堀川裕美子さんの2003年5月分レポート

JIC会員の皆様

奨学生 堀川裕美子さんからの最後のレポートが届きました。非常に充実した一年を過ごされたことが、ひしひしと伝わってくるようなレポートです。堀川さん、どうもありがとうございます。

それでは。
ayako kosegaki

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2003年 3月分レポート
堀川 裕美子
東京都立大学 人文学部
社会福祉学科3年
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日本は梅雨の季節と思いますが、皆様におかれましては、如何がお過ごしでしょ
うか。まったく信じられませんが、今回が最後のレポートということになって
しまいました。

振り返ってみると、おそらく、大変なこともあったのでしょうが、思い出せる
ことは、楽しかったことだけです。こちらで過ごさせて頂いた中で、一番の収
穫は、英語が多少なりとも上達したということではなく、多くの人と出会えた
ことです。

私がこちらに来る動機となっていたのはもともと学術的な達成ではなく、異なっ
た文化の中で、さまざまな視点を学ぶということでした。確かにこちらに来て、
日本人とは違う感覚を体感し、また、そこから、自分の気が付かないところで、
自分自身が「日本人的」考え方をしているのだということを発見しました。自
分はやはり日本人なのだというアイデンティティを実感したような気がします。

しかし、私が得た、人との出会いというのは、こういった、国民性だとか、民
族のアイデンティティだとか、まさに、文化、によって規定されたカテゴリー
でくくった考え方の相違とはまったく別次元の何かを含んでいるように思いま
した。こういった、出会いというのは別にアメリカだから、起こったというこ
とではなく、日本にいても同じように、かけがえのない出会いというものがあ
るのだと思います。

けれども、日本にいるときは、この出会いを私はずいぶん見過ごしていたので
はないかと、こちらに来て思いました。こちらでの出会いは、一年という限ら
れた期間の中で、たまたま、日本からアメリカにきて、しかも、イリノイのシャ
ンペーンに、今このとき、であったからこそ、出会えたのであって、出会えな
かったかもしれない可能性のほうがずっと大きいように、感じられ、出会いの
大切さがほとほと身にしみたからです。一人の友人が、別れ際に、have a
good lifeといってくれました。私たちは笑いましたが、よくよく考えてみる
と、ほんとにこの言葉は的を得ていて、改めて、これが出会いなのだなあと思
いました。もちろんこうして出会った人々の異なる視点、それは、おそらく、
国であるとか民族であるとか、文化的なもの、あるいは個人的なものを強く反
映しているのでしょうが、それらは、みんな私の中に残っていると思います。

セメスターも卒業式も終わり、多くの友人がシャンペーンを去ってしまい、私
ももうすぐここを去るのだと思うと、さびしくてたまりません。

私は6月のはじめに日本にほんの短期間帰国して、サマーセッションの第2期
をとる予定です。そのあとの予定についてはまだ決めていませんが、その時が
来るのはあっという間だということは、想像に難くありません。

これほどに貴重な経験をさせていただいた皆様には、なんとお礼を申し上げ良
いか分かりません。あまりに感謝の気持ちが強いと、言葉が見当たらないのだ
と、つくづく感じます。月並みな言葉でしかお礼を申し上げられないのが情け
ありませんが、お許し下さい。

ほんとうにありがとうございました。
残された時間を精一杯、有意義にすごさせていただきます。

東京都立大学 人文学部 社会福祉学科 4年 堀川裕美子