10月1日から2008年度の小山八郎記念奨学金の奨学生を募集してまいりましたが、本日で願書を締め切りました。多数応募いただき、ありがとうございました。
2009年度の奨学生募集については、小山八郎記念奨学金ブログにて情報提供を続けていきます。
Japan Illini Club is a registered alumni association overseas of the UIAA (University of Illinois Alumni Association). Japan Illini Clubは米国イリノイ大学(Urbana-Champaign校、Chicago校、Springfield校)の日本における同窓会組織で、JICまたはイリノイ大学日本同窓会とも呼びます。 同窓会としての活動の他、40年以上に渡って小山八郎記念奨学金制度を運営し、毎年4名の奨学生を University of Illinois at Urbana-Champaignに派遣しています。
10月1日から2008年度の小山八郎記念奨学金の奨学生を募集してまいりましたが、本日で願書を締め切りました。多数応募いただき、ありがとうございました。
2009年度の奨学生募集については、小山八郎記念奨学金ブログにて情報提供を続けていきます。
JIC奨学生の八尾 泰洋さんからの2007年10月分奨学生レポートをお届けします。
八尾さんはコンピューターサイエンスの授業に熱心に取り組む一方で、ASBというボランティア団体に所属して勉強会や募金活動にも参加しているようです。 募金を集めるために、自分達でクッキーを焼くいうのもアメリカならではかもしれません。それでは、八尾さんのレポートをお楽しみ下さい。
JIC の皆様こんにちは、いかがお過ごしでしょうか。早いものでイリノイ大学に来てからもう二ヶ月が 以上たってしまいました 。10 月の半ばまでは半そでで平気なくらい暖かかったのですが、最近は風も冷たくなり、冬の到来を感じています。 今までの留学生活を一言で総括すれば、「よく学びよく遊んでいる」というところでしょうか。聞いていたとおりほとんどの授業では毎週宿題の提出があるので 否応なしに勉強しなければいけない環境なのですが、それでも特に週末ともなるとほかの学生達に巻き込まれてバーに繰り出すなど、せわしない毎日を過ごして います。授業について今学期はCS231 Computer Architecture 1, CS273 Introduction to Theory of Computation, CS421 Programming Language & Compiler, CS296 Honors Course, ESL115 Academic Writing と、自分の将来に役立てることができるような授業をとりたいと考えて履修をした結果、結局コンピューターサイエンスずくしのようなカリキュラムになってし まいました。しかし、コンピューターサイエンスで有名なイリノイ大学でこれだけの授業を取ることができ、カリキュラムには満足しています。
中でも 一番印象的な授業はCS421 です。この授業は大学院の学生とも合同の授業で、授業中は前のほうに座っている大学院生らしき学生 が先生に常に質問を投げかけている熱い雰囲気の授業です。しかもこの授業はこの範囲をカバーしているテキストがないということで、授業中の先生のスピーチ を理解しなければならず、留学初期に は 聞き取ることができないまま 授業がどんどん進んでいき、ドロップすることも考えました。しかし、イリノイ大学ではエンジニアリングの大学院生用の講義は授業のビデオをインターネット を通して見ることができるのを知り、 9 月の半ばくらいに24 時間営業のグレンジャーライブラリに飛び込みそれまでのほぼ全ての授業を繰り返し聞き取れるまで見直しました。これによりきちんと聞き取れれば理解できる ということがわかり、それからは授業を受けたあとにわかるまでビデオを見るようにしました。そうして迎えた初めてのミッドタームは 100 点中99 点。先生の言っていることを全て理解しようと集中してビデオを見ていた結果、ほかの学生が聞き逃していたようなことも聞き取っていたのかもしれません。ま だ一回テストがあっただけなので両手を離して喜ぶわけにはいきませんが、これからもこの勉強方法を最後まで継続していきたいです。そしてもうひとつ この授業で 印象的な点は、授業を一緒に受けている留学生たちと仲良くなったことです。最近では授業後に一緒にご飯を食べたり宿題をしたりするのが恒例になっており、 ドロップしなくて本当によかったと感じています。
イリノイ大学について
小さな町だからでしょうか、ここでは皆大学の中で生活をしているという印象を受けます。授業の合間にユニオンに行 けば多くの学生がおり、ドームや大学の近くのレストランで食事をし、週末には皆大学のすぐ近くのバーに繰り出し、図書館では 24 時間学生たちが勉強をしています。皆遊ぶ場所も勉強する場所も同じなので知り合いと会うことも多く、一週間会わなければしばらく会っていなかったような感 覚を覚え、実際「久しぶり」と挨拶をしたりもします。東京で大学生活を送っていたときは、大学から離れたところに住んでいる学生も多く、皆遊ぶ場所もばら ばらだったので、休日に知り合いに会うことなどまれでしたが、こ こ ではどこかに行けば まず誰かに会います。
このような環境だから か、学生たちがつながっているような印象を受けます。例えば僕はASB (Alternative Spring Break )という長期休暇にボランティアトリップをする団体でThanksgiving 休暇とWinter Break にオハイオとテキサスに行くのですが、そのグループで出会った学生たち の中には友達の友達、友達のルームメイト、バーで会う人など多くの学生と誰かを通してつながっていて 本当に驚きました。それもよく考えてみれば皆同じ場所で生活をしていて、遊ぶことも主に話すことという大学内の知り合いができやすいこの町ならではの特徴 なのだと思います。その反面、遊ぶ場所やすることはさすがに限られていて、毎週同じ ような ことばかりをしているのです が、僕はこの小さな町が気に入っています。
課外活動について
上にも書きましたが、僕はASB という団体のボランティアグループに所属しており、秋休みと冬休みにはボランティアトリップに行きます。さらにこの団体では休暇前から様々な活動があり、 週一回のミーティング、募金活動、スカベンジャーハントなど、そして二つのグループに所属しているので、これらがすべてが 2 倍になっています。ミーティングは主に勉強会のような感じで、自分たちのボランティアに関わる新聞記事などをみんなで紹介しあい、意見を述べたりしたりす る形式になっています。授業とは違って先生がいるわけではないので、その分皆率直に自分の意見を述べているような印象を受けます。 当然僕にも発言が要求されるので、自分なりに本を読むなどして勉強をしています。Winter TripはImmigration and labor rights というテーマでテキサスに行くのですが、この問題は今まで自分にはなじみが全くなく、最初は発言も億劫でしたが、メンバーの優しさにも助けられ、最近はメ キシコからの移民に関する文献を読んで勉強をし、少しずつですがまともな発言ができるようになってきていると思います。
そして 募金活動はまずクッキーやブラウニー を焼くことから始まります。こちらでは募金をしてくれた人にはお返しにお菓子などを提供する風習があるようです。クッキーを最後にいつ焼いたかもわからな い僕にとっては、 10 人ぐらいのメンバーで話しながら お菓子作りをしたことが大変新鮮でした。さすがに風が冷たい中の募金活動は楽しいというわけにはいきませんでした。発音がうまくできていなかったみたいで 人が近づいてきて募金をしてくれるのかと思いきや、「何を言っているのか」と尋ねられるなどということもありました。しかし、皆で募金活動をすることでメ ンバーの一体感が増しましたし、生まれて初めての経験だったので、これはこれでよい経験です。
寮について
僕は ISRというUndergraduate Resident Hallに住んでいます。部屋は三人部屋で一カ月程度韓国系アメリカ人の学生とアメリカ人の学生と三人で生活をしていたのですが、韓国系アメリカ人の学生 はシェアマンホールに引っ越してしまい、今は二人部屋になっています。奨学生の方々から聞いていた通り、ISRはほかの寮よりは静かな寮です。 PARに住んでいる友達は夜中に奇声が聞こえると言っていましたが、ISRではそのようなことはまず起こりません。静かなところはよいところでもあるので すが、寮の中で知り合いができにくいことも事実だと思います。
しかしなんといってもこの寮の良いところはキャンパスに近いというところ です。特に僕のとっているコンピューターサイエンスの授業はノースキャンパスで開かれるので ISRからは歩いて数分で行けるのですが、ほかの寮からだとかなり行くのが大変だと思います。そして、ISRは Green Streetに面していて数分歩けばバーが立ち並ぶ地域に行けるので、どこかに遊びに行くのには最適な立地です。寮の中で遊ぶということはあまりありませ んが、この立地のおかげで外に出かけることが多くなっているように感じます。
最 近ではすっかり生活にも慣れてしまって、毎日当たり前に授業に出たり友達と話したりしていますが、数か月前の自分とはかけ離れた生活をしている自分にふと 気づき、自分は本当に幸せ者だと感じることがあります。このような素晴らしい環境で勉強する機会を与えてくださった JICの皆様には本当に感謝しております。これからもより留学生活を充実させていけるように、精一杯毎日を過ごしていきたいと思います。
2007 年度イリノイ大学小山八郎記念奨学生
東京大学工学系研究科システム量子工学専攻修士一年
八尾泰洋
JIC奨学生の長谷川 貴也さんからの2007年10月分奨学生レポートをお届けします。
長谷川さんはカヌーの授業を取ったり、ミニオリ ンピックに参加したり、とイリノイ大学の環境を活かしてスポーツを楽しんでいるようです。スポーツと言えば、UIUCの広いフィールドやジムなどで気分転 換をされていた方も多いのではないでしょうか。それでは、長谷川さんの文武両道な奨学生レポートをお楽しみ下さい。
2007年度JIC奨学生として八月から留学させていただいております、慶應義塾大学経済学部4年の長谷川貴也と申します。大学1年時に訪れたアメリカで大きな衝撃を受け、彼らと同じ環境で勉強してみたいという気持ちがきっかけで留学を決意いたしました。出発前には多くのJICの方々が叱咤激励してくださり、到着後も訪問してくださった小助川さん、郡司先生を始め日本館の関係者の方々に多くのアドバイスをいただきありがとうございます。これから1年間ニュースレター、奨学生レポートという場をお借りして、こちらでの経験をお伝えしていきますのでよろしくお願いいたします。現在こちらでは、急激に寒くなり始め、未知のイリノイの冬を前に戦々恐々といった感じです。それ以外に関しては何の不安もなく、外部と遮断されたキャンパスタウンでの生活を楽しんでいます。こちらに到着後、何もわからず困ったとき、JICの過去のレポートを幾度となく、参考にさせていただきました。そのレポートを、大学内のユニオンで今書いていると思うと不思議な気分になります。8月10日に日本を離れ紹介してもらった方(友人の、知り合いのシアトル時代の隣人の兄弟)のもとで10日間シカゴでお世話になった後、シャンペーン入りしました。そこで思った以上に英語が通じないことに戸惑ったのは2ヶ月前のことです。その間今までに無い経験をしました。何から書こうか迷ってしまいますが今回は思いつくままにレポートさせていただきたいと思います。●授業について
履修登録では、教授の許可を得られていたものの、ビジネスの授業がadviserに認められず、またその理由が交換留学生であるからとしか説明されず、その対応に多いに不満をもちました。ならばと開き直り、とことんリベラルアーツを満喫することにしました。その結果、どの授業も興味深いものとなり、で非常に満足しています。今学期の履修ではESL115 (academic writing), SOCW200( intro to social work), ECON102(Micro Economics), GEOG/BA 205(Business location decision making), KIN107(Canoeing) の5コース13単位を選択しました。取りたい授業は他にもあり、専攻科目である国際経済を取ろうかとも考えましたが、自分の英語力の無さに直面したため、来セメスターに回し今学期は英語の改善に重点を置くことにしました。ただレベルを抑えて履修したとはいえ、質、量ともにハードなソーシャルワーク、テキストを使わない上、教授の文字が読めない都市経済学などはかなり苦労しました。授業の理解度は科目や内容によって1割の日もあれば8割の日もありますが、徐々に聞けるようになっているという手応えがモチベーションに繋がっています。
KIN105では他の授業と異なり、毎週湖に出かけたり、川に日帰り旅行に行ったりと想像以上に時間をとられましたが、人命救助、自然環境、船のデザイン などの話を交えつつ楽しく過ごすことができました。なにより仲良くなったメンバーで毎週移動中に会話できたのが良い思い出です。ESLで良かったのは多く の留学生と毎日会えるのが楽しく、ライティングの形式を学ぶ以外にも会話の時間が多く楽しみながら通っています。
●寮生活について
PAR の中にあるIntersection living learning community で暮らしています。この寮の特徴を挙げると、遠い、クーラーがなく夏暑い、1年間食堂が改装中で使えない、さらに朝7時半になると工事のドリル音が響くな ど悪い点しか思い浮かびません。それでも何故か居心地が良く寮に関しては楽しい思い出ばかりです。オーストラリア人のルームメイトは自分とタイプは全く異 なりますが、朝に弱いところは共通していて、毎日「明日は起きる!」とお互い誓いながら2人とも昼まで寝ているなんてこともたまにありますが。お互いフロ アで数少ない交換留学生ということもあり、良いコンビかもしれないと最近思います。寮での出来事イベントを挙げればきりがないので簡潔に述べさせていただ きます。実は最初は言葉が不自由なだけでなく、人種の壁を感じることが多く、フロアメイトと揉めたこともあったのですが、徐々に一体感がでてきました。ア メリカ育ちの日本人達に本当に助けられ、韓国人に励まされ、といった感じでそこからネットワークが広がっていきました。よくあんなひどい英語で友達ができ たなぁと思うのですが、これも彼らがきっかけを与えてくれたおかげです。寮では本当に出会いに恵まれていて生活の大部分を占めています。食事に関しては今 もですが、まずいまずいと言いながらアメリカ人以上の量を食べている気がします。また、深夜に韓国系のスーパーで買ってきた大量のカップ麺を韓国人達と食 べるのもひとつの楽しみです。食事に関してもどちらかというとアメリカンフードを楽しんでいるというべきかもしれません。
●Mini‐Olympic
9月の終わり頃には、さまざまな団体が寮や国ごとにチームを作って8種目のリレー競技を行うオリンピックに日本人チー ムとして参加しました。ちなみにオリンピックと言っても種目は身体能力だけでなく作戦、チームワークが重視される競技が中心でした。(主力は韓国人でした が)軽い気持ちで参加したのですが、前日から作戦会議、代表選考など監督の力の入れようが凄まじく、真剣勝負でした。他国の気合も同様に凄まじく、アメリ カのパワーをみせつけられた気がしました。そんな中で、結果は36チームが参加したなか、final4まで勝ち残り最後は綱引きで惨敗したものの、堂々の 銅メダル獲得でした。このイベントでは初対面の人ばかりでしたが、アメリカ育ちの日本人、交換留学生、大学院生、日本語を勉強中の学生などが1つになり、 自分が日本人だということを一番意識した日でした。
●スポーツ
前述しましたオリンピックもそうですが、こちらに来たばかりの頃、スポーツが本当に心の支えとなってくれました。授業開始直後、留学生 向け、新入生向けパーティーなどのイベントがほぼ毎日開かれ、何かしらに絶えず参加する日々が続きました。正直それ自体はすごく楽しかったのですが、毎日 ひたすら自己紹介をするにに疲れ、だんだん人との出会いが面倒に感じるようになったこともあります。ですがサッカーなどスポーツを通じて出会った人たちに は英語が聞き取れなくとも、いつも以上に積極的に(悪く言えば強気)コミュニケーションが取れる自分がいることに気づきました。週末プレーしたサッカー リーグ戦、ほぼ毎日行われるcrceでのインドアサッカー、寮での卓球など、勝負に熱くなりやすい自分にとってはそういう場での出会いは貴重な出会いの場 となっています。プレーするだけでなくフットボール、女子サッカーなどカレッジスポーツの応援も大いに楽しんでいます。今年度はフットボールの調子が良 く、現時点で6勝3敗。全米ランキングにも名を連ねるなど、観ていて楽しめる試合が続いています。バスケットボールもあの神様と呼ばれたマイケルジョーダ ンの息子ジェフェリージョーダンが今年の1年生におり、これから盛り上がりそうです。カレッジスポーツだけでなく、メジャーリーグも日本人選手が活躍して いることもあり夢中になっています。スポーツ好きの私にとってシャンペーンは観る分にもプレーする分にも申し分の無い環境です。
このよう な感じで日々暮らしていますが、今の自分の不甲斐ない語学力を認識し、その点だけは危機感を保ち続けようと思います。環境が整ってまだまだ生活が楽しくな るという予感がしますが、会話が上達することでその幅も更に広くなると改めて痛感しているところです。また、ここまでの2ヶ月は様々な団体が開いてくれる イベントに参加することで楽しみを享受してきました。ですが自分で何かやりたいという気持ちが強くなっているのを感じます。これから新しく始めようと計画 していることがあるのですが、それについてはまた次回伝えたいと思います。イリノイの寒い冬に負けてはいられません。全力でぶつかり、駆け抜けていきたい と思います。
以上まとまりのない文章になってしまいましたがお許しください。これからもご支援の程よろしくお願い申し上げます。
JIC奨学生の湊 麻理子さんからの2007年10月分の奨学生レポートをお届けします。
湊さんは、ドイツ語の授業を履修したり、Krannert Centerでボランティア活動をしたり、と楽しみながら様々なことに挑戦しているようです。そんな湊さんのアクティブな奨学生レポートをお楽しみ下さい。
JICの皆様初めまして!いかがお過ごしでしょうか。
2007年度奨学生の湊麻理子です。日本では一橋大学法学部に所属し国際政治を専攻し ております。こちらでは、国際紛争を社会学やジャーナリズムの視点から学ぶこと、そしてアメリカでの生活そのものを通して人間としての視野を広げ、成長す ることを目標としています。89年から91年までシカゴに住んでいたこともあり、もう一度、今度は留学生としてイリノイにこられたことをうれしく思ってい ます。
アーバナシャンぺーンで、日に日に冬に近づくのを感じています。Main Quadも、こちらに到着したばかりのころは夏本番という風情でしたが、木々が美しく紅葉して秋の表情を見せています。八月中旬にイリノイに到着してから2ヶ月あまりが経過しました。正直なところ無我夢中で日々を乗り越えているうちに2ヶ月がたってしまったというのが本音 です。ですが、この2ヶ月のなかで想像以上にたくさんの人に会い、たくさんの新しい経験をしました。皆様にレポートすることを通して反省の機会とし、今後 の成長につなげたいと思います。私は8月13日にO’hare空港を経由してWillard空港に到着しました。寮が開いてい なかったので、臨時の宿泊場所として割り当てられたFARという寮で一晩過ごし、翌日現在の部屋に移りました。渡米の翌朝に、一人でJimmy John’sに行って朝食をとっていたときに、完全に日本から離れて、一人外国で生活を始める不安さをかみ締めたことをいまでも覚えています。最初の2週 間は、こちらに知人友人がほとんどいない中で、買い物や引越し、銀行口座の開設や各種手続きをしなければならないということで、がむしゃらに過ごしていま した。とにかくわからなければわかる人に聞くしかないということで、今考えるとかなりアグレッシブに過ごしていたと思います。生活に慣れるにしたがって、 会話の能力も少しずつのび、落ち着いた生活ができるようになったと思いますが、逆に当時の一生懸命さが薄れてしまったかなとも思い、アンテナだけは常に磨 いて、がむしゃらさを忘れないようにしなければ、と言い聞かせています。
●寮生活
私は現在、Pennsylvania Avenue Residential hall(以下PAR)という学部生用の寮で生活しています。PARの中のSaunders棟の中にはGlobal Crossroadという国際交流を目的としたLiving Learning Communityがあり、そのメンバーとして生活しています。東京ではアパートで一人暮らしをしていた私にとって、寮生活そのものが新しい経験であり、 こちらに来てからの生活の大きな部分を占めています。
寮生活の初日にアメリカの文化を感じさせる出来事がありました。こちらでは寮生活の 初日をMove-In Dayとして、大きく位置づけています。私にも事前にメールなどで知らされていたのですが、どのようなものかわからないままその日を迎えました。いざその 日を迎えてみると、各寮の前には車が長い列をなし、家族総出で学生の引越しを手伝う風景が見られました。平日だったにもかかわらず、ほぼすべての家庭で父 親が先頭にたち、小さな弟妹までが一緒になって学生の新生活を調える様子を見て、アメリカの家庭の文化を垣間見ました。スーツケース2つだけもって身軽に 引越しを済ませてしまった自分からみると、その様子はうらやましく思われました。
PARは寮の構造上ラウンジなどの公共スペースが多く、 居住者もドアを開放していることが多いなど、かなりオープンな寮だと感じます。今までの奨学生の中でPAR、あるいはGCに住んでいらっしゃった方もおっ しゃっていましたが、生活の中で他の学生と顔をあわせ言葉を交わす機会が多く、たくさんの学生と知り合い、接触する機会を持ちたいと考えていた自分にとっ てはありがたい環境です。その一方で、自分の英語の拙さ、人と話す能力の低さを感じることも多い日々です。一時期、寮の友人とコミュニケーションをとるこ とを難しく感じるあまり、人と顔をあわせる機会が多いことを負担に感じてしまったこともありました。しかし今では少し開き直って、まず一人一人名前を呼ん で挨拶を交わすという基本的なことを大切にしながらコミュニケーションを楽しもうとしています。その成果もあってか、自分が前向きに接するごとに打ち解け ていくのを感じることも多くなり、自分をオープンにして積極性を持つことの重要性を感じました。
私のフロアには、海外からの留学生と、1年生を中心としたアメリカ人の学生がほぼ半々ですんでいます。留学生とは、英語や留学生活の大変さ、それぞれの国 の文化について語り合い、アメリカ人の学生からはアメリカの学生文化を学ぶことが多い毎日です。ルームメイトは地元シャンぺーン出身の2年生のEmily で、とても真面目で親切な学生です。アーバナシャンぺーン生活の最初から、彼女にはすべての面で助けてもらっています。2人で部屋をシェアするということ は、今までは考えられないことでありましたが、今のところ楽しんですごせています。以下の写真はEmilyと、同じフロアの友人1Jiyounとのもので す。
同じフロアの友人の「新しい人と知り合って友達になるのはとてもexcitingなことだ」という言葉にはっとさせられたことがあります。寮は留学生活の中で長い時間をすごす場でもあるので、今後も楽しみながら多くのことを吸収したいと思います。
今学期は自分の専攻に関連する Race and Ethnicity, Introduction to Comparetive Politics, Geography of Intl Conflicts,そしてGermanとESLのライティングのコースを履修しています。今回はこの中でもっとも印象的で刺激的なRace and Ethnicityの授業の様子を中心に、勉強の様子について報告させていただきたいと思います。
もともと民族紛争に 興味があった私は、紛争のもとになる民族や人種といった概念をどのように考えればいいのかということを学びたいと思い、社会学部のRace and Ethnicityを履修しました。実際にはこの授業はアメリカ国内の問題を取り上げる授業であり、自分の関心にはあまり沿わないかなと不安に思っていた のですが、想像以上に面白い授業で、今学期一番力を入れて勉強しています。授業は毎回大量のリーディングが出され、それをもとに教授が講義をし、そのなか で自然に学生の議論が生まれていくという形がメインです。時折、その日のテーマに基づいた課題が与えられグループワークをすることや、抜き打ちのクラス内 エッセイを課されることもあり、授業のスタイルが変化に富んでいます。この授業でもっともすばらしいと思う点は、宿題のリーディング、授業、参加している 生徒、そしてイリノイやアメリカの社会そのものがつながっていることを常に感じられることです。人種や民族が持つ問題点について学んだ後、自分の実体験を 交えて議論を行い、また教室の外に目を向けて授業で学んだことを還元して考えられることはとても刺激的なことだと感じます。たとえば教室のなかに白人、黒 人、ヒスパニック、そして自分のようなアジア人がいるなかで、アメリカにおけるマイノリティ差別の歴史について議論を戦わせるという経験は、日本にいては 絶対にできることではなく、またタブー視されていることでもあると思うので、貴重な経験をさせてもらっていると感謝しています。現在は受講している生徒の バランスもあってか、黒人差別の実態について考えさせられることが多いです。日々の生活の中でも、白人の学生は白人の学生と、黒人の学生は黒人の学生と行 動をともにしているのを目にすることが多く、テーマが生活の中にあふれているのを感じます。そのような中、初めのころは宿題をこなし授業中に教授や学生が 話すことを理解するのに必死だったのですが、少しずつ日本人としての視点を発信したいと思うようになりました。初めて授業の中で、たった数秒ではあります が発言したときの興奮は今でも覚えています。この授業以外にも、比較政治や、紛争地理学の授業では日本人としてアメリカの学生とは違う考え方をしている自 分に気づくことが良くあります。そのような発見を、少しずつでも、もっと授業に反映させていくことが今後の目標でもあり、課題でもあります。
「ドイツ語の授業をとっているの」と私が言うと、ほぼ100%の人が”Are you Serious?”と答えてくれます。もともと、すべて専門の授業にしてしまうのは難しいかもしれないし、語学も履修してみようという軽い気持ちで履修し たのですが、ドイツ語(中級)の授業は今学期の勉強の中でかなりのウェイトを占めています。日本の大学でも週1-2回の割合で2年間勉強していたのです が、こちらの外国語教育は日本の、少なくとも一橋の教育とはかなり違った形をとっています。授業は週4回あり、毎回の授業でウェブ上で課される宿題をこな していかねばなりません。結果的に、ほぼ毎日一定期間ドイツ語に触れていることになり、この2ヶ月間だけで、日本で2年間勉強したよりも多く、深くドイツ 語に触れていると感じます。こちらに来て驚いたことが、日本語を含め、英語以外の言語を話すことができる学生が多いことです。みな真剣に外国語を勉強し、 ネイティブスピーカーと話す機会をのがさず練習し、実際にその言語が話されている国に1セメスターか2セメスター行って勉強しようとする学生も少なくあり ません。これは言語に限らないことですが、アメリカの学生は目標とするスキルを得るために勉強する、というスタンスをしっかりと持っていることが多いと感 じます。当たり前のことかもしれませんが、日本の大学生活に慣れきっていた自分には新鮮に感じました。ドイツ語を勉強するより英語をもっとがんばるべきで は・・・と思うことも多少ないではありませんが、せっかくの機会なので、きちんと勉強して、能力として考えられる程度まで、勉強を続けたいと考えていま す。
実際はコミュニケーションと紛争の関係を勉強することが留学の大きな目的のひとつだったのですが、履修の手続き上の問題や、自分の英語力の問題によってまだ達成できずにいます。来学期こそは、そのような分野についても勉強したいと思っています。
●その他
授業についていくこと、生活することそのものに必死になってしまっている状態なので、他の活動を楽しむことがなかなかできないでいるのですが、少しずつ挑戦しています。
先 月は学校の中にあるKrannert Center で座席案内係のボランティアをしましたた。もともと演劇や劇場が好きな自分にとっては夢のようなボランティアで、なれない英語で緊張しつつも座席案内を し、客席の様子に気を配りました。仕事は開演前と開演後のみだったので、上演中は自分も観客と一緒に演劇を楽しみました。同じ劇場でも、日本とアメリカで は、かなりの違いを感じます。アメリカでは自分の感情を素直に表現する観客が多く、演じる側と客席の近さを感じます。一方で、開演前の客席の高揚感や、パ ンフレットの香りなど、日本の劇場と同じ部分も見つけてなつかしく思いました。Krannert Centerでは、演劇以外にも、ダンス、音楽などの演目が常に上演されており、舞台芸術に気軽に触れることができるすばらしい環境だと感じます。また、 アメリカに到着してから、常に誰かに面倒を見てもらう立場であった自分が、些細なことではありますが、責任をもって、人のお役にたてたことをうれしく思い ました。
今週までで中間試験もひと段落つき、最初の学期が折り返し地点にはいってしまいました。矢のように過ぎる時間のなかで、どれだけのものを身につけられてい るのか不安に思うことも多くあります。JICの方々、そして応援してくださっているすべての方々のおかげで機会をいただいて勉強していることを心にとめつ つ、これからもがんばりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
JIC奨学生の田辺夕佳さんからの、2007年10月分のレポートをお届けします。
田辺さんは、課外活動としてアイススケートを楽しんで いるとのことです。イリノイ時代に、大学内にスケートリンクがあることに驚かれた方も多いのではないのでしょうか。Illini Towerでのアメリカンな寮生活、授業、そしてスケートと、盛りだくさんな田辺さんのレポートをお楽しみ下さい。
JICの皆様、お久しぶりです。2007年度奨学生の田辺夕佳です。JICの総会で多くの方に激励していただいたことがつい最近のことのように感じますが、イリノイ大学に来て早くも2ヶ月が経ちました。こちらはトウモロコシの収穫も終わり、木々が紅葉し、周りの景色はすっかり秋らしくなってきました。皆様はいかがお過ごしでしょうか。第1回奨学生レポートということで緊張していますが、改めて自己紹介させていただくと共に、こちらに来てから自分が見たもの、体験したこと、感じたこと、などを少しでも多く皆様にお伝えできたらと思っております。***********
自己紹介
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6月の総会のときに多くの方にお会いできましたが、まだ自己紹介ができていない方も多くいらっしゃると思うので、改めて自己紹介させていただきます。
はじめまして、この度2007年度奨学生として8月からイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に留学させていただいています田辺夕佳(たなべゆうか)と申します。
日 本では東京大学文学部言語文化学科の4年生で英語学とアメリカ・イギリス文学を専攻しています。小学生のころに2年半カナダに住んでいたことがあり、それ 以来ずっと「もう一度英語圏に住んで学びたい」と思っていたので、奨学生として選ばれたときは涙が出るほど嬉しかったです。このような機会をJICの皆様 からいただけたことをありがたく思っております。
2セメスターという限られた時間の中で、自分の専門分野の勉強に限らず、自分がやりた いことを思いっきりやろうと思います。日本では体験できないこと、アメリカでしかできないこと、イリノイ大学にいるからこそ積極的にチャレンジしていきた いと思っています。どうぞよろしくお願い致します。
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イリノイでの生活
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期末試験などを終えた数日後には日本を出発するというバタバタしたスケジュー ルの中、一人シャンペーンの空港に降り立ちました。他の3人の奨学生とは今年の初めから「イリノイ大学に行く準備」という名目で頻繁に会っていて、一緒に 行こうという話になっていましたが、なんだかんだスケジュールが合わず、結局全員ばらばらでこちらに向かいました。私は、その中でも最後に到着したのです が、空港に降り立った瞬間、「よし、この1年頑張ろう」というやる気に満ちた思いと「今、ここに一人でやってきたんだ」という少し不安な気持ちが混じって いたことを思い出します。12月に奨学生として決まったときから、ずっと楽しみにしていた瞬間がついにやってきたことで非常にワクワクしていた部分が大き いと思います。空港には、自分の大学の学科の先輩で、現在はイリノイの大学院で研究なさっている方が迎えに来てくださり、その方のご好意で当日は御宅に泊 めていただきました。着いて早々、人に親切にしてもらえることの幸せを感じました。
翌日には、自分の部屋に入ることができたのでスーツ ケース一つを手にしてチェックインを済ませました。私が住んでいるところは、Illini Towerという大学寮とは別の4人部屋Private Apartmentです。頭文字をとって通称ITという名前で知られている、こちらでは珍しい高層の建物です。ITの隣にはアイスアリーナがあって、こち らでフィギュアスケートをやりたいと思っていた自分はロケーションの良さからこのアパートに決めたのですが、他の寮に比べて料金が高いためか、比較的裕福 なFreshmanやSophomoreが多く住んでいます。人種としては白人やJewishの子がメインでアジア系・黒人は圧倒的にマイノリティです。 それに加えて留学生はほとんど、というか私一人?くらいの勢いなので、ここでの生活は映画やドラマで観るような“The America”というような雰囲気です。ルームメイト同士以外の交流はあまりないので、外からはunsociableな寮というイメージが強いですが、 木曜の夜くらいから週末の夜にかけてはそれぞれの部屋でパーティーが催されていたり、バッチリメイクとオシャレをしてSororityや Fraternityのパーティーに繰り出す女の子達に出会ったり、とかなり賑やかです。私も、出かける前のルームメイトの髪をセットしてあげたり、一緒 にドレス選びをしたりとその雰囲気を楽しんでいます。
しかし、留学生が多く住む学部寮とは異なり、私のように他の国から来て英語があま りスムーズに話せない学生にはあまり興味を持っていない人がほとんどなので初めはコミュニケーションをあまりとれないことに苦労した、というのが正直なと ころです。会話の多くがスラングで成り立っていることが多いため、日本で今まで訓練してきたリスニング力が全く役に立たないくらい話している内容がわから なかったのです。ルームメイトとも単純な会話を一言二言交わす程度で、せっかく一緒に住んでいるのに寂しいなと思いつつ、自分の英語力がもっとあれば、と ばかり思っていました。部屋がキッチン付きなので日本食を作っていると居間にいたルームメイトが部屋に戻ってしまうこともあり、この子たちとは仲良くなれ ないのかな、と思ったこともありました。ただ、勇気をふりしぼって自分から話しかけてみると長く話せる回数が次第に増えてきました。自分がもう少し頑張れ ば、もっとルームメイトのことがわかるんだということに気づきました。先日はルームメイトのうちの一人の誕生日だったので、その子のバースディカードをあ げたら「夕佳、ありがとう!すごくうれしいよ」といって抱きしめてくれました。普段は割りとサバサバした感じの彼女がその日はとてもうれしそうだったのが 印象的で、それ以降他のルームメイトともおしゃべりする頻度がぐっと増えました。一緒にテレビの前に座りながら友達の話、家族の話、そして恋の話・・など 赤裸々なトークを繰り広げる辺りはさすがアメリカという感じです。ニヒルなサム、末っ子気質でおしゃべりなベッキー、買い物と彼氏が大好きなマリアナ、と いう個性豊かなメンバーでの共同生活はまだまだこれからです!!
寮生活以外でも毎日の生活はかなり充実しています。生まれて初めて家族と離れて住むので掃除・洗濯など初めは不慣れなことが多かったのですが、実際キャン パス内に住むということの利点として、友人と過ごす時間をたくさん持てるということが挙げられます。恒例イベントとなっているのは、シャーマンホール(隣 にある院生寮)に住む交換留学生との手づくりディナーパーティーです。こちらでは大規模な集まりでなくても、「パーティー」と呼んでワイワイ楽しんでいま す。この企画はキッチンが付いているうちのアパートを何とか活用したいと思ってなんとなく自分から提案してみたのですが、韓国や香港からの留学生たちもす ぐにやろう!と乗り気になってくれて、韓国料理→中華料理→日本食のローテーションを組むことにしました。この前はコリアン・ガールズたちがトッポギとい う屋台でよくある韓国餅を使った辛い料理を作ってくれました。山のように唐辛子を入れていたので、辛いだろうとは予想がついていましたが、案の定!!とい う感じでした。ただ、韓国ではこれが辛ければ辛いほど、おいしいとされるようで、確かに食べ始めたらおいしくて止まりませんでした(笑)そんな彼女たちと 話していると、自然と多くの韓国語を学んだり、お互いの文化が意外と近いものだと気づかされたりすることが多々あります。やはりアジア人なんだな、と彼女 達に癒されるのもここ最近の楽しみです。
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授業
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今学期とった授業は以下の4つです。
来 る前に、金融について興味がありFinanceの授業もとりたいと思っていたのですが、いざ学校が始まってみると、Financeの授業は Business専攻の学生しか受講が認められず、留学生事務所のJeromeに頼んでもBusinessオフィスにお願いに行っても、どうあがいても履 修はできなかったので、今学期はひとまず諦めて(笑)とれる範囲のなかでやりたい授業を分野に関係なく選んで履修することにしました。
そ の中でもLING250は自分の日本での専門で、まさに卒業論文のテーマにしたいと思っていた講義だったのですごく楽しみにしていた授業のうちの一つでし た。この授業は30人くらいのクラスで週3回の授業があります。日本で勉強していたSyntaxの分野は文法構造についてですが、この授業で扱う分野は Sociolinguisticsといってアメリカで話されている英語にはどのような方言があって、それらがどのような歴史背景から発展したのか、あるい はどのような人たちによって話されているかなどについて学んでいます。アメリカはやはり国土の広さと移民の歴史があることから各地域での話し方は多様で、 発音や語彙、表現にも違いが現れていることをビデオで観て学びましたが、同じ地域でも人種や社会的地位によって話し方が異なり、そのような多様性の中でス タンダードとされるのは都会の上流階級の白人が話す英語だ、ということを考えると改めてアメリカの人種問題について考えさせられます。ほとんどが日本人で みんなが日本語を話していた日本とはむしろ逆の状況で、アメリカには多くの移民がいて英語以外の言語もそこらじゅうで飛び交っています。それは、渡米する 前から抱いていたイメージでしたが、それに加えて強く思うのは、アメリカはmelting potではなくsalad bowlということです。多くの人種がアメリカという国に移住してきて、同じ地域に住みながらも、話す言語によってコミュニティが形成されていて、棲み分 けがされているという現実がこの国にはあります。GEOG110の授業でもナショナリティについて学んだ際にも、似たような議論になりました。こちらでは 小学校から国歌や国旗が身近な存在であり、歴史でも独立戦争について多く学ぶそうです。その代わり、ベトナム戦争や第二次世界大戦の原爆についてはあまり 触れないということには衝撃を受けましたが、自分達の祖先がアメリカという国を作り、それに対して国民が自信と誇りを持っていることで、帰属意識が生ま れ、多くの人種が共存しながら国としてまとまっているのだと感じました。
話はそれますが、国というレベルに限らずアメリカの人は帰属意識を大切にする人が多いと思います。大学構内にはイリノイTシャツにイリノイショートパンツ を穿いて、まさに全身イリノイ状態の学生が溢れかえっています。特に、フットボールの試合の応援にいくとスタジアムはUIUCのカラーであるオレンジ一色 に染まり、“I-L-L”“I-N-I”の掛け声で応援席が一つになったときの一体感には圧倒されました。私は、今まで自分の学校に対してそこまで特別な 意識を抱いたことがなかったので、ここに来てUIUCが自分の母校になるのだという喜びを早くも感じています。
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スケート
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先ほど、寮の話でも触れましたが、勉強以外 の活動として力を入れているものとしてスケートがあります。日本の大学とは異なり、こちらの大学では毎回大量のリーディングやペーパーが課せられます。授 業によっては週100ページ近く教科書を読まなければならず、日本から持参した電子辞書との二人三脚でなんとかこなしている状況なので、意識的に何かをや ろう!という決意なしでは勉強だけで一日が終わってしまいます。ただ、せっかくイリノイ大学で1年間過ごすのだから、なるべく多くの課外活動にも参加した いと思っています。
スケートは中学の頃から部活でやっていて大学に入って中断してしまったのですが、せっかくこんなに近くにリンクが あって、しかも学生はタダで滑れるという非常に恵まれた環境にいるので、もう少し本格的に取り組んでいます。日本では滑走料も高く、リンクの数自体が少な いために込んでいるのですが、昼間に練習に行ったりすると、ほぼ貸し切り状態です!そんな日には、スケートに興味がある留学生の友達を連れて滑りに行って います。人に教えられるほど上手くは決してないのですが、数少ない人の役に立てることの一つとして時々教えています。自分としては先生失格でなかなか上達 させてあげられないのですが、”You are a great teacher! Thank you!!”と言ってもらえると、こんな自分でもできることはあるんだという気がしてとても嬉しいです。
スケートは学校の授業でもあるの ですが、私はスケート・コミュニティに参加してそこで週2回レッスンをとっています。先月は中学生から50代のおじちゃんまでが一緒になってシンクロナイ ズド・スケーティングの練習をしました。全員バックグラウンドも様々ですが、みんなスケートが好きという気持ちでつながっていて、そんなメンバーで一つの パフォーマンスを作り上げるというのはとても面白かったです。好きなスポーツで人とつながれるというのは言葉がそこまで通じなくても、不思議と仲良くなれ るもので、そのメンバーとは毎週会って練習することがかなり大きな楽しみになっています。
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まとめ
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UIUCでの生活が始まって2ヶ月。毎日、誰 か新しい人と出会い、毎日、何か新しい発見があります。その発見ひとつひとつを大切にして、当たり前に思わず感動する心を持ち続けられることが、この1年 を充実させる秘訣なのではないかと思います。留学生のみならず、こっちのアメリカ人の友達とどれだけわかりあえるか、それはこの10ヶ月の間の目標です。 言語の壁はまだまだ高いですが、文法だけではない、だからといってスラングばかりでもなく、相手に伝えたいという思いを大切にして、多くの人と交流してい きたいと思います。イリノイに来る前から仲が良かった奨学生のメンバーがいざというときに頼りになる存在で、こっちに着てからも大きな支えになっていま す。これから5月の帰国まで、なるべく多くのことを経験し幅広い視野で物事を捉えることができるように、少しでも自分の成長につながるように、頑張ってい きたいと思います。JICの皆様にも温かい目で見守っていただけたら、と思っています。