11月28日(土)PEATA勉強会を開催

イリノイ大学のビジネススクール卒業生を対象とした勉強会が、11月28日(土)に神田の学士会館にて開催されました。講師は、今年のJICリユニオンパーティでスピーチをお願いした、大和総研 チーフエコノミスト 原田泰様で、PEATA卒業生を中心に、15名が参加しました。

まず,今話題の「事業仕訳」について事業仕訳人に指名された原田さんから、1時間程度、事業仕訳の模様について説明があり、参加者からの質疑応答で勉強会は大いに盛り上がりました。一同記念撮影後、解散となりました。

PEATA同窓会(会長鈴川準二さん)では今年の5月に第一回総会を開催しており、今後、年に二回程度イベントを開催していく予定です。尚、同会ではMBA卒業生も参加することが可能ですので、興味のある方は事務局の小峰hisashi.komine@illini-club.jpまでお問い合わせください。

 

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Dr. Kenichi Miura received a 2009 Seymour Cray Award!

スーパーコンピュータの分野で世界的な権威の三浦謙一氏(MS and PhD in CS, 1971, 1973)が2009 Seymour Cray Awardを受賞され,2009年11月18日にOregon Convention Centerで授賞式が行われましたのでご報告いたします.

三浦謙一氏は在学中にILLIAC IVプロジェクトに参画して並列計算機の礎を築き,学位取得後は富士通(株)及びFujitsu America, Inc. でベクトル並列型のスーパーコンピュータ開発を牽引され,2002年には富士通研究所(株)のフェローに就任されました.2003年からは,国立情報学研究所教授として,グリッドコンピューティングを中心とした研究開発プロジェクト(NAREGI: National Research Grid Initiative Project,RENKEI: Resource Linkage for e-Science)等のリーダとしてご活躍しています.

おめでとうございます!

11月15日から3回放映・BS-TBS『世界・そこにある江戸時代』の紹介

関西学院大学社会学部・奥野卓司先生からのメッセージをご紹介します

皆様

奥野@関学社会学部です。

お知らせが直前になってしまい、恐縮なのですが、ぼくが企画と監修を担当した『世界・そこにある江戸時代』という番組が、明日の日曜日から、3週連続で始まります。

1回目では、マカオ、台南、オランダ、ドイツ、石見銀山、長崎出島にロケして、
「日本の銀が紡いだ世界貿易」として、まとめました。

個人的な都合で、途中からロケハンに行けなくなったたため、
今回は脚本を書かず、企画・監修にとどまりましたが、
スタッフが熱心に取り組んでくれて、
ギリギリながら、なのとかまとまりましたので、お知らせさせていただきます。

ぼくがやらせていただいたので、「鎖国論」対「反・鎖国論」の歴史番組ではありえません。
「グローバリズム」と「ナショナリズム」のすき間、ほどよい立ち位置を、江戸時代を鏡にして、現代の日本社会に考えたいという番組です。(やや放送大学的に仕上がってしまい、自信がないのですが)

BSデジタル・ハイビジョン放送なので、みていただける視聴環境がかぎられているので
すが、そのメディア環境と、もしお時間がありましたら、ご覧いただけたら、幸甚に存じます。

BS-TBS  1回目 15日(日) 午後4時~5時
2回目 22日(日) 午後4時~5時
3回目 29日(日) 午後4時~5時

ご感想、ご意見、歴史上の間違いなどをおきかせいただけたら、嬉しいです。
よろしくお願いします。

関西学院大学社会学部
奥野卓司

中川貴史さんの2009年10月分の奨学生レポート

  JICの皆様、いかがお過ごしでしょうか。2009年奨学生の中川貴史です。シャンペーンでは木々も色づき、暖かかった気候もすっかりと冷え込んで、コートが手放せない季節となってきました。この時期は日本で言う梅雨の時期に当たるのか雨の日が多く、天気の良い日が余計に嬉しく感じられます。

こちらに来て早いもので2ヶ月、沢山の人との出会いがあり日々充実した生活を送っています。この機会をお借りして、少しばかりこちらでの素敵な経験をお話しさせて頂きたいと思います。

1.はじめに
こ ちらに到着してまず実感したのが、「人の温かさ」でした。到着したオヘア空港は複雑で巨大な為迷子になってしまい、親切な通行人に案内をして貰いながらよ うやくシャンペーン行きのバスに飛び乗るというハプニングからこの留学が幕を開けることとなりました。またシャンペーンに到着してからも、私が到着した時 期が早かったこともあり閑散とした真っ暗のキャンパスで強大なスーツケースを2つ抱え、迷子になり途方に暮れていたところを、またしても親切な通行人に助 けて貰うこととなりました。文化も言語も違う初めての場所で、多くの親切な人に助けられ、日本では感じることのできなかった人の温かさの大切さを痛感し、 ひとつ新たな気づきを得るアメリカ到着となりました。

またこちらで生活を始め最も 驚かされたのは文化の多様性で、様々な背景を持った人が混在する環境は大変興味深いものがあります。バスやスーパーでは、英語だけでなく中国語・韓国語・ スペイン語やポルトガル語が飛び交い、それぞれが自分の文化を維持しながら上手くアメリカに適合している姿には驚かされました。このような多様な文化が混 在する環境の中で、授業や友達付き合いを通して考え方・感じ方の違いを実感し、また同時に文化の壁を超えた共通点を見つけ、人間的に成長する良い機会と なっています。

2.キャンパスについて
ここシャンペーンは、コーン 畑の中心にあると聞いていたのでスキー場があるような日本の田舎町をイメージしていたのですが、想像と違い、緑豊かで安全な住みやすい素敵な街でした。海 外での生活経験がなく東京育ちの私にとっては、こちらでの生活はすべてが新しく、大変貴重な経験となっています。

少 し歩けば無数のコンビニやレストランがあり何でも手に入る東京とは違い、こちらでは最低限必要なものがコンパクトに纏まっている印象があります。私の滞在 しているシャーマンホールには食堂がない為、夕食の時間には友人と誘いあって、グリーンストーリート沿いにあるレストランで、中華料理や韓国料理、インド 料理などを楽しむのが日課となっています。また、週末には20分程自転車を走らせて、巨大なショッピングモールまで足を運び、買い物を楽しんでいます。

また、広大で美しいキャンパスは特にお気に入りです。近代的な高層ビルが立ち並び、生徒が密集している日本のキャンパスとは違い、端から端まで歩くとすると1時 間はかかる巨大なキャンパスには、巨大なスタジアムやジム、図書館、数々の公園や庭園が点在しています。授業の合間にはキャンパスの中心にあるクワッドで 芝生の上に寝転がりながら本を読んだり、ジムでバトミントンを楽しんだりと、美しいキャンパスと充実した施設を満喫しています。

大学生活に関して、とりわけ日本の大学生活との違いを実感する点は、生徒が寮やアパートといったキャンパス上に住んでいる点です。もちろん教室まで近いので 便利ということもありますが、それ以上に、これが日本には無いような密な人間関係や特殊なキャンパススタイルを生んでいる印象があります。みなが近くに住 んで居るため、友人のアパートで主催されるパーティーに足を運んだり、また一緒に誘いあって図書館に出かけたりと濃厚な人間関係が築かれています。また日 本でいうクラブやサークルも当然あるのですが、こちらではその存在感は薄く、フラタニティやソロリティといったコミュニティが人間関係の中核を担っている ようです。特殊な試験を受けなければ入ることができず、それぞれの伝統・規則・歌や踊りを持ち、時には生活を共にするフラタニティやソロリティは、自由で ありながら時に保守的なアメリカの文化をよく表現する興味深い存在だと思います。

3.授業について
授業に関しては、様々な手段 を試みたものの法律系科目の聴講が許可されなかったり中国語の授業が取れなかったりと、自分の興味のある授業を十分には取ることができず、やや心残りな授 業計画となってしまいました。とはいえ、私の専門分野である法律から少し離れ多様な授業を取ることで、別の視点から物事を眺めることができ、思わぬ発見や 学びがあり、結果的には大変充実した授業計画となっています。
EALC 250 Introduction to Japanese Culture
PSYC 245 Industrial Organizational Psychologies
LAW 301  Introduction to Law
CMN 101  Public Speaking

今学期は以上のような12単位を履修しています。とりわけIntro to Japanese Cultureで は、日本の文化・歴史を客観的に眺めることで自国の文化、さらには自分自身をより深く知る貴重な機会となっています。またアメリカの視点から再構成された 日本の文化・歴史を概観し、アメリカの生徒の日本についての意見を聞くことで、アメリカと日本の関係性といった大変興味深い気づきが得られています。日本 の文化に関して特に嬉しい驚きとなったのは、アメリカの生徒達が非常に日本の文化に興味を持っているということです。日本文化に関するこの授業も大変人気 ですし、先日のスタディアブロード説明会では数え切れない程の学生が日本への留学に興味を持ち、目を輝かせながら説明を聞いていました。
また先日には郡司先生にご招待 頂き日本館でのお茶会に出席させて頂きました。恥ずかしながらこれまでお茶を正式に頂いたことがなく、この機会に初めてそれもアメリカでお茶を頂くという かけがえのない経験させて頂くことができました。毎週のお茶会には大勢の生徒が日本館を訪れるということで、その当日も多くの生徒がお茶を楽しむ様子を見 学することができました。アメリカ人にとって日本の文化というと侍・すし・アニメといったイメージが強いようですが、そういった日本の文化の一部分だけで なく、本当の意味で日本とはどういう国なのか興味を持って貰う手助けが自分にできたらと思っています。

またIndustrial Organizational Psychologiesでは、経営学の視点とは少し異なった視点から、ビジネスの現場でのパフォーマンスやモチベーションの向上などに着目し非常に興味深い授業となっています。Public Speakingでは、複数のプレゼンテーションを通して英語力の向上だけでなく、いかに聴衆を引き付け効果的な話をするか効率的に学ぶことができています。

こちらでは、生徒達が日本よ りもずっと真剣に授業に取り組んでいることに気づかされます。第一には良い成績が就職活動・大学院進学に不可欠であるため、就職を真剣に考える学生はみな 必死で勉強に励んでいるようです。しかしより本質的には、授業の質自体が非常に高い点にも気づかされます。クラスは日本に比べ少人数な場合が多く、グルー プを作ってのディスカッションや先生との対話形式でのやり取り等、生徒と教授の双方向のコミュニケーションが行われる工夫がなされており、生徒にとって授 業がより面白いものとなっています。またシラバスや評価基準が明確で、概して授業自体が非常によく組み立てられている印象があります。授業の内容自体が難 解なものでも、ユーモアに溢れた教授の授業は非常に興味深く、生徒が主体的に授業に参加する工夫がなされています。

4.こちらの生活と今後について
こちらの生活を一言で表すと すれば、「よく遊びよく学ぶ」ということに尽きると思います。先日は、友人宅でたこ焼きパーティーやお好み焼きパーティーを主催し、久しぶりの日本の味に 舌鼓を打つと同時に、日本の味を多文化の人に伝える良い機会となりました。どちらも好評で嬉しく思っています。週末には友人とともに、バーに出かけ団欒を 楽しんだり、ビリヤードやボーリングを楽しんだり、フットボールやホッケーの試合を観戦しに行ったりと忙しい日々を送っています。また、こちらではテニス のクラブに入り週に3、4日 テニスを楽しんでいます。クラブでは、運動そのものだけでなく、普段では接点のない多くの人と知り合い、スポーツを通して仲良くなる素敵な機会となってい ます。沢山の人との交流を大切にすることで、日本では決して体験できない文化の違いや共通点を実感し、自分自身の視野を広げ人間的に成長できればと考えて います。

他方、勉学に関しては、前述 の通りとても充実したものとなっています。英語に関してはもちろん、勉強に時間が余計に掛かること等苦労する点はありますが、勉強に際して英語という障壁 を強く意識することはなくなってきました。中間試験前には図書館で朝まで籠りっきりで勉強するなど集中的に勉強し、メリハリの付いた生活を送ることができ ています。

こうして頂いたイリノイでの留学という貴重な機会を最大限に生かして、勉学と遊びを両立しながら、これからの6か月間をより充実した生活にしていきたいと思っています。

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<写真1> アイスホッケーの試合にて
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<写真2> 郡司先生と共に日本館で
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<写真3> お好み焼きパーティーにて

2009年奨学生 東京大学法学部
中川貴史

鈴木博達さんの2009年度10月分奨学生レポート

 JICの皆様、ご無沙汰しております。シャンペーンに到着して2カ月が経ち、最初のころは欠かせなかったクーラーが、今ではすっかりヒーターに置き換わっています。日本でもそろそろ寒くなってくるころかと存じますが、いかがお過ごしでしょうか? 第一回の奨学生レポートとして、こちらでの生活に関することをお送りさせていただきます。

出国とオリエンテーションラッシュ
私はアメリカの前にトロントに立ち寄る予定だったため、出国は奇しくも終戦記念日の8月15日でした。成田空港第一ターミナルの保安検査場。今まで何度も通ったゲートなのに、1年先までここを通ることはないと思うと、ゲートをくぐる時になぜか緊張したことを覚えています。トロントまでの14時間、日本で1週間にわたる送別会ラッシュを開いてくれた友人たちを懐かしむ気持ちと、新しい生活へ期待する気持ちが一緒になって、頭の中はなんだかもやもやとしていました。そんな気分もナイアガラの絶景の前に洗い流され、17日にはミルウォーキーからAmtrakを乗り継いでシャンペーンへ到着。ベッドリネンがないので同日にTargetへ買い物に行く、というなかなかのハードスケジュールでしたが、なんとかこなすことができました。

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(到着したWisconsinの風景)

到着した翌日以降は、休む間もなく各種登録に追われることになりました。土地勘がない状態でISSS、SAO、McKinleyなどの建物を探すのはなかなか大変でしたが、オリエンテーションで友人を作れたのは大きな収穫でした。特に留学生同士は同じような状態で来ているため、簡単に打ち解けあうことができました。

授業
シャンペーンに到着した4日後、8月21日に授業は始まりました。最初の1週間は建物の場所もわからなかったり、本屋で買う本を間違えたりとなかなか物事がスムーズに進みませんでしたが、周囲の友人と情報交換しながらなんとか乗り切ることができました。特にElementary Spanishのクラスはオンラインの教材も使うもので、E-Bookの仕組みを理解するまでに時間がかかってしまいました。ただその過程でクラスメートが気を利かせて課題の期限の前に電話してくれ、アメリカ人のフレンドリーさに触れることができたことに感謝しています。最終的に、他にPublic Speaking、Intro to Advertisement、Intro to Academic Writingの授業を受講することに決め、今学期の授業は4つになりました。

Intro to Advertisementを除いた他の3つのクラスは20人程度の小規模なものです。私が受講している授業に限らず、UIUCの授業の多くは小規模で、教師と生徒の距離は非常に近いものが多いです。特に語学にかかわる授業では、積極的にアクティビティに参加することができる少人数のクラスは非常に効率的だと思います。

また、授業の双方向性という点にもアメリカの大学の素晴らしさを感じました。100人程度の比較的大規模な授業であっても、教授が学生に積極的に質問を投げかけ、それに学生も積極的に応じる、というスタイルは、日本の大学のそれとは大きく異なっています。私を含むアジア圏から来た留学生は、最初はそのスタイルに慣れずに圧倒されてしまいましたが、2カ月ほどが経過した最近では徐々にそれに慣れてきて積極的に授業に参加できるようになり、自分の成長を実感しています。

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(イリノイ大学の風景)

キャンパスライフ
アメリカにある大学の多くはResidentialで、留学生だけでなくほぼすべての学生がキャンパスの中に暮らしています。UIUCもキャンパスが1つの街を構成していて、娯楽も含めほとんどの用事がその中で完結してしまいます。(そのためキャンパスは「キャンパスタウン」と呼ばれています)

ボーリング、ビリヤード、アイススケート、エクササイズジムなどはすべて大学が運営しているため、学生はいつでも気軽にそれらを利用することができます。また大学が運営するIllini Unionの中にはフードコートまであり、Jamba JuiceやChick-fil-Aといったアメリカの代表的なファーストフードを利用することができます。昼時には混み合うIllini Unionですが、友人と一緒に食事に行ったり、ジュースを買いに行ったりと、常時お世話になっています。

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(ボーリング場にて)

キャンパスタウンの中心にはGreen Streetと呼ばれる通りがあり、この通りにはさらに多くの飲食店、クラブ、バーがひしめき合っています。幸い私が暮らしているSherman Hallは非常にこの通りに近く、ここにあるStarbucksには、2カ月の間に行かなかった日が10日程度しかなかったほど頻繁に利用しています(笑)

シャーマンホール
「大学に近い一人の空間もある寮」ということを念頭に置き、出国前から住む場所はSherman Hallに すると決めていました。結果的にこの選択は正解で、非常に快適に生活することができています。キッチンは共同のものしかないのですが、週末にはそこで日本 食パーティーを開くなど、施設を有効に利用させていただいています。アメリカに来て以降、日本食は自分で作るしかなくなったため、意図せずとも料理がうま くなった気がします(笑)
Sherman Hallでは部屋を共有するRoommateはいないのですが、トイレ・バスを共有するSuite-mateがいます。私のSuite-mateはスペイン人で、お互いの国の音楽を聞かせあうなどして楽しい時間をすごしています。

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(Sushi Party)

Sherman Hallは基本的に大学院生向けの寮なのですが、留学生は学部生でも暮らすことができるため、非常に国際色豊かな寮になっています。すぐに思い浮かぶ友人だけでも、スペイン、スコットランド、オランダ、インド、中国、韓国など出身国はそれぞればらばらです。

Choosing the Battlefield
最後になりますが、イリノイで今まで過ごした2カ 月から学んだことについて書きたいと思います。留学初期はどうしても「自分が人よりもできないこと」に目が行きがちで「一人前」として見られようと努力し ていました。自分が生まれ育った言語・文化圏の外に出ると、幾度となく小さなトラブルを経験することになります。例えばコーヒーの注文がうまくできなかっ たり、買う予定のものを間違えたりと、その多くは取るに足らないつまらないことなのですが、これらが積み重なることをストレスに感じていました。(アメリ カのカフェでは注文の際にミルクを入れるか、など細かなことを聞かれたりします(笑))

旅行であればその 文化が自分のものと「違う」ことだけを認識すればいい一方、留学ではその違う文化の中で「暮らす」ことになります。だからこそその違う文化のなかで一人前 として認められたい。そんな気負いもあって、「自分の長所を活かすこと」よりも「自分の弱点を補強すること」に気を使っていることに気付きました。

しかし一人前として扱われるためには、「自分が周りよりもできないこと」よりも、「自分が周りよりもできること」に目を向けるべきだと、今は思っています。TOYOTAが世界で認められたのはFordに追いつこうとして大型のSUVを開発したからではないし、Sonyが成功したのはGEに 習って大型家電を開発したからではありません。言語一つをとっても、思春期以降に英語圏に暮らした人間がネイティブ・スピーカーになることは決してないの だから、その文化の中で育った人間に追いつこうとするだけでは、結局のところ、中途半端な二番煎じで終わってしまうと思うのです。

世界で認められる 国際競争力をつけるには、「自分の弱点を補強すること」よりも「自分の長所に磨きをかけ、表現できるようにする」ことのほうが重要である、ということを認 識できた点は大きな収穫でした。何も自分が苦手とする分野で戦おうとすることはなく、自分が育ってきた環境から自分の長所を見つけ、それを表現できる「戦 場」で戦うことが、国際的に「一人前として認められる」上で不可欠なのだと思います。

全てが思い通りに進むわけではないですが、だからこそ異文化の中で暮らすことからは、得られるものがたくさんあります。この貴重な機会を与えてくださったJICの関係者の方と、周囲の家族・友人に感謝しつつ、これからもたくさんのことを学んでいきたいと考えております。今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。

針谷彩花さんの2009年10月分奨学生レポート

JICの皆様、こんにちは。2009年度奨学生・針谷 彩花です。

早いもので、アメリカに来てから既に2か月が経ちました。何度か失敗も重ねましたが、ようやく生活スタイルも確立し、日々の生活にも少しずつ余裕が出てきたところです。それでは、第一回目のレポートをお届けします。

【イリノイ大学の印象】
「とにかく広い!」というのが第一印象でした。こちらに着いて最初の一週間は、地図があっても目的地にたどり着けなかったほどです。東西南北の感覚が掴めず、Illini Unionに行くつもりが反対方向に歩いていたこともありました。しかし、地図さえ覚えてしまえばイリノイ大学はとても住みやすい場所だと思います。何よりバスが発達しているのには感動しました。Red, Yellow, Blueなど様々なラインがあり、北回り・南回りなどの区別もつかず、最初の頃は逐一運転手さんに「このバスは○○へ行きますか?」と聞いて確認してから怖々乗車していましたが、今ではもう慣れたものです。

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ま た、留学生が多いことにも驚きました。キャンパス内を歩いていると、アメリカ人だけでなくアジアの人々や中東系の人々もよく見かけます。中でも特に中国人 を見かけることが多く、中国に留学していると錯覚しそうなくらいです。日本人は少ないと聞いていましたが、今年は珍しく多いそうで、20人近く日本人の知り合いがいます。留学先で日本人とばかり一緒にいるのはよくないと聞きますが、助け合える存在が近くにいるのはいいことだと思いました。

【住まい】
現在、私はArmory HouseというPrivate Certified Housingに住んでいます。Global Communityとも迷ったのですが、様々な条件(食事や設備、立地条件など)を考慮してここに住むことに決めました。結論からいえば、Armory Houseは私にとってあまり良い環境とは言えませんでした。Armory Houseに は留学生が多く住んでいるのですが、特に中国・韓国からの留学生が多く、彼らは同じ国からの留学生とばかり関わりあい、それぞれの母国語で話すため、アジ ア人とアメリカ人・その他の国からの留学生とでコミュニティが完全に分かれている印象を受けました。唯一の日本人である私は中国語も韓国語も理解できない ためアジア人のコミュニティに入れず、またアメリカ人からは中国人または韓国人とみなされているのか相手にされず、結果的にArmory Houseではとても寂しい日々を送ることになってしまいました。
Armory Houseは食事もおいしく、立地もよく、私にとってとても住みやすいことは確かなのですが、より充実した生活を追求するため、来学期はアパートをSubleaseできないかと考えているところです。

【授業】
今学期、私は4科目12単位を履修しています。
1.    CMN101 – Public Speaking
2.    EIL489 – Theoretical Foundations of Second Language Acquisition
3.    ESL115 – Principles of Academic Writing
4.    SPED117 – The Culture of Disability

中でも特に興味深いEIL489とSPED117についてレポートします。
EIL489は私が最も興味を持っている第二言語習得論についてのコースです。秋学期に難易度の高い400番台の授業を履修することには非常に不安があったのですが、第二言語習得論に最も興味があるので思い切って履修することに決めました。この授業が一番興味深いのですが、履修決定前の不安通り一番大変なクラスです。毎週100ページ近い量のReading assignmentを こなさなければならず、また授業中の活発な議論や教授のイギリス英語を理解するのは私にとって至難の業です。あまりの大変さに「どうしてこのコースを履修 したんだろう」と後悔することもありますが、それでもやはり第二言語習得論はおもしろい!私は将来英語教師になりたいと考えているのですが、そこで役立ち そうな知識を身につけることができるので、時々は泣きごとを言いながらも楽しんでいます。
SPEDというのは「Special Education」のことで、日本語に訳すと「特別支援教育」になります。教育実習で車椅子を使っている生徒と出会ったことから特別支援教育に興味を持ち、SPED117を履修することに決めました。SPEDと 銘打ってありながら、このクラスは一番レベルの低いクラスのためか「特別支援“教育”」というよりも、むしろ「障害と共に生きていくとはどういうことか」 を考えさせられるような授業内容です。授業では障害について扱った映画やテレビ番組を見たり、実際に障害者の方をクラスにゲストスピーカーとして招いてお 話を聞いたりと、障害を持っている人々が日々の生活で直面している問題を実感することができました。特に「Sound and Fury」 というドキュメンタリー映画が私にとって衝撃的で、「健常者は障害者に健常者の価値観を押し付けていないか」「障害と共に生きていくことは本当に不幸せな ことなのか」「幼い子どもの意思を親はどうやって尊重したらいいのか」など、本当にいろいろなことを考えさせられました。このコースを通して、障害を持っ ている人々に対する私の意識は変わりました。現在、障害を持った子どもが養護学校ではなく普通の学校に通うケースが増えています。将来教職を目指す私に とって、このコースは障害のある生徒をどのようにして支えていけるか考えるために、とても良い機会になりました。

【クラブ活動】

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Quad Dayにて様々なクラブに参加してきたのですが、今現在活動に携わっているのは以下のクラブです。

1.    Ka Melia Hula Club
「せっかくアメリカにいるんだし、思い切って何か新しいことに挑戦してみよう!」と思った私が選んだのは、なぜかダンスでした。Ka Melia Hula Clubは女の子ばかり10人未満の小さなクラブで、日曜の夜に1時間、フラダンスとタヒチアンダンスの練習をしています。女の子ばかりで小規模なところが日本の大学を彷彿とさせ、とても居心地がいいです。10月24日にはKrannertで初めての発表会があったのですが、それに向けての練習はなんと本番3週間前から始まり、練習の回数は週2回 に増やしたのみ。あまりの練習量の少なさに「本当に大丈夫なのか」と心配することしきりでしたが、なんとか形になりました。本番当日はとても緊張しました が、楽しんで(それも一度も間違えずに!)踊ることができました。今後も様々な発表会などが予定されているそうなので、これからの活動を楽しみにしていま す。

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2.    Global Partners
読む・書く・聞く・話すという英語の四技能の中でも「話す」ことが特に苦手なので、Global PartnersというクラブでConversation Partnerを頂きました。小さい頃にアメリカに移住したブルガリア人の女の子で、そこにもう一人タイ人のFreshmanの男の子も加わり、週一回程度3人で会っています。

3.    Foreign Language Club
Conversation Partner 第二段です。けれどFLCはGPとは少し違い、こちらが一方的に教わるのではなく私も日本語を教える、いわゆる”Language exchange”の形になります。FLCでも英語の会話練習のために女の子のConversation Partnerを頂きました。そして私は日本語を教えるのですが、なんと女の子ばかり6人の大グループ!こちらは連絡が来たのがつい最近のためまだ6人全員で顔を合わせたことはないのですが、とても楽しみにしています。

4.    International Illini
イリノイ大学に交換留学中の学生と、イリノイ大 学から外国へ交換留学を経験した学生を繋ぐクラブです。交換留学生同士の交流会を企画してくれたり、アメリカの文化を楽しむためのイベントを企画してくれ たりします。このクラブが最も交換留学生にとって楽しいイベントを提供してくれるクラブではないでしょうか。10月13日に行われたPumpkin Carvingのイベントでは、人生で初めてハロウィンのためにカボチャを彫りました。最初のカボチャ選びに失敗して(オレンジ色の濃いカボチャを選ぶのがポイントです)30分を無駄にし、その後2時間近くかけてようやく完成させることができました。ハロウィンは日本にはないイベントなので、本番(?)の31日を今から楽しみにしています。

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一年前の今頃、本奨学生制度応募のための書類の準備に奔走していたことを今でも覚えています。家族や友人に応援され、応募文と履歴書を何度も書き直し、大学の先生方には遅くまで添削して頂いて、申し込み締め切り直前まで推敲を重ねました。
それを思い出すと、私は今、家族や友人、大学の先生方、そしてJICの皆様の支えがあってこそアメリカにいることができるんだと感謝の気持ちで胸が一杯になります。与えられた機会を最大限に活かし、これからもがんばっていきたいと思います。

群馬県立女子大学 国際コミュニケーション学部 英語コミュニケーション課程 3年
針谷 彩花

柳潤子さんの2009年10月分奨学生レポート

 JICの 皆様お久しぶりです。イリノイは少しずつ肌寒くなってきており、冬を間近に感じておりますが、いかがお過ごしでしょうか。アメリカでの留学生活が始まって から2ヶ月近くが経ちました。少しずつこちらの生活にもなれ、現在は中間テストが終わって一息ついたところです。昨年はJIC奨学生の方のレポートを読みながら留学への夢を膨らませていたのを思い出しますと、私がこのレポートを書かせていただくのが、なんだかとても不思議な感じがします。つたない文章ですが、楽しく読んでいただけたら幸いです。

1.授業について

授業は4クラスを受講しております。実はIntroduction to Law の授業も最初は受講していたのですが、内容が難しく、大教室でディスカッションについていけなかったため、今学期はこちらのクラスに集中することにしました。
SPAN122 Elementary Spanish
CHIN305 Advanced Chinese Ⅰ
CMN321 Persuasive Speaking
LLS220 Mexican & Latin Am Migration

スペイン語と中国語の授業がかなりの時間を占める言語中心のような時間割になってしまいましたが、こちらにはたくさんのSpanish speakerと Chinese Speakerがいるのでぜひぜひアメリカにいるうちにマスターしていきたいなと考えております。CMN321 Persuasive Speakingの授業は日本の大学でPublic Speakingの授業を受講した後、もっとスピーキング力を伸ばしたいということで受講を決意しました。アメリカに来たばかりのInternational studentは私一人で、スピーチの内容も社会的な問題や、学術的にもすこし専門的な問題を選ぶため、不安だったのですが、クラスメートに温かく受け入れてもらい授業を受けております。LLS220 Mexican & Latin Am Migrationの授業は、日本にいるときから楽しみにしていましたが、予想以上に内容が充実しており大変満足しています。また、クラスメートの中には、移民問題や人権問題についての活動をしている人たちもいるため授業を通して知った活動にも参加しています。

アメリカの大学は勉強がひたすら大変というイメージがあったのですが、授業ではレジュメでスケジュールや課題、成績評価の基準が細かく決められ、さらに中間テスト前にはstudy guideが 配られ、どの範囲をどのようにテストで問われるかがあらかじめ学生に教えられるなど、教える側が学生に何を要求しているのかが大変明確にされている気がし ます。もちろん、これらの要求にこたえるのは難しいのですが、きちんと学びたいと思う学生に対しては丁寧に接してくださり学生に対して、知識やスキルを身 につけてほしい、学んでほしいという熱意が伝わってきます。学生側も授業内容だけでなく、成績評価、授業の進め方についても積極的に発言、質問するなど、 授業やインストラクター、教授に対しての期待が高い気がします。その分GPA成績を個人の努力、モチベーション、能力と密接に結びつけやすく、どんな場合にもGPAが大切になってくるようで、学生たちが高いGPAを確保しようとする姿を見ると日本の大学とは随分と違うように感じます。

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2.生活面

私は現在Global crossroadsで 生活しています。こちらの寮はアメリカ人と留学生が半数ずつ暮らしています。一年生が多く、フレンドリーで母文化以外の文化に対しても興味を持っている人 が多い気がします。両親の代にアメリカに移住してきた人や、2ヶ国語以上話せる人、外国語を現在履修している人、留学経験がある、もしくは留学を考えてい る人が多いので、似たような興味を持つ友人を作りやすい環境だと思っております。
私 の寮はダブル部屋で、ルームメートはシンガポール出身のインド人です。年が4つくらい離れて若いので最初は少し心配だったのですが、しっかり者で、言語の 面でも生活面でも助けてもらっています。共通の友人がいないので一緒に出かけることはないのですが、もともとの性格が近いためか同じ部屋で生活していても 特に不自由はなく、毎日、その日の出来事を共有したりしながら、ルームメートのいない留学生活は考えられないくらい自分の生活の一部になっています。
イリノイ大学は、日本で生活していた大学とは考えられないほど、施設が充実しています。ジムがあり、24時間利用できる図書館があり、ちょっとした資料を探すにも図書館の本と取り寄せるにも便利な仕組みがたくさんあります。学生主体のイベントも多く、友人がそのイベントで生き生きと活躍しているのを見ると、本当にいろいろなチャンスの多い場所に来たのだと実感しております。

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*写真2

3.IDream & IResist

IDreamとはDREAM Act制定への政治活動を行うイリノイ大学での学生団体です。前述のLLS220のクラスメートが中心メンバーになっていたため、授業を通して知りました。現在イリノイ大学を含めてアメリカには、幼い時にundocumented(アメリカ入国に必要な書類を持たない、ビザなし)の状態で入国し、大学生になったころになってアメリカ政府から強制帰国を命じられるケースがあります。DREAM Actとはこういったundocumentedの人たちが、これから合法的にアメリカで生活するため、現在のアメリカの移民法に代わる法律です。

IResistとはイリノイ大学内での有色人種に関わる問題かかわる団体で、こちらもLLS220の クラスメートが中心メンバーになっていたため、授業を通して知りました。イリノイ大学は大学のシンボルとしてネイティブ・アメリカンをかたどったものを利 用しているのですが、少し前からこれがネイティブ・アメリカンに対する偏見であるということで問題となっています。また、chiefの ダンスがネイティブ・アメリカンの伝統的な衣装を着て、まったく彼らの文化とは関係のない音楽で関係のないダンスを踊るのも、ネイティブ・アメリカンに対 する蔑視ではないかとの考えがあります。日本では移民の子どもたちにかかわるボランティアをしていたせいか、とても興味があり、どちらの団体にも少しずつ 足を運んでいます。政治的な活動や、人権問題の活動は日本の大学よりもはるかに盛んな気がしますが、アメリカでは逆に、人々の間での宗教・文化の違いが、 他の場面での意見の違いに大きく影響するため新しい考えや取り組みは受け入れられにくい側面もある気がします。キャンバス内においてさえも自分の意見を表 明することが難しい場合があるのは残念ですが、これからこれらの団体の活動に参加していきたいと思っています。

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*写真3

初 めての海外というわけではないのですが、思った以上に文化の違い、人の違いに驚く毎日です。様々な国から留学生が集まりながらも、出身地ごとに固まりやす く、なかなかその輪の中には溶け込めないときもあり、ときに意外に宗教や言葉の壁が高く感じ、人間関係が思ったようにはうまくいかないこともあります。
ア メリカに来たのだから、こういう経験をしてみたいとかこういう留学生活を送りたいという気持ちはもちろん持ち合わせながら、いろいろな環境に触れや多くの 人の考え方を受け止め、新しい経験からたくさんのことを吸収して、これからの留学生活をさらに楽しめたらと思っております。

写真1シカゴにて
写真2ルームメートNehaと
写真3イリノイTシャツ