竹田智君の2000年4月分レポート

竹田 智
東京大学工学部土木工学科
建設マネジメント/開発システム研究室
(2000年3月28日卒業)

イリノイ大学での1年間の留学も終わりに近づいてきました。暖かい春の日差しを背中に
感じながら、工学部の建物まで通っています。達成できたこと、達成できなかったこと沢
山ありますが、全体として初めてのアメリカでの生活は私にとり有意義であったと感じて
います。今年の2月には日本に戻り、私の通う大学にて卒業論文の発表を行いました。無
事に4年間の大学生活にピリオドをうつことができました。イリノイ大学で学ぶこと、そ
して卒業論文を書きあげて卒業すること、この2点を同時に達成することが昨年と今年前
半にかけての目標でした。最も充実し、またハラハラとした時期でありました。達成でき
なかったこともあります。まず自動車の免許をとる時間を見つけられなかったこと。そし
て専門である土木・環境工学の研究室へ配属できるような方向にもっていくことができな
かったこと、この2点です。(旅行もできなかったかな。)これは、今年、来年の目標に
なるのかもしれません。

夏期の授業はとることなく、イリノイからは離れることになります。5月は素晴らしい時
期であると聞いているので、すこし残念な気もしますが。しかし、まだ日本には戻りませ
ん。次なる目的地は中南米諸国です。前号の最終行で「秘密」として触れなかったのです
が、幸運にも、日本のある建設会社から中南米での調査・研究の承諾を頂くことができま
した。土木工学を学ぶ私にとり、国際建設プロジェクトに関する研究は魅力的なもので
す。そして今回その現場を見てまわること、また日本人技術者とそのカウンターパートの
方々へのインタビューをする機会を得たのです。1ヶ月から2ヶ月に及ぶ調査になりま
す。イリノイ大学で出会うことのできた中南米の友人、そして今学期、継続して学んだス
ペイン語が大きな助けになることを祈っています。その後は、南米諸国を見聞し、イリノ
イ大学で出会った友人と連絡をとり再会をする予定でいます。そして10月から大学院生
として再び研究生活に入ることになります。
最後に、学部の間にこうした海外の大学で学べることができたことは、私にとり大きな財
産になりました。アカデミックな部分と、それ以外のローカルな話題を同時に吸収できる
良い機会でありました。大学院においても、共同研究などの形で、どこか海外の大学に滞
在できることを祈っています。まだまだ英語は未熟でありますが、じっくりと、焦ること
なく、慌てることなく学ぶことができればな、と思っています。他の国の言語に関しても
学んでいきたいと強く思っています。そして日本語を、また日本を、自分自身を、見つめ
る機会となれば、と強く願っています。
このような素晴らしい機会を与えてくださったJICの方々、そして忙しい中、最後まで連絡
など暖かく見守って下さった庄司様に深く感謝申しあげ、報告といたします。

竹田智君の2000年1月分レポート

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こんにちは、東京大学土木工学科建設マネジメント/開発システム研究室に所属しております、竹田智と申します。こちらイリノイ大学では、土木・環境工学科 の授業をとり、4年生あるいは大学院生1年生向けの授業に出席しています。前学期は「忙しい」の一言につきます。でも日本人の1人の友人(彼は大学院生) は、研究室を訪れ、担当教授につくということまでしていました。自分にはそこまで行うだけの能力はまだないな、と思うとまだまだ学ぶことだらけだという気 がします。こちらではnon-degreeの形での留学ですが、今年10月から修士課程に進む際に単位互換が出来る可能性も残っています。前学期の結果は 大事にとっておこうと思っています。

さて、前学期を通じて本当に多くの友人に恵まれました。学問に負けず劣らず、今回のイリノイ大学の生 活の中で最も貴重なことだったのではないかと思っています。試験後は多くの友人が次々と家族の家、あるいはそれぞれの国へと帰っていきました。さすがにこ み上げてくるものもありました。特に中南米から1学期間の交換留学で来ていた人々との交流は、自分の将来のこと(土木技術者としてこの付近での仕事、プロ ジェクトに携わりたいと思っています。)を考えると大きな財産になりました。彼らから学んだことは数知れません。自分の器量の小ささを実感させられました し、他人に対し、芯から思いやる気持ちを学ぶことが出来ました

冬休み。多くの留学生はアメリカ国内の旅行、あるいは母国に帰って行きまし た。しかし、卒業論文の提出が迫りつつある私は、12月19日から12月24日にかけてNEW ORLEANSを訪れること、そして12月26日から31日にかけて、会議に参加しにINDIANAPOLISに行くのがやっとでした。しかし、NEW ORLEANSの2人旅(シンガポール出身の方)は非常に思い出深いものになりましたし、会議の方も、多くの大学の人たちと知り合え、非常に有意義なもの でした。クリスマスに日は、教会で仲良くなった御夫婦に招かれ、一緒に過ごしました。閑散とした大
学街には雪だけが残り、寂しい時であっただけに 本当にうれしく思いました。大晦日はカウントダウンを友人宅でし、いよいよ2000年1月1日から…そうです、卒論の草稿が始まったのでした。1月 17日までの17日間は別の意味で心に残ります。日本語の論文を打ちながら、友人と英語で会話し、ときにはスペイン語も加わり、と「自分は
はて何をしているのか?」と頭の中は3つの言葉が入り乱れていました。

し かし、時は去り、2月一杯日本に帰り、卒業論文の発表をし(2月28日)、いよいよ大学4年間が終わりを告げるわけです。学部生という段階でアメリカの大 学で学ぶことは、修士課程などの時に来る時とは違うと思います。即ち、まだ発展途上の段階と、自分の目的を確立してからの段階で周りを見、受け止めること は、全身で感じる刺激が違うと思うのです。それだけに貴重な体験であると思います。(大学院で留学する場合は、研究室、担当教授も勿論決まってることが望 ましいと思いますが。)更なる計画も今、熟考しております。それは今は秘密です。

体にだけは留意し、両親の温かさ、そしてJICの方々の思いやりに感謝を述べまして筆を置きたいと思います。またお会いできる日まで。

2000年1月25日 竹田 智