第一回奨学生レポート
JICの皆様、ご無沙汰しております。そして、今ここで御会いするのが初めての皆様、はじめまして。第38期小山八郎記念奨学生の常盤祐貴です。現在東京大学を休学し、こちらに留学しております。
10月半ばまでは例年より気温の高い日々が続き、半袖一枚の学生も多く見かけましたが、それ以降は突然寒くなり、今はもう皆すっかり冬の格好です(マッチョな男子学生は除く)。
1.到着から授業開始まで
8月18日、O’hare空港に到着し、Peoria Charterでキャンパスに到着しました。初日はキャンパス内のホテルに滞在しました。翌日、Illini UnionにてISSSへのチェックインを行った後、Union Book Storeで学生証を受け取り、寮へ移動しました。
ここで、寮についてですが、私は運悪く、FARのTemporary Roomにアサインされてしまいました。ただ、事前に、Temporaryだと寮費が半額であるとの連絡が来ていたので、正直“まあお金は浮くから悪くないかな”と思っていました。しかし、いざ住んでみると、部屋には窓が無く、二段ベッド2つとロッカー4つが置いてあるだけの粗末な設備、冷房が効き過ぎているがコントロールパネルが塞がっており自分で調節が出来ませんでした(そもそもTemporary Roomはフロアラウンジであるため、冷暖房調節はセントラル形式らしいです)。その余りにも殺風景で極寒な部屋に耐え兼ねた私は、“この部屋はひどすぎる。早くPermanent Roomに移らせてくれ。”とUniversity Housing Officeに直談判したのですが、“Wait patiently.”と言われるだけでした。そこで、impatientな私はUniversity Housingの契約を解除して、空いているPrivate Certified Housingを探すことを決心し、FARに入った翌々日にはIllini Towerの4人部屋を契約し、FARから引っ越しました。
到着してから授業開始までの一週間は、数多くのオリエンテーションがありました。幾つかは参加必須でしたが、殆どは任意でしたので、ネット関連と図書館関連のオリエンテーションだけを受けました。また、毎日夜には何かしらのイベントが催されており、アイススケートやボーリング、ビリヤードがタダで出来る日もありました。私は、前述の寮問題による疲れで最初のイベントを寝過ごすという失態を犯しながらも、何とか友達ができ、2日連続でGreen St.に飲みに行ったりしていました。
そして、授業前日の日曜日は、Quad Day。先輩方がおっしゃっていたように、Main Quadが人と活気で溢れ返っていました。
2.授業
紆余曲折を経て、現在は以下の授業を履修しています。
・Philosophy102 Logic and Reasoning (3hours)
・Geography110 Geographies of International Conflict (3hours)
・MCB461 Cell and Molecular Neuroscience (3hours)
・Comparative Biosciences420 Stem Cell Journal Club (1hour)
・Kinesiology104 Ice SkatingⅠ(1hour) *授業は学期後半のみ
・Comparative World Literature199 Israeli Cinema (3hours) *授業は学期後半のみ
因みに、ドロップした授業は以下の2つです。
・MCB450 Introductory Biochemistry (3hours)
・Geography106 Geographies of Globalization (3hours)
簡潔に授業の説明をしていきます。
・Philosophy102 Logic and Reasoning
哲学というと、デカンショをイメージされるもいるかもしれませんが、この授業は論理についての授業です。週に、50分のLectureが2回、50分のDiscussionが1回という構成です。高校生の頃は英語ディベートをやっていたので、それの影響で興味が湧いて取ってみましたが、想像していた内容とずれていたのであまり面白くないです。Lectureは大人数ですが、意外と質問が飛びます(といっても、日本と同じく、後ろの席に座っている学生はみんなiPhoneいじりで忙しく、質問はしません)。また、Discussionは30~40人程のサイズで、Lectureの復習といった内容です。TAはすごく早口なのですが、テンションが高くおしゃべりなので質問し易いです。
・Geography110 Geographies of International Conflict
Geopolitics、日本語に訳すと地政学の授業。週に、50分のLectureが2回、50分のDiscussionが1回という構成です。規模は、Lectureは100人近く、Discussionは15人程度。私がやっていた“パーラメンタリー”ディベートは、紛争や戦争を始めとした様々な国際時事問題について知っていることが前提とされる競技だったため、この授業の“International Conflict”という副題に惹かれました。イタリア系の女性の教授で、発音が聞き取り易くて助かっています。基本的には、教科書を読んでくることが前提で、Lectureは教科書の説明、Discussionは教科書で説明されている概念についてのケーススタディーです。Discussionが朝早くて辛いのが悩みです。
・MCB461 Cell and Molecular Neuroscience
細胞レベル以下の話題にフォーカスした神経科学です。週に、教科書に沿った50分のLectureが2回、Reading Assignmentになっている論文を説明する50分のLectureが1回です。学生は100人程います。将来神経科学を専門にしたいと考えており、英語で神経科学を学びたかったので取りました。内容的には既に知っている内容も多いですが、抜け落ちていた知識を補充してくれる点や論文の読み方を教えてくれる点、読む論文のトピックが多彩という点で役立つ授業です。自分で論文を探して読むと、どうしても分野が偏ってしまいますので。韓国系の女性の教授で、発音がとても聞き取り易く、話すスピードも速くないので、幸い英語面で困る事はありません。何故か、私の事を“さん”付けで呼んでくれます。
・Comparative Biosciences420 Stem Cell Journal Club
週1回幹細胞関連の論文を予め読んで来て、その論文の内容についてDiscussionを行う授業です。学期中、各学生は、必ず、論文についてのOral PresentationとWriting Summaryの提出を1回ずつ行います。PresentationとSummaryは、それぞれ異なる論文です。成績については、Presentation、Summary、授業中の発言が同等の重みを持つので、毎週何か言おうと必死です。とりあえず、何か思いついたら人より先に発言してしまうのが、一番楽だと気が付きました。人に譲ると、時々自分が言いたかったことを先にいわれてしまうので。幹細胞関連の論文は、医学系の話が殆どですが、基礎系の論文ばかり読む習慣がついていた自分にとっては、学ぶことが多いです。教授を含めて8人の少人数クラスで、私以外は全員大学院生なので、未だに毎回緊張しています(笑)
・Kinesiology104 Ice SkatingⅠ
学期の後半のみ、週に2回、1時間20分ずつアイススケートをするクラスです。今までアイススケートの経験が無く、恐らくこれを逃すともう教わる事もないだろうと思い、取りました。とても人気のあるクラスで、すぐ満席になってしまいます。しかし、僕は初めて登録画面を見た時に、唯一自分が取れる時間帯のセクションが1席だけ空いていましたので、すぐ登録しました。恐らく運が良かったのだと思います。学期中2回、数人のグループで軽いアイスショーの様な事を行い、ビデオに撮ります。それらとペーパーの期末試験で成績が付けられます。滑ってしかいないのに、ペーパーがあるのですが、何が問われるのかはまだよく分かりません。楽しいです(笑)
・Comparative World Literature199 Israeli Cinema
これも学期の後半のみ、週に2回、2時間50分ずつ(!!)の授業です。授業は、初めの30分~1時間の間に前回鑑賞した映画についての復習と今回の授業で見る映画についてのイントロ解説が行われ、残りの時間では映画を1本見ます。週に2本の映画を見られるので、映画好きの私にとってはそれだけで楽しい授業です。イスラエル映画なのでセリフはヘブライ語、英語字幕が付いています。しかし、如何せん字幕のスピードが速いため、字幕を追いかけ続けるのはかなり疲れます。
3.食事
私は、美味しものが大好きな人間なので、食事について書きます。
正直に言うと、食事に関しては辛い生活を送っております。今住んでいるIllini Towerのダイニングメニュー、種類が少ないうえに、新作がもれなく美味しくない味付け・食感なのです。もはや逆に、ここまで次々と美味しくない料理を考えられるなんてすごいなと感心しています。料理して頂けるだけで十分ありがたいので、食べることは食べるのですが、University Housingのmeal planにしておけば良かったと後悔しています。
Illini Towerのダイニングが嫌になった時や、自分にご褒美をあげたい時は(笑)、時々外食をしています。Green Street周辺には、中華料理店、韓国料理店、インド料理店等が多くあり、いくつか美味しいお店を発見しました。韓国料理がとても好きなので、よく韓国料理店に行っています。日本料理店もあり、恐らく皆さんの想像以上に味は日本のものに近いです(笑)。
思ったのですが、やっぱり東京のレストランの数・密度ってすごいですね。しかも、殆どの店は美味しい。意外と値段はこっちと変わらないので、こっちで外食するとなんだか損した気分になる時があります。
4.シカゴ旅行
10月中旬の週末、アメリカの大学に進学した高校時代の友達と、金土日にシカゴを旅行してきました。
初日の夜は、シカゴ出身の友人に教えてもらったgiordanosという店で、念願のdeep dish pizzaを頂きました。如何せん量が多すぎました。ただ、こっちでは、店で食べきれなかったものを持ち帰れる容器(doggie bag)をくれるので、量が多くても安心です。
そして、土曜、日曜は、Navy PierやJohn Hancock Observatory等の有名どころを回りました。私、数えきれないくらい、シカゴいいねと言っていました。チャンスがあればシカゴに住んでみたいです。
宿泊は、Wringley Field近くのホステルだったのですが、夜はそこでドイツからインターンとして来ている学生達や、ブラジルからの交換留学生らと飲んで騒ぎ、とりあえず毎日寝不足でした。ブラジルの人って、本当に突然踊りだすんですね、びっくりしました。
気が付けば、大学に着いてからもう2カ月半が過ぎ、こちらの生活にもすっかり慣れました。こちらへ来た当初、どこに行っても緊張していたのが嘘のようです。同時に、残り時間を意識するようにもなりました。応援して下さっている方々のためにも、残りの時間を今までより充実させられるようにしたいと思っております。それでは。




