大田祥子さんの2002年5月分レポート

jicmlメンバ各位,

古市 (’92-94 MS in Computer Science)です.

2001年の秋学期からJIC奨学生としてUIUCへ留学中の大田 祥子さんからのレポートが届きましたので,皆さんにフォワードします.

大田さんは春学期でフィールドワークを中心とした授業を取り,日本では経験できない貴重な体験をされたように思います.留学生活もあと残すところ夏学期のみとなりましたが,悔いのないように,米国での生活を満喫されることを期待してます.

以上.

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2002年 5月分レポート
大田 祥子
奈良女子大学大学院 2年
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JICのみなさま、いかがお過ごしでしょうか。早いもので、春セメスターも終わり、そろそろ夏がやってきそうな気配です。まだ気候は安定しませんが、晴れた日にはクワッドの緑が鮮やかです。今日は期末試験が終わって最初の日曜日。久しぶりにのんびりと過ごしています。

年明けから始まった春学期。地元の人が言っていたとおり、3月のスプリング・ブレイク前にドカ雪に見舞われ、春が遠のくかとさえ思いました。ブレイク中は、南西部の国立公園を、モーテルを転々としながらレンタカーで回り、飲み込まれるような自然に圧倒されました。一口にアメリカといっても土地によって風土が様々で、機会があれば、もっといろいろな場所を訪れてみたいと
思いました。

この春セメスターは、ESLに加え、preschool(Child Development Lab)での観察法トレーニング、Carle Hospital小児科での実習、フランス語のレッスンをとり、様々な出会いに恵まれて充実した学期になりました。

Preschoolでの観察トレーニングでは、観察対象となる子どもが各学生に一人ずつ割り当てられ、学期末にはケース・スタディーをもとにした論文を書き上げました。観察の一環として、preschoolの活動に参加し、子どもたちと身近に接することができたのは嬉しかったです。また、論文作成の過程で、実際にお子さんのご両親のところへ赴いて、お子さんの家庭での様子をインタヴューしたことがとても印象に残っています。一概には言えないことだとは思いつつも、インタヴュー後に感じたのは、予想していた以上の、アメリカのお父さんの育児への関心の高さでした。同時に、眉尻が下がる、と例えられるようなお子さんに対する眼差しは、どこの国でも共通なものなのだなと思いました。

Carle Hospitalでの実習も、忘れない貴重な経験となりました。Child Life Specialistの下で、長期・短期療養中の子どもたちの精神面でのケアをお手伝いしました。病室を巡回して子どもやご家族の話し相手になったり、検査時や痛みを伴う医療行為の際に子どもに付き添ったり、またPlayroomで子どもの症状や年齢などにあわせたPlay Activityを実施したりしました。特に、入院生活の中で少しでも子どもが健康に成長できるようにとの目的での、「遊び」を通した介入は、小児病棟において、医者や看護婦とは異なるSpecialistの重要な役割であると思いました。また、日本人の私が実習を通して感じたことは、言語をはじめ、テレビ番組やゲームまで、子どもたちのあらゆる文化的バックグラウンドに精通していることの大切さでした。英語を使って病院で働くというのは、勉強するのと全く違ってなかなか厳しいものがありましたが、いつも親切にサポートしてくださったSpecialistのDiane、HDFSのDebra教授、そして実習生のみなさんには特に感謝しています。また、この留学生活全体を通して、私にこのような貴重な機会を与えてくださったJICのみなさまにも改めて御礼を申し上げます。

大田祥子さんの2002年1月分レポート

jicmlメンバ各位,

古市 (’92-94 MS in Computer Science)です.

秋学期からJIC奨学生としてUIUCへ留学中の大田 祥子さんからのレポートが届きましたので,皆さんにフォワードします.大田さんが今学期取る行動観察のクラスは,この機会でなくては体験できない貴重なものだと思います.日米の保育園教育の違いなどが,この成果として論文にまとめられるかもしれませんね.頑張って下さい.

これで奨学生4名の方全員の1月分レポートをお届けしました.次のレポートは3月末を予定しています,お楽しみに.

以上.

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2002年 1月分レポート
大田 祥子
奈良女子大学大学院 2年
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イリノイの冬を、おかげさまで風邪ひとつひかず元気に乗り切っています。これも、秋口から徐々に徐々に寒い気候に順応してきたせいでしょうか、やはりひとところに“住む”ということは、すごいことなのだなと思います。

ここChampaign-Urbanaに来た当初は右も左も分からなかったので、街が何とも無機質に映ったのですが、友人の存在、それに自分の好きな場所や気に入ったお店などが見つかりはじめると、自然と愛着も沸いてくるものです。

冬休み中は、大半をシカゴで過ごしたので、シカゴも私にとってとても愛着のある街になりました。街を散策したり、ある一日は、アメリカ人シェフに料理を習い、excitingなひとときを過ごしました。幅広い年齢層の、同じ興味関心を持った人たちが集まり、しかも食材はアジアのもの、アメリカのものと様々だったので、それらがひとつの料理に仕上がるプロセスを目にしながら、料理にとどまらず、いろいろなものを柔軟に取り入れてアレンジできるということは素晴らしいことだなと思いました。こうした食に対する関心は、ThanksgivingにESLのクラスメイトと七面鳥を焼いたのをきっかけに、さらに強まったような気がします。アメリカ人の先生にポイントを教わり、トルコ人の人に教えてもらいながら、数人で、松の実とレーズンとお米をピラフにしたスタッフィングと、レモンやトマトを使ったソースを作り、農家で直接手に入れた20ポンドもある特大の七面鳥を慣れないオーブンで4~5時間かけて調理しました。また、冬休み中には友人たちお手製の、韓国の伝統的なお正月料理や、台湾の豚料理、インド料理をいただく機会もあり、私も、日本の家庭料理を作りました。同じ釜の飯、とはよく言ったもので、一緒に食卓を囲むと、自然と温かい雰囲気が生まれるものです。

さて、先セメスターは、コースワークがハードで、必死でついていっているうちにfinalの嵐がやってきて、気がついたら終わっていたという印象です。でも、うまく一言では言い表せないながら、何かが確実に自分の中に蓄積された感がしています。先日、gradのクラスで一緒だった友人と昼食を食べながら、たわいのないおしゃべりに混じってそんな風に振り返ったり、これからのお互いのプランについて話したりしていました。

私が主に講義をとっていた、そしてこのセメスターもお世話になるHDFS(Human Development and Family Studies) の講座は、アカデミックな内容はもちろん、医療・福祉や幼児教育の現場とうまくタイアップすることで学生に基礎知識と実践力をつけさせてくれます。私はこの講座所属の学生ではないながらも、先セメスターのコースワークをベースにCarle Hospitalで実習を、ということで、現在スケジュールを調整中です。子どもを相手にする仕事なだけに、予防接種などの規約が厳しく、書類準備のためにMcKinley Health Centerにも幾度か足を運ぶ必要があり、健康体ながら通院する毎日が続いています。

そのほかには、子どもたちを対象にした行動観察のクラスを取りました。週1回のLabの日は付属の保育園に行き、保育室の2階に設けられた、まるで野球の実況席のような「特別観察ブース」に陣取って、子どもたち同士や先生とのやりとりを記録していきます。日本にいるときにもしばしば幼稚園に通って子どもたちや先生の様子を見学させていただいていたので、そのときの様子と比較しながら見学することもできそうです。ただ、自分の見たことを英文で記録していくことに限っては、普段のレポートを書くのとはまた別の難しさがあり、これからも試行錯誤が続くことになると思われます。

また、引き続きESLと、それから私の中で風化しかけていたフランス語、それに久方ぶりに茶道の稽古を再開しました。今セメスターもマイペースでコースワークに取り組むと同時に、いろいろな意味で、人と触れ合う機会が多く持てればと思っています。

今年もどうぞよろしくお願い致します。

大田祥子さんの2001年10月分レポート

jicmlメンバ各位,

古市 (’92-94 MS in Computer Science)です.

秋学期からJIC奨学生としてUIUCへ留学中の大田祥子さんからのレポートが届きましたので,皆さんにフォワードします.

大田さんは奈良女子大学大学院の2年生で,発達心理学を専攻されています.茶道を修行中とのことで,喫茶道具をトランクに忍ばせて渡米されたようです.

レポートに出てくるCarle総合病院の小児科には,留学当時うちの息子がお世話になった記憶があります.初めて訪れた時,病院に入るとそこはホテルのロビーのような作りで,グランドピアノの生演奏をしており,とても暖かい雰囲気なのに驚いた記憶があります.うちの息子は当時3歳でしたが,レントゲン室でも親の付き添い無しで一人で受診でき,きっと何か特別な子供とのコミュニケーション法を Carleは持っているのだと確信した覚えがあります.

また次回のレポート楽しみにしてます.

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2001年度10月分レポート
大田祥子
奈良女子大学大学院 2年
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こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。Champaignでは紅葉もすすみ、冬の気配さえ感じられるようになりました。日本ではとっくにコートを羽織っているような気温ですが、寒がりの私もここの気候に適応してきたのか、依然セーターだけで過ごしています(本当はまだジャケットを買っていなくて我慢しているだけです)。8月13日にこちらに到着してから、一週間は手続きや買い物で煩雑な毎日でしたが、今となってはそれも遠い昔のことのよう・・・おかげさまで充実した毎日を送っています。このような貴重な機会を与えてくださり、また、渡米前からいろいろと支えてくださっているJICの皆様に心からお礼を申し上げます。

授業は、ESL以外に、Research Method in Human Development and Family Studies(HDFS490)、Hospital Children and Their Families(HDFS303)、Tea Ceremony and Zen Aesthetics(ART&D209)の3つをとりました。 HDFS490は、研究法について倫理から方法論まで幅広く深く学べるクラスです。先生が丁寧に教えてくださりとても充実したクラスですが、毎回のリーディングとディスカッションの多さ、paperやexamのフルコースに面食らい、400番台の授業をとってしまった無謀さに今更ながら気づいてきました。先日mid-term examが終わり、出来はさておきしばし安堵感に浸っています。HDFS303は、病院に入院する子供とその家族を心理面からサポートする、children’s life specialist という専門職を目指す人のためのクラスで、キャンパス近くのCarle総合病院でchild life specialistとして勤務する卒業生が、時々クラスにゲスト・スピーカーとして来てくださるのが楽しみです。ART&D209では、茶道の根底にある思想や歴史を学べ、また、焼物をはじめ茶道に関連するさまざまな日本の芸術に触れることができます。このクラスを受講してふと気がつき、うれしかったことは、例えば日本的な情緒を味わう感性が自然に身についているということから始まって、今までの日本での生活の中で培われた私なりの視点で物事に切り込んでいけることの大切さを意識できたことがあります。日本館は少し遠いですが、行きは授業でいただくお抹茶を楽しみに、帰り道はJimmy John’s に寄ってサンドイッチを買うのを楽しみに自転車を走らせています。

今は、院生寮のひとつである、シャーマンの4階に住んでいます。夜は向かいのIllini Tower のクリスマスツリーのような電光装飾が夜景の中に見え、静かで勉強するには良い環境です。Sweet mateの韓国人の女性はとても親切でいい人だし、夕食をシェアしたり、スポーツをしたりと数は少ないながらも友人もでき、満足しています。また、シャーマンには食堂がないけれど、近くには中華料理店からカフェまでいろいろなお店があり、スポーツ施設やユニオンや図書館も近いのでとても便利です。

そんなこんなで平日は授業の準備などで忙しいですが、その分週末が楽しみです。シャーマンでの生活から抜け出て、映画や音楽を楽しんだり、スポーツをしたりしています。9月末にカブスのホーム試合を観にいってきました。6-2でカブスの勝利。満員のスタンドで3本連続ホームラン、そしてソーサの勇姿もおがめ、幸せいっぱいでした。でも、7回裏、恒例の歌が流れるかと思いきや、会場に聞こえたのは、アメリカの賛歌。あの事件のことを思い、何ともいえない気分になりました。毎日のようにテレビでニュースを見ています。

一週間が瞬く間に過ぎていき、もう10月も半ばを過ぎました。これまで以上に一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。