内倉潤さんの2012年1月分奨学生レポート

 JICの皆様、レポートを読んでくださっている皆様、こんにちは。Spring Semesterが始まり、留学生活も後半に突入したところで、第2回のレポートを書かせて頂きます。渡米前はあれほど恐れていたイリノイの厳冬ですが、今年は今のところ大した雪もふらず、胸をなでおろしているところです。

 今回のレポートではⅠ. Fall Semesterの総括 Ⅱ. Winter Break Ⅲ. Spring Semester授業内容 Ⅳ. Illini 4000 4項目についてふれさせていただきたいと思います。

Ⅰ.Fall Semester総括

 はじめに授業について。留学前は、自分の英語力でネイティブの授業についていけるのだろうか、そもそも教授が言っていることは聞き取れるのだろうか、などなど様々な心配を巡らせていました。しかし授業が始まってしまえば、授業中の録音も許されていますし、用意されている教材がしっかりしているということもあり、留学前の心配は杞憂に終わったような気がします。2か月過ぎたあたりから、教授が話しているスピードにだんだんついていけるようになり、学期が終わるころには90%ぐらいは頭に入ってくるようになりました。ただ、前回のレポートでも書かせて頂いたように、ディスカッションやグループ・プロジェクトなどクラスメイトと協同で取り組まなければならない課題は語学面で苦労しました。Fall Semesterは大教室でのクラスが2科目、80人ほどの中規模なクラスが1科目、20人ほどの少人数クラスが1科目でしたが、どのクラスもクイズ、宿題、ペーパー、試験、と評価の対象が分散されているので、日ごろからコツコツと勉強をしていれば、ネイティブに負けずに評価を得ることができることができ満足しています。

 次に、1111日から13日にかけてボストンで開催されたBoston Career Forumについて簡単に触れさせて頂きたいと思います。今年のJIC生は4人ともこのキャリアフォーラムに参加しました。金曜日から日曜日にかけて行われるため、金曜日の授業は休むことになりますが、アメリカに居ながらにして就職活動のできる限られた機会ですし、今後の奨学生にもぜひ参加することをお勧めしたいと思います。基本的には4年生向けに開催されているようですが、3年生やそれ以下の参加者も多く、本採用に限らずインターンのオファーをもらうこともできます。就職活動だけではなく余った時間でボストン観光をすることや、アメリカ各地から集まってくる友達との久しぶりの再会を楽しむこともでき、シャンペーンで勉強とパーティーしかすることのない日常から解放され、いい気晴らしになりました。

 

(写真1)ハロウィンパーティー シュールな天使

Ⅱ.Winter Break

 アメリカ国内を旅行した経験がこれまでなかったので、冬休みはアメリカを満喫しようということで、シカゴ、ニューヨーク、ボストンで過ごしました。

 まずはシカゴ郊外にある友達の家にホームステイ。彼の家はシカゴから北へ1時間ほど行ったところにある、典型的な“アメリカの家“でした。もちろん車がなければ何をすることもできず、日本のようにアミューズメント施設が充実しているわけでもないため、やることといえば、友達と家でパーティーをすることぐらいしかありません。しかしアメリカ人の家にホームステイをするのは初めての経験だったため、アメリカンライフを満喫することができ、満足しています。クリスマスは、友達の彼女の家でおこなわれたクリスマスパーティーに参加させて頂いたのですが、ご存じの通り日本と違い“家族で祝うクリスマス”ということでたくさんの親戚があつまる楽しいクリスマスになりました。また、突然の日本からの来客であったにも関わらず、大量のプレゼントを用意してくれ、アメリカ人の優しさにふれることができました。

 その後、ニューヨークへ向かい、年末年始はニューヨークの知り合いの家で過ごしました。当初はホステルに泊まる予定で予約をしていたのですが、年末ということもありホステルなのに一泊170ドル。ということでニューヨークでの食事の席でご一緒させて頂いた、高校時代の先輩のお宅へ転がり込みました。シャンペーンは日本人の割合が非常に少なく、日本人で仲良くしている友達は数える程しかいませんが、ニューヨークにはたくさんの日本人が集まっており(時期的な問題もあると思いますが)、シャンペーンではなかなか出会うことのできない、留学中の日本人の知り合いを増やすことができたことは収穫でした。それぞれの大学に留学先としての良し悪しがあると思いますが、イリノイ大学の良いところは、日本人が少なくアメリカ人の友達を作りやすい環境が整っていること。また、留学生の数も多いので、色々な国の友達ができるというところでしょうか。一方でニューヨークであったような、海外留学をしている日本人との繋がりがなかなかできない、というのは少し残念な点かもしれません。

 

(写真2NYでの年越し(日本時間)

 年が明けてからは、大学の友達とボストンへ旅行をしました。上述の通りボストンはBoston Career Forumで一度経験済みだったのですが、十分な時間がとれなかったので冬休みにもう一度訪れることにしました。せっかくボストンに来たということで、市街地の観光はもちろんHarvardMITにも足を伸ばしてきました。両校ともさすがトップクラスの大学なだけあり独特の雰囲気があって魅力的でしたが、キャンパスということに話を限れば個人的にはイリノイ大学の方が好きです。イリノイ大学は広大なキャンパスの中に、教室、寮、レストラン、クラブ、など最低限必要なものがそろっています。このような閉鎖的な空間の中で1年間過ごすことで、友達との距離も近くなりますし、平日は勉強に集中することができ、非常に生活しやすいキャンパスだと思います。

 

(写真3Harvardで靴をなめる

Ⅲ.Spring Semester 授業内容

 今学期履修している授業はすべてACEAgricultural and Consumer Economics)という学部の授業です。先学期はAdvertisingLeadershipなど、専攻であるFinanceとは関係のない授業をいくつか履修したのですが、やはりFinanceの授業が一番興味深かったため今学期はACEの授業で固めることに決めました。具体的に今学期履修している授業は以下の5科目です。

    ACE231 Food and Agribusiness Management

    ACE240 Personal Financial Planning

    ACE360 Spreadsheet Models & Application

    ACE444 Financial Service and Investment Planning

    ACE446 Modeling Application’s Financial Planning   

 Spring Semesterが始まってからまだ2週間しか経っていないため、これら授業の詳しい報告は次のレポートに回すこととしますが、400番第(イリノイ大学では各授業に100500までの数字が割り振られており、数字が大きいほうが難しいとされています)の授業には大変苦しめられています。先学期はIntroduction系の授業が多かったので、今学期は最後の学期ということもあり400番台のクラスに挑戦しているのですが、授業内でエクセルを使うことが度々あり、教授の話をリスニングすることとエクセルを使いこなすことを同時並行できずに悪戦苦闘している最中です。次のレポートを書く頃までに、なんとか対応できるようにしていきたいと思っています。

Ⅳ. Illini4000

 前回のレポートでも触れさせていただきましたが、私はIllini4000というバイクチームに所属しています。夏休み(525日~87)のアメリカ横断に向けて着々とトレーニングを積み重ね、今学期に入ってからは毎日のようにARC(Activities and Recreation Center)CRCE(Campus Recreation Center East)といったイリノイ大学の充実した運動施設にお世話になっています。高校に入って野球を辞めてから運動とは全く無縁だった自分ですが、イリノイに来てからというもの、アメリカ人のストイックな姿に感化されて体を動かすようになりました。アメリカ人は筋肉でオシャレを、日本人は服でオシャレをするのかなと思ったり。話を戻してIllini4000ですが、トレーニングと同時にFundraisingも進めており、企業、友達など様々な人々の協力のおかげで、チーム結成からの2か月余りで$50,000もの募金を集めることができました。今年のチームの目標額が$150,000なのでまだまだ道半ばですが、少しでも多くの募金を集めることでガンの研究、さらにはガンに苦しめられている方々の役に立てればと思っています。詳しくはIllni4000(http://illini4000.org/)をご覧ください。

 イリノイ大学での留学生活も残すところ3か月半になってしまいましたが、帰国後に後悔することのないよう勉強に運動に遊びに励みたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

(写真4)友達の誕生日パーティー with 巨大ウォッカ

内倉潤さんの2011年10月分奨学生レポート

JICの皆様、レポートを読んでくださっている方々、こんにちは。2011年度小山八郎記念奨学生として留学をさせていただいている内倉潤です。
シャンペーンの厳しい冬の訪れを予感させる10月末、留学開始から2か月半ほどが過ぎました。第1回レポートということでⅠ.到着~授業開始前 Ⅱ.授業内容 Ⅲ.寮生活 Ⅳ.課外活動の4点について書かせて頂きます。

Ⅰ.到着~授業開始前
遅延、lost baggageなどどんな災難が降りかかってくるのかと、身を縮めて成田空港を出発したのは8月15日でした。時間があったのでシカゴで1泊してからシャンペーンへ。キャンパスに着いてしまえば、これといったトラブルもなくスムーズな留学生活の始まりだったように思います。ただ、気を張って非常に疲れていたせいかシカゴで楽しみにしていた観光は全くできず、いつのまにか1日中ホテルで寝てしまったのは何とも惜しいことです。(授業開始後、結局シカゴ観光をすることができましたが)キャンパスに着いてからは一緒に来ている奨学生の3人や現地の日本人学生に助けられながら、各種手続き、生活必需品の買い出し、留学生向けのパーティーに参加するなど忙しい1週間を過ごし、いつの間にか授業が始まっていました。こちらに来る前は、1人で何もないシャンペーンで生きていけるのだろうかと、数々の不安が頭をよぎったこともありましたが、JICの皆様による出発前の手厚いフォローやシャンペーンの温かい人々に支えられながら、特にホームシックなどにかかることもなく過ごすことができました。

Ⅱ.授業内容
秋学期は①ACE345:Financial Decision Making for Individuals and small Business
②AGED260:Introduction to Leadership ③ADV300:Introduction to Advertising ④EALC250:Intorduction to Japanese Cultureの4科目計12単位を履修しています。
① ACE345:Financial Decision Making for Individuals and small Business
東京大学での専攻がファイナンスで、特にコーポレートファイナンスに興味があるので履修しました。イリノイ大学での所属はLAS(Liberal Arts and Science)なので基本的にFinance学部の授業は履修できないのですが、ACE(Agricultural and Consumer Economics)などでも十分充実したファイナンスの授業が開講されており、これらは私たち留学生も履修することができます。授業開始から1か月半ほどでFinancial Statement(BS,PL,CF)の構成、分析方法を学び、その後はCapital Budgetingという投資評価手法を勉強しています。100人ほどのクラスで、基本的には教授による講義が中心ですがiclickerというハイテク機械を使って授業中にクイズが行われたり、投資関連の会社で働くゲストスピーカーが来て、実際の案件に関する分析を行ったりと、構成がよく考えられているクラスです。前提知識があることと、ファイナンスの授業ということで数字の勝負であるため、現地の学生とも互角かそれ以上に張り合える、今学期1番モチベーションの上がる授業になっています。週1回のペースで出される宿題と2回の中間テスト、学期末のテスト、さらに投資関連企業に勤める人へのインタビューで評価が決まるとのこと。インタビューは、授業中に学んだことをフルに活用して行われる、この授業の集大成のようなものなので、誰にどのような内容でインタビューを行うか、現在試行錯誤中です。やはり専攻に近い科目ということで興味もあり学ぶことも非常に多い授業なので、来学期はACEのクラスを2つ履修する予定です。
② AGED260:Introduction to Leadership
30人という少人数でリーダーシップを学ぶクラス。日本では学問としてリーダーシップを学ぶ機会はなかなかないので履修しました。今学期唯一の少人数クラスで、ディスカッションや授業内でのアクティビティ、グループワークなど他のクラスでは体験できない困難と苦痛を味わっています。「日本語なら・・・できるのに」と思うことが今までに何度もある授業で、悔しい思いをすることが多いクラスですが、授業内容は非常に興味深く、様々なリーダーシップに関する理論、現実社会への応用を学んでいます。リーダーシップを学ぶ過程で自分を評価し見つめなおす機会が数多く与えられ、成長のヒントを与えてくれる授業であるように思います。来学期もリーダーシップ関連の授業を2つ履修する予定です。
③ ADV300:Introduction to Advertising
「広告学」とでも訳すのでしょうか。大学1,2年生の頃、広告関連の活動をしていたこともあり履修しました。スティーブという、ユーモアあふれる小太りの教授による授業で、さまざまな例を交えながら広告全般に関することを学んでいます。テストは全て択一問題で、直前に出されるテストレビューなるものを勉強すれば比較的容易にこなせます。正直なところ、自分は広告に「興味がない」ということを認識させてくれる授業になっています。ただ、授業中に見せてもらう広告の数々はインパクトの強いものが多く、それを楽しみに授業を受けようと思っています。
④ EALC250:Intorduction to Japanese Culture
留学の目的の一つに「日本を外から客観的に見つめなおすこと」と掲げていたこともあり履修しました。歴史・文化・経済など日本について色々な側面から勉強しています。恥ずかしながら、授業内容は日本人の私でも知らないことが多々あり、アメリカ人の日本を見る視点が学べるということも含めて、「日本」を見つめなおすきっかけを与えてくれる授業です。アメリカに来てから自分が「日本人」であることを認識する機会が増え、ルームメイトの中国人・韓国人を含め、友達と過激な議論を交わすことが幾度となくあります。そんな中でアメリカ人の教授によるこの授業は中立的な視点を与えてくれる、有意義な時間になっています。テストに関しては、日本人ということもあり、もちろん他の学生より豊富な前提知識があるのですが、如何せん問題文や選択肢の英語が理解できないということで、自らの英語力の低さを痛感させられています。日本に帰国するまでに、テストやレポートに困らないだけの英語力を身に付けられるよう精進するつもりです。

Ⅲ.寮生活
こちらにきて1週間ほどは、Scott Hallという通称Six-Packsのうちの1つに数えられる「悪名高き」寮に住んでいました。寮の申請が遅くなってしまい、希望は全く通らずTemporary roomであり、なおかつ3人部屋でした。ルームメイトはイタリア人の留学生2人で、どちらも個人的にはすごくいい人だったのですが、やはりイタリア語で四六時中会話をしており、なかなか仲良くなることができませんでした。また、寮自体もFreshmanが多いせいか1日中騒がしく、更に授業のある建物や飲食店から遠く不便であったため、現在は引っ越しをしてIllini Tower(通称IT)という、寮とアパートの中間のような建物に住んでいます。普通の寮に比べて、寮費は少しばかり高いのですが、キッチン・リビング・バスルームつきの部屋を4人でシェアしており、そのクオリティには非常に満足しています。ルームメイトもアメリカ人・中国人・韓国人と多様で、時には文化の違いからかイライラすることもありますが、基本的には仲良く生活しています。寮全体としてはお金持ちの韓国人、中国人、インド人が半分、その他はアメリカ人という感じですが、基本的にみんなフレンドリーで友達が作りやすい環境ではあると思います。設備に関しては、24時間勉強のできるStudy loungeや各階に存在するlounge、更には映画の観れるTheater roomや、ビリヤード・卓球のできる地下室、少し機械が古いですがジムまでついており本当に充実しています。また、ITは飲食店の並ぶGreen St.や学校の中心であるQuadからも近くロケーションも非常にいいので今後の留学生にもお勧めできる住居です。(ただ食堂のクオリティは非常に低いですが)

Ⅳ.課外活動
こちらに来てからは日曜日~木曜日=宿題とテスト勉強に追われる日々。金曜日・土曜日=遊び。というなんともメリハリのしっかりついた日々を過ごしています。2か月ほど、特に変化のない毎週を過ごしていたのですが、10月中旬からはIllini4000 (http://illini4000.org/)というバイクチームの活動が始まりました。Illini4000は募金活動やインタビューなどを通じてガンの啓発運動を行うNPO団体です。2007年度JIC奨学生の長谷川貴也さんも参加していらっしゃった団体で、私は渡米する前に長谷川さんの奨学生レポートを読ませて頂き興味を持ちました。というのも、自転車でのツーリングが趣味のうちの1つであり、更にガンと闘病中の恩師に何らかの形で恩返しをしたいと思いつつも、何もできていなかったという現状があったからです。活動内容は大きく分けて2つあり、1つ目が1年間通しての募金活動。今年のチームの目標額は1500万円で、集められたお金はガンの研究費用やガンで親を亡くした子供たちを対象としたキャンプの費用に充てられます。2つ目は、2012年夏休みに行われる自転車でのアメリカ横断。6400kmにも及ぶ道のりのなかで、ガンにかかわる様々な人にインタビューを行い、その内容を広く発信することでガンの啓発運動をするというものです。留学生活中は勉強以外の軸として、Illini4000の募金活動やトレーニングが私の主な活動になっていくことと思いますので、次回以降の奨学生レポートでもその内容も含めてお伝えできればと思っています。

最後になってしまいましたが、イリノイ大学への留学という大変貴重な機会を与えて下さったJICの皆様、そして応援してくれている家族、友達やその他の皆様の期待に応えられるよう、残り9か月、実りある日々を送りたいと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。