中村寿美子さんの2003年10月分レポート

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2003年10月分レポート
中村寿美子
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こちらに来てからの約2ヵ月半、なんだかあっという間のような気もします
が、本当に濃い毎日をすごしています。毎日毎日、新しいもの、人に出会う
日々・・・そして自分自身へのチャレンジの日々です。

シャンペーンに到着したその日から街そのもののようなキャンパスとその広さ
にじっくりと浸る時間もないくらいに、中身の濃いオリエンテーションが始ま
りました。

「ちょっとは休ませて・・・」と思いながらも、手続き手続きの連続で、キャ
ンパス内を行ったり来たり・・・。おかげで方向音痴の私も、最初のこの一週
間でなんとかキャンパス内の地理もつかめるようになりました。

やはり、大学として、留学生へのサポートはしっかりと充実しているんだなと
つくづくと感じます。“困ったときはここへ連絡しなさい”“あなたはこのよ
うなサービスを受けることができます”という情報がしっかりと与えられ、実
際じゅうぶんなサポート体制が組まれていると思います。留学生の数が断然多
いのもその理由かもしれませんが、日本の大学を思い出すと、留学生やその家
族へのサポートが決定的に不足しているのではないかとも感じます。

具体的にどんなことがあるかというと、たとえば、私は、International
Hospitality Committee というところで、ホストファミリーを紹介してもらい
ました。(ホストファミリーといっても、いっしょに住むわけではないのです
が、週末や時間のあるときにいっしょに食事をしたりします。)私は、イリノ
イ大学を退職された元教授のすてきなご夫婦に出会うことができ、アメリカに
家族を持てたような感じでとても幸せだなぁと思っています。毎週金曜日には、
そのご夫婦が退職後の楽しみにとして参加されているボランティア活動に私も
加わらせてもらって、シャンペーンのNursing Homeでお年寄りを相手にギター
とともに歌を歌ったりと楽しいときをすごしています。

また、私はCosmopolitan Clubというところにすんでいるのですが、そこで
毎週木曜日に開かれるCoffee Hoursも楽しみな時間です。毎週それぞれの国の
テーマがあって、Traditional Foodやときにはその国の踊りも楽しみながら、
いろんな人と出会うことができるので、英語の練習とともに楽しんでいます。

授業は害して大変で、毎日毎日ぎりぎりの状態ですが、そのぎりぎりのところ
で何とか生き延びているという感じです。最初は授業中に何でも発言してしま
うアメリカの学生に大いに戸惑い、何も言えない自分にすごく落ち込んでしま
いました。何か言おうとしても、一瞬ひるんでしまうと話題はもう別のところ
へ・・・。発言するタイミングがあわず、口の中がからからになりながらも、
そういう自分にショックと反省の日々・・・。

はじめは意見をべらべらというこちらの学生がすごく賢く見え、自分の存在が
とっても小さく思えてしまいましたが、賢いうんぬんの問題ではなく、思って
いることを言うか言わないかの違いなんだと思えるようになったことだけでも、
この2ヶ月の進歩かなぁと自分を慰めつつ、そう思っています。

日本の大学と違って、クラスの中でもさまざまな国籍、人種の生徒が混じって
おり、それぞれが話す英語もかなり独特です。なので、“日本人だから・・・”
“留学生だから・・・”ということは、ディスカッションに参加しないことの
理由にはならないのだということも、あたりまえのことなのですが、ひしひし
と感じました。また、自分の意見を自分の言葉でいう限り、先生も生徒もそれ
を否定することはまったくないし、むしろうまく取り入れて授業を進めてい
く・・・そのやり方は、ほんとうにすごいなぁと思います。

アメリカにくる前に、「交渉すればなんとかなる国だよ」と聞かされていたの
ですが、その点に関しては本当にそうだなと思います。むしろ、交渉していか
なければ、何も起こらないし始まらない・・・そういう国だと思います。黙っ
ていても誰かがやってくれるなんていうことは決してないので(男の人が女性
に扉を開けて待っていてくれる、ということだけは例外のようですが・・・)、

自分というものを常にしっかり持って、“人にあたってくだけろ”精神で訴え
ていかなければいけないのだなぁ、と思っています。その分、ある意味で厳し
いところだとも思いますが・・・。大切なことでもあると思っています。

たとえば、授業でもヘルプが必要なら、いつでも先生のところに相談しに行っ
ていい、むしろ行かなければならないのですね。私は、どの授業もいつもぎり
ぎりの状態ですので、ほとんど取っているすべての授業の先生のオフィスアワー
にお邪魔して(お邪魔という表現もここでは当てはまりませんが・・・)何度
も助けを求めに行きました。特に、ジャーナリズムのクラス(これも交渉して
履修にこぎつけたのものなのですが・・)のリサーチペーパーの課題に悩まさ
れ、にっちもさっちも行かなくなったので、オフィスに行きました。文献検索
の方法から最初に読むべきアーティクルまで、いろいろと情報を与えてくださ
り、“あなたのテーマはすごくいいから、がんばりなさい”と何度も何度も励
ましてくれました。私が“できるかどうか不安です・・”というと、“I am
sure you can!” と何度も何度も・・・。そのフレーズがずっと耳に残って
いて、(乗せられているとは思いながらも)、残りのセメスターでこのペーパー
と格闘して後悔のないようにいいものが書けたらいいなぁ、と思っています。

最後になりますが、この二ヵ月半一緒に来た三人の仲間たちには本当に支えら
れました。小さなことから大きなことまで、相談し合い報告し合い、時には一
緒にカレーを作って食べながらこのアメリカでの生活をよりかけがえのないも
のにしてくれているよい仲間です。彼らも含め、こんな良い機会を与えてくだ
さったJICの皆様に本当に感謝しております。

まだまだスタートラインに立ったばかりですが、残りの時間も(寒さに負けず)
がんばりたいと思っています。

書きたいことがいっぱいあって、幾分まとまりのない文章になりましたがお許
しください。

砂子知香さんの2003年10月分レポート

JICの皆様、ご無沙汰しております。
大田(01′-02′ LAS)です。

秋学期からJIC奨学生としてUIUCへ留学中の4人からのレポートが届きましたので、皆さんにお届けします。4人が親交を深めつつ、それぞれの分野で世界を広げていく様子、素晴らしいですね。

奨学生の皆さん、レポートありがとうございました。なお、皆さんからのメールは10月中に届いていましたが、私の都合で遅れてしまったこと、お詫び申し上げます。

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2003年10月分レポート
砂子 知香
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JICの皆様、ご無沙汰しております。こちらに来て早くも2ヶ月が経ちまし
た。Champaignでは素敵な秋を満喫しているところです。最初の2週
間はこの先の留学生活がどうなるのか不安でいっぱいでしたが、授業が始まり
生活のリズムが安定してくると、時間が経つのも早く感じられます。初回のレ
ポートでは、こちらに来てからの心境の変化を書いてみたいと思います。

自分の希望していた留学が現実とのものとなり、いろいろな心配を抱えながら
もそれ以上の期待に胸を膨らませ、ここChampaignに着きました。し
かし、早々に予期せぬことが起こってしまいました。スーツケースが乗り換え
のデトロイトから届いていなかったのです。寮に到着したのが夜の7時くらい
で、疲れと不安とでお買い物に行けず、荷物もないまま寒い寒い夜(この1週
間は寒かったので)を明かすことになりました。結局、翌日の朝には無事に届
いたのですが、この2日間はアメリカに来たことを後悔しました。どうして留
学なんかしたいと思ったんだろうと。

しかし、そうは言っても来てしまったし、帰ることはできない。とりあえず、
食料品や日用品を買いにスーパーへ行くことから始まり、インターネットをつ
ないだり、この広大なキャンパスを地図片手に歩いてみたりしました。東京と
は全く違う風景に戸惑いながらも、初めて見る建物や木やリスに感動しました。
私が来た頃はまだ学生も少なく、閑散としたキャンパスはとても静かでした。

正式なオリエンテーションが始まるまでの1週間は、本当にゆっくりと時間が
流れていきました。しかし、ひとたびオリエンテーションが始まると、毎日そ
れをこなすことに忙しく、また、授業登録に頭を抱えたりと、あっという間に
8月は終わりを迎え、気が付けば授業を受けていました。毎回緊張の連続で、
疲れは溜まる一方でした。1年しかないのだからいろんなことに挑戦しようと
いう気持ちと、1年もあるのだから焦らなくてもいいんだという気持ちとの葛
藤で悩んだりもしました。この頃には時差ぼけも直っていたはずなのに、寝付
けなかったり、朝は早く目が覚めたり、自分でも自分がコントロールできなかっ
たのです。自分に余裕がないため、人にも優しくなれず、自己嫌悪に陥っては
落ち込んでいました。しかし、常にどんなことも楽しもうという気持ちは忘れ
ませんでした。無理をして病気になるくらいなら、焦らずにゆっくりと自分の
ペースで慣れていけばいい、まずは楽しむことだと自分に言い聞かせながら。

こちらに来て数え切れないほどたくさんの人に出会いました。東京にいたらきっ
と出会わなかっただろういろんなバックグランドを持つ人々と知り合うことが
でき、既に留学したことに大きな喜びを実感しています。勉強に忙しいながら
も、暇を見つけてはあらゆるイベントに参加し、また新たな人に出会い、新た
な発見をして楽しんでいます。些細なことにも幸せを感じる自分に気付き、最
初の頃からするとずいぶん成長したんだ、と自分を誉めてあげたくなります。
ここが農業の盛んな地域であることもあり、人々の会話には必ずと言っていい
ほどお天気のことを話題にします。私もすっかり、毎日空を見上げ、木々の変
化に目を留めるようになりました。東京では何回空を見上げたことがっただろ
うとふと思ったりします。こんなに素敵な時間の中にいられるのも、最初の辛
かった時期を乗り越えることができたからだと思います。そして、JICの皆
様のおかげです。本当にありがとうございます。これからどんなことがあるの
だろうかと、わくわくせずにはいられません。次のレポートを書いている自分
を想像しながら、また明日からがんばりたいと思います。

砂子 知香

江崎歩さんの2003年10月分レポート

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2003年 10月分レポート
江崎歩
筑波大学医学専門学群
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JICのみなさま、はじめまして。今年度奨学生の江崎歩といいます。筑波大学
医学専門学群の6年生で、最終学年の最後の半年を残して今回この奨学生派遣
プログラムに参加させていただくことになりました。将来、公衆衛生学
(Public Health)や疫学(Epidemiology)の視点から国際保健(開発途上国の
保健状況を改善することを目的とした学問ですが、私自身は、日本を含めた先
進国の問題も絡めてもう少し広く考えていきたいと思っています)に関わりた
いという気持ちがあり、アメリカ人をはじめとしていろいろな国の人とコミュ
ニケーション、ディスカッションがしたくてこのプログラムに応募させていた
だきました。

シャンペーンにきて2ヶ月以上もの月日が流れたということが、まず信じられ
ません。「留学生活は時間がたつのが早い」といろいろな方から話には聞いて
いましたが、本当に「飛ぶように」時間が過ぎていきます。例えば、このレポー
トを書いている今は週末なのですが、先週の日曜日の夜に「ああ、もう週末が
終わってしまった、、。」と宿題が終わっていない自分に焦りを覚えていたの
が昨日のことのように感じられます。

こちらにきて始めは本当に右も左もわからなかった私ですが、数え切れないく
らいたくさんの人に支えられて満ち足りた毎日を送っています。シカゴ出身の
ルームメイトとはプライベートの時間を一緒に過ごすことはほとんどありませ
んが(部屋の中では、ある意味一番長く一緒の時間を過ごしているわけです
が、、、)、「行ってきます、行ってらっしゃい」「おかえり、ただいま」を
言い合える相手がいることをとても幸せに思っています。生活リズムの違いな
どからくる問題を解決するために話し合うことで英語力がのびるだろうか、と
考えてほとんどがシングルルームのSherman Hallの中でダブルルームを希望し
たのですが、お互いに相手の都合(例えば、寝る時間など)を尊重しあうこと
ができているのであまり深刻な話し合いになる必要もないくらいです。

寮やESL(;English as a Second Language)のクラスではとてもたくさん、
大切な友達ができました。不十分な英語力のせいもあって真面目な話になると
本当に思っていること、考えていることがうまく伝え切れなくて悲しくて悔し
い思いをすることもしばしばですが、ゆっくり考え直して後でもう一度話した
りなどして今のところは解決できていると思います。日本語で話していたら自
分も相手も「わかったつもり」になって流しているところを英語で伝えようと
するとまず自分自身が「本当に」自分の言いたいこと、伝えたいことをわかっ
ていなければうまく伝えられないので、ここに来てから本当に「いい頭と心の
使い方」をしています。今までの私が怠け者だっただけかもしれませんが、英
語でいろいろなことを伝え合う生活をするようになって改めて、自分が本当に
何をしたいのか、何を考えているのかを言語化する努力をするようになった気
がしています。

その他のクラスでも、始めは何とか発言しようと努力するのにせいいっぱいだっ
たり、少し不自然にクラスメイトに話しかけたりという感じで”溶け込む”の
は難しいなあと感じたりしていましたが、ささいなことがきっかけで、例えば
試験前のレビューセッションで「私は英語の問題があるからきっとみんなに遅
れをとっているに違いない、、がんばらなくては!」とばかり思っていたら周
りの子たちは実はとんでもなく理解していなかったりして(理解していなくて
も授業中は私より活発に発言するので、まさかそこまでわかっていないとは予
想もつかないのです)私が教えてあげたりということがきっかけで、自分で思っ
ているほど自分は特殊な、浮いた存在ではないのかもしれないと思えるように
なり、少しずつ本当の意味で”クラスメイト”になることができてきているよ
うな気がします。

Teaching Assistant(TA)も、私にとってはとても大切な存在です。そのうち
の一人が、授業が始まりたての頃、うまくディスカッションに加われなくて私
が少し落ち込んでいたときに、私の将来の夢などを書いたWebpage (全ての学
生が、TAやInstructorに自分のことを知ってもらうために記入するページ)を
読んで「すばらしい夢だね!その夢をかなえるためにこのクラスをとってくれ
てとてもうれしく思うよ。発言が不十分でもちゃんとサポートするし、おかし
なタイミングでも構わないからどんどんJump inしてきてくれていいよ!」と
メールをくれて、単純な私はそれだけで少し胸が熱くなってしまったりもしま
した。正直なことを言うとここに来る前に緊張していたころの私は、「留学し
たら、きっと厳しくて辛いこともたくさんあるから、そんなときには唇をぎゅっ
と結んで乗り越えられる強さを培わなければならないんだ」と思ったりしてい
ましたが、現実にはたったひとりで唇を固く結んで立ち向かわなければならな
い状況なんてほとんどなくて、いつも誰かに支えられ励まされているような気
がしています。一緒に来た3人の留学生仲間も然りで、彼らに対して、またこ
のような仲間と一緒に留学できる機会を与えてくださったこのプログラムに対
していくら感謝しても足りません。

授業は、Introduction to Public Health, Introduction to Epidemiplogy,
Principles of Effective Public Speaking, AcademicWriting for
Undergraduate Students(ESL), Aerobicsを取っています。Public Speaking
の授業では学期中に6回のスピーチをするのですが、これが予想外に大変で、
いつもスピーチの準備に追われているような気がします。おかげで、クラスメ
イトや寮の友達など私がこの授業を取っていることを知っている人たちとの間
では「今週のスピーチはどうだった?」というのが私との間での挨拶代わりに
なっているくらいです。大変ではあるのですが、この授業は自分が将来専門に
したいと思っているPublic HealthやEpidemiologyの授業以上に自分のために
なっているように感じています。

このクラスでのスピーチは”conversationalに”行うのがルールなのですが、”
conversationalな”スピーチの影にはどれだけの綿密な準備が隠れているかと
いうことを、自分で経験してみて初めて理解することができました。ついこの
間4回目のスピーチを終えたのですが、授業後にクラスメイトが「とてもよかっ
たよ!」と声をかけてくれて、すごくうれしい気持ちになりました。制限時間
を守るためにとても速く話しているせいもあってときどき自分の英語がクラス
メイトに通じているのか不安になるときがあるので、彼女のこのコメントはな
おさらうれしかったです。一方自分自身でも、毎回少しずつではありますが、
よりリラックスしてうまく話せるようになってきていると感じています。また、
Public Healthの授業では、週1回のディスカッションのセッションがあるので
すが、TAが「Ayumiが日本での例を話してくれるのは、クラスメイトにとって
とても意味のあることだと思うから、クラスメイトがアメリカのことを前提に
して話していても、どんどん自分の国のことを話してくれていいからね。」と
励ましてくれたおかげもあって、とてもcomfortableに参加させてもらってい
ます。例えばその日のテーマが”アメリカの医療現場におけるMinorityに対す
る医療格差”だったりすると、日本では医療保険制度がアメリカと違っていて
所得格差による医療格差はアメリカよりも少ないこと、ヒスパニックの患者さ
んと医療関係者との間のコミュニケーションの問題のように大きくはないが、
日本でも外国人労働者が病気になったときには同じような問題が起こりえるこ
となどを話しました。

もうすぐ、春学期の授業登録が始まります。秋学期は、ほとんど正確な知識が
なかったアメリカの保健医療事情に通じるためにもIntroductionの授業を取っ
たのですが、これである程度のバックグラウンドの知識ができたので、来学期
はぜひ、もっと問題解決能力を身につけることを中心に置いたような授業を取
りたいと考えています。同時に、自分の専門外の授業も(そのような授業を取
る機会は今度滅多にないと思うので)いろいろ取ってみたいと考え、山のよう
にある「取ってみたい授業」の中からどれを選ぶか、今わくわくしながら考え
ているところです。

週末は、思い切り詰め込んだ遊びの予定の合間を縫って必死に宿題を終わらせ
るといった感じで、結局ゆっくり休む暇などほとんどないままに気がつくと日
曜日の夜中になっています(今週もそうなることが予想されます)。先週末は、
今日のHalloweenのために生まれて初めて自分でカボチャを彫って
Jack-o’-lanternを作りました(残念ながらすでにカビが生え始めていて
「Halloweenが終わったらカボチャづくし料理パーティをしようね」という友
達との約束は果たせそうにありませんが、、)。

とりとめのないレポートになってしまいました。みなさまに次のレポートをお
届けする頃には、シャンペーンはすっかり雪の中で、私は今抱えている恐ろし
い(!)2つのBig papersも無事に提出し終わっていることと思います。飛ぶ
ように過ぎていく毎日ですが、与えていただいた素晴らしいチャンスを生かし
ていけるように、遊ぶことも、勉強することも、考えることも、それを人と分
かち合うことも、全力投球で楽しみたいと思っています。最後まで読んでくだ
さってありがとうございました。

篠原史温君の2003年10月分レポート

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2003年 10月分レポート
篠原史温
東京大学工学系研究科システム量子学科
修士課程
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JICの皆様、はじめまして。2003年度JIC奨学生の篠原史温と申します。僕がシャ
ンペンに来てからもう2ヶ月が過ぎました。本当に濃い2ヶ月間でしたが、思え
ばあっという間でした。今回のレポートではこの期間を振り返り、自分が何を
して、何を感じたかを書きたいと思います。

まずここに来てからの最初の思い出といえば授業登録を済ませるまでの不安定
なあわただしさです。こちらに来る前に先輩から「授業登録をする前にやるこ
とリスト」みたいなものをいただいていたのですが、それがとても役に立ちま
した。

連日果てしなく続くオリエンテーション、チェックイン、銀行口座の開設、英
語のテスト、ガンポートさんとの面会、免疫注射、等など。いつまでこれが続
くのだろうと思うくらい「やること」に追われていたのを覚えています。「一
体いつになったら授業が取れるのだろう?ホームページ上のタイムテーブルを
見るたびに”full”(定員いっぱい)の数が増えていく。。。」僕たちは英語
のテストの結果が分かるまで授業登録できなかったので、結果的にかなり登録
が遅れてほとんどの授業が”full”と表示されていました。僕の取りたかった
授業は幸いにもたくさん開講されているかもしくは大教室の授業なので問題は
ありませんでしたが、とりたかった授業が取れなかった人もいたようです。

次に印象深いことといえば寮とそこの人々のすばらしさです。僕はAllen
Hall(Unit One)という学部生の寮に住んでいるのですが、はっきり言ってここ
は最高です。来て間もないころからすぐにフロアメイトとうちとけられました。
ある日、僕がオリエンテーションに疲れきって昼寝をしていたらドアが激しく
ノックされました。「どうしたの?」と僕。「日本の“Yatta”って知ってる?」
とフロアメイト。僕は最初彼が何のことを言っているのかさっぱり分かりませ
んでした。彼がはっぱ隊(日本のコメディアンのグループ)の歌「やった!」
のことを言っているのだと分かるまでにしばらく時間がかかりました。「でも
その歌は2年以上前のだし、そもそもなんでそんなの知ってるの?」と聞くと、
「インターネットで知った」といっていました。本当にこんな時代に生まれて
きてよかったなあと感じました。こういう風に日本の文化(?)が世界に発信
されていく時代なのですね。

後日、寮のCoffee House(一発芸大会みたいなもの)では僕をいれた6人のフ
ロアメイトで「やった」の踊りを披露しました。(参考:
http://www.mit.edu/people/patil/yatta.html 左の段の八行目、yatta.asf
をクリックしてみてください。これが本物です。僕らも同じく「紙おむつ+紙
はっぱ」のみで踊りました。)このパフォーマンスがとても受けて僕は一気に
寮の内外にその名を知られるようになりました。そんなこんなで寮生活の「つ
かみ」はばっちりでした。

学部生の寮といえば必ずルームメイトを持つことになります。生まれて初めて
のルームメイト。思えば、ルームメイトがどんな人であるかがイリノイに来る
前の最大の関心事かつ悩み事でした。来る前に彼の名前と電話番号は知らされ
ていましたが、何を話したらいいのかもよく分からないので特に連絡も取りま
せんでした。彼はみんなより遅れて、授業開始ぎりぎりに入寮して来ました。
それまでの間、僕は「一人暮らし」状態。「一体いつになったら来るんだろう?」
と毎日どきどきしていました。毎日フロアメイトに「ルームメイトがまだ来な
いんだよ~」と愚痴ってました。でも実際に彼に会ってみたら彼はとんでもな
くナイスガイでした。彼ともすぐに打ち解けて、今ではイリノイで一番仲の良
い友達です。来る前に先輩が「ルームメイトと本当の友達になるのは難しい。
ただの共同生活者になる可能性のほうが高い。」と言っていましたが、僕の場
合は幸運にも本当の友達になれたようです。

今学期にとっている授業の中ではスピーチのクラスが一番面白くてやりがいを
感じます。このクラスでは1セメスターに6回のスピーチをみんなの前でするこ
とになっていて、僕はすでに4回やりました。最初のスピーチは「自己紹介ス
ピーチ」でした。人生初の100%アメリカ人たちの前でのスピーチ。「彼らは
僕のことをどう思うのだろう?」そんなことを考えたらとても緊張してきて話
している間足がガタガタ震えたのを覚えています。

「自己紹介スピーチ」では自分がどういう人間であるのかを色々なエピソード
を入れながら4分間以内で話すことになっています。僕は「小さいころからジャッ
キーチェンにあこがれていてずっと彼のようになりたかった自分」を4分間熱
く語りました。結果はなかなかでした。

僕の目標は「分かりやすく、ユーモアのあるスピーチをする」です。いかにし
て聴衆に理解させるか、そしてかつ笑いを取れるか。毎回が真剣勝負です。原
稿は見ないで話すことになっているので前日と当日の朝は練習の雨嵐です。得
に、ネイティブスピーカーではない僕は人より話すスピードが遅いのでなるべ
く速く話せるように練習、練習、練習です。前日と当日はかなりストレスがた
まるのですが、スピーチが終わったときのあの快感はたまりません。もう病み
付きです。

生活面では、寮のカフェテリアが食べ放題式なので食べる量が日本にいるとき
の2~3倍程度に増えてしまいました。さらにほぼ毎日のようにIMPE(キャン
パス内のジム)に通ってハードにトレーニングしているため、アメリカ人より
も「アメリカ人」をしている感じです。このペースで肉体改造が進むと僕も将
来はカリフォルニア知事になれちゃうんじゃないかとちょっと思ったりもしま
す。

他のJICの奨学生の中村さん、砂子さん、江崎さんとはとても仲良くしていま
す。しょっちゅう4人で集まって料理を作ったり、誕生日を祝ったり、その他
色々楽しんでいます。本当にこの3人とここに来られて幸せだなあと常々感じ
ています。この3人は「同士」または「兄弟」といった感じでしょうか。

他の留学生の中では特に韓国の人と仲が良いです。韓国の人とは英語で喋って
いても不思議と日本語で喋っているときのような安心感を覚えます。きっとこ
れは日本と韓国は文化、考え方などで共通項が多いので「言語以外の」コミュ
ニケーションが作用するからだと思います。僕はまだ韓国に行ったことがない
ので、将来絶対行こうと決めました。このようにアメリカ人以外の人々とも親
交を深められるのがこの留学のすばらしいところだと思います。ここにいる間
に一人でも多くの人と出会い、一人でも多くの人と一生付き合えるような友情
を築きあげられたらどんなにすばらしいことだろうと思います。僕はまだ少し
シャイなところがあるのですが、これからはもっともっと積極的に友達作りに
励みたいと思います。

とまあ長々とつれづれなるままに書いてしまいましたが、本当はここでは書き
きれないくらい沢山、すばらしい経験をさせていただいております。このよう
な機会を僕に与えてくださったJICの皆様に深く感謝するとともに、帰国後は
僕たちの後輩のために、またJICの皆様全員のためになにか恩返しが出来たら
と考えています。本当にありがとうございます。