日本館10周年記念ブランケット等の紹介

2008年に10周年を迎えたイリノイ大学日本館が,ブランケット等の記念品を用意したと連絡がありました.詳細はこちらのチラシ(PDFファイルがダウンロードされます)をご覧ください.申込み方法と問い合わせ先は次の通りです.

  1. チラシ下部の申込み書に必要事項を記入する
  2. FAXする場合は宛先:Japan House, fax# 217.333.9574へ
  3. 郵送する場合は宛先:Japan House, 2000 South Lincoln Avenue Urbana, Illinois 61802, USAへ
  4. 問い合わせ先は:e-mail: japanhouse@uiuc.edu です

2008年度奨学生レポート(本間 奈菜)

Japan Illini Clubのみなさま、ご無沙汰しております。2008年度奨学生の本間奈菜です。イリノイ大学での初めての学期はあっという間に過ぎ、冬休みを挟んで早くも春学期が始まりました。10月に初雪が降って以来(今年は例年より早いそうです)、シャンペーンは常に雪に包まれ、日中での氷点下の日が珍しくありません。実は、春学期が始まる直前まで中米コスタリカという国に行っていたため、シャンペーンに帰ってきた際に余りの気温差で風邪を引いてしまいました。そのため提出が遅れてしまって申し訳ありませんでしたが、第二回目の奨学生レポートをお送りします。今回は、主に秋学期の振り返りと、秋休み・冬休みの様子、また始まったばかりの春学期についても少しだけお伝えします。

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【Fall Semesterの授業】
学期初めは、アメリカ人学生に交じっての授業についていけるか不安なうえに、膨大な量のリーディングと毎回の授業中のディスカッションに圧倒されていました。しかし、教授方のサポートもあり、慣れていくうちに、授業中はなかなか難しくとも、プレゼンテーションやレポート課題の中で自分の意見を展開することができ、いくらか自信もつきました。

Sociology160 Global Inequalities and Social Changesという授業では、「グローバリゼーションが私たちの身近な生活にどう関係しているか」をテーマに、各々が実際にBest Buyなどの量販店におもむいて、生産国や企業情報を集めて集計・分析するという変わった課題が出されたのですが、このように自分でリサーチを行い、自分の言葉でまとめるというのは、アメリカの授業らしいなあと感じました。また、この学期で一番印象深いのは、Political Science240 Introduction to Comparative Politicsという授業です。主に途上国を研究対象にして、民主主義や独裁体制などの国家体制の違いがどのような効果を国家にもたらすのかについて一連の講義が行われたのですが、学生向けの教科書ではなく、学術誌に掲載されている論文を毎回読むのでかなり苦戦させられました。しかし、トピックとして大変興味深く、以前からの研究関心にも接点がある分野なので、春学期には比較政治学をもうすこし掘り下げてみようと考えています。

【Fall Semesterの課外活動など】
日本ではこじんまりした大学に通っていたため、イリノイ大学の学生活動の幅広さには、学期初めのQuad Dayで本当に圧倒されました。せっかくの機会ですので、秋学期は授業だけでなく、そのような学生活動を含め交流の場を広げることにも心がけました。また、第一回のレポートにも書いたように、私の住む寮は国際理解がコンセプトであるせいか、住人はとてもフレンドリーな人ばかりなので、授業から疲れて帰ってきても、みんなとおしゃべりして過ごすことがうまく息抜きになっています。

多くの先輩方も行かれたBoston Career Forumに参加したため、残念ながら秋の楽しいイベント、ハロウィーンは逃すことになってしまいました。しかし、BCFでは企業からも、一橋・イリノイの友人やボストンで作った友人からも多くのことを学びました。単純に、一人で旅行をする度胸も付きました。実は、シカゴに向かう際ボストン空港で、普段から持ち歩いており、ボストンにも何気なく持ってきてしまった護身用のペッパースプレイが安全検査に引っ掛かり、警備員に尋問に近い対応をされてしまいました。全く知らなかったのですが、マサチューセッツ州法ではペッパースプレイは所持が禁止されているそうです。。。スーパーでライセンスも何もなしに購入したと説明しても警備員さんは半信半疑で、IDを見せ、留学生だと説明しやっと罰金は免除してもらえました(結局没収はされてしまいましたが…)。予想もしないところでアメリカの連邦制度を体感することになりました。

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11月頭には、アメリカ大統領選の本選挙が行われ、この日はキャンパス全体が選挙に話題で持ちきりでした。残念ながら投票に参加することはできませんでしたが(苦笑)、テレビのある寮のラウンジで友人たちと開票速報に張り付いていました。夜遅くにオバマ氏の当選確実が報道されると、PARと、向かい合っているFARからはものすごい歓声が聞こえてきました。マケイン氏の敗北宣言とオバマ氏の勝利宣言を見たあと、Quadに出かけたのですが、QuadとGreen Streetには興奮した学生が詰めかけ、皆で“Yes We Can!!”と叫んで盛り上がりました。大統領を直接投票で選び、その結果に熱狂して外で大騒ぎするなど、日本では考えられないことですので、この日にアメリカに居合わせられたことを思うと、この年に留学できて本当によかったなぁと思います。しかも今回の選挙は、アメリカ人にとって4年に一度という以上の意味を持つものでしたし、何よりイリノイ州はオバマ氏の地盤であることもあって、皆の喜びようは特に大きかったのだと思います。しかし一方で、やはり最近は日本と同様、アメリカでも若者の政治・選挙離れが進んでいるそうです。大変注目されていた今回の選挙でも、この傾向が完全に覆されたわけではありませんでした。それを題材にESLの授業でレポートを書いたのですが、政治学専攻として、熱狂から一歩引いた冷静な視点からの、アメリカ社会の検討の面白さを感じました。

Fall Breakには、Alternative Spring BreakというプログラムでNew Orleansに行き、ハリケーン被害からのコミュニティの復興のためのボランティア活動を行いました。ASBはイリノイ大学のUniversity YMCAが主催するプログラムで、New Orleansグループは14人でした。旅行前はほとんど面識のなかった他の学生とも、片道12時間のドライブでうちとけるようになり、5日間はあっという間に過ぎてしまいました。ボランティアは具体的には、ハリケーン以降放置された空き家の清掃や、中古の家具を安く提供しているNGOの倉庫整理、被災された方のお宅のペンキ塗りをしたのですが、ペンキ塗りの後に、家の方からハリケーンの直後や現在の苦労を実際に聞けたことが印象に残っています。また、私にとっては、同行したアメリカ人学生のボランティアに対する見方、アメリカ社会に対する見方を身近で観察することができたことも、大きな収穫でした。

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【コスタリカ旅行】
12月のあわただしいfinal weekをなんとか乗り切り、クリスマスはシャンペーンに滞在した後、年末にはコスタリカに旅立ちました。Quad Dayで見つけた、Registered Student Organizationの一つであるInternational Impactという団体に申込み、コスタリカチームの一員としてボランティア旅行に参加することになりました。チームは私を含め9人です。合計で3週間滞在したのですが、コスタリカは比較的小さな国なので、コスタリカ中をめぐることができました。

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最初の一週間は、ウミガメの保護プロジェクトに参加するため、首都から5時間の太平洋側の町に行きました。私たちが滞在したキャンプは、さらに町からも離れており(橋がかかっていない川を自力で渡らないと着きません)、個室も熱いシャワーも、電気もインターネットもありませんでしたが、その分自然の美しさは格別でした。夕日やたくさんの流れ星、波の音など、一生の記憶に残る場所でした。プロジェクトの仕事は、毎夜孵化する赤ちゃんガメを観察し、海に返しに行くことなのですが、これも、自然と命の偉大さを感じ、本当に感動しました。その後、首都を起点に活火山の噴火の様子を見に行ったり、熱帯雨林の中でジップライニングやラフティングをやったり、太平洋と反対側のカリブ海側を訪れたりしました。ジャングルに分け入って、先住民族Bri Briの家を訪ねたのは、ものすごい量の蚊に刺された甲斐がありました。最後の一週間は、首都の貧しい地域にある幼稚園で半日子供の遊び相手をし、午後はスペイン語のレッスンを受けたり首都を散策したりしました。幼稚園では、スペイン語が話せなかったためなかなかコミュニケーションがとれませんでしたが、それでもかわいい子供たちと一緒に園内を走り回ったり、折り紙を教えたりして、楽しく過ごすことができました。

しかし、このコスタリカ旅行では、改めてカルチャーショックに直面したり、英語の通じない悔しさに泣いたり、一緒に笑って踊ったり…と、アメリカ人と大半の時間を過ごしたことで、タフさと文化の違うことへの寛容さが身に付いたことが何より私にとって大きなことでした。理不尽だと思ったことには、自分が少数派であっても、意見を声に出して伝えることが大切なのだと学びましたし、逆に、小さなことにこだわりすぎて、楽しく過ごせないのはもったいないとも思えるようになりました。実は、旅行前は3週間という長さに怖気づいて、行くかどうか迷っていたのですが、英語力の面でも、精神面でもすごく鍛えられたコスタリカ旅行は、行ってみて本当によかったと思います。他のメンバーとも後半は打ち解けられ、O’Hare空港で解散するのは、大学でまた会うとわかっていても寂しかったです。

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【春学期の予定など】
さて、今学期はアメリカでの最後の学期となります。欲張りな私は心残りの無いよう、できるだけいろいろな授業を取りたいと思っているため、今学期は先学期よりも挑戦的な時間割になっています。また、日常生活では苦労することが減ってきた反面、授業を受ける上ではまだまだ英語力が足りないと感じているため、授業中の発言やプレゼンなど、それぞれの授業でもっと存在感を出すことが目標です。

軽く先述したように、政治学の中でも、一橋大学では学べない比較政治学やそれに必要な実際的なスキルを学ぶため、Political Science 241 Comparative Politics of Developing Countries, PS 356 Comparative Political Behavior, PS 358 Comparative Political Economy, PS 230 Introduction to Political Researchを履修します。また、GLBL 296 Global Seminarでは、グローバル化社会における特定の問題を多面的に扱う姿勢が興味深いと思い、Understanding Global Water IssueとCitizens and Citizenship in the Era of Globalization の二つを履修します。特にcitizenshipに関するコースは、アメリカで様々なバックグラウンドを持つ人々に出会ったことで興味を引かれた分野です。日本の比較的閉ざされた社会の中では気付かなかった、移民という、グローバリゼーションの重要な議論の一つへの視点を養うことが目的です。

最近、Nanaはいつ日本に帰るの?と友人や周りの人によく聞かれるのですが、まだまだやりたいことはたくさんあるし、もっと伸ばしたいものもたくさんあるのに、これが最後の学期だと思うと必要以上に焦ってしまいます。しかし、コスタリカに行って感じたことなのですが、人との出会いも、チャンスとのめぐり会いも、結局は一期一会です。あと○か月、○日、など後ろ向きに数えるよりも、今を新しいスタートと捉えて自然体ですべてに取り組んでいきたいと思います。

最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださり、そしていつも温かく応援してくださっているJICの皆様には本当に感謝してもしきれません。JIC奨学生として、数少ない日本人留学生として、私がもらっているものの大きさには敵いませんが、イリノイ大学にもプラスのインパクトを残せたら、と考えております。

一橋大学法学部4年 本間奈菜

≪写真解説≫
①部屋の外から見える景色です。雪まみれ…
②ハロウィン当日はシャンペーンを離れていましたが、ハロウィン前のPumpkin Curvingは参加しました!意外と簡単でしたー
③ニューオーリンズでは、みんなで自炊しました
④ウミガメ保護のキャンプからすぐのビーチにて
⑤幼稚園の子供たちに折り紙を教えました!

2008年度奨学生レポート(森本 なずな)

JICの皆様、ご無沙汰しております。2008年度奨学生の森本なずなです。こちらにきて早くも5ヶ月が過ぎ、留学も半分が終わってしまったのかと思うと少し悲しくもあります。こちらは来る前から聞いていた通りの寒さで毎日震えながら学校に通う日々です。この寒さに関連したエピソードを一つ語るとすれば、私の誕生日である12月2日に家の前で派手に転んでしまったことです。外は本当にもうつるつるで歩くのも大変です。でも友人からは“地球からのHappy Birthdayだ”と言われなんとか納得しました。さて、今回のレポートではサンクスギビングからWinter Breakまでのことをお伝えしたいと思います。

【サンクスギビングからFinalまで】
サンクスギビングの1週間ほど前に私の家であるCosmopoilitan HouseでFundraisingをかねたサンクスギビングディナーをふるまうパーティーをしました。このディナーのために、コスモのみんなで前日からターキーを調理しました。大量のたまねぎや、セロリをハウスメイトとわいわい言いながら作るのがとっても楽しかったです。当日も60人ほどの来客があり、みんなとってもおいしいと言いながら食べてくれていて、Fundraisingとしても大成功に終わりました。

さて、今年はサンクスギビング休暇が1週間ほどあったのですが、私はまず前半の休みにYMCAが提供しているAlternative Spring Brreakに参加し、Kansas Cityに行って来ました。ここでは託児所のようなところに行き、小さい子どもたちの面倒をみたり、夜にはDinnerのDonationを手伝ったりしました。私が担当したのは5歳児の子ども達だったのですが、本当にみんなかわいくてとってもいい経験をしました。彼らから英語を学ぶことも多々あり、本当に楽しむことができました。そして、一緒にいったメンバーとは夜にみんなで映画に行ったり、ゲームをしたりととってもいい時間を過ごすことができました。ASBの後のサンクスギビング当日には、本間さんとの共通の友人であるEmilyのおうちにお邪魔させてもらい、一緒にThanksgiving Dinnerをご馳走になりました。彼女の家族はとても温かくたくさん話をしたり写真をとるなど、本当にすばらしい時間となりました。そして、最後にハウスメイトと一緒にKentuckyにあるMammoth Caveに行きました。行き帰り合わせて10時間のドライブとなりましたが、そのCaveは本当に壮大で、今まで見たことのない景色に圧倒されるばかりでした。このようなNational Parkに訪れることができハウスメイトにはとても感謝しています。

そしてサンクスギビングのあとはすぐにFinalに取り掛かることとなりました。私はテストのあるクラスを1つしかとっていなかったのと、誕生日を向かえお酒が飲めるようになったことで、Finalの時期に相当だらけてしまいました。しかしいつもとは違って課題に追われることもなく自分でスケジュールを決めることができたので、自分としてはとってもいい時間だったと思います。

そして、Finalが終わるとまずはハウスメイトとFinalの時期に一緒に時間を過ごせなかったので、ハウスメイト達とゆっくりとしたLazyな時間を過ごしました。いい経験となったのは、ハウスメイトの一人であるイタリア人のDavideのMaster DegreeのGraduation Ceremonyに参加できたことです。みな、よく写真で見る様なローブをまとい喜びをかみしめて式に臨む姿はとても輝いていて、私もいつかこんな風に卒業できたらなと思いました。そして、ハウスメイトとクリスマスプレゼントを交換するなど、本当にいい時間を過ごしました。

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【クリスマス】
22日からはいよいよ旅行に出発しました。私はまず、12月22日から26日まではカリフォルニアのLAの近くのパッセディーナに住んでいる友人のPatricia家にお邪魔させてもらいました。LAはChampaignとは違い温かく、また景色も全く違い緑をたくさん見ることができました。彼女の家では本当に伝統的なアメリカのクリスマスを過ごすことができました。クリスマスの前日からは料理作りを手伝ったりクリスマス当日に歌う歌を一緒に練習したりしました。クリスマスイブはまず彼女の家族と一緒にDinnerを食べ、その後クリスマスプログラムにうつりました。これはPatriciaの姉妹がみんなで企画したもので、みな一人ずつ何か披露し、そしてみんなでたくさんのクリスマスソングを歌いました。またクリスマスには朝からプレゼントをあけたり、教会でPatriciaの家族と一緒に練習した歌をみんなの前で披露しました。実はこの旅行では当初22日だけPatriciaの家に滞在する予定だったのですが、私の計画不足で出発前にかなり予定を変更しなくてはならず、急遽彼女の家にお邪魔することになりました。しかし彼女の家族はとても温かく本当にいい時間を過ごすことができ、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

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【友人との旅行】
彼女の家を去った後は、ここイリノイ大学で一番仲良くしている中国人のHohoとLAとSanta Monicaを旅行しました。彼女とも当初は一緒に旅行する予定ではなかったのですが、急遽会いたい!!ということになりそこからは彼女と旅行することになりました。彼女とはいつも通りとっても楽しい、リラックスした日々を過ごすことができました。もちろんいつも通りショッピングばかりの日々になりましたが・・・このように本当にいつでも時間をすごせるような友達がこっちでできるとは思っていなかったので、本当によかったです。そして、最後の2日間は1人でサンフランシスコに旅行しました。1人で行くことにかなり緊張していましたが、行ってみれば、ホステルで友人をつくることができたり、サンフランシスコの人々と気兼ねなく話すことができたりと、いい経験をすることができました。

この2週間の旅行のあとはひとまずChampaignに帰りそしてまたTexasとMexicoへの旅に参加しました。この旅行へは私の大学の友達で今はメリーランド大学に留学している友達と行きました。まず最初の3日間ほどはTexasにいる私の友達の友人の家にStayさせてもらいました。テキサスもまたとても暖かく、みんなでKorean Townに行っておいしいものを食べたり、たこ焼きパーティーをしたり、日本のバラエティーを見て笑ったりと、久しぶりに日本な時間を過ごして、とってもリラックスできました。そしてその後は友人とメキシコのカンクーンに行きました。ここはリゾート地ということもあり、本当に美しい場所でした。銀世界のChampaignとは違いここは海の青、緑の植物、多くの花に囲まれたほっとできる世界でした。また、マヤ遺跡のツアーに参加して、遺跡に触れたりと盛りだくさんな日々を過ごしました。海にも入ることができ本当にリゾートを満喫しました。

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この1ヶ月に渡る旅は私にとって新たなアメリカを知るとてもいい機会となりました。勉強ばかりの学期中とは違い、勉強から解放された本当に自由な時間でした。でもこの旅行で学んだことは、私はやはりここイリノイが好きだということです。旅行中なんどコスモに帰りたい、ハウスメイトに会いたいと思ったかわかりません。今は学校も始まり、コスモにもいつもの活気が戻りまたみんなでわいわいと過ごす日々に戻りました。そのことが本当に今は嬉です。すぐに学校も忙しくなり、大変になると思いますが、1日のリズムがきちんと決まった規則正しい日々を過ごすのはとても楽です。残り後半分となってしまい、本当に帰りたくないという気持ちが強くなる一方ですが、残りの時間を大切に、前学期よりもっと多くのことを吸収して楽しい日々を過ごしていきたいと思います。

最後になりましたが、いつも応援してくださっているJICの皆様には本当に日々感謝しています。皆様も風邪などひかれぬようくれぐれもお気をつけ下さい。また次回のレポートで報告させていただきたいと思います。

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神戸大学国際文化学部3回生 森本なずな

(写真1:Graduation Ceremony にて)
(写真2:カリフォルニアの友達の家族と)
(写真3:カンクーン(メキシコ)で)
(写真4:ハロウィンパーティーで)

2008年度奨学生レポート(椿 晴香)

JICの皆様、日本は例年より少し暖かいと言われているようですが、それでも寒い季節、いかがお過ごしでしょうか。前回のレポートから数カ月経ち、イリノイでの生活がすっかりしみついてしまいました。毎日のように氷点下の世界で、考えてみると決して過ごしやすい土地ではないのですが、冬休みの間イリノイを離れシカゴの空港に戻ってきて寒い空気に触れたとき、何とも懐かしい気持ちになった自分に気づきました。授業の教室がどこか出先の建物の一室のように感じていた初秋にはここまでの感情の変化がは想像していませんでした。きっかけは最初の2ケ月にあったのだと思いますが、いろいろなことが起こったその後の3か月ほどの一部をご報告いたします。

☆研究室
Department of Plant Biologyはじめ、イリノイ大学の多くの学科には学部生対象に研究室に所属して研究の過程を体験するというシステムがあります。専攻によっては日本の大学の卒論にあたる研究がないようで、学部生のうちに研究室に入ることはあまりないため、Undergraduate researchの経験は大学院進学の時に有利とされています。私の入れていただいた研究室では4~5人の学部生が大学院生の研究の分析補助をしています。日本で卒論のための研究室を選ぶ前に休学してイリノイに来たため比較はあまりできませんが、朝は8時前から始まり夕方は4~6時頃には帰宅という研究スタイルは良いなと思いました。日本ではともすると夜遅くまで残っていることが美徳とされがちなのに対し、とても健康的です。私は授業が半日ない曜日にまとめて週12時間ほどを研究室で過ごしています。帰国後自分の研究を始めたときに、ここで身につけた試料の処理法がそっくりそのまま役に立つことはありませんが、一つ一つの試料を丁寧に扱うことは共通していますし、データとして見るだけでは思いもよらない地道な作業が研究の裏にはあることを実感しました。

研究自体も面白いのですが、広い大学の中で学問的興味が近い研究室メンバーと知り合えたことも大きな収穫です。バーベキューや先生のお宅でのパーティーもあり、料理を持ち寄り、普段はそれほどできない会話をし、楽しい時間を共有できました。PhDの学生にとって将来家庭を持ったらどう研究と両立させるか、配偶者の就職先によって研究場所をどうするかなど日本と変わらない悩みがここにもあるのだなと、考えさせられました。何より助かったのは、自分の興味に即した研究室を選んだため、関連する授業でレポート課題が出たときに、英語のチェックをしていただけたことでした。初めの頃こそ長時間の分析に疲れてしまうこともありましたが、気さくな方ばかりで今では大切な居場所になっています。

☆Crazy fish lover lives here.
10月のある日、いつものように授業後に研究室で試料袋をならべて測定準備をしていたところ、研究室に隣接するResearch Assistantさんの部屋(office)からかん高い声が聞こえてきました。彼女はそこで飼っている魚にそのように語りかけてかわいがっています。その日はそれがいつも以上に長く、ついに一緒にいた学部生がofficeのドアに何やら貼り紙をしました。何だろうと思って顔をあげると、「Crazy fish lover lives here.」と。思わず吹き出し、さらに「We have to warn people.」などと言うもので、笑いが止まりませんでした。

箸が転がっても可笑しいと言われる年頃が過ぎても日本にいたときはよく笑っていたのに、イリノイに来てからその日までは笑うことがほとんどありませんでした。アメリカ人の学生たちは友達同士で談笑していましたし、Illini Unionで開かれたコメディショーでは一緒にいた他の人は笑っていたので、大学内に面白いことが全くないわけではないのです。それにも関らず楽しめなかったのは、リスニングは得意な方だと思っていたもののコメディーはスラングも多く、学生同士のおしゃべりでたまに聞き取れたことが下品なことだったりするとそれ以上聞きとる気力を無くしてしまったためかと思います。毎日のあいさつやThank you!は笑顔でと心がけていたのでほほ笑むことはありましたし面白い授業はあったのですが、心から笑える体験がありませんでした。

それが、Crazy fish loverの一件の後、何となく気が軽くなりました。リスニング力が多少向上したこともあったのでしょうか。じっくり聞いていると、周りの人たちが実に面白いことを話しているのがわかり、一緒に笑えるようになりました。以前のように思い出し笑いをすることもあり、精神的に余裕が出てきたのを自覚しました。ふと、大学に着いた最初の日のオリエンテーションで、外国に行き異文化に接したときには、初めは「あばたもえくぼ」と夢見心地で受け入れるものの、次第に憂鬱になり、紆余曲折を経たのち最後には自分の新しい故郷と感じる、という段階を経ると聞いたことを思い出しました。早く故郷と思える段階になるには周りの人との関わりが大切だとのことでした。ちょうど遊びに誘われる時間が研究室の時間と重なることが多く、なかなか寮の友だちとの時間がとれていませんでしたが、学年も近い研究室の人たちとのつながりが私にとって大きな意味を持っていたのだなと、学術的なメリットしか考えていなかった研究室の意外な面を発見することができました。

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☆日本館
今年は大学にある日本館が設立10周年にあたり、10月の最後の週末には記念行事が開かれました。そこで、友だちを誘ってお茶会や飴細工、手品を見に行きました。日本庭園や和室を見て、飾ってある額には何と書いてあるか、お茶の時には何をしているところなのかをできる範囲で彼らに説明しました。ただ、お茶は10年くらいぶりでかすかな記憶しかなく、日本紹介の使節としてではなく理系の学部生としてアメリカに行くのだから新たに日本文化の知識をつけて行かなくてもよいだろうと、日本にいる間にあまり勉強していかなかったのを少し後悔しました。それでも、面白いわと言ってくれ、私自身も久しぶりに日本文化を楽しむことができました。夕方にはピクニックがありました。JICの方々数名にもお会いして励ましのお言葉を頂き、改めて多くの方々のお世話になってイリノイに来ることができたことを実感しました。普段の生活では日本人と会うことはほとんどなく、主に自分のパソコンや書物でしか日本語にも触れない環境で2か月以上暮らしてきた後のことだったため、きちんと日本語でご挨拶ができるかさえ心配でした。実際は流石にそんなことはなく、この週末を機に日本出身であること、日本からたくさんのサポートを頂いていることを感謝する、よい機会となりました。後にアジア系アメリカ人の友だちとどうして中国館・韓国館はないのだろうという話になったときには文化交流のための日本館があることを誇りに思い、また設立・維持に関わっておられる方々に感謝の念でいっぱいになりました。

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☆Thanksgiving break
11月の最終週、丸一週間の休みがありました。多くの科目でここぞと宿題が出、また期末試験も近かったので寮が閉まっても自宅に帰省して勉強したいだけできるアメリカ人が少しうらやましかったです。しかし叶わぬこと、みんなができないことをしたいと思い、ちょうど国立公園の植物・自然についての課題が出ていたので気候のよいフロリダ南端にあるBig Cypress National Preserveを選び、現地へ観察に行くことにしました。出身の関東にもイリノイ中部にもない熱帯と温帯の植物が両方見られ、文献だけではわからないことを見つけることもできました。結局この課題は同じ科目の以前のレポート課題ほど好成績ではなかったのは残念でしたが、読んでいただいた研究室の先輩は褒めてくださり、専門外だった湿地の生態学や植物学の専門書も読み漁り、楽しいレポート作成になりました。

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感謝祭の直前にイリノイに戻り、その後は教会の勉強会で知り合った方のお宅に泊めていただきました。そのお宅で感謝祭の食事は食べられなくなるまで食べる食事だと聞き、そんな食事が日本にはあるかと聞かれました。いつもとは違うごちそうをたくさん味わうのはお正月ではないかと答えました。家族で祝う祝日であること、翌日にはセールがあることも似ていると思いました。そして、そのような大切なお祝いに私を交えてくださったのは本当にありがたいことでした。

休み明けは国立公園の課題含め二つの学期末のレポートとその口頭発表に続き期末試験もあり、大変慌ただしくなりました。この頃から本格的に雪が降り始め、過ごしにくくなったもののきれいな雪景色は眺めるだけで気晴らしになりました。

☆冬休み
前半2週間ほど親戚もいる西海岸で過ごしたのち、冬休み最後の1週間はYMCA内の団体であるASB (Alternative Spring Break)の主催するボランティア旅行に参加しました。行先は昨年度の八尾さんと偶然同じく、テキサス南部にあるメキシコからの移民のための施設です。多くの人が農業に従事しているということで関心を持ち選んだ行先でしたが、旅行前の班ごとの勉強会で日本の農村とその抱える問題とは異なることがわかりました。不当な労働条件のため低所得で、アメリカ国内で最も貧しい地域の一つにあたり、非舗装の公道、トレーラーや小屋のような住宅は衝撃的でした。普通の大学生活では感じることのない移民問題や貧困を目の当たりにし、施設の方に言われるまでもなくアメリカの皆で考えていかなければならない問題であることを実感しました。

また、このボランティアを通して多くの人との出会いがありました。メンバー11人中10人が女性ということもあり、11月頃から週1回あったミーティングや募金活動に始まりシャンペーンから24時間近いドライブと現地での6日間で仲を深め、今後も親しくしたい友人に出会うことができました。現地では施設で働いている方と、まだまだなのという英語と私の本当に片言のスペイン語とでお話し、交流もできました。他のアメリカ人のメンバーが施設の人たちとなかなか打ち解けられないと言う一方、私は英語のわからないつらさから共感できたのは皮肉なことですが、よかったのかなと思いました。しかし、今度来るときはスペイン語がもう少しできるようになっているね、とも言われ予備知識全般ともども勉強不足だったことを後悔しました。

昨年度と同じくウィスコンシンとアイオアからの大学生も同じ時期にボランティアに来ていました。グループの皆とも言い合っていたことですが、アルコール禁止で少なめの予算で自炊をするイリノイのASBはボランティア活動に専念できるよい団体だと思います。寮の掲示や留学生オフィスからのメールでもお知らせがありましたので、来年度以降来られる方々で関心をお持ちの方はぜひ参加なさることをおすすめします。

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ここには書ききれないくらい他にも授業内外でイリノイでしかできない様々な体験がありましたが早いもので、留学生活も後半に入りました。1月19・20日とMartin Luther King Jr.誕生日と初の黒人大統領就任式が続き、世の中も変わりつつあります。この歴史的な瞬間にアメリカにいることができること、ただ滞在しているだけではなくイリノイ大学という素敵な環境で学ぶことができることを感謝しつつ、私自身もまた成長して変わることができるように、今学期も精一杯頑張ります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

東京大学理学部地球惑星環境学科4年 椿晴香

(写真1:SouthQuad…10月24日にしてもう紅葉)
(写真2:Research farm:10月末に交換留学生対象で大学の牧場の見学に行きました。胃の中を研究するための穴に腕を入れさせてもらったところ。)
(写真3:Florida…カヌーでマングローブの中に入ったところ)
(写真4:SanJuan:メキシコ移民の人たちの住んでいる地域)

2008年度奨学生レポート(武友 浩貴)

JICの皆様、ご無沙汰しております。シャンペーンは一段と冷え込み、日本では経験したことのない寒さが続いています。さて、秋学期がすでに終了し残されたイリノイでの生活も春学期の約4ヶ月になりました。以前のレポートから今までの近況報告させて頂きます。

<ボストンキャリアフォーラム、中間試験>
十月の終わりから十一月の初めにかけての3日間、ボストンで行われたキャリアフォーラムに参加してきました。このキャリアフォーラムはアメリカの大学で学ぶ日本人や、日本語を学んでいるアメリカ人の学生を対象とした非常に規模の大きいフォーラムです。多くの留学生やアメリカ人の学生たちが就職活動をこの短期間で行います。約10000人近くが参加していたらしく、日本人の多さに驚きました。最初の二日間は昼食をとる暇もないくらい忙しいスケジュールでした。日本語、英語で合計約15回の面接を受けた結果、幸いにも米系投資銀行からオファーを頂くことができました。

最後の1日はボストン観光をしました。僕をボストンで滞在させてくれた友人とともに歴史溢れるボストンの街を歩き回りました。この季節のボストンは紅葉がとても美しく、ボストンの魅力を満喫でと思います。

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ボストンから帰ってきてから、サンクスギビングブレイクまでの3週間は、中間試験やクラスのプロジェクトに追われ非常に忙しかったです。時間をもう少し上手く管理できれば、プロジェクトももう少し進められたのではないかと反省しています。中間試験はクラスのノートを持込みできるというものあったのですが、その分難易度が上がったりと上手く調整されていました。

<サンクスギビング>
サンクスギビングブレイクの約1週間にシカゴ大学に通う友人を訪れてきました。実は僕にとってはこれが最初のシカゴ訪問ということもあり、僕の友人がシカゴを色々案内してくれました。滞在したシカゴ大学は校舎も古いものが多く、歴史ある大学だという印象を受けました。また僕の滞在した寮から、次期米大統領オバマの自宅が徒歩10分ということが判明し、見に行ってみようと考えましたがセキュリティーが厳しく、見ることも不可能ということで断念しました。シカゴのダウンタウンは多くの高層ビルが立ち並んでいますが、その中にユニークなモニュメントが潜んでおり、とても面白い街です。自分の専攻の観点からも、様々なビルを見ることができてよかったと感じています。しかし11月のシカゴは風も強く、極寒でした。シカゴは “Windy City” と呼ばれており、風の強さは有名ですが、まさかここまでとは思いませんでした。

<期末試験、ファイナルプロジェクト>
サンクスギビングが終わると、期末試験の準備やファイナルプロジェクトの完成に向け、学生たちは一斉にスパートをかけます。僕はとっていた授業がほとんどプロジェクトをメインにしたものでいたので、期末試験は一つしかありませんでした。心配されたプロジェクトもほとんどが締め切りに余裕をもって終わらせることができ、クラスメートに向けてチームでプロジェクトの内容についてプレゼンテーションを何回か行いました。チームで約25分間のプレゼンテーションでしたが、限られた時間の中でいかに自分の言いたいことを伝えるかということは今後の大きな課題となりそうです。この数回のプレゼンテーションで見つかった課題などは、克服することで将来自分の仕事に生きてくるはずです。またこの期末試験シーズンにイリノイ大学の日本館の郡司先生がディナーに招待してくださり、日本風のカレーをごちそうになりました。とても懐かしい味がしておいしかったです。また日本館は内装がとても美しく、日本の文化をアメリカ人の学生たちが味わうことのできるすばらしい施設だという印象を受けました。

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<ウィンターブレイク>
期末試験やプロジェクトが終わり、約一ヶ月のウィンターブレイクが始りました。僕はニューヨークにいる友人たち、そしてカリフォルニアのスタンフォード大学にいる友人たち、教授を訪れるために、まずニューヨーク行きのチケットを買い、2009年の1月1日にカリフォルニアに飛ぶというプランをたてました。年末のニューヨークは観光客でいっぱいで、特にタイムズスクエアは歩くこともままならないほどです。ニューヨークでも友人のおかげでほぼすべての観光スポットを回ることができました。ニューヨークでは本当に色々な人が自分独自のスタイルを持って生活しているなという印象を受けました。

年が変わった初日は移動に費やしました。ニューヨークから、サンフランシスコまで約7時間のフライトでした。サンフランシスコの気候はニューヨーク、シャンペーンに比べるととても暖かく穏やかな気候でした。滞在したスタンフォード大学付近はシリコンバレーの中心でFacebookなどのテクノロジー中心のオフィスが立ち並びます。スタンフォードでは多くの友人、日本でお世話になったカレン教授に会うことができとても嬉しかったです。サンフランシスコにも何度か足を運びました。スタンフォードからサンフランシスコまでのドライブは景色もよく非常に気持ちのいいものでした。サンフランシスコはニューヨークに比べると人もそんなに多くなく、リラックスしながらゆっくり観光ができました。

現在はシャンペーンにもどり、春学期に向けて準備をしています。次が最後の学期ですので思い切り頑張りたいと思います。最後になりましたが、JICの皆様、友人、そして家族への感謝の気持ちを忘れずにこれからも精進していきたいと考えております。

武友 浩貴

(写真一枚目はボストンの紅葉、二枚目はイリノイ大学の友人たちとキャンパスのバーにてです。)