甲田小百合さんの最終奨学生レポート

去年の夏にイリノイに行き、5月に帰国し現在は就職活動中の甲田さんから留学生活を総括する最終レポートが届きました。

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皆様いつも大変お世話になっております。先日の総会で再び皆さんにお会いすることができ、とても嬉しかったです。総会に参加して、ちょうど一年前、期待と 不安でいっぱいだった自分の姿を思い出しました。そして一年がたち、留学中に達成したかった目標をすべてやり遂げ、様々な自信を胸に帰国しそれを皆さんに ご報告できたことをとても嬉しく思いました。
私は現在は希望の職業に就けるよう日々就職活動に精を入れて頑張っております。まだ結果は出ていない のですが、ようやく少し落ち着きましたので、大変遅くなってしまって恐縮なのですが、私の留学生活最後のレポートをお送りさせていただきます。前回のレ ポートでは、アメリカでの授業を通じて考えたことを中心にお話させていただきましたので、今回はクラスメイトとのシカゴ旅行やカナダへの一人旅、そして中 学校でのボランティアを通じて得たものを簡単にまとめ、私の留学生活の総括とさせていただきたいと思っています。

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1、 クラスメイトとのシカゴ旅行
前回少しお伝えいたしましたが、政治学の授業でとても仲の良い友達ができました。一人はシンガポール人の女性 で、もう一人はアメリカ人の男性です。いつも授業の後は質問をし合い、レポート提出前は3人で集まって一緒に勉強をしたりした仲です。そんなわけで、日ご ろから話をする機会が多く、だんだんと授業とは関係ない時でも、映画を一緒に観たりご飯を一緒に食べたりするようになりました。私にとって、たった9ヶ月 の留学生活の中で、(住んでいたコスモ以外で)このような友達が作れたのは本当に嬉しいことで、またとても心強かったです。
そして何より嬉しかっ たのが、2人が3月の春休み期間中にシカゴに遊びに行くのに私を誘ってくれたことでした。しかも、そのアメリカ人の彼の実家に泊めてくれたのです。この機 会を通じて、実際のアメリカ人の生活の一部分を垣間見ることができ、とても貴重な経験をすることができました。その友達の実家は本当にとても大きな家で、 部屋が10部屋以上あり、暖炉もあり、地下に映画を鑑賞できる大きな部屋もあり、そしてとっても広い庭もついていました。まさにテレビによく出てくる「ア メリカの上流(中流)階級の家」といった感じでしょうか。もちろんこれはアメリカの家庭像の一部分を見られたに過ぎませんし、私はお客としての立場でしか 接することができなかったので、どこまで実際の生活が見られたのか疑問は残りますが、それでも今回の留学中host familyを持っていなかった私にとって、この旅行中彼の自宅にお邪魔させてもらえたことは、非常に良い経験となりました。
これは余談ですが、 もうすぐシャンペーンへ行かれる次期奨学生の皆さんにもし一言付け加えさせていただくならば、もし機会があればぜひhost familyを見つけてみてはいかがでしょうか?私の留学生活を振り返りますと、目標をすべて達成できとても充実していたとは思っているのですが、どれだ けアメリカ人の日常生活を知ることができたか、という点はやや疑問です。というのも、留学生という立場は、どうしても他国からの留学生と仲良くなりやすい 傾向にあり、実際のアメリカ人の生活を見るチャンスというものが意外と少なく感じたからです。せっかくアメリカにいたのに、普段のアメリカ人の暮らしに 「家族の一員」として触れられなかったのは残念だったなと思います。サークルの一つにhost familyを紹介してくれる団体があったと思いますので、ぜひお時間があれば挑戦してみてはいかがかな、と思います。
なお、写真はアメリカ人の友達のシカゴの家で撮ったものを添付いたしました。

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2、恩師に会いに・・・カナダへの一人旅
4月の中旬、アメリカでの生活も残り一ヶ月となったところで、カナダのロンドンという街に行ってきました。というのも、そこに高校のALTの恩師(カナダ 人)が住んでいらっしゃるからです。彼女が2年間のJETプログラムを終えて私達の高校を去る時、「必ず高校を卒業したらカナダに遊びに行くから!!」と 言って涙ながらに別れてから早5年。ついにその約束を実現することができました。
ナイアガラの滝を見に行ったり、Canadian slangやカナダのイースターの伝統的お祝いの方法を教えてもらったり、とカナダの文化に触れる一方で、彼女が日本に来る前に通っていた大学等にも連れ ていってもらいました。自分の恩師の歴史をたどっていくことで、改めて彼女と出会えたことの偶然性と今もその交流が続いていることの継続性に感動しまし た。
そしてこれは留学中に出会った人たちとの関係にもあてはまります。いろいろな国からの様々な文化的・歴史的背景を持った人たちと出会うことができ、私の価 値観は大きく広がりました。しかし、この出会いをここで終わりにしてしまうのではなく、可能な限りその関係をずっと続けていきたいと思っています。そうす ることで、さらに私の視野が広がるだけでなく、私も彼らの価値観に何らかの形で影響を与えられるかもしれないからです。留学を通じて、国籍を問わず様々な 背景を持つ人たちと触れ合うことは、自分自身を見直す良いきっかけとなり、さらなる自己の成長を目指す良い刺激になると強く感じました。せっかく頂いた貴 重な留学経験を無駄にしないためにも、この9ヶ月間で築き上げた友情はずっと大切にしていきたいと思っています。実際、6月にアメリカで仲良くなった台湾 人の友達が日本に旅行に来ており、二日間だけでしたが、東京観光に付き添いました。私も台湾に行く機会があればぜひ彼にコーディネイトをお願いしようと 思っています(笑)。
なお、写真は恩師と行ったナイアガラの滝で撮ったものと、恩師のご家族です。

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3、中学校でのボランティア
最後になりますが、留学以前から希望していた中学校でのボランティアについてお伝えしたいと思います。私は一年間を通して、毎週金曜日に地元の Urbana Middle Schoolという公立中学校に訪れ、ESLのクラスでボランティアをしていました。主な活動は、両親の仕事の事情で中国からアメリカに渡ってきた中国人 生徒の授業の補佐をするというものでした。彼の場合、新学期が始まった9月の時点で英語はほとんど理解できていませんでした。一方私はというと、大学で数 年中国語の勉強をしたことがあるとはいえ、文法と読解重視の授業だったため会話をすることはほとんど不可能。こんな状態でスタートしたボランティア活動。 9月末から、毎週金曜日は私と彼との不可思議なコミュニケーションが始まったのです。
とにかく彼は相手が誰であれ、わからないことがあれば中国語 で話しかけてきます。一方私は、彼の言うことを理解しようと努力するもののそのスピードについていけず、まったくお互いの気持ちが通じ合いません。最初の 頃は、質問しても何も答えてくれないボランティアの私にかなり幻滅していたのではないかと思います。授業の理解を助けるためにそばにいるのに、実際このボ ランティアは何の役にも立ってないじゃないか、と。事実、これは私が感じていたことでした。自分の力のなさが情けなく、どうすればいいのか途方にくれてし まったこともあります。しかし、途中で投げ出したくはありませんでしたから、わからないなりにも一生懸命相手の目を見て言葉を聞き、私もできる限り簡単な 英語と知っている限りの中国語を使い、そしてどうしてもだめなら辞書を片手に漢字を書いて筆談で会話をするようにしました。初めは、このようなやり方がど れだけ彼の助けになっているのかわかりませんでした。しかし回数を重ねていくうちに、徐々に生徒とのコミュニケーションがとれるようになり、信頼関係が生 まれていったのです。留学が終わる5月には、彼の英語力と私の中国語力が向上してきたこともあいまって、授業以外の話もできるようになりました(例えば、 日本の漫画の話や、ひらがな・かたかなの書き方など)。
この経験は日本で普通に大学に通っていたのではなかなかできなかったのではないかと思います。言葉の持つ力を改めて感じると同時に、言葉以上に、お互いのわかりあいたいという気持ちがどれだけ大切かということを学びました。
この現地の学校でのボランティアは私が留学を始める前からやりたいと思っていたことの一つでした。最終レポートでこのボランティアについて書くことができとても嬉しく思います。

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以上、シカゴ旅行、カナダ旅行、中学校でのボランティアを通じて学んだこと、考えたことを簡単にまとめてみました。振り返ってみると、9ヶ月の留学生活は 本当にあっという間でしたが、そこで学んだことは計り知れません。日本について、外国の事情について、自分自身について、様々なことを考えることができま した。数回にわたってレポートを書かせていただきましたが、ここで書けたことは学んだことのほんの一部であるように思います。本当にこのような貴重な機会 を授けてくださったJICの皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。今後は、この留学中に養った力、経験を生かして、仕事に 励むとともに、JICの活動に積極的に参加し、少しでも恩返しができたらというふうに考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

なお、余談ですが、総会のときに、甲田=卓球という形で記憶をしてくださっている方が多く、非常に嬉しかったのを覚えています(笑)。賛同してくれる方がいればの話ですが、スキー同好会と並行して卓球同好会も開けたらなぁと密かに思っております(笑)。

甲田小百合さんの奨学生レポート

05年度の奨学生の甲田さんから奨学生レポートが届きました!!

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ICの皆様、大変ご無沙汰しております。4月中旬から帰国前日までレポートや学期末試験に追われる毎日が続き、本来帰国前に送るべきレポートが帰国後に なってしまい、本当に大変申し訳ありません。(無事16日に日本に帰国いたしました。)このように大変レポートを書くのが遅くなってしまったため、今回と 次回のレポートで、恐縮ながら私の留学生活の総括をお伝えできればと考えております。次回のレポートでは、クラスメイトとのシカゴ旅行やカナダへの一人 旅、そして中学校でのボランティア等、授業以外のことをテーマにお話できればと考えておりますが、今回のレポートでは、様々な機会を通じて、アメリカに来 て改めて感じさせられた「日本」「日本人」について触れたいと思います。

授業を通じて
① Political Science 355日本政治
この授業では、主に明治維新後の政治を、日本の経済・社会の視点と絡ませながら勉強しました。なぜアメリカに来て日本政治を勉強するのか?と、正直自分自身履修する前に自問していましたが、最終的にこの授業をとろうと決めた大きな理由は、客観的に日本の政治について概観してみたいと思ったからです。また、アメリカ人が日本
に対してどんなイメージを持っているのかを感じ取るいい機会になるのではないかとも思いました。そして今この授業の履修を終えて、これら二つのどちらも達成できたように思います。

まず後者につきましては、授業中、教授の質問に対してある学生が答えた言葉が印象的でした。「世界第二位の経済大国は?」「(即座に)中国。」・・・中国の飛躍的経済成長を考慮に入れたとしても、正直即座にそう答えられたときは、きっと日本という答えが出るだろうと無意識に期待していた私はかなりの衝撃を受けました。勿論この生徒がアメリカ人全員を代表しているわけではありませんし、また確かにニュースを見ていると中国の情報がとても盛んに流れているのでこういった答えが出るのもうなずけなくはないのですが、しかしこの時、常識というレベルの曖昧さを強く理解しました。また、その回答を聞いてショックを受けた自分自身に驚いたのも事実です。実はなぜショックを受けたのか最初はよくわかりませんでした。でも違う国にいることで気づかない間に日本のことを誇りに思っていたことがなんとなくわかってきました。

そして前者につきましては、ずっと与党がかわらない日本政治をはたして民主主義と呼べるのか、なぜ日本経済は戦後飛躍的に成長しそしてその後長い不況から抜け出せずにいるのか、また日本の戦後政治に一貫して影響を与えている文化的側面は何か、等非常に面白い切り口から授業を聞き、参考文献を読み、本当にとても勉強になりま
した。この授業を通じて、日本の政治について全体像をつかめるようになり、今まで断片的だった知識がまとまり、自分の意見をある程度持てるようになったように思います。そして早速それを実践の場で生かせるときがありました。4月上旬友達と車でアイオワに行った時のことです。道中、友達の韓国人と、ひょんなことから政治問題・戦後補償問題・教育問題などを話すことになりました。おそらく今までの私だったらあの時相手の話をだまって聞くことしかできなかったように思います。しかし、この授業を通じて得た知識を使って、自分なりの意見をはっきり言えるようになっていました。もちろん他の国から来た友達の意見も尊重すべきですが、それには自分はそうした問題についてどう思うのかという基盤が大切であるように思います。その基盤がある程度確立できたという意味で、この授業をとった意義は非常に大きいと感じています。

また、この授業を通じて本当にとても仲のいい友達ができました。アメリカ人の男性とシンガポール人の女性です。学期中3回レポートを提出する機会があったのですが、その度に一緒に勉強し切磋琢磨しあえた友達です。(あとからわかったのですが、アメリカ人の男の子は政府の奨学金を得て今年日本に留学する予定で、またシンガポール人の女の子は大学の上位3%の成績をもっているなど、とても優秀な友達と一緒に勉強することができ、本当にいろいろなことを学びました。)実はこの友達と春休み中シカゴに遊びに行き、アメリカ人の友達の自宅にお邪魔することができましたので、次回はこのことについてお話できたらと思っております。

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② East Asian Language and Culture 135 中国・韓国・日本の文化と歴史
この授業は、新石器時代から近世あ たりまでの東アジアの国々の歴史と文化の交流・影響を概観するといったものでした。この授業は東アジアについてほとんど学んだことがない生徒を主な対象と しているので、一つ一つの内容を見れば私はどれも高校で基本は習ったことのあるものばかりです。しかし、それぞれ別々に勉強したためそれらのつながりはど うなのかといった意識は薄く、この授業を通じて新しい視点を得ることができ、その意義はとても大きかったです。例えば、この授業では朝鮮半島から渡ってき た人たちを日本人の祖先としてとらえていましたが、はたして日本でこのように教わるものなのでしょうか。渡来人という用語や、その日本に与えた影響等は勉 強するにしても、少なくとも私の中で渡来人が日本人の祖先だととらえたことはありませんでした。同じ内容であっても視点が変わるとこうも意識が変わるもの なのかと実感しました。

また、この授業の中で何より勉強になったのが神道についてです。私はアメリカで生活している間、「Do you believe in any religion? 宗教は何か信じていますか?」と聞かれると、決まって「No, I don’t believe in any religion.」と答えていました。そして「宗教」という言葉にどことなく抵抗感があるためのこのような回答は、私だけではなく、多くの日本人が好むようです。しかし、海外では広く「Shinto」という言葉が知れ渡っており、それは日本特有の「宗教」と理解されています。私は最初この話を聞いたとき、ものすごく抵抗を受けました。別に私は特別な宗教を信じてるわけではないのに・・・と。しかしこれは日本人の「religion宗教」の概念が外国からみた概念と若干異なることによる結果なのだそうです。つまり、英語では神道を分類するいい言葉がないようで、「religion」というしかないということでした。確かによくよく考えてみれば、たとえば教会のように、どこでも徒歩10分以内のところに大抵神社はありますし、何か不運が続けばちょっとお参りにでも行こうかなという気にもなります。そして相撲や折り紙も皆神道と関係しているということです。こうした事実を客観的に見れば、海外で神道は日本の宗教だと言われるのも納得できます。ただ、その授業で強調していたのは、神道は文化と深くつながっているため、日本人にとって神道は宗教というふうにはとらえられていない、ということでした。まさにその通りで、神道についてはあまりに身近すぎて今まで考えたこともなかったため、客観的に学ぶことで非常に有意義な視点を得られたように思います。

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Japanese Coffee Hourを通じて

さて最後になりますが、川崎さんが少しお伝えしてくれたJapanese Coffee Hourについて私からより詳しく皆さんにご紹介できればと思います。(写真はその時の模様です。)2月16日木曜日。毎週木曜は私の住んでいたコスモで Coffee Hourが行われていますが、この日は私達にとっては特別でした。去年の10月からJICの留学生私達4人とICU(国際基督教大学)から同じく1年留学で来ていた日本人留学生を中心に着々と準備を進め、ついにやってきた日だったからです。川崎さんと中根さんは主に日本の文化を紹介するプレゼン担当、白水さんとICUの留学生は食事を担当、そして私は、コスモに住んでいたということもあり一番場所の勝手がわかっている(はずな)ので、準備・当日を含め、全体をとりしきる仕事を担当しました。どういった食事を作れば日本の味を伝えつつ皆が喜んでもらえるか、日本の文化を紹介するには何を取り上げればいいか等、いざ考え始めると簡単そうに思えたことが意外と奥が深いことに気づきました。あまり自分達の意見を重視しすぎるととても偏った日本を紹介しかねませんし、しかし、かといっていかにもどこでも聞ける・食べられるようなありきたりの日本文化の紹介もしたくない・・・。数ヶ月間、時間をうまくやりくりして定期的に皆で集まり相談していましたが、本番になるまで不安でいっぱいでした。

しかし、当日は宣伝効果もあってかコスモはいつもの倍以上(軽く100人はいたと思います。)のお客さんで埋まり、文字通り歩くのも息をするのもままならない状態でした。昨年9月からほぼ毎週Coffee Hourに参加してきましたが、このときが今までで一番混雑しており、熱気にあふれていたように思います!提供したものは、おに
ぎり・ほうれん草のごまあえ・豚肉のしょうが焼き・肉じゃが・お好み焼き・水羊羹です。お好み焼きは作り方の実演もしました。通常のCoffee Hourよりも品数・分量ともにかなり多かったのですが、それを上回る参加者のため、1時間もしないうちになくなってしまいました。また、プレゼンでは日本に関する基本知識、日本人の有名人等の紹介に加えて、中根さん・川崎さんがカタカナ英語講座を開き、これがまた大好評でした。準備を地道に続け、練りに練った上での当日であっただけに、5人ともパーティーが終わったあとはやり遂げた充実感とその成功に大満足でした。

なお、私は準備期間中、当日の人手の手配と材料の寄付集めを担当していました。特に寄付をもらいに何件もお店を回ったことはとても良い経験になりました。どのような内容・話し方をすれば寄付をもらえるのか、といったことを身をもって体験できたからです。これは語学力の問題だけではなく、コミュニケーション能力、説得力等がむしろ大いに必要となります。日本語でも寄付を募るというのはなかなか難しいと思うのですが、それを英語でなんとかやり切れたことで一つの自信となりました。

このように、今学期は様々な機会を通じて日本のことを改めて感じなおすことができ、本当に貴重な経験ができました。改めてこのような機会を与えてくださったJICの皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。これから就職活動が始まり、また忙しい毎日が待っていますが、この留学中に得た新しい視点・考え方・経験を生かして頑張っていきたいと思っています。

近日中にお送りします次回のレポートで最後となりますが、次回は旅行やボランティアを通じて感じたことを中心にお伝えしようと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

一橋大学
甲田小百合

甲田小百合さんの奨学生レポート

月の奨学生レポート第2段は甲田さんです。
シャンペーン生活にもすっかり慣れたものの、まだまだ授業、ボランティア、卓球、語学と挑戦の手を一切緩めることのない甲田さんのレポートをお楽しみください。

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ついこの前元旦を祝ったと思いきや、もう2006年も1ヶ月が過ぎ去ろうとしています。また私がシャンペーンでの生活を始めてから、はや5ヶ月が過ぎてし まいました。本当に時間のたつのは早いものですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?昨年の12月は今まで経験したことのない雪の量に驚き戸惑いましたが、 今年に入ってからというものシャンペーンではめっきり雪が降っておらず、路面を埋め尽くしていた雪もどこかに消えてしまいました。このような気候のおかげ もあってか、新学期が始まってからというもの、風邪も引かず心身ともに非常に充実した毎日を送らせていただいております。さて今回は、前回のレポートで詳 しくお伝えできなかった内容を踏まえつつ、今学期の私の目標をお伝えできればと思っております。

①先学期の授業について
②中学校でのボランティアについて
③卓球の試合について
④語学の勉強について

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①先学期の授業について
私は秋学期には、政治学の授業を2つと教育学の授業を1つとっており、そのほかにESLと中国語(会話がメイン)をとっ ていました。前回お伝えしたとおり、最初の頃は授業の内容を半分理解できればいいほうというような状況でしたが、11月半ばを過ぎてからリスニング力が アップし、90%以上理解できるまでになりました。ノートの分量も格段に上がり、自分でもその成長をはっきり見てとることができ、とても嬉しかったのを覚 えています。ところで、12月の期末試験前に面白い発見がありました。それは、試験の数日前に政治学のクラスのメーリングリストが流れ、内容は一緒に試験 のための勉強会を開こうというものでした。授業の理解度が上がっていったとはいえ、やはり試験に対してかなり不安があった私にとっては、その勉強会はとて もありがたく大いにためになりました。このような勉強会を通してクラスメイトと親しくなれたことも大きな財産になったと思います。しかしその一方で、日本 の大学でいろいろな授業をとってきましたが、今までそのような経験をしたことは一度もなく、個人主義といわれるアメリカの方が逆に集団で勉強しているとい うその姿が非常に新鮮でした。

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②中学校でのボランティアについて
前回のレポートを書いた時はまだこのボランティアを始めたばかりの頃だったため何も詳しく書けませんでしたの で、今回はぜひ中学校での経験をお伝えしたいと思います。私は週に1回3時間Urbana Middle Schoolに訪れ、ボランティアとしてESLの授業にお邪魔させていただいております。そのESLのクラスでは、6年生から8年生までの生徒が全部で 20人ほど一緒に勉強しており、私のそこでの主な仕事は1人の中国人の男の子のそばに座り、彼をアシストするというものです。ESLといっても生徒の英語 のレベルは実際はばらばらで、ほとんど不自由なく教師が言ったことを理解できる子もいれば、アメリカに来る前にほとんど英語に触れる機会がなく、教師が何 を言っているのか全くわからない子もいます。その中国人の男の子もまさに後者でして、私がはじめて中学校に訪れた時、彼は本当に授業の内容に困惑している 様子でした。さて私はといえば、中国語を多少勉強しているとはいえ、その場で英語から中国語に通訳ができるはずはなく、ありとあらゆる中国語の知識とそし て日本語の漢字を駆使して、少しでもその生徒が授業についていけるように頑張っています。言語の壁は厚くなかなか意思疎通が難しい上に、各休み時間が3分 程度しかないので生徒と個人的にしゃべる時間もほとんどないため、生徒との信頼関係を作っていくのに最初のうちはかなり苦労しましたが、毎週訪れ少しずつ その生徒と接する時間が増えていくうちに、その子にも笑顔が見られるようになってきました。また、毎週その子の様子をそばで見ていくことで、子供の適応能 力の高さ・すごさを間近で実感しています。まだ授業中何をすればいいのかわからないことも大いにあるようですが、しかし一歩ずつ確実に彼の英語力が上がっ ていっているのがわかります。今学期も引き続きこのボランティアを続ける予定なので、少しでも彼の助けができるように頑張るとともに、私自身彼からいろい ろなものを学んでいけたらと思っています。

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③卓球の試合について
これも前回少しお伝えしましたが、私は一橋では体育会卓球部に所属しており、イリノイ大学でも卓球部を見つけ、週に1回が 限度でしたが練習を継続して行っておりました。そして昨年の11月に、大学対抗公式卓球リーグ団体戦のメンバーの一人として試合に出させてもらうことがで きました。留学生かつ週に1回しか練習に参加できなかったのに選手として出させてもらえたことを本当に嬉しく思っています。名目上は男女混合の団体戦とい うことでしたが、7大学のうち女子の選手は私だけで、実質男子団体戦に混ぜてもらったような形となりましたが、私自身の成績は3勝3敗とアメリカ公式戦デ ビューとしてはまずまずの結果が残せたと思います。しかし何より嬉しかったのは、私が試合をしている時に同じチームのメンバーが熱いエールを送ってくれ、 かつセット間にたくさんのアドバイスをくれたことでした。まだこちらの練習に参加して3ヶ月程度の私をチームの一員として迎え入れてくれたことは本当に嬉 しく、とても感動しました。また、一緒に戦ったという共有意識のおかげか、この日をさかいにクラブの仲間とも今まで以上に親近感が生まれたこともまた大き な収穫でした。今学期も引き続き練習に参加し、また3月頃に開催されるリーグ戦に選手として出られるよう頑張りたいと思っています。

④語学の勉強について
先学期は毎週火曜と水曜に無料の英会話クラスに参加したとお伝えしたと思いますが、今学期は、水曜の同じ英会話クラスに通うのに加え、一対一の英会話にも 参加し、残りわずかとなった留学生活をできる限り有意義に使い、語学力をさらに上げていきたいと思っています。またこれらを通じて様々な人に出会い、文化 や価値観、宗教などの話を聞くことができるのもこうしたクラスに参加する大きな理由の一つです。大学の授業を通じて知識を深めることも勿論大事なことです が、大学のクラスの中だけではなかなか作りにくい個々の人間関係を別の場所で築き、英語を学びながら様々な国の歴史や文化をより深く学ぶことも、この留学 の大きな意義の一つであると考えています。というわけで、今学期は上で挙げたアメリカ人との英語の練習だけにとどまらず、インド人にヒンディー語、中国 人・台湾人に中国語を個人的に教えてもらいながら、私も彼らに日本語を教え、言葉を通じた文化交流をしています。

以上、授業、ボ ランティア、卓球、語学について、前学期に経験したこととともに今学期の目標を加えてお伝えさせていただきました。今学期の目標をまとめますと、前学期始 めたことを継続して行い、知識・人間関係ともに、より深く確かなものを築き上げるといった感じです。残り半分をきった留学生活を大いに満喫すべく、今年も 精一杯頑張ろうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。なお、次回は2月16日にCosmopolitan Club House で開くJapanese Coffee Hourの様子もお伝えできたらと思っています。これは、私達奨学生4人のほかこちらでであった数人の日本人が主催します。昨日もこれに向けて皆で話し合 いを開いたところでして、少しでも多くの人が日本に興味を持ってもらえるよう頑張りたいと思います。

なお、今回添付させていただいた写真は、卓球のリーグ戦、水曜の英会話クラスの打ち上げパーティー、教育学の授業の最後の時にそれぞれ撮ったものです。お楽しみいただけると幸いです。

甲田小百合さんの2005年9月レポート

JICのみなさま、

こんにちは。2003年度奨学生の篠原史温です。

さきほど、アーバナシャンペーンから甲田小百合さん の奨学生レポートが届きましたので皆さんにお送りします。明確な目標を持って日々を過ごされている様子がとても伝わってくる力強いレポートです。自分のと きはどうだったかな?と思い出すとちょっと恥ずかしくなってしまいました。 それでは熱いレポートをお楽しみください

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皆様いかがお過ごしですか?早いものでシャンペーンに着いてからすでに6週間が 経過しました。私は中根さん達が参加したChicago Tourには参加できなかったので、一人後から皆を追う形でシャンペーンに向かったのですが、これから始まる1年を考えて、期待と不安につぶされそうにな りながら機内から日本の街並みを見わたしてい たのを今でもはっきりと覚えています。ですが6週間が過ぎ、まさに期待通りの毎日 を送れて、飛行機の中で感じていた不安は今はまったくなくなりました。ということ で、1回目のレポートでは、日本を出発する前から希望していたことが今どれだけ実現でき、今後どのように活動していきたいかをお伝えしたいと思います。

私が日本を出発する前にシャンペーンで実行したいと思っていたことは次の4つです。

①授業中にできる限り発言をする
②無料の英会話クラスに通い、英語力を上げ る
③シャンペーンの小学校あるいは中学校でボランティアを行う
④イリノイでも 卓球を続ける

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①授業中の発言

私は政治学のクラスを2つと教育学のクラスを1つとっており、そのほかに ESLと中国語(これは楽しみとして)を履修しています。想像していたとおり、ど のクラスでも日本とは比べ物にならないほど活発な議論が交わされています。正直申 し上げますと、今の私の力ではまだまだ授業を完全に理解できているとはいえませ ん。それでも6週間が経ち、最初は50%程度しか理解できておらず取ったノートの ページ数が1授業あたり2ページ程度だったものが、今では3~4ページくらいまで になり、少しずつ聞き取れてきているような気もします。が、不十分なのは明らかで す。ただ、たとえ完全に理解できていなくても、わかる部分はあるので、その部分で 一生懸命発言をして少しでも積極的に授業を受けようと心がけています。つたない英 語で授業をさえぎってしまうのに最初は抵抗もありましたが、しかし政治学の先生 (この先生はかの有名なガンディーの孫の一人です。)が、「アメリカ人だけでなく あなたのように日本人が私の授業をとってくれるのはとても嬉しいですよ。わからな いところがあったら授業中にぜひ手を挙げてください。もう一度ゆっくり説明します ので。」とおっしゃってくださり、本当に心を打たれました。強く背中を押された気 がしました。そしてそれからは他の授業でも物怖じせず、発言できるようになりまし た。こうして発言をすることによる最大のメリットは、能動的に授業に参加できるこ とですが、他にもメリットが生まれ始めています。発言をしたことにより、私のつた ない英語からすぐに留学生だとわかってもらえたようでして(苦笑)、クラスの中に 一緒に勉強をできる友達ができ始めたんです。日本でさえ入学して最初の1ヶ月で一 緒に勉強できる友達を探すのは大変なことなのに、アメリカの大学のクラスの中で友 達を作れたのは本当に嬉しいです。今後はもっとリスニング力を身につけて90%以 上理解できるように頑張るとともに、引き続き発言の機会を狙って積極的に授業に取 り組もうと思っています。

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②無料の英会話学校

これは、出発前にイリノイ大学に留学された先輩方から伺っており、ぜひとも 参加したいと思っていたプログラムでした。このプログラムは大学とは直接関係はしておらず単位はありませんが、以前教育関係の仕事をしていた、あるいは教 育に強く 興味を持っている方々がボランティアで英会話を教えてくださっています。私は毎週 火曜日に初心者用のクラスを、毎週水曜日に中級・上級者用のクラスをとっていま す。たとえアメリカで生活をしていても、ただ漠然と日々を過ごすだけでは英語力は 上がらないので、半年間この英会話に通い、時と場所に応じて正しい英語を使えるよ うになりたいと思っています。また、この英会話で知り合った方々の多くは、院生あ るいは旦那さんが院生というパターンが多く、ただ大学に通っているだけでは知り合 えない層の方々からいろいろな話をきくことができ、とても勉強になります。例え ば、母国を離れ子供を育てる大変さ、シャンペーンの小中学校の特徴などを聞くこと ができとても参考になりました。

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③小中学校でのボランティア

私は国際関係を専攻していますが、それとともに教職課程も履修しており、ど ちらかというと教育の方に強く関心を抱いています。将来は、自分の専門分野を生かして、海外の教育機関で働けたらなと考えています。しかし、自分が受けて いた教育 は、日本人による日本人のための日本式の教育制度だけですので、海外の教育機関で 働くにはもっと広い視野を持つ必要があるとずっと感じていました。そんな中幸運に もイリノイ大学への留学という機会を頂いたので、このまたとない機会を最大限に活 用し、多文化社会のアメリカで多文化のクラスを経験し、そこから何かを得たいと強 く希望していました。そしてこの1ヶ月、様々なバックグラウンドを持った生徒を多 数持ち留学生の私をボランティアとして受け入れてくれる学校を探していたのです が、先日ついに見つけることができました。ご存知の方もいらっしゃると思います が、来月から週に一度Urbana Middle SchoolにてESLのクラスにお邪魔できることに なりました。まだオリエンテーションを受けただけなので細かくお伝えすることがで きず残念なのですが、次回のレポートではぜひこのボランティアのことを取り上げた いと思っています。

なお、アメリカはボランティアが 盛んだと耳にはしていましたが、上で挙げた 英会話クラスをはじめ、病院や学校、スポーツなど、様々な分野でボランティアが欠かせない存在になっていて本当に驚いています。そして、自分自身もボラン ティアに参加することで、大学というある種特殊な環境から飛び出し、アメリカの実際の社会を垣間見れたらと思っています。

④卓球

私は中学と大学で卓球部に所属していましたので、アメリカでも気分転換を兼ねてどうしても卓球を続けたいと切に願っておりました。ただ、卓球がアメリカで 人気がないのは承知しておりましたので、クラブがあるかどうかかなり不安でした。し かし、イリノイ大学にもしっかり卓球部が存在していたんです。しかも、2002年 と2003年にチャンピオンシップを飾ったそうでして(いまいちどの範囲で優勝し たのかがわからなかったのですが・・・)、少なくともイリノイ州の中ではトップレ ベルのようです。そしてうまく日程が合えば、私も団体の一員として試合に出れるよ うです(驚)。日本では週3回ほど練習をしていましたが、今はできて週に1度が限 界です。が、アメリカの卓球の試合を見れるまたとない機会なので、たとえ選手とし てでなかったとしても、ぜひ試合を見たいと思っています。

最後に

私はCosmopolitan Club Houseに住んでいます。ご存知の方もたくさんいらっ しゃると思いますが、ここは学校の寮ではなく、一つの大きな家でして、15人の (主に)留学生が一緒に生活をしています。ほとんどが院生なので私は一番年下です。インド、中国、韓国、チェコ、ルーマニア、コートジボアール、ドイツ、 ベル ギーなどなど、世界各国からの留学生が集まっていて、とても国際的な毎日を過ごしています。例えば、中国人と一緒に日本と中国の調味料を使ってパスタを 作ったり、 日本のカレーとチェコのカレーを交換したり、インドや中国の映画を見たり、ブラジルのダンスパーティに参加したり・・・と本当に楽しく充実した毎日を過ご しています。私がこの家を選んだ理由は自分で料理を作れるからでしたが、日本食を食べれる 喜びとともに世界各国の食事まで楽しめるので、期待以上の食生活を送れています。

また、コスモでは毎週木曜にCoffee Hourを行い、世界の郷土料理を楽しめる活動を行っていますが、その活動が評価され、今年シャンペーンから賞を頂きました。 写真はその時の様子を写したものです。このような名誉ある家の住人の一人として生活を送れることを誇りに思うと同時に、その名に恥じないよう、私も少しで も貢献で きたらと思っています。

今回のレポートでは、どちらかというと、英語そのものに対する感想と課外活 動の話が中心になってしまいましたが、次回はもう少し履修している授業の話もできたらと思います。シャンペーンもだんだんと秋らしくなってきて、さわやか な秋晴れの日が続いています。まもなくやってくる未経験の真冬に備えて、心身ともに健康を 維持し頑張ろうと思います。皆様もどうぞお体にはお気をつけてお過ごしください。

なお、最後になりましたが、このような留学の機会を与 えてくださったことを 本当に心から感謝しております。シャンペーンに来てたくさんの友達に出会い新しい自分を発見するたびに、その喜びをかみしめています。この一年、やるべき ことをはっきりさせて精一杯頑張りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2005年度奨学生 甲田小百合さんの自己紹介

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2005年度のJIC奨学生として,8月からイリノイ大学で学べることになりました,一橋大学法学部4年の甲田小百合です.私は,法学部の中の国際関係 コースに所属しています.具体的には,紛争解決,安全保障,貧困問題,核抑止などといった内容を勉強しています.また,教育問題にも非常に関心があり,教 職科目を数多く履修してきました.こうして国際関係学・教育学を学んできて,現在私の興味関心は「開発途上国においてどのような教育制度を作っていったら いいか」という点にたどり着きました.イリノイ大学では,こうした問題関心をもとに,政治学・社会学・人間開発学等を学び,日本とは違う視点に立った考え 方に触れて視野を広げていきたいと思っています.また,大学の授業以外でも,様々なバックグラウンドを持った人と接することでたくさんの刺激を受けたいと 思っています.具体的には,種々のパーティやアクティヴィティへの参加,そしてできればアメリカの小中学校を訪問して生徒に触れ合いたいと考えています.

なお,一橋では体育会卓球部に所属しているので,イリノイでも卓球ができたらいいなと,かすかな希望を持ちながら渡航の準備を進めています・・・.しかし,たとえ卓球ができなかったとしても,とにかく何か運動をしてぜひ日本人体型を維持したいと思っています(笑).

何もかもが新しくわからないことだらけで不安でいっぱいですが,全力でぶつかってたくさんのものを得られるよう頑張ってきたいと思っていますので,今後ともどうぞよろしくお願いいたします.