佐藤香織さんの最終レポート

皆さま、ご無沙汰しております。2012年度奨学生の佐藤香織です。留学を終えて日本に帰国してから早1カ月が経ち、帰国当初は久しぶりの日本での生活に違和感を感じていましたが、今ではまた、もとの日本での生活に落ち着いています。
今回のレポートでは、前回のレポートに引き続き、①春学期の期末試験、②ボランティア旅行・シカゴ観光について最初に触れてから、最後にこの1年の留学を振り返りたいと思います。

(1)期末期間
前回のレポートを書いてからおよそ1週間後の5月1日に、春学期最後の授業がありました。周りの正規の学生たちは、期末テストが近づいていることを嘆いたり、また、その後に待っている夏休みを楽しみにしていました。しかし、私にとってはイリノイ生活最後の授業であり、終わった後は、「ここでもう授業を受けることはないのか」、と思って無性に寂しさがこみ上げてきたほどでした。夏が近づくのを感じさせる、からっと晴れた日だったので、賑やかなQuadの周りを歩きながら、渡米当初にSpeechの授業や小テスト等に悪戦苦闘していたときの出来事を思い出して懐かしくなりました。また、今ではこうしてイリノイの学生として学業や課外活動等に自然に溶け込めている自分を見て、この一年で少しは成長できたのかな、と感じたりもしました。

友人の卒業式に出席

期末期間の課題・試験としては、期末試験が3つ、期末レポートが3つありました。期末試験は、定期的な中間試験と同じような内容であったため、文献を読み、Review sessionに参加することで対応しました。一方で苦戦したのが期末レポートでした。ひとつあたり10ページ程度のレポートが課され、ライティングの授業で教わった論文テーマのリサーチをしたり、決まった書き方を細かく実践するのにとても時間・労力がかかり、どれも締め切り間際の提出となってしまいました。しかし、どれも様々な文献を参照できたこと、構成の整った、首尾一貫した論理展開ができたことなど、様々な点でライティング能力の向上がみられ、満足しています。特に、ライティングのクラスで書いた「学生の妊娠問題」について扱ったエッセイは、クラスの優秀作品として、来期以降の授業で模範エッセイとして参照されることになり、嬉しく感じています。

授業最終日のQuadの様子

(2)ボランティア旅行
5月10日にすべての試験を終えた後は、急いでパッキングを済ませ、12日から1週間、Alternative Spring Breakと呼ばれる学生ボランティア団体の主催するボランティア旅行に参加しました。旅行先がいくつかあった中で、私はワシントン州オリンピアに行き、“GRuB”という現地のボランティア団体の活動(農業を通じたコミュニティ支援、貧しい学生の支援)に加わる旅行に参加することにしました。

Alternative Spring Breakのボランティア旅行

Alternative Spring Breakのボランティア旅行のユニークな点は、旅行先まで車でドライブして行き、現地では、シェアハウスや借り家で生活し、グループメンバーで分担して自炊をすることです。私の行ったワシントン州は数あるAlternative Spring Breakの旅行先の中でも最も遠い場所のひとつで、片道2199マイル(3500km以上)の道のりを車で約40時間かけて向かいました。正直、現地でのボランティア作業よりも、行き帰りのドライブの方が体力的に辛かったです。(笑)
現地では、先ほど説明したGRuBという団体のもとで、花壇の種まきや簡単な花壇づくり、畑のメンテナンス等を、現地の低所得の家庭の学生たちと一緒に行いました。彼らは夏休みを利用して、このようなGRuBの主催する農業プログラムに参加し、学校で取得できなかった代わりの単位取得を目指しています。どの学生もとても意欲的で、花壇づくりなどについて何も分からない私たちに親切にやり方を教えてくれたり、一緒にゲームをしながら作業をするなかで、様々な交流ができました。
また、Kitchen Garden Projectと呼ばれるGRuBが主催する、地元の家庭を訪れて、庭に花壇をつくる手伝いをする作業があり、私は2日間、別々の家庭を訪問し、そこでの花壇づくりに参加しました。その中でとても印象的だったのは、「周りの貧しい家庭に自宅の花壇で栽培した野菜やフルーツを無料で配るために、今回花壇を作ることを決心した」、というご主人のお話です。オリンピアは、イリノイに比べて人口も少ない小さなコミュニティの分、コミュニティ内の交流や助け合いが盛んで、このようなお話をはじめ、ボランティア活動やシェアハウスで知り合った様々な人から心温まるお話をたくさん聞くことができました。
この1週間のボランティア旅行はあっという間でしたが、ボランティアの経験だけでなく、40時間のドライブ、メンバーとの自炊生活、オリンピア観光やハイキング等、本当にたくさんの貴重な経験を帰国前に体験することができて、とても有意義な時間が送ることができたと感じています。

(3)シカゴ観光

シカゴ名物のジャズバー

ボランティアからシャンペーンに戻った後は、数日シャンペーンでのんびりした後、すぐにシカゴに移り4日間観光しました。実はこれまで、サンクスギビング休暇時にシカゴでショッピングした以外に、あまりシカゴをじっくり観光する機会がありませんでした。今回は、じっくりシカゴを満喫したいと思い、まるまる4日間を観光に費やしました。シカゴ美術館、近代美術館をはじめとした有名な美術館で芸術を鑑賞したり、ミシガン湖のビーチを訪れたり、ルームメートやイリノイ大学の友人と会って最後に一緒に遊んだりすることができ、とても良い思い出になりました。また、日本の友人向けに大量にお土産を買うため、アメリカらしいお菓子や、ギャレットポップコーンと呼ばれる、日本にも昨年原宿に1号店がオープンし、反響を呼んでいるシカゴ名物のポップコーンを買いました。ギャレットポップコーンはChicago Mixと呼ばれるキャラメル味とチーズ味のポップコーンがミックスされたメニューが一番人気らしく、私もお土産に1ガロンも購入したのですが、キャラメルもチーズもとても濃厚な味がしておいしかったです。
シカゴでの4日間もあっという間でしたが、帰国前最後にこうしてゆっくり観光することができて良かったと思っていますし、また、機会があれば是非戻ってきたいと思っています。

ルームメートと最後にシカゴ観光したときです!

(4)最後に…振り返り
現在、帰国して1カ月が経ち、これまでのイリノイ大学の留学生活を振り返ってみると、本当に色々な面で成長できたと感じますし、また、今後どのようなことに取り組んでゆけばいいのか、という指針を知る大きなきっかけになったと感じています。
もともと留学といった、海外に出ることに対する憧れ、興味はあったものの、ろくに外人と話したこともない私にとってアメリカでの生活は未知でした。そのため、留学前も明確な目標や理想像を思い描けず、とりあえず外国での生活に慣れて、大学の授業についてゆく、ということしか正直最初は頭にありませんでした。それでも、今振り返ると、日本では想像もできなかったような体験をたくさん得ることができたと思っています。実際のアメリカの学生たちが会話をするスピードに驚き焦る一方で、日本で学んできた英語がちゃんと通じるんだなぁ、としみじみ嬉しく思ったり、また、授業でアメリカ人がジョークを交えたスピーチを言っても自分にはよく分からずショックを受ける一方で、それでもしっかり宿題をこなすことで満足のゆく成績を取れて達成感を味わう、というような何とも言えない相反する感情が共存する感覚はとても新鮮でした。きっと、日本にいたままでは、英語がネイティブのように話せない悔しさや屈辱感も、また反対にそんな環境でもしっかり成果を出せたことへの達成感や充実感もこれほど大きく味わうことは出来なかったと思います。そのような点で、本当にこの留学は私にとってかけがえのない貴重な経験でしたし、上で述べた、留学中に感じた悔しさは今後のモチベーションに、そして達成感は今後の自信に繋がってゆく、自分を大きく変えてゆくものとなりました。

最後になってしまいましたが、このような満足のゆく留学は、本当にたくさんの方々の応援、支えがあったからこそのものだと強く思っています。留学前から帰国まで様々な面で支えていただいたJICの方々、日本から連絡をくれたり、休暇中に遊びに来てくれた友人、そして留学中にお互い支えあい、刺激し合えたJICの同期メンバーには本当に感謝でいっぱいです。ありがとうございました。

第37期奨学生
佐藤 香織

佐藤香織さんの2013年4月分奨学生レポート

JICの皆さま、いかがお過ごしでしょうか。第37期奨学生の佐藤香織です。先月の春休みまで、大雪等とても寒い天候が続いていたシャンペーンにもようやく春が訪れ、街が賑やかになってきているのを感じる毎日です。イリノイでの生活も残すところ、あと1カ月を切り、今までのこちらでの生活を振り返る機会が増え、もうすぐここを発つことを考えると、寂しさや焦りといった複雑な感情がこみあげてきます。
今回のレポートでは、①春学期の授業紹介、②春休みでのボランティア活動、③その他の活動、の3点について詳しく触れていきたいと思います。

(1)    Spring Semester
今学期履修している科目は以下の7つです。
SOCW410 Social Welfare Policies and Services
SOC364 Impacts of Globalization
MACS351 Social Aspects of Media
RST330 Leisure and Consumerism
KIN101 Dance Activities
ESL110 English Pronunciation for Academic Purposes
ESL115 Academic Writing
このうち、最後のpronunciationのクラスは、授業時間は他と変わりませんが、単位には含まれないため、今学期は計16単位を履修しています。また、前回のレポートではACES270 Consumer Economicsを履修予定と記載しましたが、似たような授業で、Group projectやReaction paper等の課題があり、シラバスもよく組んである、RST330により関心を持ち、履修科目を変更しました。

①    SOCW410: Social Welfare Policies and Services
アメリカでの様々な社会問題について、ドキュメンタリーやケーススタディを扱いながら学習しています。クラスはわずか10人程度のため、ディスカッションをする機会も多く、また、専攻である社会学と関連した分野(格差問題や医療制度等)が中心であり、とても興味深い授業です。先月には、各々Social Workに関わる団体をひとつ選び、活動内容を吟味(Strength, weakness, opportunity, threat)し、どのように改善し、どれほどの資金が必要かについてリサーチする課題がありました。また、来週にはふたりひと組で25分のプレゼンテーションがあり、その準備で忙しくしています。

 
②    RST330: Leisure and Consumerism
Recreation, sports and tourismと呼ばれる、日本ではなかなか受けられない学科の授業です。授業では、レジャーやスポーツがどのように現代の我々の生活に浸透してきたか、また、現代の消費社会は我々にどのような影響を与えているのかについて学習しています。シラバスが良く練られていて、授業以外に、リアクションペーパーやリーディングサマリーなど小さな課題が多く出されています。グループプロジェクトでは、Hines Wardという韓国系アメリカ人のフットボール選手が、数年前のスーパーボールでMVPに選ばれたことを通じて、韓国におけるアイデンティティの概念がどのように変化したかについて話し合い、発表しました。

発音の授業でもらった個別のフィードバック

③    ESL110: English Pronunciation for Academic Purposes
本来なら秋学期に履修しておくべきだったのかもしれませんが、1学期間アメリカで学習し、発音をもう少し基礎から学んでおいた方がよいと感じ、またこの機会を逃したらなかなか発音から見直す機会がないのではないか、と考えたことから、履修することにしました。当初は、単位認定もされず、本当に履修しようか迷いましたが、実際授業を受けてみると、とてもしっかりしたカリキュラムで満足しています。毎回の授業では、ひとつひとつの発音を学ぶだけでなく、フレーズの中でどこにアクセントをつけて話すか、また単語のどの母音にアクセントがつくかを予測する訓練など、なかなか学ぶことのできない内容が盛り込まれています。毎回必ず宿題があり、1学期間にわたって行われる12回のレコーディング課題や、月1回ある講師との面談、チューター制度等、とても充実しています。

④    ESL115: Academic Writing
この授業も、発音とともに、ライティングの基礎を学ぶコースになっています。アメリカではAPAスタイルと呼ばれる論文の書き方が一般的で、日本の論文に比べて、引用や参考文献等の決まりが厳しく決まっていて、成績にも関係します。アメリカ人の学生も高校から習い始め、大学でもライティングのクラスが必修であるほどライティング能力を重要視しているので、私も基礎の授業を受講しようと思いました。授業ではAPAスタイルの方法や、どのようにふさわしい参考文献を見つけ、使用するか等ひとつずつ細かく説明され、他の授業でのライティング課題の参考にもなり、とても役立っています。また、学期末には、集大成として8ページのリサーチペーパーを提出することになっています。

(2)    春休み
3月の中旬にある1週間の春休みの間は、シャンペーンにとどまり、ボランティア活動に参加しました。Allerton Parkと呼ばれる、キャンパスから車で30~40分のところにある、私立庭園にて、春に向けての木植えや、花壇の土換え、古くなった物置き小屋の解体、ビニールハウスの植物の水やり等、様々な仕事を行いました。このボランティアに参加しようと思ったのは、たまたま寮の掲示板に貼ってある募集ポスターを見て、特に予定が決まってなかった私は、ちょうど良いチャンスだと思い、応募したことがきっかけでした。正直、この庭園がどのようなものか知らずにボランティアに行った訳ですが、初日のオリエンテーションでは、1500エイカー以上もの敷地内にある、古い建物や庭園、世界各国から集められた銅像、ハイキングコースを案内してもらい、Allerton Parkの広大さを実感しました。スタッフのみなさんも、とても親切に仕事を教えてくださり、他の5人のボランティアメンバーとも毎日一緒に仕事をするにつれ、結束が生まれていったように感じます。気候は氷点下前後と、とても寒かったですが、とても充実した春休みを過ごせました。

Allerton Parkでのボランティア

(3)    その他
①    ズンバダンス・ヨガ
今学期が始まってから、ARCと呼ばれるジムで行われているズンバダンスとヨガのクラスにほぼ毎日通っています。ダンスの授業で知り合った友人に進められたのがきっかけで、通いはじめました。もとはブラジルで始まったズンバダンスをアメリカ人好みにエアロビクス風にアレンジされたダンスは、運動不足の私には良い運動です。同じくダンスの授業でヨガを習って以降、関心を持ち、早速ヨガマットを購入し、ヨガやピラティスのクラスにも通っています。その他にも、ARCには屋内プールがあり、夕方から夜10時まで利用でき、脇にはサウナが設置されており、とても施設が充実しています。4月末には、屋外プールも開園するため、帰国前に一度訪れたいと思っています。

ARCで行われているZumbaダンス教室

②    5月のボランティアトリップ
学期末後、5月の中旬から2週間弱、ワシントン州オリンピアへボランティア旅行に参加しようと考えています。Alternative Spring Breakと呼ばれるボランティア団体が企画した活動で、現地では貧しい子どもたちとともにLocal Food Systemについて学び、Garden Kitchenを建てる等の活動をする予定です。旅行前の活動として、現在毎週のグループミーティングやキャンパス内でFund Raising活動に取り組んでいます。

③    日本館
ひなまつりの日に日本館で行われたイベントの見学に行ってきました。イベントでは、郡司先生ほかインターンシップをしている学生も皆きれいな着物をきて、お茶の披露をし、手づくりの和菓子をごちそうしてもらいました。

日本館でのひなまつりイベント

イリノイでの生活も残りほんのわずかとなりましたが、最後まで色々なことにチャレンジし続けていきたいと思っています。また、今回の留学を支えてくださっている皆さまに感謝し、7月のリユニオンパーティで良い報告ができるよう、最後の期末期間やその後の課外活動にも積極的に取り組んでいきたいと思います。

バスケットボールの試合 vs Indiana State University

 

 

 

 

 

第37期JIC奨学生
佐藤 香織

佐藤香織さんの2013年2月分奨学生レポート

いつもお世話になっております。第37期奨学生の佐藤香織です。2月に入り、日本でも寒い日が続いているかと思いますが、みなさまお元気にお過ごしでしょうか。こちらシャンペーンでは、12月まではそれほど感じなかった冬の寒さも、年明け以降、最高気温が氷点下ほどの日が多く、毎日イリノイの冬の寒さを感じながら過ごしています。
今回は、第1回のレポートに引き続き、①先学期の授業の総括、②サンクスギビングウィーク・冬休み、③春学期の履修計画、④その他の活動 について報告させていただきたいと思います。

(1)    先学期の授業の総括
秋学期では、専攻の社会学に関係した授業に限らず、色々な分野に渡って興味の持ったクラスを受講しました。前回のレポートでも少し触れましたが、今回は期末試験や授業が終わったあとの全体の印象を述べたいと思います。

・SOC160 Global Inequality and Social Change
コース名の通り、世界的な格差問題について様々な文献やビデオを通して学習しました。前半期は、格差問題がどのように形成されてきたか、という過程について、植民地時代から1980年代にかけてのレクチャーが中心でしたが、後半期には現代の格差問題やそれに抵抗する様々な動きについて中心に学び、より現代社会の問題と関係するテーマが多く議論に出てきていて、興味深かったです。特に、世界全体の格差問題だけでなく、リーマンショック以降のアメリカ内における格差問題や、消費大国アメリカの消費社会への言及についてなど、アメリカの社会問題についても取り上げられていて、日本ではなかなか聞けない講義であったと思われます。
また、成績は3回の試験、グループワーク、オンラインで毎週提出するディスカッション、及び期末レポートで評価され、毎回の授業を週ごと、試験ごとにフィードバックできるような形になっていました。

・EPSY203 Social Issues Group Dialogue
週に1回、2時間、少人数でのディスカッションが中心の授業です。毎回のトピックは前もって決められていて、そのトピックに関する文献や動画を見て、ディスカッションします。トピックは慈善支援の是非や、移民問題、グローバル化によるアイデンティティ形成の困難化について等多種多様です。また、前回のレポートにも書きましたが、違ったバックグラウンドを持つ生徒たちによってアットホームな雰囲気の中で行われるディスカッションでは、それぞれの経験談を聞くことができる貴重な機会でした。特に私が関心を持ったのは、KONY2012と呼ばれるNPO団体によって、現在行われている運動についてです。KONY2012とは、ウガンダを中心に貧しい子供たちを少年兵として誘拐し、ゲリラ活動にさせる反政府勢力の指導者、ジョセフ・コーニーを逮捕することを目的とした世界規模の運動です。KONY2012の活動を学ぶだけでなく、一体それは実現可能であるのか、どのような点が障壁や欠点であり、今後どのように変えてゆく必要があるか、などについて意見を交換することができました。
成績は、毎回の授業参加、事前の小レポート(2~3枚)、期末レポートによって評価されました。

・GLBL298 Global Studies Seminar Abroad
この授業は、以前紹介しましたが、秋学期後期8回2時間のレクチャーと冬休み中2週間にわたるペルーのstudy abroad tripで構成されたクラスです。授業内容は、観光都市として発展したペルーの現状と今後の展望・課題について学びます。授業では、ユネスコによる世界遺産の採択に関する文献や、観光都市としての繁栄における宣伝・広告等メディア活動の影響についての文献など、幅広く扱いました。また、出発前の個々のプレゼンテーションでは、各々実際にペルーの観光ツアーやガイドブックを用いて、実際の研修で訪れる地域や建造物がどのように観光者に向けてアピールされているか、また、観光都市クスコやマチュピチュにおいて現地の人々はどのような役割を果たしているのか、について発表し、実際の研修に備えました。
成績評価は、出席、現地でのフィールドワーク、出発前・後のレポート、プレゼンによって評価されます。実際のペルーでの体験については、このあとの休暇での体験の欄で触れます。

上に書いた授業のほか、Public SpeakingやSocial Psychologyの授業も受講し、各々のク
ラスで小テスト、試験、ディスカッションを通して、アメリカらしい授業スタイルを体験
できたことを満足しています。

(2)サンクスギビング・冬休み
①サンクスギビングウィーク
11月下旬にある1週間のサンクスギビング休暇では、寮の友人等とシカゴを観光しました。最初の数日間は、シカゴからは少し離れた町に住む寮の友人のお宅にお邪魔し、その後はシカゴ市内にあるルームメイト宅にお邪魔しました。実は、それまで一度もシカゴに行ったことがなかったため、大学町シャンペーンとは違う大都市シカゴに行って、友人と観光するのをとても楽しみにしていました。この一週間は、私が想像していたよりも遥かに充実したものでした。一緒に旅行した寮の友人たちとシカゴピザと呼ばれるシカゴならではの分厚いパン生地を用いたピザを食べ、また12月にGlobal Crossroadsのみんなで主催したprom partyのためのドレス等のショッピングに行き、その他美術館やミレニアムパークなどを観光したりと、毎日があっという間に過ぎていったように思います。また、サンクスギビングデーは、ルームメイトの親戚の集まりや、同じフロアの友人のおうち、また、ルームメイトのお母さんが務める消防署でのディナーにも連れて行ってもらい、ターキーをはじめおいしいご飯をいただき、とても素敵な時間を過ごさせてもらいました。サンクスギビング翌日はBlack Fridayと呼ばれる全国的特大セール日ということで、Woodfield Mallと呼ばれるシカゴ郊外にある巨大ショッピングモールに行ってきました。人の多さに圧倒され、結局大したものは買えませんでしたが(笑)、消費大国アメリカの雰囲気を味わえたのではないか、と思います。

フロアメートのおうちでのディナー

②冬休み
冬休みの前半、クリスマスシーズンにはロサンゼルスとニューヨークへ観光に行き、年末はシャンペーンで過ごし、元旦から12日間ペルーに海外研修に行ってきました。
この冬休みだけでなんと計10回も飛行機に乗り、あれほど日本出国時に恐れていた海
外のフライトにも慣れることができました。(笑)
☆ロサンゼルス・ニューヨーク
アメリカにいるうちに、アメリカ2大都市ニューヨークとロサンゼルスには足を運びたいと思    い、今回欲張ってどちらも旅行してきました。ちょうど12月24日の夜遅くにロスを発ち、25日早朝にニューヨークに到着するという、とても寂しいクリスマスを過ごすことになってしまいましたが(笑)、2つの大都市の全く異なる雰囲気を味わうことができました。

ロサンゼルス サンタモニカの様子

☆ペルー
まず、行きのフライトでは、当初予定していたシカゴからマイアミまでのフライトが急遽キャンセルされ、17人のメンバーは3つに分かれて別のフライトでマイアミに向かう、というハプニングが起こりました。私はひとり空港内のカフェでフライトを待っていたのですが、たまたまそこを通りがかったクラスメートが私を見つけてくれたおかげで、彼らと一緒に無事マイアミに着くことができ、助かりました。
ペルーでは、クスコ、リマ、マチュピチュ等に滞在し、歴史的建造物や遺産を周り、また、都市の様子や、旅行者と現地の人との関係についてフィールド調査し、ディスカッションに加わりました。
とりわけ観光都市として発展したクスコの中心広場には、マクドナルドやケンタッキーフライドチキン、スターバックス等、海外チェーン店や高級土産店が集まり、その周辺には高級ホテルが立地していて、観光者に焦点を当てた典型的な観光都市としての様相を呈していました。また、最後に滞在したペルーの首都リマは、観光都市のクスコやマチュピチュとは異なり、行政・産業の中心都市として人口や交通量も多く、少し東京に似ているように感じました。ペルーは観光都市と聞いて、アジア人では中国人が多いだろう、と勝手に予想していたのですが、実は日本からの観光客がとても多く、いたるところで、日本人の観光ツアーの集団を目にしました。そのほかには、アメリカやメキシコから来た旅行客が多かったように思います。
これまでの旅行とは違った南アメリカの都市の雰囲気やインカ帝国の遺産を観光できたこと、また17人のクラスメートと一緒に約2週間共にフィールドワークやディスカッションを通し絆を深めたこと等、とても貴重な経験をすることができました。

マチュピチュでのジャンピング写真

(3)春学期の履修
今学期は以下の授業を履修しようと考えています。
・SOCW410 Social Welfare Policy and Services
・SOC 364 Impacts of Globalization
・SOC351 Social Aspects of Media
・ACE270 Consumer Economics
・KIN101 Dance Activities
前回とは違い、専攻の社会学に関係した授業を多めに受講してみようと考えています。Impacts of Globalizationは一昨年の奨学生の後藤さんにも勧めていただいたクラスです。また、Consumer Economicsは先学期の様々な授業で消費社会という点に関心を持ち、受講しました。また、ダンスのクラスでは日々の運動不足解消を目的に受講しました。
次回のレポートで詳しく紹介したいと思います。

(4)その他の活動
先ほども少し触れましたが、12月はじめにGlobal Crossroadsという私の住む寮のコミュニティのみんなでprom partyと呼ばれるアメリカならではのパーティを開きました。Prom partyは通常アメリカの高校の卒業学年が男女ペアでダンスするという伝統行事なのですが、とりあえずこれといって誘い合う相手もいなかったので、衣装は前日にForever21で調達したドレスというなんとも安上がりな格好でしたが、女の子はみんな素敵なドレスを着て、みんなでダンスをして楽しむことができました。
また、以前参加していたテニスサークルは冬季期間活動がないため、今期から代わりにラケットボールのクラブに参加しようと考えています。週2回ARCと呼ばれる大学の屋内運動施設で練習が行われ、そこでの友人との交流や運動に努めたいと思います。

以上で第2回目のレポートを終わりとしたいと思います。
留学生活も残すところあと3ヶ月となりました。最後までいろいろなことに挑戦し、充実
した毎日を送りたいと思います。今後とも、よろしくお願いいたします。

Global Crossroadsのprom party

 

第37期 JIC奨学生
佐藤 香織

 

佐藤香織さんの2012年11月分奨学生レポート

JICの皆様、ご無沙汰しております。また、このレポートを読んでくださっている方々、はじめまして。第37期小山八郎記念奨学生として現在イリノイ大学に留学しています、佐藤香織です。11月に入り、いよいよ日本でも冬が近づき、肌寒くなってきていることかと思いますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
私が日本を発ってから早2ヶ月半が経ち、最初のうちは右も左も分からなかったアメリカでの生活にも少しずつ慣れ始め、こちらの授業や様々なイベントを通じて、毎日充実した日々を送っています。今回は第1回目のレポートということで、まずイリノイに到着したばかりの様子、授業の様子、寮や課外活動、イベントの様子の順にこちらでの生活をレポートしたいと思います。

1.到着時の様子
今年度は、8月27日(月)という遅めの新学期のスタートであり、私はその約一週間前の8月21日(火)にこちらに到着しました。ひとりで海外に行くこと自体初めてである上、そのフライトが今まで経験のない約1年間の留学であったこと、また出発の1ヶ月前に軽い病気にかかってしまい、自宅で休養する生活が続いていたこともあり、成田空港を出発するときは留学への期待以上に不安がつのり、とても緊張していたのを覚えています。成田空港から約12時間のフライトの後、イリノイ大学の持つシャンペーンの空港まで乗り継ぎ、その後バスを経由して私の住むPARという寮についたのは21日の夕方ころでした。とりわけ大きなアクシデントに遭遇することはありませんでしたが、飛行機内でもらうはずの税関申告書やI-94をもらいそびれ、入国審査の際に近くにいた他のアメリカの大学へ留学する人々に助けられたり、オヘア空港の乗り継ぎの際のセキュリティチェックで取り出したパソコンを置き忘れてしまったりと、うっかりが多かったのですが、シャンペーンの天候も穏やかでルームメイトや親戚の人たちもとても暖かく迎い入れてくれて、そんなトラブルも吹き飛ぶくらいアメリカ生活初日を楽しむことができたと感じています。
寮に着いてからは、毎日寮で新入生歓迎のイベントが催され、また仲良くなった韓国人の友人等と一緒に生活必需品を買い足しにWalmartやMarketPlazaに出かけたりと、慌しく1週間が過ぎました。とりわけ、26日にQuadDayと呼ばれるキャンパス中央の広場で行われたさまざまなクラブ活動の勧誘イベントはとても活気があり、そこでSignUpしたいくつかの団体に今もちょくちょく顔を出しています。
そしてあれやこれやするうちに授業が遂に始まりました。

 

 

 

            シャンぺーン空港に到着した際の景色         Quad Dayの様子

2.授業の様子
日本では社会学を専攻し、格差やジェンダーといった分野に関心があったこと、またアメリカでは、日本ではなかなか味わうことのできない人種や宗教、文化の多様性を学びたいと思ったことから、今学期は社会学や心理学の授業を中心に受講しています。そのなかでも興味深いと思った授業をいくつか紹介したいと思います。

・SOC160 Global Inequality and Social Change
この授業は社会学のなかでも主に世界における格差について扱った授業です。毎回出されるReadingは量が多く、内容も難しいため、毎週授業前に読み切るのに一苦労なのですが、その分内容も濃く、今まで漠然としていた格差という問題がどのようにして生じ、拡大してきているのか、という点を政治や経済、環境といった様々な側面からアプローチしていてとても格差問題について考える上で為になる授業だと感じています。また、課題文献では、体系だった形で格差について理解を深めるのに対し、授業ではしばしばReadingに関係したドキュメンタリーや映画を鑑賞することがあり、視覚的に格差についての問題を理解するという点でとても興味深く感じています。
授業の大枠とは別に、この授業では、Online Discussionと呼ばれる、各4~5人のグループ内で、毎週授業に沿ったトピックについてOnline上で意見をし合ったり、また、そのメンバーで実際に決められた地域の「水」を取り巻く問題についてグループ調査をしたりと、単なる講義だけでなく、様々な形での授業参加が求められている点が日本での授業とはまた違い、新鮮に感じました。

・EPSY203 Social Issues Group Dialogues
この授業は、寮のラウンジに張り出されていた授業紹介をたまたま見つけて、面白そうだなぁ、と思ったのがきっかけで受講しました。授業名からもわかるように、授業は少人数の対話形式で、各回指定されたReadingを読んで、それについて2~3枚のレポートを提出し、授業ではそのトピックについてみんなで自由に議論するという内容のものです。各セクションによってRace/EthnicityやGender Inequality、Social classなどトピックが異なり、私が選んだのはU.S./International Relationsというセクションで、およそ15人の生徒が集まって、権力関係や国際政治といった内容に関して議論しています。少人数のクラスでも韓国やメキシコ、インドなど様々な国から異なるbackgroundを持った学生が集まっていて、議論はいつも様々な意見が出て新鮮です。また、大人数の授業では、なかなか発言する機会がないのですが、この授業では、自分の意見を言う機会が多く、とても有意義な授業となっています。

・GLBL298 Global Studies Seminar Abroad
この授業は今期後半8回の授業と冬休みの間にある2週間のペルーへの海外研修がセットとなった授業で、内容はペルーのtourismについてReadingや旅行会社のホームページから学習し、実際ペルーでは、2人組に分かれて、researchを行うことになっています。私が指定されたresearchは、ペルーにあるレストランを散策して、tourismがレストランや食品業という側面においてどのような影響を与えているのか調査することになっています。この授業も生徒18人に教授1人という少人数の授業となっており、とてもアットホームな雰囲気で気にいっています。また、次回のレポートで、冬休みのペルーのプログラムのお話をお伝えしたいと思っています。

3.寮での生活
先ほども少し触れましたが、私は現在PARという寮のなかでもInternationalに関心を持った人たちが集まるGlobal Crossroads というコミュニティに所属しています。過去のJICの先輩方でもこのGlobal Crossroadsに住まれていた方が多く、友人を作りやすく、とても親しみやすいと聞いたため、ここに申請しました。先輩方からのお話からも聞いていたように、International Studentsの割合が多く、アメリカ人だけでなく、中国人、韓国人、インド人、ヨーロッパの国からの留学生など様々な国からの学生が集まって、毎日ラウンジで一緒に勉強したり、週末に映画を見たり、12月にはGlobal Crossroads のみんなでprom partyを主催する予定など、イベント盛りだくさんでとても仲良しです。初めて日本を離れて寮生活をする私にとって、このような暖かいコミュニティでたくさんの友だちを作ることができて、ほんとうにこの寮に住むことができてよかった、と実感しています。

              寮の友人と一緒にパーティに出かけた際の写真

4.課外活動・イベント
(1)課外活動
①テニス
到着時の様子の説明の際に書いた、Quad Dayでテニスクラブに登録し、近くのコートで週2回テニスの練習に参加しています。今期は冬になってしまい、もう練習は終わってしまいましたが、多くの学生と一緒にテニスでき、また気分転換にもなるため、来期もまた続けたいと考えています。

②ピアノ
私の住むPARという寮限定で、毎週30分、音楽専攻の院生からピアノのレッスンを受けることができるという耳寄りな情報を聞きつけ、現在ジャズピアノのレッスンを受けています。来月には同じレッスンを受けている人たちの間で小さなリサイタルがあるため、それに向けて発表曲の練習に励んでいます。

③Internationalの団体
Quad Dayで見つけたインターナショナルの学生との交流団体に登録し、Halloween等のイベントに参加しています。また、conversation partnerを紹介してもらい、週1回一緒にランチしながら英語で様々な会話をしてもらっています。

          ハロウィーンパーティにてルームメイトにダンスを教わっている写真

最後に、今回留学という素晴らしい機会を与えていただき、また支えてくださった同窓会のみなさまに改めて感謝したいと思っています。次回も多くの良いご報告ができるよう、今後も毎日様々なことに取り組んでいきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

第37期JIC奨学生
佐藤 香織