2008年度奨学生レポート(本間 奈菜)

Japan Illini Clubの皆様、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?一橋大学法学部4年の本間奈菜です。日本に帰国して、はやくも一カ月が経とうとしています。振り返ると、シャンペーンで過ごした9カ月は、本当に矢のように過ぎてしまいました。今回が、私の最後の奨学生レポートになりますが、春学期後半の様子と留学を通して学んだことをお伝えしようと思います。

 Japanese Coffee Hour
Cosmopolitan Clubにすむ同期の森本さんを中心に、今年も4月にJapanese Coffee Hourを開きました。日本に興味のあるアメリカ人や日本人の友人に手伝ってもらい、2日がかりで100人分の料理を用意しました。私は事前の宣伝を担当したのですが、当日は開始時間前からたくさんの人が来てくれ、30分ほどでなくなってしまった料理のお皿を見て、とても嬉しかったのを覚えています。森本さんを中心に行ったクイズを含む日本についてもプレゼンテーションも大変盛り上がり、準備は大変でしたが、先輩方のレポートにもあった通り、やってよかったなと思いました。

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 Final Week~帰国
春休みのワシントンDC,ニューヨーク旅行から帰ってきた後は、二回目の中間試験やペーパーを経て、キャンパス全体が期末に向けての追い込み勉強モードに突入しました。私は試験に関しては、幸い全てcumulativeではなかったので、そこまでの負担はなかったのですが、今学期は大きなペーパーを書き上げなければならない授業が4つあり、そのうち3つは期末の時期に集中し、さらにそのうち2つは統計プログラムを用いた研究を前提にしたresearch paperでした。なるべく早いうちから進めようとはしたものの、締め切り直前は書きあがるかわからない焦燥感でいっぱいでしたが、教授やTAの助けでなんとか乗り越えることができました。統計の手法など無知な状態から始めたresearch paperでしたが、この経験は、日本に帰ってからも、スキルの面でも、意識の面でも大きな影響を与えると思っています。一橋大学での卒業論文も、同じようにできたらなと思います。
また、今学期学業に関してもうひとつ嬉しかったことは、期末ペーパーも試験もない、Global Studies 296 Understanding Global Water Issuesで良い評価をいただけたことです。この授業では、水にまつわる問題を様々な視点から―アメリカ国内の問題から世界の各地域の開発途上国での問題、技術的な問題から、経済的な問題、政治的、社会的な問題―を議論します。評価基準の大きな割合を占めるのが、期末にあるディスカッションにむけての準備でした。ディスカッションというのは、クラス内で似た問題意識を持つ数人でグループを作り、模擬NGOとして自らの団体のmission statementや事業内容を策定し、模擬NGO間のディスカッションを通して一つの政策に集約していく、というものでした。私は2人の学生とともに、アジア諸国に安全な水を供給するという使命の下、技術の普及と水問題への注目を集める啓蒙活動を行うNGOを作りました。ディスカッション自体にはほかのメンバーが参加し発言したものの、元来途上国支援に興味を持っていた私は、ミーティングの際に、実際に援助事業として行われているプロジェクト等を紹介する等、自分たちのNGOのメインアイデア形成に貢献しました。2回の授業時間を使って行われたディスカッションの結果、投票で私たちのNGOがthe best NGOに選ばれたのですが、本当に嬉しかったです。

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帰国を意識しだしたのもこのころでした。キャンパス内で誰かに会うと、決まってWhen are you going back Japan?と聞きます。期限付きの留学であることも理解はしていたものの、友人たちともう簡単に会えないことを考えると、もっと長くいらたらいいのに…と毎日のように考えていました。簡単には会えなくなってしまう前にと、仲の良い友人たちとは、一緒に過ごす意識的に時間をとるようにしていました。
さらに加えて帰国の準備もあり、学期末は一年で最も慌ただしかったことを覚えています。Global Crossroadのmoving outは特に印象的で、試験週間が終わった金曜日から土曜日にかけて、どの部屋も、荷物を運び出したり、物を捨てたりと大騒ぎでした。当初、いらなくなったもの(服や文房具、家電など)をロビーに置き、ほしい人が貰って行く、という”Take Free!” のシステムをResident Assistantが作ったのですが、土曜日には残念ながらロビーはものが溢れた混沌と化し、皆で、「あの狭い部屋からどうしてこんなにものが出てくるんだろう…???」と不思議がりあいました。
なんとか時間までに荷物をまとめ(帰国する留学生の場合は荷物の重さも考慮しなければならないので、さらに大変です)、同期の森本さんのCosmopolitan Clubの部屋に一週間泊めてもらいました。帰国まではGreen Streetをぶらぶらしたり、シカゴまで日帰りで遊びに行ったり、のんびりと充電期間のように過ごし、シャンペーンでの濃い9カ月を振り返る時間が持てました。成田空港行きの飛行機に乗るまで、帰国する実感がまったくなかったのですが、帰ってみると、アメリカと日本の遠さを思い知り、向こうの友人を思うと寂しくなります。

 留学を振り返って
アメリカで、そしてイリノイ大学で学んだことは、もちろんたくさんありますが、大きく3つに分けられると思います。
一つ目が、「無力」な自分と向き合うこと。授業は、課題ひとつ満足に終えられないところからのスタートでした。時には、英語が不自由なことで、一人前として扱われない(と感じる)こともありました。何度も悔しい思いをしましたが、いつからか、逆に一つ一つ、やればやるだけ、自分に力が付いていくことを実感できるようになっていました。この達成感は、日本では得られないものかも知れません。失敗や後退を恐れてトライすることをためらうのは、ここでは無意味だと感じ、興味を持ったものはとりあえず挑戦してみる、だめだったらだめでいい、というスタンスで取り組めたことは、私にとっては大きな変化です。その結果アメリカでやり遂げられた経験は私に自信をもたらしましたし、それを今後にもつなげていきたいと考えています。
二つ目に、自分が当たり前だと思っていることに固執しないこと。自分ができないことのほうが多いように、人にも、当たり前のこととして何かを期待をする場合、自分のほうが不適切であるかもしれないと学びました。「こうでなければならない」という固定的な考えから離れた途端、楽しんでできるものが一気に増えました。今までと違うもの、新しいものに対する好奇心が、シャンペーンにいる間にはぐくまれたと感じます。
最後に人との出会いの大切さです。日本でも、私は人と話すのが好きでしたが、シャンペーンに来て、日本語であっても英語であっても、言葉に不自由していても、それは変わらないのだと気づかされました。正直に言って、アメリカ人同士が話すスピードや情報量の多さを目の当たりにすると、自分がいくら頑張っても、彼らのようにはコミュニケーションはとれない、と何度も落ち込みました。それでも、何人かの友人は、”Because it’s you Nana. It’s not the skill.”と言って、励ましてくれました。上記の二つの点も含めて、私が留学で学んだことはすべて、私が留学で出会った人たちを通して学んだのだと思います。もうなかなか会うことができない人もたくさんいますが、彼らへの感謝を常に持ち続けたいと思います。

感謝をするべきなのは、アメリカで出会った人たちばかりではありません。日本からいつも支えてくれた友人や家族、そしてなにより、このような機会を与えてくださり、そしていつも温かく応援してくださっているJICの皆様には本当に感謝してもしきれません。素晴らしい経験をさせてくれたイリノイ大学は、私にとって大切な第二の母校です。これからは、JIC小山八郎奨学金奨学生OGとして、後輩の支えとなり、またJICの活動をお手伝いさせていただきたいと考えております。今後もどうぞよろしくお願いいたします。

本間奈菜
一橋大学法学部4年

写真解説
1.Japanese Coffee Hourにて
2.Alma Materの前にて