高田修太さんの2012年4月分奨学生レポート

本稿を執筆現在、4月中旬であり、既に今学期も残すところ3週間程度となってしまいました。今回の奨学生レポートは今学期の講義を中心にご報告させていただきます。

その前に、実は今学期にアメリカで大病を患い、救急車で運ばれ入院をしてしまったことをご報告いたします。本当にこの度は多くの方にご迷惑をかけ、ご心配をおかけしてしまったことをこの場を借りてお詫びいたします。同期の他の奨学生3名は勿論、現地の方々をはじめ、日本からもたくさんの方にご協力いただきました。本当にありがとうございます。

2月の後半あたりから次第に体調が悪くなりはじめ、高熱を発し寝込んでいたのですが、ある日の早朝、急に発作を起こしベッドから落下していたようで、それに気づいたルームメイトが救急車を呼んでくれ、およそ1週間大学近くの総合病院に入院しておりました。救急車で運ばれている間や入院はじめの2日は意識がなくほとんど記憶がないのですが、多くの友人がお見舞いに来てくださったようです。何しろ人生初の救急車と入院だったため、それに対する驚きや医学用語が英語でわからないという焦りで、とにかく入院中はわけがわからなかったのですが、全身管を通され薬を飲まされるがままに治療を受け、無事退院いたしました。退院後も1ヶ月ほどは具合が悪く、講義にも出席できない状態で留学生活に1ヶ月のブランクを空けてしまったわけですが、その間も多くの友人やイリノイ大学の日本人の皆さんが助けてくださり、なんとか快復いたしました。現在はなんの支障もなく授業に参加しております。ただ、1ヶ月のブランクは、アメリカの大学ではかなり致命的で、提出していないレポートや宿題が山のようにあり、キャッチアップが相当大変なことになっています。正直なところ、全て完璧にキャッチアップするのは無理だと既に割り切り、TA(Teaching Assistant)や友人に泣きつきながら必死に食らいついているところです。アメリカ人の友人が「1ヶ月休んだら俺ならセメスターオフ(=今学期はキャンセル)にするね」と言っていたのがよくわかります。受けなかった試験などについては考慮されるのですが、そうはいっても1ヶ月講義を受けていないので、ついていくのがかなり困難なわけです。彼らはGPAがとても重要ですからね。それでは、現在泣きつきながら取り組んでいる講義の紹介です。

【今学期の講義】

・CEE 573 Structural Dynamics II

こちらは大学院の講義です。1学期に履修したStructural Dynamics Iの続きとなる講義なのですが、難易度は圧倒的に上がっており、1ヶ月のブランクも相まってひいひい言っています。TAがこちらの事情を考慮して、レポートに締め切りを設けないでくれていますが、休んだ分の量は相当で黙々とこなす毎日です。学期末までに終わらない気がしてなりません。講義内容自体は、地震動や人間によって与えられる構造物への振動による応答の解析で、より実践的な内容になっています。実際に実験室で揺動テーブルを使い模型に振動を与えた結果を解析したり、パソコンでシミュレーションをしたり、と私自身の研究にもかなり関連した内容になっており、難しいですが楽しく取り組んでいます。ちなみに、そういった実験で使う地震動データは阪神大震災をはじめとする日本の地震データもあり、日本が地震大国であることを実感させられます。

・ECE 486 Control Systems

イリノイ大学は、「制御」という分野で世界トップです。そのトップを率いる本大学でその分野を学ぼうと思い本講義を履修しました。私自身の研究にも「制御」がかなり関わっているという理由もあります。このクラスはECE(Electrical Computer Engineering)の学生にも相当きついクラスということで有名で、実際とてもきつく、病気のブランクを埋めるのは不可能、と諦めました(苦笑)講義に加えてラボがあり、ラボの事前レポート、事後レポート、そして講義の宿題、とトリプルパンチを毎週食らっており、提出できなかった分をカウントして絶望感にうちひしがれたからです(笑)宿題自体の難易度は非常に低いのですが、ラボがとても難しく、大学院生のラボパートナーとTAにいつも助けてもらいながらカリキュラムをこなしております。ラボのファイナルプロジェクトとして、振り子の制御の課題があります。振り子をコントロールすることで、180度回転したところで安定させる、という制御に挑戦しています。

・CS 105 Introduction to Computing with Application to Business and Commerce

こちらは、Microsoftのソフトで使用可能なプログラミング言語Visual BasicやデータベースであるSQLを扱うクラスです。大人数講義で、毎回パワーポイントを使用したクラスで非常に講義自体は退屈なのですが、宿題が実際に自分でプログラムを書いたり読んだりするために非常に面白いクラスと言えます。ただ、100番台のためにまわりが1年生や2年生の学生が多く、全くついてこられていなかったのか、中間テストの平均点が絶望的に低くてものすごく驚きました。先生も驚いたようで、敗者復活戦のような、間違った問題を提出したらスコアバック!みたいなCrawbackという制度を急遽設けており、これにも驚かされました。YouTubeの発祥地と呼ばれるイリノイでComputer Scienceのクラスを取れたことも、ちょっとだけ嬉しいなと思っています。

・CEE497 Independent Study(引き続き研究)

研究グループでの自分の研究に関する単位認定です。現在最終的に提出するレポートを執筆しているのですが、幾分「理系的な」レポートを英語で書くのが初めてのため、大変苦労しております。所属していた研究グループでは多くの事を学ばせていただきました。同僚の大学院生とのパーティや共に夜遅くまで宿題に取り組んだ日々も良い思い出です。日本での研究室活動より先に、アメリカで研究活動を体験したため、ちょっと変わった理系学生としての経験を詰めたのかなと思っております。帰国後は卒業論文を書くため、こちらでの経験を活かして残りの学部生生活を送ることができればと思います。

また、2月上旬にはイリノイ大学のCivil Engineeringの学部の3つの研究グループ合同で合宿をし、研究発表等を楽しみました。

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【アメリカの病院について】

せっかくなので、アメリカの病院で体験したことについて、少しだけお伝えさせていただきます。

まずは、医学用語に大変苦しめられました。内臓の名前や身体の部分の英語名をはじめ、症状や薬の効能などまで、とにかく普段は使わないようなボキャブラリーばかりで、たった1週間の入院期間にも関わらず、相当数の医学用語を覚えてしまいました。退院後も病院との電話がかなり多くそこで覚えた用語を発揮する機会もあり、しばらくそういった言語漬けの日々でした。

それ以外にも、驚いたことはたくさんあります。例えば、病院食です。病院食というと、少し素っ気なく、身体に優しそうな食べ物というイメージがあったのですが、こちらはスパゲッティやハンバーガーまでもメニューに存在し、「そんなもん病気の時に食べるわけないでしょ!」と思いながら試しにスパゲッティを注文したらアメリカ的な量で提供されて当然残しました(笑)

集中治療室に入っていたため、常にナースが待機していたのですが、かなりの頻度で注射や薬を投与されていました。日本で入院したことがないのでわかりませんが、とても対応は親切で、大変お世話になりました。また、アメリカの医療費は相当高い、ということで有名ですが、加入していた留学生保険のおかげで全てカバーされたため、自己負担は一切ありませんでした。しかし、送付されてきた請求書を見て愕然としました。救急車は、1000ドル程度だったのですが、その他の医療費、全て込みで数万ドルです。信じられませんね。アメリカの平均学費2年分くらいでしょうか…(苦笑)これからの奨学生の皆さんは民間の保険会社に加入してから留学をすることを強くお勧め致します(笑)

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余談ではありますが、今年のイリノイは近年稀にみる暖冬だったようで、3月の時点で25℃超えの日も少なくありませんでした。そのせいか、日本館近辺に植えられている桜の木も3月半ばには満開になり、例年よりも相当早い開花となったようです。日本館では先代の館長の郡司先生に大変お世話になり、春休みの間は桜も楽しませていただきました。春休みは、授業のキャッチアップをしなくてはならなかったためにキャンパスに滞在していたため、幸運にも満開の時期に鉢合わせまして、とても美しい桜を見ることができてよかったです。

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次回は、こちらでお世話になっている日本館の話や、期末試験等の話についてお伝えできればと思います。残り少ない留学生活ですが、楽しんでいきたいと思います。