JICの皆様、大変ご無沙汰しております。
小瀬垣彩子(LAS ’00-’01)です。
古市さんの後を引き継ぎ、皆様に奨学生からのレポートをお届けするという重
要な任務に就きました。よろしくお願いします。
今回は立命館大学大学院の前田耕くんの11月レポートです。イラク攻撃につい
て触れていましたが、今後もアメリカ国民の素の意見を聞かせていただければ、
と思います。
前田くん、どうもありがとうございます。
それでは、レポートをお楽しみください。
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Jicの皆様こんにちは。イリノイ大学留学中の前田耕です。
今回は留学レポートの第二弾です。
前回のレポートを送信させていただいてからすでに2ヶ月が経ちました。2ヶ
月という歳月が嘘に思えるほどこちらでの時間はあっという間に過ぎていきま
す。よく考えると留学生活も残り半年程度です。残された貴重な時間を有効に
使えるようにメリハリのある生活をしていきたいとこのレポートを書きながら
つくづく感じています。
さてこの短かった2ヶ月間を振り返るとき、まず思い浮かぶのは何と言って
も授業のことです。わりとのんびりとしていた9月から一転、この2ヶ月間は中
間テストに宿題の数々、なかなかホッと一息つく時間がなかったのが現状です
(他の人の目にはどう映るかはよくわかりませんが…)。特に中間テストは計
5つあり、10月は大体週に一つのペースでした。加えて同時並行で小レポート
だの問題集だの宿題をありがたく頂戴するわけですからこれがなかなか忙しい
わけです。Alas!それでもぶつぶつ言いながらも11月の上旬には全ての中間試
験を終え、その後は少しゆったりとすることができました。本音を言えばこの
状態がもう少しの間続いてくれればと思うのですが、そこはさすがアメリカの
大学、そうは問屋が卸しません。12月に入れば期末テスト4つにレポートの
締め切りが3つと大イベント(?)が目白押しです。レポートは合計で30枚ほ
どになりそうです。。。というわけで現在はレポートの下準備をしたり構想を
練ったりとこれまたなかなか忙しい日々です。しかし今期もあと1ヶ月ほどで
終了です。そのことを目標にしながら今は頑張ろうと思っています。しかも今
週末(11/23)からThanksgiving dayと呼ばれる一週間の休みです。とりあえず
それまでの2、3日は集中して勉強し、何とかレポートを一本仕上げてしまおう
と考えています。
とまあかなり忙しい生活を送っているように思われるかもしれませんが、日
常生活は十二分にエンジョイさせてもらっています。週末になれば友達とバー
に繰り出したり、パーティに行ってみたりとアメリカンライフを充分に堪能し
ています。特にテストや課題を終えた後の週末は本当に最高です。
Thanksgiving day後の3週間はかなり忙しくなりそうですが、その分それを乗
りきった後は思う存分余暇を楽しむつもりです。
ところで、ここ数ヶ月間アメリカとイラクの緊張が高まっています。イリノ
イ大学でも戦争反対のビラが貼られていたり、反対のイベントが行われている
ところを目撃しました。そんな中でも私の目を引いたのは教室の壁にさりげな
く書かれていた落書きでした。「No War For Oil!」。たった4つの単語な
のになんと強烈なメッセージでしょう。その揶揄のうまさとさりげなさのコン
トラストに暫し見入ってしまいました。 それにしても時々考えさせられてし
まいます。というのも、現在イラク国内では相当緊張が高まっていることと思
いますが、もう一方の当事者であるアメリカでは(少なくともシャンペーンで
は)何事もなかったかのごとく通常の日常生活が営まれているからです(もち
ろん先述したように一定の動きはありますが)。今回の対立は、一方では生死
を左右する出来事であるのに対し、もう一方では日常会話の話題にすらならな
い出来事なのです。戦争とは一体何なのでしょう。。。
何はともあれ、シャンペーンでは本当に充実した生活を送らせていただいて
います。日常生活のひとこまひとこまが、外国人の私にとっては、新鮮でかつ
新たな発見です。授業に関しても、テストや課題が好きだとはとても言いませ
んが授業はなかなか興味深くて楽しいですし、色んな肌の色、髪の色、目の色
を持った人達が一緒に授業を受けて勉強しているのを見ると自分も刺激を受け
ます。本当に素晴らしい時間を過ごさせていただいています。
今後の目標は、とにもかくにも英語力強化です。特に私の場合日常会話です。
先生が話す言葉はかなり聞き取れるようになりましたが、日常会話、特にアメ
リカ人同士が話す会話を完璧に理解するのは大変です。今後は特にスラングや
日常用語をもっと覚えていかなくてはならないと感じています。やはり、授業
などの一定のシチュエーションにおいてでしか英語を理解できないのでは片手
落ちですから。帰国までに字幕なしで「Friends」(人気コメディー番組)を
見ながら、アメリカ人と共に笑えるようになりたいものです。
とりあえずはこの一ヶ月間が山場です。あの山を越えれば海が見える、とい
うわけではないですが、待ち遠しいオフを夢見ながらこの忙しい一ヶ月を乗り
切っていくつもりです。
ありがとうございました。
11/21/2002
立命館大学大学院 前田 耕
追記
前回のレポートにおいてアメリカ人学生の授業後の退室の速さについてお話し
たのを覚えてらっしゃるでしょうか。あの後何人かの友達に理由を聞いてみま
したが、残念ながらこれといった確信を持てる説には出会えませんでした。た
だ有力と思われる説はあります。それは次のようなものです。
「日本の大学では学部という枠組みがかなり強く、学部によって授業も教室も
かなり固定されている。したがって、同じ学部の学生同士は仲良くなりやすく、
かつ教室移動も頻繁にはないので、授業後も学生同士が教室で暫くおしゃべり
をしているという光景をよく目にする。対照的に、アメリカの大学では学部に
よって校舎が固定されているわけでもなく、しかも登録できる授業は多岐にわ
たっているので、同じ学部生同士が授業を通じて共にいる時間をはぐくむこと
があまりない。よって、教室に残ってお喋りをする理由もない。」
以上のようなものです。確かに有力です。私が(日本で)学部1年生だった
頃は、高校の時のようなクラスというものが存在しましたし、3年生からはゼ
ミもありました。教室もかなり固定されていましたし、結果的に一定の友達と
仲良くなりやすかったと思います。それに対し、現在イリノイ大学で4つの授
業をとっていますが、そのうちの3つが経済学に関するものにもかかわらず同
じ校舎を使う授業はありません。そう考えると先の説はなかなか説得力があり
ます。
ただそれだけでは何故に彼らがそこまであわてて退室するのかはわかりませ
ん。つまり、教室に残る必要性がないことは理解できるのですが、それだけが
理由とは思えません。とにかく彼らの退室のスピードは速すぎるのです。何せ
授業終了2分前ぐらいになると皆そわそわしだし、ある授業では先生がそれを
注意したりするぐらいですから。上述の説だけでは彼らが急ぐ理由は理解でき
ません。一体何が彼らをそこまでせかせるのでしょう。…不明です。
また何かわかればお伝えいたします。