2008年度奨学生レポート(本間 奈菜)

Japan Illini Clubの皆様、いかがお過ごしでしょうか?一橋大学法学部4年の本間奈菜です。このたび、3回目の奨学生レポートをお送りします。長いシャンペーンの冬も終わり、ときおり寒い日もあるものの、晴れの日にはQuadで勉強する学生も増えてきました。と同時に、私たち2008年度JIC奨学生の留学期間も、残すところ2か月弱となりました。今回は、今学期の授業や課外活動の様子(ボランティア、春休みのワシントンDC~ニューヨーク旅行)、そしてこちらで仲よくしている友人たちについてご紹介したいと思います。

<Spring Semester の授業>
前回のレポートでも軽く触れましたが、今学期履修している授業は、”Political Science 230 Introduction to Political Research”, “Political Science 241 Comparative Politics in Developing Nations”, “Political Science 358 Comparative Political Behavior”, “Global Studies 296 Understanding Global Water Issues”, “Global Studies 296 Citizens and Citizenship in the Era of Globalization”, “ESL 110 Pronunciation” の6クラスです。先学期よりもクラス数も多く、また授業自体が積極的な参加が求められるものや毎回課題がある授業が多く、必然的に今学期は勉強中心の生活になっています。

PS241は、私の住んでいる大学寮Pennsylvania Avenue Residenceで開講されている授業で、Mohandus Gandhi の孫であるRajmohan Gandhi教授が教えてくださいます。授業自体は、板書もハンドアウトもなく進行するので留学生には難しいですが、先生はフレンドリーで学生の意見を積極的に授業に反映してくださいます。受講している学生も、約半数は、私と同じGlobal Crossroadに住んでいるので、中間テスト前は、連日皆でラウンジで勉強会を開きました。私は皆に教えてもらうばかりになるかと思ったのですが、日本で受けてきた授業等の知識で皆を逆に助けてあげることもでき、study groupに貢献できたことは自信になりました。

PS230は、今学期で一番難しい授業です。 統計データを政治学の論文に用いるための「初歩的な」(教授曰く)ソフトウェアの使い方を習うのですが、毎回の課題をこなすのが本当に大変で、他の学生といつも苦労話が絶えません。私にとっては英語とコンピュータ言語の二重苦ですが、アメリカ人の学生でも、政治学専攻で統計を使った経験のない人がほとんどなので、ここでもあまり気後れせず、グループワークでは同等に働くことができ、難しいですが充実しています。やりたいことを思うようにソフトウェアで表現できるようになったときの達成感はなんともいえませんし、教授もTAも手助けしてくれるので、最終課題のリサーチペーパーも頑張って書き上げたいと思います。

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<Spring Semesterの課外活動>
☆ボランティア
忙しい授業の合間に気分転換のよい機会となっているのが、Krannert Center Student Associationで今学期始めたusheringの ボランティアです。これは、Krannert Center for the Performing Artsで行われる様々なパフォーマンスに、座席案内の係員としてボランティアをする代わりに無料で鑑賞できるというものです。もともと、人を案内したりもてなしたりする仕事が好きなので、パフォーマンスを見に来るアーバナやシャンペーンのコミュニティの方と交流できることも大変面白く感じていますが、なにより、今までも行きたいと思いつつなかなか行く機会のなかったクラナートセンターでは、本当に様々な公演が組まれており、改めてイリノイ大学の恵まれた施設と、提供されている機会の幅広さに感動しました。先月は、アクロバットと無声演劇を組み合わせたカナダのサーカス団のパフォーマンスで見ることができ、満員のお客さんと一緒についショーに見入ってしまいました。

☆旅行
先週21日から今日29日まで、イリノイ大学は春休みでした。私は、一人でワシントンDCにて二日間過ごした後、長距離バスでニューヨークに向かい、日本から訪ねてくれた友人と合流し、しばし学業とも静かなシャンペーンとも切り離された生活を楽しみました。
DCでは、国会議事堂やホワイトハウスなどアメリカの行政を担う機関や、アメリカ国会図書館、スミソニアン博物館と総合して呼ばれる、巨大な博物館群や歴代アメリカ大統領の記念の建物などを訪れました。驚いたことに、DCにある博物館の入場料や、国会議事堂等の内部見学ツアーはすべて無料です。DCのどこにいてもアメリカという国の歴史や精神を感じることができ、素晴らしい二日間でした。特に、博物館でのリンカーン特集やリンカーン記念館は、イリノイ大学に学びなんとなくですが親近感があるため、大変興味深く見ることができました。
NYでは、観光スポットに加え、国際連合本部と世界貿易センタービル跡地を訪れたことが、この旅行で最も印象深いことの一つです。同行した友人も、同じく一橋大学で国際関係論を学んでいたので、こうした機会を通して多くのことを考えさせられ、アメリカで感じること、日本に対して考えることなどの議論にも発展しました。しかしやはり、ニューヨークは、シャンペーンともシカゴとも違い、夜遅くまで通りが賑やかで、交通手段もお店も便利でやはり大都会は違うなと思いました(笑)当初はどんな犯罪に巻き込まれるかわからない、とかなりびくびくしていたのですが、堂々としていれば却って危なくないのだと気付き、積極的に歩き回ったり人と話したりしました。3日4日と過ごすうちに、静かで集中できるシャンペーンが恋しくなりましたが(笑)、残り2か月を充実させるための、良い充電期間になりました。

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もともとの旅行の目的であった大学院訪問も、国際政治で有名なGeorgetown University, Columbia University など、二都市合計で4か所行くことができました。百聞は一見にしかずといいますが、授業の様子や学生の雰囲気など直に見ることができ、自然と大学院への意欲が高まりました。

<U of Iの友人たち>
最後に、こちらで仲良くしてもらっている友人たちについてお話したいと思います。最近よく感じることなのですが、私はこちらイリノイに来ても友人に恵まれており、彼らにいつも助けられています。香港や中国などから来ている留学生の友人たちは、授業や英語やアメリカでの暮らしなどに関する私の悩みを聞いてよく理解してくれますし、アメリカ人の友人は、Nanaが外国で、外国語で頑張っていること自体がgood tryだよと、いつもポジティブにはげましてくれます。授業の合間に彼らとおしゃべりをして過ごすのが、今の私にとって一番のリラックス方法です。政治学専攻以外の友人が多いのですが、みなそれぞれ違う将来へのビジョンを持って勉強に取り組んでいる姿勢から、学ぶことはたくさんあります。

また、日本に対して深く理解してくれていたり、よく知らなくても興味を示してくれる人がたくさんあり、それが接点となって友人が増え、大変うれしく思っています。半年私がこちらで過ごす間に、私や他の友人に影響され、日本語を習い始めた友人は片手では数え切れません。イリノイ大学での留学期間自体はあと2か月弱で終了してしまいますが、ここで得た一番の財産である、人とのつながりは、それ以降も持続させたいと強く思います。日本に留学や旅行にくる予定の友人も多いので、こちらで私が助けられた分、今度は私が彼らの力になりたいなと思います。

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最後になりましたが、イリノイでの友人だけではなく、日本から送り出してくれた友人や家族、そしてなにより、このような機会を与えてくださり、そしていつも温かく応援してくださっているJICの皆様には本当に感謝してもしきれません。大学内で過ごしていても、旅行の際などに大学の外に出てみても感じるのは、イリノイ大学という素晴らしいチャンスの宝庫に学ばせていただけることの貴重さです。ひとつも心残りのないくらい、残りの期間を120%のつもりで充実させていきたいと思います。

本間奈菜
一橋大学法学部4年

写真解説
1、バスケの試合を見に行きました!
2、NY、国連本部総会議場にて
3、Global Crossroadのパーティにて。真中にいる中国人の女の子とは、日本のドラマで盛り上がり、勉強を励ましあう仲です(笑)

2008年度奨学生レポート(本間 奈菜)

Japan Illini Clubのみなさま、ご無沙汰しております。2008年度奨学生の本間奈菜です。イリノイ大学での初めての学期はあっという間に過ぎ、冬休みを挟んで早くも春学期が始まりました。10月に初雪が降って以来(今年は例年より早いそうです)、シャンペーンは常に雪に包まれ、日中での氷点下の日が珍しくありません。実は、春学期が始まる直前まで中米コスタリカという国に行っていたため、シャンペーンに帰ってきた際に余りの気温差で風邪を引いてしまいました。そのため提出が遅れてしまって申し訳ありませんでしたが、第二回目の奨学生レポートをお送りします。今回は、主に秋学期の振り返りと、秋休み・冬休みの様子、また始まったばかりの春学期についても少しだけお伝えします。

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【Fall Semesterの授業】
学期初めは、アメリカ人学生に交じっての授業についていけるか不安なうえに、膨大な量のリーディングと毎回の授業中のディスカッションに圧倒されていました。しかし、教授方のサポートもあり、慣れていくうちに、授業中はなかなか難しくとも、プレゼンテーションやレポート課題の中で自分の意見を展開することができ、いくらか自信もつきました。

Sociology160 Global Inequalities and Social Changesという授業では、「グローバリゼーションが私たちの身近な生活にどう関係しているか」をテーマに、各々が実際にBest Buyなどの量販店におもむいて、生産国や企業情報を集めて集計・分析するという変わった課題が出されたのですが、このように自分でリサーチを行い、自分の言葉でまとめるというのは、アメリカの授業らしいなあと感じました。また、この学期で一番印象深いのは、Political Science240 Introduction to Comparative Politicsという授業です。主に途上国を研究対象にして、民主主義や独裁体制などの国家体制の違いがどのような効果を国家にもたらすのかについて一連の講義が行われたのですが、学生向けの教科書ではなく、学術誌に掲載されている論文を毎回読むのでかなり苦戦させられました。しかし、トピックとして大変興味深く、以前からの研究関心にも接点がある分野なので、春学期には比較政治学をもうすこし掘り下げてみようと考えています。

【Fall Semesterの課外活動など】
日本ではこじんまりした大学に通っていたため、イリノイ大学の学生活動の幅広さには、学期初めのQuad Dayで本当に圧倒されました。せっかくの機会ですので、秋学期は授業だけでなく、そのような学生活動を含め交流の場を広げることにも心がけました。また、第一回のレポートにも書いたように、私の住む寮は国際理解がコンセプトであるせいか、住人はとてもフレンドリーな人ばかりなので、授業から疲れて帰ってきても、みんなとおしゃべりして過ごすことがうまく息抜きになっています。

多くの先輩方も行かれたBoston Career Forumに参加したため、残念ながら秋の楽しいイベント、ハロウィーンは逃すことになってしまいました。しかし、BCFでは企業からも、一橋・イリノイの友人やボストンで作った友人からも多くのことを学びました。単純に、一人で旅行をする度胸も付きました。実は、シカゴに向かう際ボストン空港で、普段から持ち歩いており、ボストンにも何気なく持ってきてしまった護身用のペッパースプレイが安全検査に引っ掛かり、警備員に尋問に近い対応をされてしまいました。全く知らなかったのですが、マサチューセッツ州法ではペッパースプレイは所持が禁止されているそうです。。。スーパーでライセンスも何もなしに購入したと説明しても警備員さんは半信半疑で、IDを見せ、留学生だと説明しやっと罰金は免除してもらえました(結局没収はされてしまいましたが…)。予想もしないところでアメリカの連邦制度を体感することになりました。

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11月頭には、アメリカ大統領選の本選挙が行われ、この日はキャンパス全体が選挙に話題で持ちきりでした。残念ながら投票に参加することはできませんでしたが(苦笑)、テレビのある寮のラウンジで友人たちと開票速報に張り付いていました。夜遅くにオバマ氏の当選確実が報道されると、PARと、向かい合っているFARからはものすごい歓声が聞こえてきました。マケイン氏の敗北宣言とオバマ氏の勝利宣言を見たあと、Quadに出かけたのですが、QuadとGreen Streetには興奮した学生が詰めかけ、皆で“Yes We Can!!”と叫んで盛り上がりました。大統領を直接投票で選び、その結果に熱狂して外で大騒ぎするなど、日本では考えられないことですので、この日にアメリカに居合わせられたことを思うと、この年に留学できて本当によかったなぁと思います。しかも今回の選挙は、アメリカ人にとって4年に一度という以上の意味を持つものでしたし、何よりイリノイ州はオバマ氏の地盤であることもあって、皆の喜びようは特に大きかったのだと思います。しかし一方で、やはり最近は日本と同様、アメリカでも若者の政治・選挙離れが進んでいるそうです。大変注目されていた今回の選挙でも、この傾向が完全に覆されたわけではありませんでした。それを題材にESLの授業でレポートを書いたのですが、政治学専攻として、熱狂から一歩引いた冷静な視点からの、アメリカ社会の検討の面白さを感じました。

Fall Breakには、Alternative Spring BreakというプログラムでNew Orleansに行き、ハリケーン被害からのコミュニティの復興のためのボランティア活動を行いました。ASBはイリノイ大学のUniversity YMCAが主催するプログラムで、New Orleansグループは14人でした。旅行前はほとんど面識のなかった他の学生とも、片道12時間のドライブでうちとけるようになり、5日間はあっという間に過ぎてしまいました。ボランティアは具体的には、ハリケーン以降放置された空き家の清掃や、中古の家具を安く提供しているNGOの倉庫整理、被災された方のお宅のペンキ塗りをしたのですが、ペンキ塗りの後に、家の方からハリケーンの直後や現在の苦労を実際に聞けたことが印象に残っています。また、私にとっては、同行したアメリカ人学生のボランティアに対する見方、アメリカ社会に対する見方を身近で観察することができたことも、大きな収穫でした。

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【コスタリカ旅行】
12月のあわただしいfinal weekをなんとか乗り切り、クリスマスはシャンペーンに滞在した後、年末にはコスタリカに旅立ちました。Quad Dayで見つけた、Registered Student Organizationの一つであるInternational Impactという団体に申込み、コスタリカチームの一員としてボランティア旅行に参加することになりました。チームは私を含め9人です。合計で3週間滞在したのですが、コスタリカは比較的小さな国なので、コスタリカ中をめぐることができました。

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最初の一週間は、ウミガメの保護プロジェクトに参加するため、首都から5時間の太平洋側の町に行きました。私たちが滞在したキャンプは、さらに町からも離れており(橋がかかっていない川を自力で渡らないと着きません)、個室も熱いシャワーも、電気もインターネットもありませんでしたが、その分自然の美しさは格別でした。夕日やたくさんの流れ星、波の音など、一生の記憶に残る場所でした。プロジェクトの仕事は、毎夜孵化する赤ちゃんガメを観察し、海に返しに行くことなのですが、これも、自然と命の偉大さを感じ、本当に感動しました。その後、首都を起点に活火山の噴火の様子を見に行ったり、熱帯雨林の中でジップライニングやラフティングをやったり、太平洋と反対側のカリブ海側を訪れたりしました。ジャングルに分け入って、先住民族Bri Briの家を訪ねたのは、ものすごい量の蚊に刺された甲斐がありました。最後の一週間は、首都の貧しい地域にある幼稚園で半日子供の遊び相手をし、午後はスペイン語のレッスンを受けたり首都を散策したりしました。幼稚園では、スペイン語が話せなかったためなかなかコミュニケーションがとれませんでしたが、それでもかわいい子供たちと一緒に園内を走り回ったり、折り紙を教えたりして、楽しく過ごすことができました。

しかし、このコスタリカ旅行では、改めてカルチャーショックに直面したり、英語の通じない悔しさに泣いたり、一緒に笑って踊ったり…と、アメリカ人と大半の時間を過ごしたことで、タフさと文化の違うことへの寛容さが身に付いたことが何より私にとって大きなことでした。理不尽だと思ったことには、自分が少数派であっても、意見を声に出して伝えることが大切なのだと学びましたし、逆に、小さなことにこだわりすぎて、楽しく過ごせないのはもったいないとも思えるようになりました。実は、旅行前は3週間という長さに怖気づいて、行くかどうか迷っていたのですが、英語力の面でも、精神面でもすごく鍛えられたコスタリカ旅行は、行ってみて本当によかったと思います。他のメンバーとも後半は打ち解けられ、O’Hare空港で解散するのは、大学でまた会うとわかっていても寂しかったです。

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【春学期の予定など】
さて、今学期はアメリカでの最後の学期となります。欲張りな私は心残りの無いよう、できるだけいろいろな授業を取りたいと思っているため、今学期は先学期よりも挑戦的な時間割になっています。また、日常生活では苦労することが減ってきた反面、授業を受ける上ではまだまだ英語力が足りないと感じているため、授業中の発言やプレゼンなど、それぞれの授業でもっと存在感を出すことが目標です。

軽く先述したように、政治学の中でも、一橋大学では学べない比較政治学やそれに必要な実際的なスキルを学ぶため、Political Science 241 Comparative Politics of Developing Countries, PS 356 Comparative Political Behavior, PS 358 Comparative Political Economy, PS 230 Introduction to Political Researchを履修します。また、GLBL 296 Global Seminarでは、グローバル化社会における特定の問題を多面的に扱う姿勢が興味深いと思い、Understanding Global Water IssueとCitizens and Citizenship in the Era of Globalization の二つを履修します。特にcitizenshipに関するコースは、アメリカで様々なバックグラウンドを持つ人々に出会ったことで興味を引かれた分野です。日本の比較的閉ざされた社会の中では気付かなかった、移民という、グローバリゼーションの重要な議論の一つへの視点を養うことが目的です。

最近、Nanaはいつ日本に帰るの?と友人や周りの人によく聞かれるのですが、まだまだやりたいことはたくさんあるし、もっと伸ばしたいものもたくさんあるのに、これが最後の学期だと思うと必要以上に焦ってしまいます。しかし、コスタリカに行って感じたことなのですが、人との出会いも、チャンスとのめぐり会いも、結局は一期一会です。あと○か月、○日、など後ろ向きに数えるよりも、今を新しいスタートと捉えて自然体ですべてに取り組んでいきたいと思います。

最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださり、そしていつも温かく応援してくださっているJICの皆様には本当に感謝してもしきれません。JIC奨学生として、数少ない日本人留学生として、私がもらっているものの大きさには敵いませんが、イリノイ大学にもプラスのインパクトを残せたら、と考えております。

一橋大学法学部4年 本間奈菜

≪写真解説≫
①部屋の外から見える景色です。雪まみれ…
②ハロウィン当日はシャンペーンを離れていましたが、ハロウィン前のPumpkin Curvingは参加しました!意外と簡単でしたー
③ニューオーリンズでは、みんなで自炊しました
④ウミガメ保護のキャンプからすぐのビーチにて
⑤幼稚園の子供たちに折り紙を教えました!

2008年度奨学生レポート(本間 奈菜)

Japan Illini Clubの皆様、いかがお過ごしでしょうか。2008年度奨学生の本間奈菜です。10月に入り、秋らしく空気はかなり冷たくなって、紅葉が本格的に始まろうとしています。

 

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に到着してから、早くももうすぐ2か月が経とうとしていますが、このたび、第一回目の奨学生レポートをお届けいたします。この2か月、環境に慣れるのに無我夢中でしたが、今でも毎日ひとつは新しいことに出会うので、わくわくの連続です。その反面、皆様に胸を張ってご報告できるようなものはまだまだ少ないですが、楽しんで読んでいただければ幸いです。

 

<シャンペーン到着後~日常生活>

 

到着直後はイリノイ大学へのチェックインや健康診断、口座開設など必要な用事に追われていましたが、同時にInternational Student and Scholar ServiceStudy Abroad Officeのオリエンテーションのおかげで、キャンパスに親しみ、世界の様々な国からきた友人を作ることができました。履修に関することから、小さな疑問の相談まで気になることはISSSSAO、私たち奨学生の所属するCollege of Liberal Arts and Scienceのスタッフに聞きに行きました。彼らは留学生にも親切に接してくれ、とても頼りにできる存在です。

 

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授業が始まる直前の日曜日には、Quad Dayに参加しました。Quad Dayは、Main Quadにイリノイ大学のあらゆる学生団体やその他の団体が集まって、主に新入生を対象にメンバーリクルーティングや、自らの活動の発表をする、イリノイ大学の一大イベントです。私は留学生向けの国際交流団体のほかに、自分の専攻であるPolitical Science関連の団体や、ボランティア団体に登録をしておき、情報をメールで受け取れるようにしました。後日その中から、秋休み、冬休みそれぞれにボランティアの旅行を企画する2団体に所属することに決めました。(後述)また、私は現状では英語の中でも特に会話力が弱いと感じているため、これを伸ばすために、Quad Day等で知り合った2つの団体のバディシステムやメンターシステムを利用して、アメリカ人の会話相手を紹介してもらいました。彼らとは週一回程度会って、カフェでおしゃべりしたり、ショッピングに行ったり、大学についての豆知識(例えば、イリノイ大学のロゴ入りTシャツによく用いられる、”Chief”のデザインが人種問題になっていること等)を教えてもらったりしています。

 

私が住んでいるのは、JICの先輩方もたびたび住んでおられた、キャンパスの東南に位置する学部生寮PARの中にある、Global CrossroadというLiving Learning Communityです。ここでは、名の示す通り「国際性」をコンセプトに、多くの留学生とアメリカ人学生が協力し合って暮らしています。一人暮らしが初めての私にとって、生活の面でも、不自由な英語を上達させるためにも、そしてなにより1年間の留学生活を楽しく過ごすために、Global Crossroadを選んだことは、大正解だったと思います。留学生や外国にバックグランドをもつ学生が多く住み、またアメリカ人の学生も、外国語や国際関係学を専攻している学生が多いため、みな誰に対してもフレンドリーで、Global Crossroad全体に和気あいあいとした雰囲気があります。私も、なかなか会話のスピードについていけないにも関わらず、みな親切に接してくれるため、ここでたくさんの友人を作ることができました。また寮生間の交流を促進するため、Global Crossroad担当のオフィスや男女各フロアに一人いるResidence Assistantが大小様々な企画を立ててくれます。バースデーパーティーやInternational Café(みんなで集まってお菓子をつまむ)のように、毎月恒例の行事もありますが、大きなイベントものでは、再来週にはみんなでシカゴにミュージカル「ウィキッド」を鑑賞しに行く予定です。

 

イリノイ大学は私が想像していた以上に、美しく広大なキャンパスと優れた施設を持つ大学なので、本当に驚きました。特に、真新しいジムと図書館が私のお気に入りです。今学期オープンしたActivities and Recreation Centerは運動好きの学生に大変人気で、私もリフレッシュのために、水泳をしに通っています。全米の大学図書館の中で2番目の規模を誇る(との噂の)図書館は、私の専攻に関する資料が充実しており感激しましたが(それでも一冊一冊を読むのが私には一苦労ですが…)、それだけでなく、テスト前など勉強をしたいときには最適の環境です。また暖かい日には、こちらの学生に交じって、Main Quadの芝生に座って勉強をしたりもします。

<授業>

秋学期に履修しているのは、PS240 Introduction to Comparative PoliticsPS395 International OrganizationsSOC160 Global Inequalities and Social ChangeESL Academic WritingKIN107 Water Aerobics13時間です。一橋大学では国際政治を専攻しておりましたが、イリノイ大学では引き続き国際政治学・国際社会学を履修するとともに、せっかくアメリカで学ぶのだから、アメリカ政治に関連する授業を取りたいと考えています。実は、アメリカ大統領選挙を身近に見られるこの年に留学できたことを何かに生かしたいと思い、PS312 Politics and the Mediaをぜひ履修したかったのですが、アドバイザーに相談しても、教室に収まる人数の関係でどうしても入れてもらえなかったのが心残りです。他の授業はこちらに着いてから、LASのオフィスをめぐり、希望の授業に加わることができました。PS312は来期に気を取り直して履修するつもりです。

Political Science Sociologyのクラスは、予習の課題書が多く、授業中の発言やディスカッションへの積極参加が要求されるため、一日一日をこなすのが本当に大変です。今がまさにMid Termの時期なので、さらに授業の復習もしなければならず、いちばん辛い時期だと思うのですが、友人と励ましあってなんとか頑張っています。これらの授業は私が日本で学んでいたこととつながることも多く、そのためペーパーやTAとのやり取りで評価してもらえることもあり自信になりますが、現状では、言葉の難しさからクラスに対して自分の意見をうまく発信することができない悔しさのほうが、充実感よりも大きいのが正直な感想です。秋学期が終わるまでには、「あの日本人学生の考えていることは面白い」とクラスメイトに思わせられるようになるのが目標です。

 

<旅行など>

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 秋学期が始まってすぐのLabor Dayの三連休に、同じくJIC奨学生の森本さんと、香港出身の友人3人、台湾人1人の6人でシカゴに旅行に行きました。バスが行きも帰りも遅れたり、5人部屋を予約してあったのにも関わらずツインルームに通されたり、トラブルに見舞われましたが、それもあって(?)忘れられない旅行になりました。シカゴはシャンペーンと比べると都会ですが、東京のような日本の都会とは違う美しさがあり、とても惹かれました。美術館の好きな私には、膨大なコレクションを誇るArt Instituteが特に印象に残っています。また、先週はシャンペーン近郊の州立公園へキャンプに行きました。はじめてのカヌーイングをしたり、道端に出てきた小鹿に遭遇したり、みんなで外で料理をしながら満点の星を眺めたり、寝袋に入りながら夜まで話をしたり、日本ではなかなかできない楽しい経験をさせてもらいました。

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<今後の目標>

 

この二か月や現在の生活を最もよく表す言葉は、単純ですが「多忙」「よく学びよく遊ぶ」以外にないと思います。アメリカでの貴重な一年間で、できるだけ多くのことを吸収したい!と常にアンテナを張っているため、私のiBook(イリノイ大学の学生がよく使う手帳)の9月・10月のカレンダーは真っ黒です(笑)さらに、日米の教育システムの違い、アジア人という意識…等等、興味深い議論のネタが生活のそこらじゅうにあるので本当に退屈しません。一方で、授業は自分で努力すればするほど、理解が進み面白くなります。まだまだ生活に順応するのに苦戦する中、これらすべてをやるのは不可能なので、重要なのはバランスをとることなのだと思います。そのため今後の目標は、自分なりのペースをつかみ、英語力の向上と授業への積極参加に重点を置きつつ、一日一日を楽しく過ごすことです。

先に軽く触れましたが、秋休みには、昨年JIC 2007年度奨学生の八尾さんが参加された、大学YMCAが主催するAlternative Spring Breakというボランティアプログラムに参加し、ルイジアナ州ニューオーリンズでハリケーンカトリーナ被災復興のお手伝いに行くつもりです。さらに冬休みは、中南米でのボランティア旅行を企画する学生団体に所属し、コスタリカに3週間程度滞在することになりました。こちらは完全に自力での企画なので、渡航前のファンドレイジングから、帰国後のフィードバックまで一貫して自分たちで行わなければなりません。これは日本とはかなり異なると思います。まだ活動が始まったばかりで具体的なことはこれから詰めることになりますが、イリノイ大学の恵まれた環境の外で過ごすことで、また新たな素晴らしい体験ができるだろうと今からわくわくしています。

最後になりましたが、JIC奨学生としてこのように貴重な体験をさせていただけることを、深く感謝いたします。渡米以前から私たちのサポートをしていただいき、また温かい応援の言葉をかけていただいたJICの皆様、本当にありがとうございます。次のレポートでは、もっとしっかりしたことが書けるよう、毎日を精一杯充実させるよう努めていきたいと思います。

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一橋大学法学部4

本間奈菜

「2008年度奨学生を囲む会」を東京ミッドタウンで開催

2008年4月12日(土)の午後、東京・六本木の東京ミッドタウン内のフレンチレストラン Orange にて、2008年度奨学生を囲む会を開催いたしました。当日は22名もの方にお集まりいただき、4名の奨学生を囲んでイリノイ談義が約3時間半にも渡って花咲きました。

今年度の奨学生の方4名を、次の写真向かって左から順に紹介します。

  • 椿晴香さん:東京大学理学部地球惑星環境学科。
  • 森本なずなさん:神戸大学国際文化学部。
  • 本間奈菜さん:一橋大学法学部。
  • 武友浩貴さん:京都大学工学部地球工学科。

各自の自己紹介は、まもなくJIC会員の皆様に郵送でお送りするJIC Newsletterに掲載しておりますので、楽しみにお待ち下さい。会員登録をなさってない方、あるいは住所等に変更がある方は、この機会にJICホームページ上から新規会員登録あるいは登録情報の更新手続きを行って下さい。 2008年度奨学生(椿さん、森本さん、本間さん、武友君)

会は幹事を担当した2006年度奨学生の河出君の開会の辞によりはじまり、原会長の挨拶、古市理事による乾杯の音頭の後、料理とワインを楽しみながら、奨学生及び参加者全員のスピーチを行いました。1995年度の奨学生だった庄司さんからは、7年振りにコロンビア大学への留学を終えての帰国報告、そして2005年度の奨学生だった白水さんからはこの秋学期からUCバークレイの大学院への留学が決まった旨の報告等があり、奨学生の先輩方の皆さんがその後も海外の大学等で活躍されている様子を知ることができました。

いつものように写真を担当した古市理事の心残りは、集合写真の撮影をすっかり忘れてしまった事です。以下の写真で会の雰囲気をご察し下さい。

開会の辞

料理

歓談中