川島今日子さんの7月分奨学生レポート

2006年度奨学生7月分レポートの第2弾は川島今日子さんです。ビジネスコンサルティングなどのmock meetingを通して、机上だけではなく実際のビジネス体験もできたようです。また地域と一緒に作る大学、大学が作って行く地域の面白さは、イリノイ大 学でしかできない体験だと言えますね。

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JICの皆様、こんにちは。私は、矢のような速さで過ぎたイリノイ大学での9ヶ月を終えて、5月末に帰国しました。6月の総会では簡単な帰国報告をいたしましたが、この最終レポートでは春学期の授業の様子とイリノイ生活のまとめを書きたいと思います。

*春学期*

課題の多さにも慣れた春学期は、勉強のペースを掴み、余裕を持って生活することができました。組織コミュニケーションのクラスでは、グループワークがあ り、最終授業でのプレゼンテーションが課せられました。これは、実在の企業の経営問題について企業内のコミュニケーションに焦点を当てて改善策を提示する という、ビジネスコンサルティングのシミュレーションのような課題でした。秋学期も複数のグループワークがあり、その時は話し合いを重ねるうちグループが 仲良くなり、ピザを食べたりしながら楽しく議論を交わせたのですが、今回は少し違いました。特定の3人しかミーティングに集まらなかったり、役割分担がス ムーズに決まらなかったりとうまく話し合いが進みませんでした。原因は仕事をもつグループメンバーに時間的制約があることや、メンバーのモチベーションに 差があることでした。しかし、やる気のある者ばかりが焦りを感じても、グループの士気は上がりません。そこで、メールや電話で密に連絡をとり、授業前後の 時間で小規模のミーティングを重ねました。最後にはグループの雰囲気が盛り上がり、夜の図書館でわいわいとプレゼン準備をしました。この授業で面白かった のは、実際のビジネス現場でのクライアントに対するプレゼンテーションを想定して、会社名やロゴを創り、全員スーツを着て、プロフェッショナルな振る舞い を心掛けるという点でした。私のグループは、クラスにリラックスして聞いてもらうためにコーヒーとドーナツを用意し、要点を整理して伝えるためにプレゼン の内容をまとめたパンフレットを配りました。結果的に私達のプレゼンテーションは成功し、教授からも最高の評価をもらいました。この課題を通して、グルー プコミュニケーションの難しさと楽しさを教科書の理論よりも実体験として学んだように思います。

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また、私がこの一年とても楽しんだクラスはタップダンスでした。タップダンスってなんだか面白そうという軽い気持ちで始めましたが、ダンスだけでなくその 歴史的背景や著名なダンサーについても学び、今ではアメリカにおけるタップの歴史・文化・芸術的価値を認識するようになりました。先学期は基本スキルとダ イナミックとソフトの2つのダンスをじっくり練習し、今学期は重心を下においた力強いシカゴスタイルを中心に新しいステップやダンスをたくさん教わりまし た。クラスメートのほとんどが経験者で、初心者の私は苦労しましたが、みんなが親切にサポートがしてくれて仲良くなれたことが大きな喜びでした。授業のま とめとしてインフォーマルパフォーマンスを行い、個人パートも全員ダンスもうまくいって、クラスの一体感を感じることができました。インストラクターは優 しく魅力的な女性で、私をいつも気にかけてくれました。最後に挨拶に行くと、「あなたが最初のクラスに来た日を思い出すわ。1年間すごく頑張って上達した ね」とおっしゃって、Big Hugでお別れしました。せっかくアメリカで触れたタップという文化を忘れないように、日本でも続けたいと思います。

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*キャンパスタウンの面白さ*

イリノイ大学と日本の大学では何が違うかと聞かれれば、私は「イリノイ大学は住んで学ぶ大学、日本の大学は通って学ぶ大学」と答えます。そして、私は大学 と都市機能が合わさったこのキャンパスタウンがとても好きになりました。学生がみなキャンパスに住んでいるということは、授業以外の時間もキャンパスで過 ごすということであり、学生が一緒に何かする機会が多くなります。学期末の図書館はグループワークや試験勉強に取り組む学生で溢れているし、キャンパスの バーは大きなビールジョッキを片手に話し込む学生で一杯です。大学のホールでミュージカルを観賞する人もいれば、カフェで甘いケーキをほおばる人もいま す。私はいつも学生で賑わっているキャンパスタウンの雰囲気が気に入り、今は授業後にそれぞれ電車で自宅に帰ってしまう日本の大学を物足りなく感じます。

また、キャンパスタウンではいろいろなイベントが催されていて、飽きることがありませんでした。大学のStudy Abroad Officeや各学生寮、様々な学生団体がいろいろなイベントを企画し、私たち学生はメールやチラシで情報を得て、興味のあるものに参加します。前回のレ ポートで書いたスカイダイビングもこのようなイベントの一つでした。他にもハロウィンにカボチャ畑に出掛けたり、スケートイベントに参加したりと、シャン ペーンにいる限り週末の予定が無いなどということありませんでした。それに加えて私的なホームパーティもあります。私はそこで新たな友人に出会ったり、初 めての体験をしたり、アメリカ文化を肌で感じたりと、有意義な時間を過ごしました。大学もそこに住む学生も、仲間と何か面白いことをしたい・新たな人と出 会いたいと考えて、積極的に行動します。このような無数の公的・私的なイベントを通してキャンパスタウンに活力が生まれているのだと感じました。

*アメリカの”まだらな”文化*

イリノイ大学には、そしてアメリカという国には、様々なバックグラウンドを持つ人々が一緒に生活しています。一口にアメリカ人と言っても、外見は千差万 別、各々の故郷も違います。みなが互いを100%好いている訳ではないでしょう。あるインド系アメリカ人の友人は、「僕の父は白人があまり好きじゃないん だ」と言いました。でも、この国のまだら模様の文化は、自分と異なる他者をたとえ好きとまではいかなくでも、受け入れる、または気にせずに共存する文化で す。東京では地下鉄に乗る外国人をそれとなく異質な目で見てしまうことがありますが、イリノイでは私のような日本人が一人キャンパスを歩いていても外国人 であるかアメリカ人であるかは意識されません。顔見知りになってから3週間も経ってから、「Kyoko, 日本人なんだ。知らなかったよ」と言った友人もいました。日本人として接してもらうことも嬉しいのですが、一人の学生として受け入れられることも、まだら 模様に馴染んだようで嬉しいと感じました。アメリカに暮らす人々の大らかな許容の精神は、私達も見習うところがあると感じました。イリノイで生活した9ヶ 月間は、私が日本人である自覚と、他の多様な文化の面白さと、文化を超えた人の交流の素晴らしさを教えてくれました。

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*イリノイ生活のまとめ*

帰国後、再会した旧友は、「アメリカの大学に行って何か変わったかなと思ったけれど、今日子は何も変わっていないね」と言いました。私自身、イリノイ大学 での経験を通して自分がどのように変わったのかとよく考えます。その友人の目に変わらないように映った様に、特別な変化はありません。でも、イリノイ大学 に行ったからこそ、アメリカ中西部の典型的なキャンパスタウンを知りました。英語で課せられるレポートを(ウーンと唸りながらも)こなせるようになりまし た。バーで注文するお酒の名前を覚えました。クリスマスカードを送りたい相手が増えました。こうした小さな変化の積み重ねは、私の視野を広げました。私は 留学以前から「海外に住む」ことに強い関心を抱いていましたが、「海外で勉強した」経験から、遠くない将来「海外で働きたい」と希望するようになりまし た。どこでどんな仕事をするかは、現在模索中です。

私は9ヶ月間のイリノイ生活で数え切れないほどの写真を撮りました。それは本当に友人にあきれられたほどです(笑) それらの写真は、鮮やかなキャンパス の四季と、友人と過ごした時間を思い起こさせてくれます。今イリノイ生活を振り返って感じるのは、人との繋がりがどれほど私を支えてくれたかということで す。「アメリカの学生らしいシャンペーンの楽しみ方」を教えてくれた友人達に感謝しています。涙で別れた世界中の留学生にまた会いたいと思います。一緒に スポーツをした仲間に、家族のように接してくれたイリノイのホストファミリーに、ウィーンの短期留学や個人的相談に対応してくれたStudy Abroad Officeの方々に、刺激を与えてくれたJIC奨学生の仲間に、感謝しています。イリノイで培ったたくさんの人との繋がりが、これからも切れることな く、また新たな出会いに繋がっていくことを願っています。

そして何より、いつも温かく応援してくれた家族と、この留学の機会を与えて下さったJICの方々に心から感謝しています。有難うございました。JICの多 くの皆さんにとってそうであるように、あのコーンフィールドの真ん中の美しいキャンパスで毎日を過ごした経験が、人生の大きなターニングポイントとなるよ う、しっかり将来に活かしていきたいと思います。

写真

1.グループワーク
2.タップダンスのパフォーマンス
3.キャンパスのバーにて
4.ダウンタウンのバーにて
5.快晴のQuadにて

川島今日子さんの2007年4月奨学生レポート

2006年度奨学生4月分レポートの第一弾は川島さんです。川島さんはイリノイでの毎日を、その自然や人々に溶け込みながら楽しみ、また北はカナダ、南はジャマイカまで足を伸ばしてきたようです。本当に日々学び、楽しむ貴重なすばらしい留学経験をしてきたようです。

JICの皆様、お久しぶりです。イリノイでは例年より春の訪れが遅いようで、3月に一度暖かくなったものの、4月に入ってからは冬に逆戻りしたような寒さ が続いています。それでも、咲き始めた花々のやわらかなピンクや、芝生の目に染みるような緑にすぐそこまで来ている春を感じます。もう少し暖かくなったら 外に飛び出して、友人と一緒にQuadの芝生で昼寝を楽しもうと思っています。

今回のレポートでは、Snow Day、Japanese Coffee Hour、Spring Break、授業とスポーツの4つについてご報告いたします。 (写真:キャンパスの木に咲く花)

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*Snow Day*

今年の2月13、14日はイリノイ大学で珍しいことが起きました!Snow Stormにより全学が2日間完全休校になったのです。大学の休校は1979年以来28年振りの出来事ということでした。積雪は約12インチで、風が強 く、まさに横殴りの雪。しかし、家でじっとしてはいられず、膝まで埋まるほどの雪を掻き分けてQuadへ行きました。そこでは解放感に溢れたたくさんの学 生が、それぞれにこの思いがけない雪の休日を満喫していました。私もSnowball Fightに参加してぐしょぐしょになり、雪に仰向けに倒れ込み手足をバタバタさせてSnow Angelを作り、最後はふかふかの新雪に飛び込んで全身雪まみれになりました。これ以上ないくらいに雪遊びを満喫した後は、みんなでコーヒーショップに 移動して温かいコーヒーを手にいつまでも話し込みました。

さて、イリノイは雪がたくさん降りますが、同時にどこまでも平坦な大地なのでなかなかスノースポーツができません。私はスノーボードが好きで、是非アメリ カでもやりたいと考えていたところ、嬉しいことに友人が声をかけてくれたので、台湾人と日本人の友人の5人でウィスコンシン州まで日帰りスノーボードに行 きました。小さなスキー場でしたが、山の上からの景色はきれいで溜息が出ました。初めてスキーを体験したという台湾人の友人もスキーは楽しいと嬉しそうに 話していて、とても充実した一日でした。私は実はこのスノーボード中に右膝を怪我してしまったのですが、McKinley Health Centerとその付属機関であるSports Wellness Centerから十分なケアを受け、早期に回復することができました。特にリハビリがしっかりしており、イリノイ大学の学生の健康に対する質の高いケアに 感心しました。 (写真:雪の日のQuadにて)
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*Japanese Coffee Hour*

今年もコスモポリタンクラブのJapanese Coffee Hourがありました。佐藤さん達もレポートの中で報告してくれると思いますが、少し触れておきたいと思います。事前に数人のアメリカ人学生から、「去年 のCoffee Hourはとても良かった。今年も期待しているよ」とプレッシャーをかけられ、今年もいい日本紹介ができるよう頑張ろうと思いました。

私たち奨学生以外の友人にも声をかけ、前日から佐藤さんを中心にみんなで料理を作りました。メニューは、おにぎり・雑炊・肉じゃが(ベジタリアンポットも 用意)・いんげんの胡麻和え・大福・麦茶です。佐藤さんと私は日本から持参した浴衣を着て配膳し、料理も衣装も好評でした!プレゼンは佐藤さん・西村君・ 私の3人で担当し、地理など基本情報、自然、文化に根付いた独特の宗教、伝統文化と現代文化などをテーマに話しました。会場では、日本の音楽を流したり、 国土交通省のVisit Japan Campaignのポスター掲示と資料配布をしたり、河手君が持参した書道セットを利用して書道体験コーナーを設けたりしました。書道コーナーは大盛況 で、外国人の学生に漢字名をプレゼントするととても喜んでもらえました。今年もJapanese Coffee Hourは大成功に終わりました。 (Japanese Coffee Hour)

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*Spring Break*

3月半ばの春休みには、日本から訪ねて来た母と一緒に、シカゴを基点に北と南を旅行しました。北はカナダのケベックシティ、南はカリブ海に浮かぶ国ジャマ イカです。ケベックシティはカナダの一部でありながらフランス語が公に話されることで有名ですが、街並みがとてもきれいで、通りに並ぶアパートのベランダ はまるでパリのそれのようでした。カナダは国旗にメープルの葉が描かれているように、メープルシロップの産地として有名です。今回の旅行はちょうどメープ ルシロップの収穫期に当たり、雪の上に煮詰めたメープルシロップを落として水飴のようにして食べるという有名なアトラクションを体験しました。飴が甘くて おいしかったのはもちろん、そこで出会ったフランス語を話すおじいさんと英語を話す私が、違う言語を話しながらも不思議とコミュニケーションをとれたこと が印象的でした。ジャマイカは想像した通り、明るくて陽気な人々の国でした。ジャマイカでは”No Problem!”が合言葉です。みんなニコニコして明るい太陽と豊かな自然に囲まれて楽しく生活しているという印象を受けました。ここでの有名なアトラ クションは「ダンリバーの滝登り」で、全長約180メートルの緩やかな滝を30人ほどのグループで一列に手を繋いで登るというものです。知らない人とも手 を繋いで助け合えば友達のようなもので、みなワーキャー叫びながらびしょ濡れになって登りました。日本からはあまり行かないような土地で新たな体験がで き、大変楽しい休暇となりました。 (写真:Quebec Cityにて)

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*授業とスポーツ*

今学期は5クラス履修しています。Media of Public Discourse, Intro to Organizational Communication, Economic Systems in Africa, Home Horticulture, Tap Dance2です。学期の初めに様々な授業を見学し吟味して履修登録したので、どれも興味深い授業です。特に、Economic Systems in Africaは、私の発展途上国の経済に対する関心と合致する部分が多く、毎回の授業で学ぶことが多いと感じます。また、前回のレポートで、授業の中で客 観的な質問・意見を出せるようにという目標を掲げましたが、Media of Public Discourseの授業にディスカッションセクションがあり、そこで実践中です。授業に積極的に参加しているとTAとも親しくなれるので、授業後も話が 弾んだり、課題について相談したりできることが嬉しいです。

先学期はスポーツと呼べるものはタップダンスの授業でしたが、今学期はそれに加えて週末にチームを作ってサッカーをしています。私は今までサッカーの経験 はなかったのですが、始めて本当に良かったと思います。授業や課題の気分転換になるということもあるのですが、なによりもスポーツを通した人との出会いが あります。新しい友人がたくさんでき、チームの戦術について真剣に話したり、他愛無い話に花が咲いたりするうちに、とても仲良くなりました。2月~3月に 行われた男女混合のIntramural Indoor Soccer Tournamentでは、みんなでひとつになって勝ちを目指し、結果こそ振るわなかったものの、とても良い思い出ができました。

スポーツと言えばもう一つ、私には去年の8月からどうしてもやりたいスポーツがありました。それは、スカイダイビングです。3月の末についにチャンスが訪 れて、イリノイの空高くから思い切って飛びました!からだ一つで空を飛ぶという、おそらく人生に一度の夢のような体験でした。着陸したのは、もちろんコー ンフィールドの真ん中です!

日々実りある体験をしているうちに、気づけばもう授業も残り一ヶ月となりました。春学期は秋学期の2倍のスピードで過ぎていくように感じられます。残りの時間でどれだけ多くを吸収できるか、自分に挑戦するつもりで頑張ります。 (写真:スカイダイビング)

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2006年度奨学生レポート 特別編「奨学生座談会」

「JIC留学生による座談会」

2006年度奨学生の方から座談会を行ったというお知らせが届きました。これから留学なさる方などは是非参考にしてみてください。

昨 年の12月9日にJIC奨学生4人(佐藤茉莉子、河手賢太郎、西村崇、川島今日子)で集まり座談会を開きました。アメリカへの到着時のエピソードや寮での 生活を中心に話しました。私たちの生活ぶりが少しでも皆様に伝えられれば幸いです。また、今後留学する人たちが役立てくれればと思います。

質問:渡米後最初のご飯はどこで食べましたか?

佐藤:夜ご飯をスキップして寝ちゃったの。夕方についてすぐに買い物に連れていってもらったんだけど。最初の日ですでにコスモ の人の良さに感動したかな。でも夜ご飯食べる元気はなくてそのまま寝ちゃった。

川島・西村:初日から買い物に連れて行ってもらえるなんて、さすがコスモ(笑)

西村:僕 は、みんなよりかなり早くシャンペーンに到着したよね。8月12日の夕方には着いていて、ISRという寮にしばらく滞在していました。最初の夕食は、グ リーンストリート沿いの、Zorbasというお店でギリシャ式のサンドイッチを食べました。最初に食べた時からそのお店は気に入っていて、今でもちょく ちょく通ってます。

河手:ユニオンに泊まろうとしたけれども部屋がいっぱいで、とりあえず途方に暮れました(笑)。
結局深夜0時ころタクシーを使って郊外にあるホテルに行き、45ドルも払って1泊しました。翌日はホテルの近くにあるレストランでご飯を食べました。目玉焼きとベーコンエッグとコーヒーおかわり付き。シンプルなアメリカン・ブレクファストでした。

川島:私はウィラード空港で韓国人のミンさんという女性に話しかけられて、車でキャンパスへ連れてきてもらい、グリーンストリートの韓国料理ドルカスでお喋りしながら食べたのが初めての食事です。

川島:ところで西村君、学部寮には到着した日から入れるの?

西村:ISRと言う寮にはtemoprary housingという制度があって、学期休み中でも予約すると泊まれます。

川島:いつ頃自分の寮に移動できたの?

西村:8月15日のオリエンテーションの日に移動しました。

佐藤:私は部屋を探すのが面倒くさかったから、コスモにしたのも結構あるかも。去年の人が大変だったって言ってたから。しかも私ドームフード食べたくない、太りたくないって思ってたし。

川島:コスモは住みやすそうね。

佐藤:本当にびっくりするくらい古いけどね(笑)

川島:創設約100周年だね。一階の壁に飾ってある写真も相当古い。

佐藤:部屋が広いのはいい。授業でバレエを取ってるから、毎日部屋でストレッチしている。

西村:寮の部屋だとストレッチする程のスペースがないよね・・・

河手:寮だと、ラウンジがあるじゃん。そこでストレッチしなよ。

川島:西村君がラウンジで黙々とストレッチねぇ…(想像してみる)。近づきたくないよね。

佐藤:ひどーい(笑)

河手:ブリッジなんてしていたらさらにひきますね。

佐藤:ところで河手君や西村君も最初コスモに入ろうとしてなかった?

河手:うん、考えていたよ。「昨年度はJIC奨学生4人がなかなか学部寮に入れずにいて、住まい探しに苦労した」って聞いていたからね。

西村:僕も河手君と同じ事を思っていました。ただ、コスモに入ろうか入るまいか躊躇しているうちに、佐藤さんに先んじられてしまって・・・(笑)

川島:私もコスモは良さそうだと思ったけれど、他のオプションも考えて迷っていたな。

西村:ただ、コスモに住むとなると自炊しないといけなかったからね。あんまり料理や食材の買出しに時間をとられたくないと思っていたので、正直僕も迷っていました。

佐藤:私にとっては自炊できるのが一番の理由で、とりあえずアメリカへ来て太りたくないと思ってたから(笑)。自炊できるところで、すごい安くて、しかも部屋が広いって前の年の奨学生の方が言っていたし、ついてすぐテンポラリーハウジングを探すのが嫌だったんだよね。

河手:なるほどね。それに昨年のJIC奨学生の甲田さんが強調していたけど、コスモに住むといろんな国の人と知り合いになれるよね。

佐藤:で もね、最初の頃全然人と出会わなくて・・・15人いるはずだったのに全然で出会わなくて、すごく寂しかったんだよ。基本みんなGradStudentだか ら生活の時間帯が合わなくて、みんな何してるの?どこにいるの?って思ってた。最近はみんなと仲良くなっていっしょにぶらぶらしてるけど。そうそう今は学 部生はミシェルと私の二人だけだよ。

西村:それにしても、3人が躊躇してる間に、佐藤さんにはいっと手を挙げられたから(笑)。僕ら3人はコスモはあきらめざるを得なかったよ。

川島:うん、誰かが手を挙げるかな、と思っていた。

河手:僕は「誰か住みたいだろうなぁ」と思って、結局、いちばん最後に残った選択肢でいいや、と思っていた(笑)

1: コスモとは「コスモポリタン・クラブ」の略で、毎年JIC奨学生から1人はお世話になっているアパートです。世界各国からの留学生と一緒に暮らせ、かつ校舎からも近いという点からJIC留学生から根強い人気を得ています。

佐藤:河手君が今住んでいるFARは最初から希望していたんじゃないの?

河手:FARに決めたのは、もともとJIC奨学生が作成したアドバイス集にFARが紹介されていたから、じゃFARにしようということで決めたんだ。すごくシンプル。結局、住居についてはこだわらなかったなぁ。とにかく住めればいいや、って(笑)。

佐藤:それにしても西村君はすごいよね。いつも下調べをして。

西村:住 む場所は特に大事だと思っていたので。寮に住むことはすぐに決めたんだけど、学部寮にするか院生寮にするかで散々悩みました。ここに来る前は、アメリカの Freshmanに対して、全員がparty好きでとにかくやかましいというように、今から考えれば偏見に満ちたイメージを持っていたので、自分の性格を 考えた時に、そういうところに混じってやっていけるのかどうか、ということが不安だったので。かといって、院生寮だと部屋に閉じこもってしまいそうだとも 思ってもいました。学部寮の中でも、特にLiving Learinig Communityというのは特殊なプログラムがあるということで色々見ていて、過去の奨学生の古川さんという人のレポートを読んでみても、開放的な雰囲 気で一番いいかなと思い、結果的にGlobal Crossroad(以下 “GC”)に決めました。

川島:Living Learinig Communityではどういうことをするの?

西村:ニュー スレターにも書いたけれども、要は文字通り「住みながら学ぶ」ということです。それぞれのコミュニティにはテーマがあって、Global Crossroadは国際交流がテーマです。他には例えば、Six packのGregoryにはLeadsというコミュニティがあって、そこにはリーダーシップを学びたい学生が集まってきます。また、コミュニティの人だ けが受講できる特別なプログラムもあって、例えばGlobal Crossroad(以下、GC)の学生が優先的に受けられる国際関係論入門があったり、あとは寮のSocial Eventが多かったりと、一般的な寮よりも充実した生活が送れていると思いますね。

佐藤:アパートに住んでいる川島さんは、どうしてアパートシェアをしようと思ったの?

川島:寮ではなくアパートを選んだ理由は、自炊がしたかったのと、去年の奨学生が秋学期は希望した寮に入れなかったと聞いて大学寮に対して不安があったから。キャンパスから遠いOrchard Downに住むことになったら、車が無いので困ると思って。

西村:それはやっぱり懸念したよね。去年のJIC奨学生の白水さんの場合は、最初Orchardを割り当てられたらしいし。それはないだろうということで、Illini Towerに変えたらしいので。

川島:一 人の空間も欲しかったから院生寮のSherman Hallも考えたけれど、部屋がとても狭いと聞いていたので躊躇。学部寮に関しては、年の若いFreshmanが多く賑やかでもあり騒々しくもあると聞い て、自分に合うかな?と考えて。アパートシェアは日本ではあまりやらないし、アメリカらしい経験ができると思ってアパートを選択しました。

佐藤:コスモは一人部屋だからいいなー、って思ってたよ。

川島:ア パート探しは、UIUCのStudy Abroad Officeウェブサイトの掲示板を利用したよ。これは部屋を貸したい人と借りたい人が連絡をとるための掲示板。「一年間のルームシェアを探しています」 というメッセージを出し、何人かとe-mailで交渉して決めました。今はグリーンストリートの少し北のアパートを3人でシェアしていて、個人のベッド ルームがあり、キッチン・バス・トイレが共同。大学寮もイベントがあって楽しそうなので、来学期に移ることも考えたけれど、アパートをサブリースする相手 を探すタイミングを逃してしまって。でも、「住めば都」で落ち着いてきたので、この選択も良かったかなと思っています。

佐藤:それにしてもイリノイ大学に来るまでどの寮がいいかとかイメージが全く分からなかったよね。どの寮がどこにあるかとかも、地図を見ても見当が付かないよね。

川島:私 は、ハウジングについて、事前にもう少し詳しい情報を集めるべきだったと思う。例えば各大学寮の特徴や利点、おおまかな地理関係など。工学部の授業は Quadの北、自然科学系ではQuadの東や南、人文系ではQuadの南が多いよね。もちろん必ずしもそうでないこともあるけれど、授業のある建物や自分 がよく利用する建物と住まいが近いと、特に寒い冬は助かる。私は最近CRCEをよく利用するので、目の前にある学部寮のAllen Hallが羨ましい!そういう情報は過去のJIC奨学生に聞けば快く教えてくれるはず。

質問:みなさんは来年住むならどこに住みたいですか?

佐藤:次に住むとしたら、やっぱりコスモだな。インド料理食べたし、タイ人とタイカレーを作ったし、アメリカ人に教えてもらいながら、キャロットケーキを作ったり、インド人と一緒に映画を見たりとか。コーヒーアワー もあるし。

西村:GCの場合は時間帯にもよるけれども、会話をせずにどこかに行くことが不可能というくらい、誰かと顔をあわせるかな。

佐藤:そういうところがいいよね。コスモはみんな自立してるから。喋ろうと思えば喋れるけど。

西村:英 語の練習という点から言うと、瞬発性が鍛えられるのは、GCかな。もしこの一年間を経た後でまた住みたいかと聞かれたら、多少考えるけれども、(英語の運 用能力などが)去年と同じ状態で部屋探しをしろと言われたら、やはりGC になるだろうね。と言うのも、今学期とった社会学のAdvacnced Classでは毎週2,3本の論文を読まなければならなくて、他の授業でももちろん大量の宿題があったから、どちらかといえば部屋に閉じこもる時間が多 かったわけです。でもそういう中でも、誰かと話すちょっとしたきっかけが作れる環境に住んでいたのは、とてもありがたいことだと思ったから。 Sherman Hallの廊下を見たことがあるけれども、気軽に人と交流していくのは少し難しいかなと思ったし。学部寮には食堂もあるから、誰かを誘って食事にいくこと もできるしね。ちなみに、ダイニングホールのご飯はすごくおいしいと思います。ただ、さすがに朝食は飽きてきたけど(笑)。

河手:食堂はバイキング形式なので、「肉料理はあまり食べないようにしよう」とか「野菜中心の献立にしよう」とか自分で決めることができる。つまり自分の体を自分でケアできる。そこがいい!

西村:そうだね。アメリカへ来て思ったことのひとつとしては、こちらではベジタリアンが多いということ。だから、食堂では野菜がしっかり揃っているよね。

河手:寮での食事の利点は、食事を作る手間が省けることと友人と一緒にご飯を食べられることに尽きる。買い物に行かなくてもいいし。時間が節約できれば、その分はアサインメントをこなしたり、ソーシャルライフを楽しめるよね。

佐藤:コスモでは住んでいる人の国籍が違うから、一緒に買い物に行くときはみんな違うものを買ってそれがおもしろい。インド人の棚にはいろんなスパイスがあるんだよ。アフリカ人の人とかも結構ご飯を作っていてびっくりした。ご飯はアジアのものだと思ってたから。

西村:川島さんは来年住むとしたら、どこに住む?

川島:コ スモやGCで住みながら知り合いを増やせるのは魅力的。アパートではネットワークが広がらないので。または仲の良い友達と4・5人でアパートをシェアする のも楽しいと思う。同じアパートの4階に住む友達は、女の子5人で住んでいて、遊びに行ったら賑やかですごく楽しそうだった。

佐藤:私は、グレゴリードライブにあるアパートに1回行ったことがあるんだけど、すごくきれいで、住みたいと思った。だから1年いて、来年も住むんだったら、仲が良い子ときれいなアパートに住みたいな。

川島:こ ちらに住んでいればきれいでリーズナブルなアパートを見つけるのは可能だけど、私のように日本からインターネットに頼ってそれを探すのはとても難しい。実 際に部屋を見ないと様子が分からないから。私のアパートは入居当初は掃除が必要な状態で、日本から持ってきた雑巾が活躍しました。

佐藤:私は甲田さんが残していってくれた掃除道具を使ったよ。でもあとから親に掃除機買ってもらったけど(笑)。来年来る人にコスモポリタンなら薦めるけど空きがあるか分からない。

河手:僕 はFARを薦めるね。FARは共通のロビーをもつ二つ大きなビルで構成されていて、一つの階に約40部屋。一つの部屋に二人は入っているから、一つの階に 80人前後はいる。そして二つの建物にはそれぞれ12フロアあるから、合計でFARだけで約1920人の学生が住んでいる。朝授業へ行くとき、夕方寮に 戻ってくるとき、1階にある食堂に行くときなど、一日のうちで何度も通るロビーでは毎日一人か二人の友人とは顔を合わせるよね。そして知り合いが知り合い を生んでいくから、ロビーに行けば話し相手が必ずいるよね。待ち合わせ場所にもぴったりだし。
他の寮見れば分かるんだけれども、例えばSix Pack。1500人~2000人は住んでいると思うけど、共通のロビーがなくて、2階建てくらいの一つ一つの建物の廊下が直接外に通じているから、FARのようにはいかないだろうね。

佐藤:自炊もすごい楽しいよ。

2: コーヒーアワーとは、コスモで毎週木曜夜に催されるソーシャルイベントのことです。ある国をテーマにその国に関するプレゼンや料理を楽しむことができます。

質問:ルームメイトとの関係は?

河手:人によると思うけれども、僕の場合はルームメイト以上に、同じフロアの友人と一緒に過ごすことが多いよ。

西村:僕 の場合も、(ルームメイトはただの)共同生活者という感じですね。僕のルームメイトはオランダからの交換留学生でEelcoという名前なのだけど、 Outgoingなタイプの人間なので、そもそも一緒にいる時間もないので会話もあまりありません。最近は、特に感謝祭休みが終わってからは、彼女をほぼ 毎日連れてきては一緒に映画を見たりいちゃいちゃしてたので、さすがにこの前に堪忍袋の緒が切れて、散々文句を言いました。まあ、半ば予想していた通り、 彼はI did not know you were frustratedと言ってくれましたが。文化の違いを感じて、いい経験でした(苦笑)。

佐藤:そ うそう、関係ないけどさ笑、あたしブラックコーラスでできた友達とfacebookでけっこうつながってるのね。そしたら一緒に住んでるドイツ人の女の子 から「まりこはすごいね」って言われたの。珍しいのかなぁ、これって。でも確かに、黒人の子とは、ブラックコーラスを取ってなかったら友達にならなかった かもしれない。

西村:僕も黒人の友達はあまりない。

河手:黒人の友人なら授業や課外活動を通して知り合う機会が多いね。意識的に作った方がいいと思うよ。黒人はお互いbrotherhoodとも呼べるような固い紐帯でむすばれているみたいで、一人と友達になればどんどんネットワークが広がっていく。

川島:私は、履修した授業のせいか、比較的黒人の学生と出会う機会が少ないかもしれない。

佐藤:分かんないけど、なんとなくアジア人との方が交流しやすくない?

西村:アジア人かどうかではなくて、要は気が合うかどうか、という気がする。アジア人はアジア人で固まってるけど、黒人は黒人で固まっている。一人と友達になれば広がっていく気がする。

川島今日子さんの2007年1月奨学生レポート

今イリノイ大学に留学中の川島今日子さんから、2回目の奨学生レポートが届きました。川島さんはフロリダ半島でサンクスギビングを過ごしたり、ウィーンへの短期留学もしたりと、留学を字存分に楽しみ、そして成長しています。その活躍ぶりをご覧ください。

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ICの皆様こんにちは。この冬は例年に比べて暖かいと言われているイリノイですが、12月以降雪の降る回数も多くなり、今朝も窓の外は真っ白です。1月半 ばから”春”学期がスタートしましたが、うららかな春はまだ先で、しばらくは厚いコートに帽子と手袋の季節が続きそうです。

今回のレポートでは、<サンクスギビング休暇>、<学期末試験と友達との別れ>、<ウィーンへの短期留学>についてご報告いたします。

*サンクスギビング休暇*

11 月末のサンクスギビング休暇を利用して、フロリダへ旅行しました。まずマイアミとキーウェストを自分で観光し、その後タンパに住む友人を訪ねました。マイ アミでは、白い砂浜のビーチで昼寝をしたり、アールデコ地区のパステルカラーの町並みを見たりとのんびり過ごしました。滞在したユースホステルでメキシ コ・ロンドン・カリフォルニアなどから来ている女の子達と出会いました。ロンドンからの2人組の女の子は長期休みを利用して1ヶ月以上かけてアメリカ全土 を旅しているそうで、大きなバックパックが逞しく、たくさんの美しい風景を見たと聞いて羨ましく思いました。アメリカ本土最南端の島キーウェストへは、大 西洋とメキシコ湾とを二分するオーバーシーズハイウェイで行くのですが、その道中の楽園への架け橋と言われるセブンマイルブリッジが印象的でした。島では キーウェストを愛した作家アーネスト・ヘミングウェイの家へ行ったり、海辺のレストランのテラスで名物のカキフライサンドイッチを食べたりと、南国の雰囲 気を満喫しました。

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タンパでは2005年の夏に英国・ケンブリッジ大学のサマーコースで知り合った、フィリピン系アメリカ人の女の子Vanessaの家にお世話になりまし た。この港町はNYヤンキースのキャンプ地としても知られています。タンパに着いた日の夜は、Vanessaが「キョウコのために用意したサプライズ」と 言って、同じくケンブリッジで知り合った男子学生のTonyとのディナーをセッティングしてくれていました。3人で再会を喜び、近況を報告し合いました。 11月23日のサンクスギビングデイ当日は、Vanessaの親戚が一同に介して、ターキー・ハム・マッシュドポテトをはじめ、フィリピンの伝統的なヌー ドルなど、食べきれないほどの料理を囲んで賑やかにお祝いをしました。初対面の私のことを「日本からの特別なゲスト」と言って、家族のように歓迎してくれ ました。フロリダの明るい太陽と親切な人々に触れて、気力を満タンに充電して帰ってきました。

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*学期末試験と友人との別れ*

サンクスギビングが終わると、もう学期末が迫っており、期末レポート・試験の準備で寝る間もないほどでし た。中でも、International Communicationの授業のグループワークにかなりの時間を割きました。「地球温暖化に関する各国の報道比較」がテーマで、他の6人の学生と図書 館やUnionに連日集まって何時間も議論を交わしました。このグループワークを通して、真にアメリカ人の学生と議論することができ、また長い時間を共に 過ごしたのでメンバーとは大変仲良くなりました。満足いくプレゼンテーションとレポートが仕上がったのですが、全て終わったときは皆嬉しいと同時に少し淋 しい気持ちさえ感じていました。

さらに、親しくなった留学生の中には学期末で帰国してしまう友人が何人もいて、別れの時は本当に淋しかっ たです。たった4ヶ月間ですが、笑い合ったり、悩みを聞いたり、一緒にパーティに行ったり、時には愚痴をこぼし合ったりと、随分といろいろなことを話して きた友人です。UIUCで一緒に過ごしたことを忘れず、お互いの国を訪ね合おうと約束しました。外国に友達ができると今まで”外の”国だったその国がぐん と身近に感じられます。こうして、私の中で世界がまた少し小さくなりました。

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さて、冬休みにはイリノイ大学の短期留学プログラムのひとつに参加し、オーストリア・ウィーンで約3週間勉強しました。これは勉強という意味でも新たな体験という意味でも、予想以上に貴重な体験になりました。

私 のコースのテーマは、「ウィーンの文化的多様性・統一性とグローバリゼーション」で、中欧の歴史、国際社会におけるオーストリアの役割(EUや国連)、現 代オーストリアの移民問題、またこれらとグローバリゼーションの関わりなどでした。ただ歴史をなぞるのではなく、過去の事例から現代の私達が何を学べるか に重点が置かれ、昨今のイラク戦争とイラクにおける国づくりの話題も議論されました。午前は授業、午後はコーステーマに関連したエクスカーションまたは自 由時間に当てられます。エクスカーションでは、教会・宮殿・国会・難民生活支援施設・国連などを訪れました。また週末にモーツァルトの故郷ザルツブルグへ 行きました。これもただの観光ではなく、ザルツブルグセミナーと呼ばれる、世界各国の学生が集まって1週間毎に様々なテーマについて勉強する施設を訪れ、 刺激を受けました。ウィーンでの自由時間には、美術館やカフェでウィーンの文化を感じたり、市場や蚤の市で買い物をしたり、友人とオペラを観に行ったり (立ち見は3.5ユーロという安さ!)しました。そして、年越しもまた特別でした。日本で紅白歌合戦が放送されている頃はアルプスの麓でのハイキングを楽 しみ、夜には中心街でのシルベスターという年越しイベントに出向いて、たくさん出ている屋台で温かいワインを飲みつつ新年を迎えました。

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今回の短期留学では、大学1~2年時に学んだドイツ語を役立てることができました。というのも、オーストリアでは予想に反して英語の通じないことが多かっ たのです。私の拙いドイツ語でも、カフェでの注文や市場での値段交渉などの場面でコミュニケーションツールとして役立ち、嬉しく思いました。

私のグループは26人の学生とウィーン在住の教官でしたが、3週間のあいだにとても仲良くなりました。いつもアメリカ人の学生と行動するので、真に英語漬 けの環境の中で、英語力も向上しました。また、アメリカの外で「外国人としてのアメリカ人」がどんなことを考えるのかを知ることができ興味深く思いまし た。友人達は初めのうち、食べ物が違う、英語が通じない、支払いの仕組みがわからない(チップの小銭をテーブルに置いてしまい、笑われたことがありまし た)など習慣の違いに戸惑っているようでした。ある日ついにマクドナルドへ行った時、友人達は慣れたアメリカンフードを前にとても嬉しそうでした。教官は 学生のことをよく理解してくれる素敵な先生で、学生は皆教官が好きになりました。最終日には全員で木箱に入ったウィーンの有名なケーキ・ザッハートルテに サインをして、翌日が誕生日であった教官にプレゼントしました!日本語と英語で名前をサインしたら、友人達にすごーいと感心され、教官も漢字のサインに目 をとめて「ありがとう」と言ってくれました。

歴史に重点をおいた国際関係の授業は初めてで、出発前の11月・12月にも、また現地でも読まねばならない文献や提出課題が多く大変でしたが、一方で新しい分野に興味をもつことができとても充実した時間でした。

私 の留学生活も早いものでもう半分が過ぎました。先学期の始まりは右も左も分からない手探りの日々でしたが(本当にキャンパスマップは手放せませんでし た!)、今学期は英語・授業を含めイリノイ生活全般に慣れ、気持ちに余裕があるように思います。冬休みが明けて、キャンパスですれ違う友人達と「久しぶ り!冬休みはどうだった?また一緒にご飯食べようね」と声をかけ合う時、私はもう5ヶ月前のStrangerではなく、イリノイ大学というコミュニティの 一員なのだと実感します。今学期の目標は、授業を受けるだけでなく、より主体的に参加することです。先学期は授業内容を理解することで満足してしまう傾向 がありましたが、もう一段階進んで客観的な質問や意見を出せるようにしたいと思います。この機会に是非、アメリカで重要視されるCritical Thinkingのスキルを身に付けたいです。

残りの4ヶ月もあっという間に過ぎていきそうですが、毎日を充実させるよう頑張っていきます。JICの皆様、これからも宜しくお願いいたします。

川島今日子さんの2006年11月奨学生レポート

川島さんからも11月分のレポートが届きました!なかなか慣れない授業に奮闘しつつ成長していく姿は、なつかく思われますね。タップダンスやカメラマンとしてのボランティアなど見所たくさんあるので、お楽しみください。

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JICの皆様お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。早いものでイリノイに来てからもう3ヶ月半が経ち、季節も陽射しの照りつける夏から紅葉の秋へ、 そして澄んだ空気の初冬へと変わりました。この間、忙しいながらも、中身のぎっしりと詰まった充実した日々を過ごしてきました。今回はその中か ら、<housing>、<授業>、<ボランティア>、<シャンペーンでの生活と友人>についてご報告 したいと思います。

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*Housing*

私は大学寮ではなくオンキャンパスのアパートを、他の二人の学生と借りて住んでいます。これは近年のJICの奨学生の 方々の中では珍しい選択のように思います。アパートを選んだ理由は、自炊がしたかったことと、自分のベッドルームを持ちつつも他の学生と一緒に暮らすとい う体験がしたかったことです。出発前に、Study Abroad Office HPの掲示板でアパートをシェアしたいという人を探しました。相手もアパートも見ずに、1年間の滞在先を決めるのは多少不安ではありましたが、シェアメイ トとe-mailやメッセンジャーで話し、信頼して決めました。シェアメイトは台湾系アメリカ人の学生二人なのですが、お互いの料理(中華料理・日本料 理)に興味をもって話をしたり、台湾でも人気のJ-popの話で盛り上がったり、冗談を言い合ったりと仲良く生活しています。当初は私が日本語を教え、代 わりに中国語を習うという約束をしていましたが、お互い忙しさにかまけてこの語学レッスンを忘れていたので、これから実践していこうと思います。まだ雪が 降っていないので、キャンパスを自転車で駆け抜ける毎日です!

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*授業*

今学期は、Public Speaking、International Communication、Intro to Advertising、Community Health Organizations、Tap Danceという5つの授業を履修しました。

Public Speakingは以前の奨学生の皆さんからも推薦されている授業です。この授業では、話す内容を適切にリサーチすること、論理的で分かりやすい文章を書 くこと、聴衆に向けてスピーチを展開すること、という3つのステップを体系的学びます。今までスピーチの手法について学ぶ機会はなかったので、大変新鮮で あり、また能動的に授業に参加できる喜びがあります。毎回最も苦労するのがスピーチテーマを選ぶ段階ですが、それはアメリカ人の学生も同じようです。彼ら がどんなテーマを選ぶかも、大変興味深く、アメリカの学生の興味や問題意識を知る良い機会となっています。例えば、警察の職務質問における人種差別問題に ついて、軍隊での女性進出についてなど、日本人学生とは異なったテーマ設定が多く見られます。先日、スピーチをした後でクラスメイトからもらったコメント カードを少し緊張しつつ読んでみると、「テーマが面白い」「論理的でわかりやすい」「アイコンタクトが上手」「納得させられた!」など予想以上にたくさん 褒めてもらい、感激しました。まだ課題もありますが、スムーズで説得力のあるスピーチを目指して、残る1つのスピーチを頑張りたいと思います。

International Communicationでは、南北問題を初めとする国際社会の課題をコミュニケーションの視点から議論します。授業は進度が速く、リーディングの量も 多く、また私に基礎知識があまりないため、苦労していますが、扱う内容が大変面白いです。グループワークもあり、アメリカ人の学生達と図書館で頭を突き合 わせて議論しています。中間レポートと格闘していた時、ふと理系学部で学んできた私が今は、情報化社会と発展途上国の主権の問題について英語でペーパーを 書いているという事実に自分で驚いたものでした。今まで学ぶ機会のなかった分野を新たに身につけている実感があり、確実に視野が広がりました。

週 2回のTap Danceの授業は、リフレッシュできる楽しい時間です。初級者向けクラスとは名ばかりで、20人のクラスメイトのうち初心者は私を含めて3人だけでした ので、最初は心配でしたが、クラスメイトが本当に親切にわからないところを教えてくれます。また毎回早めに行って質問しながら自己練習をしているため、イ ンストラクターとも親しくなれました。このクラスの中でTap Danceは、様々なダンスの要素を取り入れてアメリカで生まれたダンスであり、アメリカが誇る貴重な文化だと知りました。

私の日本での 専攻は薬学と経済学ですが、イリノイ大学では、あえて専門外で興味のある分野を幅広く学びたいと考えました。現在は、今学期の授業と下記のテレビ局でのボ ランティアを通して、メディアとコミュニケーションに興味を持っています。来学期もこれに関する科目を履修する予定です。もちろん、Tap Danceも続けます!

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*ボランティア*

私は時々WILL TVというローカルテレビ局でボランティアをしています。このボランティアは佐藤さんに教えてもらいました。キャンパスにあるテレビ局で小規模ですが、私 にとってはスタジオも機材も初めて見るものばかりで面白いです。ボランティアといっても、生放送番組の制作を見せてもらうのが主です。しかし先日は、実際 にIllinois Gardenerというガーデニングに関する30分間の番組でカメラマンをやりました。私の操作するカメラの映像がライブでオンエアされているので緊張し ましたが、とても貴重な体験でした。また、11月のアメリカ中間選挙前には、Election 2006という関連番組の撮影を見る機会がありました。これは立候補者や有識者を呼んで政策について議論し、電話で視聴者からの質問も受ける番組です。ス タジオでは司会者とゲストとの議論が白熱し、コントロールルームではディレクターがスタッフにどんどん指示を出して番組を作り上げていきました。本当にエ キサイティングな制作現場を見ることができ、勉強になりました。さらに、このテレビ局の多くの仕事を学生が担っていることに驚きました。私が見せてもらっ た生番組のスタッフも、ディレクター他数人の責任者を除いては全て学生で構成されています。

もう一つ私が携わっているボランティアは、大 学のクラナートセンター(コンサート、演劇などの多目的施設)での案内係です。クラナートセンターには学生に限らず一般の方も多くいらして、バレエ「くる み割り人形」やオペラ「フィガロの結婚」など質の高いパフォーマンスを楽しんでいます。案内係にはそれぞれ座席が与えられ、無料で(!)鑑賞できるので大 変楽しめます。今では、お客さんに”Welcome!” ”Hello!”とにっこり微笑んで声をかけることも板に付いてきました。こちらもKCSAという学生組織と一般組織の連動で運営されています。

こ れらテレビ局やクラナートセンターの例に限らず、イリノイ大学では多くの組織に学生が積極的に関わっていると感じます。キャリアセンターの履歴書の書き方 に関する説明会に行けば学生がプレゼンをしてくれますし、レポートに関するアドバイスサービスも学生がやってくれます。クオッドでは、募金を呼びかけた り、Krispy Kremeのドーナツを売ってファンドレイジングをしたりする学生団体を毎日のように見かけます。学生のボランティア精神もさることながら、それをサポー トする社会や大学の体制も確立されているのだと思います。学生が様々な活動に携わる機会が用意されていて、自ら能動的に動けば多様な体験ができるのです。 この点は、私が経験してきた受動的で社会との関わりの希薄な日本の大学生活とは異なっていると感じています。

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*シャンペーンでの生活と友人*

私は高校時代にオハイオ州で一年間ホームステイをした経験があるので、アメリカでの生活は二度目です。 シャンペーンはトウモロコシ畑の真ん中あるいはMiddle of nowhereとよく言われますが、以前私の住んでいた地域に比べるとまったく不便ではありません。徒歩圏内にお店がある!バスシステムがある!!空港も ある!!!シカゴのような大都市からは少し遠いけれど(LEXで3~4時間)、典型的な中西部の生活と充実した勉強環境を満喫しています。

し かし、ここで一番大切に感じるのは、やはり人との出会いです。今シャンペーンで私の周りにいる全ての人が、8月から今までに新しく出会った人なのだと考え ると、なんと密度の濃い時を過ごしてきたのだろうと驚かされます。親しくなった友人のうち何人かは秋学期だけの留学生で、12月末には帰ってしまうので、 とても寂しいです。過去の複数の留学経験から、離れている友人とのKeep in touchの実践は口でいう以上に難しいと感じていますが、ここで培った信頼関係は長く続けていきたいです。そして、これからの更なる出会いに期待して、 たくさんの素晴らしい人間関係を築きたいと思います。

ご報告したいことがたくさんあり、いくらでも書けてしまいそうです。冬休み にはイリノイ大学の短期留学プログラムでウィーンへ行って勉強してきますので、次回はそれも含めてご報告いたします。この貴重な留学の機会を与えて下さっ ていますJICの皆様、イリノイ大学関係者の皆様に心から感謝しております。そしていつも支えてくれている家族とたくさんの友人へ、ありがとう。
これからも、新たなチャレンジと今しかできない経験を通して成長していく姿をどうぞ見守っていただけますよう、宜しくお願いいたします。

 川島 今日子
東京大学経済学部経済学科3年

(東京大学薬学部を卒業後、経済学部へ学士入学いたしましたので、前回と所属が変わりました)

2006年度奨学生 川島今日子さんの自己紹介

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JIC の皆様、はじめまして!2006年度の奨学生として学ばせていただけることになりました川島今日子です。このたび、アメリカ・イリノイ州に住み、イリノイ 大学で学ぶ機会を頂くことができ、大変嬉しく思います。私は現在、東京大学薬学部の4年生に在籍しています。薬学部といっても、実験科学系ではなく社会科 学系の研究室に所属しており、医薬品の適正使用やインターナショナルヘルスの問題について学んでいます。

 

私 は高校1年時に、ホームステイをしながらオハイオ州の公立高校に通った経験があります。アメリカの一般家庭生活での体験は、大変思い出深いものになりまし た。この経験以後、日本の外に飛び出して多くの人と意見を交わしてみたい、様々なバックグラウンドの人が集まる海外の大学で学んでみたいと考えるようにな りました。そんな折、この留学制度を知り、「チャレンジするしかない!」と応募いたしました。

日 本の大学では、自分の専攻について狭く深く追求するという毎日ですので、イリノイ大学では、現在の専攻にとらわれず、幅広い授業を履修したいと思います。 またそのようにできるのが、JICの制度の大変魅力的な点だと思います。具体的には、スピーチコミュニケーションや、ジャーナリズム、国際関係などに興味 をもっています。また、可能であれば、インターンシップにも挑戦したいと考えています。
以 前友人に”Everything is up to you. It’s you who can make the best of the experience.” と言われたことがあります。今回幸運にも得ることのできた1年間を充実した、忘れられない経験にするために、「自ら積極的に動き、何でも吸収し、思い切り 楽しむこと」を目標にしました。学業に限らず、アクティビティやパーティにも参加し、たくさん友達をつくり、充実したアメリカンライフを送りたい!と思い ます。

小瀬垣綾子さんの2000年9月分レポート

JICの皆さん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?現在イリノイ大学に奨学生として留学している小瀬垣彩子です。ここ数日少し寒さが和らいで、とても素敵な天気です。陽の光と赤レンガの建物と木々とその影が、見惚れてしまうほど美しい光景を創り出しています。

Champaign- Urbanaに来てから早いもので一ヶ月半が経ちました。到着してからは毎日のように手続きに奔走し、こちらのビルからあちらのビルへと地図を便りに移動 し、方向音痴の私として道に迷わないようにするだけで精一杯でした。親元を離れる度に極度のホームシックに悩まされる私も、忙しさの為か、わずか2,3日 で回復することができました。

授業の履修申告ほど、精神的にも肉体的にも追い詰められるものはありませんでした。私はジャーナリズムの授 業を中心に履修しようと思っていたのですが、予定していた授業は見事に全て埋まっていて、後は教授、講師、Departmentとの交渉次第と言われまし た。毎日のようにCollege of Communication に通いました。受付の女性に、ジャーナリズムの授業はアメリカ人の学生からの需要も非常に高く、必修科目は、専攻ではない学生にはどんなに頼まれても絶対 に取らせないと、けんもほろろに追い返されました。諦めきれずに、授業の最初の日に直接先生に訊ねたら二つ返事で履修を許可されました。不思議なシステム です。結果的に、ESL以外に、History of Communication, Culture and Social Foundation of Mass Media, Internatinal Reporting and Foreign Correspondent という授業を現在履修しています。

コミュニケーションの授業は思っていたよりも非常に哲学的です。今まで 私が履修してきたコミュニケーションやメディアの授業は、インターネットから始まるこれからのメディアの姿、主にテクノロジー面に焦点が当てられていまし た。しかし、History of Communication, Culture and Social Foundation of Mass Mediaという授業は共に、過去のメディア・コミュニケーションがどのように発展してきて今後どのように変わっていくのか、と体系的に学びます。コミュ ニケーションやメディアという言葉の捉え方も非常に広義であり、私たちが通常頭に思い浮べるテレビやインターネットの他に、人や物の移動、言葉そのもの、 広告なども含みます。そして、テクノロジーが私たちの文化や精神にどのような影響を与えるのか、反対に文化や精神はテクノロジーの発展にどう関係するの か、という事を追っていきます。 International Reporting and Foreign Correspondentはその名の通り、自分が実際に派遣記者になったという設定で、外国(もちろんアメリカにとっての外国)のリポートを行います。 第一回目の課題は、国のオーバービュー的なリポートだったのですが、ジャーナリストになったかのような実践的なリポートは、書いていてとてもわくわくしま した。この授業の教授はThe Chicago TribuneのForeign Correspondentだったということもあり、ベトナム戦争、東京ローズなど自分の目撃した歴史を活き活きと語っ てくれます。非常に興味深く、授業である事を忘れてしまうほどです。

絶対に不可能だと思っていたルームメイトとの寮での共同生活は、想像を遥かに裏切って快適です。この小さな部屋にプライバシーが存在しているということに驚いています。寮生活において、食事以外は不満は全くありません。

パ ソコンのトラブル、学費のトラブル、と次から次へと降りかかってくる問題も全てクリアし、今は穏やかな生活が続いています。しかし、充実感は日本の大学と は比較できないほどです。一ヶ月半という短い時間ながらも既に得たものは非常に大きいです。残りの日々の中で、何が起こり、どんな人と出会い、何を感じる 事ができるのか、とっても楽しみです。今後のレポートの中で、そんな心動かされる瞬間を少しでも皆さんにお伝えできればと思っています。

2000年9月28日
小瀬垣彩子