守埼美佳さんの2017年7月分奨学生レポート

みなさまご無沙汰しております。第41期奨学生の守崎美佳です。帰国後1ヶ月以上が経ち、留学前の経験が懐かしく思い出されるこの時期にレポートを書いています。

 

1,帰国後の所感

思えば留学前に掲げた目標の一つに、「 アメリカの組織から合理的な運営体制の秘訣を学び、日本の組織に貢献する」という目標を掲げました。

私は今、幸運なことに会社でインターンをさせていただいておりますが、留学中やその直後の理想と、環境に合わせるという現実の乖離に、少し戸惑いを覚えています。

1−1 アメリカ型組織と日本型組織の違い

一言で言えば、サークル型と部活型と言えるでしょう。どちらも1つの目的を達成する上で人が集まって組織を作っている点は同じです。ただ、アメリカは自由・平等を大切にし、互いに敬意を持ちながらも互いに友好的に接します。大きく地位が異なっていても、互いに世間話、家族の話はもちろん、雑談をする機会なども与えられるようです。一方日本では地位の違いはより強く出ます。会社の上司の言うことに逆らったりフレンドリーに接したりすることは仕事の場だけでなくプライベートの場でも推奨されないような気がします。

それではこの職場環境を簡単に変えることはできるでしょうか。現時点では、あまりそうは思いません。新人としては、常に自分が職場で評価されている状態にあります。そのため、自分の目上の人が「こうあるべき」という態度で接することが求められます。上司が上下関係のはっきりした接し方を好む場合、こちら側がフレンドリーに接することは、「空気が読めない」「常識がない」という評価をくだされがちです。そのため、少なくとも組織の下の位にいる間は、その組織の文化に自分を合わせることになります。

ただし、例えば上下関係に対してもどかしさを感じた時、「このやり方だけが唯一の組織文化ではなくて、例えばアメリカではもっと違うやり方があって。」という思いを常に自分の中に留めておくと、心の中の逃げ道になるかもしれません。

ただし、必要な場合には自己主張ができるということは、日本の組織の中でも必要とされ、留学経験者であればより容易にできる点だと思います。確立されたやり方が存在する組織の中では、そうしたやり方に従うことが必要ですが、いつ何時でも「先例に従うこと」「上の指示に従うこと」を行動原則にせず、十分な証拠と考察を得た上で自分が正しいと考える点については恐れずに質問をし、議論をすることが、最終的にはよりよい結果になることは多分にあります。そうした場面に出会った時、留学を通じて立場を越えて議論をする文化に慣れていれば、臆せずに自分の意見を主張できるのではないでしょうか。

1−2 英語

企業にもよりますが、これば確実に留学の成果の一つです。資料の和訳案件や英語でのやり取りは多く、それらがスムーズにできれば情報伝達の速さと正確さが補償されるので、確実にプラスです。ただし、使う英語はビジネス英語であるため、帰国後の就職を見据えている場合は、日常会話の英語を学ぶことで満足するのではなく、ビジネス英語を学ぶことを視野に入れるとよいでしょう。

 

2,今後の留学生の方へのアドバイス

 

老婆心ながら、今後の留学に行かれる方のために、自分の経験と反省を踏まえて幾つかアドバイスをさせていただきます。

 

  1. 現地でコミュニティを見つけましょう。
    授業だけではインタラクティブな交流は少ないためです。できれば自分が完全にアウエーの立場であるコミュニティに入るといいかなと思います。

  2. 達成したかどうかがわかる目標を作りましょう。
    これは留学中に限りませんが、せっかく時間と費用を割いて貴重な経験をしているので、それが無駄にならないようにもそうするといいと思います。初めに明確な目標を設定し、帰国前まで定期的にそれを評価すれば、「楽しかったー」という感想だけで終わる留学になることを避けられます。

  3. 留学の目的と、その目的を達成する上で留学が本当にいいのかを、留学を決める前にもう一度考え直しましょう。
    とりわけ、学びたい学問があって留学に行く場合は、英語の情報伝達であることによって学ぶことのできる量が減ってしまうことを予め想定しておくべきだと思います。

  4. シャンペーン・アーバナという地
    知っている人は知っているかもしれませんが、シャンペーン・アーバナという地はシカゴから3時間離れた田舎にあります。そのため、同じ「アメリカ留学」と言っても、大都市にある学校に行くのとでは環境も得られる経験も異なります。例えば、シャンペーンでは自然に囲まれてアジア人も多く混ざる環境で勉強に集中することはできます。キャンパスの中ではアルバイトなど多様な経験もあります。ただし、キャンパスの外で得られる経験はあまり多くありません。こういった点を加味し、自分の留学の目的を達成する上でこの大学が最も良いのか、比較対象がある場合には情報収集などもした上で判断するといいでしょう。

 

生まれて初めての留学生活は私にとって間違いなく貴重な経験となりました。少しでも多くの方が、この機会を利用して有意義な時間を過ごされることをお祈りします。

写真:帰国後直前の旅行先の湖の浜辺で。