深見真優さんの2016年9月分奨学生レポート

ご挨拶
Japan Illinois Club の皆様、ご無沙汰しております。現在41期小山八郎記念奨学生として留学しております、明治大学政治経済学部政治学科4年深見真優と申します。現在は1年間休学してこちらで、健康促進に関わる授業を複数の学部から受講しております。授業が開始してから1か月ほど経ちました。初めてのレポートに何を書けばいいか戸惑いもありますが、この1か月間の日常をご報告させて頂きたいと思います。キャンパスの様子も皆様が勉学に励まれていたころと少し変わっているのでしょうか。「懐かしいなー」と、キャンパスでの日々を振り返っていただけるレポートを書いていければと思います。今回のレポートでは、主に①受講している授業②ジャパンハウスでのイベント③週末④課外活動についてご報告できればと思います。

①授業

授業を受講するに当たっては、面白そうな授業が沢山あり悩んでしまいました。
1、文系の学生である私が健康に携わるにはどんな方法があるか模索する。
2、アメリカらしいオープンな授業
を念頭に履修を組みました。

1, Global Health
教授が毎授業、その週に起こった時事ニュースを持ち出してきて、それをきっかけに世界中の健康問題について触れていく授業になります。中間までの主なテーマは貧困と健康問題についてでした。最近の授業で印象的だったのは人種による妊娠リスクの比較でした。黒人の女性が妊娠した時の出産リスクが高い理由として日常生活における人種差別から引き起こされるストレスが大きな要因であるという事実に心打たれました。ある人種に生まれたというただそれだけで、健康状態に差が生じるということは日本に居る限り感じることのない事実でした。高学歴高収入であろうと黒人に生まれた時点でストレスにさらされる機会は多く、通常は健康に大きな影響を与える学歴や収入以上に多大な影響を与えることを示すドキュメンタリーは何とも言えない虚無感を残しました。いくら教育を施しても、なかなか乗り越えられない壁があることを目の当たりにした授業でした。自身の文化に誇りを持つことでしか、人種差別は乗り越えられない、と大教室で発言した女の子の意見に大きくうなずく学生を見ていると、まだまだ自分はアメリカに深く根付く、ダイバーシティーの豊かさの裏側を見られていないような気がしました。

2, Frame works for Health
この授業には、毎週様々な学部から教授が講義に訪れます。医学、政治学、社会学、栄養学、建築学など様々な分野から健康について考えます。授業内での小さなフィールドワークが多く、先週はキャンパス内を歩き回って、コミュニティとして健康を促進できる環境があるかについて考えました。健康と聞くと食や運動と直接結びつきやすいように思いますが、キャンパス内を歩き回ってみると、フレッシュな食材にアクセスできるスーパー、安全に運動できるアウトドアスペースなど、街の構造が健康に大きな影響を及ぼすことを改めて感じることができました。文系の学生として健康促進に携わる方法を模索するという目的にしっくりくる授業のため、毎回のフィールドワークや講義が楽しみです。学期の後期にはグループでのプロジェクトも控えているため、将来の自分の姿と照らし合わせながら、自分なりの健康促進への携わり方を考える授業にしたと考えております。

3, Medical Sociology
医療社会学と言われる分野です。Sociology in medicine( motivated by medical issues) とsociology of medicine (motivated by interaction and behavior) の大きく二つに分かれますが、こちらの授業では後者を主に扱います。この授業では、一つの健康問題に対して必ずpersonal problem の視点とpublic issue の視点を求められます。10人程の小さなクラスなので毎回discussionとlectureを同時進行しています。最近の授業で興味深かったのは肥満に関する授業でした。肥満であること自体が不健康なのではなく、ある一定の基準さえ満たせば肥満も個性の一部であるという認識の仕方がダイバーシティの豊かなアメリカらしい考え方だと感じました。その考え方の良し悪しはファイナルペーパーを書く過程でゆっくり考えていきたいと思います。

4, Sexual Communication
アメリカらしい、オープンな授業を受講したいという思いに見事にマッチする授業でした。日本のみならず、アメリカでも、性に関する議論はまだまだオープンにはなされていないのが現状の様です。先生は非常にパワフルでレクチャーの授業は毎回笑いとざわめきのなか進められていきます。実用的なsex educationのあり方から、日常のパートナーや家族間における性に関するコミュニケーション能力向上を目的とした授業です。日常会話に関わらず、sexual communicationにおいても、自分をいかにオープンにしているかが鍵となります。一番最初のペーパーはself reflection paperといって自分のsexual communication competence に関して論じるものでした。パートナーと良好な関係を築くことは、精神的充足を満たすうえで非常に重要な事です。sexual communicationという一見タブーに見られがちなトピックを日常の一コマとして切り取るおおらかでダイナミックな雰囲気がとても心地よいと思いました。

 

②Japan House Event <Matsuri>

こちらに来てから初めて参加したJapan HouseでのイベントはMatsuriでした。ジャパンハウスの敷地に、日本食の屋台、楽器演奏、浴衣の試着など様々なブースが展開され、まさに日本一色でした。私は日本からお招きした津軽三味線奏者佐藤通芳(さとうみちよし)さんのコンサートの通訳としてMatsuriの舞台に立たせて頂きました。この小さなキャンパスタウンのどこからこんなにも人が集まるのか…と息をのむほど沢山の方に来場して頂きました。プロの三味線演奏者の方の海外公演の通訳として英語も拙い私が舞台に上がっているのは何とも言えない感覚でしたが、佐藤さん、ボランティアの方々、そしてシャンペーンの優しい観客の方に囲まれながら、とても貴重な体験をさせて頂きました。言葉の壁も年齢も性別も人種も一瞬で飛び越えて、あっという間に会場を一つにする音楽の力強さを目の当たりにした一日でした。来場者数も去ることながら、前日準備から解体に至るまで、本当に沢山のボランティアの方がMatsuriに参加して下さっていることにとても感動しました。キャンパスの一角にあるジャパンハウスが、学生のみならず地域の方々に愛されているのを目の当たりにした温かなひと時でした。これからの、ジャパンハウスでの活動がとても楽しみになると共に、私は日本人として何ができるのだろうか…と、ふと立ち止まるきっかけになった一日でもありました。

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(写真1:日本でも着ない浴衣での通訳は緊張による冷や汗と猛暑による滝のような汗で目まぐるしい一日でした、三味線奏者の佐藤通芳さんと。)

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(写真2:Matsuri打ち上げでの一枚。ジャパンハウスでインターンを行う学生を始め、沢山の方々に支えられて無事終了したMatsuri。)

 

③週末の過ごし方

授業が始まって1か月と少し経ちました。初めての第一回mid term が終わり、少しほっとしながらレポートを書いています。私は、こちらでのメリハリのある学生らしい生活がとても気に入っています。平日は授業の予習復習や課題に追われ、常に何かに追いかけられているような気がしますが、アルバイトなどに気をとらわれることもなく、夜まで図書館で過ごすのもある意味贅沢なのではないかと感じています。ルームメイトは一つ年下のスウェーデンからの交換留学生です。私は150センチ、彼女は180センチあります。彼女はベッドに飛び乗れますが、私は階段がないとよじ登ることもできません(笑)そんな凸凹コンビですが、どちらもお喋りしだすと止まらないため、平日の勉強の合間にふと片方が話しかけると、2時間喋りっぱなし、なんてことも…。とても居心地が良く、人生初めてのルームメートとしてはもったいないくらいの彼女が、12月には帰国してしまうのが今から寂しいです。こちらでは月に1度ほどmurphy’s night と言って、green street にあるbarのmurphy’s でinternational students とlocal students の交流パーティーのようなものが開かれます。本当に沢山の学生が集います。こちらの学生を見ていて非常に強く感じるのは、勉強だけでなく、健康管理、社交性、趣味、様々なことにおいてバランスが良く、それが人としての魅力に通じているような気がします。会話一つにしても、質問をして相手との共通点を探すのがとても上手だと感じました。今まではあまり意識してきませんでしたが、自分から沢山質問をすること、これが、相手や相手の文化に興味を持っていることを示し楽しい会話の基になるのではないかと感じています。英語が拙いことを言い訳にせず、彼らの会話の仕方を見習いながら、新しい場所や環境に飛び込む度胸を付けていきたいと思います。

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(写真3:休日に友人のホストファミリー宅にランチに誘ってもらいました。ホストママはスペインからのinternational studentで、UIUC graduate school の卒業生だとか。一緒に招かれた彼らも大学院生です。手作りのスペイン料理に舌鼓を打ちながらあっという間の4時間ランチでした)

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(写真4:友人に誘ってもらったホームパーティーで偶然出会った彼女は、実は今年の夏に松戸でインターンシップをしていて、JICのリユニオンにも参加していて、私の顔を覚えてくれていました。It’s a small worldとしか言いようがありません。The bread companyで美味しいサラダを食べながら、試験勉強を忘れてはしゃいだブランチでした!)

 

④課外活動

毎週木曜日の夕方にジャパンハウスで茶道のevening classを受講しています。これは全く予想外でした。授業が始まった初めての週に、ジェニファーさんにお招きいただき、茶道のお稽古にゲストとして参加しました。日本での茶道経験はゼロです。私は日本に生まれ育ち22年余り、何をしていたのか、、、と考えさせられる1時間でした。アメリカで生まれ育った学生の美しい身のこなしに心奪われました。自分の無知を恥じると共に、異国の文化にほれ込む彼らの好奇心と、何歳になっても新しいことに挑戦することを恐れない心意気に、突き動かされました。日本文化に向き合ってこなかった自分を恥じましたが、同時に、何かを始めるのに遅すぎることは無いのではないか、という事を強く感じ、茶道のお稽古を始める決心をしました。毎回のお稽古は郡司先生のお話に始まり、私達ビギナークラスは、お稽古に数年通っている現地の学生によって進められていきます。アメリカでアメリカ人に日本人が日本文化を習う、というゴチャゴチャな環境ではありますが、様々なバックグラウンドを持つ彼らと一緒に学ぶからこそ、日本では見えなかったものに気づけると感じています。

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(写真5:毎週お稽古の際にはお茶菓子が振る舞われます。忙しかった一週間を振り返り、お茶とお茶菓子でふと日本を感じ落ち着く瞬間です。)

 

最後に

つい数日前まで半袖短パンでキャンパスを行き来していたのに、今日は長袖長ズボンを身にまとい、それでもバスを待つ間は身震いしてしまう寒さとなりました。いよいよ、噂に聞いているイリノイの寒さの片りんを感じ取っています。日本もそろそろ秋を迎える頃でしょうか。季節の移り変わりですので、どうか皆さま、お体ご自愛くださいませ。次回のレポートで皆さまに、また生活のご報告をするのを楽しみにしております。