武田麻美さんの2001年1月分レポート

JICの皆様、ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいますか。

こちらイリノイ大学は、一ヶ月近くの長い冬休みを終え、後期に入ってから3週間近くが経ちました。休み明けは、またもやの大雪と発電所の火事が原因による 大学全体に渡る停電とが同時に重なるというハプニングに見舞われましたが(大学は休みになったものの、この寒にも関わらず、寮には暖房がつかない、次の日 までお湯が出ないという惨めな思いをしました)、今はあの頃のパニックも嘘だったかのように、キャンパス内は全体的に落ち着きを取り戻し、新学期の初々し い雰囲気が漂っているようにに思えます。雪は最近の大雨でほとんど消え、日は少しずつ長くなり始めました。今は、春が来るのが待ちどうしくてたまりませ ん。(いったんは暖かくなっているかのように感じたのですが、今日はまた急激に下がり気温は零下となる寒さでした。)

こちらの気候につ いてもう少しお話すれば、この冬は過去10年間のうちで最も厳しい寒さだったようですよ。(初めての冬なのでこれが普通と思っていたのですが、どうやら違 うようです。)冬休みはこちらで過ごしたのですが、連日のように雪が降り、気温は零下20度、30度という恐ろしい寒さが幾日も続きました。(これほど厳 しい冬は例年では稀なようです。)スノウ・ストームも何度かありました。外へ出たときの寒さは表現しようがありません。少し大袈裟かもしれませんが、沢山 の針が一度に頬に突き刺さるような寒さと表現すればいいのでしょうか。もう寒いという感覚がなく、痛いという寒さでした。(今も少しそうですが…)とにか く冬休みの間は、こちらでは暖炉の前でゴロリと過ごすのが最高です。しかし、雪景色のキャンパスタウンや周辺の公園や湖などは、辺り一面真っ白でとても綺 麗でした。(湖では氷が分厚く張り、アイススケートができました。)

さて、話しは変わりますが、冬休みに入る前には、期末試験がありま した。これも面白い経験になりました。とにかく驚いたのが、アメリカ人は大学でよく勉強するということでした。試験二週間前は寮全体が試験ムードとなり、 徹夜で頑張る学生達のために、夜は食堂で夜食のおやつが用意されたり、ユニオンの建物や大学のホテル自体が勉強部屋として開放されたりと、私もこの間はあ る意味でアメリカ人の学生に圧倒されながらもがんばった記憶があります。

そして、冬休みは先ほども書いたように、アーバン・シャンペ― ンで過ごしました。多くの友人が、この寒くて何もない場所になぜ留まるのか理解できないと、気の毒がりましたが、日頃あちこち歩き回っていたせいか、地元 に知り合いもいてこの町自体に少しでも長くいれたらという気持ちでした。逆に、やることがあって私なりに充実していたように思えます。キャンパス内は、学 部生達のほとんどが帰省してしまい、さすがに寂しい感じがしましたが、多くの友人が脅したように、キャンパスタウンがゴーストタウンになってしまうほどで はありませんでした。それどころか、教授達や研究熱心な院生達でキャンパスタウンに生活の雰囲気が感じられましたし、キャンパス内は普段とは違った大人っ ぽいアカデミックな雰囲気が漂っているような印象を受けました。

休み中は、知人のアメリカ人宅でホームステイをさせてもらいながら、4人 の子供達のベビーシッターをして過ごしていたのですが、それと同時に(4年に一度開かれる、クリスチャンの学生の会議、ウルバナ2000が開かれたため) キャンパス内での全国から集まる学生達の食事の世話をするアルバイトも見つかり、いろいろと挑戦していました。この期間中は、各州からまたは各国から学生 達が集まり賑やかでした。クリスチャンの学生達は礼儀も正しく、非常に人懐っこいという印象を受けました。働きながら、次第に知人が増えていき、様々な州 の話を聞くことができ、なんだかどこへも行かずして、旅行へいったような、そんな気持ちにさせられることがしばしばありました。ホームステイ先は9人の大 家族でした。毎日の9人分の食事作りを手伝うという(量の多さには驚くことばかりでしたが)、面白い経験もしました。私自身も家族同様に扱ってもらえ、彼 らからは家族の大切さや人の温かさを教わったような気がします。

また、クリスマスのころは老人ホームでボランティアをする機会も得ました。日頃できないことに挑戦しながら、勉強以外のことで多くのことを学んだような気がします。自分自身、こんなに力があったのかと驚くぐらいいろいろと挑戦したような気がします。

こ のような感じで過ごしているうちに、長かった休みもあっという間に過ぎてしまいました。後期の始めからは、少し張りきりすぎたのか、いきなり熱をだしてし まいました。でも遅れたくないという気持ちが強く、そのまま授業にでていたせいか二週間も苦しむ羽目になりました。後期は、会計学を勉強しています。他に も、チェコ文学とイギリス文学の授業もとっています。こちらの教授は生徒を引き付けるのがとても上手いと感じます。そのため、どれも授業は興味深いものば かりです。前期に比べると、気分的には落ち着いていますが、授業の課題をこなすのはいまだに大変です。これが最後の学期かと思うと寂しいです(英語の面で もこのままでは満足できないと言う気分です)、この残された後期、悔いのないように頑張らなくてはと気が引き締まる思いです。

JICの皆様のおかげでこのような貴重な体験をさせていただいていることに感謝しております。私達のこちらでの生活も残すところ半分となりましたが、これからもどうぞ宜しくお願い致します。

武田 麻美(東京外国語大学3年)

喜多亜貴子さんの2001年1月分レポート

こんにちは、JICの皆様。

今年ももうすでに1ヶ月が過ぎ、時の速さに驚くばかりです。シャンペーンはここ最近、とてつもなく寒かったり、もう春かなと思わせたりするほど気持ちのいい天気だったりでうっかり薄着で出かけて風邪を引きそうになるなんてことも何度かありました。

冬休みは家庭の事情で残念ながら旅行の予定もキャンセルして日本に1ヶ月半ほど滞在しなければならないということになり、1月末にようやくこちらに戻って くることが出来ました。しかしながら授業を2週間以上も欠席していたことは思っていた以上に厳しく、いくつかの授業ではすでにグループリサーチや発表が始 まっていたりし、追いつくまでにまだまだ時間がかかりそうですが、教授やクラスメイト達も事情を分かってくれて色々と助けてくれるため、何とかやっていけ そうな感じです。

今学期はマーケティングや広告などビジネス関係の授業を中心に登録しました。どの授業も実際の仕事に結びつく内容であるため大変興味深く満足しています。特に広告の授業では毎回授業の後半に企業の広告戦略に密着したビデオ
を 見るのですが、さすがにアイデア勝負の世界だけあって、それを紹介するビデオもまさに釘付けになるような面白さで、自分が現場で経験しているような気に なって学ぶことができると同時に、アイデアを生み出すことの難しさも経験できます。とりあえず今は溜まったリーディングをこなすのに必死ですが、最後のセ メスターということもあり、学んで帰りたいことがあまりにも多くあるため、この他にもいくつかのクラスを聴講しており、忙しいですが充実した毎日です。

さて、今学期から生活面での変化が少しありました。先学期は学部生用の寮でルームメイトがいたのですが、今学期から大学院生用の寮の一人部屋に移ってきま した。やはり院生は学部生とは違い皆時間に追われる毎日のようで、私自身すでに日本で大学を卒業しているにも関わらず学部生として留学してきたことを幸せ に感じることが多々あります。食事は専ら自炊か外食をしているのですが、シャンペーンのような田舎でもいくつか毎日通いたくなるようなおいしいお店もあ り、満足した食生活がおくれています。特に気に入っているのがJohn St. にあるPaneraというパン屋でいつも席は満席で買うのも並ばなければいけないのですがサンドウィッチなど具沢山でとてもおいしいです。その他にも車を 使えばメキシコ料理などの非常においしいお店にも行けます。またinternational studentが多い寮であるため、よく寮の友人達とクッキングパーティーを開いてはそれぞれの国の料理を作って交流しています。料理経験のほとんどな かった私ですが、何とか日本料理まがいの物を作っています。

留学生活ももうすでに半分以上過ぎてしまいました。もともとあっという間に過ぎるだろうとは思っていましたが、これほどまでに速いとは本当に驚きです。残りの3ヶ月も充実した日々になるよう、体に気をつけて頑張ろうと思います。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

喜多 亜貴子

酒井祥子さんの2001年1月分レポート

約1ヶ月間の冬休みが終わり、16日から新学期が始まりました。始まってすぐは、授業登録や教科書購入など、半年前にここに来たときと同様に慌ただしい日々が続きました。

今学期はアフリカ政治、国際経済、フランス語、英語、合唱、と先学期より多様な授業を登録しました。政治学のみを集中してとっていた先学期とは雰囲気が異 なって新鮮です。アフリカ政治、国際経済、フランス語は、アフリカの開発問題に関わる科目ということで履修しました。アフリカ政治の授業はリーディングや 課題が多く大変ですが、興味深い議論が展開され、履修して良かったと思える科目です。国際経済は教授の教え方がうまく、内容がとても明快です。フランス語 の授業は初心者のクラスにも関わらず、驚くほど進度が速く、ついて行くのが大変ですが、日本語で学ぶよりも分かりやすいのではないかと思います。また合唱 のクラスでは混声合唱でクラシックの楽曲を歌っているのですが、最後にはクラナートセンターでのコンサートもあり、本格的です。

徐々に 生活のリズムを取り戻しつつあった中、先週金曜に起こった発電所火災とそれに続く停電は、非常に興味深い経験となりました。26日の朝、いつものように起 きた私はパソコンの電源が入らないことに気づきましたが、パソコンのトラブルと考え、何事もなかったかのようにシャワーを浴びに行きました。バスルームに 入ると、1つを残して全ての電気が消え、シャワーもトイレも真っ暗な状況でした。たまたま通りがかったRA(Residents Advisor)に話を聞くとAbbott Power Plantというキャンパス内の発電所で火災が起こったために停電が起きているということが分かりました。

この時点でもまだ事態の深刻 さを認識していなかった私は、いつものように授業に出かけました。授業のある建物に入ろうとすると、張り紙がしてあり、ほぼ全ての授業がキャンセルされた ということが分かりました。ユニオンブックストアも閉店、ユニオン内の売店も閉店で、ユニオン内で開いていたのは、真っ暗な中で手作業で販売しているディ ライツだけでした。地下もゲームセンターとビリヤードルーム以外は全て真っ暗な状況でした。自動販売機ももちろん停止していました。

寮 に戻ると、ヒーターがつかなくなっており、部屋の暖気を蓄えるためにカーテンを閉めるように指示されました。真っ暗で寒い部屋に一人でいるのも気が滅入 り、ダイニングルームに行ってみると、人々が薄暗いカフェテリアで紙のお皿、ナイフ、フォークを使って冷たいものを食べていました。入る際にもコンピュー ターはもちろん動かないので、食堂の人が一人一人のIカードの学生番号を手書きした上で、学生がサインをしていました。エレベーターも動かなくなってお り、階段がいつになく混雑していました。当初は復旧に数日かかるかもしれないと言われましたが、その日の夜には大体元通りとなり、生活にそれほどの支障は なくて幸いでした。電力の大切さを身にしみて実感した一日となりました。

最近はまた寒さが戻ってきましたが、こちらに戻ってき た1月中旬には雪もほとんど溶け、拍子抜けしてしまうほどの暖かさでした。冬休みの1ヶ月間は全米各地を旅行してきたのですが、各所で、同じ国内でもここ まで違うのかと何度も驚かされました。他の都市を見て回ったことで、ここイリノイをより客観的に見ることができるようになった気がします。帰国まであと 3ヶ月半と思うと、本当に早いものだと改めて驚かされますが、授業に力を注ぎ、友達とも思いきり楽しんで、充実した日々を続けていきたいと思っておりま す。

酒井祥子

小瀬垣綾子さんの2001年1月分レポート

ごぶさたしております。

日本でも今年は各地で大雪ということですが皆さんいかがお過ごしですか?一ヶ月の冬休みが終わり、授業が始まり、 追われている内にすっかり2月になってしまいました。シャンペーンの冬は思った程悪くありません。たまに人生が嫌になるほど憂鬱な曇天が続く事もあります が、ここ2,3日は毎日快晴です。雪もほとんど溶けました。

私の冬休みは波瀾万丈の一言に尽き、去年の師走の旅行3日前に20世紀に使い 果たせなかったのであろう悪運が一気に押し寄せてきました。結論から言って、日本帰ってしまいました。その前にヨーロッパに3週間いたのですが、私のあま りの疲労困憊ぶりをみかねた母親が日本から愛の手を差し伸べてくれました。おかげ様で、栄養も摂って、顔もますます丸くなって、心も満たされて、シャン ペーンに帰ってきました。

春学期は、楽しい授業で満載です。

photojournalismは秋にどうしても取りたかっ たのですが、人気授業のため諦めたものです。カメラを貸してもらい、毎日毎日、課題の被写体を探し回っています。普通に歩いていても、何か面白そうなもの がある度に下から覗き込んだり、角度を変えてうろうろしてみたり、後ろ向きに歩いてみたりと、かなり挙動不審になっているのも事実です(笑)。それでも、 自分が撮った写真を現像して見るのは本当にワクワクします。デジカメは持っているのですが、今度は一眼レフを買おうと思います。カラースライドをプロジェ クターが映し出したりして、すっかりプロの気分です(笑)。もうしばらくすると、暗室に入ったりする事もあるので、ますます楽しくなりそうです。

magazine articleのクラスは、その名の通り、雑誌記事を書きます。授業内だけに留まらず、実際に雑誌に投稿します。マーケットの分析をしたり、エディターに query letterを書いて送ったり、著名人の記事を読んだり、とかなり実践的です。洋雑誌に私の英語で大丈夫なの!?と思いながらも、日本人ライターとし て!!なんて、心中、野望でいっぱいです。新聞、ブロードキャストとはまた特性の異なるメディアなので、学ぶ事も多くかなり勉強になります。

サ イコロジーも2つ取っています。cognitive psychology と psychology of personalityというクラスで、レクチャーだけの大規模なクラスなのですが、かなり興味深くて、リーディングも全く苦になりません。もう一つはス パニッシュ。elementaryなので、クラスメートもたどたどしく、同じレベルに立って私が臆する事無く発言できる唯一のクラスです。なぜかラテン系 の友達が多いので(メキシコ、ベネズエラ、チリ・・)、彼女たちとスパニッシュでemail交換なんてしたいなって思っています。プラスアルファでベト
ナム語も始めました。個人的にベトナムは世界でもっとも素敵だと思っていて、大好きな国なので、少しでも話せるようになってベトナムにまた行きたいです。それにしても発音がとっても難しいです・・・・。

相 変わらずのシャンペーンですが、日本に帰りここでの時の流れの遅さを痛感しました。大学3年なので、日本では就職活動がもう始まっています。その渦中に呑 み込まれる事なく、今このゆるやかな時の中でじっくりと自分の将来を考えています。私にとってはとても大事な時間です。最近ようやく迷い悩んでいた自分の 将来への決意が固まりつつあります。

もうすぐ終わってしまうモラトリアム。一日も無駄にする事なく、最後の3ヶ月は是が非でも充実させます!

小瀬垣彩子