永見陽子さんの2002年7月分レポート

icmlメンバ各位,

古市 (’92-94 MS in Computer Science)です.

2001年秋学期からJIC奨学生としてUIUCへ留学し,この度帰国した永見陽
子さんからの最終レポートが届きましたので,皆さんにフォワードしま
す.

今月末からは,2002年度奨学生の皆さんの留学生活が始まります.第1回
目のレポートは10月を予定しています.お楽しみに.

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
2001年度 最終レポート
永見 陽子
北海道大学農学部3年
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

春学期が終わってからはや3ヶ月近くになります。今振り返ってみるとよ
くもったな、と自分でも思うくらい忙しい学期でした。専攻科目を4つ
(生化学実験、分子生物学におけるComputing、微生物遺伝学、セミナー)
を取ったうえに生化学実験は週12時間というボリュームのある授業、そ
してバイトで研究の手伝いをしていた院生が今学期でとうとう卒業する
ので追い込みをかけていたために毎日かけまわっていた記憶があります。
そのときは昼寝ばかりしているルームメイトを恨めしく思ったりもした
のですが、今になれば短い留学生活を有意義に送れたことに感謝してい
ます。特に生化学実験の授業は基礎的な実験から始まって、最終的には
学生たちだけで実験を計画し、標的になる遺伝子のコピーを作り他の微
生物に組み込むところまでできるようになりました。また、日本の大学
とは異なり、この授業には生化学専攻の学生ばかりでなく、栄養学の院
生や医学部学生など色々な学部の人と交流できたのも収穫だと思います。

さて、このレポートがなぜ3ヶ月も遅れてしまった理由はというと、また
旅行です。今回は時間がたくさんあったのでメキシコ、そして中米のグ
アテマラとニカラグアまで足を伸ばしてきました。メンバーは寮で知り
合ったアメリカ合衆国(余談ですが中南米で単に「アメリカ」というと
合衆国ではなく南米大陸のことを指すのです)、南アフリカ、アイルラ
ンド、オーストラリアからの友達プラス日本人の私の5人です。世界の異
なる地域からそれぞれ来ているのでみんなからは”UN Commissioners”
と名付けられ、2ヶ月近く旅行してきました。マヤ文明の遺跡を訪ねたり、
ニカラグアの海で泳いだり、グアテマラでHabitat For Humanityとい
うボランティアに参加して現地の人と一緒に家を建てる手伝いをしたり、
オーストラリア人と南アフリカ人はビザがいることを知らなくてエルサ
ルバドルの国境を通過できなかったりと、良いことも悪いことも一緒に
経験したことで育った環境が違ってもわかりあえる仲になれたと思いま
す。今回は皆貧乏で一泊1,2ドルの安宿に毎日屋台の食事という赤貧旅
行でしたが、仕事に就いてお金に余裕ができるようになったら今回より
豪華な旅をまたみんなでしようねと話しているところです。

メキシコ中米旅行のあと、日本に帰国する前にロサンジェルスに住む台
湾人の友達に高校卒業以来始めて会ったり、日本に帰ったら帰ったで夏
の間金沢に短期留学していたイリノイからの友人を東京案内したりと大
忙しでした。イリノイ大学に1年間留学してアメリカの学生と肩を並べて
大好きな生化学や遺伝子関係の勉強(特に実験)をできたことはこの留
学の自分なりの目標でしたし、その目標を達成できたことは自分にとっ
てとても意味のあることです。しかし、このようにアメリカ各地(メキ
シコ、中米も含めて)を存分に旅行したり、その貴重な経験を共有した
多くの友人にめぐり合えたこともこの留学の大きな収穫です。このよう
な素晴らしい経験をする機会を与えてくださったJICのみなさんに改めて
感謝いたします。

永見陽子さんの2002年1月分レポート

jicmlメンバ各位,

古市 (’92-94 MS in Computer Science)です.

秋学期からJIC奨学生としてUIUCへ留学中の永見陽子さんからのレポートが
届きましたので,皆さんにフォワードします. レポート中に紹介されてい
るGCは,世界各地の友人ができてとても楽しそうです.帰国後は,永見さ
ん宅へ世界中から友人が訪ねて来ることになりそうですね.

春学期の授業はこれから本格化すると思いますが,頑張って下さい.

以上

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
2002年 1月分レポート
永見 陽子
北海道大学農学部3年
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

前回のレポートのあと、感謝祭、クリスマス休みがあったのでアメリカ国内
をあちこち旅行してきました。感謝祭には東海岸のボストン、クリスマスは
西海岸のカリフォルニアに行って、アメリカの広大さを改めて実感しました。
ほぼ1ヶ月かけてサンフランシスコ、ロサンジェルス、サンディエゴ、モン
トレー、サンタバーバラと西海岸沿いの主要都市を観光できた上に、クリス
マスはアリゾナの友人の家に泊めてもらってアメリカらしいクリスマスを過
ごすこともできました。そして大晦日はサンディエゴの隣町、メキシコのティ
ファナで新年のカウントダウンをしました。

楽しかった冬休みも終わり、先週から春学期が始まって慌しい毎日を過ごし
ています。と言いたいところですが、先週はMartin Luther King Jr’s
Dayで3連休なのを利用してまた旅行してきました。今回は比較的近いセン
トルイスです。ところがRAMS対Packersのフットボール試合(Playoff)が重
なったため泊まる所を探すのにたいへん苦労しました。インド系の友人が巧
みに交渉したのが功を奏して、(なぜかこちらの安宿のオーナーはインド系
が圧倒的に多いのです)なんとか予算内で泊まることができました。しかし、
試合には行けなかったもののセントルイスのRAMSが勝ったため街全体がお祭
り騒ぎでそれに便乗したのでとても楽しい旅になりました。

旅行の話はさておき、今学期は先学期よりも多くの授業を取っています。専
攻の授業は生化学の実験の授業と、微生物分子生物学とComputing in
Molecular Biology という講義、そして先学期授業を担当していた教授に
お願いしてPlant Biologyのセミナーに参加させてもらうことになりました。
あとは専攻とは全く関係ないのですが、Asian American Cultureという教
養科目の授業も取っています。どの授業も私にとってとても興味深いもので
たいへん満足しています。ただ最初の授業が朝8:30から始まるのが夜型
人間の私にはつらいですが。

前回のレポートでも触れましたが、私の住んでいるGlobal Crossroads(GC)
はうたい文句通りLiving Communityです。PAR (Pennsylvania Avenue
Residence Halls)のSaunders 2,3階の住人(留学生とアメリカ人が半々
ずつ)はみんな仲が良く、先学期限りで多くの友人がここイリノイを去った
ときはとても悲しかったです。今学期は新たにアイルランド、南アフリカ、
韓国という多様なバックグラウンドを持った3人の留学生がGCに加わりまし
た。ここに住んでいて面白いのは、アメリカ英語のほかに、イギリス、スコッ
トランド、アイルランド、オーストラリア英語といった様々な英語に触れら
れることです。今学期来たアイルランドの子は訛りが強くて言っていること
の半分もわからないのでどうしよう、と内心あせっていたのですが、アメリ
カ人の子達も「あの子の言ってること実は私もわからないことが多いよ」と
言っていたので一安心(?)です。思い返してみればスコットランド訛りも
オーストラリア訛りもはじめは全然聞き取れなかったのに、今はふざけてオー
ストラリア人の友人に “You reckon?” (You think so?)と真似して楽しめる
くらいになったのだから、アイルランド訛りにもそのうち慣れることでしょ
う。

最後に食事の話。私自身はこちらに来てから日本人会の総会と小俣さんにい
ただいた日本食以外、日本料理から全く遠ざかっています。正直言って「お
すしが食べたい、ラーメン食べたい」という衝動に駆られるときもあります
が、週に一度中華料理か韓国料理屋さんに行くことで解消しています。それ
よりも今は日本ではなかなか食べることのできない、シカゴ風の深皿ピザや
メキシコ料理にはまっています。とりあえず日本に帰るまでは日本食はおあ
ずけになりそうです。

以上たいへんまとまらないレポートですが、私はここイリノイでの毎日を十
二分に満喫しています。改めてこの機会を与えて下さったJICの皆様には感
謝しております。残り少ない留学生活を有意義に過ごしたいです。

それでは、

永見陽子

永見陽子さんの2001年10月分レポート

jicmlメンバ各位,

古市 (’92-94 MS in Computer Science)です.

秋学期からJIC奨学生としてUIUCへ留学中の永見陽子さんからのレポートが
届きましたので,皆さんにフォワードします.永見さんは北海道大学農学
部応用生命科学科の3年生で,講義だけではなく実験のコースも取りたい
言って渡米されました.レポートによると,早速研究室の実験器具の管理
をするバイトをはじめたようです.

では,レポートをお楽しみ下さい.

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
2001年度10月分レポート
永見 陽子
nagamiyoko@excite.co.jp
北海道大学農学部3年
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

10月に入ってシャンペーンもだいぶ涼しく(寒く?)過ごしやすくなりま
した。とはいってもここ数日は夏の再来のように暑いですが。
週末のフットボールゲームまでこの陽気が続くことをみんな願っています。

8月中旬にこちらに着いたのでまだ1ヵ月半しか経ってないのですが、もう
すでに1年くらいいるような錯覚を受けています。着いてからの数日手続き
に奔走した日々などもう忘却の彼方です。

授業の履修は幸い全て希望通りにとれました。
日本では農学部の応用生命学科というバイオテクノロジー関連の勉強をし
ていたのですが、こちらには対応する学部はないので農学部の農薬のクラ
スと微生物学の実験の授業をとっています。どちらも300番台ですが、日本
で身につけた基礎知識のおかげでそう苦労することもないです。日本でも
論文等は英語で読んでいたことだし。実験は学生30人に教授1人、TA3人も
ついているし、なにより日本では洗って何度も使っていた器具も使い捨て
で贅沢な気分を味わっています。

来学期もあることだし、ということで専攻の授業は2つだけであとはお遊
び授業をとって楽しんでいます。
1つはアフリカ言語のリンガラ語で、今まで習ったことのある外国語(英
語、フランス語、イタリア語)と比較すると格段にやさしいのですが、頭
よりも筋肉に栄養の行き届いたフットボール選手がクラスにたくさんいる
のでなかなか先に進みません。
もう1つは自分の住んでいる寮(Global Crossroads)で開講されている
クラスでポストモダン映画をみてディスカッションをする、というもので
す。先週は黒澤監督の羅生門でした。ほかにも面白そうな映画 (Being A
John Malcovich、12 Monkeysなど)をみる予定なので楽しみです。

私はPAR(Pennsylvania Residence Hall)というキャンパスの南のはず
れに住んでいます。Global Crossroadsというのはこの寮Saundersの2,
3階の住人からなるコミュニティで、120人中約半分がアメリカ人、残り半
分がその他の国からの学生、という構成になっています。
テーマが国際交流なだけに様々な催し物があるし、ここに来たばかりの留
学生が多いのでみんな仲良しです。一緒に買い物したり、週末にはバーや
フラタニティのパーティに行ったり。今月はミュージカルのRENTを見に行
くのと、Six Flagsという遊園地に行く予定です。

日本ではほぼ毎日のように実験の授業があったのでこちらでもそうしよう
かと思ったのですが、そうすると土曜も授業を取らなくてはならないので
やめました。そうしたら結局週2回しか実験していなくて寂しいので(私は
実験中毒者です)、研究室でバイトを始めました。
まだ始めたばかりですが、ガラス器具を洗ったり、溶液を作ったり、実験
植物の管理など、まったく苦にならないです。Plant Biologyの研究室で
私の専攻に近いことをしているので、そのうち慣れたらもう少し研究に関
係したことも手伝わせてもらおうと思っているところです。

こっちに来て一番物足りないのはやはり食事です。
寮の食事にはすぐに飽きました。
アメリカ人の友人にアメリカの食事のまずさを責めると、
「寮の食事はアメリカ人にとってもおいしいものじゃないのよ」と言われ
ました。たまに行く韓国料理店と中華料理店の配達が涙が出るほどうれし
いです。札幌ラーメンが食べられないのがなによりも残念ですが。金曜の
お昼限定のBusey Evansという寮のSpecialty Restaurant ”Oodles”
(パスタやビーフンなど麺類が出ます)がせめてもの慰めとなっています。

あとこっちに来て懐かしく思うのが都市の雑踏です。
9月のはじめにシカゴに行ったとき、チャイナタウンの食事もうれしかった
のですが、なによりも高層ビルをみて実家に帰った気分がしました。

9月11日にテロ襲撃事件以来、愛国心の高まりやGod Bless Americaといっ
たキリスト教関連の発言にはかなりうんざりしています。この大学は全米
でもレベルの高いほうだし、外国からの学生も多いというのに、Daily
Illini(学校新聞)に「アフガンにさっさと戦争しかけろ」「無神論者は
これを機会にキリスト教に改宗すべきだ」等の投稿が寄せられるという事
実に愕然としました。(もちろんこれらの過激な意見には反論が寄せられ
ましたが。)まあこの事件がなかったにしても、ここに来た以上宗教に無
関心になるわけにはいかないことを痛感していましたが。

上記のシカゴに行ったとき、道中シンガポール人、アメリカ人、中国人の
友人といつのまにかキリスト教、神についての話題になったのです。
私は無神論者なのですが、ほかの人はみなクリスチャンだったので、キリ
スト=神という前提で討論が始まったのに面食らいました。
みんなよくしゃべる人たちだったので疲れましたが、逆にこんな議論は日
本人同士ではなかなか成立しないものなのでよい経験だったと思っていま
す。寝不足で途中休憩をとるはずだった運転手の子も議論のあまりの白熱
ぶりに一度も眠くならず、しかもシカゴ – シャンペーン間1時間40分とい
うはやさで帰ってきてしまいました。

というわけで、私は平日は勉強(ちょっと怪しいですが)、週末は遊びに
励んでおります。ただ寒くなったらこうしょっちゅう遊びに出かける気が
しなくなりそうで怖いです。車持ちの友達を大事にしないといけませんね。

それでは。