結城一磨さんの2016年7月分奨学生レポート

「留学を終えて」

<学習面>

アメリカで、本家のファイナンスとアントレプレナーシップを学び体感する留学と題して今回は留学させていただきました。

ファイナンスの観点では、常に授業はアウトプットの場、インプットは自習にて行うといった傾向がレベルの高いクラスになればなるほど強かったと思います。日本ではセオリー中心で具体的に投資家がどういったことを行っているか、イメージしにくかった部分があったのですが、イリノイ大学では社会ですぐ使えるスキルを身につけられるように理論をいかに利用して分析するかに焦点が置かれ、実社会で投資家が行っていることの具体的なイメージができるようになりました。こうした授業や、実際の投資家のお話を伺えたことで、自分の今後の進路についてどうすべきか考えられるようになり、そこまでファイナンスを深く学ぶことができたのは非常にありがたかったです。

アントレプレナーシップに関して、アメリカのものと日本のものと比較をした結果、日本でそういった機会に多く触れてきていた分、日米で学生のマインドに圧倒的な違いがあるかといったらそうではないと実感しました。ただし、プレゼンやピッチをする技術や、社会から見た起業に対するイメージもあちらは異なります。組織の運営の方法の違いや日本人の国民性、社会や環境的な他の要因によって、起業率が日本は未だに低く、ビジネスに関してアメリカから遅れをとる結果になっているのであると感じました。日本のビジネスにもそれぞれいいところもあることは思いますが、それでもやはり海外の、特にアメリカのビジネスや研究分野から学ぶべきことは未だに多く、常にその意識の必要があると実感しました。

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<写真1−イリノイ大学の卒業セレモニーへ参加>

 

<生活面と今後>

帰国後2〜3週間ほどでこの記事を執筆しているのですが、アメリカへ帰りたいと思わない日はないほどにアメリカ、特にイリノイ大学に居心地の良さを感じていました。それはなぜかと深掘りしてみると、多種多様な人種と接する機会が毎日のようにあるアメリカと、良くも悪くも同じコミュニティ、同じ日本人で固まる気質のある日本といった環境の違いが理由にあります。僕自身居心地の良さを感じるのは前者の環境で、そうした環境を探し求め、現在就職活動を行っています。事業を起こすことや影響力ある価値を社会に残すことをしたいという軸と、グローバルな環境の確保という軸、この両者は今回の留学のおかげで固めることができなかった軸のように思います。

留学前までは漠然とそうした目標がありつつも、正直中弛みしかけていた自分がいました。一旦留学してあちらの学生を見渡してみると。日本で培っていたスキルは使えず、自分の英語力やその他スキル面で足りないものが多すぎることを痛感しました。10ヶ月という留学の期間はあっという間でしたが、今後のキャリア形成を選ぶ上でもこの留学が私自身に与えてくれた気づき、学びは非常に大きかったと実感しています。

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<写真2−今は恋しいARC。今後も筋力トレーニングのように着実に目標に向かっていこうと思います。>

 

〜余談〜

「Dance & Social〜競争社会からの離脱と人間力〜」

留学する前は日本の競争社会に生き、人生を最短距離で歩んでいこうという意識が無意識のうちに植えつけられていたような気がします。留学での新しい気づきのうちにsocialの文化があります。これは大きく私の価値観を変えてくれました。私は積極的にアメリカ、ヨーロッパや中南米など日本ではあまり会うことのできない国籍の友人たちを多く作ろうとしていました。この努力から、彼らから新しい生き方についてのヒントをもらえたと感じています。彼らはもちろん勉学を頑張ります。ですがそれと同時に趣味や教養、社交的な機会に関しても貪欲です。ヨーロッパ人とシカゴシンフォニーオーケストラに自分から誘って行った時は彼らの音楽への教養の高さに驚かされました。雑学を多く持っていることもより人を魅力的にすると気づかされ、そういった人間力的な要素も社会に出る、海外に出ると重要になってくると実感しました。

また、私は日本ではあまり学ぶ機会がなかったballroom dancing(二人一組で踊るダンスの総称)も後期から参加しました。ヨーロッパや南米はそういったダンス(salsa,chacha,swing,waltzなど)を学生の時期から学んでいる、親から教えてもらっているらしく、海外で人間力を高める一つのスキルになっていそうです。実際に踊れると見知らぬ人とでも仲良くなるきっかけが掴みやすくなります。こういったダンスは一見運動に見えて一種のコミュニケーションツール、言語のような要素が大きいということも学んでみて実感することができました。(第一外国語:英語、第二外国語中国語、第三外国語スペイン語、第四外国語:ダンスとするのが直近の僕の夢です。)

アメリカでは知らない人と知り合うきっかけが非常に多く、そういった機会は重要視しているように思います。また、日本との比較の話になりますが、日本人はイベントのテーマ、趣旨によってそのイベントへ足を運ぶ、目的を達成することに重きが置かれやすいように思います。一方西洋などはもちろんイベントに目的はありますが新しく交友関係を広げることにより重きを置く文化だと感じました。親しい友人などと時間を過ごす際も常に同じバーや行きつけを作るのではなく、オーケストラ、ミュージカル、他の社交イベントなど多くのイベントに足を運ぶ。そしてそこでも教養を広げるきっかけとなっている、そういった文化やイベント機会ももう少し日本に欲しいと感じました。ミュージカルなど旅の一つの楽しみにもなる夜のエンターテインメントが東京にあまり存在せず、訪日外国人ががっかりしてしまう、というケースもよくあるようです。

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<写真3−参加していたダンス団体のgraduation dance party>

 

話は多少ずれましたがsocialの時間を確保するために日々の効率を上げる、月曜日から金曜日の稼働時間は集中してやるべきことを終わらせる。全力で仕事や勉学をしつつ、今生きている一瞬一秒を大切にし、趣味や本業以外のことも全力で楽しみ、人生に彩りを持たせる。あちらの学生は皆そういったマインドを意識する文化が定着していました。オンとオフの切り替え、より人間力を高める時間を増やしたいと社会人になる前に考えられるようになったのは自分にとっても大きい学びでした。たとえ英語ができても、業務に関する専門的な用語が使いまわせるようになっても、実際に日本以外の国籍の人と交流、仲を深めるためには自身の教養の深さ、話題の手札の多さが重要だと身を持って実感しました。様々な人が集まるイベント、パーティ、ダンスなどに積極的に参加したのも、国際的な人間力と高め、様々な国の人に人として魅力的と思われることは今後ビジネスにしても人生においても重要だと意識していたからでした。今後も全力で本業に打ち込みつつ、自身の国際的な人間力を高める努力を常に続けて行こうと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。最後にはなりますが、多大な皆様のご支援のおかげでこれまで述べてきたような学びを得ることができました。皆様がいなければ今の価値観を持たずに今という時を迎えていたと思うと感謝の気持ちでいっぱいです。今後、私は今までの恩を社会へ還元すべく、自分らしく、人事を尽くしていきたいと思います。ご支援ありがとうございました。