Japan House Fund Drive Leadership Committee開催される

12月初旬、イリノイ大学日本館において今年最後のJapan House Fund Drive Leadership Committeeが開かれました。出席者は(順不同・敬称略で)Morton Weir (議長), Pamela Christman, Kimiko Gunji, Bruce Hutchings; Ingrid Hutchings, Roger Laramee, David Mungenastそして Cynthia Voelklの皆さんでした。同委員会には日本人卒業生を代表して、原史郎JIC会長がメンバーとして加わっていますが今回の委員会へは業務上の都合で出 席されませんでした。

これまでの募金活動の報告

2004年から開始された日本館基金募金活動は、これまでにアメリカと日本での実績を合計して約150万ドルの成果を挙げたとの報告がなされました。その内訳は右の通りです。

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本におけるJICの基金募金活動の報告

同 委員会の席上、原会長から提出された報告書を基に日本におけるJICの活動経過が披露されました。JIC会員の皆様はご存知のように、JICでは2千万円 ($175,000)の目標金額を掲げ,これまでに3企業と1個人から合計$64,000の募金を集めました。日本においてJICが率先して募金活動を展 開していることは同委員会でも高く評価されており、今後に実施予定されている日本企業やJIC会員を軸とした寄付集めやラッフルズ募金に対し大きな期待が 寄せられています。

 

 

今後の現地における活動予定

イ リノイ大学日本館基金募金活動は総額2百万ドルを目指し、2010年1月1日まで展開されます。現地Leadership委員会では、今後さらにより多く の寄付金を集めるべく具体的な方策が検討され実施に移されることが合意されました。今後の寄付が期待出来る方々のリストをさらに洗い直して、寄付の要請を 確実に行なう事や、その周知徹底の為にイベント開催、ダイレクトメールの発送、さらにテレマーケティングによるコミュニケーション手段を効果的に組み合わ せて実施する事を決定いたしました。

 

 

現地Leadership委員会からの報告を受け、原史郎JIC会長は次のコメントをなされました。

『  JICとしても日本における基金募金活動をこれまで以上に活発化させて、イリノイ大学日本館およびLeadership委員会からの要請にお応えしなけ ればなりません。 基金募金活動を取り巻く環境はなかなか厳しいものがありますが、イリノイ現地サイドでも色々と工夫や努力を重ねて着々と成果を挙げてき ております。 JICが2007年から実施予定しているJIC会員や企業からの寄付金集めやラッフルズ募金は是非とも成功させたいと思います。 JIC会 員の皆様にはより一層のご支援・ご協力をお願い申し上げます。

また、
今年のJICの諸活動に対する皆様からのご支援・ご協力に感謝をいたしつつ、2007年がJIC会員ならびに皆様のご家族にとりまして、素晴らしい年であられるようお祈り申し上げます。
どうぞ 良いお年をお迎え下さい。』

(財団チーム 白旗修)

【日本館基金募集活動報告】 エクソンモービルから50万円の支援を受ける!

エ クソンモービル有限会社はExxonMobil社の日本法人で、明治時代のスタンバック社創業開始から約120年の歴史を持ち、エッソ・モービル・ゼネラ ルのブランドは皆さんに馴染みの深いガソリンスタンドや石油製品と思われます。同社は企業として社会とのより良い関係や係わり合いを目指しており、毎年主 催されるエクソンモービル音楽賞や児童文化賞は40年以上も続いています。

この程、同社はJICの日本館基金募金活動に賛同し、50万円の支援を決定されました。この支援金はイリノイ大学日本館活動基金に組み込まれます。
2004 年のJIC年次総会で会員の皆様の総意で決定されたJICの日本館基金募金活動は、此れまでにトヨタ自動車株式会社($25,000)、株式会社ニューシ ティコーポレーション($25,000), 原史郎JIC会長($10,000)の実績に加え今回のエクソンモービル(50万円)が上積みされました。今 後の更なる活動の環を拡げる為に、JIC会員皆様のより一層のご支援・ご協力をお願いいたします。

(財団チーム 白旗修)

佐藤真莉子さんの2006年11月奨学生レポート

佐藤さんから今年度奨学生の11月分レポート第1弾が届きました!多種なアクティビティや有意義な授業、ホームステイなどいろんなことに挑戦している佐藤さんの奮闘記をご覧ください!

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JICの皆様、お久しぶりです。

今年の8月からJICの奨学生としてイリノイ大学で勉強させていただいております、佐藤真莉子です(編集部注:こちらの→ブログもあわせてご覧ください)。

期待と不安でドキドキしながら成田で飛行機に乗ってからもう3ヶ月が経つのかと思うと、時間が過ぎることの早さに驚いています。今回のレポートでは、シャンペーンでの生活や授業について、そしてこちらに来てから考えたことや思ったことなどを中心にお伝えしたいと思います。

期待と不安でドキドキしながら成田で飛行機に乗ってからもう3ヶ月が経つのかと思うと、時間が過ぎることの早さに驚いています。今回のレポートでは、シャンペーンでの生活や授業について、そしてこちらに来てから考えたことや思ったことなどを中心にお伝えしたいと思います。

①シャンペーンでの生活について

私 がシャンペーンに到着したのは8月15日、ぎりぎりまで東京でインターンシップをしていたので、4人の中で私が最後に日本を離れました。実は日本にいる間 に、先に到着していた西村君から「意外と寒いので長袖を持ってきたほうがいいよ」というメーリスが流れてきました。実際に日中は日差しも強く暑いのです が、夜になると急に涼しくなったのを覚えています。出発する前日に荷物を入れ替えて大正解でした。

いざ到着してみると、荷物がひとつ届い ていない、というアクシデントに見舞われました。この時期、多くの学生が大量に荷物を持ってくるので、シャンペーンに飛んでくる小さい飛行機には乗り切ら ないということがよくあるのだそうです。不安に不安がかさなりましたが、いざ私の住みかとなるCosmopolitan Clubに到着すると、すぐにコスモに住むアメリカ人のSharylが食料品の買い物に連れて行ってくれました。その日は眠さに勝てず食事をせずに寝てし まったのですが、彼女は夜中に届いた私の荷物を部屋まで届けてくれたり、着いて早々コスモに住む人の温かさを感じました。幸いなことに、その日はぐっすり 眠れたので、時差ボケは全くありませんでした!

着いてから2週間は怒涛のように過ぎていきました。銀行を開く、履修登録、生活用品の買い 物などなど、やらなければいけないことに追われていました。そんな中でも、International Studentのためのイベントやパーティーなどにはできる限り参加していたため、着いて間もなくものすごい数の人と出会いました。今でもそのときに出 会った友達と仲良くしています。こちらの人はすぐに電話を使うので、携帯電話をプリペイドではなく1年契約にすればよかった!と今更ながら後悔するほどよ く使っています。私は現在Facebookやメッセンジャー、携帯電話など様々な連絡手段を使って友達と連絡を取り合っていますが、これらがなかったらど れだけ生活が違うんだろう?と考えてしまいます。何はともあれ、友達が食事や映画に誘ってくれることはかなり嬉しいことです☆

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②両親の訪問とシカゴ旅行

こちらに来てちょうど一ヶ月経ったときに両親がここシャンペーンを訪ねてきました。両親の滞在中は、かなりの時間を買い物に費やしました。ベッドのマットやプリンターなどを買ってもらい、両親のおかげでかなり生活が豊かになりました。感謝です。

実 はコスモでは毎週日曜日の夜、コスモの誰かがコスモの住人のためにディナーを作る、という習慣があります。・・・というか、今年からできたそうです(笑) 両親の訪れるちょうど一週間前、「新しくコスモに住む人は順番にその国の料理を作って振舞うんだよ!今週はMichelleがメキシコ料理を作るから、来 週はまりこの番だよ!」と突然言われました。本当に偶然だったのですが、私の番は両親の訪問と重なっていたため、日本で料理屋を営む両親と一緒にすきや き、天ぷら、煮物などを作りました。サインアップすれば誰でも参加できるということで、当日は私がいろんな人を誘ったこともあり、まるでCoffee Hourのような賑わいぶりでした。川島さんや他の日本からの留学生にも手伝ってもらったので、来年に控えているCoffee Hourはバッチリだと思います☆

実は両親がこの時期の訪問を決めた理由は、シカゴでの野球の試合のカードがホワイトソックスvsマリ ナーズだった、ということです。井口、城島、イチローという日本人3選手が一度に見られてしまうのです!こんなチャンスはめったにない、ということで、両 親とは別に、急遽川島さんと一緒に週末のシカゴ旅行をしました。シカゴピザ、チャイナタウンでの夕食、美術館めぐり、ミシガンアベニューでの買い物・・・ と、大満足の旅でした☆

③授業について

今 学期、私はIntroduction to Journalism,Introduction to the Media,Introductionto  Advertising, International Reporting,International Communicationという授業を履 修しています。

International Reportingは元シカゴトリビューン紙の記者をしていた学部長の授業です。彼は日本で 長い間働いていたので、かなり日本語が上手な上に、日本についてとても詳しく知っています。日本のこととなるといつも私に話題を振ってくれるのですが、た まに私よりも日本に詳しいことがあるので、あぁ、もっと日本について勉強しておくべきだった、とひしひしと感じています。このクラスに限らず、授業中に 「日本では・・・」と発言するときは、私が日本の代表です!外国で生活するということ、外国の文化を学ぶということは、同時に自国の文化、政治、経済など 日本という国について学ぶことだな、と感じます。日本について発言するときはかなり責任を感じますし、自分が日本人であるということを再確認します。

ジャー ナリズムのクラスでは、毎週のようにレポートの提出があるので、いつも何かしらの期限に追われています。友達に誘われたときにう~ん、と悩んでいると、 「またペーパー?まりこはいつもペーパーに追われてるよね」と笑われるほどです。でもこのペーパー、日本と大きく違うのは、誰かにインタビューする、とい う要素が必ず含まれていることです。しかも、友達ではない人にインタビューすることが原則となっていて、さらにインタビューした人の名前と連絡先が必須な ので、かなり大変です。インタビューの練習で、授業中に「今から外に出て2人にインタビューして、今回の選挙についての記事を書きなさい」という課題が出 たときは頭が真っ白になりました。でもとにかくやらなきゃ!ということで知らない人に声をかけ、インタビューさせてもらい、なんとか記事が書き終わったと きには安堵感と達成感でいっぱいでした。日本では決してこんな刺激的な授業は受けられないな、と思います。こちらに来てから何が一番延びたか、と言われた ら、「英語力」ではなく「度胸」と答えます。☆

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アカデミックな授業はこの5つですが、実は私は今学期Classic BalletとBlack Chorusを履修しています。

バレエ は日本でも10年以上続けていたので、こちらでも続けたいな、と思っていたところ、たまたま取れるクラスがあったので履修しました。そしてBlack Chorusは、もしかしたら今学期履修している中で一番楽しいクラスかもしれません。今年は指揮者であるDr.Davisの教師生活25周年の Silver Anniversaryということで、例年にも増してコンサートが多いようです。2時間半の練習が週に2回、体力的にきついときもあります が、いざ歌い始めると楽しくて時間を忘れてしまいます。最初Black Chorusというのが何を意味するのかよくわからなかったのですが、授業に行っ て「あ~、こういうことだったのか」とわかりました。履修している生徒の大半がBlack,つまりAfrican Americanだったのです。実は最初に教室に入ったときはビックリしたのですが、授業が始まってみると、まるで映画「天使にラブソングを」の中に迷い 込んだかのような錯覚に陥りました。彼らの声量に鳥肌が立ちました。最初は打ち解けられるか不安でしたが、みんなとても優しくて、すっかり打ち解けられた 気がします☆

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この授業を履修したことで、日本では全く考えたことのなかった人種問題について考えるようになりました。日本にいたときは周りにいるのはほとんどが日本人 というのが当たり前だったので、人種問題について真剣に考えたことがありませんでした。しかし、ここアメリカでは未だに差別が残っていることを強く感じる 瞬間も多くあり、Black Chorusを履修している私としては見過ごせない問題です。ひとつの授業がきっかけでこれだけ深く人種問題について考えら れるこの環境は、やはりこの留学なしにはできなかったことだと思い、私に留学という機会を与えてくださったJICの皆様に感謝しています。

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④アクティビティ

授業とはいえどもBlack Chorusとバレエは一種のアクティビティ、それに加え、シャーマンホールのバレーボー ルチームに入れてもらってバレーボールの練習をしていました。残念ながらトーナメントの2回戦で敗れてしまったのですが、シャーマンに住んでいないのに仲 間に入れてくれたチームメイトに感謝です。ほとんどがInternational Studentというおもしろいチームでした。

そして バレエのクラスの友達が、新しくカンパニーを作るからメンバーにならないか、と声をかけてくれたので、来学期にステージを踏むために週に一回集まって話し 合いをしています。まさか明らかにアメリカ人ではない私に声をかけてくれるとは思っていなかったのでびっくりしました。バレエに限らず、やはり「アメリカ 人」と友達になるのは難しい、と感じていたので、クラスメイトに誘ってもらえたことはとても嬉しかったです。ちょっと大げさですが「文化は国境を越え る!」と感じました。

授業の都合上あまりできていないのが現実ですが、WILL-TVというローカルテレビ局でボランティアもしていま す。司会者の読むプロンプターという機械を操作したり、タイトルロールを出すのを手伝ったり、カメラを操作したりと、かなり番組に関わらせてもらっていま す。将来報道記者になりたい、という夢を持っている私にとって最適の環境です。私は以前東京のテレビ局でアルバイトとインターンシップをしていましたが、 そこはとても大きな規模だったので学生が携われる部分はほんの少しでしたが、ここはかなり小規模なので、そのぶん学生でもかなりの域まで番組に関わること ができるのが魅力です。来学期はもう少しWILL-TVでのボランティアができたらな、と思っています。

基本的に平日は授業と課題が中心 ですが、火曜日の夜はバレーボールの試合、水曜日の夜は近くの教会で歌の練習→友達の家を訪れる、木曜日のお昼は友達とランチ→日本館でお茶をたてるボラ ンティア、夜はCoffee Hour→Murphy’sのThursty Thursday、金曜日のお昼は友達とランチ、週末は友達と過ごすという生 活を送っています。

実はシャンペーンにきてから一ヶ月たったころ、時間ができたときに声をかけられる友達が日本人しかいないのではないか と思い、さらに予想以上に日本人が多く、思った以上に日本語を話していることにかなり欝になりました。週末も部屋や図書館で課題に取り組むこともしばしば ありました。コスモに住んでいる人はほとんどが大学院生で生活時間が異なるため15人一緒に住んでいるわりにあまり顔を合わせたり話したりする機会が少な いこと、ルームメイトがいないことなども寂しさが増す原因だったのかもしれません。しかし、ちょうどそのころHomecoming Football  Gameがあり、思い切って最初の頃に友達になったInternational Studentの子たちに声をかけてみました。すると返事は 100%YES!日本ではあれだけアクティブに過ごしていた私なのに、なぜこっちではそれをしなかったんだろう?と今考えると不思議です。きっと最初は生 活に慣れること、そして授業についていくことに精一杯で頑張り過ぎていたんだと思います。それ以降、かなり積極的にいろいろなことに参加するようになり、 どんどん友達の輪も広がりました。今では日本にいる頃と同様、毎日のように誰かと会う、という生活をです。やはり私はいろんな人と会い、関わり、語り合う のが好きなんだな、と再確認しました。

そしてもうひとつわかったことがあります。それは私は都会が好きということです(笑)シャンペーン で生活していた頃には気づきませでしたが、一度シカゴに行ったら、なぜか東京がものすごく恋しくなり、軽くホームシックにかかりました(笑)シャンペーン ではひたすら勉強と友達と語ることに没頭し、休みには旅をしたいと思います。

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⑤サンクスギビング

9日間にわたるサンクスギビングは、シカゴ、ワシントンDC、ボストン、プロビデンスにいる友達を訪れる旅をしまし た。同じバレエのクラスをとっている友達が、サンクスギビングに彼女の家に来ないかと誘ってくれたので、彼女の運転でシカゴ郊外にある彼女の家へ。なんと 私はゲストルームに泊めてもらいました。彼女の家はとても立派で大きくて、このままそこに住みたい、と思うほどでした。電車でシカゴに行ってミシガンアベ ニューの点灯式とパレードを見たり、家でDVDを見たりゲームをしたり、アメリカでの家族の生活を垣間見ることができました。快適なベッドに別れを告げた あとはワシントンDCへ。同じ大学から交換留学でジョージタウンに来ている友達のところを訪ね、ちょうど三田祭の休みを利用して日本からやってきた同じ大 学に通う友達と合流しました!久々の友達との再会はとても楽しくて、DC観光はもちろん、夜は毎日熱く語り合いました。

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そして最後の目的地、ボストンへ。DCからはアムトラックで移動しました。かなり快適でオススメです☆私が大学1年生の春休みに1ヶ月間ボストンに短期留 学していたときのホームステイメイトが現在ロードアイランドにあるプロビデンスの大学に通っているので、彼女の家に泊めてもらいました。この旅、なんと宿 代0円なんです!!すべて友達のところに泊めてもらうという快挙を成し遂げました!やはり友達ってすばらしいです。私の夢は、世界各国に一人ずつ友達を持 つこと!無茶なように思えますが、これが成し遂げられたら本当にコスモポリタンな人間になれるような気がします☆そして電車でボストンまで出て、 Black Fridayと呼ばれるサンクスギビングセールへ!シャンペーンで冬を生き延びるために手袋、コート、ブーツを購入しました。お買い物のあと は、かつてのホストマザーの家にお邪魔しました。一日遅れのサンクスギビングディナーを頂き、1年半ぶりの再会を楽しみました☆1年半前、彼女の家を離れ るときは二度と会えないかも知れない、と思って大号泣でしたが、今回は笑顔で別れました。もう一度会いたい、と思っていれば必ず会える、と実証できたから です!ホームステイメイトと別れるときも、絶対にアメリカで、そして日本で、韓国で再会しようね!と約束しました。次に会えるのが楽しみで仕方ありませ ん。

以上、シャンペーンについてから約3ヶ月をまとめてみましたが、とてつもなく長くなってしまいました。まだまだ書ききれないことはいっぱいありますが、自分の頭
中に蓄積して思い出を持ち帰りたいと思います。

気づけば今学期は残り2週間、1セメスターで帰ってしまう友達との別れが待っています。しかし、必ずまた出会えると信じ、今はできるだけたくさんの思い出を作りたいと思います☆

一期一会、これからも充実した生活を送れるようにがんばります!

川島今日子さんの2006年11月奨学生レポート

川島さんからも11月分のレポートが届きました!なかなか慣れない授業に奮闘しつつ成長していく姿は、なつかく思われますね。タップダンスやカメラマンとしてのボランティアなど見所たくさんあるので、お楽しみください。

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JICの皆様お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。早いものでイリノイに来てからもう3ヶ月半が経ち、季節も陽射しの照りつける夏から紅葉の秋へ、 そして澄んだ空気の初冬へと変わりました。この間、忙しいながらも、中身のぎっしりと詰まった充実した日々を過ごしてきました。今回はその中か ら、<housing>、<授業>、<ボランティア>、<シャンペーンでの生活と友人>についてご報告 したいと思います。

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*Housing*

私は大学寮ではなくオンキャンパスのアパートを、他の二人の学生と借りて住んでいます。これは近年のJICの奨学生の 方々の中では珍しい選択のように思います。アパートを選んだ理由は、自炊がしたかったことと、自分のベッドルームを持ちつつも他の学生と一緒に暮らすとい う体験がしたかったことです。出発前に、Study Abroad Office HPの掲示板でアパートをシェアしたいという人を探しました。相手もアパートも見ずに、1年間の滞在先を決めるのは多少不安ではありましたが、シェアメイ トとe-mailやメッセンジャーで話し、信頼して決めました。シェアメイトは台湾系アメリカ人の学生二人なのですが、お互いの料理(中華料理・日本料 理)に興味をもって話をしたり、台湾でも人気のJ-popの話で盛り上がったり、冗談を言い合ったりと仲良く生活しています。当初は私が日本語を教え、代 わりに中国語を習うという約束をしていましたが、お互い忙しさにかまけてこの語学レッスンを忘れていたので、これから実践していこうと思います。まだ雪が 降っていないので、キャンパスを自転車で駆け抜ける毎日です!

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*授業*

今学期は、Public Speaking、International Communication、Intro to Advertising、Community Health Organizations、Tap Danceという5つの授業を履修しました。

Public Speakingは以前の奨学生の皆さんからも推薦されている授業です。この授業では、話す内容を適切にリサーチすること、論理的で分かりやすい文章を書 くこと、聴衆に向けてスピーチを展開すること、という3つのステップを体系的学びます。今までスピーチの手法について学ぶ機会はなかったので、大変新鮮で あり、また能動的に授業に参加できる喜びがあります。毎回最も苦労するのがスピーチテーマを選ぶ段階ですが、それはアメリカ人の学生も同じようです。彼ら がどんなテーマを選ぶかも、大変興味深く、アメリカの学生の興味や問題意識を知る良い機会となっています。例えば、警察の職務質問における人種差別問題に ついて、軍隊での女性進出についてなど、日本人学生とは異なったテーマ設定が多く見られます。先日、スピーチをした後でクラスメイトからもらったコメント カードを少し緊張しつつ読んでみると、「テーマが面白い」「論理的でわかりやすい」「アイコンタクトが上手」「納得させられた!」など予想以上にたくさん 褒めてもらい、感激しました。まだ課題もありますが、スムーズで説得力のあるスピーチを目指して、残る1つのスピーチを頑張りたいと思います。

International Communicationでは、南北問題を初めとする国際社会の課題をコミュニケーションの視点から議論します。授業は進度が速く、リーディングの量も 多く、また私に基礎知識があまりないため、苦労していますが、扱う内容が大変面白いです。グループワークもあり、アメリカ人の学生達と図書館で頭を突き合 わせて議論しています。中間レポートと格闘していた時、ふと理系学部で学んできた私が今は、情報化社会と発展途上国の主権の問題について英語でペーパーを 書いているという事実に自分で驚いたものでした。今まで学ぶ機会のなかった分野を新たに身につけている実感があり、確実に視野が広がりました。

週 2回のTap Danceの授業は、リフレッシュできる楽しい時間です。初級者向けクラスとは名ばかりで、20人のクラスメイトのうち初心者は私を含めて3人だけでした ので、最初は心配でしたが、クラスメイトが本当に親切にわからないところを教えてくれます。また毎回早めに行って質問しながら自己練習をしているため、イ ンストラクターとも親しくなれました。このクラスの中でTap Danceは、様々なダンスの要素を取り入れてアメリカで生まれたダンスであり、アメリカが誇る貴重な文化だと知りました。

私の日本での 専攻は薬学と経済学ですが、イリノイ大学では、あえて専門外で興味のある分野を幅広く学びたいと考えました。現在は、今学期の授業と下記のテレビ局でのボ ランティアを通して、メディアとコミュニケーションに興味を持っています。来学期もこれに関する科目を履修する予定です。もちろん、Tap Danceも続けます!

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*ボランティア*

私は時々WILL TVというローカルテレビ局でボランティアをしています。このボランティアは佐藤さんに教えてもらいました。キャンパスにあるテレビ局で小規模ですが、私 にとってはスタジオも機材も初めて見るものばかりで面白いです。ボランティアといっても、生放送番組の制作を見せてもらうのが主です。しかし先日は、実際 にIllinois Gardenerというガーデニングに関する30分間の番組でカメラマンをやりました。私の操作するカメラの映像がライブでオンエアされているので緊張し ましたが、とても貴重な体験でした。また、11月のアメリカ中間選挙前には、Election 2006という関連番組の撮影を見る機会がありました。これは立候補者や有識者を呼んで政策について議論し、電話で視聴者からの質問も受ける番組です。ス タジオでは司会者とゲストとの議論が白熱し、コントロールルームではディレクターがスタッフにどんどん指示を出して番組を作り上げていきました。本当にエ キサイティングな制作現場を見ることができ、勉強になりました。さらに、このテレビ局の多くの仕事を学生が担っていることに驚きました。私が見せてもらっ た生番組のスタッフも、ディレクター他数人の責任者を除いては全て学生で構成されています。

もう一つ私が携わっているボランティアは、大 学のクラナートセンター(コンサート、演劇などの多目的施設)での案内係です。クラナートセンターには学生に限らず一般の方も多くいらして、バレエ「くる み割り人形」やオペラ「フィガロの結婚」など質の高いパフォーマンスを楽しんでいます。案内係にはそれぞれ座席が与えられ、無料で(!)鑑賞できるので大 変楽しめます。今では、お客さんに”Welcome!” ”Hello!”とにっこり微笑んで声をかけることも板に付いてきました。こちらもKCSAという学生組織と一般組織の連動で運営されています。

こ れらテレビ局やクラナートセンターの例に限らず、イリノイ大学では多くの組織に学生が積極的に関わっていると感じます。キャリアセンターの履歴書の書き方 に関する説明会に行けば学生がプレゼンをしてくれますし、レポートに関するアドバイスサービスも学生がやってくれます。クオッドでは、募金を呼びかけた り、Krispy Kremeのドーナツを売ってファンドレイジングをしたりする学生団体を毎日のように見かけます。学生のボランティア精神もさることながら、それをサポー トする社会や大学の体制も確立されているのだと思います。学生が様々な活動に携わる機会が用意されていて、自ら能動的に動けば多様な体験ができるのです。 この点は、私が経験してきた受動的で社会との関わりの希薄な日本の大学生活とは異なっていると感じています。

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*シャンペーンでの生活と友人*

私は高校時代にオハイオ州で一年間ホームステイをした経験があるので、アメリカでの生活は二度目です。 シャンペーンはトウモロコシ畑の真ん中あるいはMiddle of nowhereとよく言われますが、以前私の住んでいた地域に比べるとまったく不便ではありません。徒歩圏内にお店がある!バスシステムがある!!空港も ある!!!シカゴのような大都市からは少し遠いけれど(LEXで3~4時間)、典型的な中西部の生活と充実した勉強環境を満喫しています。

し かし、ここで一番大切に感じるのは、やはり人との出会いです。今シャンペーンで私の周りにいる全ての人が、8月から今までに新しく出会った人なのだと考え ると、なんと密度の濃い時を過ごしてきたのだろうと驚かされます。親しくなった友人のうち何人かは秋学期だけの留学生で、12月末には帰ってしまうので、 とても寂しいです。過去の複数の留学経験から、離れている友人とのKeep in touchの実践は口でいう以上に難しいと感じていますが、ここで培った信頼関係は長く続けていきたいです。そして、これからの更なる出会いに期待して、 たくさんの素晴らしい人間関係を築きたいと思います。

ご報告したいことがたくさんあり、いくらでも書けてしまいそうです。冬休み にはイリノイ大学の短期留学プログラムでウィーンへ行って勉強してきますので、次回はそれも含めてご報告いたします。この貴重な留学の機会を与えて下さっ ていますJICの皆様、イリノイ大学関係者の皆様に心から感謝しております。そしていつも支えてくれている家族とたくさんの友人へ、ありがとう。
これからも、新たなチャレンジと今しかできない経験を通して成長していく姿をどうぞ見守っていただけますよう、宜しくお願いいたします。

 川島 今日子
東京大学経済学部経済学科3年

(東京大学薬学部を卒業後、経済学部へ学士入学いたしましたので、前回と所属が変わりました)

西村崇さんの2006年11月奨学生レポート

西村さんから11月分レポートが届きました。Global Crossroadsでの賑やかな寮生活と、ドミニカ共和国へのフィールド調査など、興味深いレポートをぜひお楽しみください。

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JICの皆様、お久しぶりです。皆様、いかがお過ごしでしょうか。シャンペーンでは綺麗に色づいていた紅葉も既に散ってしまい、日本より一足先に冬の訪れ を感じています。ここ2,3年は暖冬が続いていたため、これまでの奨学生の方々からも地元のアメリカ人の友達からも「今年の冬は普段以上に寒くなるだろ う」と忠告を頂きましたが、時折気温が10度以下になる日々が2,3日続くぐらいで、幸いにして今のところは快適な気候の中で過ごしています。シャンペー ンに到着してから既に3ヶ月が経過しましたが、私の中ではいまだに「もう」3ヶ月と言うべきなのか、「まだ」3ヶ月というべきなのか悩んでいます。なぜな らこれまでの3ヶ月は、「まだ」3ヶ月と言えるほどに勉強面でも日常生活の面でも密度の濃い日々を送ってきたからです。今回のレポートでは、日々の生活に 焦点を絞って奨学生生活を報告していきたいと思います。

(日常生活)

私は、学部生の寮であるPARの中にある Global Crossroads(GC)というコミュニティに住んでいます。このコミュニティはLiving Learning Communityというイリノイ大学の学部寮のプログラムのひとつで、勉強面での関心が似通った学生に共同生活の場やコミュニティ専用の授業を提供する ことで、文字通り生活しながら各コミュニティに沿ったテーマを学んでいくための場です。GCは国際交流の場を提供するためのコミュニティで、異文化に関心 をもつアメリカ人学生と留学生が半数ずつ、男女に分かれて二つのフロアに住んでいます。オープンラウンジを設けてあるなど通常の寮のフロアより開放的な造 りになっているために、部屋を出て少し歩いただけでも必ずフロアメイトの誰かと出会わないことはなく、毎月開かれるBirthday PartyやChicago へのOne day tripなど寮生間の交流を深めるプログラムも盛りだくさんで、フロアメイトとは「同じフロアの住人の顔を全員知っているフロアなんてGCぐらいじゃな い?」とよく言い合っています。留学生活のスタートを切る場をGCにするか院生用のSherman Hallにするかで、渡米前に散々悩んだのですが、GCでの住人間の交流の活発さと、友人を訪ねた際に入ったSherman Hallの閉鎖的な感じ(住んでないので実際にどうなのかは分かりませんが)と比較して、心からGCに住んでよかったと思いました。

普段 の生活は、今のところ良くも悪くも勉強中心にしています。私の留学生活での目標の一つは、ネイティブの学生や各国からの留学生と十分に議論できるだけの能 力を身につけることです。日本人の中ではいくらか英語ができるほうだとはみなされていても、ネイティブや英語圏での生活が長い留学生達に十分に対抗しうる にはまだ力不足であることを、こちらに来てから残念ながら実感いたしました。そこで、今学期は来学期に飛躍するための準備期間と位置づけて、日々懸命に勉 強に励んでいます。留学生活最初の1~2ヶ月ほどは、課題の多さに慣れるのが大変で生活のサイクルを確立するのが大変でしたが、最近では生活に慣れたこと もあって順調に過ごしています。

ただ、勉強に励んでいるだけでは学部生の身分で来ているのにもったいないと思い、課外活動も充実させるよ うにしています。1つの学生組織に専念して活動しているわけではありませんが、掲示板のフライヤーなり、友人に教えてもらうなり、あるいはQuad Dayで登録したメーリングリストから流れてきたメールなりで知ったイベントの中で興味があるものには積極的に出かけていき、例えばPumpkin Patchなど日本ではなかなか経験できないような活動を楽しんでいます。奨学生選考の際に留学への意気込みを問われて、「睡眠時間以外は1分1秒たりと も無駄にせずに活動したい!」と言ったのですが、実際は睡眠時間を削ってまで何事にも精を出しているというのが現状です(笑)

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(授業)

今 学期は、Public Speaking, Intro to International Relationshipと自分の専門である社会学からIntro to Social StatisticsとTechnology and Society、またESLの発音クラスを履修しました。最近では冬休み中に参加するドミニカ共和国での短期留学プログラムのミーティングも始まり、日々 課題との格闘の日々が続いています。

こちらでの授業の全体的な印象を一言で言えば、学生を一定の水準に育てようという意志を教官達から強 く感じます。資料の調べ方や文献の読み方を教えるといった方法論から初めて、大量の文献課題や何度も課される大小のレポート、あるいは数度にわたるテスト やスピーチを乗り越えさせることで、どんな生徒でも必ず何らかの知識やスキルを身につけられるようにカリキュラムが組まれているように思われます。一言で 言えば、「生徒を手取り足取り教えている」といった感じで、その反面ある授業の中で何を勉強するかの自由度は低いように感じます。よく「アメリカの大学の 授業ではディスカッション形式が多くて積極性が求められるが、日本の大学の授業は講義が中心だから受身のままでも何とかなる」といいます。しかし課題の量 の多さゆえに、むしろ授業の内容に対して積極性を発揮しにくいアメリカの大学の授業のほうなのではないかと思います。典型的なアメリカ人への見方に「アメ リカ人は個人の自由を最大限に重んじる」というのもありますが、日本の大学、少なくとも東京大学のほうが何を勉強するかに関して個人の自由度が各段に大き いというところに妙なおかしさを感じます(もっとも、自由というよりも放任といったほうが正しいですが・・・)。

もっとも、教育機関とし ての責任を果たしているのがどちらなのかは言うまでもありません。更に言えば、イリノイ大学は勉強へのサポート体制も非常に充実していて、生徒に意思さえ あればいくらでも勉強を深めることができる点はとても魅力的です。教官はオフィスアワーを設けているばかりだけでなく、事前にメールを出せば大抵の日時で アポイントが取れますので、ほぼいつでも勉強内容に関して質問が出来ます。また、全米3位と自慢する図書館も素晴らしく、今年出版された本ですら大量に見 つかるほどの蔵書の充実振りには溜息すら出ます。単に蔵書の充実振りだけではなく、文献調査の都合でこれまでいくつかまわった分野別図書館では、各分野の 趣向を反映しているのかそれぞれの図書館の装飾などに独自の「色」があって面白いです。文献調査に関しては、図書館のHP上にある各種オンラインジャーナ ルから学問分野を問わずあらゆる種類の論文をダウンロードすることも可能で、方向性をしっかり定めて課題の下調べをしないと、逆に文献情報の渦に飲み込ま れてしまいそうになる程です。要求水準が高い授業が多いだけに、それぞれの課題に対してきちんと準備をするのが大変ですが、それだけにやり遂げた時の充実 感もまた大きいです。勉強していて充実感を味わうのは大学に入って以来久々なのではないかと思います。

今 学期の授業で出席していて一番楽しいのは、ドミニカ共和国での短期留学プログラムです。この短期留学プログラムは去年度の奨学生であった白水さんが発見し たもので、各国ごとに設定されたテーマに沿いながら、文献調査や現地でのフィールドワークを通してGlobalizationが社会に与えている影響を集 中的に学んでいくというものです。(余談ながら、今年は私や川島さん、佐藤さんと奨学生4人中3人も参加する人気振りです)。私の参加するドミニカ共和国 でのプログラムでは、Globalizationがドミニカ共和国へ与えた影響を、政治・経済・社会の面から分析していきます。既に事前ミーティングが二 度開かれ、専攻も学年も多様な約20人が交じり合って、活発に議論を戦わせました。前回のミーティングは、アメリカとメキシコの国境地帯にある多国籍企業 の工場での過酷な労働がテーマでしたが、議論の内容がアメリカの現ブッシュ政権の正当性にまで及び、教官が仲裁に入るほどでした(笑)この授業に限らず、 アメリカ人学生の議論はしばしば方向性がずれていくのが玉に瑕ですが、自分の意見をとにかく発していく積極性は見習わなければならないなぁと思います。白 熱した議論に割り込んでいくのはまだ難しいのですが、このプログラムが終わるまでには堂々と意見を表明できるだけのレベルに自分を高めていきたいと思いま す。

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今回のレポートでは生活面での話題に絞って報告させていただきました。新たに出来た友人たちとの交流や、こちらで接した日本観あるいは日本文化への視線な ど書きたいことは山ほどありますが、まだまだ考えを整理するのに時間がかかりますので、次回以降のレポートで報告していきたいと思います。

冒 頭では、「まだ」3ヶ月というべきか「もう」3ヶ月というべきかについて悩んでいると書きましたが、正直なところを申しますと「まだ」3ヶ月という感覚が 若干強いです。日々の生活が決して楽しいことばかりではなく、着いた当初はむしろ大変に感じることのほうが多かったからというのもありますが、今はむし ろ、来学期は今学期よりも更に活動の範囲を広げられるという予感がするからです。この予感を予感のまま終わらせないよう、来学期はこれまで以上に頑張って いきたいと思います。

最後になりましたが、渡米以前から私達奨学生のサポートをしてくださっているJICの皆様方、UIUCと東京大学の関係者の方々、昔からの日本の友人達、イリノイで新たに出来た友人達、そして両親と家族にこの場を借りて心から感謝いたします。

2006年11月30日
西村崇
東京大学文学部4年
行動文化学科社会学専修課程

河手賢太郎さんの2006年11月奨学生レポート

河手君の11月分レポートが届きました!積極的な授業への参加、クリスチャングループやスピーチサークルなど多彩な活動に勤しむ河手君のレポートを存分にお楽しみ下さい。

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JICの皆様
ご無沙汰しております。
JIC奨学生の河手賢太郎です。日本を発ってから早くも3ヶ月が経ちました。 Thanksgiving Holiday も終わり、いよいよファイナル(期末試験・最終レポートの締切)の時期に突入します。学校全体が緊張感につつまれるこの時期、遠く日本へ思いを馳せつつ、 私は第一回のレポートを書きおえました。

以下、学期全体を振り返り、授業や課外活動を通して私が感じたことを表現してみました。

<授業について>

今 学期、私はCriminology(犯罪学)、Leadership Study(リーダーシップ学)、College Writing、International Relations(国際関係) の4つの授業をとりました。はじめの1カ月間は先生の言っていることや生徒の発言がうまく聞き取れず、大変な思いをしました。しかし、mid- term(中間試験)が終わった10月ころからは次第に慣れ、自分から発言できるようになってくるにつれ「授業へ貢獻しているな」と実感できるようになり ました。アドバイザーや担当教授に無理して頼んで履修させてもらっている科目は「途中でドロップアウトなんかしたら恥ずかしい」という思いから、とにかく ついていきました。膨大なreading とwriting のアサインメントや頻繁にあるテストの準備におわれるという、「やらされる」勉強をしたのは、自分の人生のなかで小学校以来はじめての経験でした。自発的 に何かを勉強する(悪く言えば、自分の好きなことを自分のペースですすめていく)ことに慣れていたため、「勉強すること」の意味について考えさせられまし た。

社会学・政治学系の授業や講演を聞いて私が感じるのは、
第一に、現政権あるいは権力保持者に批判的な先生が多いということです。
た とえば現政権の対テロ政策を批判したり、警察・検察・裁判所という刑事司法の各機関が内包する矛盾を説いたり、いまの世の中で引き起こされている人権侵害 を糾弾したり。時には「一方的な意見だなあ」と思わされる時もありますが、学生の批判的な精神を涵養するという点で、いい意味でアカデミズムを体現してい るのかな、とも感じました。また、11月には中間選挙というアメリカ国民にとってのビッグイベントがあり、政治への関心の高まりが先生達を熱くしたのかも しれません。

第二の発見は、授業中に質問をすることに大きな価値が置かれていることです。
どの授業でも共通することですが、質問 が大いに奨励されます。特に、クラスに新しい切り口を提供するような質問は”That’s, actually, a really good question!”と言われ嬉しくなります。creativeな質問をすることがクラス全員にとって有益だし、そういうふとした疑問点から discussionやinteractionが生まれてくるのです。それ故、授業後に個人的に質問しにいくという方法(私が日本でやっていた方法)とい うのは、こちらでは「イケてない」わけです。” Why didn’t you ask that question in the class?”と言われることもありました。授業を聞いて瞬間的に思い浮かべる疑問や矛盾を適格に発言する能力が毎回の授業でためるのを日々感じていま す。質問することは、たとえ成績には反映されずとも、先生に気に入られ、他の学生にも認知され、学習意欲をますます高めてくれます。

<犯罪学について>

特に印象に残った犯罪学の授業についてご紹介します。
犯 罪「取締」大国とも言えるアメリカ。(全世界に約800万人いるとされる刑事施設に収監されている者のうち、4分の1にあたる約200万がアメリカの刑務 所・監獄に収監されているという驚異的な統計に表される。)そのアメリカ社会の深部に横たわる人種や性に基づく偏見がいかに法執行・刑事司法に影響を与え るのか、を主に分析する授業で、もともと法と社会・文化の関係に興味があった自分にとって目を開かれるような内容です。

この犯罪学を教え るAnna-Maria Marshall先生の以下の一言が印象的でした。“The world is very complicated place and if you don’t engage with the people who disagree with you, you have no idea how complicated it is.” どれほどに世の中が利害対立に満ちたフクザツなものであるかを理解するためには、自分とは異なった意見を持つものと日々対峙することが大切なの だ・・・そのためには「ブログなり、授業なり、新聞なりのメディアを通して他者の意見を読み、自分の意見を発信し、ひろく受け入れられるアイディア・価値 観を形成していく。善きCitizenshipとはその絶えざる繰り返しなのよ。」

アメリカという多様な民族・文化が入り混じり、social justiceに関する問題が日夜噴出する国では、よりendurableなアイディアをもとめ、日々アイディアを闘わせることが、不可欠なのだなと痛感させる一言でした。

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<課外活動について1>

せっかくアメリカに来て毎日の授業を受けているだけではもったいないし、授業だけではアメリカ人の友 人もあまりできないと感じ、私はInterVarsityというクリスチャン・グループの門を叩きました。そもそも古典としての聖書に興味があり、西洋の 精神の根底に横たわるキリスト教を学びたいと思っており、キリスト教徒がどういう価値観を抱いているのかにも興味がありました。そして彼らは、クリスチャ ンのコミュニティに飛び込み、好奇心の塊のような自分を快く受け入れてくれました。

InterVarsityはLarge Group MeetingとSmall Group Meetingという主に二つの活動によって成り立っています。Large Group Meetingは毎週金曜日に150人程が町のメインストリートに面したLoftにあつまり、牧師が聖書を解説し、人生訓を話すのに耳を傾け、皆で worship song賛美歌を歌う。賛美歌も、pop musicのようで、若者文化とキリスト教がうまく融合しているように感じました。
Large Groupとは別に、Small Group Meetingという毎週一度Bible Studyがありますう。同じ寮に住むInterVarsityのメンバーが文字通り4~5人で集まり、聖書のパッセージを精読します。単に聖書をよむだ けではなく、お互いの日々の経験をシェアする時間もあり、世界観・人生観に話が及ぶこともしばしばありました。
その他にもWork Dayというボランティア活動やRetreatという合宿もありました。

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InterVarsityの活動を通して感じるのは、これまで抱いていたキリスト教観が変わったということです。すなわち「数ある宗教のうちの一つでしか ないんだ」、というイメージしかもっておらず、いわゆる「本のなかの知識」でしかなかったものが、急に生き生きとした知恵になってくるのを感じました。ま た、宗教が映し出す一つの世界の下で生きている人がいるんだということ自体、新鮮でした。

<課外活動について2>

課 外活動の第二の柱はスピーチ・ディベート部です。もともとスピーチのスキルを磨こう思っており、またマンツーマンで指導してもらえる体制が整っていたこと もあり、迷うことなく入りました。授業との両立が難しく、ようやくPersuasionという種目(聴衆を説得するためのスピーチ)で12月中旬に開かれ る大会に出場することができそうです。テーマは「非効率的な性犯罪者規制」というもので、犯罪学の授業で得たインスピレーションを基につくりました。

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<thanks giving holiday>

感謝祭休みは、私の留学生活のハイライトの一つです。アメリカ国民が選ぶ住 みたい町No.2と言われるNapervilleというシカゴ郊外の町にある友人Benの家にステイさせてもらいました。高層ビルが立ち並ぶというより も、閑静な住宅街が広がる小さな町で、治安がよく、教育水準も高いそうです。さて、Thanks Giving Holiday のメインイベントはなんと言っても24日夜のThanks Giving Dinnerです。「ウエストの大きなズボンをはいていきなさい」と多くの人が言っていた通り、Turkeyやマッシュポテトをはじめ様々な家庭料理をお 腹一杯ご馳走になりました。

そこで翌日は、私が日本の家庭料理をつくりました。その日の晩御飯はすべて自分の両肩にかかっていたため、本当に緊張しました(汗)。「Ken,この肉じゃがとお味噌汁、すごくいけるよ」と言われた時には嬉しかったです。
Ben は、昨年の9月から3ヶ月日本の専修大学へ留学していたこともあり、「方丈記や平家物語のあの無常観が好きなんだよ」というくらい大変な日本通でした。連 日連夜、日米の文化についてお互いの疑問点をぶつけ合い、太平洋戦争にまで話しが及ぶこともありました。こうした意見交換ができることこそが留学の意義な のではないかと感じます。

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<留学一般について>

留学をすることの意義について考えみました。一言で留学とは何か。非常に抽象的な言い方ですが、「世界 観・人生観の相対化」だと思います。一人一人との出会いがこれまで自分の拠り所としてきた価値観を相対化し、自分の生き方を考えさせてくれます。また、新 しい生活習慣や規律を身につけるいい時期でもあります。日々感じるのは、自分で幅を決めてしまわずに、自分の価値基準以外のことに積極的に挑戦すれば、ど んどんチャンスが生まれ、人との出会いの場を与えられることです。
また私は留学を通して、いかに自分が周りの人に生かされているかを実感しています。
ノ ンストップアクション映画のような毎日を送り、あまりに忙しさに日本にいるお世話になった人への連絡を怠ってしまい、申し訳ないという思いに駆られます。 この場を以て、いつも私を支えてくれる家族や友人、そして留学という貴重な機会を下さったJICの皆様、留学前に貴重なアドバイスや励ましの声を送って下 さった奨学生の先輩方に心より感謝申し上げます。

留学生という一時の「お客さん」ではなく、近い将来、過去を振り返った際、イリノイ大学が文字通り”Alma Mater”(母校)と感じられるようになるくらい、積極的かつ意識的に残りの留学生活をすごしていきたいと思います。

東京大学法学部4年
河手賢太郎