小瀬垣綾子さんの2000年9月分レポート

JICの皆さん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?現在イリノイ大学に奨学生として留学している小瀬垣彩子です。ここ数日少し寒さが和らいで、とても素敵な天気です。陽の光と赤レンガの建物と木々とその影が、見惚れてしまうほど美しい光景を創り出しています。

Champaign- Urbanaに来てから早いもので一ヶ月半が経ちました。到着してからは毎日のように手続きに奔走し、こちらのビルからあちらのビルへと地図を便りに移動 し、方向音痴の私として道に迷わないようにするだけで精一杯でした。親元を離れる度に極度のホームシックに悩まされる私も、忙しさの為か、わずか2,3日 で回復することができました。

授業の履修申告ほど、精神的にも肉体的にも追い詰められるものはありませんでした。私はジャーナリズムの授 業を中心に履修しようと思っていたのですが、予定していた授業は見事に全て埋まっていて、後は教授、講師、Departmentとの交渉次第と言われまし た。毎日のようにCollege of Communication に通いました。受付の女性に、ジャーナリズムの授業はアメリカ人の学生からの需要も非常に高く、必修科目は、専攻ではない学生にはどんなに頼まれても絶対 に取らせないと、けんもほろろに追い返されました。諦めきれずに、授業の最初の日に直接先生に訊ねたら二つ返事で履修を許可されました。不思議なシステム です。結果的に、ESL以外に、History of Communication, Culture and Social Foundation of Mass Media, Internatinal Reporting and Foreign Correspondent という授業を現在履修しています。

コミュニケーションの授業は思っていたよりも非常に哲学的です。今まで 私が履修してきたコミュニケーションやメディアの授業は、インターネットから始まるこれからのメディアの姿、主にテクノロジー面に焦点が当てられていまし た。しかし、History of Communication, Culture and Social Foundation of Mass Mediaという授業は共に、過去のメディア・コミュニケーションがどのように発展してきて今後どのように変わっていくのか、と体系的に学びます。コミュ ニケーションやメディアという言葉の捉え方も非常に広義であり、私たちが通常頭に思い浮べるテレビやインターネットの他に、人や物の移動、言葉そのもの、 広告なども含みます。そして、テクノロジーが私たちの文化や精神にどのような影響を与えるのか、反対に文化や精神はテクノロジーの発展にどう関係するの か、という事を追っていきます。 International Reporting and Foreign Correspondentはその名の通り、自分が実際に派遣記者になったという設定で、外国(もちろんアメリカにとっての外国)のリポートを行います。 第一回目の課題は、国のオーバービュー的なリポートだったのですが、ジャーナリストになったかのような実践的なリポートは、書いていてとてもわくわくしま した。この授業の教授はThe Chicago TribuneのForeign Correspondentだったということもあり、ベトナム戦争、東京ローズなど自分の目撃した歴史を活き活きと語っ てくれます。非常に興味深く、授業である事を忘れてしまうほどです。

絶対に不可能だと思っていたルームメイトとの寮での共同生活は、想像を遥かに裏切って快適です。この小さな部屋にプライバシーが存在しているということに驚いています。寮生活において、食事以外は不満は全くありません。

パ ソコンのトラブル、学費のトラブル、と次から次へと降りかかってくる問題も全てクリアし、今は穏やかな生活が続いています。しかし、充実感は日本の大学と は比較できないほどです。一ヶ月半という短い時間ながらも既に得たものは非常に大きいです。残りの日々の中で、何が起こり、どんな人と出会い、何を感じる 事ができるのか、とっても楽しみです。今後のレポートの中で、そんな心動かされる瞬間を少しでも皆さんにお伝えできればと思っています。

2000年9月28日
小瀬垣彩子