田中千絵さんの2002年9月分レポート

jicmlメンバ各位,

古市 (’92-94 MS in Computer Science)です.

秋学期からJIC奨学生としてUIUCへ留学中の田中千絵さんからのレポー
トが届きましたので,皆さんにフォワードします.田中さんはMusicの
授業を履修し,最終テスト(?)はKlannertでの演奏会参加との事(!).
羨ましいなぁ.当日現地にいらっしゃる方は,是非とも演奏会を聴きに
行きましょう.

田中さんからのレポートで,今年度の奨学生の方4名の9月分レポートを
全てをjicmlへ発信しました.奨学生の皆さん全員,それぞれの個性を
生かした留学生活を送っていらっしゃるようで,読んでいてとても楽し
く,またためになります.皆さんからのレポートを読んで,現地で自分
が留学生活を送っているかのような疑似体験をされている方も沢山いらっ
しゃると思います.次のレポートをまた楽しみにしています!

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2002年 9月分レポート
田中 千絵
東京大学大学院教育学研究科
総合教育科学専攻
比較教育社会学コース 修士課程
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JICの皆様こんにちは。

このレポートを書いている現在こちらは9月最後の日ですが、皆様にこの
レポートをお届けできるときにはもう10月に入っているかもしれません。
第一弾から遅くなってしまって非常にあせっておりますが、ここの空気
を少しでも皆様に楽しくお伝えできればと思います。

今日は、インターナショナルのソーシャルプログラムの一環で、初めて
ここイリノイからちょっと足を延ばして別の州、インディアナにピクニッ
クにいってきました。素晴らしい自然の中でちょっとスリリングなハイ
キングやら草サッカーやらを楽しんできました。暑い盛りの8月にこのシャ
ンペーンに初めて降立ってからもうひと月以上が過ぎて、ピクニックを
楽しめるのももう今のうちだけ、という感じになってきましたが、この
一ヶ月はあまりにも早く夢のように過ぎていってしまった、というのが
一番の印象です。

というのも、ここはあまりにも私に合っているらしく毎日が楽しくてしょ
うがないのです。東京で生まれ育ったにも拘らず、その独特の冷たさが
苦手だった私には、ここでの生活をとても居心地よく感じます。街の人々
は(現地の人だけではなくここで生活している誰もが)みんな親切での
んびりしていて、求めさえすればいつでも助けてくれます。私は、外国
での生活はもちろんのこと一人暮らしも全く初めて(私は今Shermanhall
のsingleroomに住んでいます。)で、出発前は、これからは何でもしっ
かり自分でやらなきゃいけないんだな、とそれなりに決意を固めてきた
わけですが、来てみてすぐに、どこへいっても求めれば助けてくれる人
はいて、それに誰の助けも借りずにやっていくことなど不可能で、また
そんな必要もないんだ、と痛感しました。

ここにきて最初のトラブルは、何をどうしても私のPCだけ寮の部屋で
インターネットにつなぐことができなかった、というもので、解決しな
いままの状態が2週間以上続いたのですが、その間にともかくパソコンに
ちょっとでも詳しそうな人には片っ端から声をかけていくということを
したら、誰もが親身になって助けようとしてくれて、しかもその過程で
いろいろな人と友達になることができました。結局つながらなかったの
は、ずっとパソコンのせいだと思っていたら、実は大学のネットワーク
側の問題でそれと知らず、最後の手段として大学に問い合わせていたら
ある日突然「問題は解決したからつないでみろ」と電話がかかってきて
やってみたらつながった、という不思議な(コンピューターに疎い私に
とっては全く理解のできない)結末をむかえたのですが、そんな些細な
ことでも、もしも助けてくれる人が誰もいなかったら、ただでさえアメ
リカにきたばっかりなのに心細くてしょうがなかっただろうと思います。
今振り返ると人とのつながりの重要性をまず感じさせてくれるエピソー
ドでした。

本当に毎日毎日、人との出会いの大切さと友達をつくる楽しさとをか
みしめています。ソーシャルや授業、はたまたトラブルなどでどんどん
人と知り合うのはもちろん、最初の同じ奨学生のサークルから始まって、
奨学生同士とても仲がいいこともあってか、できた友達を紹介しあうう
ちに芋づる式にどんどん友達が増えていくのです。いろんなバックグラ
ウンドをもった多くの人たちと友達になるのはここでしかできない経験
で、反対に「こんなところで!」というぐらい日本で近いところで暮ら
していたり信じられない共通点をもった人と出会ったりもして、世界の
狭さと広さを同時に感じています。そして勿論みんながキャンパス内も
しくは近くに住んでいるので、すぐに会えて仲良くなるスピードがとて
も早い、というのも新鮮な体験です。全くもってホームシックを感じな
いのは、ひとえにこの多くの友達のパワーだと思います。少しぐらいし
んどいことがあっても友達と話しているうちに忘れてしまいます。特に
私は一人部屋にいるわけですが、この狭い部屋にしょっちゅう友達を呼
んで(最大で6人ぐらい?!)もてなすことに楽しみを覚えています。

さてここで授業のことを少し(!)書いておきましょう。日本では教
育社会学を専門に勉強していたのですが、ここに来た目的のひとつは、
社会学とは少し異なった観点からの勉強、もしくは違う分野の勉強をし
てみたい、というもので、授業を取る際に全く新しいことを始めるかど
うか悩んだのですが、結局今学期は日本で勉強してきたテーマをアメリ
カの場合をとって勉強できるコース(今まではほぼ日本の現象だけを扱
う研究をしてきたので。)、そして少し新しいコースをとってみること
にしました。Educational policy study、social aspects of mass
communication、micro economics、ESL、それからmusicの5つです。

最初の2つの授業はreadingの量がともかく多くかなりハードですが、
日本でアメリカ式授業を実践していた何人かの教授を思い浮かべて、きっ
とあの先生たちも、この非常に体系的かつ計算しつくされたreading
assignmentに衝撃を受けたのだろうな,とその起源に直にふれてしみじ
み思いました。「これだけよめばこのテーマについてはいっぱしの口が
きけるようになる」というのが特に日本の私の担当教授の口癖でしたが、
その言葉をはげみに、またアメリカで学んできた多くの人を思いながら
なんとか読みきろうと思っています。 musicは日本で長くやっていた
吹奏楽団(私はクラリネットを吹いています)のクラスです。何か芸術
系かスポーツ系のクラスをとろうと決めていて迷ったのですが、このコー
スをとると、世界一の音響を誇るともいわれるKlannert で演奏会がで
きるよ、という一声にころっと落ち、荷造りの時ずいぶん迷ったすえに
日本においてきてしまった楽器を至急送ってもらって、なんとかオーディ
ションに間に合わせて、無事入ることができ、週3回クラブ活動のごと
く非常に楽しい時間をすごしています。演奏会が今からとっても楽しみ
です。音楽もスポーツも(スポーツはとくに観戦が)大好きな私にとっ
てはここではアクティビティにこと欠きません。ミュージカルやリサイ
タルのチケットは日本と比べると信じられないぐらい安いですし、スポー
ツ観戦といえば今年はシカゴベアーズがここシャンペーンでホームの試
合を行うという非常にラッキーな年で、私は幸運にもそのチケットを手
にすることができました。先週は大学のホッケーの試合やらアメフト
(天敵ミシガンに残念ながら敗北しました)の試合やらをみにいったり
もして、愛校心をちょっと深めてみたりしました。

と、授業の話が再びアクティビティにそれていってしましいましたが
(笑)最後に最近起きた一連の事件、この一年のうちで間違いなく忘れ
られないエピソードのひとつになるに違いない出来事について書いてお
きたいと思います。それはずばり自転車にまつわる話です。

そもそもの始まりは私と同じ奨学生の岡沢さんが自転車を1ドルで獲得
したことでした。そう、1ドルです!!9月の初め、私たちは、警察主催
のbicycle auction(撤去した自転車などをオークションにかけて処分す
るという趣旨らしいです)にでかけていき、それはまさにauctionそのも
ので、日本のせりのイメージそのままに早口で独特の言葉で値段がコー
ルされていき、聞き取れるはずもないのですが、せっかくきたのだから
と二人とも適当に手をあげてゲットし(おかしなことに誰も競争してこ
ないのです。もしかしてこっちの人もよくわかっていないのでは、、。)
10ドルぐらいかと思っていたらなんと1ドル!勿論かなりぼろく、岡沢
さんの自転車は20ドルほどかけて修理が必要だったのですが、私の方は
なにもなしで大丈夫でした。このauctionは相当町外れで、しかも土曜の
早朝に行われていることもあってか、あまり知られていないようで、こ
の話をしたら電化製品などが異常に安いこの街に暮らす人々も誰もが驚
き、うらやましがっていました。こうして激安で機動力を増すことので
きた私たちは、かなり鼻高々で、毎日自転車を気持ちよく乗り回してい
て、夜少し暗くなってからもよく自転車ででかけるようになり快適な日々
を送るようになったのでした。

しかし。ある日二人にそれぞれ事件がおきたのです。最初は私です。あ
る夜、busey evansのlatenight-coffeehourで素晴らしいsweetsを味わっ
た私は気分よく、しかし遅い時間だったので、がらがらのキャンパスを
自分の寮に向かって自転車を猛スピードで走らせていました。Quadまで
たどりついたところで、Foellinger buildingのすぐ後ろを駆け抜けよう
とまわりこんだのですが、ここはある程度の高さの丘のような設計になっ
ていて、私はまず右サイドからスロープをかけのぼりました。このサイ
ドには二箇所ほど上るところがあるのですがその二つともがスロープで
した。なので逆サイドに見えている下りる二箇所も当然スロープだと判
断し、暗かったのと丘になっているのとで下がみえなかったのですが、
ともかくそのままのスピードでつっきっていきました。ところが手前に
きてみて心臓がとまりそうになりました。そこはスロープではなく6、
7段の階段だったのです!しかし自転車は猛スピードで止まれるはずも
なく、しかもこちらの自転車は軽いので何かにぶつかれば簡単にふっと
ぶような代物です。ああ間違いなく大変なことになる、と一瞬のうちに
覚悟しました。ところが。次の瞬間自転車は階段に2段ほどひっかかった
あとなんと無事に地面に着地したのです!自転車が横にそれたときに足
をちょっと打ったのと、あとはチェーンがはずれただけですんだのです。
これはかなり奇跡的なことの気がします。後で何人か友達が事故現場(!)
を検証してくれたのですが、よく無事だったねえと驚かれました。ちな
みにチェーンも簡単に治りました。

しかし奇跡はひとつだけではありません。岡沢さんの事件はもっと大
事件でした。(本当は彼女が書いたほうがより伝わるはずですが、事件
は彼女がレポートを書いたすぐ後に起こり、あまりにも重要なエピソー
ドなので書かずにはいられません。詳しくは彼女のホームページでどう
ぞ。)彼女はなんと車にぶつかったのです!car accidentです!

例のごとく彼女も夕方、友達の家のパーティーに参加するため自転車を
走らせていました。交差点を渡ろうとしたところ車がきたので、一時停
止したのですが、車のほうも一時停止したので、自分のために止まって
くれたのだと思い、彼女は渡ろうとしました。ところが車の運転手は彼
女と反対のサイドを確認しただけで彼女の動向については見ていなかっ
たようなのです。車は発進し、彼女の自転車とぶつかったのです! こ
こまで読んで非常に驚いた方心配された方もいらっしゃいましょうが、
そうです、奇跡は再び起こり彼女は無事だったのです。お互いスピード
をだしていなかったのが幸運だったのでしょう。彼女はかなり痛そうな
あざを作っていましたが、今日一緒にピクニックに参加できるほど元気
なようで、私も非常に安心しました。警察だの病院だのいろいろ手続き
は大変だったようですが、面白かったのは、自転車が壊れたので、直し
てもらえるか新しいものを買ってもらえることになった、というところ
です。彼女はぼろ自転車の獲得に私よりも20ドルばかり高くついたわけ
ですが、ついには完璧な自転車を手にいれることになったのですから!

奇跡に助けられた私たちですが、これにこりて、せめて自転車にランプ
はちゃんとつけることにしようと少し反省しあいました。この街で自転
車をもつのは何をするにも非常に便利なものですしauctionへの参加もぜ
ひお勧めしますが(くれぐれも誤解しないでいただきたいのは、私たち
が事故にあったのは私たちの自転車が1ドルだから、ではありません!きっ
と!)、これから手にいれる皆さんにはくれぐれも気をつけていただき
たいものです。それにしてもきて1ヶ月で奨学生のうち3人も事故にあう
とはなんということでしょう!、、といいつつ全て完全に笑い話になっ
てしまっているのですが、残る前田君には何も起こらないよう祈りたい
ものです!

さてさて、お伝えしたいことが尽きず、なんだかとっても長くなって
しまいましたが、ここでの生活の様子、私がいかにここでの生活を楽し
んでいるかをお伝えできていれば非常に幸いです。このような経験をす
る機会を私に与えてくださった皆様には本当にいいようのない感謝の気
持ちでいっぱいです。初めてJICの方々にお会いした時に感じた、このプ
ログラムでならば必ず素晴らしい経験ができるはず、という予感は間違っ
ていなかったと改めて実感しています。これからまだまだ、楽しいだけ
でなく辛いこともたくさん経験するのだろうと思いますが、全て自分に
とって意味のある経験として受け止めて充実した日々を送っていきたい
と思っています。またお伝えできる日を楽しみに。この拙い文章を読ん
でいただいた皆様、ありがとうございました。