノイグループは「イリノイでは勤勉さを重視するが、フロリダではjoy of lifeを重視する」という結論に達しました。もちろん、これを一般化することができるのかはとても疑問ですが、2つの異なる地域からのグループを比べて みるという体験は面白いものでした。

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~Black Chorus~

今学期私が始めた課外活動としてBlack Chorusがあります。これは前年度の奨学生の古川さんが奨学生レポートに書いていたのを読んだときから「是非やりたい」と心に決めていたものです。私 は実際に加わってから知ったのですが、このBlack Chorusのレベルの高さはキャンパス内だけでなく、イリノイ州全体でも定評があるようです。4月にあるKrannert CenterでのPerformanceに向けた週2回5時間の練習量、そしてなかなか歌詞を覚えられない苦労などもありましたが、本当に参加して良かっ たと言える経験になりました。

実を言うと、秋学期にできた私の友人の人種構成には偏りがありました。アジア系、白人、インド系など色々な バックグラウンドの友人がどんどん増えていったものの、なぜかAfrican Americanの友人の数が極端に少なかったのです。もちろん全体の6.1%と人数自体が少ないという事実もありますが、それでも授業や寮などの日常生 活での接点があまりにも少なく、またある授業でのディスカッション中にその授業で唯一にAfrican Americanのクラスメイトが「未だに白人と黒人の間には壁がある」という内容の話をしていたこともあり、自分とAfrican Americanの人達や文化の関わりの薄さは気になっていたことでした。Black Chorusに参加してAfrican Americanの友人と話す機会が増えたのはもちろん、キャンパス内のAfrican Americanのイベントで演奏したり、そしてキャンパスを離れて州都のスプリングフィィールドでのAfrican American Historyに関する会議で歌ったりといった機会にも恵まれました。もし、Black Chorusに参加していなかったらそのようなAfrican Americanに関するイベントの存在自体知らなかったのだろうと考えると、やはりBlack Chorusに参加してよかったと思います。

上 のような理由の他に私がBlack Chorus に参加して良かったと思うのは「歌うこと、そして指揮者であるDr. Davis の話を聞くことを通してエネルギーをもらえた」ということがあります。むしろこれが私がBlack Chorusに参加して良かったと思う最大の理由です。ブラックコーラスの歌詞の内容はJesus Christ に関する歌詞が多く、例えば“I want to be a Christian”などと直接的な歌詞もあり、無宗教の私は戸惑うこともありました。しかし、コーラスの大半の曲は神様への感謝の気持ちを歌っていて、 無宗教である私も神様を自分の周囲の人に置き換えてみると不思議ととても共感することができ、そして歌いながら毎回自分がこうしてイリノイで勉強できるこ とへの感謝の気持ちを確認していたように思います。また、このBlack Chorusの指導者・指揮者であると同時に歌手、教授としても活躍中のDr. Davisの彼女が今まで辿ってきたキャリアに基づいた話はどれも日常生活・人生の中で大事にしたいと思うことばかりで、歌うことと合わせて私は練習後に は毎回パワーを得たような気分で帰り道を歩いていました。

来年はBlack Chorusの30周年ということで、ますますコーラス自体 も盛り上げていくようです。メンバーとしてその場にいられないのは残念ですが、日本からBlack Chorusの発展を祈り、いつか機会があればPerformanceを聞きにイリノイに戻ってきたいと思います。

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このレポートを書いて いる今、私の留学生活は限りなく終わりに近づいています。詳しくは最終レポートでお伝えしたいと思いますが、この1年間を通して本当に色々な経験をさせて いただき、多くのことを学ぶことができたように思います。このような機会を与えてくださったJICの皆様、サポートしてくれた家族、そして他の3人の奨学 生をはじめとした友人達へ改めて感謝したいと思います。

5月13日 中根 純香

写真1:キャンパスで発見したソメイヨシノ。やはり日本人の私にとって桜は特別です。
写真2:春休みのボランティア旅行。バージニア州で一番高い山の頂上での集合写真です。
写真3:Black ChorusのKrannert CenterでのPerformance。
写真4::友達とのFarewell Dinner にて。