JICメンバー各位、
大田(’01-02 LAS)です。
JIC奨学生としてUIUCへ留学中の江崎歩さんからのレポートが届きましたので、皆様にフォワード致します。
早いもので、最後のレポートとなりました。最後に書かれている「この留学に点数をつけるなら」というところ、さて江崎さんは何点をつけられたのでしょうか?!それでは、お楽しみ下さい。
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2004年 5月分レポート
江崎歩
筑波大学医学専門学群6年
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JICのみなさま、ご無沙汰させていただいております。ここ数日はついにシャ
ンペーンにも夏のような暑さがやってきており、いよいよ最終レポートをお届
けするときが来てしまいました。5月分レポートの締め切りは5月末まで猶予を
いただいたのですが、私の場合、帰国してしまうと今の感情をうまく表現でき
なくなってしまうのではないかと考え前もって書かせていただいている次第で
す。
1月に前回のレポートをお届けしてから4ヶ月弱になるとは信じられない思いです。
書きたいことは山のようにあるのですが、このレポートでは、春休みのこと、
教会のことについてご報告し、最後にこの9ヶ月間について評価したいと思い
ます。そして、それだけではあまりにみなさまに対して恥ずかしいので(?)
授業のことについて最初に少しご報告できればと思います。
<授業のこと>
秋学期は10ページに渡るペーパー2つ(それから、スピーチ)を同時に抱えて
いたことなどもありよく生き延びることができたものだ、と今さらながら自分
で感心してしまいますが、今学期は授業の課題自体は秋学期よりは結果的に楽
なものとなりました。Health Statistics, Interpersonal Communication,
Health Education Evaluation, Macroeconomicsをとっていたのですが、どれ
も別の意味で意義深かった中で、特にInterpersonal Communicationのクラス
からはこれから自分の日常生活と仕事両方の場面で伸ばして行きたい大切な
Skillについてたくさん学ぶことができました。Emotional Support、Initianl
Interaction、Conflict、Criticism、Self DisclosureのSkillについて実際に
実践してみてジャーナルを書き、学期前と後でどう変わったかを評価するとい
う課題があったのですが、面白かったのは、多くのSkillについて学期終了時
の方が自己評価の点数が低くなっていたことです。これは自分のコミュニケー
ション能力についての意識が高まって自分に足りない部分に気づくようになっ
たためですが、長い目で見れば、足りないと思っている部分が実践できるよう
になればいいなと思います。
<春休みにクリニックで実習をしたこと>
JICの交換留学とは直接は関係がないのですが、シャンペーンで勉強させてい
ただいたことがきっかけになり、Springfield,ILにあるSouthern Illinios
University のFamily Practice Clinicで5日間の見学実習をさせていただきま
した。私は現在医学部の6年生を休学中で、同級生の中には大学から与えられ
る機会を利用して海外で病院実習をした友人もいましたが、交換留学生として
ここに来るまでは、特にアメリカで臨床をやりたいと考えたことはありません
でした。患者さんとのinterpersonal communicationが重要になってくる臨床
の場で、私がアメリカ人の医者以上に患者さんのために役に立てるはずなどな
いと考えたからです。その気持ちは、今でも変わっていません。ただし、今は、
将来日本の患者さんにもっと役に立てるように自分の医者としての力を磨くた
め、アメリカ人の患者さんの役に立つというよりもむしろ自分が学ばせていた
だくという目的のためであれば、アメリカは非常に素晴らしい訓練の場所だな
と感じるようになっています。そんな風に感じるようになったのは、秋学期の
授業で、わからないことをつっこめばどこまでも一生懸命教えてくれるこちら
の教育の姿勢を経験したからでした。この機会を与えられたことに改めて感謝
します。
実習では、短い間(春休みが1週間だったので、月から金まで5日間お世話になりまし
た)だったことと私が英語に自信を持ちきれずあまり積極的になりきれなかったこと
から患者さんから病歴をうかがって診察をして診断と治療を考えて先生にプレゼン
テーションしてカルテに記入して、、という一連の流れをやらせていただけたのは1
日だけでしたが、とてもいい経験になりました。私の問診や診察に文句も言わず、最
後には”Nice to meet you! Good luck!!”と笑ってくださった(笑うどころではない
患者さんもいらっしゃいましたが)患者さんたちの優しさに心から感謝します。
<新しい命>
非常に個人的なことであること、別の宗教をお持ちの方がどのように受け止め
られるかがわからないことからレポートに含めるかどうかを迷ったのですが、
このことを抜きにして自分の9ヶ月間は語れないと考えご報告させていただく
ことに決めました。もしも、JICのレポートとして不適切な部分がありました
らご指摘願えれば幸いです。
2004年5月2日、クリスチャンとして洗礼を受けて、新しい命をいただきました。
こちらに来て9ヶ月間、international studentsのために開かれたBible Study
に参加させていただいてきたのですが、最初のうちは少しでもよくキリスト教
を理解できれば、というくらいの気持ちでおり、「人間の力を超える何か大き
な存在に対する畏敬の念は抱くけれど、それは何か特定の宗教が説く神様でな
くてもいい。むしろ、特定の宗教に属することは避けたい。」という自分の根
本的な姿勢自体を変えるつもりなどほとんどありませんでした。
しかし、教会の友人たちの、決して言葉でキリスト教の正しさを説き伏せよう
などとせず、ひたすら行いと、長い間Visitorだった私に対する深い愛だけに
よって、イエスに従うということはどういうことなのかを教えてくれた姿が私
の心に神様を真剣に求める情熱を注いでくれました。そして、自分なりに行う
ことができたリサーチなどに基づいてイエスを真実の私の救い主として受け入
れ、恐らく私の人生にとって最も重要な決断、イエスに一生従うということを
決めるにいたりました。
神様が、今の教会に私を導いてくださったことに深く感謝します。それは、今
までの日本での経験などから考えて、別の教会に出会っていてもこの決断にい
たったかと聞かれればそれは何とも答えがたいからです。先週の日曜日は学生
が夏休み前に全員集まる最後の礼拝で、卒業する学生に記念品を贈って送り出
してくださったのですが、たった9ヶ月しかシャンペーンにおらず、最初のう
ちはむしろ反発するような発言や行動ばかりしていた私のことも同じようにし
て送り出してくださったことに涙が出そうになりました。この友人たちと一緒
にお祈りした時間を、一生忘れることはないと思います。
そして、1年半前の面接のとき、私をここに送ることを決めてくださったJICの
みなさまに心から感謝いたします。
<この留学に点数をつけるなら>
たった9ヶ月しかいなかったシャンペーンなのに、ここ数日はどこに行っても
「もうここに来るのは最後かもしれない」と思って胸がいっぱいになったりし
ます。あらゆるところに、友達と一緒に過ごした忘れがたい思い出が詰まって
います。マーケットプレイスに向かうバスの中から眺める景色にも、Downtown
まで歩いた道の中にも、友達と一緒に走ったArmoryのTrackの中にも、中村さ
ん(寿美子ちゃん)が住んでいるコスモポリタンクラブハウスのキッチンにも、
Green Streetのひとつひとつのレストランの中にも、たくさんたくさんつまっ
ています。
この9ヶ月を採点するなら、ということを考えていました。自分の授業などに
対する態度を評価するなら、もっともっと積極になれたかもしれないところで
声をあげるのをためらってしまったりということが何度もあり、もう少しここ
に滞在できたら今度こそ頑張ろうと言ってみたところでもう授業はすべて終わっ
てしまったので、85点くらいしかあげられないなあと思います。一方で、9ヶ
月の私の人生における意義は、ということを考えると、それは今後私がどんな
風に生きていくか、ここで出会った友人たちと、離れ離れになってしまった後
でどんな関係を築いていけるかということに多くを左右されると思いますが、
今の気持ちとしては、100点満点をあげたいです。これだけのすばらしい友人、
出来事、チャンスをいただいたことに対して、自分がこれからの人生を持って
答えていく順番だと思っています。
JICのみなさま、本当にありがとうございました。これから、今後JICから派遣
される留学生の方たちのお手伝いが少しでも出来ればと思っています。今後と
もどうぞ宜しくお願い申し上げます。