2008年度奨学生レポート(森本 なずな)

JICの皆様お久しぶりです。2008年度奨学生の森本なずなです。

こちらにきて早くも2ヶ月が経とうとしています。こちらに着いたときは様々な不安に襲われ、本当にここで暮らしていけるのか、友達ができるのかなど日々悩んでいました。しかし最近ではこちらの生活にも慣れ始め、周りに圧倒される中でも、自分の個性や自分にしかできないことを探し、実行してみようと思える余裕がでてきました。この2ヶ月は自分にとってはじめての経験ばかりの本当に全く新しい日々でした。この奨学生レポートという貴重な機会をお借りして、ここでの生活を振り返ってみたいと思います。

①イリノイに着いてからの1週間
私はこちらに8月14日の夜中に到着しました。出発直前まで様々なことに追われ、また留学するという実感も全くないまま飛行機に飛び乗りました。しかし、飛行機に乗り、誰も知っている人がいない状況に一度身を置くと、自然と留学するんだという実感がわきあがりました。私はオヘア空港からシャンペーンまでIllini Shuttleに乗って移動したのですが、到着したのは夜中の12時でした。実は飛行機がオヘア空港に到着するのは夜の7時半の予定で、その時間ではシャンペーンまで移動するには遅すぎるし、危険だと思い、初めはシカゴで一泊してから次の日にシャンペーンに移動しようと考えていました。しかし私が現在住んでいるコスモポリタンハウスの方が事前に、どうやってくるのかを尋ねてくださり、事情を説明したところ、夜中でも構わないから迎えに行くよと言ってくださいました。そこで、夜中の12時過ぎに家に着くという技を成し遂げました!そして着いてすぐウォルマートにそのまま連れて行ってもらいました。初日の夜中からかなりハードに活動しました。

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次の日からはISSSへのCheck inやオリエンテーションなど本当に動きまくったという感じでした。3日目からは疲れもでてきましたが、こちらに来る前に大学の先生に、「とにかくしんどくても部屋に閉じこもらずに外に出る、留学は1年しかないんだから、悩んでる時間がもったいない」というアドバイスを頂き、その言葉を胸にとにかく疲れていても朝昼といろいろなイベントに出席し続けました。そのおかげで、最初の1週間で多くの友達ができ、彼らとは今も親しくしています。

この着いてからの1週間は本当に忙しく過ごしましたが、後から考えればとてもゆっくりとした1週間でした。それは授業が始まった2週間目からスーパー忙しくなったからなのですが・・・

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②授業について
こちらに着いて2週間目から授業が始まりました。授業が始まる初日の朝は、ドキドキがおさまらず、朝から家の周りをランニングし、また先輩方のレポートを読むなどして、緊張を何とか抑えようと努力しました。初日の月曜日にはハードな授業がなく、予想外に余裕でこなせるんじゃないか、むしろ勉強したりないのではという不安がありましたが、そのような不安は2日目のハードな授業2つで吹っ飛びました。1つ目の授業で課題の多さに圧倒され、2つ目の授業にはこの授業では課題がありませんようにと念じながら出席しましたが、またもや相当の課題を課され、もう呆然とするしかありませんでした。授業が終わり、自分が理解したことが本当なのかを先生に尋ねに行きましたが、悲しくも正しかったようで、こんな少ない課題簡単でしょと言われたときには泣きそうでした。

・・・というような形で授業が始まったわけですが、結局私が履修した授業は以下のとおりです。
月曜日と水曜日:ESL、Academic Writing と Black Chorus
火曜日と木曜日:Women and Politics(Lecture)、Social Work 200、AHSのOpen Seminar
金曜日:Women and Politics (Discussion)、ESL

この中で先ほど課題が多いと書いた授業が、Women and PoliticsとSocial Workです。とくにWomen and Politicsは読む文献がかなり難しく、また量も多いので平日はほぼこの授業のための課題をこなしているという感じです。そして毎週のペーパーはかなり大変です。しかし、今はこの授業が1番興味深い授業でもあります。日本では考える力を伸ばす授業が多く、先生方はLectureをして事実を教えてくださいますが、それをどう考えるかは自分次第で、先生方はヒントをくださるだけという面があります。しかし、こちらではUndergraduateの学生はとにかく背景にある歴史や事実を学び、覚えることが重視されます。ですので、Genderについて考えることはあっても基礎から学んだことのない私には、大変ながらもとても興味深い授業となっています。

そしてもう一つとても楽しんでいる授業はBlack Chorusです。先輩方が履修しているのを見て、私もやってみようと、勢いで飛び込んだのですが、本当に最初からみんなの歌のうまさに感動させられてばかりでした。しかししばらくして、週2回ある授業は毎回2時間以上、しかも毎回新しい歌を覚えなくてはならずかなり大変ということに気づき戸惑いました。また、授業ではリスニングだけで歌詞とメロディーの両方を覚えなくてはならず、英語が不十分な私にはかなりハードでした。毎回横に座っている子に歌詞を聴いたり、紙に書いてもらうなどしていたので、他のメンバーの足手まといになるのではと本当に不安ばかりでした。でも最近では友達もでき、みんな私が頼まなくても紙に歌詞を率先して書いて私に渡してくれます。毎回みんなの優しさに感動し、授業中に何回Thank youと言っているかわからないほどです。Black Chorusは、授業の課題にかかりきりのストレスのたまるWeekdayの中で、ストレスを発散でき、またたくさん笑い合える本当によい機会となっています。

③コスモポリタンハウス
なんといっても一番の私の支えとなっているのが、我がHome Sweet Home、Cosmopolitan Houseです。最初からコスモのみんなの優しさには多く触れましたが、ほとんどがGrad Studentなので、みんなばらばらに活動していて、また歳も私より5つ以上上の人が大半で、最初の頃は本当にここで楽しくやっていけるのか心配でした。でもその心配は今はすっかりどこかに消えてしまいました。平日は課題に追われていますが、課題をやるのに疲れればハウスメイトの部屋に行ったり、1階に行ったりしておしゃべりして、みんなに励まされまた課題に取り組むという生活です。週末になればみんなで映画やご飯に行くなど、ハウスメイトの存在は私にとってとても大きいものとなっています。

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英語が不十分な手のかかるJapaneseにも関わらず、みんな私の面倒をみてくれて、とてもかわいがってくれます。こちらで英語ができないことで得なことなんてありませんが、コスモでだけは私の英語の不十分さがプラスに働いている気がします。コスモのみんなは私のことをとてもよく理解し、多くのアドバイスをくれ、時には勉強に関しても多くのヒントをくれる本当に大切な存在となっています。どんなに辛いことがあっても、次の日にはケロッとまたもとの生活に戻れるのは、コスモのみんなが私を支え、笑わしてくれるおかげです。本当に大きな大きな、ここでは欠かせない存在となっています。

④その他の活動
授業以外の活動としては、私は木曜日にはコスモで開かれているCoffee Hourに行き、金曜日にはIFLという団体の中の小さなグループで聖書の勉強をし、その後IFLの集まりに行っています。また日曜日にはなるべく時間を見つけて教会に行っています。教会では大学のなかでは出会えない様々な人に出会うことができ、お昼ご飯に各家庭に招かれたりと多くの貴重な経験をさせていただいています。

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まだたったの2ヶ月弱ですが、本当に充実下日々を過ごし、日々自分は恵まれているなと実感しています。このような貴重な経験の機会を私に与えてくださったJICの皆様には本当に感謝しております。この機会を無駄にすることなく、自分にできる範囲のことや自分だからこそできることを発見し、これからもここですばらしい日々を送れるように精一杯努力していきたいと思います。長々と書いてしまい申し訳ありません。皆様が少しでもこのレポートを楽しんでくだされば幸いです。

神戸大学国際文化学部3回生
森本なずな

2008年度奨学生レポート(武友 浩貴)

JICの皆様、ご無沙汰しております。アメリカに来てから約2ヶ月半、そしてイリノイ大学に来てから約一ヶ月半が過ぎました。私のこれまでの近況報告をさせて頂きます。

<Washington University in St. Louis>

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イリノイ大学にいく前の一ヶ月間、私は知人が通うWashington University in St. Louisに滞在しておりました。この大学は米国でもトップ10に入るとても優秀な私立大学でキャンパスの綺麗さや学生へのサポートの充実ぶりに驚きました。ここでの一ヶ月間は非常によい経験でした。ちなみにこの大学はthe best quality of life on campus in the statesという評価をうけているらしく、レストランやカフェでの食事はすばらしいです。また大学のすぐそばにはフォレストパークやアメリカで一番大きい国立動物園があるなど非常に良い環境にあります。イリノイ大学にきてからも二週間に一度はこの大学にきて快適な週末を過ごしております。

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Washington University in St. Louisに一ヶ月滞在した後、イリノイ大学に来たのですが、こちらはWashington University in St. Louisとは違い州立大学なので私立大学にはない大学の雰囲気を感じることができました。特に学生の多さには驚きました。友人に尋ねたところ約4万人の学生がひとつのキャンパスにいるらしく、非常に活気溢れるキャンパスだなという印象を受けました。Washington University in St. Louisは私立大学であるためundergraduatesはおよそ6000人ほどであるため、イリノイ大学の規模の大きさがわかります。ちなみに今日10月2日にWashington University in St. LouisでSarah PalinとJoe BidenによるVice Presidential debatesが行われ、幸いなことに私も同日にこのキャンパスにいることができました。学生たちはみな自分がサポートする候補のグッズを身につけ、Vice Presidential debateを見ていました。アメリカでは経済の悪化に伴い大統領選がますます盛り上がって来ています。私も忙しい合間を縫ってニュースに目を通し、みんなとよく議論をしています。

<UIUC>
ここまで私のこれまでの生活面をお話致しましたが、ここからは授業についてお話させて頂きます。私はなぜかイリノイ大学で工学部に入学したため、とっているクラスはすべて私の専門であるCivil and Environmental EngineeringのコースでCEE422, CEE421, CEE465, CEE320です。工学部いるからといって工学部以外のクラスを取れないわけではありませんが、イリノイ大学の工学部はとても有名だということもあり、せっかく工学部の入ったのだからという思いでこれらのクラスをとることにしました。すべてUpper Levelのコースなので一つ一つのクラスはとても内容の濃いものとなっております。特に400レベルのコースはすべてマネジメントに関するクラスで、京都大学では学ぶことのできなかった分野であるため、非常に面白いです。私がとっているこれらのクラスは全てチームプロジェクトに基づいているため、チームメイトとのミーティングが週に3、4回あり、そこで各自どのような役割を担うかということを議論しプロジェクトに取り組みます。よって単なるマネジメントに関する知識を得るだけではなく、チームプレイの大切も学ぶことができます。

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イリノイ大学には全米で一番大きい工学部の図書館があり、主にここでミーティングや勉強をしています。コンピュータラボラトリーなどの設備のすごさに圧倒されつつ、時には静かに勉強、そして時にはチームメイトと議論できるこの図書館を私は本当に気に入っています。また私の住んでいるSherman Hallという寮は基本的に大学院生のための寮ですので、静かな環境で勉強できます。シングルルームかルームシェアかを選ぶことができるのですが、私はシングルルームを選びました。しかしバスルームは共有です。私はミールプランを買っていないので、基本的にカフェやレストランで食事をとっております。このように非常にすばらしい環境の中で日々勉学に励んでおります。

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これからは中間試験や、膨大な宿題、そして更なるチームプロジェクトでますます忙しくなるとは思いますが、勉強面以外でも色々なことを学んでいきたいと思っております。ちなみに私はアメリカンフットボールが大好きなため、イリノイ大学の試合を観戦したことはとてもいい経験でした。これからこちらはとても寒くなっていきますが、体に気をつけながら頑張っていきます。

最後になりましたが、このようなすばらしい経験させて頂けるのもJICの皆様、そして家族、友人たちのおかげです。本当に感謝しております。

10/3/2008
武友 浩貴

2008年度奨学生レポート(本間 奈菜)

Japan Illini Clubの皆様、いかがお過ごしでしょうか。2008年度奨学生の本間奈菜です。10月に入り、秋らしく空気はかなり冷たくなって、紅葉が本格的に始まろうとしています。

 

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に到着してから、早くももうすぐ2か月が経とうとしていますが、このたび、第一回目の奨学生レポートをお届けいたします。この2か月、環境に慣れるのに無我夢中でしたが、今でも毎日ひとつは新しいことに出会うので、わくわくの連続です。その反面、皆様に胸を張ってご報告できるようなものはまだまだ少ないですが、楽しんで読んでいただければ幸いです。

 

<シャンペーン到着後~日常生活>

 

到着直後はイリノイ大学へのチェックインや健康診断、口座開設など必要な用事に追われていましたが、同時にInternational Student and Scholar ServiceStudy Abroad Officeのオリエンテーションのおかげで、キャンパスに親しみ、世界の様々な国からきた友人を作ることができました。履修に関することから、小さな疑問の相談まで気になることはISSSSAO、私たち奨学生の所属するCollege of Liberal Arts and Scienceのスタッフに聞きに行きました。彼らは留学生にも親切に接してくれ、とても頼りにできる存在です。

 

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授業が始まる直前の日曜日には、Quad Dayに参加しました。Quad Dayは、Main Quadにイリノイ大学のあらゆる学生団体やその他の団体が集まって、主に新入生を対象にメンバーリクルーティングや、自らの活動の発表をする、イリノイ大学の一大イベントです。私は留学生向けの国際交流団体のほかに、自分の専攻であるPolitical Science関連の団体や、ボランティア団体に登録をしておき、情報をメールで受け取れるようにしました。後日その中から、秋休み、冬休みそれぞれにボランティアの旅行を企画する2団体に所属することに決めました。(後述)また、私は現状では英語の中でも特に会話力が弱いと感じているため、これを伸ばすために、Quad Day等で知り合った2つの団体のバディシステムやメンターシステムを利用して、アメリカ人の会話相手を紹介してもらいました。彼らとは週一回程度会って、カフェでおしゃべりしたり、ショッピングに行ったり、大学についての豆知識(例えば、イリノイ大学のロゴ入りTシャツによく用いられる、”Chief”のデザインが人種問題になっていること等)を教えてもらったりしています。

 

私が住んでいるのは、JICの先輩方もたびたび住んでおられた、キャンパスの東南に位置する学部生寮PARの中にある、Global CrossroadというLiving Learning Communityです。ここでは、名の示す通り「国際性」をコンセプトに、多くの留学生とアメリカ人学生が協力し合って暮らしています。一人暮らしが初めての私にとって、生活の面でも、不自由な英語を上達させるためにも、そしてなにより1年間の留学生活を楽しく過ごすために、Global Crossroadを選んだことは、大正解だったと思います。留学生や外国にバックグランドをもつ学生が多く住み、またアメリカ人の学生も、外国語や国際関係学を専攻している学生が多いため、みな誰に対してもフレンドリーで、Global Crossroad全体に和気あいあいとした雰囲気があります。私も、なかなか会話のスピードについていけないにも関わらず、みな親切に接してくれるため、ここでたくさんの友人を作ることができました。また寮生間の交流を促進するため、Global Crossroad担当のオフィスや男女各フロアに一人いるResidence Assistantが大小様々な企画を立ててくれます。バースデーパーティーやInternational Café(みんなで集まってお菓子をつまむ)のように、毎月恒例の行事もありますが、大きなイベントものでは、再来週にはみんなでシカゴにミュージカル「ウィキッド」を鑑賞しに行く予定です。

 

イリノイ大学は私が想像していた以上に、美しく広大なキャンパスと優れた施設を持つ大学なので、本当に驚きました。特に、真新しいジムと図書館が私のお気に入りです。今学期オープンしたActivities and Recreation Centerは運動好きの学生に大変人気で、私もリフレッシュのために、水泳をしに通っています。全米の大学図書館の中で2番目の規模を誇る(との噂の)図書館は、私の専攻に関する資料が充実しており感激しましたが(それでも一冊一冊を読むのが私には一苦労ですが…)、それだけでなく、テスト前など勉強をしたいときには最適の環境です。また暖かい日には、こちらの学生に交じって、Main Quadの芝生に座って勉強をしたりもします。

<授業>

秋学期に履修しているのは、PS240 Introduction to Comparative PoliticsPS395 International OrganizationsSOC160 Global Inequalities and Social ChangeESL Academic WritingKIN107 Water Aerobics13時間です。一橋大学では国際政治を専攻しておりましたが、イリノイ大学では引き続き国際政治学・国際社会学を履修するとともに、せっかくアメリカで学ぶのだから、アメリカ政治に関連する授業を取りたいと考えています。実は、アメリカ大統領選挙を身近に見られるこの年に留学できたことを何かに生かしたいと思い、PS312 Politics and the Mediaをぜひ履修したかったのですが、アドバイザーに相談しても、教室に収まる人数の関係でどうしても入れてもらえなかったのが心残りです。他の授業はこちらに着いてから、LASのオフィスをめぐり、希望の授業に加わることができました。PS312は来期に気を取り直して履修するつもりです。

Political Science Sociologyのクラスは、予習の課題書が多く、授業中の発言やディスカッションへの積極参加が要求されるため、一日一日をこなすのが本当に大変です。今がまさにMid Termの時期なので、さらに授業の復習もしなければならず、いちばん辛い時期だと思うのですが、友人と励ましあってなんとか頑張っています。これらの授業は私が日本で学んでいたこととつながることも多く、そのためペーパーやTAとのやり取りで評価してもらえることもあり自信になりますが、現状では、言葉の難しさからクラスに対して自分の意見をうまく発信することができない悔しさのほうが、充実感よりも大きいのが正直な感想です。秋学期が終わるまでには、「あの日本人学生の考えていることは面白い」とクラスメイトに思わせられるようになるのが目標です。

 

<旅行など>

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 秋学期が始まってすぐのLabor Dayの三連休に、同じくJIC奨学生の森本さんと、香港出身の友人3人、台湾人1人の6人でシカゴに旅行に行きました。バスが行きも帰りも遅れたり、5人部屋を予約してあったのにも関わらずツインルームに通されたり、トラブルに見舞われましたが、それもあって(?)忘れられない旅行になりました。シカゴはシャンペーンと比べると都会ですが、東京のような日本の都会とは違う美しさがあり、とても惹かれました。美術館の好きな私には、膨大なコレクションを誇るArt Instituteが特に印象に残っています。また、先週はシャンペーン近郊の州立公園へキャンプに行きました。はじめてのカヌーイングをしたり、道端に出てきた小鹿に遭遇したり、みんなで外で料理をしながら満点の星を眺めたり、寝袋に入りながら夜まで話をしたり、日本ではなかなかできない楽しい経験をさせてもらいました。

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<今後の目標>

 

この二か月や現在の生活を最もよく表す言葉は、単純ですが「多忙」「よく学びよく遊ぶ」以外にないと思います。アメリカでの貴重な一年間で、できるだけ多くのことを吸収したい!と常にアンテナを張っているため、私のiBook(イリノイ大学の学生がよく使う手帳)の9月・10月のカレンダーは真っ黒です(笑)さらに、日米の教育システムの違い、アジア人という意識…等等、興味深い議論のネタが生活のそこらじゅうにあるので本当に退屈しません。一方で、授業は自分で努力すればするほど、理解が進み面白くなります。まだまだ生活に順応するのに苦戦する中、これらすべてをやるのは不可能なので、重要なのはバランスをとることなのだと思います。そのため今後の目標は、自分なりのペースをつかみ、英語力の向上と授業への積極参加に重点を置きつつ、一日一日を楽しく過ごすことです。

先に軽く触れましたが、秋休みには、昨年JIC 2007年度奨学生の八尾さんが参加された、大学YMCAが主催するAlternative Spring Breakというボランティアプログラムに参加し、ルイジアナ州ニューオーリンズでハリケーンカトリーナ被災復興のお手伝いに行くつもりです。さらに冬休みは、中南米でのボランティア旅行を企画する学生団体に所属し、コスタリカに3週間程度滞在することになりました。こちらは完全に自力での企画なので、渡航前のファンドレイジングから、帰国後のフィードバックまで一貫して自分たちで行わなければなりません。これは日本とはかなり異なると思います。まだ活動が始まったばかりで具体的なことはこれから詰めることになりますが、イリノイ大学の恵まれた環境の外で過ごすことで、また新たな素晴らしい体験ができるだろうと今からわくわくしています。

最後になりましたが、JIC奨学生としてこのように貴重な体験をさせていただけることを、深く感謝いたします。渡米以前から私たちのサポートをしていただいき、また温かい応援の言葉をかけていただいたJICの皆様、本当にありがとうございます。次のレポートでは、もっとしっかりしたことが書けるよう、毎日を精一杯充実させるよう努めていきたいと思います。

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一橋大学法学部4

本間奈菜

2008年度奨学生レポート(椿 晴香)

東京大学理学部地球惑星環境学科4年 椿晴香

JICの皆様、日本も少しずつ秋らしくなったところと存じますが、いかがお過ごしでしょうか。早いもので、私たちが日本を経ってからもうすぐ二ケ月になります。初めの数日こそ家族や友人との別れが寂しくこれからの一年の長さに圧倒されていましたが、その後は毎日のreading課題に追われてあたふたと過ごしてきた二月でした。入寮した日に寮のRA (resident assistant)さんに、授業が始まると家が恋しくなっている場合ではなくなると言われ、その時は信じられませんでしたがその通りでした。後に述べます研究室での分析済み試料が箱の中でだんだん増えていく様子、また周りのトウモロコシ・大豆畑が着いたころにはまだ青々としていたのが今日通りがかった時には刈り取りが始まっていたことを見ると月日の経ったのを感じます。考えてみると留学期間のほぼ五分の一が過ぎてしまったことになりますが、早かった二月の間にもおかげさまで様々な経験をすることができましたので、その一部を報告させていただきたいと思います。

 

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<授業>

 

総会等でも申し上げましたが、一年間の留学期間中には大学で今まで学んできた地学の知識を生かして、地球上に住んでいる生物や表面を覆う土壌と地球そのものとの化学的な相互作用(生物地球化学)について学び、地球環境への理解を深めることが目標です。その分野が進んでいるアメリカ、特に農業が盛んなイリノイで土壌の勉強ができて恵まれているとこちらに来て改めて思います。そこで今学期は地学から生物地球化学への移行期間として、農学が専門でない人向けのNRES 201 Introductory Soilsと植物科学が専門でない人向けの環境科学IB 102 Plants, People and EnvironmentGEOL481 Earth System Modeling、その他に専門の地学GEOL 110 Exploring Geology in the FieldwritingESL 114を履修することにしました。研究室の単位を含めると上限の18単位ぴったりとなり、忙しくはなりましたが100200番台を中心にしたこともあり無理なく、また知的に満足のいく時間割になっています。

 

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授業形式としては、初めの二科目は典型的な教養学部の理系科目のようで、講義と実習からなるものです。東京大学での始めの二年間も教養学部所属でしたが、実習と講義が組になっている科目はほぼありませんでした。週一回ずつの授業が多かった中では時間割として難しいのかもしれませんがいイリノイ大学でのこの形式は素晴らしいと思いました。土壌の授業で習ったことをその週のうちに確かめる実験のコマ(laboratory)、環境問題の授業では50分の授業中にも隣の人と話し合う時間が与えられる他により詳しく議論を深め実物を見て考える週2時間のdiscussionのコマは、講義とは別に課題もあり大変ですが楽しみな時間です。理系科目で机上の学習だけでは十分に身につけられないことをこのように、しかも二十~三十人という比較的少人数で経験できると英語が多少分からなくても知識として定着しやすくなるように感じます。これらの実習では主に大学院生がTAとして担当しています。年が近いため、実習課題以外に講義のフォローや次の小テスト範囲の要点を教えてもらえるというのも学部生にとっては勉強しやすい環境だと思います。特に、初めはとても不安だったので恥ずかしながら、留学生でdiscussionのときにあまり英語がわからないことがあるかもしれませんが頑張りますと言いに行きまた授業後に質問に行ったため、覚えてもらえたのかその後は声をかけてもらえたなど、TAの方と親しくなることで実習により参加しやすくなりました。

 

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意図していなかったことでしたが、これらの授業を通してイリノイの地理・自然史に詳しくなることができました。およそ二百万年前にこの辺りは氷河で覆われており、氷河によって昔はあった山や丘が削られて今のような平坦な地形になったこと、同時に肥沃な土壌が運ばれてきたこと、その土壌の上に人々が移住する前はプレーリーと呼ばれる豊かな草原が広がっていたこと、それはまた畑作にも最適だったため開拓し今では一面の畑になったこと、その畑作の中でもトウモロコシと大豆を交互に作付するとよりよく育つこと。私にとってはとても興味深く、一年を過ごすイリノイについてこの段階で知ることができたのは嬉しいことでした。そして、いつも山や海を見ながら育ってきた後にイリノイの単調な地形の中で過ごすことになり、若干物足りなさを感じていたところでしたが、地形の形成史とその利点を知ることでこの地形を好きになることができたようにも思います。

<地学巡検>

 

日本で地質学を学び各地の地質を見てきたところで、アメリカで地質学的に面白いものが見られたらなと思いつつ、自分で計画しないどこにも行けないかと憂慮しておりました。そんな時にDepartment of Geologyの学生・教員対象のAnnual Field Trip(巡検)が行われるのを学科のホームページで知り、交換留学生で所属学科というものがはっきりしていないがとメールで相談したところ、参加してよいと言っていただけ、九月の初めにシカゴの南Thorntonにある採石場とインディアナ州、ミシガン湖畔のIndiana Dunes National Lakeshoreに行くことができました。また、履修科目の一つで10月初めに二泊でミズーリ州のOnondaga CaveElephant Rocksに行きました。

大きな大陸のアメリカで、日本にはない太古の岩石を間近に見られたこと、道中の州立公園の雄大な自然に触れられたことも大きな収穫でしたが、日本とアメリカの地質学の少なくとも学生実習の形式の違いを見られたのも有意義なことでした。日本では火山や断層の調査実習に行こうとすると近くに温泉宿があり、そうでなくても数十キロ以内には人里があります。しかし、こちらではそうでもないらしく、調査中はお風呂なし、テントでキャンプ生活にもなるそうです。充実したキャンプ施設、それほど汗をかかない気候、日本人のようにお米を炊かずにピーナツバター・ジャムのサンドイッチと袋詰めの人参で満足できる食生活がそれを可能にしているようでしたが、随分簡素だと感じました。アメリカの文献を読むだけでは分からない、調査中の様子をうかがう面白い経験でした。

 

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さらに東京大学での専門課程の授業では適宜英語が使われ、専門用語にそれほど苦労しなかったこともあり、ガイドの人や先生方の議論も比較的理解することができ、いっそう充実した時間となりました。留学が決まってからそれまで以上に英語の勉強に努めてきたつもりでしたが、日常生活でのマカロニに始まり実習でのメスシリンダーまでなかなか思うように外来語のカタカナから英語につながらず、そもそも単語を知らず言葉で説明することもできないことが度々あった中、嬉しい経験でした。言葉がわかると質疑応答の時間にも積極的に参加することができ、さらに細かいところまで理解が深まります。当然のことでしたが、今後の勉強の中で語学の大切さを実感した巡検でもありました。

 

その他の体験からも、今後の課題が見えてきました。約二月があっという間だったとはいえ、まだまだ前半戦、これからも今まで以上に勉学に励み、またこちらでしかできない体験をしていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。