高濱萌子さんの2016年3月分奨学生レポート

皆様ご無沙汰しております。第40期奨学生の高濱萌子です。

もうすぐ4月を迎えるシャンペーンは少しずつではありますが暖かい日が増えてきています。早くクワッドの芝生の上で寝転がりたいです。

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日が差すサウスクワッド

 

第3回レポートでは、

 

  1. Spring Semester履修授業
  2. Spring Break
  3. 課外活動・生活全般

 

の3つをご報告させていただきます。

 

  1. Spring Semesterについて

 

「そんなに食べ物のことばかり考えていて大丈夫?」と言われるくらい食べ物に関わる授業をとっています笑。先学期に比べて読む量も課題も増えましたが、自分の興味のある内容だとなんとかなるのだと感じています。ただ、未だに慣れないのがグループワークです。5人ほどのチームになると全員が集まるのも難しいですし、取り組みの姿勢にも差が出てきます。自分が言いたい意見をいいつつチームの意見も尊重する、そしてそれぞれの意見を大きく一つの方向に持っていくのはとても時間のかかる作業です。私は、締め切りの数時間前に一気に仕上げるアメリカンスタイルがどうも心臓に悪く苦手です笑。残り数回のグループワークで苦手を克服できるようになることが課題です。今学期は授業の中で親しい友人ができ、ありがたいことに彼らがよく助けてくれるので秋学期よりもずいぶんと困ることが減りました。思い切って最初の授業で周りの人に話しかけてよかったです。

 

以下、半分を終えての授業の感想や内容に触れます。

 

UP204 Chicago: Planning and Urban Life 授業形態Lecture50min×2, Lab50min×1

シカゴの歴史、郊外の成り立ち、現在の都市問題などを学びます。構成は、週2回のレクチャーと1回のディスカッションまたはコンピューターでの簡単な分析・レポート作りです。シカゴを訪れてみるとすぐに気がつくと思いますが、シカゴは非常に計画的に作られた街です。京都のように、直線的に道路が整備されていて、旅行者にとっては位置が把握しやすい街です。というのも、1871年の大火事で街のほとんどが焼け、その後計画に沿って復興が進められたからです。授業で、シカゴの政治や都市の貧困問題にたくさん触れますが、近くに住んでいても、知らないことだらけで周りに目をむけていなかったことに気がつき反省しています。半分の授業を終えて、少しシカゴに詳しくなりました。

 

ACE430 Food Marketing 授業形態Lecture 80min×2

授業の前半は価格設定・価格弾力性・取引理論などについてスライドを使ってのレクチャー形式で学びました。後半からは今まで習ったことをもとにケース課題を読んで、企業がとるべき方針を3~4人のグループで考えます。ACE431のケースよりもデータをたくさん用いるのが特徴です。前回は、スターバックスがどのように・どこからコーヒー豆を調達するべきかを提案する課題に取り組みました。この課題を通して、Fair Tradeに対する考え方が少し変わりました。私は、Fair Tradeは推奨するべきだと考えており、スーパーでお茶を買う時などはFair Tradeマークのついているものを選んでいました。しかし、Fair Tradeはライセンス契約と同じでextra feeをスターバックスがFair Trade Organizationsに支払ってFair Tradeと書かれたラベルを購入する仕組みになっていることを知りました。購入側(スターバックス)は生産者と直接交渉ができないため低品質製品の流通を招いてしまっているそうです。品質重視のスターバックスはFair Trade コーヒーの取り扱いは本当なら避けたいけれど、消費者からの要望が強いため一定量購入していると記事には書かれていました。プラスのイメージが強いFair Trade製品ですが、そうでない側面もあることを学びました。

 

 

ACE431 Agri-food Strategic Management 授業形態 Lecture 80min×2

製品ライフサイクル、SWOT分析、VRIO分析などのフレームワークを通して「戦略とは何か」を学ぶ授業です。大半は日本の大学で学んだことの復習のようです。ただ、学んだことを実際のケースに合わせて考える機会がたくさんあるのが日本と異なっていて楽しいです。月曜日はレクチャー、水曜日は1チームがケース課題に基づく発表を行う形式です。ランダムに割り振られた5~6人のチームでケース課題に取り組みます。春休み直前にグループでのプレゼンがありました。メモは持っていましたが途中で頭が真っ白になって一瞬時がとまりました。Final weekにもう一度プレゼンがあるので挽回できるように頑張ります。

 

 

GCL125 It’s Toxic! 授業形態Lecture 80min×2

私たちの生活の周りに溢れている化学物質の有害性を考えてみる、という授業です。Reading課題でわからなかった点・疑問点を授業で発言し解決していきます。「何を学んでいるのかさっぱりわからない」初回の課題での感想です。さっぱりは大げさかもしれませんがendocrine, testosterone, androgen…という聞きなれない単語のオンパレードに履修撤回を考えました。はじめに履修を考えた理由は、食品添加物として使われている化学物質の摂取が人体に与える影響を学びたかったからです。授業では食品添加物だけでなく、洗剤や歯磨き粉などの日用品、工業製品に含まれる有害物質の影響について学んでいます。

正直、今私が週2回授業で学んでいることが何につながるのかはわかりません。しかし、今まで全く知らなかったことを新たに学び、そして少しずつ知識が増えていく面白さに改めて気がつきました。今までと異なる方向にアンテナを伸ばせたことが大きな収穫です。授業は13人という非常に少人数で、ほとんどがFreshmanです。全員ほぼゼロの知識からのスタートなので気後れする必要がないですし、全員と顔見知りになれるので発言しやすい雰囲気です。

 

RST351 Cultural Aspects of Tourism 授業形態Lecture&Discussion 80min×2

今となっては、旅行は非常に身近なものとなっていますが、観光業というのは1990年代以降のとても新しい学問だそうです。だからこそ日々新たな発見がたくさんあり学ぶ意義があると教授がいつもおっしゃっています。教授が授業の合間に世界各国の素晴らしい写真を見せてくれるので、行ってみたい場所がぐんと増えました。ポルトガル人の教授はいつもパッションに溢れていて、とってもかっこよいのも魅力の授業です。クラスでの授業だけでなく、頻繁に校外学習を行います。「Authenticity(上手に訳せませんが、本物らしさ、でしょうか)とは何か」が授業の大きなテーマです。少し授業の話とそれますが、留学をしていて日本について伝える機会がたくさんあります。正しく伝える努力はしていますが、それでも私なりの解釈が混ざっていたり、相手に合わせて伝える内容を少し変えたりしています。形のないauthenticityを伝える難しさを感じます。Final Projectとして2~3人組で、Champaignの観光発展を促すビデオを作ります。それぞれのチームがテーマに沿ってビデオを作るのですが、私たちはキャンパスライフについてです。学校紹介にふさわしいイリノイ大学の魅力を二人で挙げていたのですが、お互いに新しい発見がたくさんあって面白いです。どのような仕上がりになるのかまだわかりませんが、上手くできたらイリノイ大学PRビデオとして公開したいです。

 

GS298 Food Politics 授業形態 Lecture 50min×2(春学期前半)

8週間だけの授業です。ディスカッションが多く、アメリカ人の食に対する生の声がきける面白い授業でした。一度食べ物の写真を見ながらカロリーを予想するゲームを行ったのですが、学生の予想が実際よりはるかに低くてみんなの「だから太るのか!」という結論に笑ってしましました。テストはなくレポート2本で成績がつきます。私は遺伝子組み換え食物についてレポートを書きました。とても面白い中国系アメリカ人の先生で、授業をとっていたオーストリア人の留学生と私にとても親切にしてくださりました。一度先生のご自宅での夜ご飯に招待していただいて貴重な経験ができました。

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先生の手作りディナー

 

 

AGCM199 Ag and Environmental Photography 200min×1(春学期後半)

先週から始まった写真のクラスです。図書館からカメラを借りました。授業でたくさん写真をとりにいくようで楽しみです。カメラ好きの父の影響かもしれません。初心者かつカメラの専門用語が英語ですでに不安がいっぱいです。次のレポートでどんな報告ができるか私も楽しみです。

 

  1. 春休み

前々から非常に楽しみにしていたのが春休みです。なぜなら日本から両親が訪ねてくれるのと、高校時代の留学先であるテネシーのホストファミリーを両親と一緒に訪ねる計画だったからです。(普段からですが)大好きな食事の時間が、大切な人たちと一緒だとさらに楽しかったです。ただ、想像以上にシカゴが寒く薄着で来てしまった父は辛そうでした。両親がシカゴをとても気に入ってくれたくれたことも嬉しかったです。私もシカゴは大好きな街の一つで、シカゴがもっと人気になればいいのになあと思っています。

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両親・ホストファミリーと

 

19日から25日まで両親と過ごしたあとはシカゴ郊外に住む友人の家にお世話になりました。フライドチキンが人気のお店に連れて行ってもらったのですが、本当に美味しくてしばらく夢に出てきそうです。夜に友人・友人の彼・友人のお母さんと4人でトランプをしてとても盛り上がりました。

 

 

  1. 課外活動・生活全般

〈課外活動〉

冬の間はテニスクラブでの活動は週2回インドアで行われていましたが、つい先日外のコートに移動しました。1月には試合でミシガン大学に行きました。ずっとインドアコートにいたのでミシガン大学の大きさはわかりません笑。人数が少なかったのでたくさん試合に出ることができました。私は団体戦のルールをよく理解しておらず、勝っていると思ったら「負けちゃったよ」と言われ衝撃を受けたのもいい思い出です笑。

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試合後の一枚

 

テニスクラブの友達数人とたまに朝ドーナツを食べに行く不思議な会が結成され、それも最近の楽しみの一つです。

 

〈生活全般〉

1月にPARからSherman Hallに引っ越しました。去年の6月に寮の希望を提出する際にもSherman Hallを第一希望にしていたのですが、人気が高かったようで希望は通りませんでした。Sherman Hallの魅力は、キャンパスの中心に位置しており移動が楽、一人部屋、ミールプランをつけなくてもよいので自分の好きなものが食べられる、の3点だと思います。住めば都というように、どこの寮になっても良いところはたくさんありきっと気にいると思います。ただ、私の例のように途中で変えるオプションもあることをお伝えしておきます。

 

春休み最終日、友人の車でシカゴからキャンパスに戻る車の中で本レポートを書いております。両サイドに広がるとうもろこし畑は全て刈り取られて平地が続いています。次にこの道を通るのは帰るときかもしれないなと考えながら帰路につきます。

第3回レポートを読んでいただきありがとうございます。たくさんの方々の支えがあって充実した留学生活を送れていることに感謝しています。残りの時間も油断することなく、安全第一で頑張ります。

 

2016/03/27

高濱萌子

 

番外編〜シカゴおすすめ観光地ベスト3〜

留学中シカゴに行く機会が何度かあると思いますが、実際に行くと何をするか迷ってしまうものです。私が数回シカゴを訪れて思い出に残った場所を書かせていただきます。

 

  • フランクロイド邸 in OakPark

3回訪れていますが、気候や天気次第で毎回異なる印象を受ける大変面白い場所です。Oak ParkというダウンタウンからGreen Lineで30分ほどの郊外にあります。世界三大建築家の一人フランクロイド・ライトが設計した数々の邸宅は建築の知識がなくても見ているだけで楽しめます。さらにおすすめなのが、フランクロイドが家族と住んだ家兼仕事場の内部見学ツアーです。有料ですが1時間ほどのガイドもあり内部をゆっくり見て回ることができ、面白いです。

 

  • シカゴリバーツアー

冬の間はやっていませんが、春〜秋にかけていくつかの会社がリバーツアーを開催しています。私はwendellaという会社のChicago’s Original Architecture Tour(75分)に参加しました。大きなボートでシカゴ川をガイドさんの解説つきで下ります。下から見上げる両側の高層ビルはまさに圧巻です。両親も非常に楽しんでいました。川の上で寒いので防寒をされることをおすすめします。

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ボートから見た景色

 

  • 自然史博物館

とても巨大で、半日〜1日は時間をとったほうが楽しめると思います。私も時間がなくて全部は回ることができていませんが、ネイティブアメリカンの展示が特に面白かったです。服飾にとても細かい刺繍が施されていて、思わず見とれてしまいました。正面を入ってすぐのところにT-rexスーの化石が展示されています。

野村友香さんの2016年3月分奨学生レポート

JICの皆様、ご無沙汰しております。40期の野村友香です。到着前からずっとイリノイの厳しい冬を恐れていたのですが、今年は暖冬だったようで大雪+強風で外に出るのさえつらいというのは合わせて5日もなかったように思います。2月後半ごろから10度に到達する日も時々あったのでびっくりしたほどです。

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(冬のある日)

春学期が始まってちょうど半分が過ぎました。1週間単位の時間の感覚はすごく長く感じて毎週金曜日を待ち遠しく思っていますが、振り返るとあっという間の2ヶ月でした。

今回のレポートは

  • 長い冬休みの出来事
  • 今学期の新鮮な授業
  • 生活イロイロ

という内容でお送りしようと思います。

 

  • 長い冬休みの出来事

12月19日〜1月18日まで丸1ヶ月冬休みでした。この1ヶ月は私が今まで過ごしてきたどの1ヶ月よりも濃い期間だったと思います。なぜならアメリカを飛び出してまずは南米に向かい、その後ヨルダンまで冒険をすることになったからです。

 

〜前半〜

最初の二週間は南米旅行ということでペルーとボリビアへ行ってきました。カナダとチリに留学している日本の友達とペルーで待ち合わせをしていたのですが、久しぶりに仲の良い日本の友達に空港で会った瞬間のうれしさは最高でした。南米は英語も多少は通じますがスペイン語ができると旅の楽しさ+楽さは倍増すると思います。チリに留学している友達のおかげで語学面では全く困ることはありませんでした。宿のおじさんやおばさんはスペイン語しか話せない場合もあり、日本人3人が来るとがんばって英語で話そうと努力してくれますが、こちらがスペイン語を話し出すと「え!話せるの!!」という感じで次から次へと観光情報やレストラン情報を教えてくれました。どの言語でも話せることに越したことはないので理解できる言語を増やすというのは人生の課題でもあります。

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(マチュピチュをバックに)

ペルーでは首都リマからクスコに移動し、その後マチュピチュへ向かいました。ペルーボリビア間は夜行バスで移動(これが乗る前は未知すぎて恐怖だった)、その後ウユニ塩湖へ。ウユニは言われていた通り本当に日本人が多く、その場にいた8割以上は日本人で残りは中国韓国その他の国というように思いました。サンライズとサンセットツアーに参加したのですが本当に写真でよく見るようなきれいな景色が目の前に広がっている様子はあまり現実のように思えませんでした。ただ予想以上に寒すぎたので夏の時期に行くといえど標高がかなり高いので防寒対策は大切です。

 

慣れない土地で治安もあまり良くない中、基本的に気を張りながら歩いていないといけないので疲れることはありましたが、久しぶりに友達に会えたことと未知なる地にいるわくわく感に溢れた旅となりました。

治安最悪と言われるペルーボリビアの国境を通ることになったり、換金するときに偽札を渡されたり正しい額をもらえなかったり、街が予想以上に汚かったりとあまり今までに経験したことのないような面もありましたが、それ以上にきれいな景色やおいしいごはん、伝統的な街並み、それに世界にはこのような場所もあるのだなあと感じられたことが大きな収穫となった旅でした。

 

〜後半〜

さて、12月30日の午前中にペルーからマイアミ経由でシカゴに帰ってきた後、同じ日の30日夜のフライトでシカゴからヨルダンへ向かいました。前回のレポートで触れたようにヨルダンへ向かった目的はGLBL298(Integration & Immigration)のクラスの現地研修です。ヨルダン出身のUIUCの教授とクラスメイト18人での旅となりました。クラスメイトの中には飛行機に乗るのが初めてという人やアメリカ大陸から出るのが初めてという人もいて、集合時はみんなのテンションが高かったです。私は南米から帰ってきた直後で海外へ行くという新鮮感がなくなってしまっていたのですが、他のみんなを見て「また別の旅が始まる!」という気分になりました。

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(集合写真)

 

現地へ行く前は週一回の授業があり、ヨルダンに隣国から流入してくる難民について理解を深めました。パレスチナやシリア、レバノン等の不安定な周辺国からヨルダンに流れてくる難民は多く、登録されているだけでも200万人以上の難民がヨルダンで暮らしています。ヨルダン国内のインフラや学校などは不足状態に陥っており、その事態は年を追うごとに深刻になっています。

 

ヨルダンでは実際に3つの難民キャンプを訪れて学校や病院、また住民の生活の様子も見ることができました。ある日にはシリアから家族を連れてヨルダンにたどり着いたという家族の話を彼らの家で直接聞くことができました。あまりにリアルな体験談に思わず涙を流している人もいました。彼らは難民としてヨルダンにやってきているので市民権がなく、ヨルダンで仕事を得ることができません。ヨルダン政府から生活費の援助をもらってなんとか生活していますが、その額は生活するのに十分とは到底言えません。シリアの政治が腐敗しているせいで自分たちはこのような生活を強いられているのは事実だけど、祖国に必ず将来帰りたいと多くの人が言っていたのが印象的でした。また、アメリカは他国への影響力が大きいのだからその自覚を国民一人一人が持って欲しい、同情ではなくて根本的な解決を一緒に考えていきたいとも言っていました。これは私がこの滞在全体を通して思ったことなのですが、ヨルダンに限らず世界各地でいくら難民キャンプの整備をしたり受け入れ先を増やしても、結局は根本の原因を解決しないときりがないということです。もちろん起きてしまった問題に対して解決策として他国からの厚い支援は必要ですが、あまりに問題が大きすぎて解決策が追いつくことはむずかしく、追いつこうとしてもさらに問題が大きくなるという負のループが永遠に続いているように思います。抽象的な言い方になってしまいましたが、こういったことを直接感じ取れたのも実際に行ったからこそ感じられるものでした。

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(Baqa’a campの様子)

また、単なる支援だけでいいのか?ということも心に引っかかったことでした。ザータリーキャンプを訪れた時、キャンプの奥に立ち入ることは禁止されたので外縁の道をバスでぐるっと一周しました。途中で、暮らしている人々がいたので持ってきた衣服や勉強道具を渡すためにバスを止めるとすぐに人が集まってきて、私たちがバスを降りるころにはバスが住民に囲まれるほどたくさんの人が集まってきました。きっと私たちのように他の国から来たひとが支援物資を渡すためにこのようによく来るから、バスがくると何かもらえると知っているのでしょう。だけれど私たちはただものを渡してあとはすぐ去るだけ。多くの人がそうしてきたのだと想像すると虚しい気持ちになり、目に見える生活の改善につながるような支援を継続的に行なわなければと感じました。かといって今自分が何ができるかということはすぐには答えられず、何かできるかと言われても自信を持って答えることはできません。ここで見た景色や感じた雰囲気は強烈に頭に残っているので今後もときどき思い出しながら答えを探っていきたいです。

 

少し暗くなりましたが、滞在中は楽しいこともたくさんありました。ヨルダンは予想以上に観光地化されている場所が多かったです。インディンジョーンズの舞台となったペトラ遺跡や死海、紅海に面するビーチでたくさん遊ぶこともできて最高の思い出ができました。このプログラムは引率の教授が行程や訪問先の手配などを全て担っていて、普段は入れないような難民キャンプもヨルダン出身であるツテを生かしてUNHCRオフィスにコンタクトをとったり、生徒が楽しめるようにとバカンス要素もたくさん詰め込んでくださいました。またヨルダンの公用語はアラビア語で街中では基本的に英語は通じず、訪問先でもアラビア語しか話せない方のお話も聞いたのですが、そういった際は教授がすべてアラビア語-英語の通訳をしてくださいました。生徒同士はもちろんですが、教授と生徒もかなり仲良くなって旅が終わる頃にはみんなのお母さんのような存在になっていました。

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(紅海。海の向こうはイスラエルとエジプト)

 

2. 春学期の授業

 

今学期の授業の中から一部を紹介します

 

CS125 Intro to Computer Science

以前からプログラミングを勉強し始めたいと思っていましたがなかなか行動に移していなくて、せっかくコンピューターサイエンスの名門イリノイ大学にいるのだから授業をとって自分を鍛えようと思い、履修しました。この授業は題名の通りプログラミング(Java言語)のイントロダクションなのですが、今までに経験がない私にとっては非常に負担が大きく毎週ハードな課題にヒーヒー言っています。Machine Problemといってコードを実際に書く課題がほぼ毎週あるのですが、締め切りまでに提出し終えて一息ついているとまた新たな課題がふりかかってくるのであまり休む暇がありません。 また、100番台といえど多くの人がハードだと言っている理由は、イリノイのCSの授業は100番200番を難しめに設定して、授業についてこられない人をCSメジャーから振り落とすという思惑があるからだそうです。

 

この授業をとって一つ思ったのは、やはりイリノイ大学はエンジニアの大学だということです。エンジニアのエリアはキャンパスの北側にあるのですが建物一つ一つが新しく洗練されているのは歩いているだけでわかると思います。また、CS125の授業は履修人数がかなり多いからということもあるとは思いますが、Office Hourが月-金の朝から夜まであり、常にCSメジャーの誰かがスタッフとしてオフィスに常駐しているので課題や授業内容でわからないことがあれば聞くことができます。また、オンライン上での掲示板もありそこに投稿すると他のクラスメイトまたはTAから宿題のヒントや質問の答えをもらうことができます。こういったシステムが完全に確立されていることに驚いたのと、私個人の感覚ではありますがやはりエンジニアの学部の気合が違うなあと思いました。

 

GCL125 The Molecular Me

 

GCLとはGlobal Challenging Learningの略で、少人数の授業で生徒同士また生徒と先生のinteractionを大切にすることに重きをおいた授業だそうです。GCLの授業は他にも多くのクラスがあり、内容は多岐にわたっています。この授業の大きなテーマはPrecision Medicineに対する理解を深めるというものです。Precision Medicineアメリカの医療政策の一つで、個人の遺伝子や生活環境、ラフスタイルによって疾患の可能性や治療方法は変わるので、自分自身を理解して健康な生活を実現しようという動きです。患者はもちろん、医師や研究者が一体となってあらゆる角度から情報を提供したりデータを分析することで個人に即した医療を提供することが目的です。

 

普段の授業のペースは比較的ゆっくりで、ある疾患に関わる遺伝子がどこにあってどのような変異の可能性があってどういった体内の伝達システムに関わっているのかということを調べたり、遺伝子を見るツールやウェブサイトを最大限に利用するためのコツを学んだりしています。また、個人で注文すると200ドルほどかかる遺伝子検査キットを無料でもらうことができました。近いうちに私の遺伝子検査の結果が出るので、それを丁寧に調べることで遺伝子のタイプ、変異、どういった病気の可能性があるかということがすべて把握できるようになります。また、遺伝子によって適切な食事も変わってくるということや個人の性格や能力に関わるもの(ストレスを感じやすいとか音楽の才能とか)も遺伝子に基づいているということも学びました。自分について遺伝的な観点からかなり深く理解できるのでとても興味深いです。

 

MCB402 System & Integrative Physiology

 

いわゆる生理学の授業で、pre-medの人が周りのほとんどを占めるように思います。授業はレクチャー形式ですが教室が比較的小さいことから質問が頻繁に飛び交っています。テストが学期に4回あるのですが、毎回A4サイズの自作プリントが持ち込み可なので、テスト前はとにかく小さい字で授業内容をまとめるのに必死になっています。

 

  • 生活イロイロ

 

・日本館でのイベント

JICとJapan Houseが共同でJapnaese Breakfast eventを3/13に行いました。日本の旅館に行ったときに困らないように朝食に関する知識を深めようというテーマの下で行いました。JICによる日本食に関するプレゼン(ある家庭の一幕を演じたスキットも)の後に、実際に朝食をゲストと食べました。メニューはかなり豪華なものになり、来ていただいた方々にも嬉しいコメントをいただいたので準備を念入りにした甲斐がありました。このイベントを通じてJICの4人もさらに仲を深められたと思います。

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(当日のメニュー:筍ごはん、味噌汁、漬物、胡麻和え、卵焼き、焼鮭、大根おろし、他に梅干し納豆味付け海苔あんみつ、)

 

・crisis nurseryでのボランティア

キャンパスのすぐ裏にあるcrisis nurseryといういわゆる託児所のような場所で週一回のボランティアをしています。同じ授業をとっている友達にこういった場所があるということを教えてもらいました。この施設は365日24時間空いていて、さまざまな理由により家庭内で子育てが負担になっている母親や一時的に子供を預けたいという家族がやってきます。もともとは隣にある病院の一部で親が入院中の子供を預かる場所だったそうですが、規模が大きくなったので独立したそうです。0歳から小学校にあがるまでの子供がほとんどです。子供と外で遊んだりごはんを食べさせたりと私はただただ楽しくやっているだけで、毎週子供と遊ぶ時間が癒しになっています。

 

 

留学中はときどき、なんだか自分の中で時が止まっているような、この1年間だけ切り取られた別の世界にいるような感覚になります。去年はどこかよそ者感があったようなキャンパスも今では愛着がわいてここに通っているという意識が芽生えるようになったし、何も用事がないときでも気軽に連絡できる友達がたくさん増えたこともここの生活に慣れたといえる理由の一つです。アメリカにいる環境を最大限に生かして多くを吸収して最後までやり遂げたいと思います。

 

最後になりますがJICの奨学金でここに留学できたことを本当に誇りに思っています。JICの繋がりでお会いできた素敵な方々がたくさんいます。ご支援いただいている皆様に改めて感謝申し上げます。また、好き勝手な娘を遠目から見守ってくれている家族にも感謝を述べて今回の報告とさせていただきます。読んでいただきありがとうございました。

 

2016年3月26日

JIC40期奨学生 野村友香

 

結城一磨さんの2016年3月分奨学生レポート

JICの皆様、平素よりお世話になっております。2015年度小山八郎記念奨学生としてイリノイ大学へ留学させていただいている明治大学商学部4年の結城一磨です。

 

イリノイでは様々な木々の花々が咲き始めると同時に、リスやウサギも活発に行動し始め、本格的な春の到来を感じているこの頃です。

 

さて、とうとう留学中に書く最後のレポートとなってしまいました。秋学期が終わり、冬休み、そして春学期前半終了となった今、心境の変化や新たな学びをこの期間だけでも得ることができたのを実感しております。今回のレポートではその一部をご紹介できればと思います。

 

以下三部構成で報告させていただきます。

 

⑴冬休み

⑵ダンス、マラソン、その他日常生活

⑶春学期授業

 

⑴冬休み

冬休みはLA観光から始まり、アメリカ大陸の南側を通ってNYCまで行く横断旅行を2週間かけて行いました。その後はNYCから南アメリカに飛びペルー、ボリビア、コロンビア観光を残りの2週間ほどで回りました。

まず横断旅行では友人たちとキャンピングカーを借りて、一つ屋根の下生活を共にするという生活を送りました。もちろん7人ほどの学生が横断旅行をすると様々なトラブルにも合います。(テキサス周辺の異常気象による雪で脱輪、予想以上の私のいびきに対する苦情など。)しかし、メンバー皆の協力のおかげで旅行を楽しむことができました。

旅行中は将来どういった場所に住みたい、また来たいと感じるかを基準にあらゆる場所を見ていました。LAなどの西海岸や、ニューオーリンズなどヨーロッパの雰囲気があるJazzの街、そういった賑やかで温暖な気候が自分には合っていると確信しました。

また、余談にはなりますが、リタイア後キャンピングカーでアメリカを回りなが旅しているという人も多く、RVパークに泊まると基本周りはかなり年上で可愛がってくれます。こういったノマド的な生き方には私も憧れがあります。

 

写真1_Kazuma写真2_Kazuma

(西海岸とニューオーリンズ)

 

一方の南米旅行では前述した三ヶ国を観光しました。大まかにまとめるとLima-Cuzco-Machu Picchu-La Paz-Uyuni-Bogota-Medellinといったルートで観光しました。ここでも旅行中、もちろんトラブルはありました。(La Pazでの高山病、大きなデパートでドルから換金した際に偽札を渡される、カメラ、電子辞書盗難など。)しかし思った以上に南米は良い人が多く気をつけることさえきちんとしていれば、評判ほど危険ではない気がします。何よりラテン系は陽気でダンス好きな人が多いので居心地がいいです。

 

今回の旅行で自分はあらゆる場所の自然を楽しむというよりはそこでどういった人たちがどのように生きているのか、コミュニュケーションを取りながら観光していく方が合っていると実感したのも学びの一つです。テレフェリコと呼ばれるゴンドラの交通機関が南米の治安を変えた話、メデジンの歴史、それぞれストーリーがあり、皆が生活水準の一定ラインを保てるようになると治安も良くなる。改めてビジネスや経済の必要性を痛感することができた旅行でもあったように思います。

 

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(La Pazの公共交通機関、テレフェリコ。南アメリカでよく見られる。すり鉢状地形のため電車の代替機能として活躍している。国民皆が利用できるよう値段は格安。)

 

⑵ダンス、マラソン、その他日常生活

春学期は新しいことを始めること、自身の時間管理を上手くこなすことが目標です。作学期のブラジル人のルームメイト達との交流、南米旅行などで本格的にラテン系の血が目覚めはしたのですが、実際に旅行中などはダンスが踊れない、スペイン語が話せないことで悔しい思いをしたのでこれら二つを新しく始めました。

歌とダンスは世界的な共通言語であり、アメリカの社交的な場でも非常に仲良くなりやすくなります。週に2回ダンスのレッスンがあり、サルサ、チャチャ、スイング、ウォルツなどを学んでいます。それぞれのダンスで基本ステップは違うのですが、基本さえ押さえれば、パートナーを回す、リードするタイミングなどは似ている部分もあり、応用が利きます。帰国までに他人に基本を教えられる程度まで身につけられればと思います。スペイン語の方は後述の春学期授業の箇所で詳しく述べたいと思います。

また、イリノイマラソンが4月の下旬にあるということで、将来トライアスロン、アイアンマンなどに出たいとも考えていた私はすぐに申し込みを決めました。初めてのフルマラソン参加になるので多少不安はありますが、うまく時間を管理するようにして準備を進めています。また、ジムに行くと誰かしら友人がいるので互いに励ましあって筋肉トレーニングにも引き続き努めています。トレーニングも私の中で重要な社交的な場です。

その他友人に誘われたイベントには極力足を運ぶようにしたり、後述する18単位の学習量に追われたりと、落ち着くことがなく毎日を過ごさせていただいています。

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(ダンスレッスンの様子)

 

⑶春学期授業

今までの大学での経験、留学の軸、旅行での経験を生かして以下18単位を履修することに決めました。

 

ACE 444: Financial Services and Investment Planning Credit: 4 hours.

いかに投資判断を下すかExcelを使って学ぶ実践的な授業です。日本で学ぶことができなかった部分まで深く踏み込んで実際の投資家は判断を下すにあたってどういったところを見ているのかを体感できていて面白く感じています。

 

ACE 360: Spreadsheet Models and Applications Credit: 2 hours.

ACE446: Modeling App’s Finan Plan Credit: 2 hours.

ACE360はACE446を取る際に必修になっていたので履修しました。春学期前半のみの授業です。基本的にExcelを使ったSpreadsheetの作成について学びます。ここで培ったスキルを用いてこれから春休み以降本格的にACE446に臨みます。ACE 446はACE444と同様Excelを使ってフィナンシャルプランニングをしていくという授業で関心のある分野でしたので履修することにしました。短期集中で課題も多く大変ですが残りの学生生活を満喫するためにもやり抜きたいと思います。

 

AGED 260: Intro to Leadership Studies Credit: 3 hours.

イリノイ大学の一つの特徴でもあるLeadership Studyを体感することもこの留学の目的でした。そこでイリノイ大学のリーダーシップセンターが主催する、Leadership Certificate が定める条件を探り、この科目があったので履修しました。本来は1年以上の期間を使ってこのCertificateをもらえるらしく、全てを行うことは時間の関係上できないため、同機関が主催するi-programも同時進行で少なくとも参加して行こうと決めました。

本授業は名前にあるとおり、学問としてリーダーシップについて学ぶ授業です。月、水曜日は大教室での授業、金曜日は少人数クラスでのディスカッションといった構成です。リーダーシップにも様々なアプローチがあり、先天的なもの、スキルや能力といったように磨いていくもの、状況や態度に合わせたアプローチなど多くの選択肢を学べています。自分のリーダーシップの引き出しを増やすことはこれからの生活にも活きてくると感じています。

 

ENG 333 – Creativity, Innovation, Vision at University of Illinois: 3hours.

Creativityをいかに向上させるかに焦点をあてた授業です。この授業は留学生にも人気で、大学院生、MBAプログラムの人なども混じっての授業となっています。Creativityは先天的なものではなく、磨いていくことが可能なスキルであるといったことを一貫して実感します。また、一般の教育はいわゆる左脳的な論理的思考を向上させることに集中しがちですが、人工知能やコンピュータがそうした部分を代替するようになってきた分、右脳的な発想の豊かさを向上させようといったことがクラスの趣旨だと感じています。1冊のアイデアノートを作り、授業を通して様々な経験を得られるように工夫されています。グループに分かれてディスカッションや課題などが多く、費やさなければならない時間は多いですが、その分実りの多い授業となっています。

 

SPAN122: Intensive Elementary Spanish: 4 hours

アメリカの外国語教育を知りたいことと、南米旅行やアメリカでの生活、今後の自分のためにも、スペイン語は必要だと考え、スペイン語学習を始めました。月曜日、水曜日に50分ずつスペイン語アウトプットの授業があり、オンラインクイズ、課題が週に2〜4つほど出されるといった、徹底的にアウトプットを重視した構成になっています。自身の外国語勉強哲学として、外国語学習は勉強というより筋肉トレーニングに近いと考えているので、自分にはこの環境は適していると感じています。徹底的な反復練習、アウトプットによって知識が洗練されてきているのが分かります。2年間日本で学習してきた中国語よりも、この半年間追い込んで学習したスペイン語の方が上達するような気がしています笑

 

 

これまで読んでいただきありがとうございます。最後になりましたが留学のご支援をいただいている皆様に改めて感謝を申し上げます。

Japan Houseでの朝食イベントが成功に終わり、一安心している間もなく、4月もイベントが目白押しです。ビジネス学部の学生とのシカゴ観光や、マラソン、学期末試験、Japan Houseでの東北に関するプレゼンテーション、後悔しないよう全てに自分らしく全力投球で頑張りたいと思います。

 

 

2016/03/27

 

第40期小山八郎奨学生 結城一磨