2006年度奨学生 河手賢太郎さんの自己紹介

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は じめまして。2006年度小山八郎記念奨学金留学生として留学させていただくことになりました、河手賢太郎と申します。現在は東京大学で法学を勉強してい ます。ところで“勉強”って何でしょう。覚えること?先生のいうことをノートに書き取ること?覚えたことを試験で完璧に吐き出すこと?そのようないままで 当然視してきたことがいかに特殊であり異質であるかということを、この留学を機にもう一度考え直してみたいと思います。大学で学ぶことの意義、つまり人が 生まれて成長して社会の一員として成長していく過程で大学はなんのためにあるのか。このような疑問についてイリノイ大学の学生とともに考えていきたいで す。

上記の総論部分がまずあり、そして具体的なテーマとしては、私が日々“勉強”している実定法というものの裏にある人の行動原理behaviorを、 political behavior であったりcriminologyであったりlaw and psychologyであったりlaw and public policy であったりするような一般的には法社会学や政治学と認知されている分野を通して、学ぶことです。

 私のもう一つの目標は、自分がこれから経験することを多くの人に伝えていくことです。8月から迎えることになるシャンペンでの生活は自分だけのものではあり ません。ファンドを提供してくださる方々、JICの先輩方、面接会場で出会ったアツイ仲間たち、そういった方々の様々な思いを受けとめて、経験しっぱなし 楽しみっぱなしではなく、より多くの人に自分の経験を伝えていくこと、これが自分の役割であり貢献の仕方であるのだろうと思います。
長々と大きなことを述べて参りましたが、Thank you とPleaseのこころで、目の前にある物事に全力で取り組み、一人一人との出会いを大切にして、充実した学生生活をすごしていきたいです。

これからもどうぞよろしくお願いいたします!

2006年度奨学生 佐藤真莉子さんの自己紹介

2006-02-satomari.jpg慶應義塾大学法学部法律学科2年の佐藤真莉子です。

現在、大学では法律学を学んでいますが、私は将来報道記者になりたいという夢があり、 イリノイ大学ではジャーナリズムを中心に学びたいと思っています。私が一年間の留学を決めた理由は三つあり、それは今、必ず今回の留学で達成したい私の目 標となっています。一つはジャーナリズムについて本格的に学ぶこと、二つ目は英語を手段として使えるくらいに習得すること、三つ目は様々な経験を通して友 人を作り、人として成長することです。一年間は、長いようですがきっとあっという間に過ぎてしまうと思います。今は「留学をする」ということだけでは珍し くないことなので、いかに自分らしい、充実した留学生活をするかがポイントになってくると思います。一年後、一回りも二回りも成長した自分に出会えるよう 頑張りたいと思います。先輩方には様々な形で助けていただくと思いますが、どうぞ宜しくお願いします。

2006年度奨学生 川島今日子さんの自己紹介

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JIC の皆様、はじめまして!2006年度の奨学生として学ばせていただけることになりました川島今日子です。このたび、アメリカ・イリノイ州に住み、イリノイ 大学で学ぶ機会を頂くことができ、大変嬉しく思います。私は現在、東京大学薬学部の4年生に在籍しています。薬学部といっても、実験科学系ではなく社会科 学系の研究室に所属しており、医薬品の適正使用やインターナショナルヘルスの問題について学んでいます。

 

私 は高校1年時に、ホームステイをしながらオハイオ州の公立高校に通った経験があります。アメリカの一般家庭生活での体験は、大変思い出深いものになりまし た。この経験以後、日本の外に飛び出して多くの人と意見を交わしてみたい、様々なバックグラウンドの人が集まる海外の大学で学んでみたいと考えるようにな りました。そんな折、この留学制度を知り、「チャレンジするしかない!」と応募いたしました。

日 本の大学では、自分の専攻について狭く深く追求するという毎日ですので、イリノイ大学では、現在の専攻にとらわれず、幅広い授業を履修したいと思います。 またそのようにできるのが、JICの制度の大変魅力的な点だと思います。具体的には、スピーチコミュニケーションや、ジャーナリズム、国際関係などに興味 をもっています。また、可能であれば、インターンシップにも挑戦したいと考えています。
以 前友人に”Everything is up to you. It’s you who can make the best of the experience.” と言われたことがあります。今回幸運にも得ることのできた1年間を充実した、忘れられない経験にするために、「自ら積極的に動き、何でも吸収し、思い切り 楽しむこと」を目標にしました。学業に限らず、アクティビティやパーティにも参加し、たくさん友達をつくり、充実したアメリカンライフを送りたい!と思い ます。

2006年度奨学生 西村崇さんの自己紹介

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JIC のみなさま、はじめまして。2006年度小山八郎記念奨学金留学生に採用していただきました、西村崇と申します。現在、東京大学文学部行動文化学科の3年 であり、社会学という、日本ではあまり実態が知られていない学問を専攻しています。簡単に定義をすれば、「人間の生のあらゆる領域を研究する学問」といっ たところでしょうか。実際には個々の研究者ごとに研究領域を絞っていて、今のところの私の関心は「産業・労働」「科学技術と社会」「集合行動」にありま す。

 

世 界で最も社会学が盛んなアメリカで、その中でも留学先のイリノイ大学やシカゴ大学をはじめ、数々の優秀な社会学者を輩出した大学を多数擁するイリノイの地 で学ぶ機会を得ることができて嬉しく思います。今から授業への期待と、内容についていけるかという不安で一杯です。もっとも、就職活動を中断してまで留学 に挑戦するほど好奇心が強いため(笑)、自分の専門の勉強だけでなく、元々興味のあった心理学や経済学、国際関係論など他分野の授業、可能であればイン ターンなどの大学外の活動にもチャレンジしていきたいと思っています。自分の体力と精神力が持ちこたえる限り、全力で疾走していきます。

社会学や英語の勉強、住居探しなど、日本出発までに取り組まなければならないことは山ほどありますが、イリノイ大学での生活を充実したものにするために今から頑張り、かの地で、友人にせよ学問的素養にせよ、かけがえのない財産を手に入れて帰国したいと思います。

中根純香さんの奨学生レポート

2005年度奨学生の1月のレポートの最後を飾るのは中根純香さんです。授業準備のための睡眠不足、休暇に旅行、そしてよい友人関係。イリノイで過ごした人ならどれも懐かしく、共感を覚えるのではないでしょうか? それでは中根さんのレポートをお楽しみください。

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JICの皆様、いかがお過ごしでしょうか。おかげさまで私は風邪一つひかずに順調な新学期のスタートを切ることができました。インターネットのニュースな どで今年の日本の冬の厳しさを耳にしますが、こちらシャンペーンでは昼間は気温も0度を下回ることがなくアメリカ人の友人達によると今年は「異常な暖冬」 なようです。話に聞いていた厳しい寒さを今のところ体験せずにすんでいることにほっとする反面、分厚いコートや雪用の靴などを用意して冬への準備も万端 だったため拍子抜けした感もあります。
前回のレポートをお届けしてから既に4ヶ月近くが経ち、その間に色々なことを体験し何をお知らせしようかと悩みますが、今回は<授業><休暇><友人>についてお知らせしたいと思います。

+授業+
先学期を振り返ってみると、常にレポートや試験そして日々の予習に追われていたような気がします。特にファイナルの時期などは夜に眠っていても夢にまで教 科書が出てきて、友達に「睡眠学習だ」とからかわれる有様でした。ただどのクラスも内容が面白く、自分の興味にある分野だったので勉強が苦になることは全 く無く、必死になって勉強したのは久しぶりだったので逆に新鮮で楽しい時間になりました。
前回のレポートでもPublic Speakingのクラスについてお話しましたが、結局先学期を通してこの授業が一番「取ってよかった」という実感のある授業になりました。スピーチを書 くためのリサーチ、スピーチを書き上げる過程、そして実際にクラスでスピーチをするための練習、などどのプロセスをとっても最後まで悪戦苦闘していました が、それらが「読む」「書く」「話す」といった総合的な英語力の向上に役立ったように思います。毎回自分のスピーチのビデオを見ては反省することの連続で したが、その甲斐があってか学期の最後にはクラスメイトの投票による「Most Improved Speaker」 の賞(賞品のチョコレートバー付き!)を頂き少し自信もつきました。一般にアメリカ人は人前で話すことが得意だと言われていますが、最初のころは緊張した りスピーチの途中で黙り込んだりしていたアメリカ人のクラスメイト達が回を追うことにプレゼンテーションの腕を上げていくのを見て、アメリカ人も決して生 まれつき人前で話すのが得意なわけではなく、このようなトレーニングを通して慣れていくのだということを実感しました。ただ、アメリカ人のクラスメイト達 がどのスピーチにも上手にユーモアを取り入れて笑いを誘っていたのには驚かされました。「ユーモアのあるプレゼンテーション」がこれからの私の課題になり そうです。
現在は新学期が始まって既に3週間が経っていますが、今学期は運良く希望していた授業全てに登録することができました。 Environmental Economics(ECON210), Tomorrow’s Environment(ENVST336), Computer Science for non-tech students(CS105)、Cooperate Finance(FIN 221), Business French(FR486)の5つです。CS105は「せっかくComputer Science で有名なイリノイ大学に留学しているのだから1つくらい授業を取ってみよう」と思い履修したのですが、ホームページを作ったり、これからの授業ではプログ ラミングをしたりと私にとってはかなり発展的で新鮮な体験になりそうです。これを機にコンピューター音痴を治すことができたら、と思っています。その他に も日本での専攻であるフランス語を再開するなど、盛りだくさんな授業内容になりそうですが今学期が最後の学期になるのでできるだけ多くのことを吸収できる ように全力で取り組みたいと思います。

 

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+休暇+
課題に追われる学期中と比べてThanksgiving breakやWinter breakなどの休暇は文句なしにひたすら楽しいもので良いリフレッシュになりました。
Thanksgiving Breakには日本の大学でのサークル仲間を訪ねてカナダのバンクーバーに旅行してきました。アメリカの国内線・バスでのカナダへの国境越えなど初めての ことが多く不安もありましたが、無事にバンクーバーで良い時間を過ごすことができました。その後、シアトルでイリノイでのESLのクラスメイトに合流して 彼女の友人の台湾とアメリカ人の夫婦にシアトルを案内してもらい、シカゴで他の交換留学生達とも合流してアメリカ一番のショッピングシーズンであるという Thanksgiving後のセールを体験して(ショッピングシーズンと言ってもやはり日本のバーゲンの迫力にはかないませんでした)キャンパスに戻って くるという充実した1週間を過ごしました。
そして、ファイナルの後のWinter breakには試験からの開放感も覚めやらぬまま川崎さんと一緒にメキシコのVilla Hermosaという都市に出発しました。現地でUIUCの友達2人と合流し、そのうちの1人の親戚の家にお世話になりました。その親戚一家がとても暖か くもてなしてくれたこと、そして長年の念願だったマヤ遺跡を実際に見ることができたことなど思い出深い旅です。

 

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その後、日本から訪ねてきた両親 とクリスマスをニューヨークで過ごし、シカゴ、シャンペーンと旅をし、新年には日本に帰国しました。日本では卒論を終え後は卒業を待つのみとなった同学年 の友人達が4月からの仕事について話すのを眩しく感じた一方で、私は自分で選んだアメリカ留学という道で自分なりに成長できるように努力しようと改めて決 意しました。
とても充実したThanksgiving休暇と冬休みでしたが、それと同時に周囲の色々な人の優しさを感じた期間でもありました。 Thanksgivingにシアトルを案内してくれたESLの友人の友人夫婦、Winter Breakのメキシコで私たちの訪問を歓迎してくれた友達の親戚一家、両親がシャンペーンに来た際に大雨の中を車でキャンパスを案内してくれたホストファ ミリーなど、本当に周囲の人々のフレンドリーさと有難さを感じ、自分もそのようなホスピタリティーの精神を持ちたいと思いました。

+友人+
先学期を振り返って、1学期の間に得たものは色々とありますがその中でも友人は私の生活の中で欠かせないものです。先学期を通して出身地も様々、交換留学 生や正規の学生など立場も様々な友人が数多くできたのはとても幸せなことです。実は留学前に私は「ちゃんと友達ができるのだろうか」などと不安に思ってい ましたが、そんな心配は全くの杞憂だったことがすぐに分かりました。寮の食堂やパーティーなどで、どんどん交友関係が広がっていき、他愛の無い話から真面 目な話まで様々な話をして多様なものの考え方にふれることができるのは素晴らしいことです。一方で、友人の輪がどんどん広がっていくのと同様に私にとって 嬉しいことは「自分の居場所」とも言えるような、とても仲の良い友達が何人かできたことです。一緒に料理をしたり、勉強をしたり、そんな友人達のおかげで 特にイベントがなくても何気ない日常を楽しいと感じることができています。

先学期の末には一学期間だけの交換留学の友達が何人かUIUCを去っ てしまい、彼らにもうキャンパスで会うことができないことに少し寂しさも感じますが、その中の1人が別れ際に冗談めかして“See you on-line!”と言っていたように今はインターネットなどで連絡も容易に取れる時代なので、連絡を取り続けていつか彼らを訪ねて色々な国を旅行できる ことを楽しみにしています。一方で新学期になってからは、先学期に住んでいたIllini Towerから院生用のSherman Hallに移ったこともあり、これからまた色々な人と出会えるのが楽しみです。
ちょうど1年前の今頃に奨学生としてイリノイ大学に留学できるこ とが決定して期待に胸を膨らませていましたが、その時の期待以上に幸せな充実した時間を過ごして実感しています。このような素晴らしい機会を与えてくだ さったJICの皆様に感謝すると同時に残りの4ヶ月弱を今まで以上に充実したものにできるよう努力していきたいと思います。

写真)①Illini Towerと秋の紅葉 ②Halloween Party にて ③ホストファミリーのお宅でのクリスマスツリーの飾りつけ

川崎藍さんの奨学生レポート

1月の奨学生レポート第3弾は川崎藍さんです。
体調を崩すなどの不運にもめげず、アメリカ大陸を鉄道で旅行したり、新しい交友関係をどんどん開拓したりと積極的に留学生活に挑む川崎さんのレポートをお楽しみください。

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異例の寒さを記録した日本の冬とは対照的に、今年に入ってからというもののシャンペーンは比較的穏やかな気候が続いています。12月の、寒いを通り越して 痛いという表現がぴったりなあの天気が嘘のようです。寒さが本格的になると聞いていた1月も終わり、このままではせっかく準備したスノーブーツや帽子が活 躍しないまま春になってしまうのかと思うと少し寂しい気もします。
さて、今回のレポートでは、先学期から冬休みにかけて起こった、精神的そしてそれを取り巻く環境の大きな転換を中心にお伝えしたいと思います。

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*前学期を振り返って*

前回のレポート後、thanksgivingが終わるとファイナルの準備に突入し、相変わらず毎日が慌しく過ぎ ていきました。そしてこの期間は、私にとって勉強に限らず苦しいことの多い時期でもありました。というのも、視野を広げるという目的のもと、こちらに着い てからとにかく手当たり次第手を出してきたのですが、なかなかペースをつかめずに、自分がここで何をしたいのかを見つけるのにとても苦戦しました。今振り 返ってみると、こうして自分自身を見つめなおし、本当にやりたいことは何なのかを真剣に考えるいい機会だったのですが。10月のはじめ頃に体調を崩してし まったのもペースが崩れてしまった原因のひとつです。休んで早く治さなくてはという気持ちと、一方で課題は容赦なくたまっていき焦る気持ち。体が資本とは このことだとまさに身をもって実感しました。ちなみに当初日本から持ってきた風邪薬を飲んでいたのですが、一週間たっても症状は改善しません。おかしいな と思いMcKinley(学校の保健センター)に行ったところウィルス性の風邪とのことで、抗生物質を処方してもらいなんとか回復しました。(この頃キャ ンパス内でも風邪が大流行していて、McKinleyの予約は二日先までいっぱいになるほどでした。ユニオンでは風邪薬キットが配布されるほど!)日本に いるときは安静にしていれば治るような風邪でも、環境も違い、思っている以上に体がストレスを感じていることもあるので(もしかしたらウィルスの種類も違 うかも?)、無理せずに早めに診察してもらうことをお勧めします。アメリカの薬は強すぎるといいますが、服用頻度下げることで私には特に問題はありません でした。

そんな状態でも友達や家族に支えられ、なんとか無事にファイナルを終えることができました。そしてその後迎えた冬休みは、私に とって貴重な期間となりました。ひとつには、旅のほとんどを自分で計画したことがあります。これまで全て友達任せにしていたので、ホテルや交通手段の予約 や交渉などを一人でやることで英語力と行動力に自信がつきました。さらに、その後日本に帰ったことで常にどこか張り詰めていた緊張感から開放されたのも大 きな要因だったのでしょう。冬休みがあけてキャンパスに戻ってみると、確実に英語力がついていることを実感しました。特にリスニング力は驚くほど上がり、 先学期の後半になってもまだ半分しか聞き取れずに焦っていた講義も、今学期にはほぼ理解できるようになりました。

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*冬休み~アムトラックの旅~*

上に述べたようにとても充実した冬休みを過ごすことができました。ファイナルが終了したその日に中根さん とメキシコに発ち(写真1:パレンケ遺跡)、その後はサンフランシスコ(写真2)、シカゴ、とかなり盛りだくさんです。その中でも特にお伝えしたいのはな んといってもアムトラック(長距離列車)での旅。就職を控え学生生活最後の旅行となる友達と、せっかくだから何かしようということになり、サンフランシス コ~シカゴ間はアムトラックの中でも絶景との言葉に惹かれこれしかない!と迷わずに決定しました。地図をお持ちの方はお気づきかと思いますが、サンフラン シスコからシカゴまではその間ロッキー山脈を越えアメリカ国土の三分の二を横断することになります。しかも寝台車ではなく、普通車で二泊三日の旅ですか ら、誰に言っても「そんなのcrazyだ」という反応がかえってきました。が、実際乗ってみると意外と快適で(というのもアメリカサイズの座席は、日本人 の小さな体にとってはファーストクラスのシート並みに大きいのです)、その景色の壮大さは、飛行機では味わえないものがあります。出発地はあいにくの雨で したが、数時間すると雲の隙間から青空がのぞき、小さな丘と緑の平原が広がります。一日に数駅、しかも10分程度しか停車しないため、一日に進む距離も長 く、雪山から乾いた荒野、赤土のいかにもロッキー山脈といった岩の連なりと、景色が次から次へと変化します(写真3)。そのどれをとっても、さえぎるもの が何も無くとにかく果てしなく広いのです。一面の窓から景色を望める展望車には、常に人が集まります。キャンパス内で会うのは何かとアカデミックな分野に 関係のある人ばかりだったので、さまざまなバックグランドを持つ人たちと話すのはとても新鮮でした。なかでも、アムトラックの歴史(ゴールドラッシュ時に 建設されたこの列車にはさまざまな歴史があります)を通して移民やネイティブアメリカンの問題などを話してくれたAllenさんとの出会いによって、この 旅はとても印象深いものになりました。何も知らなければ広大な平野にただ感動していただけですが、そこに追いやられる形で貧しい生活をしている人たちがい ることを知ってからでは、感じるものは全く違ってきます。このように人と出会い交流できるのもアムトラックの旅の魅力のひとつです。冬の景色は雪や枯葉の 色で少し寂しかったですが、春から夏にかけてはもっと素晴らしい景色が望めるそうなので、ぜひお勧めしたいと思います。

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*Housing問題と交渉*

先学期にさかのぼりますが、寮を決める際に留学生は他の生徒よりも申し込み開始が遅く、直前までどの寮に入 れるかもめたうえ、結局学部生の寮に入ることは出来ませんでした。そこで今学期は他の寮に移ろうと決めていたのですが、ここにきてまたもやトラブルが。例 のごとく引越しの二週間前になってもなんの音沙汰もなく、連絡してみたところ「Sharman(希望していた寮)には空きがないから」と勝手に他の寮に移 されていたのです。しかも、契約をキャンセルするにはお金($1000!)払えとのこと。ここに着た当初の私なら、あきらめて寮に入っていたでしょう。し かしここは自己主張の国アメリカ。この数ヶ月で、納得いかないこと、困っていることがあればとにかく納得の行くまで交渉する術を身に着けました。いちいち 確認しないと対応がいい加減なことも多いのです。逆に言えば、多くの場合交渉の余地が残されているということ。働きかければその分のサポートが返って来 る、これは授業や留学生へのサポート体制などこちらの生活全般に言えることだと思います。

*Sutton Place*

そ んなわけで、無事に寮のキャンセルもでき、今学期からはSutton Placeというところに住むことになりました。ここは甲田さんの住むコスモの隣に位置し、同じく20人ほどがキッチンやリビングなどはシェアして共同生 活をしています。違うところといえば、教会の運営している家なのでハウスメートのほとんどがクリスチャンということでしょうか。もちろん私の様にクリス チャンでなくても温かく迎えてくれます。正直、アメリカに来るまで、宗教という言葉にあまりいいイメージを抱いていなかったのですが(日本で宗教が取り上 げられるのは何か事件が起きたときが多い、というのも一因です。このことについてはまたの機会にお話したいと思います)、そんな心配も杞憂に終わり快適な 毎日を送っています。先日は大掃除ということで、人生初のペンキ塗りに挑戦しました。いろいろペンキまみれになりながらも、担当である天井を無事仕上げ満 足です。いまどき業者に頼まず自分たちの手で家のメンテナンスをするなんて、素敵だなぁと思います。ハウスディナーでは毎週誰かが夕食を作ってみんなで食 べ、時間があるときは映画をみたり、ケーキを焼いたり、とてもアットホームな環境です。引っ越してまだ二週間ですがすっかり仲良くなれました。前回の寮は ほとんどが一二年生だったのに比べ、こちらは院生や社会人も多く、進路の話を聞くことができたり、勉強を教えてもらえたりというありがたい(!)特典もあ ります。前回お話したChicago Weekendで出会った仲間のうち何人かは先学期で留学を終えてそれぞれ帰ってしまい(写真4:thanksgiving@ Harvard University)、寂しいこともありますが、ハウスメートに恵まれたおかげで楽しくやっています。

このように、授業や生活にも余裕 ができ、いい形でのスタートをきることができました。次回は今学期履修している授業の話などをお伝えしたいと思います。この五ヶ月は、新しい体験と共に、 これまでにないほど自分を見つめなおすことができました。年も改まり、心新たに残りの4ヶ月間を満喫したいと思います。遅くなってはしまいましたが、今年 度もどうぞよろしくお願いいたします。

甲田小百合さんの奨学生レポート

月の奨学生レポート第2段は甲田さんです。
シャンペーン生活にもすっかり慣れたものの、まだまだ授業、ボランティア、卓球、語学と挑戦の手を一切緩めることのない甲田さんのレポートをお楽しみください。

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ついこの前元旦を祝ったと思いきや、もう2006年も1ヶ月が過ぎ去ろうとしています。また私がシャンペーンでの生活を始めてから、はや5ヶ月が過ぎてし まいました。本当に時間のたつのは早いものですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?昨年の12月は今まで経験したことのない雪の量に驚き戸惑いましたが、 今年に入ってからというものシャンペーンではめっきり雪が降っておらず、路面を埋め尽くしていた雪もどこかに消えてしまいました。このような気候のおかげ もあってか、新学期が始まってからというもの、風邪も引かず心身ともに非常に充実した毎日を送らせていただいております。さて今回は、前回のレポートで詳 しくお伝えできなかった内容を踏まえつつ、今学期の私の目標をお伝えできればと思っております。

①先学期の授業について
②中学校でのボランティアについて
③卓球の試合について
④語学の勉強について

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①先学期の授業について
私は秋学期には、政治学の授業を2つと教育学の授業を1つとっており、そのほかにESLと中国語(会話がメイン)をとっ ていました。前回お伝えしたとおり、最初の頃は授業の内容を半分理解できればいいほうというような状況でしたが、11月半ばを過ぎてからリスニング力が アップし、90%以上理解できるまでになりました。ノートの分量も格段に上がり、自分でもその成長をはっきり見てとることができ、とても嬉しかったのを覚 えています。ところで、12月の期末試験前に面白い発見がありました。それは、試験の数日前に政治学のクラスのメーリングリストが流れ、内容は一緒に試験 のための勉強会を開こうというものでした。授業の理解度が上がっていったとはいえ、やはり試験に対してかなり不安があった私にとっては、その勉強会はとて もありがたく大いにためになりました。このような勉強会を通してクラスメイトと親しくなれたことも大きな財産になったと思います。しかしその一方で、日本 の大学でいろいろな授業をとってきましたが、今までそのような経験をしたことは一度もなく、個人主義といわれるアメリカの方が逆に集団で勉強しているとい うその姿が非常に新鮮でした。

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②中学校でのボランティアについて
前回のレポートを書いた時はまだこのボランティアを始めたばかりの頃だったため何も詳しく書けませんでしたの で、今回はぜひ中学校での経験をお伝えしたいと思います。私は週に1回3時間Urbana Middle Schoolに訪れ、ボランティアとしてESLの授業にお邪魔させていただいております。そのESLのクラスでは、6年生から8年生までの生徒が全部で 20人ほど一緒に勉強しており、私のそこでの主な仕事は1人の中国人の男の子のそばに座り、彼をアシストするというものです。ESLといっても生徒の英語 のレベルは実際はばらばらで、ほとんど不自由なく教師が言ったことを理解できる子もいれば、アメリカに来る前にほとんど英語に触れる機会がなく、教師が何 を言っているのか全くわからない子もいます。その中国人の男の子もまさに後者でして、私がはじめて中学校に訪れた時、彼は本当に授業の内容に困惑している 様子でした。さて私はといえば、中国語を多少勉強しているとはいえ、その場で英語から中国語に通訳ができるはずはなく、ありとあらゆる中国語の知識とそし て日本語の漢字を駆使して、少しでもその生徒が授業についていけるように頑張っています。言語の壁は厚くなかなか意思疎通が難しい上に、各休み時間が3分 程度しかないので生徒と個人的にしゃべる時間もほとんどないため、生徒との信頼関係を作っていくのに最初のうちはかなり苦労しましたが、毎週訪れ少しずつ その生徒と接する時間が増えていくうちに、その子にも笑顔が見られるようになってきました。また、毎週その子の様子をそばで見ていくことで、子供の適応能 力の高さ・すごさを間近で実感しています。まだ授業中何をすればいいのかわからないことも大いにあるようですが、しかし一歩ずつ確実に彼の英語力が上がっ ていっているのがわかります。今学期も引き続きこのボランティアを続ける予定なので、少しでも彼の助けができるように頑張るとともに、私自身彼からいろい ろなものを学んでいけたらと思っています。

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③卓球の試合について
これも前回少しお伝えしましたが、私は一橋では体育会卓球部に所属しており、イリノイ大学でも卓球部を見つけ、週に1回が 限度でしたが練習を継続して行っておりました。そして昨年の11月に、大学対抗公式卓球リーグ団体戦のメンバーの一人として試合に出させてもらうことがで きました。留学生かつ週に1回しか練習に参加できなかったのに選手として出させてもらえたことを本当に嬉しく思っています。名目上は男女混合の団体戦とい うことでしたが、7大学のうち女子の選手は私だけで、実質男子団体戦に混ぜてもらったような形となりましたが、私自身の成績は3勝3敗とアメリカ公式戦デ ビューとしてはまずまずの結果が残せたと思います。しかし何より嬉しかったのは、私が試合をしている時に同じチームのメンバーが熱いエールを送ってくれ、 かつセット間にたくさんのアドバイスをくれたことでした。まだこちらの練習に参加して3ヶ月程度の私をチームの一員として迎え入れてくれたことは本当に嬉 しく、とても感動しました。また、一緒に戦ったという共有意識のおかげか、この日をさかいにクラブの仲間とも今まで以上に親近感が生まれたこともまた大き な収穫でした。今学期も引き続き練習に参加し、また3月頃に開催されるリーグ戦に選手として出られるよう頑張りたいと思っています。

④語学の勉強について
先学期は毎週火曜と水曜に無料の英会話クラスに参加したとお伝えしたと思いますが、今学期は、水曜の同じ英会話クラスに通うのに加え、一対一の英会話にも 参加し、残りわずかとなった留学生活をできる限り有意義に使い、語学力をさらに上げていきたいと思っています。またこれらを通じて様々な人に出会い、文化 や価値観、宗教などの話を聞くことができるのもこうしたクラスに参加する大きな理由の一つです。大学の授業を通じて知識を深めることも勿論大事なことです が、大学のクラスの中だけではなかなか作りにくい個々の人間関係を別の場所で築き、英語を学びながら様々な国の歴史や文化をより深く学ぶことも、この留学 の大きな意義の一つであると考えています。というわけで、今学期は上で挙げたアメリカ人との英語の練習だけにとどまらず、インド人にヒンディー語、中国 人・台湾人に中国語を個人的に教えてもらいながら、私も彼らに日本語を教え、言葉を通じた文化交流をしています。

以上、授業、ボ ランティア、卓球、語学について、前学期に経験したこととともに今学期の目標を加えてお伝えさせていただきました。今学期の目標をまとめますと、前学期始 めたことを継続して行い、知識・人間関係ともに、より深く確かなものを築き上げるといった感じです。残り半分をきった留学生活を大いに満喫すべく、今年も 精一杯頑張ろうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。なお、次回は2月16日にCosmopolitan Club House で開くJapanese Coffee Hourの様子もお伝えできたらと思っています。これは、私達奨学生4人のほかこちらでであった数人の日本人が主催します。昨日もこれに向けて皆で話し合 いを開いたところでして、少しでも多くの人が日本に興味を持ってもらえるよう頑張りたいと思います。

なお、今回添付させていただいた写真は、卓球のリーグ戦、水曜の英会話クラスの打ち上げパーティー、教育学の授業の最後の時にそれぞれ撮ったものです。お楽しみいただけると幸いです。