柳潤子さんの2010年1月分奨学生レポート

JICの皆様、お無沙汰しております、2009年度JIC生の柳 潤子です。最初、課題の多さに戸惑い、ついていけるか不安だった秋学期の授業、冬休みが終わり再びシャンペーンにもどっての春学期が始まりました。気がつけばもう日本を発ってから5カ月が過ぎていることになります。あっという間に感じる時間の中に、考えられないような豊かな経験や出会いがあることを実感する日々です。サンクスギビングのあたりから春学期までのことについて書かせていただきたいと思います。少し長くなってしまったのですが、お時間があるときに、楽しみながら読んでいただければ幸いです。

1.    サンクスギビング
サンクスギビングは中国人の友人7人とともに、フロリダ・シカゴを旅行しました。彼ら7人は中国から渡米したばかりのフレッシュマンで、1人がドームの同じフロアに住んでいたため今回の旅行に誘ってもらったのがきっかけです。私はホテルの予約やお金の計算まですべてお任せしていた上に、参加のためにレジュメを書いていたボストンキャリアフォーラムがフロリダ・シカゴ旅行に被っていることに後から気付き、航空券の変更をお願することにまでなってしまいました。いくら相手が中国語で旅行のスケジュールを立てているため、参加しようにも言語の壁があるとはいえ、ここまで頼るのは申し訳ないと思っていたところ、シカゴ滞在予定のホテルにフレッシュマンの彼らの年齢では予約ができず、私のパスポートが必要なことが1週間の旅行で一度だけありました。最初、彼らは私を彼らと同じようなフレッシュマンであると思っており、ホテルの予約ができずに困っていたようで、私の年齢を知ると、驚くとともに「よかった~」と言われ、一度でも私(のパスポート)が役に立つことがあって私自身もよかったと感じました。高校卒業後すぐに親元を離れ、中国から言語・文化の違う国へ来て、自分たちで旅行の計画を立て実際に観光をし、ブラック・フライディというサンクスギビング中に行われるバーゲンのイベントで家族へのプレゼントを一生懸命選ぶ姿は大変頼もしく思いました。

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写真1 フロリダのビーチで(一番気を利かせて旅行の取りまとめをしてくれている旅行メンバーの一人が撮影したため、彼が写っていないのが残念です)

2.    秋学期の授業について
ネイティブのアメリカン人に交じって、スピーチをするのが非常に心配だったCMN321 Persuasive Speakingは、いざクラスメートの前に立って発言すると緊張から流暢にスピーチができず、練習の割にはうまくできたり、準備に時間をかけたにもかかわらずうまくいかなかったりでした。それぞれの興味も専攻も様々のクラスメートが持ち寄るスピーチのテーマは非常に面白く、また、インストラクターの方も「こんなに良いクラスが持てて今学期は本当にラッキーだ」とおっしゃられるくらいアットホームな雰囲気で授業そのものを楽しむことができました。授業の中では、本番のスピーチのための練習として、クラスメートの前で、即興で内容を考えて短いスピーチをする機会もありました。クラスメートが、まったく躊躇することなく、積極的に手を上げてあたかも本当であるかのよう(即興のスピーチでは、話し方の練習のため、本番のスピーチには欠かせない自分の主張を裏付けるデータや記事を勝手に捏造して話すため、内容もジョークがあったりして面白い。)にスピーチをする姿も見られ、ただ圧倒されるばかりでした。あともう少しアメリカの文化と英語力があればもっと理解できるのにと思うこともしばしばありましたが、毎回刺激的で楽しい授業に出会えたことが非常に嬉しかったです。LLS220 Mexican & Latin Am Migrationもまたクラスメートに恵まれた授業でした。この授業では10ページほどのレポート課題が出ました。私は、日本で所属していたNGOの活動で移民の子どもをみていたことから、この授業への興味が始まったため、日本とアメリカでの移民の人々のアイデンティティやコミュニティの違いなどについて書きました。日本についての文献を英語で探すのが非常に苦労しましたのが印象的でした。2つの言語の授業、SPAN122 Elementary SpanishとCHIN305 Advanced Chinese Ⅰでは日本での典型的な言語の学習とは違い、学生側にかなり積極的なクラスへの参加が求められ、speakingやcommunicationが重要視されていたように思います。CHIN305 Advanced Chinese Ⅰは毎日授業があり、中国語に触れる機会が多く持つことができ、授業の内容も中国人の友人と話すときの共通の話題になるようなよいトピックを、先生が選んでくださっており充実しておりました。日本の大学で中国語を学んでいたときには感じなかったのですが、自分自身が日本語のネイティブであることが中国語学習においては大変大きなアドバンテージとなって、テストなどが他の言語がネイティブである学生と比較してはるかに負担が少なく感じました。その分、毎日授業がある割には中国語に接する時間が少なく、結局のところあまり中国語の能力が向上したとは感じられず、そのあたりは今学期の課題ではないかと感じております。

3.    iDream & Women’s Resources Center
Dream Act
前回のレポートでDream Actという移民のための新しい法律について書かせていただいたのですが、その後、la corectivaのメンバーとしてDream Act制定を促すためのRallyやla corectivaの活動をより多くの人たちに伝えるための活動にかかわっています。週一度のミーティングに出席しているのですが、これまでこういた政治団体に所属したことがなかったことと、そもそもイリノイ大学の他の組織のことをよく知らないため議論の内容についていくのさえかなり危うい感じです。私が初めてRallyを見たときにはメンバーの中心が移民問題と直接かかわっているような人たちだったため、日本から来たあまりアメリカの移民問題とは直接関係のない留学生の自分が仲間として活動に参加できるのか不安だったのですが、かなりオープンで歓迎していただき、本当に嬉しく思っています。サンクスギビング前に大変忙しくしばらくミーティングに行けないときもあったのですが、その後に行ったRallyにはメンバーとして参加させていただきました。今学期はもう少し議論に加わり、活動にももっと積極的に参加できたらいいなと思っています。

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写真2 Rallyの後でla corectiva の記念写真

Women’s Resources Center
Women’s Resources Centerは昨年の初めにイリノイ大学の中に、新しくできた組織で、偶然ボランティアとインターンを募集しているということで、秋学期はボランティアとして、今学期はインターンとして活動に参加させていただいております。日本の大学でジェンダーの授業を受講したことがあり、ジェンダーの問題に大変興味があったので、実際に活動に参加させていただけることを大変幸運に思っています。またボランティアの担当の方がとても温かく迎えてくださるので、Women’s Resources Centerに行くことそのものがとても楽しみになっています。アメリカに来る前、Women’s Resources Centerを訪ねる前まではアメリカは日本よりもかなりジェンダーについては進んでいると思っていたのですが、実際に活動してみるとまだまだ不十分なところもたくさんあるのだと感じています。一度Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender Resource Center (LGBT)のメンバーである友人に誘われて、セクシャル・マイノリティーの人たちの話を聞くイベントに参加したとき、実際に話を聞いてみると、想像していたよりもずっと難しい周りの環境との問題があるのだと感じました。特にアメリカの場合、大学で寮やフラタニティーなどに入るときや教会と関係の中で問題が生じてくるようです。思い返してみると私たちが普通に生活している前提として異性を恋愛対象にするということが多くあり、そうでない人たちにとっては随分と住みにくい環境であると思いました。
Women’s Resources Centerはできたばかりなのですが、セクシャル・マイノリティーの問題から女性の差別問題、その他の人権問題に関わる様々なイベントがあり、今学期はWomen’s Resources Centerの存在やイベントを多くの人に知ってもらえるような活動ができたらと思っております。

4.    冬休み
冬休みには、メキシコに住む友人の妹の15歳の誕生日パーティに出席するためメキシコに1週間滞在し、その後イリノイ大学の留学制度を利用し3週間イスラエルに留学をいたました。
メキシコ
メキシコの友人とは2年前にカナダで知り合いました。その後、私のイリノイ留学が決まった際、再び会おうということで、今年の夏イリノイに来る前に彼女のメキシコにあるおうちに2週間滞在させていただきました。そのときに彼女の妹の15歳の誕生日パーティが12月にあるということで、再び招待を受け、メキシコに行くことになりました。メキシコでは女の子の15歳の誕生日パーティはQuinceañeraといい、大人になる節目の年とされ、結婚披露宴のような豪華なパーティが催されます。家族にとっても親戚にとっても、もちろん本人にとっても人生の中の大切なイベントで、私が夏に友人の家に滞在したときにはパーティ会場の予約もされ、当日着るドレスも大切に保管されていました。私の友人のほうは、彼女が15歳だったときパーティよりも旅行が好きであったためQuinceañeraは開かれず、ヨーロッパ旅行をしたそうです。そのため妹のパーティは家族にとって最初で最後のQuinceañeraでした。そんな大切な家族のイベントに参加させていただき、友人と一緒に妹のQuinceañeraを祝えたことが本当に嬉しかったです。夏にお世話になった友人の親戚や一緒に遊んだ友人の友人とも久しぶりの再会をしました。またクリスマスが近かったため、メキシコの伝統的なクリスマスも味わうことができました。友人や友人の家族とイリノイ大学での出来事やお互いの文化についてのんびり話し、おいしいメキシコ料理を食べてリラックスしとても楽しいメキシコ滞在となりました。アメリカに留学していると、日本に簡単に帰ることはできないのですが、このように家族のような存在が近くにあるのは本当に心強く、感謝しています。

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写真3 メキシコにてパーティの主役である友人の妹と

イスラエル留学
イスラエルへはイリノイ大学のcourse abroadというプログラムを利用して留学させていただきました。イスラエルの大学に留学するわけではなく、イリノイ大学の授業がイスラエルで行われるというイメージの方が近いと思います。秋学期の後半8週間、週1回1時間の授業が実施され、イスラエルの移民問題や民族問題などについての基本的な事柄を学びました。そして、冬休みにはイスラエルへ行き、実際にそこに住む人たちや移民問題に関わる人の話を直接聞き、ホロコースト博物館やアラブ人の住む街、モスクや教会を見学し、それぞれのプロジェクトを進めるといった内容でした。学習方法として非常に面白かったのは、イスラエルで異なる3つの場所でobservationという課題が出たことです。これは街や人々の雰囲気を観察して、そしてイスラエルの人に実際にインタビューをするものです。次の日にはクラスの中で何を見て何を考えたかを発言し、先生がそれに対して現在イスラエルで問題になっていることなどを話してくださるというものでした。初めに何に着目するかがほとんど伝えられず、かなり自由な課題だったのですが、以前に来たことのある場所であったとしてもobservationとなると新しい発見があるのが非常に面白く感じました。イスラエルは“ユダヤ人の国”というイメージが強く、政府側も率先して海外に住むユダヤ人をイスラエルへの移住を促すような政策をとっているのですが、人口の20%アラブ人となっています。同じ国に住みながら、それぞれが離れた地域に住んでいるため接触が少なく、宗教の違い、歴史的背景も加わって、理解し合えないような状況が見られました。その一方で今回の留学では、イスラエル唯一のアラブ人の村にある、アラブ人とユダヤ人が一緒に通う学校の見学もさせていただきました(マイノリティーであるアラブ人がユダヤ人の学校に通うことは見られますが、マジョリティであるユダヤ人がアラブ人の住む地域の学校へ行くということは普通、起こりません)。こちらの学校では、全てのクラスにアラブ人とユダヤ人の先生が配置され、ユダヤ人の言語であるヘブライ語とアラブ人の言語であるアラブ語の両方が平等に使われるように考慮してありました。アラブ人とユダヤ人の子どもがお互いに理解が深めあえるようにそれぞれの家を訪ねるような宿題が出され、それぞれの聖書の中でストーリーが共通している部分については一緒に宗教の勉強をする時間もあるそうです。この学校は幼稚園から小学校くらいまでの6年間の学校なのですが、どんなにプログラムを組んでも、子どもは大きくなるにつれてどうしても同じオリジナリティーを持つ友人と遊ぶようになるそうです。中学校や高校の設立について計画はあるもののうまくいかないかもしれないと校長先生がおっしゃられておりましたが、理想通りにはいかない現実も見た気がしました。
最後の週末には先生のご家族の住むおうちに招待していただきました。先生のご家族はアルゼンチンから移住してきており、アルゼンチン・バーベキューをごちそうになりました。秋学期の後半に行われた全8回のクラスでは一度もクラスメートと親しく話すこともなく、3週間、18人のアメリカ人の中のたった1人の留学生としてうまくすごすことができるか非常に不安に思っていました。そんな不安な気持ちを抱えオヘア空港へ行き、飛行機を待っていると大雪のために飛行機はキャンセルとなりイスラエルへは2日後に出発することが伝えられました。簡単にキャンパスのドームに戻ることができない私は、そのまま、それまで一度も話したことのなかった1人のクラスメートのおうちに2泊することになりました。突然、2日間滞在することになったにもかかわらず、クラスメートの家族には、映画に連れて行ってもらい、クリスマスの残りのクラッカーを一緒に楽しみ、最後には空港で食べるスナックの心配までしていただくなど、本当に温かく迎えていただきました。イスラエルにいる間はかなり自由時間があったため、それぞれがグループになって観光をしたりする機会が多くありました。ときどきコミュニケーションがうまくいかずにじれったく思うこともあったのですが、自分が興味のあるときにはくっついて行って、疲れたときにはそれを伝え部屋で休めばいいんだ!という結論に達すると意外と気楽にクラスメートとhang outしながら楽しく過ごせたように思います。また、イスラエル人の先生と2人のときには、先生自身がアメリカに留学したときの話をしてくださり、自分のアメリカ留学を通して感じたことと重なる部分もあって興味深かったです。

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写真4 イスラエル (見る景色全てがとても新鮮でした。)

このイスラエルへ留学するにあたっては留学するメンバー全員が特別の奨学金をいただきました。アメリカのcitizenshipを持たない私が奨学金を受け取るにあたっては他の学生とは異なるプロセスが必要であったのですが、丁寧に対応していただき、また、visaの問題についても先生やstudy abroad officeの方に気にかけていただきました。1年間の留学プログラムで来ているにもかかわらず、他の学生に交じって、こうして第三国に留学できるのは本当に幸せなことだと感じております。こういったことができるのもJICの方々が今まで築いてこられたイリノイ大学との関係からと思うと本当に感謝の気持ちでいっぱいです。いつもありがとうございます。

いよいよ折り返し地点に来たと思うと、なんだかまだまだやりたいことがたくさんあって毎日毎日が非常にもったいなく思っています。今学期は日本での自分の専攻にかかわりのある授業や、また、アメリカに来て興味の出てきた分野の授業もとることにしているのでさらに充実した学習ができるのではないかと期待しています。また前学期に新しく知り合った人たちとさらによい関係が築いていけたらと思っています。

柳 潤子