田辺夕佳さんの2008年1月分奨学生レポート

JIC の皆様、お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか?シャンペーンは- 1 5℃を下回る厳しい寒さが続いていますが、おかげさまで毎日元気に留学生活を過ごしています。 UIUC にやってきてからあっという間に5ヶ月が経ち、留学生活も折り返し地点に入りました。今回のレポートでは学期後半の学校生活、ボランティア、冬休み、今学期に向けての抱負についてお伝えしたいと思います。

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学期後半の学校生活

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 秋学期の後半に入ってあった大きなイベント、それはハロウィンです。小さい頃に、カナダで何回かやっていて大好きなイベントだったのですが、正直、大学 4年生にもなってやるのはどうだろう、と悩んでいました。しかし、その時期になってくると学校全体がお祭りムードになり、夜にメインストリートを歩いてい る と仮装したマリオとルイージ、猛獣、悪魔、お姫様などがあちらこちらにいて、いつまでたってもイベントを楽しむことを大切にするアメリカ人らしいな、と思 いました。それによって私の迷いも一気になくなって、実際に仮装してパーティーに行ったり、アイススケートのイベントに参加したりしてハロウィンを思いっ きり満喫す ることが出来ました。

ハロウィンパーティ

【写真1:ハロウィン・パーティー】

11月に入り、就職活動のためにボストンに行きました。海外で留学をしている日本人の学生のために開かれる大規模な就活フォーラムがそこで開催されていた ので、大学4年で留学をしている自分にとっては貴重な機会でした。そこでは多くの日系・外資の企業が集まって採用を行うので、私のような時期に留学をされ る 方にはお勧めです。また、インターンの募集もしていたので、就職はまだ・・というような学生の方も行ってみたらよいかと思います。以前留学されていた先輩 方からも勧められていたイベントで、ちょうど、その時期は学校のミッドタームや課題の提出が重なり、かなり慌しかったのですが、行ってよかったと私は思い ます。そし て、それを機に自分の性格、アメリカに来てからの自分の変化やこれからの進路について真剣に考えることが多くなった、という点でもアメリカで就職活動をし たことが自分の留学生活によい影響を及ぼしたという風に感じています。ボストンは大学2年のときに短期留学していた町だったので懐かしく感じると共に、都 会とはいっ てもシカゴとは違う古い建物が立ち並ぶ町並みに改めて感動しました。アメリカの中でも古い歴史が色濃く残るボストンの街並みはこぢんまりとしていて重みが あり素敵な雰囲気が漂っていましたが、会場は日本人の学生で溢れかえっており少し不思議な気分でした。実際は滞在した数日間のほとんどは面接で、観光と いったことは できなかったのですが、面接の合間に買い物をしたり夜にホテルに戻ってから一緒に行った友人と語ったり、ちょっとした修学旅行気分も楽しむことができまし た。

ボストンから戻ってからはすぐサンクスギビング休暇に入りました。秋学期にある唯一の長いお休みなので、その前から「サンクスギビングはどこ行くの?」と いう会話で持ちきりです。実際、留学生のほとんどはアメリカ国内を旅行しますが、アメリカの学生は旅行をするというよりかは、実家に戻って家族とディナー を 楽しむというのが一般的なようです。私はというと、シカゴに住む友達のお宅にお邪魔したり、日本から遊びに来ていた友人とロサンゼルスを旅行したり、と あっという間に過きていきました。お邪魔した友達は、日本語を勉強している中国系アメリカ人の女の子で普段からよく一緒に勉強したりカフェでおしゃべりし たりする仲だ ったので、家族に会えるのをとても楽しみにしていました。実際に、彼女のご家族には本当に親切にしていただき、家族のように可愛がってもらいました。本当 にありがたいことです。こちらに来てから、人からしてもらう優しさに敏感になったように思います。ただ、なかなかそれを留学生としての自分は形にして返せ る機会が少 ないので、もどかしく感じることが多いのですが、彼女が日本に来たら色々と案内して恩返しをしたいと思います。シカゴは学期中に既に何回か行っていたので すが、滞在中、地元の人がよく行くおいしい中華料理屋さんやバーに連れていっていただき、中でも中華街にある有名な飲茶は本場の味といった感じでこってり して絶品で した!そのあと行ったロサンゼルスは、寒くなってきたシカゴに比べたら気候が温暖で、それだけで幸せな気分になることができました。久しぶりに日本の友達 と再会できたこともすごく楽しくて、限られた時間で観光・ショッピングを楽しみつつ、毎日深夜までおしゃべりに没頭することが出来ました。友人と飲茶

【写真2:友人 と飲茶】

そのような楽しい休暇のあとに、待っていたのは怒涛の期末試験でした。期末試験の時期になるとアメリカの学生は勉強に没頭するということは前から耳にして いたのでしたが、それは本当でした。図書館は24時間開いていて、普段勉強しているユニオンにある席も学生でいっぱいでした。一晩中友人と教科書を読み、 レ ポートを書くという生活は日本では絶対に体験できないことであり、周りのピリピリした緊張感の中で集中して勉強することが出来ました。今から思い返してみ ると、昔は一語一句わからないものは辞書で調べて勉強していたのが、量の多さと時間の制限からか、いつのまにか読むスピードや書くスピードが上がったよう に感じます 。そうして学期の最後はあっという間でした。

授業に関して、先学期最も印象的だったのはやはり SPCM101 Public Speaking で した。この授業は前評判どおり、留学生にとっては大変な授業でネイティブとの差を感じることが多かったのですが今思い返してみると、学期の始まりと終わり で自分も大きく変わることができたと思います。そもそも、日本では人前でプレゼンをするということは自分の学部では全くする機会がなく、みんなからの注 目を浴びるということに非常に緊張感を感じ、言いたいことの 10 % も伝えられなかったように思います。しかし、回数を重ねるごとに緊張感もほぐれてきて、丸暗記していたプレゼンも徐々にスムーズさが出てきたのを自分でも 感じることができました。所々で笑いがとれたり、フィードバックで他の人から褒めてもらえたりする回数も増え、学期末には “Most Improved Speaker” 賞 をいただくことができました。プレゼンの前日はパワーポイントの資料作りやリハーサルを繰り返し、かなり大変な授業ではありましたが、やれば絶対ためにな る授業だと思います。また、他の授業と違って、学生同士が話す機会が多く、プレゼンを通して互いのことを知ることができるので、クラスメイトと仲良くな りやすい授業でもあると思います。普段、なかなか留学生以外と仲良くなれるチャンスがないので、このような授業で友達ができることは非常に貴重です。クラ ス以外でも、一緒にコーヒーを飲みに行ったり、バーに行ったりして楽しめる友達ができました。

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 ボランティア

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私が留学を通して、チャレンジしてみたかったことの中には勉強や友達作りのほかに課外活動というのもありました。前回のレポートではスケートについてお伝えしましたが、今回は別のアクティビティについてお話ししたいと思います。

 私は、 YMCA 系列のボランティア団体に所属し、学校でのボランティア活動に携わっています。アメリカではボランティア活動が盛んというようなイメージが元からあったのですが、学期初めにあった Quad Day (日 本の新歓に相当するもの)では実に多くの団体を見つけることができました。日本にいるときにアルバイトでずっと家庭教師をやっていたということもあり、や るなら学校でのボランティアという風に決めていました。留学生で英語が十分には話せない自分は、普段周りの人に教わり、助けてもらうことがどうしても 多くなってしまいます。自分も誰かの役に立てる場はないのか、というように考えた結果たどり着いたのは、子供たちの手助けをする学校ボランティアだったの です。私がカナダで学校に通っていたときは、移民の子供達が多く、 ESL のクラスで多くの時間を過ごしました。ですから、自分もアメリカに来たばかりの ESL にいる子供達のサポートがしたいと思っていました。しかし、この付近の学校には ESL プ ログラムを正式に設置している学校はないとのことで、アーバナにある小学校の2年生のクラスに配属となりました。ネイティブの子供達に、アメリカに来てま だ数ヶ月の先生は受け入れてもらえるのか、少し不安はありました。しかし、その不安は子供達の暖かい歓迎によってすぐに吹き飛びました。

 私のクラスは 22 人 クラスで2人を除いて全員が黒人の子供たちです。また地域としては、低所得者の多い居住区らしく学校も比較的簡素です。でも、子供たちの元気な声でクラス はいつもにぎやかです。元気すぎて自分の席にみんなおとなしく座っていられないようで、しょっちゅう喧嘩が起こっていたり、先生に怒られたりしています が、全く動じないようです。このカオスな状態に初めは動揺しましたが、それぞれの子と話してみるとみんな個性豊かで、すぐに子供たちが大好きになりまし た。甘えん坊の子、いたずらっ子、お姉さんタイプ、マイペース、など様々ですがみんな「ユウカーこっち来てー」と懐いてくれて、私も褒めたり時には叱った りとクラスに 馴染めるようになりました。科目としては、読み書きのクラスのようですが、実際に何をやるかは毎回違ってその辺りは結構適当です(笑)みんなで本を読み、 日記を書く日もあれば、工作をしたり、物理の実験をするといって教科書を投げて摩擦について学んだり・・・と堅い授業とは程遠い自由な雰囲気です。形式や ルールにと らわれずに学ぶというアメリカ式の教育は子供達の自由な創造力を尊重するものだと感じます。また、子供達と接していて感じるのは、子供達の偏見の無さで す。普段大学生と接することがほとんどなのですが、どうしても同じ人種同士で固まることが多く、他との接触はなくなりがちです。ですが、子供達にはそのよ うなことは関 係なく、ネイティブでない私に多くの関心を持ってくれて、いつもオープンです。そのような純粋な気持ちを持つ子供達に、週1回ではありますが癒されると共 に刺激を受けています。

学校の子供たち

【写真3:学校の子供達】

 

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 冬休み

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 冬休みのビッグイベント、それはパリへの留学です。これは、イリノイ大学からの留学プログラムで約2週間冬休みにかけて毎年行われているもので、秋学期の単位に加算されます。 9 月 の下旬くらいに募集があって、8箇所くらいの留学先から選んで応募し、エッセイによって選考が行われます。私は、大学の第2外国語がフランス語だったとい うのと、ヨーロッパに行ってみたかったので迷わずパリに応募しました。出発前に何回かミーティングがありますが、基本的には何も具体的な情報を与えられ ないまま、出発の日を迎えました。どのようなプログラムなのか、ちゃんと友達ができるか、少し不安はありましたが、実際に空港に集まってみると 30 人くらいのグループで、みんなが同じように不安だったことがわかり、そこから一気に打ち解けることが出来ました。

 私が参加したプログラムはパリの移民問題を扱ったもので、一般的な観光スポットを回るというよりは、○○人街をいくつも回り、人種問題についての小説を 読んでその作家にインタビューをするというのが中心でした。毎日、2ページのエッセイを提出し、膨大な課題図書を読むのに時間はかかりましたが、自由時間 を 使って観光を楽しんだり、ホステルに戻ってからひとつの部屋に集まっておしゃべりをしたり、と2週間を本当に満喫することができたと思います。

パリ集合写真

【写真4: パリ集合写真】

 このプログラムを通じて、パリの様々な局面を知ることが出来たのは非常によかったと思います。確かに、市内の建物は豪華で歴史を感じるものが多くありい くらいても飽きることがありません。ルーブル美術館、ノートルダム、ヴェルサイユ、エッフェル塔など、今まで観たいと思っていたものが目の前にあることに 感 動しました。カフェも可愛らしい店構えで、それだけでも写真に撮りたくなります。いたるところに、クレープ屋さんやパニーニ・スタンドがあって食べ歩きも いっぱいしました。そのような、華やかで活気のあるパリですが、この授業ではそうでない面も多く見ました。職を求めてパリに入国してきた、アフリカ、アジ アからの移 民の多くは十分な権利を与えられず、物価の高いパリで非常に苦しい生活を強いられています。印象的だったのは生徒の一人がムスリムでスカーフをまいていた のですが、学校の中で宗教色を出すことを禁じられている学校側と問題になり入場を拒否されるというようなこともありました。「自由」や「平等」という定義 が国によっ て異なるということを痛感した瞬間でした。

  また、この留学でよかったと思うのは、やはり友達が増えたことです。アメリカにいる以上はなるべく多くの友達を作って、ネイティブと英語を話す時間を増や したいと思いますが、やはりイリノイにいると日本人や他の留学生との交流が多いように思います。それでも英語を話していることが多いのですが、パリにい る間はまさに 24 時間英語漬けの毎日でそれは自分にとってとても よい環境であったと思います。ホステルではアメリカ人の女の子とルームメイトになり、おしゃべりしたり、冗談を言い合ったり、本当に楽しかったです。私が よく一緒に行動を共にしたグループというのは、白人のいわゆるソロリティー・ガールズたちで、よくしゃべり 、よく笑うにぎやかな集団でした。夜になると、みんなが私の部屋に集まってひたすらおしゃべりするというのは、あまり人付き合いのない Illini Tower に 住む私としてはとても新鮮で、楽しい時間でした。今までソロリティーに所属する女の子との関わりはあまりなかったので、内輪のパーティー好きで、なんとな く閉鎖的なイメージがあったのですが、それは私の持っていた偏見であって彼女達がとても好きになりました。アメリカのスラングを習ったり、ソロリティー での生活、バーでの常識(笑)など多くのことを教わり、逆に日本にも興味を持ってもらうことができました。留学生という入り口からでなく友達ができて、 戻ってからも連絡を取って会える仲になったことはすごく貴重です。

パリの夜

【写真5:パリの夜】

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 今学期に向けての抱負

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 最後に、今学期についてお話ししたいと思います。イリノイで1年間を過ごすに当たって、自分がより成長するためには、様々なバックグラウンドを持つ人と の交流を通じて英語力を上げるだけでなく、人とのコミュニケーション全般で自分を見つめ直すということが非常に大切だと感じました。自分が学んでみたいと 思 っていたことに挑戦するのも、先学期に引き続いての目標ではありますが、それと共にいろいろな人とじっくり関われる環境に身を置くことも重要だと感じてい ます。そのために、今学期は、以前から関心のあった経済学の授業以外に、アクティビティの授業も多く履修しています。

ECON202(Economic Statistics)

ACE210(Environmental Economics)

SPCM321(Persuasive Speaking)

DANC199(Balinese Dance)

KIN104(Ice Skating)

MUS261(Black Chorus)

 上の二つは講義とディスカッションの大人数授業ですが、それ以外の授業は学生同士の交流が多くはかれると思って楽しみにしている講義です。詳しくは次回 のレポートでお伝えしたいと思います。留学生活もあと4ヶ月、イリノイでの生活を思いっきり楽しもうと思います。こ れからも JIC の皆様の温かいご支援よろしくお願い致します。

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東京大学文学部4年
University of Illinois at Urbana-Champaign
田辺 夕佳 (たなべ ゆうか)
yuuka_tanabe@hotmail.com
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