近藤千鈴さんの2010年10月分レポート

JICの皆様こんにちは。ご無沙汰しております、そしてはじめまして、2010年 度奨学生の近藤千鈴です。

日本では神戸市外国語大学で、国際関係学を専攻しておりました。イリノイ大学では、日本にいるときから興味はあったものの、履修 する機会がなかった文化人類学の勉強を中心に、こちらでしか取ることができない授業にも、積極的に挑戦していこうと思っています。

シャンペーンでは、10月になってもセーター一枚で過ごせるくらいの暖かい天気が続いていたのですが、10月最後の週になって急激に空気が冷たくなってきました。いよいよ冬がくるのだなと日毎に実感しています。と同時に、こちらに来て2ヶ月以上経ったと思うと、時の経つのが早いような意外に遅いような、不思議な気持ちです。生活に慣れてきたと同時に、ただ単に決まった日常を過ごすだけになってしまってはもったいないので、最近は初心を忘れずに、何でも吸収しようとする姿勢を保たなければと感じています。

写真1. Main LibraryからみたWrite Street。Labor Day の三連休だったので、校内に人があまりいませんでした。

写真1. Main LibraryからみたWrite Street。Labor Day の三連休だったので、校内に人があまりいませんでした。

寮について
私は現在、キャンパスの南東に位置する、Allen  Hallに住んでいます。もともと私は一人部屋・自炊環境を確保したかったためアパートを探そうと思っていたのですが、誰かと共同生活をするのも経験、と考え直し寮に入ることにしました。寮の選択にはずいぶんと悩みましたが、今は本当にここを選んで正解だったと感じています。
Allen Hallは、 他の寮に比べ学生の数は少ないのですが、小さいからこそのアットホームな雰囲気がとても気に入っています。地下の自習スペースにはいつも学生達が集まって 話したり勉強をしていますし、多くの人がドアを開放して部屋を行き来したりと、とてもオープンです。住んでいる学生達自身もAllenを気に入っているので、とても居心地の良い寮になっていると思います。
またAllen HallにはArtメジャーの学生が多く、実際さまざまなArtのクラスや、映画の上映会などが寮で開かれています。毎日のように、何かしら個性的なイベントやクラブ活動があるので、他の寮の友達にも「Allenって楽しそうだよね」とよく言われます。学期が始まって間もないある日、ルームメイトに「ダグテープゲームを見に行く?」と言われよく分からないまま着いていくと、全フロアのPA(プログラムアドバイザー)が壁にガムテープで貼り付けられていました。これはAllenの 毎年の恒例行事で、ガムテープだけで体を壁に固定し、滞空時間が長かったフロアのチームが勝ちという、突拍子もないゲームだったのですが、学生がみんな必 死なので、思わず私もテープを一緒に貼って参加しました。(その貢献のおかげかわかりませんが、優勝したのは私のフロアでした。)他にも隣のインディアナ 州で開かれる音楽祭への日帰りツアーや、ハロウィーンのゾンビ仮装&ダンスなど、個性的なイベントがたくさんあります。こういった様々な企画を運営する学 生の積極性に驚くと同時に、多くの機会に恵まれた寮生活を送ることができる学生を、少しうらやましくも思いました。
寮には中国人と韓国人を除けば留 学生はほぼおらず、基本的に現地のアメリカ人の学生が多いように感じます。そういった意味では、私は日常的にアメリカ人の学生と関わることができる環境に いるので、とてもありがたいです。とはいっても、猛スピードで交わされるアメリカ人同士の会話に加わるということまではできず、満足にコミュニケーション がとれないことがずいぶんフラストレーションになった時期もありました。正直なところ、今も話したいという自分の気持ちに英語力が追いついていない状況で すが、あまり気にしないように、たとえ話すことは少なくても、アメリカ人の学生はこんな会話をするのか、と楽しみながら聞くようにしています。実際、彼ら の会話の中で、日本の大学生との共通点や相違点を発見するのは、面白いです。

写真2.ダグテープで貼り付けられるPA

写真2.ダグテープで貼り付けられるPA
授業について
授業の選択にも非常に悩みましたが、今学期は人類学の授業を中心に、
Archaeology of Death、Sociocultural Anthropology、Intensive Elementary Spanish、Fundamentals of Actingの4科目13単位を履修しています。
授業の登録は、こちらに来る前に7月 ごろインターネットで行いました。留学生は登録の開始日が現地の学生に比べて遅いので、私が登録を行うときには、よい授業はほとんど埋まってしまっていて 焦りました。しかし実際は、学期開始後の一週間で多くの学生が授業をドロップするので、難なく希望した科目を取ることができ満足しています。
初めのうちは、慣れないインターネットを使った課題に戸惑ったり、リーディングにかなりの時間をとられたりしましたが、ここ1ヶ月くらいで、ずいぶん慣れてきたように思います。今回は履修している授業の中でも、特に人類学の授業についてお話したいと思います。
Archaeology of Deathに ついては、非常に面白いトピックだと思い、履修しました。人類学における死の研究というのは、死をめぐる概念上の問題を取り扱うのではなく、「誰かの死」 を社会的・文化的なイベントととらえ、そこに付随するさまざまな儀式的な作法や風習を、主に研究対象とします。死体のミイラ化や防腐処置などの話が続いた ときは、さすがに少しげんなりしましたが(笑)、授業自体は面白いです。講義では、課題のリーディングの詳細には一切触れず、トピックをもっと広い文脈と 結び付けたり、映像資料などを通して違った視点から考えさせられることが多いです。
Sociocultural Anthropologyは、 文化人類学の入門のような授業で、一般教養科目として履修している学生も多く見られます。授業では、まず文化人類学の成立の話から、その後の人類学の主要 な概念をめぐる議論が一通りとりあげられました。始めのうちはそういった理論的な話題が中心だったのですが、途中からエスノグラフィーも読むようになり、 入門の授業としては充実していると思います。また課題は、教科書ではなく実際に人類学者の書いた一次資料なども読むので、なかなか手ごたえのある英文のも のが多いです。私は自分の大学のことしかわかりませんが、日本では、重要な学者もその主論も、シラバスにまとまったものを理解し覚えるという形の授業が多 かったように思います。一方こちらのやり方は大変ではありますが、自分で時間をかけ理解する分、嫌でも知識が頭の中にまとまった形で蓄積されるような感覚 があります。日本でやっていた授業のやり方は効率的であるように思えるけれど、ひょっとしたらEasy Come Easy Goなのかもしれないな、と思いました。

写真3.Indiana 州で開かれたLotus Music Festivalにて。

写真3.Indiana 州で開かれたLotus Music Festivalにて

こちらに到着してから2ヶ 月、私は特に深刻なカルチャーショックにもホームシックにもかからず過ごしています。単純なことですがひとつには、アメリカに来て、向こうに自分の育って きた文化のやり方を期待するのは無理がある、という気持ちがあるからだと思います。日々の生活の中で、あ、これは日本ではしないだろうな、という言動に出 会うことがよくあり、多少戸惑うことがないわけではありません。でもそれがストレスになるというよりも、今はむしろその視野の広がる感覚、今まで当たり前 だったと思っていたことが実は違う、という発見を楽しんでいます。こういった経験も日本ではできないことのひとつです。学生のうちに、留学の機会を得るこ とができて本当に嬉しく思いますし、JICの皆様、また出発前に貴重なアドバイスを下さった先輩方には本当に感謝しております。ありがとうございます。11月には、シカゴとニューヨークにも行く予定ですので、またレポートでご報告できればと思います。JICの皆様もお体にお気をつけてお過ごしください。

写真4:10月末現在の様子

写真4:10月末現在の様子

神戸市外国語大学 外国語学部 国際関係学科3年
近藤 千鈴