中川貴史さんの2010年1月分の奨学生レポート

JICの皆様、ご無沙汰しております。ここシャンペーンでは肌寒い日々が続き、摂氏-20℃以下となる日も決して珍しくありません。趣味がスキーというだけに寒さには強いと自負していた私ですが、シャンペーンの未経験の寒さには圧倒されるばかりです。寒さのあまり毎朝ベッドから体を起こすのが億劫で、午前中の授業が大変なハードルに感じられて仕方ありません。とはいえ、忙しく授業へと足を運ぶ生徒達を横目にふと立ち止まってみて、美しい雪化粧をしたキャンパスを眺める瞬間には言葉で表現し切れない感動があります。大雪の後に時折現れる真っ青の空をバックに、真っ白のクワッドが足下に広がり、目の前には荘厳なユニオンがそびえています。凍えるような真冬の澄み切った空気を吸い込む度に、何とも言い表せない爽快感が感じられます。

こちらに到着してから早いものですでに6ヶ月、時間経過の早さに驚きと共に焦りを感じつつ、今回の報告を書きつづる次第です。期待と不安に満ち溢れつつ意気揚々と新たな生活へと飛び込んでいった最初の3ヶ月とは異なり、生活や授業、人間関係にも順応して過ごした次の3ヶ月はやや印象の違ったものとなりました。その幾らかをご報告させて頂けたらと思います。

・ハロウィーン
日本ではこれと言った印象の無いハロウィーンですが、こちらでは思いがけなく非常に印象的なハロウィーンを過ごすこととなりました。数週間前からハロウィーンの衣装で話題が持ち切りになり、いかに個性的で面白い衣装を発掘できるか創意を凝らす姿勢には度々呆れさせられる程でした。ハロウィーンの当日には皆が思い思いのコスチューム姿で道を歩き回り、夜のグリーンストリートには大勢のゾンビが出現するという摩訶不思議な情景が見受けられました。
ハロウィーンの前日には、友人の誕生日も兼ねつつ親友宅でパーティを催したのですが、滑って誕生日ケーキを落としてしまうというハプニングもあり忘れられない思い出となりました。結果として60人以上の人が集まる活気溢れるパーティとなり、参加者それぞれが互いに新たな人と出会い、人と人の輪が広がっていくのを見るのが何よりも嬉しく感じられました。こちらに来てから人との出会いの大切さを痛感させられる中で、このような貴重な機会を提供できたことを大変喜ばしく思っています。

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・サンクスギビング
サンクスギビング休暇に参加したボストンキャリアフォーラムでは、停滞する景気の中で参加企業は半分以下に減少し、落胆の様相で帰路につく学生達が多く見受けられました。とはいえ、陸の僻地と言ってもよいシャンペーンで半年間を過ごした私とっては、企業との面接や企業・市場分析を通して絶え間なく変化する世界の改めて身近に感じられたことは大きな意義があったように思えます。残りの半年間のアメリカでの生活をいかに過ごし、今後社会に出るに際して有用な能力をどれだけ磨けるか、この留学に対する思いを新たにすることができました。また久しぶりに大勢の日本人を一度に目にする機会となった今回のフォーラムでは、日本にワープしたかのような感覚に陥り、懐かしさと共に日本独特の文化、とりわけ企業文化に気づかされる良い機会となったように思います。
フォーラム後には空いた時間を利用しボストン観光を楽しみ、アメリカ独立以前から長い歴史を持つボストンには歴史ある建築が立ち並び、風情溢れる街並みは私のお気に入りでした。

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・ファイナル
サンクスギビング休暇から帰宅してからは、レポートに期末試験にと勉強に追われる日々となりました。こちらの授業は日頃からの出席に加え複数回レポート・テストがある為か、期末試験に合否が大きく依存する日本の大学の試験に比べ、期末試験前の負担は少ないように感じられました。また充実した施設に助けられ集中して勉強に取り込むことができたことも、その要因のように思えます。こちらに来て日本の24時間営業のコンビニの存在がいかに便利か痛感させられたものですが、24時間利用可能な図書館の存在にはそれ以上に助けられることになりました。新たに建設されたスポーツ施設ARCではバトミントンや水泳を楽しみ、勉強で蓄積したストレスを解消することができました。
勉強に追われ慌ただしく過ぎ去っていった期末試験の時期ですが、この時期は同時に「別れの時」ともなりました。半年間のプログラムで参加していた留学生の仲間達、卒業して別の町へと旅立つ仲間達との別れは、非常に考え深いものとなりました。異なる国の異なる環境で生まれ育ちここシャンペーンで偶然にも出会い、ともに過ごした時間はお互いにとって掛け替えのない貴重な経験となったように思います。Facebookといった文明利器があるとはいえ、数千キロの距離と国境に隔てられ再び会うことができないかもしれないと思いつつ別れの言葉を言うのは辛いものでした。一期一会という言葉がありますが、今回の友人との別れによって、出会いの大切さを再認識しつつ、出会いと別れを繰り返しながら生活をしていく私たちの生き方そのものについて再考させられることとなりました。

・冬休み
待ちに待った冬休みには、夏に訪れたバンクーバーに再び戻り休暇を満喫することができました。バンクーバーはアジア人の町と呼ばれる程アジア系移民が多く、日本人の多さに改めて驚かされることとなりました。ここシャンペーンでは日本人はごく少数で日本語を聞けばまず間違いなく友達である程なので、バスや電車で日本語を聞く度に違和感を覚えざるを得ません。バンクーバーはシカゴと比較すると小規模で、日本でいう中規模の地方都市といった感じでしょうか、自然に囲まれアットホームな住みやすい町という印象があります。オリンピックを控え活気に満ちた町では、新たなマンションの建設や交通機関の整備などオリンピックムード一色といった様子でした。

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当初はカリフォルニアに旅行に行く予定だったのですが、あまりの居心地の良さに結局日本人の奥さんを持つメキシコ人の友人宅に1カ月ほども居候させて貰うこととなってしまいました。現地の大学や語学学校に通う日本人をはじめ、日本語を習う大学生や留学生まで友達の輪が広がっていき、多くの友達に囲まれ毎日充実した日々を送ることができました。

・最後に
新たな学期が始まり早ひと月が経過し、こちらでの生活も残すところ3ヶ月程となってしまいました。意識しない限り時は矢の如く過ぎ去ってしまいます。JICの皆様にこうやって与えて頂いた貴重な時間を最大限に活かせるよう残りの期間を有意義なものにしていきたいと思います。

東京大学法学部4年 中川貴史

写真1:ハロウィーンパーティ 落としてしまったケーキ
写真2:ボストン ハーバード大学構内
写真3:バンクーバー 私のフェアウェルパーティー