2007年度奨学生レポート(湊 麻理子)

JIC会員の皆様ごぶさたしております。少しは涼しくなってきましたがお元気でおすごしでしょうか。JIC32期奨学生の湊麻理子です。5月に約1年の留学を終えて日本に帰国いたしました。報告が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。その後就職活動に専念しておりましたが、10月からは再び一橋大学法学部に復学し、3月に卒業する予定です。

この1年間の留学は自分の生きてきた中でも最も衝撃的な体験の一つでした。新しく出会った人々、困難を乗り越えた経験、今まで知らなかった価値観、社会に出る前にこのようにたくさんの新しいものに出会えた経験は自分にとって大変大きな財産となりました。このような機会を与えてくださったJICの皆様に心から感謝すると同時に、今後は会の運営に微力ながら協力させていただきたいと思います。自分の衝撃体験を、つたないながら少しでもお伝えして、最後の報告とさせていただきます。

スペインからアメリカに帰国し、数日間冬休みを寮で満喫した後新たな気持ちで新学期を始めることができました。とりあえずスペインにいる間軽くアメリカシックになっていたので、先学期できた友達と一同に会したいと思い、パーティを開いて楽しく新学期をスタートさせました。お部屋を貸してくれた友達、買い物に付き合ってくれた友達、料理を手伝ってくれた友達、そして何より来てくれた友達に感謝です。知らないもの同士が出席するアメリカのパーティのやり方が面白いなと思い、その様にしてみたのですが、後日、「あのときのMariko のパーティで友達増えたよー」と何気なく言われたことがあり、大変うれしかったです。

●学業●

春学期は秋学期を通しての反省を踏まえて、メディア研究に関する授業を多く履修しました。具体的にはSPCM277 Media and Public Discourse, COMM321Irony in Film, COMM389 International Communication,を履修することができました。また、1学期に履修したRace and Ethnicityの授業や、5ヶ月間アメリカに暮らした経験から非常に興味を持っていた、アメリカの人種問題にも少しかかわるかなと思い、Black Chorus を、自分の趣味からTHEA101Introduction to the Theaterを、そして諸先輩方が強く勧められていたSPCM101 Public Speakingを履修しました。じつはスペインから帰国した時点でほとんど履修ができておらず、あわやアメリカ追放かと危惧していたのですが、さまざまなオフィスを訪問し、先生方に交渉することで、自分として満足のいく時間割を組むことができました。秋学期に訪問した際にはしゅんとうなだれて帰るしかなかったオフィスにおいても、納得できるまで説明しろと強く迫れるようになり、自分が強くなれたと実感できました。

中でも特に印象深かったのは、COMM321COMM389です。メディア研究がほぼ初めての自分にとって、300番台のこれらの授業は大変大きな試練でもありましたが、それと同時にとても刺激的で、先生方もすばらしかったです。ここで少し授業内容を紹介させていただきたいと思います。

COMM321 Irony in Filmの授業においては,毎週一本ずつ映画が課題として出され、それを見た上で”Ironical”なシーンを細かく分析していきます。課題となった映画は水曜日の夜間に特別に映画タイムが設けられ、クラスメイトと学校内の教室で見ることができました。当時映画館でまだ上映されていた”JUNO”もその期間中に見ることができ、驚いたことを覚えています。最初はその時間中に見ていたのですが、せりふなど、字幕入りでじっくり見たほうが分析しやすいと感じたため、毎週図書館や町のビデオ屋さん(Rentertainment)でレンタルしてみていました。(おかげで図書館のDVDコーナーとレンターテイメントの配列は完全に把握しました。笑)課題の映画は教授によってあらかじめ選択されていたのですが、授業の性質上「名作」とは呼ばれないような映画が多かったのですが、それはそれで楽しめました。特に”Annie Hall”,そして “The Namesake”(邦題は「その何ちなんで」)はすばらしい作品だとおもいましたので、もし機会があったらぜひお勧めしたい作品です。

              毎週の授業では、「商業主義」、「人種」、「犯罪」、などのテーマにそって分析を行います。この授業で学んだのは、上記のような一つ一つのテーマを文献によってしっかりと組み立てて映画に応用する手法と、映像(映画に限らず)を分析する視点です。特に後者については、イリノイに来てこの授業を取らなければ学べなかったことですし、大変貴重な経験でした。授業とグループワーク、そして2度のレポートを通して、何度も上記2つの行程を繰り返させられました。グループワークを例に挙げますと、もう一人の学生とペアで、映画ハリーポッターのパロディ映像を分析しました。(URL:)ハリーポッターの世界観とヒップホップを融合させてパロディとしているこの動画においては、(映画での外見と酷似している)ハリーポッターがラップを歌うことがなぜ笑いを誘うのかを、人種、セクシュアリティなどの面から分析し、発表しました。秋学期にはかなりグループワークを負担に思っていたのですが、このグループワークにおいては、「自分の得意分野(あるいは根気でカバーできる部分)で貢献する」という目標に近づけたのではないかと考えます。

COMM 389 International Communicationは、電信にはじまるCommunicationの歴史を総括したのち、主に現代における越境メディアとその影響について学びました。例を挙げると、アルジャジーラやCNNニュースなどの通信社、MTVがアジア諸国に与える影響、ハリウッド映画、Bollywood映画などです。自分が特に興味をもったのは”Cultural Hegemony” という考え方で、シンプルに言うと、「覇権を持ちうるほど普遍的な文化(たとえばハリウッド映画など)は軍事力の覇権と同様に他の文化に侵入し、それに影響する」という論理です。中間レポートにおいては、映画「パールハーバー」の日米のPR方法の違いをもとに、Cultural Hegemonyの限界を論じて、Aをいただくことができました。

この授業は教授が特に講義の双方向性に重きをおいており、積極的な授業参加を要求されました。クラスの学生の討議、そしてクラスのHPの掲示板での議論ですすんでいく授業は大変刺激的であり、じぶんのモチベーションもあげられました。また、先生には学期初めの履修登録の時点で留学生の身分であることから許可書の発行などの面でお世話になっていたこともあり、日本での事柄においてなど、常に発表の機会を与えていただきました。また、授業の理解が足りずメールで質問すると、自分の質問したメールの3倍もの長く丁寧な指導を頂き感激しました。

  

●コーヒー アワー●

諸先輩方のレポートを読む中で、コスモポリタンハウスで開催されるコーヒーアワーのことを知り、是非自分達でもやりたいと留学前から考えていました。日常生活に追われて、気づけば最初の学期が終わってしまい、「もう無理かなー」と思ってだめもとで責任者の方に聞いたところ、開催できるとのことでしたので、今年も無事に日本のコーヒーアワーを開催することができました。ほかの奨学生レポートのなかでも報告があるかもしれませんが、今年はプレゼンテーションをクイズ形式にし、景品も用意したことで、大変盛り上がったと感じます。景品については、日本館の郡司先生には当日アトラクションできる浴衣やその着付けまで含めてお世話になりましたし、シカゴの領事館の方々、鎌倉からはなんとペアでお食事券をいただくなど、多くの方々の協力を得ました。特に鎌倉は日本人以外の学生にも人気のレストランであり、粘り強い交渉により、自分たちの試みに理解を示してくださり、このような形で協力していただいて、クイズ大会にも真剣みが増し、大変よい試みだったと思います。

クイズ大会と同時に食事のサーブも行いました。(今年度のメニューはから揚げ、おにぎり、カレー、焼きそばなど)200人分の食事を用意することは想像以上に大変で、前日はほぼ徹夜でごぼうのささがきをしたりもしましたが、田辺さんがうまくリーダーシップを取ってくれたおかげで、無事にやる遂げることができました。当日になっていきなり手伝いを頼んだ方々も応援にきてくださり申し訳ないほど協力していただきました。食べ物に関しては、予算の面でも、調理や片付けの面でも本当にたくさんの方々に協力していただき、あらためて感謝したいと思います。

Facebookなどで友達に呼びかけてはいたのですが、当日は思った以上にたくさんの友達が駆けつけてくれて感激しました。誰もが日本料理に夢中になり、アトラクションや衣装の浴衣をたのしんでくれて、”You did a great job!”と声をかけてくれるのを聞いて、涙が出るくらいうれしかったです。先学期から人間関係について考えることが多く、今学期は絶対に積極的に関わろうと必死になってしまっている部分が多かったのですが、こんなにたくさんの友人がいてくれているんだと再確認させてもらいました。

●春学期あれこれ●

アメリカのバレンタインデーは日本でのクリスマスに近い気がします。カップルで過ごすものであり、相手がいなければ同姓同士のパーティで楽しみます。その日は町中ピンクと赤で染まります。その数日前から寮のイベントでデコレーションをしたりバレンタイン気分が高まっていたのですが、当日は朝から寮の友人とチョコレートを交換したり、チョコレートをもらったり、バラをもらったり、寮の女の子の部屋でパーティをしたり、終始幸せな感じですごしました。

Unofficial(聖パトリックの日に町中が飲みまくる行事。キャンパスタウンは春休みとかぶってしまうため、別の日=Officialではない日,に行うためUnofficial)は危ないと聞いていたのですが、本当に危ない感じでした。みながクレイジーになることを見越して自分の授業はすべてキャンセルされていたのですが、あいにく上記のCOMM321のレポートについて教授と話し合わなければいけなかったため、夕方から参加しましたが、話によると朝からクレイジーだったそうです。

春休みは渡米してきてくれた母と、シカゴやミネソタで思い出の地をめぐりました。母と過ごすだけで大変リラックスし、残りの学期をがんばるための充電ができたと思います。

春学期になってから火曜日は友達と夕食をとって図書館で勉強して、スイーツが最も充実していると評判のBuseyLate Night(夜間購買)でケーキでしめる、というのが定番になりました。うっかり話し込んで勉強にならないことも多かったですが、気温マイナス20度のなかでも決行するほど楽しかったです。

Black Chorusの授業は大変刺激的でした。まず楽譜を使わない授業方法に度肝をぬかれ、(歌詞がわからず常に作詞してました)熱くソウルフルなDavis先生に驚きました。地域の教会で歌い、たくさんの人々がスタンディングしてくれたこと、Mother’s day weekendで大好きなKrannertの舞台に立てたことなど、よい経験をたくさんさせてもらいました。一方で他人の文化を理解するには努力が必要だということも実感しました。自分はこの授業を、主に「歌うのがすきだから」という理由で受講しました。しかし、Black Chorusである以上その歴史や存在に敬意をはらわなければならないし、それを理解しようとしなければいけないなとも感じました。はっきり言って授業の運営に納得がいかなかったり、他の生徒がやっていることが理解できないと思うことも多くあったのですが、それでも歌によってたくさんの人とまとまれるのはすばらしいと思いましたし、よい経験だったと感じます。

この学期は最後の学期ということで、時が過ぎるにつれて残り時間を強く意識するようになりました。その分多くの友達とたくさんのことを語り合えたことはよかったと思います。時には寮の床にすわりこんで、留学生友達と、「この留学をどう生かしていけばいいんだろうね」と話したり、あるいはラウンジで、他愛無い雑談をしたりした時間は、とても愛おしいものでした。人見知りが激しい自分が、他者を理解しようとする姿勢において、少しは成長できたかとおもいますし、このことは帰国後も忘れないようにしたいと思っています。

●     学期終了後●

期末テストやすべてのレポートを提出し終えた満足感に浸るまもなく、荷物のパッキング、寮の部屋の掃除に終われながら、友人との別れを惜しみました。自分が寮を離れる前日には、仲のよかった友人で最後にMurphy’s に集まり、しめっぽくなる間もなく大騒ぎしながら終わりました。それでも、翌日車が1年間慣れ親しんだPARを離れる際には思わず涙が出そうになりました。

私たちは学期終了後10日ほど、留学生の友人とアメリカ南西部を回るロードトリップにでかけました。この旅行は寮で仲のよかったRachelと、「テキサス行ってみたい。」「グランドキャニオンを見てから国に帰りたい」といった思いつきから始まった旅行だったのですが、最終的には参加者10人、期間3週間という大規模な旅行に発展しました。(結果的に旅行が前半と後半に分けられ、自分は前半のみ参加となりました。)春学期の後半はだいたい週に1度集まって計画を練っていたのですが、計画段階から楽しくてたまりませんでした。参加者が全員留学生だったということもあり、グループ全体に「お互いをもっと知りたい。分かり合いたい」という前向きな空気が満ちていて、とても居心地がよかったです。シャンペ-ンを出発した後、セントルイスを通りオクラホマ、テキサス、ニューメキシコ、アリゾナ、ユタ、コロラドと、たくさんの 町をまわりました。節約のために5日連続でテントにとまったこと、地元の協会の方と仲良くなったこと、グランドキャニオンで朝目覚めたら雪にうずもれていたこと、モニュメントバレーの景色に息をのんだことなど、かなりアクティブな旅の中みんなで大笑いしながら過ごしたことは忘れられません。個性豊かなメンバーで、車中でも話題が尽きず、本当に楽しかったです。また、南西部の景色、人々の様子は1年間慣れ親しんだ中西部とはまた違っていて、アメリカの多様性、大きさを再確認しました。ユタからイリノイへ一度戻り、そこから帰国しましたが、アメリカ最後にまたよい経験ができました。

長々とかいてしまいましたが、世界中にたくさんの友達ができ、彼らの積極的で活発な様子から、今後の自分の課題が少しはっきりしたこと、少しの自信がついたことが最もおおきな収穫であったと思います。今回の留学で得たたくさんのことを、かならず今後に生かせるよう、努力していきたいと思います。

温かい応援をいただき、本当にありがとうございました。

一橋大学 法学部4年 湊 麻理子

湊麻理子さんの2008年1月分奨学生レポート

JICのみなさまご機嫌いかがですか?日本の友人からは東京で2年ぶりの積雪を記録したとの便りがとどきました。アーバナシャンぺーンは雪こそあまり降らないものの、マイナス15度を何度か記録し、アメリカ中西部の冬の寒さを肌で感じています。寒いのは日本出身の自分だけかと思っていましたが、授業のはじめの挨拶で教授がHow are you today?と聞くたびに、アメリカ人の学生がCold…..と答えるのを聞いて、みんな同じなんだな、と少し面白くおもいました。寒さで空気が張り詰めている分、晴れた日などは青空が澄み渡り、夜は月や星がとても美しいです。

 

冬のリンカーンアベニュー

〔写真;冬のLincoln Ave

さて、前回レポートをお送りしてから3ヶ月ほどの経過しました。今回のレポートでは、サンクスギビング休暇、Fall Semesterの後半、そしてバルセロナへの短期留学に参加した冬休みのことをお伝えしたいと思います。

サンクスギビングの1週間前にはボストンで行われたキャリアフォーラムに参加しました。このキャリアフォーラムは、日本語と英語のバイリンガルを対象にして行われるもので、11月の9日から11日にかけて3日間行われました。現在4年生の自分にとって、アメリカで就職活動をさせてもらえるよい機会になりました。参加している企業も国際的に活躍している、あるいはさらにグローバルな展開を目指している企業が多く、興味深いお話をたくさん聞くことができました。いくつかの企業については今後につながる活動ができたので、今後留学されるかたは、興味があれば参加されることをお勧めします。ボストンではほとんどの時間を就職活動に費やしてしまったのですが、少しですがボストンの町歩きを楽しみました。中西部とはまたちがった東海岸の歴史あるアメリカの町を楽しむことができました。

キャリアフォーラムや中間試験などで忙しかった期間を乗り越えたあとは、10日ほどサンクスギビング休暇だったので、17年前アメリカ滞在中にお世話になったDahl家のお宅に滞在させていただきました。ChampaignからPioreaMortonを越えて3時間ほどの場所にあるGeneseoという小さい町です。ほぼIowa州との州境にあるその町は、典型的な中西部らしい風景で、見渡す限りトウモロコシ畑が広がり、農家が点在しています。Dahl家の皆さんとは、17年前のシカゴ滞在中に教会主宰のサンクスギビングの国際交流イベントで知り合ったのですが、長い期間がたっていたにもかかわらず暖かく迎え入れてくださったことに感動しました。サンクスギビング当日には、第二世代のおばあさまのお宅に20人ほどの親族の方が集まり、私も集まりに参加させてもらい、伝統的なサンクスギビングディナーをいただきました。集まりにはなんと5世代にわたる親族が参加されており、アメリカの家族づきあいや家族のつながりについて考えさせられる機会になりました。日本で言うとお盆やお正月に親戚が集まっているのと似ているなと感じたのですが、5世代のなかで一番年長に当たる女性がおっしゃっていた、「最近は遠くに住んでいたりして昔のようにいつでも顔を見られるわけではない。このような機会には意識して集まってつながりをもたなければ」という言葉が印象的でした。

サンクスギビング

〔写真;Thanksgiving

サンクスギビングが終わったあとはすぐに期末試験の時期だったので勉強で忙しくしておりました。寮や図書館の雰囲気もがらりと変わり、勉強させられる雰囲気でした。ひとつ印象的だったのは、テストが3つ以上24時間以内に重なった場合、テスト日程を変えてもらえるという制度です。ただ単にテストさえ受ければよいというのではなく、一つ一つの科目をしっかり勉強し、身に付けるということが意図されているのだと感じます。また、ドイツ語の授業では筆記試験以外にもOralの試験が課されました。クラスの中でパートナーと組み、3分間のショートスキットを2本、即題の会話などを実演せねばならず、かなり苦労しました。パートナーの子とテスト前に何度も集まり、練習を重ね、実際のテストでは満足のいく結果だったと思います。実はオーラル試験の概要が発表された当初はパートナーが見つかるかどうかかなり不安に思っていました。運良く見つけることができたのですが、ドイツ語はもちろん英語も拙い私と練習するのは面倒だったと思うと、テストの後にお礼を言ったところ、「そんなことは全く気にしなくていいよ、僕らのテストはなかなかの出来だったし、よかったよ」と言ってくれて、本当にうれしかったです。一緒に練習してくれたパートナーには本当に感謝しています。また、最初苦労していたけど一番力を入れていた人種と民族に関する社会学の授業では高い評価をいただくことができ、大変うれしかったです。

また、期末テストの少し前に、こちらで日本文化を紹介する活動をしているJ-netというサークルのFashion Showに参加させていただきました。私はダンスのパートに加わりました。このようなイベントは高校以来のことだったので、最初は参加するかかなり迷ったのですが、大変いい経験になりました。練習の際も、日本の部活で練習する場合との違いを感じ、面白かったです。たとえば、日本では、ダンスの舞台発表の際などかなり長い時間をかけて、細かいところまでそろえることに集中していましたが、こちらでは短い時間で、みんなが楽しむことに力を入れているように感じます。最初はそのことにいらいらしたりしていたのですが、だんだんと、「自分で思うところがあるのならそれを伝えればいいんだ」と割り切り、楽しむことを重視しながらも、練習の仕方に意見を出したりして、主体的に関われたかなと思います。ダンスという自分の大好きなことを通して、いろんな国からのチームのメンバーとひとつのものを作り上げたということは、素敵な経験になりました。本番の舞台では最高のパフォーマンスができたと思います。ダンスチームのメンバーとはもちろん、そのほかの子ともFashion showを通していろいろな話をすることができました。また、勇気を出して誘った友達や、いつも励ましてくれるJICの同期が舞台を見に来てくれたこともとてもうれしかったです。

ファッションショーにて

〔写真;Fashion Showにて〕

期末試験のあとは待ちにまった冬休みです。わたしは冬休み前半をNew Yorkの友人の家ですごし、その後半はスペインのバルセロナへ行く短期留学のプログラムに参加しました。

NYの友人はもう20年近く付き合いのあるインド系アメリカ人のSnigdhaです。今回は彼女の家にお邪魔させていただき、NYのいろんな場所を案内してもらいました。タイムズスクエアやブロードウェイ、国連など、これぞNYという場所から、彼女や彼女の友人がよく訪れるレストランやカフェなども訪れ、典型的なキャンパスタウンのシャンぺーンとは違った都会の学生がどんな生活をしているのかを肌で感じることができました。また、本場のブロードウェイで26ドルの当日券でみたLes Miserablesは鳥肌が立つほどすばらしかったです。学生向けの当日券ということでしたが、かなりよい席で楽しむことができました。NY滞在中には、寮で仲のよい友達で、今学期で帰ってしまうHwa-Youngとも一緒に時を過ごすことができ、素敵な思い出になりました。また、Snigdhaのご家族と一緒にクリスマスをお祝いすることができ、しばらく家族から離れていたこともあって、とても心があたたまりました。

クリスマスの直後にシカゴに戻り、そこからバルセロナへの短期留学に参加しました。このプログラムは冬休み中の2週間を利用して外国へ行き、授業とフィールドワーク、そして何らかの課題(私の場合は日々のレポートと、帰国してからのファイナルレポートでした。)を提出することでLiberal Arts and Scienceの単位が普通の科目同様に認められるということです。私はカタルニア地方の文化や歴史、政治について学び、フィールドワークとしては数々の美術館やガウディのすばらしい建築などを見学しました。スペインで感じたことは、ヨーロッパの歴史の重さです。スペインはすばらしい町ですが、自分が生活をするとなると、アメリカ以上に違和感が大きいのではないかと感じました。それは、建築、美術、そして食べ物などのすべてにわたる文化が、長い時間をかけて綿密に作り上げられてきたからではないかと思うのです。そう考えると、アメリカの特異性(自分が感じただけですが、歴史が新しいだけでなく、誰にでも当てはまるようにtarget zoneの広い文化を育てているように感じます)についても考えることができました。

スペインでは本格的な留学経験といった感じで、2週間日本語を一切話すことなく、自分の英語能力としっかり向き合う時間になりました。一緒に行ったイリノイの学生達は特に私のような留学生に興味が深いわけではなかったので、英語の問題とともに、自分の魅力、バイタリティーが足りないということを思い知りました。日本からの留学生であるという以外の自分の魅力を磨く必要があるんだと身にしみたことで、新しい学期に対する新しいモチベーションを持つことができました。もっとアメリカの学生、あるいはほかの国からの留学生が何に興味をもち、どのようなことで笑い、どんなことを考えているのかを知りたい、共感したいと強く思いました。このように、反省する機会にもなってしまいましたが、移動中の何気ないおしゃべりや、みんなで海に行ってはしゃいだこと、飲みに行ったことなどは忘れられません。この旅で感じたこと、見つけた課題を常に意識して、残り少なくなってきた時間をすごしたいと思っています。サクラダファミリアにて

 

〔写真;Sagrada Familiaにて〕

さて、最近始まった新学期は、さまざまな人の助けもあり、自分の思ったとおりの履修ができたこともあって張り切っています。詳しくは次回書かせていただこうとおもっておりますが、COMM321Film and Irony, COMM 389 International Communication. SPCOM277 Media and Public Discourse, SPCM101 Public Speaking THEA101 Intro to the Theater Performanceを履修しております。自分の日本での専攻を違った分野から見ようと思い、日本にいるときから是非勉強したいと考えていたメディアスタディーズがしっかりと学べそうなので、がんばりたいと思っています。

留学生活も折り返し地点を過ぎましたが、いつも見守ってくださるJICの皆様、日本にいる家族、友人の皆様方に感謝して、報告を終わらせていただきたいと思います。引き続きご指導のほどよろしくお願いいたします。

 

 

ハロウィンパーティ写真:ハロウィンパーティ

湊麻理子

 

湊麻理子さんの2007年10月分奨学生レポート

JIC奨学生の湊 麻理子さんからの2007年10月分の奨学生レポートをお届けします。

湊さんは、ドイツ語の授業を履修したり、Krannert Centerでボランティア活動をしたり、と楽しみながら様々なことに挑戦しているようです。そんな湊さんのアクティブな奨学生レポートをお楽しみ下さい。


JICの皆様初めまして!いかがお過ごしでしょうか。
2007年度奨学生の湊麻理子です。日本では一橋大学法学部に所属し国際政治を専攻し ております。こちらでは、国際紛争を社会学やジャーナリズムの視点から学ぶこと、そしてアメリカでの生活そのものを通して人間としての視野を広げ、成長す ることを目標としています。89年から91年までシカゴに住んでいたこともあり、もう一度、今度は留学生としてイリノイにこられたことをうれしく思ってい ます。夕焼け
アーバナシャンぺーンで、日に日に冬に近づくのを感じています。Main Quadも、こちらに到着したばかりのころは夏本番という風情でしたが、木々が美しく紅葉して秋の表情を見せています。八月中旬にイリノイに到着してから2ヶ月あまりが経過しました。正直なところ無我夢中で日々を乗り越えているうちに2ヶ月がたってしまったというのが本音 です。ですが、この2ヶ月のなかで想像以上にたくさんの人に会い、たくさんの新しい経験をしました。皆様にレポートすることを通して反省の機会とし、今後 の成長につなげたいと思います。私は8月13日にO’hare空港を経由してWillard空港に到着しました。寮が開いてい なかったので、臨時の宿泊場所として割り当てられたFARという寮で一晩過ごし、翌日現在の部屋に移りました。渡米の翌朝に、一人でJimmy John’sに行って朝食をとっていたときに、完全に日本から離れて、一人外国で生活を始める不安さをかみ締めたことをいまでも覚えています。最初の2週 間は、こちらに知人友人がほとんどいない中で、買い物や引越し、銀行口座の開設や各種手続きをしなければならないということで、がむしゃらに過ごしていま した。とにかくわからなければわかる人に聞くしかないということで、今考えるとかなりアグレッシブに過ごしていたと思います。生活に慣れるにしたがって、 会話の能力も少しずつのび、落ち着いた生活ができるようになったと思いますが、逆に当時の一生懸命さが薄れてしまったかなとも思い、アンテナだけは常に磨 いて、がむしゃらさを忘れないようにしなければ、と言い聞かせています。

●寮生活

私は現在、Pennsylvania Avenue Residential hall(以下PAR)という学部生用の寮で生活しています。PARの中のSaunders棟の中にはGlobal Crossroadという国際交流を目的としたLiving Learning Communityがあり、そのメンバーとして生活しています。東京ではアパートで一人暮らしをしていた私にとって、寮生活そのものが新しい経験であり、 こちらに来てからの生活の大きな部分を占めています。

寮生活の初日にアメリカの文化を感じさせる出来事がありました。こちらでは寮生活の 初日をMove-In Dayとして、大きく位置づけています。私にも事前にメールなどで知らされていたのですが、どのようなものかわからないままその日を迎えました。いざその 日を迎えてみると、各寮の前には車が長い列をなし、家族総出で学生の引越しを手伝う風景が見られました。平日だったにもかかわらず、ほぼすべての家庭で父 親が先頭にたち、小さな弟妹までが一緒になって学生の新生活を調える様子を見て、アメリカの家庭の文化を垣間見ました。スーツケース2つだけもって身軽に 引越しを済ませてしまった自分からみると、その様子はうらやましく思われました。

GC Chicago TripPARは寮の構造上ラウンジなどの公共スペースが多く、 居住者もドアを開放していることが多いなど、かなりオープンな寮だと感じます。今までの奨学生の中でPAR、あるいはGCに住んでいらっしゃった方もおっ しゃっていましたが、生活の中で他の学生と顔をあわせ言葉を交わす機会が多く、たくさんの学生と知り合い、接触する機会を持ちたいと考えていた自分にとっ てはありがたい環境です。その一方で、自分の英語の拙さ、人と話す能力の低さを感じることも多い日々です。一時期、寮の友人とコミュニケーションをとるこ とを難しく感じるあまり、人と顔をあわせる機会が多いことを負担に感じてしまったこともありました。しかし今では少し開き直って、まず一人一人名前を呼ん で挨拶を交わすという基本的なことを大切にしながらコミュニケーションを楽しもうとしています。その成果もあってか、自分が前向きに接するごとに打ち解け ていくのを感じることも多くなり、自分をオープンにして積極性を持つことの重要性を感じました。

in PAR 私のフロアには、海外からの留学生と、1年生を中心としたアメリカ人の学生がほぼ半々ですんでいます。留学生とは、英語や留学生活の大変さ、それぞれの国 の文化について語り合い、アメリカ人の学生からはアメリカの学生文化を学ぶことが多い毎日です。ルームメイトは地元シャンぺーン出身の2年生のEmily で、とても真面目で親切な学生です。アーバナシャンぺーン生活の最初から、彼女にはすべての面で助けてもらっています。2人で部屋をシェアするということ は、今までは考えられないことでありましたが、今のところ楽しんですごせています。以下の写真はEmilyと、同じフロアの友人1Jiyounとのもので す。

同じフロアの友人の「新しい人と知り合って友達になるのはとてもexcitingなことだ」という言葉にはっとさせられたことがあります。寮は留学生活の中で長い時間をすごす場でもあるので、今後も楽しみながら多くのことを吸収したいと思います。

今学期は自分の専攻に関連する Race and Ethnicity, Introduction to Comparetive Politics, Geography of Intl Conflicts,そしてGermanとESLのライティングのコー寮の友人とスを履修しています。今回はこの中でもっとも印象的で刺激的なRace and Ethnicityの授業の様子を中心に、勉強の様子について報告させていただきたいと思います。

もともと民族紛争に 興味があった私は、紛争のもとになる民族や人種といった概念をどのように考えればいいのかということを学びたいと思い、社会学部のRace and Ethnicityを履修しました。実際にはこの授業はアメリカ国内の問題を取り上げる授業であり、自分の関心にはあまり沿わないかなと不安に思っていた のですが、想像以上に面白い授業で、今学期一番力を入れて勉強しています。授業は毎回大量のリーディングが出され、それをもとに教授が講義をし、そのなか で自然に学生の議論が生まれていくという形がメインです。時折、その日のテーマに基づいた課題が与えられグループワークをすることや、抜き打ちのクラス内 エッセイを課されることもあり、授業のスタイルが変化に富んでいます。この授業でもっともすばらしいと思う点は、宿題のリーディング、授業、参加している 生徒、そしてイリノイやアメリカの社会そのものがつながっていることを常に感じられることです。人種や民族が持つ問題点について学んだ後、自分の実体験を 交えて議論を行い、また教室の外に目を向けて授業で学んだことを還元して考えられることはとても刺激的なことだと感じます。たとえば教室のなかに白人、黒 人、ヒスパニック、そして自分のようなアジア人がいるなかで、アメリカにおけるマイノリティ差別の歴史について議論を戦わせるという経験は、日本にいては 絶対にできることではなく、またタブー視されていることでもあると思うので、貴重な経験をさせてもらっていると感謝しています。現在は受講している生徒の バランスもあってか、黒人差別の実態について考えさせられることが多いです。日々の生活の中でも、白人の学生は白人の学生と、黒人の学生は黒人の学生と行 動をともにしているのを目にすることが多く、テーマが生活の中にあふれているのを感じます。そのような中、初めのころは宿題をこなし授業中に教授や学生が 話すことを理解するのに必死だったのですが、少しずつ日本人としての視点を発信したいと思うようになりました。初めて授業の中で、たった数秒ではあります が発言したときの興奮は今でも覚えています。この授業以外にも、比較政治や、紛争地理学の授業では日本人としてアメリカの学生とは違う考え方をしている自 分に気づくことが良くあります。そのような発見を、少しずつでも、もっと授業に反映させていくことが今後の目標でもあり、課題でもあります。

「ドイツ語の授業をとっているの」と私が言うと、ほぼ100%の人が”Are you Serious?”と答えてくれます。もともと、すべて専門の授業にしてしまうのは難しいかもしれないし、語学も履修してみようという軽い気持ちで履修し たのですが、ドイツ語(中級)の授業は今学期の勉強の中でかなりのウェイトを占めています。日本の大学でも週1-2回の割合で2年間勉強していたのです が、こちらの外国語教育は日本の、少なくとも一橋の教育とはかなり違った形をとっています。授業は週4回あり、毎回の授業でウェブ上で課される宿題をこな していかねばなりません。結果的に、ほぼ毎日一定期間ドイツ語に触れていることになり、この2ヶ月間だけで、日本で2年間勉強したよりも多く、深くドイツ 語に触れていると感じます。こちらに来て驚いたことが、日本語を含め、英語以外の言語を話すことができる学生が多いことです。みな真剣に外国語を勉強し、 ネイティブスピーカーと話す機会をのがさず練習し、実際にその言語が話されている国に1セメスターか2セメスター行って勉強しようとする学生も少なくあり ません。これは言語に限らないことですが、アメリカの学生は目標とするスキルを得るために勉強する、というスタンスをしっかりと持っていることが多いと感 じます。当たり前のことかもしれませんが、日本の大学生活に慣れきっていた自分には新鮮に感じました。ドイツ語を勉強するより英語をもっとがんばるべきで は・・・と思うことも多少ないではありませんが、せっかくの機会なので、きちんと勉強して、能力として考えられる程度まで、勉強を続けたいと考えていま す。

実際はコミュニケーションと紛争の関係を勉強することが留学の大きな目的のひとつだったのですが、履修の手続き上の問題や、自分の英語力の問題によってまだ達成できずにいます。来学期こそは、そのような分野についても勉強したいと思っています。

●その他

授業についていくこと、生活することそのものに必死になってしまっている状態なので、他の活動を楽しむことがなかなかできないでいるのですが、少しずつ挑戦しています。

先 月は学校の中にあるKrannert Center で座席案内係のボランティアをしましたた。もともと演劇や劇場が好きな自分にとっては夢のようなボランティアで、なれない英語で緊張しつつも座席案内を し、客席の様子に気を配りました。仕事は開演前と開演後のみだったので、上演中は自分も観客と一緒に演劇を楽しみました。同じ劇場でも、日本とアメリカで は、かなりの違いを感じます。アメリカでは自分の感情を素直に表現する観客が多く、演じる側と客席の近さを感じます。一方で、開演前の客席の高揚感や、パ ンフレットの香りなど、日本の劇場と同じ部分も見つけてなつかしく思いました。Krannert Centerでは、演劇以外にも、ダンス、音楽などの演目が常に上演されており、舞台芸術に気軽に触れることができるすばらしい環境だと感じます。また、 アメリカに到着してから、常に誰かに面倒を見てもらう立場であった自分が、些細なことではありますが、責任をもって、人のお役にたてたことをうれしく思い ました。

GC Chicago Trip 今週までで中間試験もひと段落つき、最初の学期が折り返し地点にはいってしまいました。矢のように過ぎる時間のなかで、どれだけのものを身につけられてい るのか不安に思うことも多くあります。JICの方々、そして応援してくださっているすべての方々のおかげで機会をいただいて勉強していることを心にとめつ つ、これからもがんばりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

JIC春の宴会/2007年度奨学生を囲む会が開催される

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2005年度奨学生の皆さんの主催で、2007年4月8日(日)の昼下がり、銀座のカフェ ラ・ボエムでJIC春の宴会が開催されました。2007年度奨 学生4名(写真前列向かって左から長谷川君、湊さん、田辺さん、八尾君)を囲んでJICの12名の方々が集い、イリノイ談義に花を咲かせました。各自の自 己紹介等は、後日別途ニューズレターで紹介します。ご期待下さい。

#原会長ご夫妻は所用のため集合写真を一緒に撮ることができなかったため、写真には14名が写ってます。