勝田梨聖さんの2014年12月分奨学生レポート

JICの皆さま、そしてレポートを読んでくださっている皆さま、ご無沙汰しています。第39期奨学生の勝田梨聖です。日本では厳しい寒さが続いていると伺っていますが、いかがお過ごしでしょうか。こちらシャンペーンでは、午後5時頃にはすでに日が落ちているものの、気構えしていた程の極寒にはまだ達していないので心なしかほっとしています。

 

さて今回のレポートでは、Fall Semesterの総括として

  1. 授業
  2. 課外活動

III. 全体を通しての所感

に大別して振り返ろうと思います。

 

  1. 秋学期の授業について

早いことに留学生活も4か月が経過し、秋学期も期末試験を締めくくりにあっという間に終了してしまいました。

当初は慣れない授業形式や課題量に狼狽することも多々ありましたが、この半期でその環境にも馴染み、期末試験も大きな問題もなく乗り越えられたのは少しばかりの成長かと感じています。

 

今学期は以下の授業を受講しました。

CMN101: Public Speaking (Prof. Laura Gallant)

PS241: Introduction to Comparative Politics (Prof. José Antonio Cheibub)

PS240: Comparative Politics in Developing Nations (Prof. Matthew S. Winters)

GLBL250: Development (Prof. Kate Grim-Feinberg)

 

CMN101: Public Speaking (Prof. Laura Gallant)

このコースでは計5回のスピーチ、プレゼンテーションを行いました。前回のレポートではRound 1,2の紹介をしましたが、だんだんとハードルも上がり、Round 3ではinformative speech、Round 4ではproblem/solution speechを発表しました。トピックこそ好きなものを選べますが、Sourceであったり、Audience Adaption(大きな数字などを聴衆の身近なものに例示すること)を必ず三度は盛り込まないといけなかったりと課せられる数多のルールには悩まされました。しかし、Round 3ではコンゴの鉱物紛争と米国のドッド=フランク法について、Round 4では人身取引とマイクロファイナンスについてのプレゼンをしましたが、この(正直本当に面倒な)ルールがあったからこそ、よりプロフェッショナルなプレゼンスキルを磨けたのだと感じます。また、最後のクラスで、The Most Exciting Round 4 Awardとして賞をいただけたのは苦労が報われて非常に嬉しかったです。ファイナルのRound 5は昇進、結婚式などのcelebratory speechで、各々録画してきたスピーチを皆でドーナツを食べながらフィードバックし合いました。

Round 5だけでなく、このコース全般を通して、形容詞などの言葉の選択により着目するようになりました。クラスメートのスピーチには、自分では思いつかない英語独特の言い回しなどが多く含まれており、また授業中のジョークや友人同士のやり取りの中の目新しい表現にふれることができたのも、予期せぬ収穫です。

 

PS241: Introduction to Comparative Politics (Prof. José Antonio Cheibub)

民主主義や独裁主義と経済成長の関係などを扱った後、中間試験以降はより手続き的な分野、つまり選挙制度や政治体制そのものを学びました。こちらに関しては、もともと日本でも学んでいたため、特に大きな苦労をすることはありませんでしたが、クラスの友人もこの類の授業は受けたことがあると言っていたので、徐々に出席人数が減っていったのもそこに理由があるのではと感じました。しかし、例えばインドやイタリアなど個別のケースに当てはめて選挙や政権交代についてより具体的に考察したからこそ、もともとの知識を生きたものに変えられたと感じます。そして個人的には、ちょうど授業内容と同時に安倍政権の解散・総選挙が行われていたので、日本の状況と照らし合わせて応用することができたのは良いチャンスでした。

 

PS240: Comparative Politics in Developing Nations (Prof. Matthew S. Winters)

さて、冬の凍えるような夜空のもと夜七時に始まるこの授業は、教室と寮の往来こそ憎いものの、途上国の政治経済システムを多角的に考察し、自分の興味をより深めることができました。この講義の特徴は、一度扱った理論や考え方を、後にまた別の(一見関連のなさそうな)事象に当てはめて応用することで、新たな視点を加え、二つの事柄を繋げられる機会に富んでいることです。例えばコースの初めにcounter-factual(反実仮想)について考えましたが、今期の最後の最後まで幾度もこの考え方で、マイクロファイナンスや海外援助の効果についてアプローチしました。また、教授が海外援助、特に政府の開発援助であるODAが本当にマイクロレベルのdevelopmentに繋がっているという証拠はないし、逆に草の根レベルのマイクロファイナンスがマクロレベルの経済成長に繋がっているかは疑問だという意見は印象的でした。

 

GLBL250: Development (Prof. Kate Grim-Feinberg)

前回のレポートで苦戦ぶりをお伝えしましたが、相変わらずの活発な議論と大量のリーディングノートにも以前より余裕をもって臨めるようになりました。Module 1では経済学の理論や人間開発論をFirst World, Third Worldの両方の観点から考察し、Module 2ではそれをベースに各々、開発アクターを研究し、発表しました。クラスメートはUSAIDやSave the Childrenなどを調べていましたが、私はもともと日本政府の開発援助に興味を持っていたので、政府のODAについて、特に東南アジアの経済成長とインフラ拡充政策とともに発表しました。そしてModule 3では人権や環境など、世界の直面する問題を一つピックアップし、同アクターになりきって、それに対するアプローチを提案するケーススタディを行いました。私は日本政府とASEAN地域における人身取引について扱いましたが、言葉の使い方や、国益も考慮しなければいけなった点には特に苦労しました。

このコースでは、私の興味分野である開発について掘り下げられただけでなく、新たな興味も得られました。新自由主義的なIMF, World Bankや大国の介入政策が途上国の「開発」にどのような影響を与えているのか、何故未だに貧困がなくならないのか、オープンエンドでしたが、それらの大きな疑問について考えるために必要な道具を得ることができたと感じます。そして、新たに女性のエンパワメントについて興味を持つとは当初は予期していませんでした。途上国の女性のエンパワメントがどのようにdevelopmentを促進していくか、また女性と環境問題の繋がりについて、教授、クラスメートと議論しあったのは非常に刺激的でした。

 

  1. 課外活動

・Intersection

LLC(Living Learning Community)のひとつであるIntersectionでは、同じ建物、同じフロアに住みながら、ジェンダー・宗教・人種・貧困に関する問題を考え深める機会を提供してくれます。この四か月間で多くのイベントがありましたが、なかでも最も大きなイベントである10月末の一泊二日旅行についてお話します。

この旅行自体はRacismがテーマで、オハイオ州のNational Underground Railroad Freedom Centerにて、過去の奴隷制度やthe modern day of slaveryと呼ばれる人身取引について学びました。また旅行2日目にはインディアナ州のEiteljorg Museumにて、ネイティブアメリカンの歴史や芸術文化、生活にふれることもできました。

Freedom Centerの名前にあるUnderground Railroadとは、かつて自由を求めて逃げてきた黒人奴隷を北部へと逃がすために作られた通路を表します。そして、奴隷制を支持していたケンタッキー州と、奴隷制を禁止していた自由州であるオハイオとを分けていたのが施設に面するオハイオ川です。Freedom Centerではスタッフの方が常に解説をしてくれたのですが、南北戦争以前、南部からの黒人奴隷にとってこの川を渡って北へ行くことは自由を意味していたと、実際のオハイオ川を目の前にして聞いた時にはその川が当時の奴隷と自由の世界を体現しているように感じました。また、奴隷となった人々の録音された声を聞くことができるブースにて、ある時Freedom Centerを訪問していたあるガーナ人女性が、自分の地方の方言が聞こえたと言って激しく泣き始めたという話も伺いました。今回の訪問やスタッフの解説でアメリカの歴史を身近に感じたとともに、人種という概念とその歴史をより強く意識するようになりました。

写真1(オハイオ川)

(写真1  Freedom Centerから臨むオハイオ川)

・Trip to Chicago

センクスギビング前の金曜日から日曜日にかけて、授業が一緒の友達と隣の寮に住む友人らとでシカゴへ遊びにいきました。実は初めてのシカゴ観光であり、高層ビルやsubwayの複雑さになんせ混乱してしまいましたが、多くのショッピングモールを回ったり、名物のイタリアンビーフバーガーやチャイナタウンの本格中華料理を食べたりと、シカゴを充分満喫することができました。特にディズニーストアにて、あまり詳しくないキャラクターに囲まれて隣のキッズたちと一緒にテンションが上がってしまったのが思いの外、自分でも驚きです。唯一、深さ5センチ以上の「ディープディッシュピザ」を食べそびれたことが心残りなので、また次回の楽しみに置いておこうと思います。

写真2(Chicago)

(写真2 イタリアンバーガーのお店にて)

 

・Alternative Spring Break

Fall Break, Winter Breakなどの休暇ごとに寮から無理やりkick outされるので、休暇中のプランは必ず決めておかなければなりません。Fall Breakには、過去の奨学生が数名参加されていたYMCAのAlternative Spring Breakというcommunity developmentを促進するボランティアに応募し、インディアナ州にある家庭内暴力の被害を受けた家族の保護施設と子どものデイケアセンターであるMiddleway Houseを学生13人で4日間訪れました。

初日の研修以外は、3日間正午から夜8時まで子どもとただひたすら遊びます。研修ではDVに関する根本的な知識や、施設概要、またDVによって大切な人やモノを失っていくことをリアルに感じられるようなゲームをしました。一日目に、DVを受けた子どもの心の傷や、それに伴う感情の起伏の激しさなどを聞かされていたので、子ども達にどう接すればいいのかと少し気構えして二日目を迎えましたが、いざ子ども達に会うと、まぁとにかく元気なこと。いきなり始まる強制参加のアメフトゲームでボールを持った男の子が私のお腹に直撃してきたり、かと思えば警察ごっこが始まって手錠をかけられ監禁されたりと、一日中子ども達と遊んだ後の夜は疲れ切って、ただの床でさえも良い睡眠がとれました。また中には、施設内や公園で遊んでいる時、常に私たちにひっついていないと泣き出してしまう子どももいれば、いつも一人で、なかなかこちらに近づこうとしない子どももいます。彼らとの適切な距離感こそ難しかったものの、どの子どもでも「気にかける」という姿勢は常に意識しました。

(余談ですが、一世を風靡したDisney映画のFrozen, “Let it Go”が流れた時は子どもが手をとめて一斉に大声で歌いだし、「アナ雪」の影響力を再び実感せざるを得ませんでした。)

この四日間は学生の完全な自炊生活ですが、施設から宿泊所へ帰った後に晩御飯を一緒に作ったり、映画『ハンガーゲーム』を鑑賞したり、皆で踊ったりと共同生活も楽しめました。彼らとは旅行後も時々集まって一緒にご飯を食べることもあり、施設での貴重な経験だけでなく、UIUCでの大切な仲間に出会えたことにも感謝です。

写真3(YMCA集合写真)

(写真3  最終日の集合写真)

 

III. 全体を通しての所感

つい数日前、ルームメイトとこの半期を振り返っていました。彼女曰く、今期が始まった当初、私があまり元気のなかったのを見抜いていたそうです。(時差ぼけのせいだと思っていたそうですが。)「今は仲のいい新しい友達もできて、授業も生活も楽しんでいるようで良かった」と言ってくれた時、たった四カ月ですが自分の得たものの大きさを改めて実感しました。

ある時、Champaignの住所のはずが、正反対のUrbanaの同じ住所に向かってしまい、ドアベルを鳴らして出てきた家主と子どもにあれほど訝しげな眼で警戒されたことはありませんが、そのあとChampaignの住所まで歩いた計3時間の旅も今では良い思い出です。

 

さて一年ももう終わりに差し掛かっていますが、来年の目標を先日友人とそれぞれ紙に書きました。それをお互いに交換し合って、ちょうど一年後の12月に本人の住んでいる場所へ郵送し、達成できたか確認することになり、一年後の楽しみがまた新たに増えたところです。

写真4(New_Year_Resolution)

(写真4   2015のNew Year’s Resolution作成!)

 

 

最後になりましたが、この四か月間たくさんの学びや気付き、経験の機会を与えてくださったJICの皆さまにこの場をお借りして感謝申し上げます。皆さまも、穏やかな新年を迎えられますようお祈り申し上げます。

吉川慶彦さんの2014年12月分奨学生レポート

39期小山八郎記念奨学生

第2回奨学生レポート(2014年12月)

吉川慶彦

 

JICの皆様、レポートを読んでくださっている皆様、いつもお世話になっております。奨学生のキチカワです。先日、最後の期末ペーパーを提出し、秋学期が終了しました。試験期間中は、無料マッサージが受けられたり、セラピードッグと呼ばれる犬が図書館に現れたりと、キャンパス全体をあげての「お祭り」の雰囲気を体験しました。学期の終了と同時に早速寮を追い出されてしまったので、友人のアパートに居候しながら本レポートを書いています。長かったような、でも思い返すと色々あったような、そんな一学期を今回はご報告させていただきます。

写真1:学期終了後の閑散とした寮

(写真1:学期終了後の閑散とした寮)

 

1.秋学期の授業について

まずは留学のメインとも言うべき授業について。今学期は4つの授業を履修しました。

GRK 101 Elementary Greek 1 (4 hours)

CLCV 221 The Heroic Tradition (3 hours)

PS 371 Classical Political Theory (3 hours)

CMN 101 Public Speaking (3 hours)

 

以下、それぞれの授業について感想や反省をまとめたいと思います。

 

・GRK 101 Elementary Greek 1 (4 hours)

古典ギリシャ語の初級の授業です。最初の方こそ余裕ぶっていたのですが、動詞の活用が手に負えなくなってきてから格段に難易度が上がりました。とはいえ、毎週の小テストや課題をこなしていく内に、身に付いていくように授業が設計されています。また、使用している教科書は『From Alpha to Omega』という厚さ5cmはあろう、持ち運びに大変不便な代物なのですが、この教科書の説明がものすごく丁寧で助かっています。自習者にもオススメできるものだと思います。

ところで、古典ギリシャ語は「書かれたものを読む」ことに重点が置かれているため、他の諸現代語と異なり一学期間履修したところで自己紹介すらできず、なぜ取っているのかと友人に訝しがられることもあります。個人的には単純にパズル感覚で楽しいというのもあるのですが、言語学習に関するある動画の中で「(ラテン語を学ぶことで)言語がどのように成り立っているかを知ることが出来た」という言葉があり、なるほどと思わされました。ギリシャ語とラテン語とを一括りにはできないでしょうが、この説明はなかなかしっくり来ると思います。

来学期も引き続いて履修する予定です。Office Hour(授業外で教授やTAに会うことが出来る時間)が設定されており、誰も使っている様子はないので、来学期はその時間を利用し、授業に加えてギリシャ語作文や散文読解を行おうと計画しています。

 

・CLCV 221 The Heroic Tradition (3 hours)

名前だけなら誰もが知っているような代表的な叙事詩(epic)を、英訳で読み進めていくという授業です。最終的に『ギルガメシュ叙事詩』『イリアス』『オデュッセイア』『アルゴナウティカ』『アエネイス』『変身物語』の6作品を全て読みました。いや、少なくともカリキュラム上は読むことになっていました。

・・・というのも、上記の作品の中から、毎週150ページ程度の課題図書が課されるのですが、文学的な表現(たとえば原文を尊重して詩の形式で訳されていたり、目的語が動詞の前に来たり)が多く、また1行あたり知らない単語が3つはあるという有様だったので、日本語訳やネット上で見られるあらすじを参照しながら読み飛ばした箇所が少なくない、というのが正直なところです。とはいえ、ペーパーや試験を契機に集中的に読むと、(ほんの少しですが)共通する単語や表現等にも慣れてきて、授業で教わった構造やテクニックが見えた瞬間には、自分の成長を如実に実感できる授業でもありました。

この授業はGeneral Education(教養科目、要するに古典学専攻の学生以外が沢山いる)に指定されているからか、Feast(ギリシャにまつわる食べ物を持ち寄ったパーティ)やRecitation(詩の暗誦大会)などのイベントが授業中に行われ、興味をそそる工夫が凝らされていました。

来学期は少し専門からは外れてしまうのですが、文学作品を読むことを続けたいため、「ヨーロッパ・アメリカの文学」を履修しようかと検討しています。

 

・PS 371 Classical Political Theory (3 hours)

この授業は悔いの残る形になりました。履修人数が少なく(7人)、扱っている内容も興味関心のど真ん中だったのですが、ディスカッションベースで進む授業に最後まで対応しきれませんでした。ペーパーも、課されるトピックが難解(?)で満足の行くものが書けなかったように思います(期末ペーパーのトピックは「あなたがアリストテレスになったと仮定して、プラトンの『国家』で述べられている考えを批判する文章を書きなさい」というもの)。

授業で分からなかったところはクラスメイトや教授に後で聞く、授業は録音して復習する、ペーパーの相談をOffice Hourを利用してする等々、解決策は今考えればいくらでもあるのですが、これらを実行に移すことが出来ませんでした。後で詳しく書きますが、こうした自分の弱さをどう克服していくかが来学期の抱負の一つです。

授業内容に関して、聖書の一節も課題図書に設定されること、また古代の政治思想を扱っていながらしばしばアメリカの現代政治に言及することが特に印象に残っています。現代への視点を忘れない姿勢は自分で課題図書を読む際にも意識するようになりました。

 

・CMN 101 Public Speaking (3 hours)

学期の最初に「ひとつくらい英語に関する授業を取るか」と急遽履修を決定した授業です。過去の奨学生の方々や同期も沢山履修しており、皆さんそれぞれの感想ですが、私は得るものは思っていたより少なかったように感じます。朝の8時の授業に間に合うように起きられるようにはなりましたが・・・。

今後の奨学生の参考になるかは分かりませんが、せっかく語学留学ではなく(通常の授業を履修できる)単位取得留学なのだから、無理をして「英語学習のクラス」を履修する必要はないと思います。少なくとも自分の場合は、それよりももう一つ専攻の授業を履修していた方が良かったのかもしれません。

ただ、振り返ってみると、今学期は人前でスピーチや発表を行う機会がこの授業以外にほとんどなかったので、場数を踏むことが出来たというのはよかった点です。原稿を予め準備できるスピーチも内容はほとんど覚えて臨まなければならないし、また授業内の即興スピーチはまだまだ言葉が上手く出てきません。来学期以降、積極的に英語で発表する場を探すことで、後になってこの授業で習った理論やポイントが効いてくると期待しています。

 

以上が今学期の4つの授業になります。Classical Political Theoryのところにも少し書きましたが、授業内容云々以前に、「自分が100%やれることをやった!」と言い切ることが出来ないところに悔いが残ります。留学に来たからといって突然に真面目な学生に変わることは有り得ず、ある意味で日本の生活の延長線上にあるのだと思うのですが、それでも新しい環境は自分を変えるきっかけになります。「理想の自分像」を現実の方へ下方修正していくのではなく、現実を理想に少しでも近付けられるよう、些細なところから見直していきたいと思います。

 

 

2.課外活動について

次に、授業外での活動についていくつか簡単に紹介します。

・English Corner

毎週木曜日、キャンパス内にある教会が主に留学生向けにイベントを開いています。ハロウィンやクリスマスなど時節に合わせたイベントも多く、他の留学生と知り合えることから、9月の後半辺りから参加していました。ここで出来た(主に中国人の)友人とはよくつるんでおり、アパートに誘ってもらっては美味しいご飯をいただいています。

また、木曜日のイベントとは別に、週一回のConversation Tableも同団体主催で設けられているのですが、こちらではアメリカ人学生から活きた英語が学べるので欠かさず参加していました。一人で宿題などをしていると「あれ今日あんまり英語話していないな」と思うことが結構あるので、会話の機会を少しでも多く持つという意味で貴重な時間だと思います。

 

・Fall Getaway

10月中旬頃、Bridge International主催の「Fall Getaway」というキャンプに参加しました。これまた教会を母体とした団体で、週末を利用してキャンパスから車で1時間ほどのキャンプ場に泊まり、聖書の勉強会などを行いました。勉強会といっても堅苦しいものではなく、映画を見てそれについて話し合ったり、想像以上にポップにアレンジされた賛美歌を歌ったりと、キリスト教徒でない自分でも楽しみながら参加することができました。なかでも飛び抜けて印象に残っているのは、最終日のキャンプファイヤーの際に行われた、「自らに起こった奇跡体験」をシェアするという時間です。ブラジルの留学生が話した、友達が出来ず寂しい思いをしていたときに祈ると、ちょうど部屋のドアがノックされ、この「Fall Getaway」の誘いが来たという話が衝撃的でした。宗教に馴染みが薄い日本では、と言うと語弊があるかもしれませんが、少なくとも日本で身近に宗教として感じていたものとは違った形で、宗教がいかに生活のバックボーンになっているのかを垣間見ることが出来ました。

また、このキャンプでは人生で最も多くの星を見ることが出来ました。アルバイトを抱えたまま参加しWifiや電話がなかなか通じずほんとうに苦労したのですが、それほどのど田舎、澄んだ空気と邪魔するものが何もない頭上に言葉を失うほど綺麗な星空が輝いていました。

 

・Thanksgiving Break

Thanksgiving(感謝祭)休暇として11月下旬の1週間が休みになり、寮を追い出される留学生の間では、こうした休みに何をするかが一つの話題になります。私はコロラド州デンバーとカリフォルニア州ロサンゼルス、フレズノ、サンフランシスコ、そしてシカゴに友人を訪ねて旅行に行きました。ロサンゼルスでは、日本に留学していたことのある友人カップルの家(ビーチから徒歩10分)に泊めてもらい、サンクスギビング当日はその友人のさらに友人の家で感謝祭のパーティに呼んでもらいました。メキシコ人大家族の温かい歓迎を受け、とても楽しい一日を過ごしました。

ところで、この1週間で合計6カ所の場所に泊めてもらったのですが、せっかく招いてもらっているのにずっと黙っている訳にもいかず、おのずとアメリカ式ホームパーティを「生き延びる」とも言うべき、特殊能力が鍛えられた気がします。家族の集まりか友人同士の集まりかで微妙な違いはありますが、ホームパーティの基本的な構造は同じで、3〜7人程度のグループで、最近あった出来事などを語るエピソード形式で進んでいきます。ここで大事なのはエピソードに必ず「オチ」を入れることと、一人が話し終わったあとに不自然な沈黙が訪れないように次の人がすかさず話し始めることです。なお、ここでいう「オチ」は必ずしも面白い必要はないようで、むしろ「ここで笑ってください」という明確さが求められます。それがないと次の人にバトンタッチ出来ずに地獄をみます。

なかなか即興でエピソードを語るのは難しいのですが、自分も何も喋らないのも変なので(視線を感じます)、前の人が話している間に頭をフル回転させて文章を組み立てます。困ったときには、「アメリカに来て感じた違和感」を面白おかしく話したり、「日本では〜」という話をしたり出来るので、そういった留学生特権はフルに用いました。ここに知性やマナーなどを加えると立派に将来にわたって使えるスキルになると思うので、今後もこうした脳の筋肉は意識的に鍛えたいと思います。

s_写真2:感謝祭のパーティに呼んでくださったご家族

(写真2:感謝祭のパーティに呼んでくださったご家族)

 

3.秋学期を終えてみて

この4ヶ月間で私は、自分が思っていた以上に消耗した、と思います。

日々の一つ一つの出来事を取ってみれば楽しいことが多く、また、あからさまな人種差別に曝されたり、強烈な挫折を経験したり、という訳でもないのですが、1学期を終えてみて「ああ気を張っていたなあ」と。

 

・アメリカが疲れる

言葉や文化の違いという当然のことに相まって、「銃社会」を象徴とするアメリカ社会の暴力的な側面に対して自分が身構えていることに気付きました。深夜に一人で出歩くことは現地の学生でも控えており、実際にキャンパス内で事件が起きたことがメールで流れてくる度に、フィジカルに脅威を感じています。

上にちらっと「人種差別」と書きましたが、多人種が共生するアメリカにおいてこれは完全には解決されていないように思います。「I’m not racist but…」と前置きして割とドギツいことを言ったり(このフレーズは非常に頻繁に耳にし、それだけアメリカ人は敏感になっているということでしょうが、そのことが反対に問題の根深さを表している気がします)、raceやethnicごとにグループで分かれていたり(学生団体など)と日々の生活を通じてそのことを実感します。

写真3:シカゴ観光

(写真3:シカゴ観光)

 

・自分に疲れる

まだほんの4ヶ月しか滞在しておらず、しかも「アメリカ社会」のごくごく一部の地域、一部の側面しか見ていないにも関わらず、そしてとりわけ「人種」等は日本でずっと暮らしてきた自分にとって文章にしづらいトピックであるにも関わらず、なぜ上のことを書いた(書いてしまった)のだろう、と自問しました。

一つには、人生で初めて外国に一定期間滞在することで自分に生じた変化を、モヤモヤとした形ではなく、何か文章にして残したいという動機があります。しかしそれ以上に、より本質的には、何か言い訳を探しているというところに理由があると感じました。日本でのバックグラウンド、ネットワーク、言語能力等々を使えない状態で、初めて「自分自身」で勝負しなければならなくなりました。一時期は、自分のやりたいことは何か、自分には何ができるのか、自分はなぜ留学をしているのか、友達ってなんだっけ等々のウダウダとした考えから抜け出せず途方にくれてしまったこともありました。(ちょうどその時期がボストンキャリアフォーラムの時期と重なり大変でした・・・というのはまた別の言い訳です。)

自分の至らなさを環境の所為にして打ちのめされて「ぬくぬくとした環境」に安住するのか、それともその機会を最大限に利用して踏ん張るのか。前回のレポートで「留学生活はすべてが自分次第」と書いたような気がしますが、これがまさに一番大きな点での「自分次第」です。また、そんなマゾヒスティックな環境への向かい合い方だけではなく、その良いところを最大限に利用するという正攻法だってある訳です。

残り1学期。秋学期とは比べ物にならない早さで過ぎていくでしょうから、漫然と過ごすことは避け、まだまだ変化を厭わず、動いてみたいと思います。

 

第39期小山八郎記念奨学制度奨学生

吉川慶彦

田中洋子さんの2014年9月分奨学生レポート

JICの皆さま、ご無沙汰しております。また、このレポートを読んでくださっている方々は、はじめまして。現在第39期奨学生としてイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に留学しております田中洋子と申します。

8月の下旬にこちらに到着してから、早いもので1か月以上が過ぎました。今回のレポートでは、留学の目標や新たな地での生活の様子、授業、課外活動などについてご報告させていただきたいと思います。

 

【留学の目標】

(1)教育について集中的に学ぶ

(2)迷ったらやってみるの精神でいろいろなことに挑戦する

の2つを大きな目標として掲げています。以下、もう少し詳しく説明を加えます。

 

(1)教育について集中的に学ぶ

私は日本の大学では法律を専攻しています。本当にいろいろと考えた末に法学部を選択し、それについて後悔はないのですが、将来は何かしら教育に関わる方面に進みたいと考えており、一度教育について時間をとって学びたいと思っていました。そこで、日本の大学で法律を勉強しながら教育学部の授業も受けるといったことをするよりも、グローバル化が進む中日本の大学も見習わねばならんと声高に賞賛されているアメリカの大学というものが実際どのようなものなのか自分自身の目で確かめてみたいという思いも手伝って、アメリカに留学して1年間しっかり教育について勉強してみようと思い立ちました。イリノイ大学を選んだ理由の一つも、教育学部のコースが充実していたからです。したがって、教育について集中的に学ぶというのは今回の留学の柱とも言えます(とは言え、後述の通り実際の時間割は教育学部の授業のみではありません。教育学部の科目に集中すべきかとも思ったのですが、勉強の手段は授業に出るだけではなく、自主的に図書館で見つけてきた本や論文を読んだりもしているので、自分の興味関心にしたがって選択した結果このような形になりました)。

 

(2)迷ったらやってみるの精神でいろいろなことに挑戦する

私がイリノイ大学にいられるのはたった9ヶ月という限られた時間です。日本であれば、運が良ければ「今年は出来なさそうだけど、来年やろう」と物事を先延ばしにすることも出来ますが、ここではそれは出来ません。私は、迷った末に何かをやらなかったせいで後悔をすることが嫌いなので、何か興味があることを見つけたらとりあえずやってみようと思っています。そうは言っても何かをやったせいで大後悔、ということも多々あるのですが、アメリカで失敗したところで大した傷にはならないはずですし、怖いと思っても、うまくいかなさそうだと思っても、挑戦することを大切にしたいです。

ではなぜいろいろなことに挑戦したいのか。それは、自分の中にある隠れた興味の引き出しを出来るだけ多く発見したいからです。私はまだ、自分が将来何をしたいのか確固たる答えが見つかっていません。そもそもそんなものいつまでたっても見つからず、とりあえずその時点で一番良いと思われる道を選んで、振り返った時に自分はやっぱり正しかったと思ったり、なぜあの道を選んだのか後悔したりするのが人生なのかもしれませんが、いずれにせよ何か選ぶときには選択肢が多ければ多いほど自分の下した結論に自信が持てるように思うのです。いつかはそれなりに自分の専門分野のようなものを選び、狭く深くそれを掘り下げる段階へと移っていくのでしょうが、今はまだ自分の幅を広げる段階だと思っているので、今回の留学を通して、自分の幅を広げる作業をしていければと考えています。

【生活の様子】

まず住居ですが、留学生用の奨学金の枠に応募してみたところ幸運なことに通ったためIllini Tower という場所に住むことになりました。タワーというだけあって16階建ての高層建築で、ここの10階に住んでいます。2部屋でキッチンやシャワーを共有するような形になっているのですが、ルームメイトは中国出身の工学専攻の1年生、向かいの部屋の学生は同じく中国出身のホテル経営を勉強する学生とシカゴ出身の中国系アメリカ人で保健衛生を専攻する学生で、2人も同様に1年生です。ここの寮は中国・韓国からの留学生がほかと比べて多いような気がします。

食堂もあるのですが、1週間に12食というプランになっているのと、毎日ピザやフライドポテトでは健康に悪いということで、部屋にある台所で自炊もしています。幸いなことに寮からバスでそれほど離れていない場所にアジアンスーパーがあるので、そこで日本食をたくさん仕入れることが出来ます。炊飯器も買ったので毎日白米を食べていますし、お味噌汁も作っているので、食生活は当初心配していたほどアメリカンにはなっていません。中華料理や日本食のお店も近くにあり、時々友達と食事をしに行っています。ただし、お店によって当たり外れが大きいので事前の情報収集が欠かせません。新しくラーメン屋さんが開店すると聞いて楽しみにしていたのですが、聞く人みんな「あそこはおいしくない」とのことでがっかりしています・・。矢部先生がシャンペーンにいらっしゃった時に私たち4人を連れて行ってくださったお店はどれもとてもおいしかったのですが、車がないと少々行きづらい場所にあるのが残念です。

 

車といえば、こちらの交通事情を少しご説明します。学生の基本的な移動手段は徒歩・バス・自転車で、車を持っている人はそれほど多くないように思います。バスは学生証があれば無料で乗ることが出来、それなりに頻繁に走っているのですが、休日や夜になると本数が減り、場合によっては次のバスを30分以上待たなければいけなかったりします。その点、自分の好きなタイミングで好きな場所に移動できる自転車はとても便利です。とても遠い場所でもなければ自転車の方がむしろバスより早く着けることもあるのではないかと思います。また、自転車を持ってバスに乗ることも可能です。

というわけでこちらに来て早速中古自転車を購入し快適な自転車生活を楽しみあちこち探検したりもしていたのですが・・なんと、先日盗まれてしまいました!!!!とっても悲しくて落ち込んでいます。ちゃんとU字の頑丈な鍵をかけていたのに。授業が終わって帰ろうと自転車置き場に行ったら、ない!あちこち探しましたが、やっぱりない。一応届け出はしましたが、返ってくる可能性は低いと思います。10月も終わりになると雪が降り始め4月頃まで自転車は使えなくなってしまうので、安くはない自転車を買い直す気にもなれず・・。短い自転車生活でした。

【授業】

(濱口)写真2

今学期登録している授業をご紹介します。

 

<Public Speaking (CMN101 –L2)>

いろいろな形式のスピーチの仕方を学んでいく授業です。日本では、授業でプレゼンをするなど人前で話す機会もそれなりにはあるもののスピーチに特化した授業はなかなかないですし、高校生の時に英語弁論大会に出場した経験があるのですが、その際は基本的に全て自己流でやってしまっていたため、スピーチのルールというものを一度きちんと学んでみたいと考え、この授業を受けることにしました。通常の授業と英語が母国語ではない学生用の授業の2種類があったのですが、せっかくならばネイティブスピーカーの学生たちにまじって授業を受けた方が学べることが多いだろうと思い、通常授業を選択しました。結果として英語が母国語ではないのはクラスで私一人だけで、ほかの授業とは異なりライティングで挽回したりする機会もなくとにかくうまく話すことが命、英語能力がものを言う授業でこのような環境にあることには少々緊張が伴いますが、ほかの学生たちのスピーチを聞いていると非常に良い英語の勉強になりますし、幼い頃から人前で意見を表明する場に何度も立たされてきたためかみんな話し方が堂々としていて、話す時の身振りもとても参考になり、やはり通常授業を選択しておいて正解だったと思っています。

教科書に沿ってスピーチの方法について講義を受ける回と実際にクラスメイトの前でスピーチをする回が交互に組まれており、今のところ、ことわざを交えた自己紹介とdemonstration speechの2回を終えました。2回目のスピーチの際は、日本文化を紹介する良い機会だと思い、折り紙、浴衣の着方、お味噌汁の作り方、などいろいろと候補を考えたのですが、最終的に日本から持ってきていたけん玉を紹介することにしました。全員に本物のけん玉を用意するのは難しかったので、前日にスーパーで買ったプラスチックのコップとアルミホイル、ひもで作った簡易けん玉を配りました。アメリカ人学生は全員けん玉を見たことも聞いたこともなかったようで、自分のスピーチを通して彼らの知らない日本文化を一つ広めることが出来て嬉しかったです。

 

<Elementary French 1 (FR101)>

最初はアメリカに来てまで外国語の授業を取るつもりはなかったのですが、講読が中心の日本の外国語教育と比較してアメリカでは聞く・話す能力により重点が置かれているという話をよく耳にしていたので、実際にどうなのか体験してみるのも面白そうだと思い、大学1・2年生の時に履修していたフランス語を再度勉強してみることにしました。

確かに授業では聞く・話すことが圧倒的に重視されています。まず文法が説明され、あとは文章の和訳をひたすらするという授業を受けてきた私にとっては、文法の説明は最低限で、会話の中で各自段々と理解を深めていくような形式の授業は新鮮でした。主語がこれで、動詞がこの位置に来て、形容詞が・・と文法にあてはめて考えるのではなく、フレーズごととにかくまず覚えさせられるのです。なぜ「私は日本人です」がJe suis japonaise. なのかは細かく説明されず、Je suis~で「~人です」と言うことが出来る、と教えられます。フランス語に似ている英語話者であれば感覚的に分かるためこのような形式が取られているのかもしれませんが、このような日本とはずいぶん違った外国語教授法は、グローバル化に応じた英語能力養成が叫ばれ、英語を英語で教えるなど教授方法に関しても議論が生じている日本における英語教育を考える上で一つの参考になるように思います。

 

<Foundation of Education (EPS201)>

今学期履修している授業の中で一番好きな授業です。アメリカ教育史から派生したような授業で、公教育とはそもそも何か、なぜ必要なのか、公教育制度はどのような問題を抱えているか、といったテーマについてアメリカにおける公教育制度の成立過程をなぞりながら考えていく内容です。人種隔離政策を巡る裁判については日本で受けていた法学部の授業の内容とも重なる部分がありましたが、似た内容を学ぶにしても韓国系アメリカ人である教授ご自身のほかにも祖父母から実際に人種差別の話を聞いたことがある学生が少なからずおり、そうした人たちの話に耳を傾けていると問題に対する距離感がより近く感じられます。

教授がとてもエネルギッシュで熱気に満ちた授業をされる方で、どんどん学生に意見も尋ねるため、100人以上いる大教室での授業ではありますが非常に双方向的な内容になっています。また、履修している学生の大半は教育学部生であるためやる気のある人が多く、授業中に展開される高度な議論にはいつも刺激を受けています。

この授業は、週2回の講義と週1回のディスカッションがセットになっており、ディスカッションのクラスでは学生が持ち回りで授業と関連するテーマを設定し議論の司会を務めます。段々と英語を聞き取ることにも慣れ、TAやほかの学生が言っていることは大体理解できるようになってきたものの、まだ英語で考えながら同時に話すということがなかなか出来ず、つい日本語で浮かんできてしまう考えを一度頭の中で英語の意見にまとめ直す作業をしているとどうしても議論に遅れ、意見を言おうとした瞬間に議論のテーマが次に移ってしまうなど悔しい思いもしていますが、毎回興味のあるテーマで議論が出来るので50分の授業が本当にあっという間です。元々20人のクラスにいたのですが、少しでも発言の機会が増えるようにと思い5人しかいないクラスに移ってきたので、今後は議論をリードできるくらい頑張りたいと思っています。

また、私が日本からの留学生ということから扱ったテーマに関して日本の状況を尋ねられる場面が度々あり、うまく答えられないと恥ずかしいので聞かれそうな事柄を予習して授業に臨んでいるのですが、日米比較によって自分の意見もより深まり、とても良い勉強の機会となっています。

来月後半の自分が司会を務める回では、アメリカの英語教育政策のあり方について70年代カリフォルニアで起きた裁判に基づいて議論をすることを考えています。

 

<Educational Psychology (EPSY201)>

科目名の通り、教育心理の授業で、Foundation of Educationに劣らず教授が教育熱心な方です。同じ教授のゼミに入りたかったのですが、相談させていただいたところ、まずはこの授業で基礎を学んでからにすべきだとの指示を受けたためゼミは来学期に回して今学期はこちらを履修することにしました。

教育心理学の基礎を学んでいるのですが、とにかく実践につなげることに重きが置かれており、新たな理論を学ぶとすぐにそれを実際の教室でどのように生かすことが出来るかについて話し合いをさせられます。教科書を読んでその内容についてテストをするだけでは教科書の内容をいかに理解しそれを解答用紙の上で再現できるかということが重要になりますが、ここでは習った内容をいかに活用できるかということが大切にされているのです。

また、理論を学ぶ際も出来るだけ学生が実際の体験を伴いながら学べるように工夫がされています。例えば、ピアジェの思考発達段階説を扱った際には実際に5歳・8歳・12歳の子どもを教室に連れてきて私たちの目の前で実験を行ってくれました。ピアジェの説通りになった部分もあればそうではなかった部分もあり、教科書を読んでいるだけでは学べないことを知ることが出来、興味深かったです。

この授業も講義とディスカッションがセットになっており、近々ディスカッションのクラスの人たちとグループで受ける試験があります。何を参照してもよく、時間内に提出すればどこに行くのも自由という形式の試験で、今までこのような種類の試験を受けたことがないのでグループにきちんと貢献できるか不安である反面、とても楽しみにしています。

 

10月の後半からは、Career Theory and Practice という教育学部の集中講義が始まる予定です。また、ディスカッションがほかのクラスと被ってしまい登録できなかった授業の講義だけをこっそり聞きに行ったりもしています。

最後に教育学部の特徴ですが、とにかく女子が多い!新学期に新入生の写真撮影に行ったところ、ざっと見渡す限り女子は100人以上、男子はわずか4人という男女比で、ここまで偏るものなのかと驚きました。また教員志望の学生の割合の高さも特筆に値します。日本の大学では教育学部はあったものの教員志望の学生はかなり少なかったので、教員を目指すほかの大勢の学生と共に勉強出来る環境はとても良い刺激になります。

 

【課外活動】

教育学部所属の学生団体に2つ入りました。どちらも規模の大きい団体なので、どれだけ活動に参加するかはともかく、教育学部の学生の多くがとりあえず登録だけはしているようです。それぞれ2週間に一度部会を開いており、日にちが被らないようになっているので、どちらか一方に絞る必要性も特に感じなかったこともあり双方の部会に顔を出しています。部会では今後のボランティア活動の説明や近々予定されている教育関連のイベントの情報共有のほか、付近の学校で働かれている先生をお呼びしてお話を伺ったりしています。教員志望の学生がほとんどなので本当にみんな一心にメモを取りながら聞いていて、質疑応答も毎回かなり盛り上がっています。私自身は中学校と高校の教員免許を取得するつもりなのですが、小学校の先生のお話も興味深く伺っており、特に英語が母語ではない児童への接し方や学校で起こる文化的軋轢に関する苦労について実際に現場に立たれている方からお話を伺った際は内容が面白く、手を挙げて質問もしました。

また、部会のほかに不定期でイベントも開かれています。先日は”Waiting for ‘Superman’ “ という、様々な事情からチャータースクールへの入学を希望する親子の姿を追いながらアメリカの教育制度に対し問題提起していくというドキュメンタリー映画の上映会があり、日本にいた時は知らなかったチャータースクールに関する知識を得られたと同時に、上映後にあったディスカッションを通して教育機会の平等・質の担保といった問題についてほかの学生と意見を交わすことが出来、有意義な時間となりました。

 

Japanese Conversation Table (JCT)という、日本語を学ぶ学生の集まりにも参加しています。毎週金曜日に集まって日本語で会話することを通して日本語の上達を図るというのが趣旨のようですが、私にとっては「日本語ではこういう表現をするけれど英語ではどう?」と尋ねることで生きた英語表現を学ぶ機会にもなっています。練習の後は大抵みんなでごはんを食べに行くのですが、ここでは英語で話している人が多いので、日常会話の良い練習になります。ここで学んだ学生がよく使うスラングをほかの場面で使ってみて周りの人たちの反応を見るのも楽しいです。日常会話を勉強する方法はいくつかあると思いますが、せっかくこういう環境にいるので、どんどん積極的にネイティブスピーカーの自然な会話の中に飛び込むのがよいのではないかと考えています。

 

最後に、私が寮で作った映画クラブについてご紹介します。私はすごく映画が好きで、アメリカでも映画を通して日本に興味を持ってくれる人を増やせたらと思っていたのですが、ある日寮の同じ階の人たちと一緒にごはんを食べていたら、二人とも日本のアニメが好きだということが判明し、しかも寮の地下に大きなスクリーンのある映画室があることを教えてくれました。そこで近くのお店で「時をかける少女」を借りてきて上映会を開いてみたところ、これが予想以上にたくさん人も集まり好評で、せっかくならば活動は不定期でもいいからグループを作ろうと考え、Illini Tower Movie Society というグループを作ってしまいました。今のところ3回の上映会を行い、メンバーはIllini Tower 以外に住む学生も含めて20人近くいるというような状況です。次回はジブリ作品のどれかを上映しようと考えているところです。

 

 

今回のご報告は以上になります。段々と寒くなってきて、氷点下20~30℃と聞く冬の訪れに戦々恐々としていますが、次回も充実した内容をご報告できるよう、また日々頑張っていきたいと思います。読んでくださった皆さま、どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

*写真説明

・台所の戸棚の中身です。日本の家の戸棚とあまり変わらないくらい日本食を常備しています。

・授業で使用している教科書の一部です。アメリカの教科書は日本のものと比べて分厚くて値段が高いです。どうしても新品しか手に入らない場合は仕方ありませんが、出来るだけ中古の安いものを買うようにしました。

・文章中には出てきませんが、大学のスタジアムの様子です。キャンパス内にこんなに大きな施設があるなんて驚きです。学期中に一度アメフトの試合を観に行くつもりです。

吉川慶彦さんの2014年9月分奨学生レポート

昨年12月に奨学生に選んでいただいてから早10ヶ月、実際にこちらに来てからも既に1ヶ月以上が経ち、この奨学生レポートを書いていると思うと不思議な気がします。自己紹介・留学の志望動機等については、本奨学制度のクラウドファンディングのページに既に投稿させていただいたので、ここでは重複を避けて割愛したいと思います。

https://www.countdown-x.com/ja/project/K6880260/updates/881

 

さて、この度は第1回目のレポートということで、以下のテーマで書きたいと思います。

1.履修している授業・課外活動

2.いま思っていること

3.奨学生として留学するということ

 

自分自身、過去の奨学生の方のレポートを大変参考にしたということもあり、1.では具体的に今学期履修している授業や、その他授業外で行っている活動について記します。

一方で2.では、やや抽象度を高めて、いま自分が考えていることを書きます。僕のことに余り興味のない人は読み飛ばしていただいて構いません。

最後に、本レポートが次期奨学生の申込締切の前に公開されることを念頭に置いて、3.では改めて本奨学生として留学することの意味を考えてみたいと思います。有り体にいうと、奨学制度の宣伝です。特に今まさに留学を検討している/興味のある方にはご覧頂きたい内容です。

 

 

1.履修している授業・課外活動

さて、まずはこちらでの活動について報告したいと思います。僕はこちらではCollege of LAS(教養学部)に所属し、日本と同じくClassics(西洋古典学)を専攻しています。以下、今学期履修している4つの授業を順に紹介します。

 

・GRK 101 Elementary Greek 1 (4 hours)

古典ギリシャ語の初級の授業です。日本で既に履修していたということもあり、今のところ内容は簡単ですが、週3回の授業に加えて、週2回の小テスト・日々の宿題・プラスもう1時間分の課題と盛りだくさんで、日本で疎かにしていた基礎的な文法の確認・語彙力の強化を実感しています。こちらの外国語のプログラムは(もちろん現代語も含めて!)週に3〜5回の授業があるのが通常で、大変な分、身に付くことも多いと思います。余談ですが、先日ドラマを観ていた際に、出てきた英単語の意味がギリシャ語から推測できたのには自分でも驚きました。

 

・CLCV 221 The Heroic Tradition (3 hours)

『イリアス』や『オデュッセイア』といった代表的な叙事詩を、英訳で読み進めていくという授業で、1学期の間に合計6作品を読みます。履修人数が多い(25人くらい)ことに甘えてしまい、発言をさぼっているのですが、勿体ないと思うので、今後はもっと積極的に参加したいと思います。

 

・PS 371 Classical Political Theory (3 hours)

プラトンやアリストテレスといった古典的な作品を題材に、政治理論について学ぶクラスです、履修人数が7人しかおらず、また課題図書も多く一番大変な授業です。特に体系だった教科書に沿って学ぶのではなく、先生の気分次第、クラスの発言次第で、内容が変わっていくことも難易度を高めている一つの要因に思います。

 

・CMN 101 Public Speaking (3 hours)

過去の奨学生の方のレポートを見て履修を決めました。人前で効果的なスピーチをする方法を学ぶ授業で、実際に授業中に即興スピーチがあったり、また学期中に5回、こちらは事前準備ありのスピーチがあったり、と実践的に学ぶことが出来ます。ただ、ギリギリに履修登録をしたので、朝の8時開始のスロットしか空いておらず、毎回起きるのに苦しんでいます。

 

全体的に、課題の量や授業のレベルは、ついていけないほど大変ではないのですが、それでもディスカッションになかなか参加しづらかったり、予習のReadingに何時間も費やしたり、とまだまだ「のびしろ」しかない状況です。今後どう成長していけるか自分自身でも楽しみです。

(吉川)写真1

(写真1:ギリシャ語の授業のポスター)

 

次に、授業外で行っている活動について簡単に紹介します。

・アルバイト

留学前は全く想定していなかったのですが、知人の紹介で仕事をいただけることになりました。通訳者養成のクラスのアシスタントとして、日本語と英語の通訳を訓練する学生に対して、課題となるスピーチを探したり、フィードバックを加えたりしています。

とはいえ、自分の英語レベルでどこまで役に立てているのかは不明で、むしろ10カ国語を操る先生から、アルバイトである私の方が学ぶことが多いです。また、学部学生や留学生であることがネックとなり、実際に仕事をするまでの手続きもかなり煩雑で、部署をたらい回しにされたり、留学生に優しくあるべき留学生課にかなり冷たくあしらわれたりと、ある意味で良い経験もしました。今はアメリカで仕事をする為に必須の(?)Social Security Number(社会保障番号)を申請しようとしているのですが、これまた上手く行きません。また機会があればお伝えしたいと思います。あと、給料日は心躍ります。

 

・クラブ活動

何かの活動にどっぷりと浸かっているという訳ではないのですが、それでもQuad Day(全クラブ・サークルがキャンパスのメインの広場に集まり新歓活動を繰り広げる日)に登録したクラブのいくつかに顔を出しています。特に面白いのはHellenic American Student Organization(ギリシャ系アメリカ人会)で、僕以外のほとんど皆がギリシャ人かアメリカで生まれ育ったギリシャ人で(当然!)、なかなかの疎外感を感じつつも何とか友達を作って参加しています。全ては将来ギリシャに旅行に行くときのためです(半分冗談、半分本気です)。

また、学期の最初に、古典学科の先生たちに順に挨拶回りをしていたときに(ちなみに学科の先生との顔合わせのイベントに古典学の先生は何故か一人も来なかったので、こちらからメールを送ってアポを取って挨拶に行きました・・・)、古典学を学ぶ学生の団体がないということで、これまた突然自分が作ることになりました。偶然、高校のときにClassics Clubをやっていたという学生が見付かったので、彼女に代表の座を譲り、今は最初のイベントに向けて活動しています。

最後に、毎日ピザを食べていながら全く運動をしていないことを懸念しており、また身体を動かさないとストレスも溜まるので何か運動系のサークルを探しています。良いのが一つ見付かったので、もし参加することになればレポートで報告したいと思います。

 

2.いま思っていること

こちらに来てから、ひとりでじっくり考える時間が多くなりました。まだまだ毎日の生活に余裕がある証拠なのですが、それでも今まで過ごしてきたのとは違う環境に身を置いて、鈍感な自分なりに色々と感じるところがあるようです。

留学生活のスタートは比較的しんどいものでした。「留学」というマジックワードだけで浮かれて、ともすればチヤホヤされるのは日本に居る間だけで、一旦留学先に来てからはその「留学」というものは自分で内容を作らなければ何にもなりません。授業を取るのも、イベントに参加するのも、イベントで隣の人に話しかけるのも、全ての一瞬が自分の選択に委ねられます。

 

しかし、僕が当初苦しんだのは、あまりにこのことに敏感になりすぎたからでした。義務感から毎日のパーティに参加している感じを覚えたり、必要以上に日本人を避けようとしてしまったりと、まるで留学を「修行」のように過ごそうとしていました。もちろん、人それぞれタイプが違うので、修行感覚で自分を追い込むことでベストなパフォーマンスを出せる人もいると思います。もしかしたら、その方法が一番英語力も伸ばすことができ、勉強にも身が入るのかもしれません。けれど、やっぱり自分はそのタイプじゃない、楽しまないと毎日生きていくことができない、ということに気がつきました。

何がキッカケで気持ちを切り替えられたのかはよく覚えていませんが、その日以降、授業に出席する際の意識や、毎日すれ違う人に挨拶するときの表情が変わったように思います。「自分は楽しんでこれをやっているか?」ということを問いかけながら、と書くとなかなか恥ずかしいですが、自分なりの一つの軸を大切にして、「留学生活」を送っています。

(吉川)写真2

(写真2:寮から一歩出たところの景色。遠くに見えているのが食堂です・・・。)

 

3.奨学生として留学するということ

さて、ここまで既に長々と書いてしまいましたが、最後に奨学生として留学することの意味を考えたいと思います。

40年近く続く奨学制度の一員として留学することの意味、それは一言でいえば「人のつながり」です。奨学制度の中では最年少、まだ自分の留学を始めたばかりのヒヨッコですが、それでもこのつながりを特にこちらに来てから強く意識します。中でも日本館の館長であるジェニファー先生は、来たばかりで居場所のない僕たち奨学生をものすごく気にかけてくださり、様々なイベントや現地の学生を紹介してくださいました。

(吉川)写真3

(写真3:日本館での浴衣イベント。インターンの学生たちと。)

 

奨学制度を通じて、シカゴで働かれている先輩たちやキャンパスにいらっしゃる縁のある方々にもお会いしました。そしてこのつながりは一生続くのだと思います。普通の交換留学とはひと味違った留学生活、応援してくださっている沢山の方々のサポートに改めて感謝申し上げるとともに、今まで以上に毎日を意識して有意義な一年間にします。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

第39期小山八郎記念奨学制度奨学生

吉川慶彦

小松尚太さんの2014年9月分奨学生レポート

お世話になっております、小山八郎奨学生第39期の小松尚太です。留学を開始して1ヶ月過ぎてのレポート執筆です。個人的にはこの1ヶ月は非常に長く感じられました。ここでの生活に慣れることに四苦八苦していたからか、イリノイの時間の流れが遅いのか、その理由は明らかではありません。ただその一方で、この貴重な機会を十二分に活かさねばならないと、少し焦っていることも事実です。このレポートを書く過程で、無為に過ごしてしまった日々が思い起こされ、なんともやるせない気持ちになったりもしています。私のレポートは、皆様が期待するような華々しく輝かしい内容には程遠く、淡々したトーンで進むかと思いますが、将来の奨学生の参考に少しでもなればと思い、素直に書き表すことにします。

 

■なぜ留学を決意したか

大学では主に農業経済学・開発経済学を学んでおります。農業経済が強いイリノイ大学で自身の専攻について学びを深めつつ、多様なバックグラウンドを持った学生と議論をすることで自分自身の考えを相対化したいと考え、今回小山八郎記念奨学生に応募しました。幸運にも奨学生として留学に行く機会を頂き大変嬉しく思うと同時に、この貴重な機会を有意義なものにせねばと背筋が伸びる思いでもおります。また大学での学びとは別に、学生に対して日本酒の啓蒙活動を行っています。日本文化発信の一環として、その素晴らしさをアメリカの地で伝えることができればと思います。

 

以上が「きれいな」留学志望動機ですが、私が留学に行きたいと考えた理由の根底には、別の思いがあります。

 

私が通う東京大学では「よりグローバルに、よりタフに」という方針を打ち立てていますが、先進的な学生はそのスローガンに関係なく、時代の先を進んでいます。学問をただひたすらに究め、社会問題に対し鋭い眼差しを投げかける学生、大学の卒業生と共に研鑽し自身のキャリアに苦悩する学生、東日本大震災の復興支援として大学生を毎週東北に送り出すプログラムを運営する学生。そうした例を沢山身近で見てきた私には劣等感が募るばかりでした。大学受験まではレールに沿って生きていけば良かったものの、大学に入った途端自由度が飛躍的に上がり、それが逆に自分を苦しめることにもなりました。悩み・劣等感が爆発し、途中大学にも行かなくなり、周囲とも音信不通になった時期もありました。

 

その悩みをある大学の卒業生に打ち明けたとき、答えは「とりあえず動け」というものでした。自分自身の哲学・理念に沿って行動している人の言葉には得も言えぬ重みがあり、シンプルなアドバイスが私には深く突き刺さりました。動かないで後悔するよりも、動いて後悔をしたい。その時ふと頭に「留学」の二文字が浮かびました。大学に入ってから留学に行くつもりは全く無かった私に、この二文字が浮かんだことは驚きでした。留学が決定した今でも、なぜ留学に行くのかと聞かれた時は「直感」としか言いようがありません。しかし自分自身について悩みに悩んだ結果辿り着いた「留学」という解に、私は沸々と思いをたぎらせ、猛烈な勢いで準備を始めました。イリノイ大学では農業経済の研究が進んでいるという事実も知り、自らの専攻についての学びを深める可能性も広がりました。「ただ留学に行きたい」という愚直な思いを起点に、少しずつですが、歯車が回り始めたのです。

 

とはいえその歯車はまだ回り始めたばかりであり、不安定でもあります。そうした脆く不確実性に満ちた私の将来に投資して頂いたJICのプログラムには感謝してもし切れませんし、同時に背筋が伸びる思いでもあります。だからこそ私には、劣等感多き学生であっても留学は行くことができるし、行くべきでもあることを、今回の留学で示す必要があり、かつ留学を終えてからも伝える必要があります。それが、JICの皆様はもちろん、家族、そして大学に入ってから数多く迷惑をかけながらも温かく支えてくれた先輩・同級生・後輩への恩返しに繋がるものと信じています。

 

以上が、今回私が留学を決意した理由です。

(小松)写真1

こういう食べ物も、1週間すれば飽きます。写真も撮らなくなります。

 

 

■イリノイ到着から学期開始まで

そうしたなんとも暑苦しく重々しい決意を胸に、2014年8月18日にO’Hare International Airportに到着しました。耳に入るものが全て英語。目にするものも全て英語。特に、出口の看板が全て「EXIT」と英語で表記されているのを見て、「とうとうアメリカに来てしまったようだ」としみじみ実感したことを覚えています。アメリカには過去2度旅行として来たことがありますが、今回は留学という長い道のりを見据えての到着だったため、得も言えぬ感覚に襲われたのかもしれません。以前ニューヨークに行ったとき、マクドナルドで恥ずかしくもボディーランゲージでしか注文できませんでした。そのリベンジを空港のマクドナルドで果たし、それっぽく注文することに成功します。こうした小さなことに、ちょっとした喜びを感じていたことは内緒です。空港からはPeoria Charter Coach Companyという会社のバスを利用し、大学に向かいました。バス内ではほとんど爆睡していましたが、途中起きて向かう途中に窓を見てみると、見渡す限りのトウモロコシ畑が広がっていました。地元の人にとってこの風景は飽きるほど見ているため新鮮味はないようですが、日本というゴミゴミとした世界から来た人間の目には、その広大さが幻想的に映るものです。

(小松)写真2

大学のど真ん中にある試験用農場。試験用の農場としては世界最古らしいです。

 

それから学期が始まるまで、身辺の準備を進めました。ショッキングだったことは、銀行を開設するときに銀行員の規約についての説明が全く聞き取れなかったこと。この世の言語とは思えないスピードで放たれるその言の葉は、全く意味を持つものとして私の耳に届いて来ませんでした。他にも、ショッピングモールで「うちのスーパーのカードを持っているか」や、「ビニール袋はいるか」といった店員のちょっとした言葉が全く耳に入りません。1ヶ月経った今でも、文脈やジェスチャーをもとになんとか反応しているのが正直なところです。自身の英語耳の鍛錬不足を心の中で嘆く毎日です。

他にも自身に絶望したシーンがあります。ルームメイトとの会話です。ルームメイトはブラジルからのvisiting studentで、1年半英語とcomputer engineeringを学ぶようです。お互い英語に苦労しながらも高め合っている日々ですが、ある日彼が「将来何をしたいか」という問を投げてきました。日本でも同様なことは考えてきたつもりですが、言葉に出すことができません。喉に手を突っ込まれたように、文字通り言葉に詰まったのです。崖の上から突き落とされた感覚でした。自身はこれまで大学で何を学び、何を考えてきたのか。英語ができないという理由のみならず、ただ単に何も考えてなかったということ、すなわちこれまで私は将来について考えてきた「つもり」でしかなかったということではないか。その日以来、「将来何をしたいか」というシンプルかつ深淵な問いに、日本に戻る時どう答えることができるのかが、留学におけるテーマの1つとなりました。

これ以外にも語学面で苦労している場面は数えきれず、自身の脳が腐敗していることを信じてやみません。しかしこれに関しては日々の小さな努力を積み重ねること、勇気を持って英語を使い続けることの他ないと感じています。英語力の拙さを嘆くこと・言い訳にすることは、このレポートのこの部分をもって最後とします。

(小松)写真3

Japan Houseにて行われた、千葉清藍氏による書道イベントの様子。

 

■履修について

イリノイでの私の学習テーマは「途上国開発で農業の果たす役割について、理解を深めること」です。農業は途上国経済において、食料生産のみならず雇用の場としても重要な役割を果たし、経済を支えています。農業が経済発展にどのような経路で貢献するか、なぜ農業開発の進んでいない国が存在するのかなど、研究課題は山積しています。そうした観点から学習を進めます。より具体的なステップとしては、日本に帰った後に書く卒業論文を書くために必要な基礎知識、統計的手法を学び復習し、卒業論文のリサーチクエスチョンを明確にすることを、今回の留学の最終到達点として設定します。

 

以下は今学期の履修科目についてご紹介します。

 

ECON450:Development Economics

アフリカに焦点を当てた、エイズ・貧困・農業開発・紛争といった開発問題についての講義です。大量のリーディング課題、教授と学生のディスカッション重視の授業と、いかにもアメリカっぽい授業です。教授が研究している分野が私の関心と近く、またそれについての講義も後半なされることから、今後の展開が非常に楽しみな授業です。

 

ACE251:World Food Economy

その授業名の通り、世界の食料事情について学んでいます。日本でも同様なことを学んでおり、この講義に最初はあまり期待をしていませんでした。しかし、基本的な定義を忘れていたり、統計データに触れる機会がこれまで少なかったりと、農業経済を学ぶ者にとって最低限必要な知識を押さえる上で非常に有意義な授業へと変貌しました。頻繁に行われる抜き打ちテスト、食料安全保障についてのグループワーク、Extra Credit獲得のための宿題など、隙がありません。現地の学生は面白くなさそうに授業に臨んでいるようですが、基礎をもう一度確認したい・英語を修得したい私にとっては一石二鳥の講義です。

 

ACE255:Economics of U.S. Rural Poverty and Development

アメリカの貧困問題、地方の開発問題について学ぶ授業です。農業経済・開発経済を学ぶと「貧困」というワードが頻出します。その貧困について理解を深めようと、この授業の履修を決めました。モデルを用いた分析というよりは、事例研究の色が強いです。アメリカの地方は農業が主産業ですが、その農業が国際競争力を失っているという話は、私にとっては意外でした。こちらも毎回のリーディング、授業への積極的な参加、学期中4回の試験とレポートの提出、さらにはディベートなど盛りだくさんであり、この授業がある火曜日と木曜日は気が重いです。

 

ESL115:Principle of Academic Writing

英語のライティングについて体系的に学んだことがなかったので履修しました。英語の文章構造は非常にクリアであり、作法を学ぶことは英語を読む上でも役に立っています。つまらなそうに受けている学生もちらほら見受けられますが、要は態度の問題なのだと思います。ここからどのような学びを得ることができるか。英語習得も含め、考え方次第ではどんなにつまらない講義も有意義なものになるものと信じています(この授業がつまらないという意味ではありませんので、あしからず)。

(小松)写真4

少しぼやけていますが、右がいつも通っている農学部図書館。左に見えるのが時計塔。

 

■今後に向けて

1ヶ月イリノイの地で過ごして生活に慣れてきた時期です。しかし冒頭にも書いたように、この1ヶ月を最大限有効に使い自身の糧とすることができたか、と言われると、まだまだのようです。ご覧の通り履修している授業の数は全く多くありませんが、授業の内容はもちろん、それ以外についても図書館に籠り文献に立ち向かう毎日です。しかし情けないかな、怠惰な性格が顔をのぞかせることもあることも事実です。こうした気分転換とは言えない日をいかに減らしていくかが今後の課題でしょう。

 

…何やら悲壮感が漂う締めとなりましたが、「あれやってます、これやってます」と取り繕うよりは、留学の日々で何を思っているかを素直に綴る方が、私にとっても、このレポートを参考にしてくれる(かもしれない)方にとっても有意義と考えます。あと7ヶ月、この贅沢な機会を日々噛み締めながら、ここイリノイの地で過ごして参ります

勝田梨聖さんの2014年9月分奨学生レポート

JICの皆さま、ご無沙汰しております。そして、レポートを読んでいらっしゃる皆様、はじめまして、神戸市外国語大学 国際関係学科 三年生在籍の勝田梨聖と申します。この度は、第39期奨学生として1年間、イリノイ大学アーバナシャンペーン校で留学する機会を賜り、幸甚に存じます。

こちらイリノイ州へ渡ってから一か月以上経過したことがとにかく信じられませんが、予想以上に早く環境に適応でき(いや、むしろ海外にいるという感覚すらあまりない気がします)、気温の変動にも少しばかりは慣れ、迫りつつあるMid-term examsの準備をしながら本レポートを書いている次第です。

 

今回の9月レポートでは、

  1. 留学までの経緯

II.授業

III. キャンパスでの生活

に分けてご報告したいと思います。

 

I.留学までの経緯

今こうして、アメリカという異国の地で、そして現地の大学で学生と一緒に学んでいるなど、一年前では想像もできないことでした。もっとも、私は大学入学時から漠然と「留学したい」という思いを抱えていたものの、具体的に何を学びたいか、何のために高額を投資してまで留学するのか、などと言った疑問に答えることはできませんでした。

「とにかく留学すれば何か見つかるかもしれない。」むしろ、そんな気持ちにすがっていた節があるように思えます。

 

大学一年生の秋、大学で募集していた交換留学制度(二年生9月からの一年間)に応募してみようと踏み切り、チューターの教授にサインを求めて研究室へ行ったときのことでした。留学の志望理由、将来へどう活かすか、あれやこれやと説明したものの、それを聞いた教授の返ってきた返答は「どうしてそんなに急いでいるの?」でした。どこかで耳にしたことのあるような継ぎ接ぎの言葉での志望理由や、はっきりとしない留学の目標を、どうやらその教授は見抜いていたようで、そんな「とりあえず留学してみよう」という気持ちの公立大の学生が、市民の税金を使わせていただいてまで留学する意義が見えてこない、と言われました。当初は、それでも自分なりによくよく考えて出した結論のつもりであり、反抗期のように「分かってもらえなかった」なんて実は思っていたりもしましたが(笑)、それでもやはり心に引っ掛かる部分もあり、交換留学は断念することにしました。

 

そして自分の中での大きな転機が訪れます。大学二年生に入り、国際協力の活動に取り組むようになりました。もともと国際関係学科に入学したのも、途上国支援に興味があったからでしたが、この活動を始めて、日本での活動以外にも、実際にアジアの途上国や村々を訪問、視察し現地の人々と交流する中で、途上国の開発について考える機会も多くなりました。と同時に、現在在籍する大学では、深く開発について掘り下げる授業が残念ながら少なく、メディアや本、知り合いのNGOの方々や他大学の教授、また同じく国際協力団体を運営する学生同士の関わりのなかで、経験をもとに国際協力について考える機会が多くなったのです。そして、学生団体の弱みや限界、開発に関する自分の知識不足をひどく痛感するとともに、将来もっと本格的に開発に携わっていきたいと考えるようになり、より学術的な分野での「途上国開発」を学ぶため、海外の大学で学ぶという道を再び目指すことになりました。

 

もちろん留学をきっかけに新たな興味を持ち、想像していた道とは正反対に進むこともありますし、あまり偏狭に留学前から決めすぎるよりかは、どっしりと広く構えていた方が良いと思います。それでも、留学の基本的な目的を見つけ、それを達成する手段として、恵まれたことに、JICの皆様が私に留学の機会を与えてくださったおかげさまで、望んでいた開発の授業や国際関係学を学びながら、とても充実した日々を過ごしています。(ちなみに、かのチューターの教授はなんと三年次から私のゼミの先生となり、留学することを伝えたところ、「ほら、急がずに待っていてよかったでしょう」とのお言葉をいただきました。)

 

長々と語ってしまいましたが、これからの一年は、日本での環境では経験できないような活動や授業を通して、より一層自分の興味を掘り下げ、またあわよくばもっと足を動かして、新たな面白いことを見つけられればと思っています。

 

II.授業

秋学期は、履修登録期間中にあれやこれやと授業に顔を出しましたが、以下の授業を受講することにしました。

CMN101: Public Speaking (Prof. Laura Gallant)

PS241: Introduction to Comparative Politics (Prof. José Antonio Cheibub)

PS240: Comparative Politics in Developing Nations (Prof. Matthew S. Winters)

GLBL250: Development (Prof. Kate Grim-Feinberg)

 

CMN101: Public Speaking (Prof. Laura Gallant)

この授業は過去の奨学生の方々も多く取っていらっしゃり、おすすめだと伺ったので受講することにしました。私以外全員ネイティブスピーカー、または在米歴の長い生徒で、なんとなく最初は気が引けていましたが、クラス外でも”HEY, RISE!!”なんて声を掛けてくれるので、今はとてもリラックスしながら授業を受けています。ただ最も苦労するのは授業内の即興スピーチであり、脳内で瞬時に構成を考えて喋ろうと思ってもなかなか上手くはいかず、残念な結果に終わって悔しい思いもすることも…。それでもネイティブが(勿論のこと)自由に言語を操り、効果的な言い回しやデリバリー技術を交えながらスピーチする姿には毎回学ぶものが数多あります。最近のスピーチでは6分間のデモンストレーションがテーマで、日本人であることを活かし、風呂敷を使ってバッグを皆の前で作りました。たった一枚の布でカバンを作ることに対し、”Are you kidding?” と訝しげでしたが(笑)、無事成功し良い反応を得られました。そのほかにも、リュックの詰め方、背負い方のデモンストレーションを1人ずつ行いましたが、本を投げ入れる”Throwing Method”や逆に異常なほど丁寧に扱う”Treating with Care”など個性のある即興スピーチを見たり発表したりできる、とてもユニークな授業です。

 

PS241: Introduction to Comparative Politics (Prof. José Antonio Cheibub)

この授業では、先進国、発展途上国、中進国における政治体制、経済の仕組みなどのバリエーションをまず比較し、そして何故その違いが生まれるのか、またその違いによってどのような結果が生まれるかを考察していきます。そのような”Why?”や”How?”の疑問に答えるために仮説を立て、その仮説を立証するために方法論を交えながらデータを分析していきます。基本的にはその国の経済レベルや国民の自由度などを参照しながら、主にProf. Cheibubが論文で発表したD&D (Democracy and Dictatorship)measureを用いてリサーチを進めているのですが、民主主義か独裁主義か判断する前提として、民主主義の最低限必要な要素は何か、選挙にどんな条件が必要か、そしてそれらを基に考えると、例えばボツワナは民主主義か独裁主義か…、こういった疑問をデータを根拠に考えていきます。また、数字を分析するだけでなく、周囲の学生と議論する中でも、自分1人では気付けなかったような新しい考え方を得ることもあります。日本では、GDPやGNIなどのデータをこれほど細かく比較をしながら政権について考える機会があまりなかったので、理論的な根拠を手掛かりにWhy?やHow?について思考するのはとても興味深いです。

 

PS240: Comparative Politics in Developing Nations (Prof. Matthew S. Winters)

昼間のパートが他の授業と重なったため、講義は夜7時からという何とも微妙な時間帯を選択せざるを得ませんでしたが、この授業では途上国と先進国を比較分析しながら、政治と開発の関係について考察を進めています。この授業で一番面白いのは、”counter-factual”(反実仮想)について、つまり、もしこの事実が存在していなかったらどうなっていたかについてディスカッションすることで、ミレニアム開発指標がもし存在していなかったら、果たして平均寿命や就学年数に改善はみられたかどうか等を皆で考えます。経済開発だけが民主化を推進するのか、資源と独裁主義にはどのような因果関係が存在するのか、教授から次から次へと投げかけられる疑問に英語で自分なりの意見を組み立てるのには(時間帯も関係するのでしょうか…)とても苦労しています。また、ベースとして、上述のProf. CheibubのD&Dや、それとは異なる測定方法を用いたデータを使用していますが、そもそもデータの裏付けとなる個々の地域の背景知識が不足しているとひどく痛感します。そこで、毎週の課題に取り組みながら、インターネットという文明の利器を駆使して、民主化の歴史や経済状況を学んでいるところです。

PS241にも当てはまりますが、日本の大学とは違って、これらの授業は週に3回、各1時間ずつ(教授によるレクチャーが2時間、TAが進めるディスカッションが1時間)あり、授業間の間隔が大きく空かないことと、1時間という比較的短時間の中で集中して学べるというメリットがあり、効率的だと感じます。また、TAがレクチャーのカバーとして補足説明をしてくれるので、理解をさらに深めることもできます。

 

GLBL250: Development (Prof. Kate Grim-Feinberg)

さて、今学期ずば抜けて最もしんどく、同時に一番楽しんでいるのがこの(途上国)開発の授業です。現在はまだ第一段階ですが、”Third World”の民主化運動や政治腐敗の歴史のみならず、ケインズ派、古典派、新古典派などの経済学の理論や人間開発論を基に、First WorldとThird World側の考え方の相違について学びます。そもそも「開発」とは?それぞれの主義や理論は開発にどう結びついているか?そして、どういった開発援助方法がもっとも成功しやすいのか?こういった抽象的な疑問を学期末にはケーススタディを通して答えられるようになることがこの授業の目標です。

ところで私がこの授業で非常に苦労している理由は、課題の量と授業形態にあります。火曜日と木曜日の週2回の授業ですが、毎回30~40ページほどの理論と具体的な歴史の描写がぎっしりと書かれているテキストをワードファイルに纏めて、完全に理解しなければいけません。でなければ、次の授業で文字通り取り残されてしまうからです。受講生は10人ほどの少人数ということもあり、こじんまりしている分、議論がとても活発です。教授が概念の整理をするものの、基本的には常に質問や意見が飛び交う80分のディスカッションのようなもので、「今回の課題テキスト、どんな内容だったっけ」ではあっという間に置いて行かれます。当初は、学生の話すスピードに、唯一のノンネイティブである私の英語力がついていかず、明らかに議論にあまり参加できていなかったため、学生の動かす口を眺めながら、ただ「この授業をドロップして次学期に受講するべきか否か」についてひどく悩んでいた程です。しかし教授に相談したところ、「確かに言語面での心配は抱いているとは思うけど、あなたなりの視点をきちんと提供してクラスに貢献している」との言葉をいただき、それ以来は前向きに考えられるようになって、”Better than the last time”を目標にトライしています。それからは、(授業にもきちんと集中し(笑)、)以前よりも積極的にディスカッションに参加できている自分を実感でき、大量の課題にも少しは効率的に取り組めるようになりました。

自分が一番学びたい内容であったからこそ、言語がネックになっていることに悔しさを強く感じますし、教室に入る前には「よし…80分!」と気合注入が必要ですが、それでも根気強く、そして何よりも非常に楽しみながら取り組んでいます。

 

III. キャンパスでの生活

一か月もすればすぐ寒くなるだろうと思い、あまり夏物の衣服を持ってこなかったため、なんとか今まで大学で貰ったfree T-shirtsで毎日を凌いでいます。一時期は息も白くなるくらい冷え込んだものの、またすっかり夏に戻り、かと思えば急に激しい雷雨に襲われ…慌ただしい天気が続き、風邪を引いている学生がちらほら。それはさておき、最後にキャンパスライフについてご報告いたします。

 

*暮らし全般について*

出国の準備、学生団体代表としての最後の運営、大学の試験勉強、アルバイト、友人との別れなどを済ませ、最後の一瞬まで忙殺されながら日本を発ちました。そして到着したシカゴのオヘア空港。イリノイ大学までの直行バスから眺めたあたり一面のコーンフィールドと夕焼けは目に強く焼き付くほどの絶景で、長旅を癒してくれました。(後ほど地元住民にそのことを伝えると、「そんな人初めてだよ(笑)」なんて驚かれましたが…)

右も左も分からない状態で飛び込んだキャンパスですが、到着後一週間は授業がなく、毎日オリエンテーションやパーティーの連続です。インターナショナルの学生向けパーティーに行っては友達を作り、ワイワイ盛り上がっては寮に帰って、翌朝も手続きを済ませてはよく分からないイベントへ…。また、とにかく時間がたくさんあったため、台湾人と日本のカレーを求めて、あてもなくキャンパスからはるか離れた場所をさまよい、ひどく空腹状態の中、案の定帰宅困難に陥ってしまうなんてこともありました(笑)

 

(勝田)写真1

(お喋り中に、マジシャン到来。皆、釘付けです!)

 

…と非常にエンジョイしているように聞こえますが実は、ネイティブスピーカーの言葉の流れるスピードに圧倒され、且つ思うように英語で表現できないなどの精神的な悩みや、wi-fiが繋がらない、大学内のバスで未知の住宅地へ迷い込むなどのトラブルも重なり、最初の数日間はとてもブルーな気分でした。図書館のソファにバタッと倒れこみ、友人らが出国前にプレゼントしてくれた「元気が出るソング集」を聴きながらただ茫然と時間を過ごしていたこともあります。

しかし一か月半が経った今は、授業、勉強、遊びにもリズムが付き、この生活に随分と慣れました。語学に関しては、自分にはまだまだ鍛錬が必要であることを認識し受け入れ、落ち込むだけでなく何が必要か、どうすれば向上するかを模索しています。例えばBCC, CNNなどのラジオを就寝前に聴いたり、TEDで興味のあるプレゼンを観たり、友人の会話で「これ使える!」なんて表現はその場で吸収して自分のものにしたりしています。おしゃべりの後に「あれは、こういう表現の方が良かったなあ…」と、1人でぶつぶつフィードバック(?)をしながら歩いていると、友達にバッタリ。「リセ、何喋っていたの?」と聞かれ、あたふた。とりあえず一通り挨拶を交わした後に、「さっきの挨拶はこう言うべきだったな~」とまたぶつぶつ。そんな繰り返しです。

 

(勝田)写真2

(友人とテニスの様子。写真フォルダを見ると、あまり写真を撮る癖がないことに気が付きました。)

 

*LLCのIntersectionについて

私はこの一年間、Living Learning Communityの一つ、Intersectionというグループに属しています。メンバーは寮の同じ建物に住んでいるので、シャワールームであれ、階の端と端であれ、どこでも挨拶を交わしたり、一緒に遊びに出掛けたり、いわゆる大きな家族のような存在です。Intersectionでは、多様性(diversity)を尊重し、ジェンダーや人種に関する問題を一緒に考え、議論する機会が多くあります。つい最近では、ラウンジで皆が集まり、トランスジェンダーをテーマに白熱したディベートが繰り広げられました。最も沸騰した議題は「身体的には男性だが、精神的には女性である学生を女子寮へ受け入れるべきか」で、一方は当本人側に立った主張を、もう片方のチームはその周囲の人間(女子寮)側の立場から意見を交わしました。もちろんオープンエンドで終わりましたが、アメリカという様々な背景を抱える人々が集まる社会で生活する上で、他人事として避けることのできない問題であることを改めて実感できた非常に刺激的な時間でした。

(勝田)写真3

(ディベートの一幕)

 

*ルームメイトについて*

実はとても心配していたのがルームメイトです。私は外に出ることも好きですが同時に、個人の時間、空間も特に必要とするタイプですので、部屋を一年中シェアするという初めての経験に耐えられるか不安でした。しかし、それも杞憂に終わり、むしろ彼女と一緒に住めて良かったと思っています。私のルームメイトは香港出身、同じく三年生でなんと私と一日違いの誕生日!性格的にも共通点が数多あり、partyも好きだけど、勉強優先という同じスタンスを持つため、日曜日は朝から部屋で静かに勉強、ご飯を食べてひたすら喋って、また勉強、食事の後はリフレッシュにジムで一緒に汗をかき、私は中国語で、彼女は日本語で「おやすみ」と言って就寝するのが習慣となっています。勉強に疲れた時は、電気を消して二人でホラー映画大会、散歩や買い物をしてお互い切磋琢磨、支え合える非常に良いルームメイトを持つことが出来ました。また、お互いの国について、特に現在起こっている香港での学生運動を話し合うことができるのも貴重な経験です。

 

他にも、JCT(Japanese Conversational Table)に参加したり、茶道や浴衣などの日本館でのイベントに顔を出したりと、課題に追われているものの、出来るだけ外に出るように心がけています。

目下、授業の理解はもちろん、アカデミックな内容をきちんとロジカルに伝えられる英語力と、人の名前と顔を一致させること(笑)が目標です。(一度会った友人とfacebook上でテニスをする約束をしたものの、想像していた友人と名前はおろか、性別さえ違うこともありました。さすがに危機感を覚えた一瞬です。)

 

早いもので一か月半が経ちましたが、まだまだもっと有意義にこの機会を活用できるようにも感じているのが正直な心境です。しかし、ここへ来た理由である軸は忘れず、この環境でしか挑戦できない境地をどんどん切り開いていきたい気持ちが日に日に強くなっていますので、今後が自分自身、楽しみです。

最後に、改めてJICの皆さま、この度は留学という私にとって大きなチケットを与えてくださり、ありがとうございます。あと残りの七か月半を思う存分楽しみ、意義のある生活にしていきたいと思っていますので、どうか温かく見守ってくださればと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

 

第39期JIC奨学生

勝田梨聖